第4回 個人投資家向けIRセミナー&講演会(第4部)

丸山侑佑氏(以下、丸山):ポート株式会社で副社長をしております、丸山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

資料に沿って順にご説明をさせていただければと思います。まず最初に、ポートという会社が何を思い、この会社を立ち上げて運営しているかについて、そして会社の概要、サービス、事業の内容、それから後半に決算の概要といった順番でお話しできればと思います。

OUR MISSION

私たちポートは、「世界中に、アタリマエとシアワセを。」というコーポレートのミッションのもと、事業展開しています。「世界中に」というのはあくまでもイメージに近しいですが、制限なく、いろいろなジャンルで新しいアタリマエを作っていきたい、それによってサービスを使っていただくユーザーさまやクライアントさま、そして当社の従業員や関わるすべての人を笑顔にしていきたいといった思いで、会社を運営しています。

そのなかで私たちが大事にしているのは、インターネットメディアもそうなのですが、IT、テクノロジー、マーケティングのノウハウや技術といったものを駆使して、いかにして社会に潜む問題、社会課題を解決していけるかという点に注目して事業を展開しています。

ですので、私たちが運営する各サービスに関しては、すべてにおいて私たちなりの問題提起が存在しており、それを解決していくためのインターネットメディアであり、その他のサービスであるという立て付けになっています。

会社概要

会社概要になります。2011年に会社を興しまして、現在が9期目です。本社は新宿にございまして、支社も新宿にもう1拠点と、2016年に宮崎にもサテライトオフィスを構え、現在この主要3拠点で事業展開しています。

事業内容としては、インターネットメディア事業となっており、この事業のなかに複数のサービスがございます。のちほどご紹介していきたいと思います。

従業員数は160名ほどです。平均年齢は29歳と、比較的若いメンバーで、パッとオフィスを見ると、25~26歳くらいの仲間が多い会社です。部長を含め、主要どころは経験豊富なメンバーがいまして、平均年齢は29歳ぐらいで落ち着いているという会社です。

男女比は6対4で、創業時からあまり変わらず、比較的女性が多い会社です。時には半々、ないしは女性が男性を超えるタイミングもありましたが、女性もたくさん活躍している会社です。

昨年の12月21日に東証マザーズおよび福証Q-boardに上場させていただきました。

ビジネスモデル

ビジネスモデル、事業説明に移りたいと思います。まず、すべてのメディアに関わる全体的なフローを最初に申し上げたのちに、少しずつ各領域の説明に入っていければと思います。

私たちが運営していますメディアに関しては、基本的にいわゆる「ノウハウサイト」といわれるものです。ですので、ユーザーさまからすると、なにかしらの悩みごとや気になることがあって、ネット検索した時に、比較的上位に出てくるようなインターネットメディアになります。

よく「競合は?」というお話をいただくのですが、インターネットを使われているみなさまからすると、本屋さんにある書籍に近しいのではないかなと思っています。これまでであれば、本屋、あるいは図書館に行って勉強していたところが、今の時代、インターネットで検索して情報収集する方も比較的多いですから、インターネット上で検索したら出てくるノウハウサイトとご理解いただければと思います。ユーザーのみなさまには、無料でこのコンテンツをご覧いただけます。

スライドに「STEP1、2、3」と書いてありますが、まずユーザーのみなさまが悩みを抱えて、検索によって我々のサイトを訪れていただきます。私たちの収益化の方法に関しては各領域でそれぞれバラバラになりますが、広告主さまが持つ商品やイベントといったものにお申し込みをいただいて、成果報酬というかたちで料金をいただいています。ユーザーさまの流れとしては、ざっとこういう流れになっています。

当社ビジネスモデルの特徴①スモールバーティカル開発

特徴を3つほどお話ししながら、具体的なご理解を深めていただければと思います。

まず1つ目ですが、社内用語で「スモールバーティカル」という言葉をよく使っています。先ほどのページでご覧いただいたとおり、悩みごとがあって検索してサイトに入ってくるわけですが、当社では多ジャンルで多くの内容を取り扱っているメディアを展開しているのではなく、できる限り領域やジャンルを限定してサイトを作っています。

国内にもいくつか大きなインターネットメディアサイトがあるかと思います。それらのサイトを見ていると、いわゆるグローバルメニューのところに「どういった情報を知りたいですか?」というかたちで、カテゴリーがいろいろ分かれていると思います。当社は、そのカテゴリーごとにメディアがあるというかたちになります。

