平成30年9月期第2四半期 決算ハイライト
堀田 哲平氏(以下、堀田):お願いします。本日は、お忙しい中集まりいただきまして、ありがとうございます。それでは、当社の決算説明会とさせていただきます。よろしくお願いします。
まず最初に、当初出していた計画に対して、下方修正をし、みなさまにご迷惑おかけしましたことをお詫び申し上げます。
それでは、決算概要の説明をさせていただきます。売上高などについてです。
第2四半期はプラントサービスの受注があったのが、1つの大きなポイントになります。
当社では研究開発、受託加工、プラントサービスと、3つの柱で行っているのですが、その中でも受託加工の部分が収益の8割を占めております。
その受託加工は、顧客から材料を支給されて加工してお返しするという内容になりますが、そのときに材料を顧客から購入するものと購入しないものがあります。顧客から購入した材料費分を除いた純粋な加工賃は、前期に比べますと4.9パーセントの(売上高の)伸びがありました。
そして、一部案件につきまして、顧客の在庫調整等により期ズレにより、前期に比べて(全体の売上高は)18.6パーセントの減少となります。
平成30年9月期第2四半期 損益計算書
営業利益に関しては、販管費等の一時的な増加により、営業利益は減少しておりますが、売上総利益は前年同期と同水準でありまして、今期は1株当たり約100円の利益になる予定です。
配当につきましては、35円を予定しており、配当性向は35パーセント程度の予定になっております。
平成30年9月期第2四半期 貸借対照表
賃借対照表です。
昨年(2017年)10月の公募増資により、現預金が増えました。そのため、将来に向けての投資を十二分に行える状況になっております。当社は現在無借金で経営しておりますので、さらに借り入れ等も行えば、将来に向けての設備投資等も十分行える状況にあります。
平成30年9月期第2四半期 キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フローの部分です。
営業キャッシュ・フローが一時的にマイナスになっておりますのは、3月の売上高が高水準であったため、3月末の売掛金が増加したことによる影響です。
研究開発支援
当社の事業は、先ほど申し上げましたように、大きく3つの分野に分かれて行っております。
1つ目は、研究開発。これは、当社のメインのサービスであります精密蒸留の精製技術を顧客とともに研究する研究開発の分野です。
2つ目は、顧客から材料を預かって加工を行う受託加工です。
3つ目は、顧客が大量生産を行うにあたっての技術供与をしたり、設備を提供したりするプラントサービスという3つの分野で行っています。
1つ目の柱であります研究開発支援は順調に伸びを見せております。
今回、予測値が少し減ってるようになっていますが、大口新規開発案件が来期にズレ込むということが決まりまして、それによって、下期は少し減っています。これは、来期以降に受注できる予定になっておりますので、順調に伸びていくというところです。
研究開発支援は、売上につながっていない案件も多数ありますが、毎年10パーセント程度ずつ、案件が増えていっております。
受託加工
受託加工です。
研究開発で培われた内容がいよいよ顧客にとっての生産に結びついていく段階です。少量生産・中規模生産の段階では、顧客が自社で生産を行うと採算が合わないという場合もありますので、当社が顧客に成り代わって加工を行います。顧客にとっては、委託加工。我々にとっては、受託加工と呼んでいる部分になります。
こちらは、大阪油化工業における収益の柱となっている部分です。上期で(売上高が)3億3,400万円とだいぶ減っておりますが、期ズレが起こったことによるもののため、下期では5億7,500万円となります。
受託加工トータルで見ますと、順調に伸びていっております。こちらも、来期に向けても、今年、今期と同水準以上のところは期待できると考えております。
プラントサービス
新しい当社の事業の柱のプラントサービスです。
研究開発でスタートした案件を、お客様がいよいよ大量生産を行うという段階になります。
これまでであれば自社ですべて内製化して行われていた部分ですが、内製化をするにあたっては、自社でプラントを購入し、建設する必要がありました。プラントメーカーから顧客が買われていた部分ですが、それを大阪油化工業が顧客に代わって提供していくというサービスを行うようになりました。
少量生産・中規模生産を行っていた延長でのサービスという位置づけをしておりまして、これが新しい事業の今後の柱になっていきます。
こちらは、上期に受注がありまして、下期においては、まだ確定していない内容になりますので、ここは(売上予想値を)0としております。
