中期経営計画

前澤友作氏:そして今日(発表するのは)大事な中期経営計画。私にとっても初めての3カ年中期経営計画で、緊張しております……そんなに緊張しておりません、すみません(笑)。3カ年の計画を発表していきたいと思います。

まず、あらためて企業理念をご紹介させていただきますけれども。中長期で目指したいことは、変わってないです。ずっとこの10年、変わっておりません。

「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」というのが、我々の企業理念なんですけども。地球があります。簡単に言うと、僕は「世界平和を目指したい」と言いますけれども。何かしらの我々の事業を通して、世界を豊かに、みなさんを笑顔にできればいいとずっと思っているわけです。

「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」と言う理念を打ち立て、この10年間言い続けているわけですけれども。実際に世界で何ができたかというと、この(会社設立から)20年間、国内の事業のみに甘んじていたと、非常に反省しております。

ですので、これからの……中計で言う3年、5年、10年と、絶対に世界に出ていかなければいけないということで、強い世界への展開の気持ちがあります。

世界で何をするかというと、ファッションで革命を起こしていかなければいけない。現状、「ファッション」というと、多くの人が実は(スライドの)左側なんじゃないかと思います。

なんとなく、自分が何を着ていいかもわからないし、自信がない。似合ってるのかどうかもわからないし、自信がない、恥ずかしい。自分の全身写真を撮って、コーディネイトをあげるようなサービス「WEAR」をやってますけれども、実際(写真を)あげてくるのは、自信がある人たちだけです。

多くの……残りの90パーセント、99パーセントの方々は、おそらく自信がないんじゃないんでしょうか。その自信がない要因をよくよく聞いていくと、やっぱり「なんとなく、サイズが合ってないんじゃない」とか「似合ってないんじゃない」と、みなさんおっしゃいます。

そういう自信が喪失していると、だんだんファッションに対しても興味がなくなってくる。「もうファッションなんて、なんだっていいじゃん。着れりゃいいじゃん」。そういうのが現状の、みなさんが考えるファッションだと思います。

革命を起こして、こんなふう(スライドの右側)になったらいいと思うんです。「なんか、服を着たら勇気が出てきたよ」「なんか、今日は外に出かけたい気分だよ」「人とハングアウト、会いたくなったよ」……みたいな気持ちになってもらう。

そのためには、やっぱり着た感じがフィットしてくる。「なんか、見た目もいいな」「自分で鏡の前に立って、似合ってるなと思ったの初めてだよ」。こんな人を増やしたいです。

そうすると当然、「ファッションを好きになったよ」「生まれてこのかた、ずっとファッションが苦手だったけど、初めて好きになれたよ」「もっとほかのアイテムを着てみたい、もっとチャレンジングなことをしてみたい」。

そんなふうに、みなさんに思ってもらえるような革命を起こす。つまり、そう思ってもらうための、70億人のファッションの共通課題があるなと思っています。それが「サイズの問題」だと、我々は思っているんです。

なので、サイズの問題さえなんらかの方法で、世界レベルで解消できれば、ファッション革命を起こせるんじゃないか。それによって、ずっと言っていた「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」の実現を果たすことができるんじゃないか。そんなふうに思うわけです。

「そうは言っても、どんなイメージですか?」と。わかりやすいイメージをお持ちしました。まず業界の中では、オンラインSPA業者としては、世界のNo.1になってなきゃいけません。

そして、グローバルなアパレル企業。SPAだとかラグジュアリーだとか、いろいろありますけれども。そういうのを全部合わせても、TOP10に入ってないとダメだなと思ってます。

(スライドの)下には参考時価総額ということで、TOP10アパレル企業のものが載ってますけども、1位はダントツでLVMHさんグループです。19兆円の時価総額を誇ってらっしゃる。

以下、NIKEさん、ZARAさん、DIORさんと続いて、我らが国内UNIQLOさんは5兆円で、現在第9位ということで。我々は、こういったところにも入っていかないといけないわけです。