最初に始めたのがキャリア領域で、今、中核なのは新卒、つまり就職のジャンルになります。スライドのようなキャリアやファイナンスといった分け方のことを、当社では領域と呼んでおり、そのなかで複数分かれている細かなものをジャンルと呼んでいます。

キャリアに関しては新卒のジャンル、個人向けのファイナンス領域に関してはカードローンジャンル、FXジャンル、保険ジャンルの3ジャンルを展開しています。メディカル領域に関しては、高血圧ジャンルです。

のちほどお話ししますが、2019年3月期第4四半期に、M&Aによって運営をスタートしたリーガル領域に関しては、債務整理と交通事故示談交渉といったジャンルを展開しています。

このスモールバーティカルの目的がなにかについてです。インターネットをご利用いただく、当社のメディアをご利用いただくユーザーさまにとっても、どのジャンルの専門情報サイトなのかがわかりやすくなるからです。加えて、プラットフォーマーのみなさまからしても、どういったサイトかがわかりやすくなります。

今の時代、インターネットメディアでも、情報の専門性、信憑性が問われてきている時代ですから、私たちも、たくさんの情報を集めて単にたくさんのトラフィックを集めるということではなく、それぞれのジャンルで専門性のあるメディアをしっかり展開していくことで、ユーザーさまにとっても何のサイトかわかりやすいものにしたいと思います。

訪れてくださるユーザーさまは、ノウハウコンテンツを読みにくるわけなのですが、キャリア領域の新卒ジャンルのメディアを訪れてくる方々は、基本的には就職活動をされている方です。

ですので、先ほど申し上げたとおり、広告主さまのサービスやイベントに申し込んでいただくのですが、スモールバーティカルに進めることによって、この広告転換率も高く実現できるのではないかと考えています。売上高30億円の会社にしては、メディアの数が多いように見えますが、これは細分化して進めているとご理解いただければと思います。

当社ビジネスモデルの特徴②ストック型モデル(1)

特徴の2つ目です。インターネットメディアといいましても、世の中には多数あります。そのなかでも、私たちの特徴であり、強みでもあると思っているのが、ストック型のモデルであることです。

当社では、比較的流行に左右されにくい記事内容を書いています。例えば、新卒ジャンルでは履歴書の書き方、面接時のマナーといったもので、未来永劫とまでは申し上げにくいですが、5年や10年ぐらいでころころ変わるような内容ではありません。

よって比較的安定しやすいジャンルなのですが、参入する領域も実際に書くコンテンツも、流行に左右されないものを発信していこうというのが基本的なスタイルです。

ニュース性、流行性の高い記事のほうが、一時的にはたくさんのアクセスを稼げるということはあろうかと思います。ただ、昨日のニュースにお金を払ってまでわざわざ見にくるかというと、なかなかそういうこともありません。そのため、ニュース性の記事には即時性がすごく大事だと思います。

私たちは、お金をかけて記事を作り、その記事を目当てにユーザーさまが訪れます。これでマネタイズがされていくはずなのですが、今日の収益を上げるためにまた記事を作って、ということをずっと繰り返していくと、非常に運転資金も高くなりますし、安定しないというところから、せっかくお金をかけたので、ある意味で記事が資産化するようにしています。

理論的にはですが、コンテンツ自体が流行に左右されないので、今年、1万人のユーザーさまが見てくださったコンテンツは、来年も1万人に見られるはずだと思っています。もちろん、インターネットメディアの利用ユーザーさまの推移などは影響しますが、基本的には流行に左右されないため、毎年一定数のユーザーさまが来やすいだろうと思います。

スライドの右手に書いていますが、3年前に作った記事があって、今年に作った記事があってというかたちで重なっていきます。記事自体もストックされていくのですが、実はユーザーさまの数もこれに準じてストックされているような印象を持っていただいても、ご理解にそれほど差はないかなと思います。

ここは、やはりしっかりとお金をかけて投資していくことを考えると、ずっと原価をかけ続けなければいけないモデルではなく、安定して収益を生み出していけるモデルを作っていこうというところで、流行に左右されない記事を書くことによってアクセスが安定して、アクセスが安定することによって収益が安定するという考え方をしています。

当社ビジネスモデルの特徴②ストック型モデル(2)