こちらのプラントサービスは、現在の売上自体は非常に少ないものではありますが、今行っている研究案件やパイロット生産、小規模・中規模生産で行っている受託案件が大規模に結びついていった場合、プラントサービスの分野に寄与してくることとなります。
5年、10年といった単位で見ると、大阪油化工業の事業の柱となっていく予定の部分です。
売上高推移
それでは、売上高の推移です。
(スライドの)表に見えている売上と、もう1つ大事なポイントがあります。
(スライド5でお伝えしたように)材料を購入して、加工賃、研究開発費に材料費をのせている部分があります。(棒グラフの)上の黒く塗っている部分です。これを有償支給分と呼んでいます。
研究開発費、加工賃ベースで見ますと、下に出ている数字(グラフの土台の部分)が、当社の実際の加工賃ベース収益になっている部分です。こちらの部分がどれだけ伸びていってるかということが、大事な部分になります。前期でいきますと、4億4,600万円、(下期が)5億3,4000万円で、合わせますと9億8,000万円です。今期の予定は、(上期)4億6,800万円と(下期)5億3,900万円、合わせますと10億700万円になります。
それで見ますと、前期から材料費を除いた部分においては、約3パーセントの上昇となります。一部大口の案件が来期にずれ込んだ部分もありましたので、今期は前期に比べて約3パーセントの伸びとなります。保守的にみて公表しておりますので、この数字は十分に達成されるものだと考えております。
通期業績予想
通期での業績予想です。
売上高は、前期に比べて約0.6パーセントの増加です。売上高自体はそう大きく変わってはいないように見えますが、実際の加工賃ベース・研究費ベースですと、真水の部分(材料費部分を除いた純粋な加工賃の部分)は約3パーセント伸びていると見てください。
通期においては、上場関連費用や人材採用費用といった、一時的な販管費の増加の影響も大きかったので、営業利益は減少となります。こちらは、来期・再来期以降、順調に伸びていきまして、将来的にはこの収益の利益構造はどんどん向上していくものとなります。
直近の展示会出展実績と出展予定
今までは決算の概要でしたが、続いて、投資の進捗をご報告させていただきたいと思います。
昨年(2017年)の10月にIPOをして、そこで調達した資金を、どのように事業活動に反映させているかということです。
まず、新規の顧客開拓を重点的に行うようにしております。
これまで当社、大阪油化工業は、ケミカルメーカーからの受託がかなりの部分を占めておりましたが、今はさまざまな業界・幅広い分野にまたがってきているのが特徴になります。例えば、いわゆる機能化学・ファインケミカル・高機能材料と呼ばれる分野などです。扱っている会社も、化学メーカーだけではなく、鉄鋼も繊維も、最近新しいところでは食品業界や、医薬分野も伸びを見せてきております。
見本市・展示会を1つの営業の柱として行っているのが特徴です。
この「ICSE」は、医薬メーカー・医薬品に関連する展示会でありまして、45社の来社がありました。「ケミカルマテリアル Japan」はファインケミカルを専門としている会社ばかりが集まる展示会・見本市で、64社の来社がありました。
このうち、実際に仕事に結びついている内容はだいたい10件に1件といった割合です。だいたい10件に1件ぐらいが、次の研究テーマの結びつきになっていったりします。1回の展示会を行うごとに、だいたい5社ぐらい新規案件を獲得できていることになります。
これは、すぐに収益に結びつく部分ではなく、まず研究段階からスタートしますので、この見本市・展示会でお声がけいただいた会社の内容が実際の収益に結びついていくには、約3年から5年ぐらいの期間が必要となります。まずは研究段階で、顧客とともに我々のメインサービスであります精密蒸留のレシピをお作りして、それを使っていただく。そして小規模生産・中規模生産に結びつくのが3年から5年後ですので、将来への種まきということになります。
また、(2018年)6月には「インファーマ ジャパン」という、全部で2,000社ぐらいが集まる医薬品を中心とした大きな展示会があります。そして「日本プロセス化学会」という学会を中心とした展示会(にも出展予定です)。
このように、国内を中心に展示会を行っております。主に3年後を考えているのですが、将来的には、外国の展示会にも出して、外国の案件も受注していくのを1つ目標にしております。なぜ今すぐやっていないのかというところなんですが、現段階においては、研究開発にそこまでお金をかけている近隣諸国はあまりない状況があります。大量生産品は作っておられたり、すぐに売れるものでの研究は盛んに行われているのですが、基礎研究という部分にはそこまでお金をまだかけておられません。ただ、将来、5年後・10年後では状況がまた変わってまいりましょうから、3年後ぐらいを目標に、当社では外国の展示会にも出していこうかと考えています。
