2018年8月期第2四半期実績
荒井邦彦氏(以下、荒井):こんにちは。 代表取締役社長の荒井でございます。今日はご多用のところ当社第2四半期決算説明会に足をお運びいただきまして、誠にありがとうございます。
私から早速第2四半期の決算概況、今後の戦略についてご説明を申し上げたいと思います。
まず今期2018年8月期の第2四半期です。売上高、案件成約組数が史上最高となりました。残念ながら当初目標とした数字には届かなかったのですが、当初見込んでいた大型の案件の決済が3月にずれ、3月中に問題なく決済が終わっておりますので、通期の計画は予定どおりいくと考えております。後ほどご説明をさせていただきたいと思います。
(経常)利益は4億9,200万円という結果になりました。こちらも後ほどご説明をさせていただきたいと思います。
前年同期比業績
昨年対比です。
(スライドを指しながら)こういった数字になっております。売上が昨年、前年同期比で10.6パーセント増になっております。
一方で営業利益は、昨年対比で減益になっております。主な減益の要因は、案件紹介料、人件費、家賃、それから広告費と、このあたりでコストが増えております。案件紹介が増えているということは、順調にパートナーを開拓できているということです。我々は、案件のおよそ半分くらいを自前で受託しておりますけども、残りの半分は提携先のパートナーさんからご紹介いただいているという関係でございます。そういう中で、パートナーさんの開拓は順調に進んでいるということです。
人件費は、(売上)原価の人件費は、お客さまとフロントで接するコンサルタントたち(についての人件費です)。後ほど採用のところでお話いたしますけれども、採用が順調に進んで、先行投資的なかたちでコストが増えているということで、採用が順調に進んでいる証でもあります。
販管費は、後ほどご説明しますが、オウンドメディアの「M&A online」の編集のチームを増員したということ、それからシステム(の人員の増員)です。M&Aの案件の管理システムを自社開発しております。主にインハウスで開発しておりまして、こちらの採用が順調に進んだということもあり増えています。
地代家賃は営業所2ヶ所が拡張移転しておりますので、先行投資的に増加しています。前向きな投資をしているとご理解いただければと思います。
2018年8月期第2四半期 業績ハイライト
業績のハイライトですが、(スライドで)ご覧の通りです。
売上高は昨年対比で10.6パーセント増で第2四半期としては最高になりました。案件数は成約組数43組で、前年同期は35組ですので、成約数は23パーセント増えています。全体的に大型案件が第3四半期にズレたこともありまして、結果としては低めになっているかたちでございます。
受託数は、いわゆるパイプラインで、これからの売上につながるものです。(会社を)譲渡したいというお客さまから、何件契約をいただいたかという数字でございます。今期の計画は192社の数字を目標としております。今年の第2四半期まで実績としては、103社との契約をしているということです。進捗率は半分以上になっておりますし、上期の目標としては86社の受託目標しているところ、103社の受託ができたということですので、これが第3四半期、第4四半期、来期ぐらいに収益につながっていくということでございます。
ちなみに受託件数ですけれど、(今年上期は)103社の受託で、前年同期が68社でしたので、前年比の5割増というかたちになっております。こちらがこれから収益に上がっていくというかたちでございます。大型案件は、上期の成約が2組ございました。前年同期と同じ組数になっています。本当はもう1件決まる予定でしたが、お客さまの都合もあって第3四半期になったということです。受託は好調に推移しています。
(2017年)9月に、福岡の営業所を移転しております。もともとは提携先から事務所を間借りするかたちでしたが、自前の拠点に切り替えました。(2018年)1月には、名古屋営業所が手狭になりましたので、こちら移転をいたしました。非常に狭いところでやっていたんですが、広いところに引っ越しました。場所もアクセスの良いところに移転をしたということでございます。
コンサルタントは、上期だけで15名増員いたしました。当初の計画が、年間で10人程度ということでしたので、計画を上期で上回るということで順調に進んでおります。
組織変更は、人が増えてまいりまして、いろいろと業務の細分化ができるような体制になってまいりました。そういう中で、業務を分けてチーム化していくことができるようになりましたので、お客さまの成約効率を上げるための組織体制の構築をやってきました。これは後ほどご説明させていただきます。
コンサルタントの増員
採用のお話です。上期だけで15名コンサルタントを採用しているという状況です。
当初、2018年8月期末で(在籍コンサルタントの合計が)50名という計画でおりました。(既にコンサルタントが54名在籍しているので)想定したよりも、いい人材と出会えたということです。そういったこともありまして、2月時点で年間の計画を上回る採用をしたということでございます。
採用については、下期も引き続き優秀な人材の獲得に力を入れていこうという方針は変わっておりません。
