2019年3月期決算 ハイライト
宮本昌俊氏:それでは、最初に2019年3月期の決算数値について説明させていただきます。まず、6ページ目が、この2019年3月期の決算ハイライトでございます。
売上収益は3,076億円ということで、前年対比69億円の増収でございました。オートモーティブ(AM)が第4四半期に入りましてかなり苦戦はしましたが、パブリックサービス(PS)分野が非常に好調で増収ということもございまして、全社でも増収というかたちでございます。
これに伴いまして、コア営業利益は86億円ということで、前年対比23億円、約35パーセント増となりました。
その結果、営業利益は73億円となり(前年比)3億円の増、税引前利益が64億円で5億円の増、最終の当期利益は38億円で15億円の増というのが、この2019年3月期の決算の内容でございます。
2019年3月期決算 (四半期別)実績推移
こちらが四半期別の実績推移でございます。この第4四半期、3ヶ月の実績ですけれども、売上収益809億円、コア営業利益23億円でございます。
この第3四半期までは増収増益ということできておりましたけれども、この第4四半期では、前年は837億円の売上収益、39億円のコア営業利益というところから比べますと、減収減益で終わったという内容でございます。
2019年3月期決算 分野別の状況
次に、分野別の状況でございます。まずオートモーティブ分野です。前期、それから第3四半期まで全社の収益を引っ張ってきた事業でございますが、2019年3月期の売上1,695億円、コア営業利益は56億円で、若干ですけれども前年比で売上は減収、コア営業利益は20億円減となっております。内容につきましては、のちほど分野ごとのところで説明したいと思います。
パブリックサービス分野ですが、こちらは年間で709億円の売上で、59億円の増収です。それからコア営業利益につきましても6億円のプラスということで、昨年15億円の赤字でしたけれども、年間で黒字達成で、21億円の利益改善という結果になりました。
一方、メディアサービスでございますが、売上が588億円ということで、前年とほぼ同じでございます。メディア事業等の新商品効果によります原価改善もございまして、コア営業利益は22億円で、大きく改善したということでございます。
オートモーティブは第4四半期に入りまして少し苦戦いたしましたが、パブリックサービス分野、メディアサービス分野の利益改善ということがあり、全社でも増収、コア営業利益では増益という結果に終わったという内容です。
2019年3月期決算 連結売上収益(分野別)
9ページ目は、売上収益の分野別でございますので、先ほどご説明した内容をグラフで表した内容になります。
2019年3月期決算 AM分野 四半期別実績推移
10ページ目以降が、各分野ごとの四半期別の実績推移ということでございます。まずオートモーティブ分野でございますが、この2019年3月期第4四半期の実績は、売上が417億円で、コア営業利益は4億円の赤字で終わりました。前年が472億円で30億円のプラスですので、大きく落としております。この第4四半期で急激に悪化した要因として、(スライドに)いくつか挙げております。
1つは売上の減少でございます。昨年の472億円に対しまして、今期は417億円ということですが、昨年、用品のところでありました売上のところがなくなったこと、それから純正系の一部の売上が減った分で、売りが減りました。
アフターマーケットにつきましても、国内はドライブレコーダーを中心に非常に好調に推移しておりましたが、EMEA(Europe, Middle East and Africa)中心に海外が苦戦したこともございまして、売上が落ちました。この影響が15億円ほどあったと見ております。
もう1つ、サプライヤー供給問題と書いてあります。当社のキーパーツを扱っていたサプライヤーが、昨年末から少し事業内容が悪いということで、結果的には倒産というかたちになり、そのキーパーツが入ってこなかったということです。
そのあと、我々のなかでも非常に対応を急いでおり、なんとか代替部品への変更などをやっておりますが、この第4四半期に関しては、その影響によりまして、売上の減少です、部品がなくなることによる生産の減、新しい部品へ置き換えるための開発費の増というところで、12億円ほど影響が出ていると見ております。
そして、新規受注費用の増加で4億円ほどのマイナスと入れております。これは、用品系で新規の受注を取ろうということで活動しており、受注前にもいろいろ新しい投資もしていかないと、なかなか受注が取れないということで、その活動費が4億円ほど増えております。おかげさまで、4月に入ってから新規受注も確定しましたので、そういった意味では先行投資的な部分だと見ております。
最後に、中国の景気悪化ということです。我々は中国にM&Aで買収した会社がございますが、そちらが暦でいう年明け、1月以降から非常に景気悪化の影響を受けておりまして、中国国内での受注がかなり落ちております。それによりまして、前年から3億円ほど落ちているということです。これらが、前年から大きく落とした内容でございます。
その中でいいますと、売上の減収につきましては、ある程度我々も見込んではいたところがございました。新規受注につきましても、我々が意図的に取りにいったものですので、ある程度読んではいました。