収益モデルについて説明します。

記事を書きますので、初期コストがかかります。スライドにも書かせていただいていますが、「コンテンツ開発費」が、いわゆる編集者の人件費や記事の信憑性を監修していただくような専門家の監修費といったものです。この段階では、まだまだ収益は立っていない段階ですので、基本的には赤字です。

ある一定のタイミングが来ると、コストの純額がドンと落ちていきます。領域、ジャンルを絞ってメディアを展開しているとはいえ、1つのジャンルで書ける記事の数にも限界があり、何千、何万という記事を書くと、新規の記事開発がなくなります。そうなってくると、そのジャンルのなかの網羅性をカバーしきったところで、新規の記事開発の費用がかからなくなるため、もちろんリライティングはしますが、そのあとは基本的には運用コストのみになっていきます。

イメージとしては、長らく読まれている本や改訂版があるかと思いますが、あれに近しいです。トレンドが変わった、用語の定義の認識が変わったなど、いろいろなことがあればリライティングしますが、基本的には運用コストだけに切り替わっていきます。

そうすると、記事の本数が増えていくことにある程度比例して、オレンジの線で示している収益が上がっています。そして、費用が下がったタイミングで損益分岐点を超えて黒字化していきます。

では、そこからどのようにして右肩上がりを続けていくのかというと、これは当社のマーケティングの努力かと思います。メディアに来てくださった1ユーザーさま当たりの収益性を、どこまで上げていけるかが重要だと思っています。

先ほどのお話のとおり、ユーザーさまにサービスや商品といったものにお申し込みいただいて、1件いくらというかたちでお客さまから料金をいただくのですが、1人のユーザーさまが1つの申し込みしかしないのか、それとも2つの申し込みをするのかの改善、いわゆるCVR(コンバージョンレート)を1パーセントから2パーセントに上げることで収益が倍になります。ここをしっかりとマーケティングしていくところが、収益を伸ばしていくポイントです。

キャリア領域に関しては、もう5年前にローンチしており、早々に損益分岐点を超えて高収益に持っていきました。そこで利益が出ているものの、第2の矢であるファイナンス、あるいはメディカル領域に新規投資するなど、スライドの左側にあるように投資フェーズのメディアがいくつかありましたので、キャリア領域で出している利益分を投資していたため、2018年3月期まで、4期連続で年間で赤字を計上していました。

そして2018年3月期第4四半期、2018年1月~3月のタイミングで、決算開示資料にも載せていますが、四半期単体で黒字化を実現しました。これは、キャリア領域に加え、ファイナンス領域も損益分岐点を超えて黒転したため、全社でも黒字になりました。

1本目だけではなく、2本目でもこのモデルがきちんと成功しました。また、ストック型ですので、一度黒字化を迎えると、そのあとは急に来年ガタガタと業績が下がるようなことは、理論上はなりにくいというところで、これから市場に出て株主のみなさまにご支援いただくなかでも、しっかりと収益を出していけるのではないかと考え、上場の最終意思決定をしまして、2018年12月に上場したという流れです。

当社は、2019年3月期は、5億4,000万円ほどの営業利益を出しています。例えば、今年7億円ほどの利益を出そうと思った時に、0円から7億円を稼ぐというよりは、去年まで稼いできた5億円に対して、この2億円をどうやって積み上げていくかという考え方をしていきます。

理論上はストック型ですので、アクセスもストック、収益もストックというかたちを実現していきながら、どのようにして積み重ね、高い利益を出していけるかということで考えている次第です。

当社ビジネスモデルの特徴③仕組化による横展開

1つ目がスモールバーティカルということで、ジャンルを特化していますというお話。2つ目が、記事が流行に左右されないものですというお話でした。そして3つ目です。では、そうしてスモールに進めているのであれば、収益拡大には横展開が必須であるということで、この横展開はどういう考え方のもとで進めているのかというところです。

横展開やグローバル化は、多くの会社が事業戦略として打ち出すことが多いかと思います。私たちはいろいろな会社の失敗例なども見ていますが、横展開というのは、基本的に同じことを違うジャンルで提供していかなければいけないということで、前提条件がほとんど同じなかで、仕組化して横展開していかなければいけません。

では、私たちはどういったものを仕組化していくべきなのか。いろいろな領域、いろいろなジャンルで展開するにあたり、専門的な記事を書いていかなければいけないわけですが、専門家に編集してもらう、ライティングしてもらうモデルでは、また新しいジャンルの専門家を採用せねばならず、希少性の高い専門家の採用が、おそらく事業拡大におけるボトルネックになるだろうと考えました。

