平成29年9月期決算説明会
堀田哲平氏:みなさま、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。大阪油化工業の堀田と申します。
本日の決算説明ですが、3部構成で行いたいと思います。まず、我々の業界の説明。そして、今回の決算の数字の内容です。そして、最後に質疑応答ということで、説明会を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
1.当社について―はじめに
それでは、資料の5ページ。
大阪油化工業は、どのような事業を行っているかというところです。大きく、3つの分野に分かれております。研究開発・受託生産・プラントサービスというところで、事業を行っている会社です。それでは、具体的に何の事業を行っているかというところにまいります。
1.当社について―事業概要(1)
次に、6ページをお願いします。
私ども大阪油化工業の行っている事業は、「精密蒸留」と呼ばれるものです。「精密蒸留とは何か?」というところです。化学薬品を高純度に精製する技術は30通りぐらいあるのですが、その中でもとくによく使われているのが、蒸留と呼ばれる技術になります。
蒸留というのは、ものの沸騰する温度の違いを利用して、必要な成分を回収したり、不必要なものを除去したりする技術となります。
この沸騰する温度の違いを利用するときに、温度・圧力・時間。この3つを微細にコントロールすることを、精密蒸留と呼んでおりまして、この精密蒸留分野における専門。これが、大阪油化工業となります。(蒸留のうち)精密になるのはどこの部分か、というところをもう1度繰り返しますと、温度・圧力・時間というところになります。
1.当社について―事業概要(2)
それでは、7ページに移ってください。
この精密蒸留の専門集団である大阪油化工業なのですが、大きく事業領域は3つに分かれています。「研究開発支援」「受託加工」「プラントサービス」と呼ばれる部分です。
まず、研究開発支援です。何をするかと言いますと、この世の中には、毎年数万種類の化学物質が生み出されております。その新しく生み出された物質を、いかに高純度にするかというレシピを作る段階。これが、研究開発支援となります。顧客企業とともに、研究をする段階です。
この研究開発支援でできたレシピを、次の段階へ。少量生産・中規模生産と移ってまいります。顧客企業において小・中規模生産を行うというのは、経済的に見合わないという部分がありますので、我々のような専門家が受託で製造を行います。顧客においては、委託となる部分です。小・中規模生産は、受託加工と呼ばれるセグメントになります。
そして、次です。いよいよ大量生産に移っていった場合、顧客企業においては内製化を図っていくということになります。内製化を図った段階で、我々大阪油化工業から顧客に対し、生産技術を提供したり、生産プラントそのものを設計したり、生産プラントを納品したりということになります。
このように、研究段階に始まり、大規模生産まで一気通貫で精密蒸留分野でサービスを提供できるというのは、国内では我々大阪油化工業のみのサービスとなります。
1.当社について―事業概要(3)
それでは、8ページをお願いします。
この(研究開発支援・受託加工・プラントサービスの)3つの分野なのですが、それぞれをバラバラに行うことも可能です。研究開発支援であれば大学、受託加工であればOEMで生産する会社も、多数あります。そして、設計図を渡せばプラントを作ってくれるという会社も多数存在するわけですが、(当社が)3つとも統合的に行うというところは、非常に重要なポイントになります。
「なぜか?」というところですが、新しく開発された化学物質は、特許により20年間、権利が保護されます。権利が保護されている20年間で、いかに小規模・中規模生産をクリアして、大規模生産に持っていって収益を上げるかが、重要なポイントになります。
この20年間という時間をいかに有効利用するかが、収益を最大化させるために必要なところになってきますので、研究開発から小規模・中規模生産、大規模生産にいたるまでの期間をスムーズにすることが、それぞれの顧客企業において非常に重要なポイントとなります。
その場合、我々のような専門の会社と共同で事業を行うことで、時間をお金で買っていただくということになります。そのため、付加価値の高い商品であればあるほど、我々のような専門家の力を使っていただくことが増えております。とくにここ5年、そのような流れが顕著になってきております。