つまり、これは何を意味するのか? 10年内に時価総額5兆円にいってないとダメです。(達成できなければ)革命は起きてないです、ということなんです。

ですので、我々は10年内に時価総額5兆円を目指し、グローバルにみてもアパレル企業のTOP10に入り込んでいく。オンラインSPAとしては、もちろん世界一の企業を目指していく。そういうことです。

(その達成に向けた)ステップがあります。現在の時価総額は1兆円弱ですけれども、3年後までに2兆円にしたい。6年後までに3兆円にしたい。10年後には、晴れて5兆円。

変に勘違いしないでいただきたいんですけれども、別に、時価総額経営にはまったく興味がないです。切って貼って時価総額だけ見せていくという経営には興味がありませんから、あくまでも結果です。

ファッション革命を起こす。人々にファッションを通して、勇気を与える。笑顔になってもらう。こういうのが実現した暁には、このぐらいの(時価総額の)数字にいってしかるべきと考えて、この結果だけを保持してるわけです。

そしてこの10年のプランの中で、この3カ年……つまり、中期経営計画は非常に重要になってきます。どういう点が重要になるかというと、やっぱり10年後の5兆円を目指すにあたって、世界で(事業を展開して)やっているということは、非常に重要です。

ですので、この3カ年で世界展開の基礎を作っていくというのは、非常に重要なポイントになるわけです。

具体的には、3年後のプライベートブランドの海外売上比率は、40パーセントぐらいなくちゃいけないんじゃないかなと。そして、10年後の5兆円に至っては、海外比率は80パーセントぐらいになってるのがいいんじゃないかなと。

ですので、もうこの3年間をかけて、海外売上比率を、このペースで上げていくということです。

そのためにやるべきことということで、達成には3つの革命が必要なんじゃないかと思います。1つ目、服の買い方の革命を起こさないといけない。2つ目、選び方の革命を起こさないといけない。3つ目、作り方の革命も起こす。

1つずつ説明しますが、まず1つ目の買い方の革命という点においては、現在6,400ブランドの商品を扱うZOZOTOWN。同時に検索できて、買えて、そして翌日届くという意味においては、すでに買い方の革命を半ば起こせている。達成できているんではないかと思っています。

今後は、あらゆるサービス面だったりとか、ブランドさんのラインナップ、サイトのユーザーインターフェイス、物流のクオリティとか。そういったところをどんどんブラッシュアップして、安定的に成長させていくというフェーズかと思います。この(買い方)革命は、起きている状況だと思っています。

次なんですが、服の選び方革命。これは、ようやく着手を始められている革命と言えるかもしれません。選び方の革命というのは、自分に合ったものが、試着なしでも、何も考えなくても自動で届いちゃうよという革命です。

どう実現していくかと言いますと、すでに2つのことを始めています。1つ目が「おまかせ定期便」と申します。「選ぶのめんどくさいから、誰か選んでよ」って申し込んでいただくと、その方の好みに合わせて毎月や隔月、我々のスタイリストのようなスタッフが、そのお客さまに選んで差し上げて、お届けするというサービスです。

これもだんだん機械学習していくと、機械(AI)が自動でできるようになってくるんです。さっきの話に重複しちゃいますけれど、「このぐらいお腹の出た人は、こんなものをおすすめすると買ってくれる率(統計)があるよ」みたいな。そういうものを、どんどん精度をあげてやっていくわけです。

次に、「自分サイズ検索」とありますけれども。これはすでに展開していますが、ZOZOSUITで計測いただいたお客さまが、ZOZOTOWNで商品を検索するときに、全部自分のスペックベースで検索結果を絞り込めるんですね。

ですので、何十万件の商品がありますけれども、その方に表示されるのは、その中から自分の体型に合ったものだけということです。選び方という意味でも、徐々に革命が始まりつつあるわけです。