私たちが本来得意なのは何かといいますと、メディアを運営していくなかでは、編集やSEO、システム開発といった、いわゆるIT企業のような部分が、本来の私たちの得意分野であろうと思います。

ビジネスオペレーションと専門性をきっぱりと分けて、専門性は外の監修者とのご契約のなかで専門性を高めていく。一方で、ビジネスオペレーションに関しては、垂直統合型で、横展開しやすいモデル作っていくというかたちで進めてきました。

これが当社としてはうまくいったポイントだなと思っています。実際にスライドのように切り分けることで、キャリア領域でしっかりとメディアを立ち上げ、ファイナンス領域でもメディカル領域でもメディアを立ち上げましたし、最近はリーガル領域でもメディアを始めています。

専門家は、ジャンルによりますが、弁護士の先生もいればお医者さまもいますし、ファイナンシャルプランナーもいます。各ジャンル、各記事において必要な専門家とのマッチングをしているモデルになります。

念のため補足しておきますと、先ほどのとおりで収益に関してはそのメディアに来てくださったユーザーさまに、お客さまの商品、あるいはイベントにお申し込みいただいての成果報酬になります。このジャンルそれぞれにおけるお客さまというのはわかりやすく、キャリアの新卒領域であれば主たるお客さまは人材会社さまや、採用活動をされている求人企業さまです。そこに、新卒で就職活動しているユーザーさまが訪れてきます。そして、日本にたくさんあります人材会社さまや、新卒採用をされている会社さまにご送客して収益を上げています。

カードローンに関しては、カードローンのサービス提供者がお客さまです。FXも、FXのプロバイダーがお客さまですし、保険に関しても保険サービスを提供されている会社さまがお客さまとなります。

このように、各領域でのお客さまも非常にわかりやすく、ユーザーさまがお求めになっているノウハウ情報と、その先にある商品をセットにしているというモデルです。

事業戦略

今後の事業展開をどう進めていくかというところですが、基本的には今お話し申し上げてきたとおりでございます。今後もスモールバーティカル、特定領域に特化したメディアを複数、新規開発していこうというのが基本的な考え方です。

順番にご説明していきます。キャリアという領域の横の矢印を見ていただければと思うのですが、「領域内展開」と書いています。キャリアといいましても、当社はあくまでも新卒ジャンルだけです。しかし、(キャリアのなかには)アルバイトもあればフリーランスもあれば、専門家の転職もあるなど、いろいろなジャンルがあります。この近しいジャンルの横展開を小刻みに進めていきます。

2つ目が、スライドの一番下に「水平展開(横展開)」と書いていますが、キャリア、ファイナンス、メディカル、リーガルのような大きな領域ごとに新しく展開していきます。

3つ目が、なかなか開示資料だけではご理解いただきにくいところもあろうかと思いますが、縦の矢印「垂直展開(縦展開)」です。当社のモデルは、メディアを立ち上げて、お客さまにご送客して収益を上げるモデルですが、それだけではなく、こんなにたくさんのユーザーさまが来てくださるのであれば、もう少し収益を拡大していくプランはないかというところで……私たちの強みは、メディアに訪れてくださるユーザーさまのデータがたくさんあることと、そこから送客できることです。

そこで、この送客先となるようなサービス、あるいはそれに類似するものを、当社も新規事業、新規サービスとして展開していくということです。よって、ここの領域は純粋なメディア業ではなく、メディアのデータをどのように有効活用していくかという領域になりますが、この集客力も非常に高いので、サービスの立ち上がりが非常に早いと思います。

先ほど、メディアの特徴を3つお話ししましたが、こうしたものを引き続き横展開してメディアを増やしつつ、縦にも展開していくということで進めていきたいと思っています。

基本的には、これからも自社でのメディア開発ということで、「キャリアパーク!」「マネット」などを自分たちで立ち上げてきた自負もありますし、ノウハウもたまっていますので、引き続き社内で新しいメディアを作っていくことは継続していきたいと思っています。

買収メディア選定方針

それだけではなく、より高い成長率をキープしていくためにも、今後はM&Aもしっかり検討していきたいと思っています。今年の5月に、事業方針という資料のなかで、投資方針も出させていただきました。今後は、メディアの数をどんどん増やしていくという戦略のもと、M&Aにより、外から調達していきます。