とくに昨今M&A業界は一部の優秀な人材の採用の争奪戦になっているんですけれども、教育システムを充実したり、案件の分業制を敷くですとか、そういうことを通じて、より優秀な人を採用しやすい環境をつくっていこうと考えております。
組織変更(2017年12月1日付)
組織体制の変更です。
新たに3つの部を設立し、情報システム室を分離独立したということでございます。
この組織変更は(2017年)12月1日付で行っているんですが、狙いとしましては、まずは業務支援部という部をつくりました。そちらがどういったことをやるかと言いますと、コンサルタントたちの業務品質のばらつきをなくすために、会計士資格、弁護士資格を持っている者を社員として常駐させて、クオリティコントロールします。複雑な案件があった時に、ヘルプデスク的な活動をする部隊をつくりました。
それから業務推進部という部を創設しました。もともとは企業情報部という1つの部だったんですけれども、我々のお客さま、とくに譲渡したいというお客さまの半分は、我々が直接、お客さまからお仕事をいただいていますが、残りの半分は提携先のパートナーさんからご紹介いただいているという関係でございます。パートナーは代理店的な位置付けの企業であるということです。金融機関と会計事務所がおもなパートナーですが、このパートナー営業だけを専門にやる部署をつくったということでございます。お客さまのニーズとパートナーさまのニーズは、それぞれ微妙に違っている場合もありますので、きめ細かな対応をするという意味合いで、パートナー営業を推進する部門を創設したということでございます。今後徐々に、ここの人材も拡充していく予定でおります。
M&Aonline編集部は、もともと情報システムの一部というかたちでやっていましたが、これが分離して編集部に昇格いたしました。ここは記事を書くということ専門にする方を採用しまして、チームとして(メディアを)つくっていただくということです。オウンドメディアというかたちでつくりまして、さらにページ量を増やしていくことを意図しております。
情報システム室については、企画広報室を分けて、情報システム専業にしたということです。「売りたい」という企業に対して「買いたい」という企業をご紹介する時に、全体の30パーセントをインターネット経由、「M&A市場SMART」経由というかたち(で成約)となっております。ここの利便性をさらに高めようということで、情報システム室を創設をいたしまして、専門のエンジニアを採用しています。システムの開発については、私もいろいろ口をはさんでおります。
この「SMART」の部分と、もう1つ、(情報システム室が)同時にやっているプロジェクトは案件の管理システムです。この精度を上げて、コンサルタントが動きやすくしていこう、ということでやっております。そういうシステムの開発に、わたしも携わっているというかたちです。
このような組織変更を12月1日付で行いました。
成約案件一覧①
成約案件は、いろいろな業種、地域にばらけた状態で成約しております。本当に万遍なくやらせていただいているというところです。特定の業種に偏りがないというのが当社の一番の特徴になっております。
成約案件一覧②
(スライドを)ご覧のとおり、偏りがあまりないというのがおわかりいただけるかと思います。
2018年8月期通期予想
下期の見通しは、期首に発表した数値から変更しておりません。
売上が約35億円と、史上最高を見込んでいます。成約組数についても92組を目標として掲げております。これは変更してございません。
2018年8月期第2四半期の振り返り、下期での施策
前年対比ということでいきますと、売上で14.2パーセント、経常利益でいきますと16パーセント増を見込んでおります。
採用も予定を上回るかたちでやっておりますので、先行投資もありますが、それをこなして達成するという意気込みでやっております。
配当もこの利益水準でいきますと18円で、昨年が16円でございますので、増配を計画しております。
人員の拡充は先ほどご説明したとおりということです。
あとトピック的なお話をしますと、営業施策は(スライドに)記載がございませんが、行ったことが2つあります。
1つが四国税理士共済会と、今年(2018年)の1月16日に業務提携をさせていただいております。当社は四国に拠点がある唯一のM&Aの会社ということもありまして、四国税理士共済会と業務提携させていただいているということでございます。
それから今年の2月15日に、ベンチャー企業の採用にお強いスローガン株式会社と業務提携させていただいております。こちらは、ベンチャーマーケットでのM&A案件のソーシングを狙いにして提携したということです。当社とは良好な関係が進展しております。
M&Aのポータルサイト「M&Aonline」によるM&A普及活動
「M&Aonline」ですが、専門のライター・記者の方を採用したこともあり、ページビューは一貫して増えてきております。2月の営業日は当然少ないんですが、M&A専門のメディアとして、35万ページビューを達成したということです。
