コアバリュー
栗田伸樹氏(以下、栗田):みなさん、こんにちは。社長の栗田でございます。本日は当社2018年3月期決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日は2018年3月期業績説明、および2019年3月期業績見込み、ならびに2020年度までの当社中期経営計画を、上席執行役員CFOの三好とともにご説明申し上げたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
はじめに2018年3月期下期のUKC再生計画の成果について、ご説明申し上げたいと思います。
昨年(2017年)、香港子会社の不適切会計にともない、過年度決算に大きな損失を計上したことで、みなさまにご心配、ご迷惑をお掛けしました。
新体制としてUKCグループの基軸を設定し、同じ過ちを繰り返さない体制構築を、確実なものとすべく実行してまいりました。
同時に健全な企業経営の確立を達成すべく、マネージメントをはじめUKCグループの全社員に対し、コンプライアンス教育を徹底してまいりました。
より具体的には、ここにあげた3つの言葉、「一丸」「誠実」「挑戦」をコアバリューとし、UKCグループの共通価値観として根付くよう、全体会合など、さまざまな機会を通じて、訴えてまいりました。
改革は進行中でございますが、「First 100 days」と銘打った新体制としての振り返りとしましては、UKCグループがチーム一丸となり、法令・規則・行動指針を順守し、お客様に対して誠実であり続けるとともに、現状に満足せず、果敢に挑戦する企業風土が、一人ひとりの胸に芽生え始めたと実感しております。
信頼回復の取り組み
また改革に先立ちまして、第三者委員会からの指摘を真摯に受け止め、旧体制における5つの課題を認識いたしました。
コンプライアンスの意識の希薄さ、リスク管理の視点・意識が不十分、与信管理を含むリスク管理体制の脆弱さ、意思決定のプロセスの不透明さと、取締役会への付議・報告の欠落、管理・監査面における良質な人的資源の配置不足。
これらの課題に対する再発防止策として、企業風土の改革、内部管理体制の強化、取締役会の機能の充実、社外取締役のさらなる活用、取締役・監査役・監査法人との連携強化を掲げました。
ステークホルダーのみなさまからの信頼回復に向け、再発防止策を確実に実行するためのワーキンググループを昨年(2017年)11月に立ち上げ、課題の克服を図ってまいりました。
その進捗を次のページにて、ご説明申し上げます。
信頼回復に向けた施策とレビュー
各ワーキンググループで設定した13の施策の進捗状況は、ここに掲げているとおりでございます。
意思決定の透明化に向け、社長を含む業務執行取締役のモニタリングを強化する、指名・報酬委員会の設置や、グループ経営会議の設置など、すでに実行済みの施策や進行中の施策がございます。
監査当委員会設置会社への移行など、株主総会にて承認予定の施策を含め、すべての施策が実行済み、もしくは実行中という状況になっております。
もちろん、進捗確認がゴールではなく、UKCグループの企業文化として、共通価値観であるコアバリュー「一丸」「誠実」「挑戦」を根付かせ、健全な企業経営の確立に向けて、引き続き邁進してまいります。ここまで2018年3月下期まで行ってきました、新生UKCとしての再生に向けた成果をご説明申し上げました。
ここからは、ファイナンシャルの観点から決算結果を上席執行役員CFOの三好よりご説明させていただきます。
事業セグメント
三好林太郎 氏(以下、三好):みなさま、こんにちは。グループ上席執行役員CFOの三好でございます。昨年下期から経営に参画させていただいておりますが、冒頭社長が申し上げた健全な企業経営の確立を実践すべく、内部統制確立、会計ルールの徹底順守、ならびにリスク案件の早期発見対処に注力してまいりました。
それでは2018年3月期連結決算の概要について説明いたします。
まずUKCグループの事業セグメントです。2018年3月通期の連結売上高の93パーセントを占める半導体および電子部品事業では、ソニー製イメージセンサーを中心として、メモリー・液晶パネル・電子材料など、さまざまな商品を扱っており、EMS事業もこのセグメントに含まれております。
続いて、連結売上高の6パーセントを占める電子機器事業です。放送局・制作プロダクション様向けに放送機器・スタジオなどのシステムを、企業様向けにテレビ会議システムや映像配信システムなどを、半導体や液晶パネル工場向けにはFAカメラなどを販売しております。
最後に、連結売上高の1パーセントを占めるシステム機器事業です。ここは、FeliCa、NFC関連ビジネス、半導体の信頼性試験受託サービスなどを行っています。
2018年3月期 ハイライト
続いて、2018年3月通期、ハイライトです。