1.当社について―事業概要(4)
それでは、次のページをお願いします。
顧客企業において、何を求めておられるかというところです。新しい化学物質には、これまでになかった機能を付け、環境にさらに対応していくことが求められております。
残念ながら、今のところ「完璧な物質」というのは存在しないので、常にイノベーションが求められる分野となります。これからもさらにイノベーションは続きますから、我々の出番も続いていくということになります。
1.当社について―事業環境(1)
それでは、次のページをお願いします。
今後の事業環境ですが、世界的な波(産業構造の進化)がきています。コンピュータの発展により、分析装置の性能が上がったことで、これまで可視化できなかった化学の細かな世界(を見分けることができる)。今は、1億分の1の精度で、不純物の有効性を見分けることができる時代となってきました。そのため世界的に、より高性能なものを求められるようになってきたという背景があります。
そして、国内(の製造環境の変化)です。各事業領域において、得意分野の選択と集中が図られるようになってきている結果、各企業における研究は、スピード感を求めつつも、さらに高度な内容を試行するという傾向にありますので、我々の出番は非常に増えてきていると言えます。
1.当社について―事業環境(2)
それでは、次のページです。
世界的に伸びているこの分野は、「機能化学品」「ファインケミカル」「先端化学」と呼ばれるところに属しており、世界的な成長率は約4パーセントと言われております。
これは、世界のGDPの伸びよりも良い数字というところで、今後もその傾向は続いていくと。世界の人口が増え、生活水準が上がる限り、この機能化学品の領域は、さらに広がりを見せるという研究がされております。
1.当社について―事業環境(3)
それでは、次のページです。
(分離精製関連の)世界的な事業規模はどれぐらいあるかというところです。世界的には、(機能性化学品業界は)5,000億ドルの市場。日本はその約1割(500億ドル)が市場となっていますので、5兆5,000億円が国内のマーケットとして成立しています。
その中でも、大阪油化工業にとくに関係の深い分野が、研究開発分野となります。研究開発に投下されている資金としては、約2,000億円程度というところがターゲットになってきます。
これまでは、この2,000億円の研究開発を、ほぼ自社で内製化して行っている会社が多かったのです。しかし、先ほどご説明しましたように、昨今は世界的な情勢の変化・国内の変化を受けまして、社外の(研究開発)専門の会社とタイアップして、事業を進めていくということが増えてきました。
そのため今後は、この2,000億円の研究開発分野が伸びていくところにおきましては、さらに専門集団との協業が増えていくと考えられます。
以上が、この業界を取り巻く説明となります。
2.平成29年9月期の状況―決算概要(1)
次から、平成29年9月期の状況の説明に移っていきたいと思います。平成29年9月期の業績なのですが、売上高が11億3,700万円に対しまして、営業利益が2億2,000万円というところです。
2.平成29年9月期の状況―決算概要(2)
次のページにまいります。
前期と比べてどうかというところについて、ご説明します。前期と比べて、約1割程度増えているというところになります。
とくに注目していただきたい部分なのですが、売上に対しての営業利益が、約20パーセントぐらいになっています。ここ3年から5年ぐらいは、売上に対しての営業利益が約20パーセント程度で推移するということが、当社の考えているところになります。
理由としては、今は非常に受注が伸びている状況がありますので、設備投資等も積極的に行っていきます。だいたい、売上に対して営業利益が2割ぐらいといったところが、1つの基準になってくると考えています。
「将来的にはどこまで伸びていくのか?」というところですが、欧米の先端化学・機能化学を施行している会社の、売上に対しての営業利益は、約30パーセントといったところもざらにありますので。
将来的に(当社も)設備投資が一巡して、安定した成長軌道に乗ってくれば、売上に対しての営業利益が約30パーセントになるということが、10年後ぐらいに見えてくる世界ではないかと考えています。
2.平成29年9月期の状況―売上区分別業績(1)