例えば、2021年6月に開催予定の、ドイツ・フランクフルトで開催される「ACHEMA」という展示会や、2021年10月の開催予定になっています「CPhI Worldwide」といった展示会、どちらも3,000社ぐらい集まる大きな展示会ですが、こちらに出展しようと考えております。
展示会以外の営業活動としては、インターネットの技術者・研究者の方が専用で確認されるサイト「イプロス」というサイトを使った営業活動などを中心として行っています。当社では飛び込み営業などはしないので、全体に占める営業の人員の割合は非常に抑えて事業運営ができているのも特徴になります。
投資の進捗①(生産設備)
投資の進捗です。
具体的な設備投資でどのようなことを行ったかということをご説明したいと思います。
大きく3つです。
熱媒ボイラー更新や、ドライポンプを増設したり、蒸留設備の移設を行いました。
何を中心に行っているかと言いますと、2通りです。新規の装置を作ることと、今すでにある装置の改修を行うことをやっています。
現在、生産用の設備を20機、大阪油化工業は保有しています。小さいものは100リッター、大きいものは1万リッターの容積のものまで、全部で20機あります。一番古いものになると、30年前の装置になってきます。この20機ある装置を順次改修して、現在の水準に合うように、どんどん性能を高めていっています。30年前の装置でも、現在の仕事をまったく遜色なく行えるようにするための近代化改修を行っているということです。これを3年かけてほぼ終わらせていこうというのが計画になっています。3年後、20機それぞれの生産装置の能力が上がりますので、生産力は約15パーセントの向上を見込んでいます。
そして、新規の設備を今、建設計画を立てて増設しています。3機から5機の増設を、今後3年にかけて行っていく予定になります。こちらでも全体としての生産力が15パーセント上がる予定になっています。
合わせますと、既存の設備20機の改修、そして、そこに加わる3機から5機の設備で、3年かけて約30パーセントの生産力の向上を見込んでいます。
投資の進捗②(その他設備)
設備投資の部分について、さきほどは生産装置の話を中心に聞いていただきましたが、他にも重要なことがあります。
昨今、研究開発の案件から受けていくことが、当社の仕事の流れになってきています。研究開発段階から受けるにあたって、重要なポイントは3つあります。
まず、安全管理・品質管理・環境対策です。この3つをしっかりと担保した上でないと、将来の大きな仕事には結びつかないと考えております。化学薬品の管理体制であったり、高度な分析体制であったり、環境に配慮しているかといった、そういった側面が大事になってきます。
例えば、化学薬品の保存環境といったところでは、これまで屋外に保管していたものをすべて屋内に保管するようにしました。今、大阪油化工業内にある化学薬品は、屋外での保管は一切行わっていません。すべて材料・製品、屋内の貯蔵所に保管する体制を組んでいます。
そして、GC-MSは材料をガス化したときに、そのガスの内容を測定する装置ですが、研究開発段階で顧客に代わって高度な分析を大阪油化工業で行うことを、1つのサービス内容に付け加えることができました。
そして、デジタルマノメーターの導入です。マノメーターというのは、水銀柱のことでありまして、圧力計です。過去は圧力を水銀柱で測っていたものを、環境対応ということで、水銀を使わないデジタルの真空計を使う、マノメーターに切り替えています。年々、研究開発費、研究開発型の案件が増加していますので、それに向けての対応を今から着実に行っているのが特徴です。
この研究開発型の案件は、すべて売上が立つものばかりではありません。無償で行っているものもあれば、共同研究で、むしろ費用がかかっているものも多数あります。開発型の案件が将来の小規模生産・中規模生産に結びついて、受託加工の仕事に結びつきます。そして、最終的には顧客がプラントを作って、大規模生産を行うにあたってのプラントサービスの礎となる部分です。こちらが今、毎年約10パーセントの成長が見込まれている部分になります。それに向けて、今から将来の準備を着々と進めている部分です。
ちなみにこの研究開発分野において、当社の保有している設備は15機あります。これを3年後に向けて、15機の設備を20機から25機に増やしていくのが、次の投資の計画となっています。
投資の進捗③(技術者増員)
今まで設備の話を中心に聞いてもらいましたが、もう1つ大事なこととして、技術者・研究者の増員も挙げられます。