売上高は海外スマートフォン向け半導体が好調に推移したこと、および電子機器事業が好調であったことにより、前年同期比10パーセント増、金額で約280億円の増収となりました。
一方、売上総利益は前年比2.4億円、予想比17億円の減少となっております。内訳としては、市場競争の激化で10億円、棚卸資産評価を保守的に徹底したこと等により、7億円、(2017年)7月31日時点の予想値より減少いたしました。
SGAにおいては、昨年度計上した香港・シンガポールの貸倒引当金繰入損が無くなったこと、さらに同じく貸倒引当金の回収が開始されました。一方で若干の新規貸倒引当と内部管理体制強化に向けた経費増が発生しましたが、SGA全体としては、112億円の大幅削減となっております。
営業利益はこれら増収効果とSGA削減の結果、前年同期66億円の営業損失から、43.8億円のプラスの営業利益となり、109.9億円の増益となりました。また、経常利益は39.1億円となり、112.9億円の増益となりました。
親会社株主様に帰属する当期純利益は、前年同期86.9億円の純損失から21.3億円の純利益となり、108.2億円の増益となりました。なお、特別損失として過年度決算訂正関連費用として3.6億円、不採算の太陽光発電付随サービス事業縮小にともなう事業整理損約4.8億円を計上しています。
半導体及び電子部品事業
続いて、セグメントごとの概況です。
まず、半導体及び電子部品事業です。売上高は前年同期の2,556億円から、2,824億円となり、268億円の増収となりました。ソニー半導体は、海外スマートフォン向けイメージセンサーが好調に推移したことで、1,282億円から1,517億円となり235億円の増収となりました。
ソニー製以外の半導体電子部品は、電子材料、メモリー、車載向けの中小型液晶等の売上が伸長し、897億円から938億円となり、41億円の増収になりました。EMS事業は、ベトナム工場におけるスマートフォン向け実装ビジネスは好調であったものの、主力の中国工場においては、スマートフォン向け需要の減速の影響を受け、29億円の減収となりました。
セグメント利益は、増収効果に加え、前年同期の香港・シンガポールにおける貸倒引当金繰入額がなくなったことにより、68.8億円の損失から39.5億円の利益を計上し、黒字に転換いたしました。
電子機器事業
売上高は前年同期の169.9億円から180.9億円となり11億円の増収となりました。業務用電子機器ビジネスは、放送やメディカル分野における大型システム案件、4K関連需要活性化等により増収となりました。
イメージセンシングビジネスは、装置メーカーの設備投資が好調なことにより、FAカメラ等の売上が伸長し、6.3億円の増収となりました。セグメント利益は、前年同期2.5億円の利益から4億円へ1.5億円の増益となりました。
システム機器事業
続いて、システム機器事業です。
売上高は前年同期28.9億円から28.1億円となり、0.8億円の減収となりました。非接触ICカード関連ビジネスでは、引き続き電子マネーの用途広がりは継続するものの、足もとの需要減速により、売上高は前年同期比、微減となりました。しかしながら、非接触クレジットカード対応の新決済端末の開発に成功しており、今後の収益貢献が期待できます。
半導体及び電子部品の信頼性試験・環境物質分析サービスでは、車載向けの引き合いは増加しているものの、九州豪雨の影響もあり、売上高は前年同期比微減となりました。セグメント利益は、利益率は向上したものの、減収により前年同期比微減となりました。
財政状態(バランスシート)
続いて、バランスシートの状況です。
総資産は前年度末の1,164億円から78億円減少し、1,078億円となりました。増減の内訳としましては、現預金の減少19億円。売上債権の減少142億円。棚卸資産の増加18億円。その他流動資産の減少57億円。並びにその他固定資産の増加110億円が挙げられます。
売上債権142億円減少の内、54億円は香港・シンガポールでの長期未回収債権を固定資産に振り替えたもので、実際ビジネス上の売上債権の減少額は88億円です。
その他流動資産は香港の前渡金回収並びに固定資産への振替で57億円減少。売上債権の移管54億円と合わせて、110億円が流動側から固定資産に移動しております。棚卸資産は、一部商品で生産キャパの制約があり、前倒し納入した結果、やや増加しております。負債は前年度末871億円から105億円減少し、766億円となりました。
この主要因は仕入債務の減少130億円で、在庫調整等の影響が出ております。借入金は長短合わせて12億円の増加です。純資産は前年度末の372億円から26億円増加して、398億円となりました。
増減の内訳は当期純利益の増加が21億円。配当9億円及び、その他包括利益累計額の変動額14億円が挙げられます。自己資本比率は前年度末の29.6パーセントから4.2ポイント改善し、33.8パーセントとなりました。