ちなみに、3月は40万ページビューを超えました。順調にページビューが増えているところです。これを100万ページビューに持っていくのが当社の目標です。視聴率を高めていくことを意図にやっております。
セミナーを契機とする直接受託の強化
それから、受託です。
パイプラインの増加については、先ほど「半分が自前で受託しています」と言いましたが、自前の部分はどうやって受託しているのかと言いますと、主な手段がセミナーになってくるわけです。
日経新聞さんと(2018年2月、3月に)共催させていただいたセミナーは、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡と5都市で開催しましたが、全国から合計で1,000人以上申込みいただきました。今、(見込み顧客の)発掘活動をしているところでございます。これは定例行事でやっております。次ももう日付が決まっております。6月・7月に全国16会場でセミナーをやることが、もう決まっております。
東京・名古屋・大阪・札幌・福岡、こういう大都市は当然開催するんですが、今年は初めて開催する都市も織り込んでおります。とくに、大阪は駅周辺・梅田周辺だけじゃなくて、堺まで会場を設けています。それから高崎・浜松・熊本と、初めてやる都市でも受託活動を強化していくということで、開催することが決まっております。こちらは、日刊工業新聞さんとのタイアップということで、やらせていただく予定になっております。こちらも、1,000名以上集客するということで計画しております。
新たな業務提携先の開拓・既存提携先の関係強化
もう1つの軸ですけれども、「半分は自前、半分はパートナーさんから」と申し上げましたが、パートナーさんの拡張活動も続けております。
先ほどもお話ししましたとおり、税理士マーケットでは四国税理士共済会さんと提携いたしましたし、新たなベンチャーマーケットではスローガンさんと提携させていただきました。そういうことを順繰りにやっております。
当然、フォローアップのペースも考えていかないといけないのですが、地方銀行、信用金庫なども含めた金融機関からの引き合いも非常に強くいただいております。
以前ですと、我々から金融機関へいっしょにやりましょうというお話をさせていただいていたのですが、昨今、流れが逆になり、地方銀行から一緒にやろうと声をかけていただけるようになってまいりました。そういう中で金融機関との提携も順次強化をしている状況でございます。
有償ストックオプションの活用
この上期のトピックといたしましては、有償ストックオプションを発行いたしました。
当社の一定要件を満たす役職員に付与しました。(スライドを指しながら)対象者はこちらになっておりますが、これは業績条件が付いておりまして、今期13億円以上の営業利益、つまり今期期初に発表した計画を上回るということです。 これをクリアして、さらに来期もしくは再来期で(営業利益)20億円を達成、この両方を達成しないとストックオプションを行使できないという、業績条件付きのストックオプションです。社員が有償で払い込みをするタイプのものです。こちらを導入しております。
これは、計算いたしますと、年率20パーセント以上の成長をしていないと(営業利益)20億円という利益になりません。そこを全社一丸となって達成していくために、ストックオプションを導入したということです。当初、上場前にも新株予約権を発行したことがあったのですが、上場後に発行するのは初めてでございます。
株主還元予定
配当ですけれども、先ほど申し上げましたとおりになります。
この計画どおり行きますと18円なんですが、発表させていただいてますとおり、配当性向で配当金を決めております。当然ですけれども、この利益が計画を上回ることがあれば、さらに増配の可能性もあるということです。おおむね、配当性向20パーセントで、過去もやってきているところでございます。
市場動向:今後も拡大が見込まれる事業承継型M&A市場
最後になりますが、M&Aと、現時点の市場動向です。
当社は、お客さまの60パーセントが事業承継ニーズから始まっております。大半が、後継者のいない中小企業です。6割がそういうお客さまということです。
そのマーケットが今どうなっているかということですけれども、世代交代期に差しかかっています。当然ですけれども、みなさんどれぐらいで世代交代を考えられるかと言ったら、60代・70代ぐらいで考えられるかたちでございます。
事業承継は個性が出ると言いますか、同じ70歳でもまだ元気な方もいれば、70歳ぐらいになりますと、もうそろそろ辞めたいと体力的な衰えを感じる方もおられたり、体力差がついてくる年齢でもございますので、これが一気にいくかというとそんなことはなくて、ゆっくりと増えていくという見方をしております。おそらくあと10年くらいは増えるだろうと見ています。
そうして10年たちますと、その次の世代ちょうど私くらいの年齢の40代後半から50代くらいの経営者が後を継ぐことになると思います。そうしてさらに10年たつと、我々自身が世代交代期を迎えるわけでして(笑)。常に続くニーズと我々は捉えています。実際、後継者のいない人、ほとんどですよという統計もございます。
会社概要
当社の概要は、これお時間のあるときにお読みいただければよろしいかと思います。