それでは、各分野ごとに、どのように売上が伸びているかの説明に移りたいと思います。(先ほど)事業領域は3つあると申し上げました。研究開発支援・受託加工・プラントサービスですが、まず研究開発支援の分野のご説明です。(事業の流れの)すべての始まりはここからになりますので、ここが伸びるか伸びないかが、今後の成長を占える部分となってきます。
(資料の棒グラフを指して)このように平成27年・28年・29年と、順調に研究開発支援の領域において、数字が伸びているのが見ていただけるかと思います。
今実際に、どのような分野からの研究依頼が増えているかと言いますと、医薬分野・生物分野・食品分野といったところです。これまでのケミカルだけではなく、バイオが関わるような分野が、研究開発で伸びを見せています。
そのため、この研究開発でなされた分野が5年後・10年後収益の柱へと成長してくるところとなりますので、5年後・10年後の成長の種を、今作っているということが言えます。
2.平成29年9月期の状況―売上区分別業績(2)
それでは、次のページをお願いします。
(先ほどご説明したように)受託加工は、研究開発が済みまして、小規模・中規模生産に、各企業が移っていっていると言える部分です。自社での生産ではなくて、専門家である我々が、お客さまに変わって生産している部分となります。
(資料の棒グラフを指して)このように、(平成27年から平成29年にかけて)売上はほぼ横ばいというところなのですが、少し見方を変えますと、材料を顧客から購入して、そして加工賃を乗せて販売している部分が、今どんどん減ってきています。
どのようなことかと言いますと、今は顧客から材料を無償で支給されて、純粋に研究費を乗せて、純粋に加工費だけをいただくというビジネスが、ほぼ9割になってきています。
2.平成29年9月期の状況―売上区分別業績(4)
(プラントサービスのご説明の前に、総売上推移についてお話ししますが)売上は、このように段階的に伸びているうちの、灰色で書いているところ。平成27年でしたら1億9,100万円、平成28年でしたら8,700万円と書いている部分。ここは、顧客から材料を購入して行っている部分になりますので、実際に研究費・加工賃の部分の推移としては、(平成27年が)8億5,800万円、(平成28年が)9億5,600万円、(平成29年が)10億2,300万円となります。
このように、段階的に毎年7、8パーセント伸びていると言うことができます。そのため、先ほどの資料(スライドの11ページ)で、「世界的な機能性化学品の分野は約4パーセントの成長をしています」と申し上げましたが、当社の成長は世界の成長に対して、約倍ぐらいのスピードで伸びていると言うことができます。
2.平成29年9月期の状況―売上区分別業績(3)
それでは、次のプラントサービスというところです。これは、平成27年から新しく始まったサービスで、顧客に対して生産技術を提供したり、生産プラントを提供したりするというサービスになります。
ここは、売上こそあまりまだ伸びていないのですが、今後5年・10年といった単位で、いちばん伸びが期待できる部分となります。
「なぜ今後伸びていくか?」というところですが、今研究開発をしている分野と、小規模・中規模で進んでいる(受託加工の)分野。こちらが、顧客企業において本格生産に入り大規模になってきた段階で、自社での内製化を進めていくことになりますので、今後はこのプラントサービスが、当社の収益の大きな柱として育っていくことになります。
去年(平成28年)で5件、新しい案件がありました。今後はこの案件の母数がどんどん増えていけば、プラントサービスといったところでは、プラントの販売した段階で利益を上げるだけではなく、メンテナンス費用等での収益が期待できます。
そのため、販売してすぐのところで儲けるよりも、末永く使っていただくことで、ベースの収益になっていくと言うことができます。
2.平成29年9月期の状況―主な展示会出展実績
大阪油化工業がどのように営業展開を行っているかですが、大きく3つに分かれます。
1つ目は、展示会・見本市と呼ばれるところ。ここに積極的に展開することで、その分野に興味をお持ちの会社へ、そこに足を運んでいただいたところでアピールする方法です。実際に、東京のビッグサイト等で出展をすることで、顧客獲得につなげている部分があります。
2つ目は、インターネットの分野です。イプロス等に代表される、インターネットでの宣伝広告等を行っています。