研究開発部門は、昨年(2017年)の10月、IPOをした時点では6名の体制でしたが、8名まで増員を行いました。これを来年またさらに2名、再来年また2名と増やしてまいりまして、今後、倍の人員構成に持っていくのが計画になっています。
受託加工は、昨年の10月、20名だったところが、今は23名まで増えています。設備を増強し、将来的には生産能力も3割アップさせていきますと聞いていただいたとおり、それに合わせて人員も増加させて、設備増強と人員の増強、同時並行で行っていくのが計画となります。
会社概要
参考資料です。現在、従業員の数39名という部分ですが、生産部門・管理部門を含めまして、毎年約15パーセントの増強が将来的な計画となっています。約5年で倍くらいの成長を見込んでいます。
事業系統図
繰り返しになりますが、当社の事業は、研究開発支援、受託加工、ブランドサービスの3本柱で行っております。
今積極的に増強しているのが、研究開発の段階の部分と受託加工の部分ですが、将来的に大きく飛躍をしていくのがプラントサービスです。
これまでは大阪油化工業にとって、顧客企業において自社で大量生産を行う段階は、収益とは無縁の部分になっておりました。しかし顧客に生産技術を提供したり、生産プラントを提供したりすることによって、顧客がこれまで内製化していた部分に食い込み、研究開発型の内容から、さらに顧客の大量生産の分野にまで関わっていき、収益を伸ばしていくという計画になります。
実際にアメリカやヨーロッパにも、大阪油化工業のような精製技術を持った会社があります。そういった会社が何で収益をあげているかと言いますと、このプラントサービスの分野となっています。このプラントサービスはプラントを売った時点だけでなく、そのあとの更新の費用やメンテナンス費用といったところも、非常に大きな収益の柱になります。したがって、5年後、10年後といった単位で育てていく事業となります。
事業の流れ
事業の流れです。
先ほど口頭で説明していた部分ですが、図で見ていただきたいと思います。
すべての起点は研究開発から始まりまして、その研究開発された内容ごとに、受託加工、そして大規模生産のプラントサービスと移っていくわけですが、研究開発だけであれば大学等の研究機関が強かったりします。受託加工、OEMで生産をしてくれる会社というのも世の中には多数存在しております。そして設計図があればプラントを作ってくれるエンジニアリング会社というものもあるわけですが、3つともトータルで行っているということが特徴になります。
この受託加工だけ、プラントサービスだけということであれば、次のスケールアップの段階になかなか結びついていきにくかったり、スピード感を持った仕事がしにくかったりするという部分があります。スピード感がなぜ大事かと言いますと、研究段階において特許を取得した企業の特許の有効期限は20年間です。医薬品においては25年間と定められておりますので、その有効期限をいかに上手に活用できるかどうかがカギとなります。したがって特許取得後は素早く研究段階を終わらせて、小規模、中規模生産をスムーズに行い、大規模生産への道筋をつけいくのが顧客が望む展開となります。
その分野において、精密蒸留において研究段階から顧客に生産技術を提供するというところまで、トータルでサービスを行えるというのが、日本においては当社だけのサービスとなっております。
新規参入をほかにもしてくる可能性はあるのかということですが、実はなかなか難しいところです。研究段階から行って受託加工に結びつくには3年から5年。それがいよいよプラントサービスに結びついていくには5年から10年という歳月を要します。1つの時間軸を非常に長いところで見ていかねばならず、同時に、研究開発を顧客とともに行うには、実績がなければ誰も依頼をしてこないということがあります。
大阪油化工業は70年間の社業におきまして、約3,000件のテーマを行ってきたという実績があります。この3,000件の実績、こちらに支えられて新しい案件の受注をしているということが言えます。ですので新規に参入して価格を安くしたからできるものではありません。長年の実績があって初めて次の受注に結びついていくということがありますので、この研究に始まって受託加工、プラントサービスといった一気通貫の流れは一朝一夕に真似できるものではない、ということが大阪油化工業のビジネスの特徴になっている部分です。
それでは、簡単ではありますが当社の決算説明とさせていただきます。
「理論上は」で、終わらせないということで、今まで研究テーマで終わっていたものを世の中へ実際のサービスとして結び付けていくということが、我々、大阪油化工業の使命だと考えています。この事業の幅をどんどん広げて行きたいというのが今後の目標になっていきます。
ありがとうございます。