沿革
こちらは沿革です。
とくに今までの説明に申し添えることはございません。そんなところでございます。
事業概要
初めてお越しの方もおられるかもしれないので、当社の特徴だけちょっとお話をさせていただきます。
我々仕事をどういうふうに進めているかと言うと、売りたい人からお仕事をいただくところから、仕事を始めています。
よく「M&Aって狩猟民族の仕事だ」「いつも大物を狙っている」と言われます。実際、この上期も大型案件の期ずれで業績左右されるといったところでしたけれど、実際は、やっている我々からすると、そんなことはなくて、まず、お仕事をいただくところにも時間がかかるんです。だいたい経営者の方とセミナーなんかでお会いしても、すぐ売りたいという方ももちろんおられるんですけれども、少し情報収集のためにセミナー来たんだという方が、実際は多いんです。そうしますと、意思決定するまでに1年、2年、人によってはもう3年、4年かかるという方もおられたりするんです。そういうフォローを経て、やっと売る気になったとなってから、ここからお仕事が始まるというかたちなんです。だいたい売るということが意思決定されれば、そこから先は半年くらいで成約するんですけれども、ここまでが非常に長いということです。
そういう意味では、我々からすると、種をまいて、一生懸命水をあげて、芽が出て、果実を収穫するまで育てるということをやっている感覚で、非常に農耕民族的な仕事をしているということでもあります。
M&A仲介業務フロー
(スライドを指しながら)ここから先が半年くらいということなんですが、我々の収益構造からいきますと、このクロージング、決済されてそこで初めて成約時の報酬がいただけます。
売上の95パーセント以上は成約報酬ですので、ここで取引が成立してくれないことには売上が上がらないという、そういう収益構造です。売りたいと意思決定してもらうまでに数年かかり、意思決定してからも、さらに半年かかります。非常に息の長い仕事です。ですから、「今月売上足りないぞ」と言っても、すぐには売上が上がらない構造でもあります。半年前の案件が、やっと花開く。そんな会社です。
インターネットを利用したマッチング先の探索
(スライドを見ながら)先ほど少しご説明しましたけれども、当社の一番の特徴はこちらです。
ほぼ創業以来、創業は1997年で、1999年からインターネットを使ったマッチングをやってまいりました。「M&A市場SMART」という名前で創設しています。今、足元で70件から80件くらいの売り案件が載っていると思います。そちらを買いたい方にオファーしてもらう仕組みでやっています。
「M&A市場SMART」での成約状況
日本で初めて当社が始めたということなんですが、今、こちら経由の成約が全体の30パーセントくらいになっています。売りたいという会社があったときに、当然、次は買ってくれる会社を探すのですが、買う側もボランティアで買うわけではないので、お互いの戦略に沿った相手を探すことになります。
その探し方にはいろいろありますが、担当したコンサルタントが買い手を探します。「こういう事業をやっているから、こういう会社がいいだろう」と、自前で探すことに加えて、ネットも使うかたちでやっています。こちらが3割くらいということです。当然ですけれども、コンサルトががんばると、(インターネットを使ったマッチングの)この比率は下がるということです。現状、おおむね3割くらいで推移してきているということです。
インターネット活用により様々な業種に対応
案件の業種は、非常に偏りがないんです。特定の業種に依存していない、そういうかたちでございます。
もう1点、コンサルタント1人当たりの成約組数が1.718組で生産性は意外と高いということです。これを平均値で、1人のコンサルタントが4組できるような体制を作ろうというのが、中期的な目標でございます。
やっぱりコンサルタントの習熟度が低いとこの数字は上がらないので、人を増やしているタイミングでこの数字を上げていくのも、なかなか大変なことなんですが、そこに挑戦をしていくということです。その1つとして、先ほど申し上げました、コンサルタントが案件のコントロールをしやすくなるようなシステムの開発という部分も、私が陣頭指揮を執ってやっています。
国内M&A市場で件数トップを狙う
ここで中長期経営方針になりますが、先走って少し話してしまいましたが、さきほど事業承継が6割と申し上げましたけれども、当然、企業を譲渡するということは、事業承継だけではございません。当然ですけれども、選択と集中から会社を譲渡することもあるでしょうし、再生を図るということもあります。
今、景気が比較的いいので、再生案件は減る傾向にありますけれども、そういうニーズもあるかもしれません。あるいは、若い経営者の方が創業してExitのために会社を売るというベンチャー企業もあります。こういうニーズもあるかもしれません。そういうニーズを、割合を増やしていこうということが、今後の課題・戦略になってきます。
スタートアップ企業の出口戦略としてのM&Aニーズの増加
今、注力していますのが、スタートアップ企業のM&Aです。ベンチャー企業と申し上げましたけれども、スタートアップの企業さんのExitを強化していこうということです。