しかし、サプライヤーの供給問題、中国の問題に関していいますと、我々が想定していなかったものですから、この2つについては我々としても少し予想外で、厳しく実績が出たかなと思っております。
とくにサプライヤーのところです。もしこれがなかりせば、というところがございますが、済んだことを言っても仕方がありません。ここの(マイナスの)部分ぐらいは、もう少し利益が出たのではないかなと見ているところではございますが、結果としてはこういうかたちで、オートモーティブは第4四半期はかなり苦しみました。
2019年3月期決算 PS分野 四半期別実績推移
次に、パブリックサービス分野でございます。こちらは第4四半期の実績が、売上収益213億円、コア営業利益は18億円ということで、売上も伸びましたし、利益も相当改善できているということでございます。
おもな要因です。無線システムが昨年、一昨年とだいぶ苦戦しておりましたが、2019年3月期は第2四半期以降かなり改善してきており、第4四半期も引き続きアメリカの関係子会社を含めまして、非常に売上も伸びて利益が出たというところです。
それに加えまして、業務用システムのところでございますが、JVCケンウッド・公共産業システムという会社がありまして、こちらも昨年来非常に苦戦しており、売上がかなり落ちてきました。その中で、この第3四半期でなんとか前年並みをクリアしまして、この第4四半期に入り、前年から2桁以上の伸びが見えてきたということです。
無線システムが引き続き好調だったことに加えまして、業務用システムが回復してきたということで、第4四半期につきましては、売上が昨年の190億円から213億円に、コア営業利益は6億円から18億円ということで、約3倍の利益を稼ぐことができたという内容でございます。
2019年3月期決算 MS分野 四半期別実績推移
次にメディアサービス分野でございます。こちらは、第4四半期の売上は150億円で、コア営業利益は7億円ということで、前年比較でいいますと、売上は13億円ほど減っておりますが、コア営業利益は大きく改善しています。
売上につきましては、エンタテインメントのところで、昨年大型作品がありましたけれども、今年は目立った作品はなかったというところで売上が落ちております。利益については、とくにメディア事業のところで、プロジェクターやプロカメラといった新商品の効果が出たということです。また、原価改善効果等があり、メディアサービス部門につきましては、売上は減収ですが、利益については大きく改善しており、年間でもすべての四半期で黒字と、大きな改善ができているます。これが、メディアサービス分野の中身でございます。
2019年3月期決算 連結売上収益(地域別)
次に、売上収益の対前年を地域別に表したグラフでございます。左側の日本は61億円増ということで、非常に好調に推移しております。全体的にはオートモーティブのアフターマーケットが苦戦しましたが、国内に関しましては、ドライブレコーダー等(の好調)もあり、前年対比で増収で進んでおりますし、用品系、純正系のところも非常に増えております。
また、米州につきましても17億円の増です。こちらは米州の無線システムの子会社が売りが増えているという内容でございます。
一方の欧州でございます。こちらは地域別でいいますと、正直を言うと唯一苦戦した地域かなというところです。おもなものがオートモーティブのアフターマーケットになりまして、かなり市場が落ち込んだ、あるいは単価が下がっているところがありまして、そういった面で、唯一欧州だけが前年から落ちているという内容です。なお、アジア・中国はオートモーティブが中心に増えております。
また「その他」が10億円ほど増えておりますが、こちらはその他事業ということで、保険会社さん向けのドライブレコーダーが非常に好調に推移しているということもございまして、大きく伸びています。
2019年3月期決算 地域別連結売上収益推移
14ページ目は、地域別の連結売上収益でございますので、説明を省かせていただきます。
2019年3月期決算 連結コア営業利益(分野別)
15ページ目は、連結のコア営業利益の分野別です。今まで説明した内容のとおり、オートモーティブが落ち込んだ部分をパブリックサービスとメディアサービスと「その他」で改善しているという内容です。
2019年3月期決算 連結損益(要約)
16ページ目は、コア営業利益より下の損益でございます。コア営業利益は、今まで説明したとおり85.6億円ということで、22.5億円改善しております。これに対しまして、「その他」の収益・費用ですが、2018年3月期は固定資産の売却益等がございましたが、今年はそれがないということと、この3月に減損等も計上しておりますので、それにより「その他の収益・費用」の部分ではマイナス19.3億円と悪化しております。
それを加えましても、経常利益は72.6億円ということで、前年対比3.3億円の増益で、税引前利益につきましても64億円ということで、4.6億円の増益です。それから最終の当期利益につきましては、税金費用の削減などがございまして、38.5億円ということで、前年から14.6億円増えているという内容でございます。
2019年3月期決算 財政状態サマリー