次です。服の作り方革命です。先ほどの話と重複しますけれども、プライベートブランドZOZOでは、まだ誰もやったことのないようなデザインの仕方や生産の仕方をもって、圧倒的にそこを差別化して、どんどんオーダーメイドに近いかたちで商品を開発していくというお話が、これですね。

やっぱり、短納期ということにみそがありますので、注文すると本当に数日後に届くようなオンデマンドの生産ラインというのが、必要になってくるかと思います。これも、まさに今からいろいろやっていくところですね。

ということで、我々がファッション革命を起こすためには、分解すると3つの革命が必要ですと。買い方、選び方、作り方。この3つが必要です。

そしてこの3つの革命を後押しする「3つの試み」ということで、今日新しく発表させていただきますけれども。

まず1つ目、BtoB事業。昔、スタートトゥデイコンサルティングというグループ会社をもってこのBtoB事業をやっておりまして、現在は宮崎のアラタナ社というところを基点にやってるんですけれども。これを、グループをあげて再強化しようというのが、1つ目の試みです。

そして、2つ目。「なんでやらないの?」ってずっと言われ続けたんですけれども、ついにやることにしました。ZOZO内とかWEAR内で広告枠を設けて、その広告を販売するような広告事業を始めます。

3つ目。これは先般発表させていただきましたけれども、「スタートトゥデイ研究所」というのができあがり、活動中です。この3つの試みについて、説明をしていきます。

1つ目のBtoB事業(再強化)ですけれども。(BtoB商品取扱高は)1年目100億円、2年目200億円、3年目300億円とだいぶざっくりしておりますけれども、こういったペースで再強化を図っていきたいと思います。

「今までとなにが違うの?」と言いますと、(スライドの下部に)書いてありますけれども、ZOZOTOWNやWEARの中にいろいろなデータがたまってきてますので、そういったビッグデータをブランドさんにもある一部開放して、ブランドさんにも使っていただこうということで、マーケティング機能を強化することができるようになってます。

さらに先般人気の決済手段に、「ツケ払い」というのがありまして。この「ツケ払い」というものも、我々が支援させていただくサイトには、ぜひのせていただきたいと思ってます。今「ツケ払い」っていうのは、ZOZOTOWNでしか使えない決済手段ですけれども、我々がサポートさせていただくECサイトさんでは、「ツケ払い」を大いに使っていただきたいと思います。

そして、何をやるかは未定ですけれども、ブランドさんの店舗ソリューションまでをも提供する事業へと、進化させていきたいなと考えています。これが、BtoB事業の再強化の試みですね。

続いて、ずーっと我慢してきた広告事業を、ついにスタートします。(広告売上高で)1年目30億円、2年目50億円、3年目100億円売っていきたい。これはほとんど原価もコストもかかりませんから、そのまま利益に乗っかってくると期待しております。

先ほどお話ししたとおり、ZOZOTOWNやWEAR内に広告スペースを設けて、これを販売していくと。販売と言っても、ごりごり営業をかけて売っていくのではなくて、例えばGoogleさんなんかが提供している、広告プラットフォームに出稿しているものの広告をいただくようなイメージでお考えください。

ちなみに、みなさんが知っているような大手ECサイトさんの広告事業なんですけれども、だいたいショッピングと広告を分解すると、ショッピングの取扱高に対して約3パーセント程度が、広告収益になっていることが多いみたいです。ですので、1,000億円の取扱高のあるような広告も同時に売っているようなショッピングサイトの売上高は、だいたい30億円とかになるということですね。

ですので、うちで言うと、例えば1年目……今期ですけれども、(取扱高が)3,000億円以上ありますから、かなり少なく見積もって1パーセント未満で見てると。3年目にいたっても、5,000億円以上の売上予定がありますから、これも2パーセントぐらいで見てるってことで。だいぶ、コンサバティブな計画です。これが2つ目の試みです。

3つ目、スタートトゥデイ研究所。作ったのはいいけど、何やってんのってところなんですけれども。3つ3つうるせーよってことなんですけれども、ここでも(3つの革命のための)3つの研究をしております。1つ目が「服作り」の研究。2つ目が「似合う」の研究。3つ目が「採寸」の研究ということで。