キャッシュ・フロー
最後に、キャッシュ・フローの状況です。営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期の81億円の使用に対して38億円の使用となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加33億円。売上債権の減少74億円。
棚卸資産の増加20億円。仕入債務の減少126億円。前渡金の減少10億円。法人税等の支払額21億円によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは前年同期の11億円の使用に対して2億円の使用となりました。これは主に、有形固定資産の取得5億円と投資有価証券売却5億円。
投資有価証券の取得0.7億円によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは前年同期の63億円の獲得に対して22億円の獲得となりました。これは主に、運転資金のための短期借入金の純増46億円。長期借入金の返済による支出13億円並びに配当金支払9億円によるものです。
2019年3月期 通期連結業績予想
続きまして、2019年3月期通期連結業績予想です。
まず、通期業績予想ハイライトです。売上高はサムスングループへのソニー半導体・電子部品の販売終了及び事業構造健全を企図した一部事業見直しにより814億円の減収となり、年間2,200億円を見込んでおります。しかしながら、営業利益は前年比1.2億円増の45億円を見込んでおります。
これは相対的に低利益率の商品群の割合減による、売上総利益率の改善に加え開発投資によって見込まれるSGAの増加を香港・シンガポールの貸倒引当金回収の着実な実行により、減少へ転じさせることで営業利益の改善を見込んでいるためです。
この結果、経常利益も1億円増収の40億円。当期純利益は前年同期21億円から7億円増益となり28億円を見込んでおります。尚、配当予想は前期より15円増配の1株当たり年間75円を予測しております。
半導体及び電子部品事業
続いて、セグメントごとの概況です。まず、半導体及び電子部品事業です。
当セグメント売上高は、サムスングループ向けのソニー半導体の販売終了により大きく減少し、前年同期の2,824億円から829億円の減収となる1,995億円を見込んでおります。
ソニー半導体は、先ほど説明しましたように、サムスングループ向け半導体販売終了などにより777億円の減収となる見込みです。
その他半導体・電子部品は、電子材料・メモリー・車載向け中小型液晶は引き続き堅調ですが、事業構造健全化を企図した一部事業の見直しにより前年より77億円の減収を見込んでおります。
EMS事業は中国工場の稼働向上やベトナム工場の増強により18億円の増収を見込んでおります。セグメント利益は利益率向上とSGA削減により、大幅減収の影響を緩和でき、前年同期40億円のセグメント利益に対し38億円と見込んでおります。
電子機器事業
続いて、電子機器事業です。
売上高は前年同期の180.9億円から13.1億円の増収となる194億円を見込んでおります。
業務用電子機器ビジネスは4K関連や医療向け等のソリューションビジネスの拡大により15.3億円の増収を見込んでおります。
イメージセンシングビジネスは半導体関連需要が引き続き好調であるものの、一部部品の需要逼迫による仕入先顧客調達難の影響があり、3.2億円の減収を見込んでおります。セグメント利益は増収効果により、1億円の増益を見込んでおります。
システム機器事業
続いて、システム機器事業です。
売上高は、前年同期28.1億円から2.9億円の増収となる31億円を見込んでおります。
非接触ICカード関連ビジネスは、新規開発の電子マネー決済端末の市場導入等により前年同期から2.1億円の増収を見込んでおります。
また、半導体及び電子部品の信頼性試験・環境物質分析サービスは、車載向け需要拡大により前年同期から0.8億円の増益を見込んでおります。
セグメント利益に関しては、開発投資の増加を見込むものの、増収効果により前年同期から0.3億円の増収を見込んでおります。
以上2019年3月期通期業績予想を説明いたしました。続きまして栗田より中期経営計画のご説明をいたします。
企業理念
栗田:引き続きまして再度、栗田でございます。私から中期経営計画をご説明申し上げたいと思います。
昨年(2017年)9月に社長に就任して以降、UKCグループが果たすべき企業理念を掲げました。
UKCグループはエレクトロニクスの分野で、技術とイノベーションにより新たな価値を創造し、社会の発展に貢献します。この企業理念を社内に浸透させ、技術・イノベーションをキーワードに経営を進めてまいりました。中期コーポレート方針は、企業理念・コアバリューを継続的に実践していくために、「社会に貢献する技術商社として飛躍する」と定めました。