(スライドを指しながら)こちらよく言われる話で、日本の会社のスタートアップ企業をExitするときに、M&Aを使う割合がまだまだ低いですよという統計数値です。
ただこれ2015年度の統計で少し古いかなと思うんですが、やっぱり見ていますと、ベンチャー企業の経営者、どんどん若い経営者を売却していくという流れが出てきたような感覚も持っています。僕は、おそらく今後伸びていく部分だろうと認識しています。
スタートアップ企業のExit案件の開拓
こちらの開拓も、先ほど申し上げましたけれども、一例で業務提携もしながらやっているというかたちです。
以上、ところどころちょっと端折りながらのご説明になりましたけれども、私からのお話はここまでとさせていただきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答①:コンサルタントの採用計画の見通し、新規参入が相次ぐ事業環境について
質問者1:野村証券のサカマキです。お話ありがとうございました。質問2点お願いいたします。
1点目は、コンサルタントの採用見通しについてです。ご説明ありましたけれども、もう通期の目標を達成しておりまして、資料の7ページを拝見しますと、3年後には80人となっております。やや今期が多いのかなと思いますが、来期・再来期はだんだん採用ペースは減速していくものでしょうか、教えてください。また、今期大量に採用した方が、どれだけの期間をもって成約の増加に貢献してくるのか、見通しを教えてください。
2点目が、競争環境についてです。M&A仲介専業以外の会社さんがM&A仲介に参入してきておりますが、そういったところとの競争・競合についての考えを教えてください。以上です。
荒井:ありがとうございます。ただ今のご質問にお答えしたいと思います。
まず1点目なんですが、コンサルタントの採用環境・見通しは、当社は年間10人ペースで増員をしていくと、ちょうど80人という数字になるという見通しでいたんです。
下期も採用活動を続けておりますけれども、こちらの着地見通しによっては、もしかすると3年後の計画を見直す可能性はあるかなと思います。
ただし、人材については、良いご縁しだいかなと思っています。と言いますのは、やはり我々が採用したいと思うタイミングと、優秀な人がマーケットに出てくるタイミングはなかなか合わないんです。
やはり景気動向の悪いときの方が、どちらかというと良い人が採用マーケットに出やすくて、逆に景気状況が良いときですと、なかなか優秀な人材がマーケットに出にくくなっていることもあります。そのときの経済環境と出会いの環境を兼ね合わせ、優秀な人を採用する方を優先しようと考えています。
逆に裏を返すと、あまりそういう出会いがなければ無理して採用しないという方針でもあります。一応そういう計画ではありますけれども、減速することは今のところは考えてはないです。ただし、採用マーケットに出てくる人の状況で、増えたり減ったりする可能性はあるということです。
それから、競争環境ですが、異業種から参入したりということなんですけれども、今、人材系の会社からの参入が比較的目につくかなと思います。大手の会計事務所は自前でやったりしているところもございます。買収して始めたというコンサル会社もございました。
新規参入がある競争環境というのは、ある意味健全な状況かなと思っております。
一方で、例えば人材ビジネスからの参入でいきますと、ビズリーチさんなんてよくご質問でいただくんですけれども、あそこは競合とは我々は見てなくて、システム提供会社ですので、むしろ我々の業務を支援してくれる可能性があると考えております。先日、銀行だとか信金が、ビズリーチさんのシステムを使っていると日経さんに記事が出ていましたけども、実は、我々も活用させていただいています。
競合と認識されるところも、実は我々にとっては、買いニーズを紹介してくれるパートナーとなっております。不動産業界のように、同業で競合もするんだけれども一緒に取引をまとめるパートナーでもある、という環境になってくれば、もっと市場の裾野も広がってくるのかなと見ております。
我々自身も、まだそんなに大きなことができているとは思っていないんです。昨年のM&Aの件数が3,000件を超えたという報道がありましたけれども、あれは報道で捕捉されたものが3,000件ということであって、我々の感覚でいくと、報道に出るものって全体の3割もないと思っているんです。実数としては1万件ぐらいあると実感しています。
その中で我々ができているのは、たかだか、今期の目標では92組ということなので、全体の1パーセントぐらいしかない。まだまだ、我々がやるべきことはたくさんあると見ています。競争環境が激しくなるとは思ってますが、まだまだ我々もやるべきことはたくさんあると見ているということでございます。
質問者1:ありがとうございます。
質疑応答②:コンサルタントの採用計画、スタートアップ出口案件の受注実績と目標
質問者2:エース証券のキシです。どうもお世話になっています。基本的なことを3つお聞きします。
今のコンサルタントの話なんですけれど、結局、今期最終的には60名くらいは超えてくるんですか?