3つ目は、これがまた重要なのですが、学会等での、実際の研究者の方による紹介です。主にこのようなところで、営業活動を行っています。
これらの、3つの分野です。展示会・見本市と呼ばれるところでの出展。デジタル領域での、インターネットによる専門サイトでの集客。学会等での、実際に研究者同士の紹介。
これらによって、顧客を拡大していっています。そのため、営業で莫大なお金をかけなくても顧客が増えるところが、当社の事業の強みの1つであるとも言えます。
3.今後について―今後の計画(1)
それでは、今後の計画のご説明に移っていきたいと思います。今年(平成29年)の10月5日にIPOをして、資金を獲得できました。この獲得した資金を、今後どのように割り振って成長につなげていくかのお話を、少し聞いていただければと思います。
3.今後について―今後の計画(2)
次のページをお願いします。お金の使い道の1つ目は、既存設備の性能をさらに上げることで、受けることのできる案件の幅を広げていくことです。ここには、IPOで得た資金の約25パーセントを割り振ります。
どのようなことかと言いますと、この「『精密蒸留』は、何が精密なのか?」という話。最初に聞いていただいたように、温度・圧力・時間をいかに微細にコントロールできるかが、精密性の鍵であるということでした。
コントロールできる幅を広げることで、より精密性の高い仕事をこなすようにできるようにするのが、今回の既存設備の能力アップ(の目的)になります。
そのため、「生産量」を増やすということではなく、「生産できる領域」を広げるといった意味になります。ですので、案件として受けられる幅を、今後3年をかけて約2割から2割5分ぐらいに増やしていくところが、まずこの既存設備の改造(の目的)になってきます。
3.今後について―今後の計画(3)
それでは次、26ページです。今、新しい研究依頼が増えてきています。学会等に出席しましても、「大阪油化工業に、次はこのような研究テーマを扱ってほしい」といった声を、いろいろと頂くことが増えました。
顧客のニーズはどんどん増えてきておりますので、今後3年をかけて、既存の設備(を行う)。今全部で35基の設備があるのですが、それを3年から4年かけて、45基から50基ぐらいに持っていこうかという計画を立てております。
それによって、受けられる仕事の幅もさらに広がりを見せることで、対応可能な案件を増やしていく計画となります。
「そんなに仕事がいっぱいあるのだったら、一気に増やせばいいのではないか?」という声もあります。ただ実際に、品質・安全・環境の対策をしっかりしながら伸ばしていこうとすると、1年間に増やしていい装置の割合は、やはり自ずと限界があります。
(そのため)毎年10パーセントずつぐらいで、増やしていくところです。新規の設備(においては)それが非常に大事になってくる。
お金をかければいくらでも、一気に装置を2倍、3倍……と増やしていけますが、「精密に行う」というところ、「研究領域である」というところを考えますと、既存設備の改良・新規の設備を増設するところに関しては、1年間に約15パーセントぐらいの成長にすることが、1つの指針になってくると、私は考えております。
新規の設備のために、IPOで得た資金の約50パーセントを投下します。そのため、25パーセントを使って、既存設備の能力をアップ。50パーセントを使って、新規の設備を増やします。
3.今後について―今後の計画(4)
次のページをお願いします。最後の3つ目は、人への投資(人財投資)です。やはり、装置だけを増やしても、対応できることは限られております。実際に大事なのは、人を増やしていくことになります。
専門の知識・技能を持った研究者を増やしていくことが重要です。現在は6名いる研究開発の部隊の人員を、2020年(平成32年)を目標に、15人に増やしていく。
これによって、受けられる仕事をさらに高度化していくことが、目論見となります。こちらのために、全体の資金の残りの25パーセントを使っていくことになります。
3.今後について―業績予想
次のページをお願いします。
それでは、いよいよ「来期(平成30年9月期)はどうなるのか?」です。
今年(平成29年)の売上高が11億3,700万円だったところを、来期は12億円と考えております。営業利益も(先ほどお話ししたように)だいたい、売上高に対して20パーセント程度になってくるのが計画となります。
それではこれで、簡単ではありますが、平成29年の決算説明といたします。