当社を取り巻く環境
具体的なお話をさせていただく前に、中期経営計画の前提となる、当社を取り巻く環境について洗い出しました。
市場の成熟化・競争激化、AI・IoT時代の幕開け、取引様の要求の多様化・高度化、経営効率・企業価値改善へのプレッシャー増大。これらの4つの環境変化が挙げられると考えています。
これに対応すべく、我々に求められる変革を、利益を生み出す技術提案力の強化と置き換えました。
事業環境分析 / UKCグループの強み×追い風
同時に我々UKCグループ自身の状況分析を、「強み」と「追い風」という観点で行いました。
まず強みとしては、AI・IoT時代におけるヒット商品の核となるソニー製CISの商圏を持っていること。長年に渡るビジネスの実績、信頼からなる顧客・仕入先との良好な関係を築いていること。車載向け中小型サイズのLCDビジネスの確固たる基盤をもっていること。半導体・部品事業に限定しない幅広い事業携帯をもっていること。AI・IoT関連の提携先との良好なリレーションをもっていること。これらを強みとして認識しております。
また、我々に吹く追い風といたしましては、AI・IoTのさらなる拡大によって質・量ともに半導体市場の拡大が期待されること。通信事業における5Gの導入が見込まれ、新規インフラや端末の市場拡大が期待されること。東京2020に向け映像のキャプチャーや送受信機器の4K・8K多様による市場の拡大が期待されること。キャッシュレス化の進行による非接触電子マネー決済端末の普及による端末ビジネスの拡大が期待されること。インド・ベトナムなどの新興国とポテンシャルの大きい中国市場、欧米など、当社にとっての未開拓市場があること。
我々UKCグループの強みと追い風は、次の3年間に期待されるビジネス拡大の基盤として期待しております。
今まで、お話させていただいた分析に基づき、第2・第3の事業創出を中期経営計画の目標として設定いたしました。
現在の強みであるソニー製CISの活用及び技術をベースにした、システムソリューション提案ビジネスを軸にし、AI・IoTビジネスの投資を積極的に勧めてまいります。
第2・第3の事業創出
AI・IoT関連ビジネスへの投資は、2020年ごろから2022年に向けて第2・第3の事業として開花させ、刈り取ることを目指してまいります。
2021年以降の高収益体質を目指して
今、お話ししたことをまとめますと、2021年度に向け表記のとおり3つのステージで経営を遂行してまいります。
第1ステージとして、2017年度下期に開示した新体制による改革の実行。
第2ステージとして2018年度から2020年度における既存ビジネスの再強化と新規・成長分野への積極投資を行っていこうと考えております。
第3ステージとして、2021年度以降を高収益体質の獲得と投資の開花のステージとして位置づけ・経営を行ってまいりたいと思います。
2020中期重点施策 〜既存事業の再強化〜
2020年度までの中期経営計画における重点施策を、既存領域の再強化と新規・成長分野への積極投資としておりますが、その2つについてご説明申し上げたいと思います。
既存領域では付加価値増につながる事業ポートフォリオの再構築。総合力を発揮し技術に基づくソリューション展開。EMS事業キャパシティ増強。映像機器と制御技術によるシステム提案・アプリ開発。これらを実行することによる利益思考への転換を実現してまいります。
同時に中国・ベトナムの市場深耕とインド・欧米への拠点進出を積極的に検討し、商材と顧客・地域をマトリックスで捉えた市場の開拓を図っていこうと考えております。
2020中期重点施策 〜新規/成⻑分野への積極投資〜
次に、新規・成長領域における重点施策を説明いたします。
CMS(カーモニタリングシステム)やADAS(自動運転)などでフォーカスされております自動車、医療、FA/ロボットといった分野を重点領域と位置づけ、ソニー製CISを軸とした主力商品に当社の技術力を付加したAI・IoTビジネスを始動いたしていく所存でございます。
また、これらの実現に資するM&A・資本提携を模索し、技術力強化による付加価値創造活動を積極的に推進してまいります。
中期数値目標
ご説明してまいりました施策の実行により、中期経営計画としましては持続的な利益創出を第1に、いたずらに売上を追うのではなく経営の質を確保しつつ、2018年度は2,200億円。2019年度は2,400億円。2020年度は2,700億円の売上を目指してまいります。
加えて、持続的な利益創出を実現すべく、売上総利益率は2018年度は6.7パーセント、2019年度では6.9パーセント、2020年度では7パーセントと、過去最高の売上総利益率を達成及び更新することで、売上総利益のV字回復を図ってまいりたいと考えております。
売上高 FY2018 vs. FY2020
中期経営計画の売上ブレイクダウンです。