荒井:今内定が決まっている人だけだと、60名は超えないです。当然ですけれども退職もございますので、純増でいくと、今のところは決まっている内定ベースですと、そこまではいかないという状況です。
質問者2:そうすると、54名プラスアルファくらいの感じですか?
荒井:うん、そうですね。まだちょっと採用活動も続けていますので、着地してみないとわからないところがあるんですが。
質問者2:ありがとうございます。あと、ちょっと細かいことで恐縮なんですが、受託件数の残は今どのくらいになっているんですか?
荒井:2月末で135社です。
質問者2:1億円以上の大型案件はどのくらい入りますか?
荒井:複数ございます。ただ、下期中にまとまるかどうかもございますので、だいたい複数は複数なんですが、片手で数えられないくらいというかたちです(笑)。
質問者2:ありがとうございます。
最後、セミナーでもスタートアップ企業の出口案件に力入れていらっしゃいますけれど、今までの出口案件の新規受託ご実績と、成約組数のご実績、実際どのくらい売上であったのか、かつ、将来的に例えば3年後に新規の受託がこのくらいで、成約がこのくらいという目標数字みたいなのがございましたら、教えていただきたいです。
荒井:まずスタートアップ企業の成約数なんですけれども、まだこの場で「こんなにやれました」と言えるほどじゃないんです。まだ本当数件というのが実態です。ただし今、パイプライン、受託残ですとか、活動中の話なんか見ていますと、順調に増えてきているなという印象です。とくに最近はIPOを狙っていたけれども叶わずに譲渡を決断するという企業からのご依頼があります。
順調にこちら立ち上がっているなという印象です。ベンチャーの実績と言いますと、どちらかと言うと、小さく初めて3年くらいで売るみたいなお客さまが、小さめのベンチャーがスタートアップ多かったんですけれども、ここ最近はスタートアップの中でも、比較的企業規模がしっかりしたスタートアップのご相談が増えてきたなという状況です。
数年後にということですけれども、スタートアップ企業だけで割合を設定するということは今のところやっていません。
事業承継が全体の6割という状況も偏っているなという認識はしています。本来M&Aは、事業承継だけではなくて、選択と集中によるM&Aがど真ん中だとは思っているんです。このマーケットを我々がやるには少しどうかなという認識もしていますので、まずスタートアップのところというふうに注力している段階です。
質問者2:今、何名くらい担当のコンサルタントを付けていらっしゃるんですか?