実際に、リーガルという領域は新しくM&Aで獲得した領域ですので、すでにこの戦略自体は進んでいます。

では、どういう方針をもとに進めていくのかですが、4つあります。特徴的なところを3つだけお話しすると、スライド左上の「高品質な情報」ということで、私たちはインターネットメディアで専門情報サイトを運営していますので、購入してきたサイトの記事の品質が低ければ、書き直さなければいけなくなります。そうなると、M&Aのコストが非常にもったいないことになりますので、高品質なコンテンツを持っているメディアであるかどうかは重要なポイントであると思っています。

2つ目が、左下の「社会課題を抱えている領域」です。言い換えると、慢性的にみなさまが悩んでいるもの、つまりノウハウ情報であり、ストック型のコンテンツが活きやすい領域を重要視しています。専門情報サイトですので、メディアの特徴は専門性があるかということと、ストック型が通じるかというところが重要です。

そして右下に「早期に投資回収」とありますが、これはM&Aされるほとんどの会社さまがこうしたうたい文句だと思います。私たちなりに考えていることとして、インターネットメディアとして高品質でありながら、ネット上で検索して上位に出てきていても、まだ大きくなりきっていないようなサイトがたくさんあります。

それは、人やお金といったリソースを投下することでまだ成長が見込めるメディアです。

一方で、私たちが買収することによって、200人弱の従業員で運営できます。加えて、運転資金もかけていける。だからこそ、リソース投下があれば伸びるであろうメディアを購入させていただいて、私たちのリソースを持って拡大させるところを推進しています。

トピック:リーガル領域への進出

リーガル領域も、今お話しした買収戦略のなかの1つです。

リーガルは、弁護士の先生方や税理士の先生方といった専門家が持つ特有の情報を、インターネットメディアのユーザーさまにノウハウ情報として提供していくような領域です。しかし、広いジャンルではなく、債務整理、交通事故示談交渉などに特化して、ユーザーさまにとってどのようなメディアなのかがわかりやすいものを引き続き展開しています。

M&Aも含めて、今後も事業拡大を進めていきたいと思っています。そのほか、この半年ぐらいのトピックスをいくつか簡単にご紹介します。

トピック:SBIFXトレードとコンテンツの共同開発を実施

SBI証券さまおよびSBI FXトレードさまと提携しまして、共同で「マネットFX」のコンテンツ開発をしていきます。

私たちとしては、上場というイベントを機に、今後は大手資本との連携もうまく活用しながらコンテンツの品質を上げ、販路を拡大し、業績を拡大していきたいと思っています。その第一弾として、SBIさまとFX領域での提携をスタートしたというところです。

トピック:東京女子医大との共同研究の結果速報

オンライン診療という領域も、2016年からスタートしています。

これは、単純なメディア事業ではございません。「新しいアタリマエづくり」として事業開発している領域ですが、スマートフォンやタブレットで診察行為を受けられるオンライン診療のプラットフォームを提供しています。

東京女子医大の先生方とともに、オンライン診療という領域における有効性や安全性を検証していこうということで、共同研究を進めてきまして、「オンライン診療は一定の効果がありますよね」というところで、共同研究結果を5月にリリースさせていただきました。

トピック:オムロン ヘルスケアと業務提携

こちらもオンライン診療領域になりますが、先ほどの大手資本との連携とも関連するところです。当社で展開しているのは高血圧の領域がメインですが、この高血圧の領域におきまして、世界的にもトップシェアを誇るオムロン ヘルスケアさまと提携しまして、新しくサービス開発をしていきます。

高血圧領域の医療機器メーカーのトップランナであるオムロンさまと、プラットフォーマーである当社、そして東京女子医大の先生による一般社団法人テレメディーズと共同開発を進めていき、このマーケットも徐々に前に進めていこうと考えています。

2019年3月期 業績ハイライト

最後に、決算のお話をして終わりにしたいと思います。21ページ目からお話ししていきます。

今回の決算に関しては、売上高30億3,900万円、営業利益5億4,200万円というところで着地しています。

売上高に関しては、業績予想で28億円と出していましたので、しっかりと達成して終えることができました。営業利益に関しては、トップラインがしっかりきているというところからも、ある程度着地に自信を持っていたところです。

しかし、先ほどのM&Aの費用もそうですが、先を見て少し先行投資しようというところから広告宣伝費等をかけさせていただいて、2,000万円ほどショートしたもののおおむねKPI達成です。

