決算トピックス
村井温氏:それでは、ALSOKグループの2019年3月期決算についてご説明いたします。お話しする順番は、第1に2019年3月期の決算概要、第2に2020年3月期の業績計画、そして最後に当社グループの取り組みについてです。
はじめに、2019年3月期の決算概要についてご説明いたします。3ページは、2019年3月期の決算トピックスについてです。
第1に、2019年3月期決算は、売上面では9期連続で増収となり、8期連続で過去最高を更新いたしました。利益面でも、各利益段階で過去最高を更新し、親会社株主に帰属する当期純利益は7期連続で増益となりました。
第2に、各利益段階で利益率が向上し、営業利益率は0.4パーセント、経常利益率は0.3パーセント改善いたしました。
第3に、M&Aによって、訪問医療マッサージ事業を行う株式会社ケアプラス、ビル管理事業等を行う総合管財株式会社、および医療機関向けサービスを行う株式会社ヘルス・サポートの3社を新規に連結子会社といたしました。
売上・損益の状況 【前期比】
4ページは、売上・損益の状況を前期比で示したものです。
(スライドのグラフの)左から順に、売上高は前期比で1.7パーセント増、売上総利益は3.6パーセント増、営業利益は7.2パーセント増、経常利益は6.2パーセント増、親会社株主に帰属する当期純利益は15.1パーセント増となりました。
売上・損益の状況 【計画比】
5ページは、売上・損益の状況を計画比で示したものです。
売上高の達成率は、98.6パーセントとなりました。また、営業利益・経常利益は計画未達成となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は計画を達成いたしました。
業務別売上高の状況【前期比】
6ページは、業務別売上高の状況を前期比で示したものです。
(スライドの表の)上から、セキュリティ事業は1.6パーセント増の3,497億円、綜合管理・防災事業は1.5パーセント増の629億円、介護事業は3.3パーセント増の265億円、その他は8.3パーセント増の42億円となりました。
各業務の詳細につきましては、次ページ以降でご説明いたします。
機械警備業務の状況
7ページからは、機械警備業務の状況についてです。
工事収入および売却収入は減収となったものの、契約収入は堅調に推移し、機械警備業務の売上高は前期比で0.9パーセント増の1,755億円となりました。
機械警備業務の状況【法人向け】
8ページは、法人向け機械警備業務の契約件数の推移についてです。
法人向けの機械警備件数は、標準的なシステムである「ALSOK‐ST」や、画像監視が可能な「ALSOK‐GⅤ」等の受注が堅調に推移し、前期比で2.5パーセント増の52万942件となりました。
機械警備業務の状況【個人向け】
9ページは、個人向け機械警備業務の契約件数の推移についてです。
個人向けの機械警備件数は、「ホームセキュリティ Basic」や「HOME ALSOK Premium」等の受注が堅調に推移し、前期比で3.5パーセント増の42万8,916件となりました。
常駐警備業務の状況
10ページは、常駐警備業務の状況についてです。
長期常駐警備契約では、都心の再開発に伴う大型オフィスビルの建設、メーカーにおける自社警備のアウトソース需要等により、受注が好調に推移しました。その結果、常駐警備業務の売上は、前期比で1.7パーセント増の1,119億円となりました。
警備輸送業務の状況
11ページは、警備輸送業務の状況についてです。
ATMの総合的な管理を行う業務の受注が堅調に推移し、当社が管理するATMの台数は、前期比で4.9パーセント増の約7万1,900台となりました。
また、入(出)金機オンラインシステムにつきましては、「働き方改革」の進展等を背景に販売が好調に推移し、稼働している入(出)金機の総台数は(前期比で)8.4パーセント増の約2万3,000台となりました。
以上の結果、警備輸送業務の売上高は、(前期比で)3.4パーセント増の622億円となりました。
綜合管理・防災事業の状況
12ページは、綜合管理・防災事業の状況についてです。
設備工事部門が工期の遅れ等によって減収となったものの、ビル管理・防災等の契約収入、ならびにAEDや災害備蓄品等の売却収入は堅調に推移し、綜合管理・防災事業全体では前期比で1.5パーセント増の629億円となりました。
なお、AEDの累計販売台数は約17万1,900台と、17万台を超えました。
介護事業の状況
13ページは、介護事業の状況についてです。