荒井:専属だと3名です。
質問者2:どうもありがとうございます。
質疑応答③:上期のファンド関連案件の数、金融機関とのネットワーク構築
質問者3: 大和証券のコジマでございます。お世話になっております。
私から3点ございます。1点目は数字の関連と、2点目はご印象というか考え方について教えていただけたらと思います。
まず数字の関連で上期のファンド関連案件、売りと買い両方あるかと思いますが、何件程度であったのか。また、受託残の中で、もしくはクロージングしたものの中で、社長さまがまだ自ら行なっているような案件があるのかどうかを教えていただけたらと思います。
これがまず数字に関してです。
2点目が、金融機関等とのネットワーク作りのところなんですが、一時期同業の中で出向の受け入れであったりとか出向を出したりというのがあったかと思います。そういったようなことをもっと加速していくのが、だいたい一巡して勝負ついたような話なのか、そのあたり、金融機関等とのネットワーク作りのところについて現状の認識と戦略について教えてください。
最後3点目なんですが、政府の施策でいくつかあるかと思いますけれど、税制面で見ますと、この4月から、従来からありました事業承継への税制改正がまた一段踏み込んでありましたし、あとは今、国会で議論中というフラグメントになっているかと思いますが、自己株を対価としたM&Aの際のキャピタルゲインのリノベがあるかと思います。
事業承継というふうに括ってしまいますと、あまりインパクトはないかもしれませんが、中小企業のM&Aと考えますと、それなりのメリットがあるのかもしれませんし、一部ではあまり関係ないんじゃないかという話もあるかと思います。まずこの4月なり、今度行われる税制改正の部分と、さらに「こういったような部分を付け加えてくれると、売り手は売りやすくなるのに」とか、「買い手は買いやすくなるのに」みたいな案件や制度改正みたいながあれば教えてください。
荒井:ありがとうございます。1つずつご回答したいと思います。まず上期のファンド関連案件なんですが、1件あったかと記憶しています。
買収した J-STARファンドさんがメールで公表していたので、話して差し支えないと思うんですが、J-STARが買収した案件がございました。「この案件はストライクが持ってきた」と、メールでは書かれていました。
あと私自身が関与する案件があるかどうかですが、上期に43組が成約しましたが、ほとんどの案件は一切、社長にも会わずに成約している状況です。もちろん昔は自分で案件をやっていましたので、一部のお客さまの中には、古い関係のお客さまがおり、どうしても若干、挨拶に顔を出したりとか、そういうことはあります。
基本的には私自身が案件に主人公として関わることはございません。リレーション的なところを深めたりとか、そういうことはありますが、基本的には案件が私が主人公というかたちで関わることはございません。
それから金融機関とのネットワーク作りなんですが、出向の出し入れ、我々から人を出すという案件もございますし、受け入れるということもございます。受け入れなんですけども、これは地方銀行さんはこれからM&Aにも力を入れていこうという中では、人員を育成するということが、やはり課題になっているわけです。そういうときに専業の会社に半年1年ぐらい研修目的で送るというケースはございます。こういうかたちで受け入れていますと、その銀行さんとのパイプは太くなっていきますので、これからもこういう動きは継続していきたいと思います。
当然、我々もまだコンサルタントが50人台でやっていますので、受け入れキャパシティの問題はありますが、できる限りお応えしていこうと思っています。
我々から(人員を)お出しすることも、キャパシティを考えながら続けていく考えでおります。
最後に税制や法制の話です。
今回話題になっています事業承継税制ですが、M&Aの件数に対しては、私は中立だと見ております。基本的には、事業承継税制は、新規承継をするときに、株の相続税をかけないようにしましょうという税制ですので、どちらかというとM&Aに向けた税制ではないのかなというのが、私の認識です。
ただし今回の改正で行われる内容の中で私が注目していますのが、従来言われてました事業承継税制で使った後に、後継者が会社を売りたいとなったときに、納税猶予が解除されてしまって、納税猶予された相続税を払わないといけないという制度だったんです。これ自体は変わってないんです。
ただし、当然ですけれども、事業承継税制を適用したタイミングと、M&Aをするタイミングは当然タイムラグがあるわけで、そのときに企業価値が上がっているかもしれないし、下がっているかもしれない。これはあくまで相続税評価ベースの話なんですけれども、今回改正では、もし価値が下がってたら、価値を引き直して計算するというふうになっておりますし、価値が逆に上がってた場合でも安い価値で相続税を払えばいいというふうになっている。このへんは改正で注目するところかなと意識してます。
それから株式対価M&Aについてということなんですが、これは私、M&Aの件数を増やす方向に働くと認識しています。株式交換もこれと近い制度になるんだと思うんですが、現行の株式交換の制度ですと、100パーセント買収しかできないんです。それが部分買収、例えば、60パーセントだけ株式交換したいとか、これができるようになります。