2020年3月期 業績予想 サマリー

今期に関しては、23ページです。売上高に関しては、38億1,900万円を目標として据えています。なお今期から、上期・下期を分けて業績を出すことにしました。

就職のジャンルは、多少季節性がありますが、これを株主のみなさまにご理解いただくのは、なかなか難しいなと思っていました。とくに第1四半期、第2四半期で当社が決算開示した時に、「全然数字が進捗していないじゃないか」と思われます。しかし、私たちは意気揚々と、最終的には達成しましたといってしまいがちなところもあります。

そこで、例えば売上高では上期と下期でだいたい5億円ほどの差があると、計画の段階からわかるようにしました。また営業利益では、営業利益率が上半期は約12パーセント、下半期は約22パーセントと大きな差があります。

国内では、だいたい大学3年生の3月から就職活動を始めます。ですので、12月、1月、2月、3月あたり、つまり下期が、お客さまである人材会社さまが一番広告宣伝費をかけられるシーズンであり、当社としても収益が上がりやすいです。

通年でユーザーさまのマーケティングを行っているわけですが、一番ユーザーさまがアクションを起こしてくださるシーズンのため、利益率も非常に高いタイミングになります。その点をご理解いただければと思っています。

日数の進捗率と利益の進捗率がなかなか一致してこないのですが、これは例年の私たちの計画どおりです。2019年3月期の決算をご覧いただいて、そこでもやはり第4四半期でかなりの利益を上げなければいけないところで、しっかり利益を上げていった実績を確認いただければと思います。

引き続き、各事業を伸ばしていきつつ、この目標に関してはしっかりと約束を守っていけるように尽力していきたいなと思っています。

以上になります。ありがとうございました。

坂本慎太郎氏より質問

八木ひとみ氏(以下、八木):ありがとうございました。それではまず、坂本さんにお聞きします。今のお話をうかがいまして、機関投資家だったらどこに注目すると思いますか?

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ご説明ありがとうございました。

上場される年ぐらいから一気に利益が上がってくる構造になって、それまでの土台と今後の成長というところが期待されているのかなと思うのですが、やはり大事なのは仕組みですよね。

そのなかで、10ページの既存のキャリア、ファイナンス、メディカルのところで、垂直展開と水平展開とありますが、こちらをもう少しおうかがいしたいと思っています。

決算説明資料にもありましたが、このファイナンス部門のリアルプロダクトの部分が、空白というか、今後展開するということになっています。ただ、このファイナンスに関しては、FXなどの口座開設のフィーがすでに入ってくると思うので、このバーティカルメディアですでに収益化はかなりされていると思っています。そのあたりで、どのようなイメージがあるのかおうかがいしたいと思います。よろしくお願いします。

丸山:今後の開発計画に関しては公開していないところですので、あくまでイメージをつけていただくための情報としてご認識いただければと思います。

一番わかりやすい例を出します。私たちが送客しているのは、例えばカードローン領域では、カードローンサービスを利用したいと思っているユーザーさまですので、このユーザーさまにとって適切となるサービスはなにかを考えます。

自分たちが直接カードローンの事業を行うというのが一番イメージがつきやすいかもしれませんが、例えばユーザーさま向けにセミナーを行うこともあるかもしれませんし、そこから派生して、個人のお金回りの管理の仕方といったところにも入っていけるかもしれません。

当社が武器とするところは、送客できる、つまり集客できる力にありますので、このユーザーさまを使ったらどんなリアルサービスができるのかということで、ぜひ楽しみに想像していただけたらと思います。

坂本:ありがとうございます。僕もセミナーなどをいろいろ行っていますので、ぜひご協力できることがあれば声をかけてください(笑)。

質疑応答:検索アルゴリズムの変更に伴う影響について

質問者1:御社の仕組みなのですが、要するに検索キーワードやSEOで、なるべく上位に表示させてサイトに集客して、そこからコンバージョンを狙っていくということで、全部の領域でそこが共通する部分だと思いますが、結局はGoogleの検索アルゴリズムが変わってしまうと立ち行かなくなってしまうのではないでしょうか?

ご存知だと思うのですが、数年に1回ぐらいアルゴリズムを大きく変えたりしていますよね。完全にブラックボックスだと思うのですが、そのあたりのリスクに関してどう考えているかをお聞かせいただけますか?