生産性の向上や施設稼働率の上昇に取り組んだ結果、入居率および入居者数が増加し、さらに連結子会社化した株式会社ケアプラスの寄与もありまして、売上高は前期比で3.3パーセント増の265億円となりました。
その他の状況
14ページは、その他の状況についてです。
その他セグメントには、情報セキュリティ関連、安否確認サービス、ALSOK電報等が含まれており、売上高は前期比で8.3パーセント増の42億円となりました。
業種別売上高・構成比の状況
15ページは、契約先の業種別の内訳とその構成比をグラフに表したものです。
一番右側のグラフが2019年3月期実績を示しており、下から、事業法人向けは前期比で2.9パーセント伸びて2,712億円、金融機関向けは前期比で0.7パーセント減少して914億円、公共法人向けは前期比で0.8パーセント減少して312億円、個人向けは前期比で1.5パーセント伸びて497億円でした。
損益の分析
16ページは、各費用項目について前期比で示したものです。
売上高が前期比で1.7パーセント増加した中で、売上原価を1.1パーセント増に抑制できたことから、営業利益は7.2パーセント増となりました。
売上原価は前期比で37億円増加しており、この主な要因の1つは、常駐警備業務における売上増加に伴って外注費が増加したことです。また、前期に設置したデータセンターに関わる減価償却費も増加しています。
販売管理費は前期比で16億円増加しましたが、この主な要因は基幹システム開発に伴うシステム委託費が増加したことによるものです。
経常利益の増減要因(前期比)
17ページは、経常利益の増減要因について、わかり易く図解化したものです。
2019年3月期の経常利益の増加要因として、セキュリティ事業等の売上増加・利益率改善等でプラス32億円、介護事業の利益率改善等でプラス1億円となりました。減少要因としては、システム関連費用等でマイナス12億円、営業外損益でマイナス2億円となり、前期比で6.2パーセント増の338億円となりました。
経常利益(率)の推移
18ページは、経常利益と経常利益率の過去5年の推移をグラフにしたものです。
2019年3月期の経常利益は、(前期比で)6.2パーセント増の338億円。経常利益率は前期比で0.3ポイント上昇し、7.6パーセントとなりました。
連結貸借対照表
19ページは、貸借対照表の主な項目を表示しています。
総資産は、前期末比で134億円増加いたしました。流動資産の増加につきましては、(前期末比で)現金及び預金が63億円、警備輸送業務用現金が38億円、受取手形及び売掛金が26億円増加したことが主たる要因です。
当期連結会計年度末の負債総額は、前期末比で22億円減少しました。流動負債につきましては、(前期末比で)未払金が19億円、未払消費税等が7億円増加した一方、短期借入金が21億円減少し、前期とほぼ同じ数字になっています。また、固定負債の減少につきましては、長期借入金が22億円減少したことによるものです。
連結キャッシュ・フローの状況
20ページは、キャッシュ・フローについてです。
営業活動の結果、増加した資金は287億円。投資活動の結果、使用した資金は149億円。財務活動の結果、減少した資金は109億円です。
設備投資および減価償却費
21ページは、設備投資および減価償却費についてです。
2019年3月期の設備投資は、前期に実施したデータセンター新設、ならびにシステム更新等の反動により、前期比で10億円減の158億円となりました。
減価償却費は、前期の設備投資の影響を受け、前期比で9億円増の150億円となりました。
2020年3月期 業績計画
次に、2020年3月期の業績計画についてです。23ページは、2020年3月期の業績計画を、2019年3月期の実績と対比したものです。
売上は(前期比で)4.8パーセント増の4,650億円、営業利益は(前期比で)7.2パーセント増の346億円、経常利益は(前期比で)7.7パーセント増の365億円を計画しています。
2020年3月期 経常利益の増減(計画)
24ページは、2020年3月期の経常利益の増減を、2019年3月期と比較したものです。
2020年3月期の経常利益は、前期比で27億円の増益を見込んでいます。その増減要因として、セキュリティ事業等の売上増加・利益率改善等でプラス40億円、介護事業の利益率改善等でプラス2億円、システム関連費用等でマイナス15億円となり、前期比で7.7パーセント増の365億円を見込んでいます。
配当額の推移
25ページは、配当額についてです。