そういう意味では、例えば売り手のオーナーさんのニーズもそれぞれですので「今100パーセント売り切るのは嫌だ、30パーセントぐらい残したい」というときに、70パーセントぐらい株で交換しようとか、そういうことができるようになる。非課税措置が導入されて、さらに交換した株をExitするまで税金をかけないということになれば、かなりM&Aを増加させる方向にいくんじゃないかなと考えていまして、私はここに期待しているところです。
以上です。
質問者3:ありがとうございます。
質疑応答④:下期の受託案件、「M&Aonline」のグロース方針
質問者4:ドイツ証券のスギムラと申します。
2つあります。
1つ目が先ほど上期のところで、新規受託件数が計画よりもけっこういいペースでいっているというお話だったんですが、通期今業績は変えていません。先ほど、受託を受けてからクロージングする場合は6ヶ月といったお話があったので、そこの部分は下期に期待していてもいいようなものなのかというところを1つ目お願いします。
荒井:まず受託が好調だということは、受託の時期にもよるので、下期から来期ぐらいに向けて売上が上がるものだと捉えていただいてけっこうだと思います。
質問者4:わかりました。
2つ目が「M&Aonline」はかなりページビューが増えてますし、いろんな過去の蓄積があるかと思います。
ポータルというよりはプラットフォーム的な部分に拡張して、より収益性を高めるですとか、先ほど年間で92件、一方で先ほどの税制を受けていろんなニーズがある中で、もう少し「M&Aonline」を大きくして、御社のビジネスを伸ばすようなことはできないものかというのを教えてください。
荒井:ありがとうございます。「M&Aonline」のところですが、非常にいいご質問をいただいたと思います。
今はページビューを増やす段階ですので、まずはそこに集中しているというタイミングです。
ページビューが上がればプラットフォーム化だとか収益性を高めるツールとして使えるんじゃないか、という非常にいいご指摘だと思うんですが、どういうかたちでやっていくかということです。
我々自身も「M&A市場SMART」というかたちでもやっておりますし、よそにも似たような方法でやっている会社もございます。先ほど固有名詞を挙げさせていただいたビズリーチさんなど、システムを提供するような会社もあります。そういう会社と、どうやって差別化するのがいいのかですとか、そういうことをよく考えていくということと、あとはシステム開発を伴ってくるので、現状のリソースでは少し時間がかかるかなというところです。
当然、頭の中にはそういうこともありますが、具体的にどういうかたちでというのがまだなく、彫刻でいうとなんとなく整形している段階です。
質問者4:新しく組織変更で部署をつくられたというのは、そこをにらみつつ、ということでよろしいでしょうか?
荒井:そうですね、まず今の注力テーマはページビューを増やすこと。そこに向けた戦力を投入したということです。
質疑応答⑤:上期未達部分の内訳、コンサルタント採用好調の要因
質問者5:ご説明ありがとうございました。丸三証券のコボリと申します。
簡単に2点お願いいたします。
1点目でございますが、上期は期初の計画から売上高で2億2,000万円、営業利益で1億5,000万円未達になっているかと思います。
おおむね大型案件かと思いますが、未達部分について、大型案件とそれ以外に分けて、どうだったのか教えてください。これが1点目です。
2点目でございますが、上期はM&Aコンサルタントが非常に好調に採用できているということでございますが、こちらの背景についてお聞きしたいです。
具体的には御社の採用方針や採用施策を変えられたからこういった好調なのか、それとも何か外部要因で、例えばメガバンクさんから面接を積極的に受けられる方が増えているとか、そういった状況なのかについて教えてください。
以上2点です。
荒井:ありがとうございます。
まず上期の計画に対する影響ということなんですが、大型案件が第3四半期にずれ込んだと申し上げました。これが1案件です。具体的に金額は申し上げにくいんですけれども、我々の会社が始まって以来の案件だった、ということだけは申し上げておきます。
ディール金額でも、手数料収入込みでも、ということです。
我々は大型というのは、合計で1億円以上報酬がいただけるものということなんですが、当然1億円台というのもあれば、その上もあるということです。
大型とその他ということなんですが、大型で成約したものだけでいきますと2件、2件で前年同期と同じです。売上も同じくらいですね。前年同期とこの上期に成約した大型案件というのは、だいたいサイズが同じぐらいだったということです。この上期は、その他の小さい案件が多かったということですね。件数でカバーしたということです。
それと採用が上々にいっている背景ですが、特段、採用ベースを変えたということではありません。確かに我々が採用する人はほぼ中途ですので、前職というのが当然ある方なんですけれども、一番多いのが銀行の方ということです。
メガバンクの方もいますけれども、地方銀行の方が多いように感じております。そんなところでございます。
質問者5:ありがとうございました。