まず「服作り」の研究においては、「デザインすらも自動でできるんじゃないか?」(ということです)。「オートデザイン」って書いてありますけれども。今まではデザイナーさんがいて、パタンナーさんがいて……と、全部人力でやってたわけですけれども、今までの、いろんな洋服の歴史に名を残すような名品を機械学習していけば、将来のデザインやパターンですら、もう自動で引ける時代になるんじゃないかということを研究しています。

また、多くのアパレルブランドさんがやっているように、素材の研究。あとは、先ほどから再三ご説明しておりますけれども、我々ならではの生産ラインの研究。こういう服を作ることに必要な研究を、積極的にやっていくと。

続いて、「似合う」の研究。「どんな服が似合うんだろう」とか「その体型の人には、どんな組み合わせがいいんだろう」とか。これも、今まではなかなか定量的に数値化されてなかった。ファッションで採点しようと思っても(具体的に)何点って言うのはすごく難しかったと思うんですけれども、もしかしたら将来的に、「あなたの今日のコーディネートは何点です」というような時代が、くるかもしれませんね。そういった意味で、アルゴリズムの研究をしています。どんなものが似合うのかというものを、研究しています。

次が、「採寸」の研究です。この新ZOZOSUITによって、先ほどの3Dレベルまで採寸することができるようになりましたけれども。まだ先ほどの3Dモデルを見ていただければわかるとおり、例えばそこには足がなかったりですとか。今のところ(体の部位の)形だけですので、例えば動いた時の筋肉の変化はどうなんだとか、圧力の変化はどうなんだとか。そういったことは、まだ実現できてないわけですね。

我々は研究所を通して、こういったことも研究を続けたいと思います。

そういったことで3つの革命を実現していくために、3つの試みも積極的にやっていく。試みから生まれる(革命のためのものは)例えば軍資金の時もあるし、技術の時もあるし、発明の時もあると。そういったものを、革命のためにふんだんに使っていきましょうということですね。

そして、3カ年計画。先ほど栁澤(孝旨氏)からあったものを軽くブレイクダウン、分解しておりますけれども、このような計画になってます。チャレンジングだとは思いますが、このぐらいやらないと意味がありませんから、これを目指したいと思います。

そして、「前澤コミットメント」が、新しいワードなんですけれども。これも先ほど栁澤からあったとおり、ストックオプションの導入を検討しているわけですけれども。3年、6年、10年の期間トランシェを区切って、それぞれにおける時価総額ならびに売上高の達成に応じて、付与していくってことなんですが。適時開示でもう出てると思うんですけれども、このストックオプションの付与先としては、90パーセント以上が僕に向いています。

「自分ばっかり」と思われるでしょうか? いや、逆でですね。僕はこのぐらいの高いコミットメント・強いコミットメントで、この10年をやっていきたいと思っているんですね。みなさんの中には、僕が多趣味ですから、「アートだとかなんちゃらだとか、そういったところにすっと行っちゃうんじゃないか?」と、不安に思われている方もいるかもしれません。

いえいえ、そんなことはありません。この10年、私は命をかけてこの3年計画・10年計画を達成するために、非常に強いコミットメント、非常に強いリーダーシップを持って、この会社を率いていきたいと思ってますので、よろしくお願いします。これは導入が進んだ場合でも、おそらく株主総会決議になることが想定されます。

だいぶ長くなってしまいましたけれども、本日のまとめです。

まず、何度も説明していますように、10年以内に5兆円企業を目指す。グローバルアパレルで見ても、トップ10になんとか入っていかなければいけないと。それを、自分自身フルコミットで突き抜けていきますよと。

そのためには、買い方・選び方・作り方で、3つのファッション革命が必要ですと。そして、海外での成功が必須条件になりますよと、そういうことです。

たいへん長くなりましたけれども、私からの話は以上です。このあと質疑応答に移らせていただきます。ありがとうございます。