期末配当は、業績を鑑み、当初予定の1株あたり31円から4円増配し、1株あたり35円といたします。これにより、中間配当を含めた年間配当は1株あたり66円となります。
また、2020年3月期の年間配当予想は、1株あたり69円としていますが、業績の変動により変更することがあります。
Grand Design 2020 基本方針
27ページからは、2018年5月策定の中期経営計画「Grand Design 2020」で設定した、5つの基本方針に基づく各種取り組みについてご説明いたします。
ALSOKグループの取り組み①
28ページは、多様化する顧客ニーズを背景とした、セキュリティ事業等の強化・拡大についてです。
刑法犯認知件数は減少傾向にあるものの、高齢者・女性・子どもを狙った身近な犯罪の増加、さらには自然災害の多発やインフラ老朽化等、社会を取り巻くリスクは多様化しています。
こうしたリスクに対するお客さまの安全ニーズにお応えすべく、ALSOKはさまざまなソリューションの提供に取り組んでいます。これによって、綜合管理・防災事業を含む広義のセキュリティ事業がさらに発展することができると考えています。
今後も引き続き、機械警備を中心として、機器売却・綜合管理・防災業務等の拡大を図ってまいります。
ALSOKグループの取り組み②
29ページは、海外事業における取り組みについてです。
ALSOKでは、国内事業所と海外事業所が連携し、内外一体となった海外事業を展開していますが、現状では日系企業に対する法人向けサービスが中心となっています。
今後は、現地企業や個人にもサービスを提供し、顧客基盤の拡充を図るとともに、提供するサービスにつきましても、従来の常駐警備・機器販売に加えて、機械警備・綜合管理・防災事業を現地のニーズに応じて提供していきます。
ALSOKグループの取り組み③
30ページは、警備モデルの高度化と生産性向上についてです。
ALSOKでは、常駐警備の効率化を実現する新たな警備ロボット「REBORG‐Z」や、人的警備・機械警備のノウハウとICTを融合したスタッフ等連携システムを開発いたしました。これにより、省人化・効率化を推進してまいります。また、画像解析技術を活用した次世代型セキュリティサービス「ALSOK‐G7」も、サービス提供に向けて取り組んでいます。
今後は、AI、5G、画像解析等の先端技術をさらに活用し、多様化・高度化するニーズ、人手不足等を見据え、ビジネスモデルの変革を推進してまいります。
ALSOKグループの取り組み④
31ページは、高齢者市場における事業拡大についてです。
ALSOKでは、高齢者の方々をさまざまな局面で守るべく、セキュリティサービスの拡充を図るとともに、介護事業との連携を強化してまいります。
さらに2019年3月期には、訪問医療マッサージ事業を展開する株式会社ケアプラスを連結子会社化して警備・介護・医療との連携を強化し、保険会社等との協業も拡大しました。
今後も、さらなるサービス体制の充実に向けて、お客さまやそのご家族への安全の提供や、利便性向上に繋がる総合的なサービス展開を目指してまいります。
ALSOKグループの取り組み⑤
32ページは、人財の安定確保と活躍推進についてであります。
5年連続でベースアップを実施、さらに連続5日以上の休暇取得制度の導入、有給休暇とは別にリフレッシュ休日の付与、そして法令を上回る子育て支援制度、月曜日・水曜日のノー残業デーを設定する等の施策に取り組みました。
このような取り組みが、厚生労働省および経済産業省から評価され、「くるみん」「えるぼし」「ホワイト500」等に選定されています。今後も「働き方改革」の取り組みをさらに充実させてまいります。
また、ESGの観点からも、ALSOKの取り組みは外部機関から高く評価され、現在、4つのESGに関するインデックスの構成銘柄に選定されています。
ALSOKグループの取り組み⑥
33ページは、今後の大規模イベントの対応についてです。
今年、我が国では、G20やラグビーワールドカップ2019を含む多数の大規模イベントが予定されており、警備業の実力が問われる重要な1年となります。
そして、来年には東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。当社はオフィシャルパートナー企業として、本番警備に向けて運用体制の強化を推進するとともに、警備共同企業体の共同代表会社として、警備要員の多数拠出と加入各社に対する連携強化を推進してまいります。
私からの説明は、以上で終わります。