2018年度から2020年度にかけ、日本地域ではソニー製CISのシェアアップ。電子材料・車載向け中小型液晶の伸長で100億円の売上拡大を見込みます。
海外では中国及び韓国、また新規開拓市場で300億円の増収を見込んでおります。
また、EMSにおいてはベトナム工場の設備投資を含む増強を図り、100億円の増収を見込んでおります。
続きまして、中期経営計画における財務戦略・資本政策について三好よりご説明させていただきます。
目標とする経営指標
三好:それでは、私から3枚ほど財務戦略と資本政策の概要をご説明いたします。
まず最初、UKCグループでは中長期計画で目標とする経営指標としてROEが9パーセントから10パーセント、そのROEを達成するための1つのドライバーとして、売上総利益率7パーセントを掲げ経営にあたってまいります。
財務戦略・資本政策(資本生産性)
より具体的に分解してみます。
財務戦略・資本政策のうち資本生産性です。半導体電子部品ビジネスに代表される商社ビジネスはROWCで改善、EMS事業はROICで改善を図ってROEの向上を図ってまいりたいと思っております。
また、格付けに関しましては、BBB+以上を確保することを目指し、一連のKPIを意識しながら、事業リスクと投資家の期待リターンを考慮して、最適な資本構成を検討してまいります。
ROE9パーセントから10パーセントを実現するために、売上総利益を2018年3月期の5.2パーセントから3月期7パーセントへ改善していくということでございます。
Equity Spreadは2018年3月期はマイナス1.4パーセントでございますが、2021年3月期には2パーセントを目指したいと思っております。
財務戦略・資本政策(資金使途)
次に、資金使途に関してご説明いたします。
先ほどのようなかたちで資本構成並びにリターンが得られますと、簡易ベースでございますけども、3年間で122億円のキャッシュ・フローの獲得を見込んでおります。
まずはEMS事業の増強など、固定資産投資を2018年3月期に7.6億円から2019年・2021年3月期の3年間で40億円投資強化してまいります。
また、配当に関しましては配当性向35パーセントから40パーセントを見込んでおり、これにより3年間で38億円から42億円を見込んでおります。
最後に、成長戦略投資及び運転資金につきまして、M&A・資本提携、ソリューション開発等に対し3年間で40億円から44億円を見込んでおります。
以上、財務戦略・資本政策の概要のご説明をさせていただきました。ここから再び、栗田よりご説明させていただきます。
人的投資
栗田:ここまで、事業の財務面についての中期経営計画をお話しましたが、数値に表れない、いわゆる非財務情報のご説明をさせていただきたいと思います。
これまで掲げた各種の目標や施策をより確実なものにするためには、優秀な人材が必要不可欠であります。
この会社は、とくに商社においてもっとも重要な資産であります人への投資を積極的に進めることで盤石な企業経営の基礎を固めてまいりたいと考えております。
具体的には、人材の強化により、経営管理機能のさらなる強化を図ります。努力や貢献が報われる報酬強化制度を見直します。
また海外各社の人員への教育・ローテーション・現地採用の強化・共通言語の浸透などローカライゼーションを強化して、UKCグループの総合力強化及び地域に根づいた海外販社の活動を実行してまいります。
国内に目を向けましても、高待遇による有望な新入社員・技術系社員など中途入社社員の採用も図ってまいる所存でございます。
ESG(サステナビリティ)の取組み
同時にESGの取組みも強化してまいります。
Environment、環境活動関連では、新興国における環境事業の取り組みやグリーン電力証書購入・ペーパレス化の推進など環境教育・啓発活動に取り組んでまいります。
Social、社会活動関連では、マダガズカル支援プロジェクトへの参画や、いわゆるNPS活動の強化による顧客満足度の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
Governance活動関連では、監査等委員会設置会社への移行など、経営の透明性・健全性の確保やグループコンプライアンス体制の強化、リスクマネジメントの徹底などに取り組むことで、過去からの学びを活かした健全な企業経営の確率に努めてまいります。
広報活動の強化
採用活動・認知度のアップのため、技術的なストーリーを盛り込んだ公式ホームページの刷新や、日本経済新聞全面広告の掲載、本社最寄り駅であるJR大崎駅での構内広告の掲載なども継続してまいります。
株主還元
コミットメント
最後に、我々UKCグループのコミットメントとして、過去からの学びを生かして強靭なガバナンス体制のもとスピーディーな経営を行い、技術商社として企業価値向上に邁進していく所存でございます。
以上、ご清聴ありがとうございました。