丸山:Googleのアルゴリズムの変更に伴う影響に対して、どういう対策を打っているかというところをお話しさせていただければと思います。

プラットフォーマーによるアルゴリズムの変更に関しては、業績に与える影響があり得るということで、私たちもリスク情報として開示させていただいています。私たちよりも前に上場された会社さまのなかでも、その影響を受けて業績面で苦労された会社さまも多かっただろうと思います。

私たちにできる対策としては、まさにお話ししたとおり、コンテンツの品質をどこまで上げていけるかがポイントだと思っています。今のプラットフォーマーたちの方向性をしっかり加味しながら進めていきますが、これまでを見ていると、社内での雑感にはなりますが、やはり信憑性の低い情報を発信しているメディアほど、上位表示されなくなってきています。今後も引き続き、専門家の監修に注力していきたいと思っています。

コンテンツの品質に対しては、社内で一番注力しているといってもいいほどで、内部統制のフローもしっかり固めています。専門家にしっかり監修いただくこともそうですが、それ以外にも社内で持つレギュレーションをしっかりと守っていくということを継続していきたいと思っています。

今月も一度、Googleのアップデートがありましたが、今のところ当社の業績に影響は大きくないと考えております。もちろん、1つの記事でアクセス減が発生ということはありますが、業績予想に影響を与えるほどではないと認識しております。

同じ領域、同じジャンルで展開しているメディアさまでアクセスが減ったところがあるのも事実です。ここは引き続き、プラットフォーマーの動きを見つつ、コンテンツの品質をどこまで高めていけるかというところに注力していきたいと思っています。

質疑応答:上半期の減益予想の要因について

質問者2:今期の予想は、上半期は増収ながら減益で、下半期は増収増益で、下半期に偏重したかたちでの増益になっています。上半期、例えばリーガル分野で先行投資があってコストが乗る、または下半期に特別な収益源があって利益が乗るなど、そうしたことがあるのかなと推測するのですが、そのあたりで詳しいことを教えていただければと思います。

丸山:おっしゃっていただいたとおり、上半期は前期に対して減益予想で出しています。しかし、通期で見ると売上高、営業利益、経常利益は増収増益を見込んでおり、当期純利益は減益を見込んでおります。

上半期の減益に関しては、人員への投資が一番大きいです。今期も開示させていただいたのですが、年間で20パーセントほど人員を増やしていまして、今年から新卒採用に踏み切りました。

過去も新卒採用を行っていたのですが、新卒採用の比率をグンと上げようと考えた結果、新卒は4月に入社してきますので、上半期からコストがかかってきます。研修期間を経て事業で活躍していくわけですが、それまでの期間が減益に影響してきているところがあります。

そのほか、微々たる積み重ねというところありますが、一番大きな影響は、そうした人員確保の体制を切り替えたところです。

質疑応答:専門家個人の情報発信と比較した優位性について

質問者3:すごく素人考えで、素朴なところでお聞かせいただきたいのですが、個人の専門家の方が自分で情報発信するというやり方がかなりいろいろあると思います。そこと比較して、御社のコンテンツの優位性みたいなものが、いまひとつピンと来ていません。例えば、専門家の個人の方が情報発信するのと比べて、どのような優位性があるのかを、もう少しお聞かせいただけたらと思います。

丸山:最近は、個人の専門家の方が、ブログを含めて情報発信されていますので、そことの優位性と差別化というところかと思います。

ご質問に対してあまり的確な回答になっていないかもしれないのですが、どちらかというとタッグを組んでいくという考え方が近しいと思っています。やはり専門情報サイトは専門性が大事ですので、専門家の方々が書くと、非常に強い記事になってきます。

当社としては専門性を高めていきたいという考え方があるため、専門家の方々で執筆活動されている方々とは、非常に相性がよく、マッチングできていると思っています。ですので、そうした方々にご協力いただきながら、私たちを1つのプラットフォームとして専門家の方々にも情報発信していただけたらと思っています。

質問者3:ありがとうございます。もう1点だけよろしいですか?