財政状態のサマリーということで、BS項目の内容でございます。(表の)下から2つ目の「親会社の所有者に帰属する持分」、いわゆる自己資本につきましては620億円ということで、前年対比で114億円増えております。このうちの新株予約権行使によります増収分が73億円ありまして、残りの40億円ほどは当期利益が増えた部分で、114億円増えております。その結果、いわゆる自己資本比率は24.7パーセントということで、前年対比で3.6ポイント改善している内容でございます。
2019年3月期決算 キャッシュ・フローサマリー
18ページ目は、キャッシュ・フローのサマリーでございます。まず、営業活動によるキャッシュ・フローでございますが、こちらは210億円のプラスということで、昨年より26億円改善しております。これはおもに、利益の改善から生まれているものでございます。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、258億円の支出ということで、昨年に比べますと109億円増えております。要因ですけれども、このうちの三十数億円につきましては、昨年2018年3月期に固定資産等の売却をしまして、それによるキャッシュインがありました。今年はそれがないということで、支出が三十数億円増えたかたちになっております。
残りの約70億円についてです。そのうちの40億円弱がここにも書いてありますけれども、Rein Medical社の子会社化や、ニュージーランドにありますTait社への出資等を2019年3月期に実行したというところが40億円弱ありまして、残りの30億円ほどが、いわゆる開発に関わる投資でございます。
2019年3月期に新株予約権を発行いたしまして、73億円の資金を得ましたが、このうちの40億~50億円に関しては、すでに投資を実行しているということで、今後の成長へ向けての下地を着々と作っているということでございます。
それから、財務活動によるキャッシュ・フローは、先ほどいいました増資部分の73億円を含めまして、85億円のプラスということで、2019年3月期のキャッシュ・フロー全体では37億円のプラスでした。
2020年3月期 通期業績予想
次に、2020年3月期の業績予想でございます。20ページ目に数字を入れておりますけれども、今回の業績予想は売上収益が3,100億円ということで、前年から24億円増を予想しております。
2019年3月期に好調だったパブリックサービス分野、メディアサービス分野のメディア事業につきましては、引き続き好調ということで増収を見込んでおります。しかし、オートモーティブ分野、メディアサービス分野のエンタテインメントにつきましては減収を見込んでおり、トータルでも若干の増収にとどまるだろうと見込んでおります。
それに伴いまして、営業利益は74億円、税引前利益65億円、最終の当期利益は40億円ということで、ほぼ前年並みか、若干プラスという予想としております。
2020年3月期 通期業績予想(分野別コア営業利益)
業績予想の前提となりますコア営業利益について説明させていただきます。先ほどの業績予想の前提のコア営業利益ですが、2020年3月期のコア営業利益は、一応前期並みを見込んでおります。
ただし、中身は2019年3月期とは変わっております。まずオートモーティブ分野ですが、OEMのところで既存の商品……もともとの想定では2019年度いっぱいというところだったものが、少し早めに終わることが見込まれるということと、先ほど説明いたしました新規受注は4月に確定しましたが、そちらの受注商品は今から開発を始めて、実際に発売が始まるのが2021年3月期の夏以降ということで、ちょうどオートモーティブ分野が2020年3月期は端境期ということで、売上が前年から落ちることが見込まれます。
それに加えまして、中国の市況悪化につきましては、少なくとも今年度上期ぐらいまでは続くだろうと見込んでおります。
また部品供給問題につきましても、すでに代替部品への切り替えは終わっておりますが、それらの部品が入ってくるのが第1四半期半ばぐらいということです。第1四半期、もしくは上期ぐらいまではその影響が続くだろうと思っておりますので、新規受注の開発費負担増を含めまして、オートモーティブ分野は、この2020年3月期はコア営業利益で約10億円強、前年より落ちる想定です。
一方、パブリックサービス分野ですが、こちらは2019年3月期は非常に好調に推移しておりまして、この勢いは2020年3月期も続くだろうと見ております。無線システムは増えてきますし、それに関連して業務用システムも2019年3月期の第4四半期から売上も増えてきておりますので、こちらも2019年3月期に比べまして黒字化できるだろうと見ております。
ヘルスケアに関しましても赤字幅縮小を見込んでおりますので、パブリックサービス分野につきましては、全体としては大幅な増益を見込んでおります。
また、メディアサービス分野についてです。メディア事業は、プロ用のカメラ、プロジェクターなど、昨年12月から今年にかけて出す商品が、年間でフルで効いてきます。そういった意味で増益を見込んでおります。
一方のエンタテインメントは、今年度2020年3月期は大型作品があまりないということもございますし、今後新分野への投資等もありますので、減益を見込んでおりまして、事業全体では若干の減益を見込んでいるということです。
先ほどの業績予想はほぼ前年並みということですが、中身に関していいますと、パブリックサービス分野で大きく伸ばしながら、オートモーティブ分野は減益を見込むというのが、この2020年3月期の業績予想、コア営業利益の状況でございます。