10ページのバーティカルとリアルの話は、大変興味深く聞かせていただきました。バーティカルからリアルに展開する時に、御社がマッチングしている会社さまとの間で、例えば競合といいますか、共食いみたいなかたちになる面があるのかどうか、そのあたりをうまくケアできる部分はあるのかと思ったのですが、その点はいかがでしょうか。

丸山:基本的には進め方次第なところがけっこう多いかなと思っています。ですので、送客先のお客さまとまったく同じサービスを展開する場合は、競合性はもちろん存在してくると思います。競合性があった場合に、もともとの収益に対して影響があるかというところは、しっかりと考えていきたいと思っていますので、一部競合性のあるサービスの展開もあり得ると思います。

一方で、それによって収益体制を崩すほどのことをあえて行うのかというと、そういった方針ではありません。どうすればメディアの送客にプラスアルファで収益を上げていけるかという考え方をしているとご理解いただければと思います。

質疑応答:現在、課題のある領域について

質問者4:6ページ目のスモールバーティカル開発のところで、今一番売上が上がっている領域はキャリア領域だと思うのですが、一番苦手としている領域はどれで、どのようにして伸ばすかを教えてください。

もう1点、ジャンルごとの専門家を外部から呼ぶ場合、どのようにして招いているのかも教えていただければと思います。よろしくお願いします。

丸山:今、収益拡大に向けて課題のある領域がどこかということと、専門家についてですね。

基本的に、全メディア、全サービスで、今のところKPIは順調です。決算発表のタイミングでも、「全KPIが順調」というかたちで情報を出させていただいたのですが、あえて申し上げると、メディカル領域だと思います。

政府や業界団体の方針がどう変わっていくかというところもありますので、ほかの領域に比べると社会的事情が影響してくると思っています。ですので、東京女子医大との共同研究も含めて、この領域の必要性といったところをしっかりと進言していきたいと思っています。

質問者4:まだ開発中というところですね。

丸山:そうですね。収益に対して大きな影響を与えているわけでもなく、逆にいうとコストをたくさん使っているというところでもありません。

2つ目のご質問で、専門家のところですが、よくご質問いただくところです。それが非常にスムーズでして、例えば弁護士の先生であれば、私たちにも顧問弁護士がいますので、そこからのネットワークも含めて、地道な人の繋がりが大きいかなと思います。

一時期、専門家として監修してくださる方はいないかと呼びかけをした時もありましたが、しっかりと人数が集まってきました。実際に今「マネット」に関しては、監修者が50名ほどおります。しかし、監修者の数がボトルネックになっているかというと、そうでもないと思っています。

質問者4:それでは、外部から採用したことによって、売上や利益率が上がっているという認識でいいでしょうか?

丸山:全記事で専門家のチェックを入れており、専門家をつけることによって、記事原価が上がっています。ただし、専門性が高まっているため、SEO上でも、ユーザーからも評価が高い……それは自己認識ですが、そうしたところで収益貢献していると思います。

専門的な知見のある方が記事を書き、ゼロからSEOにも取り組むとなると、そういう専門性以外の部分でご尽力いただかなければいけなくなるため、こうした切り分けをしているのですが、採用ではなく、専門家を外注してマッチングする方向に切り替えて成功したと思っています。

質疑応答:今年度の新卒採用について

質問者5:2点、おうかがいしたいと思います。1点目は、今年度から新卒の方の採用に切り替えられたということですが、何人ぐらい採用されたのでしょうか?

2点目ですが、基本的にユーザーは検索エンジンを使ってこのサイトにたどり着くと思うのですが、どういう検索ワードでたどり着いているのでしょうか? 例えばFXなら、「FX」というワードでサイトに来ているのか、「マネット」というサービス名そのものを検索してきているのかなど、そのあたりをおうかがいできればと思います。

丸山:1つ目の採用のお話からいきますと、25名弱です。新卒採用で全従業員の20パーセントぐらいを増やしていきますが、それによって若いメンバーになってきています。

新卒のジャンルを手がけているということもありますので、新卒採用は非常に親和性が高いわけです。実は創業時からずっと新卒採用を行っています。創業1年目から新卒採用をしてきて、新卒を教育するところにも注力してきたこともあって、それぐらいの数を採用してもよかろうと考えて、自信を持って踏み切ったところです。

2つ目が、どういったキーワードでサイトに訪問してきているのかというお話ですが、基本的には、「FX」といったビッグワード単体ではなく、「FX ◯◯」のような「かけ算」でのキーワードが多いです。

基本的な進め方として、ニッチなキーワードもしっかり取っていくというやり方です。いろいろなキーワードで検索していただいた時に、「このキーワードでも上位に出てくるのか」と言われたこともありましたが、ノウハウサイトですので、できる限りそのジャンルにおいては網羅性を持ってコンテンツ開発していきたいというところで、検索キーワードとして存在し得るものしっかり取っていきたいと思います。