業績総括(1)
小島一雄氏:グループCFOの小島です。本日はご多忙のところお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは早速、2018年3月期第3四半期の決算説明を始めます。お手元の決算説明資料の2ページ、業績総括をお開きください。当期純利益とROEです。
2018年3月期第3四半期累計の当期純利益は2,564億円で、前年同期と比べて18パーセントの増益となりました。
年換算ベースのROEは、13.2パーセントです。中期的な目標である11パーセント以上の水準を維持していて、第2四半期に引き続き、順調な業績推移となりました。
すでにみなさまもご承知の通り、昨年(2017年)11月に米国で税制改正が行われました。これにより、当社の米国子会社における繰延税金負債の取り崩しなどが第3四半期に発生したため、税後利益ベースで約200億円のプラスの影響がありました。
この税制改正の影響も含め、今期の目標である当期純利益3,000億円に対する進捗率は、85パーセントとなっております。
通期では、この影響もあり(当期純利益が)3,000億円を上振れする着地となる可能性は高くなりましたが、本時点(2018年1月30日時点)で、通期の純利益目標の変更はございません。
通期の配当性向の予定につきましても、第2四半期決算の際に公表した27パーセントのまま、変更はございません。
業績総括(2)
次のページをご覧ください。セグメント利益の推移です。
当期のセグメント利益合計は3,562億円で、前年同期比で8パーセント増加しました。この3,562億円については、先ほどの税制改正の影響は含まれておりません。
事業投資セグメントを除く5セグメントでは、前年同期比で増益となっております。事業投資セグメントは、大口の売却益を前年(2017年)に計上した結果、減益となっておりますが、環境エネルギー事業やコンセッション事業からの利益貢献は高まっております。後ほど、セグメント別でご説明します。
業績総括(3)
次のページをご覧ください。セグメント資産とROAの推移です。
当期のセグメント資産は9兆1,927億円で、前期末比3パーセントの増加となっております。全体のセグメント資産、ROAは前期末の3.0パーセントから3.8パーセントに上昇しています。
資産の増加を牽引しているのは、海外セグメント・事業投資セグメント・メンテナンスリースセグメントです。
海外セグメントは、主に航空機・船舶(が伸びています)。事業投資セグメントは、主に環境エネルギー(が伸びています)。メンテナンスリースセグメントは、自動車事業で資産が伸びています。
一方、リテールセグメントの残高は、前期末から2パーセント、金額にして789億円減少しています。これは主に、旧ハートフォード生命のランオフ資産の減少によるもので、生命保険事業そのものは増加していますし、銀行リテールセグメントに含まれる銀行においても、資産は増加しています。
業績総括(4)
次のページをご覧ください。ここでは、税引前当期純利益とセグメント資産の増減について、要素に分けてご説明します。
最初に、左側のチャートの税引前利益の推移をご覧ください。第3四半期の税前の利益は、前年同期比で264億円増加しました。こちらの図で示している通り、売却益と不動産売却益の合計が、今期は1,153億円です。前年同期が1,291億円ですので、売却益そのものは138億円減少しています。
一方で、既存事業の伸びが351億円ございましたので、こちらの伸びが全体の利益成長を押し上げております。それ以外に、為替の円安の影響で51億円の増益要因というかたちになっております。全体としては、既存事業での伸びが増益の要因です。
既存事業の増加(の要因)は、まず、航空機・船舶です。また、アメリカと欧州でのアセットマネジメント事業・日本のコンセッション事業・生命保険の保険収入の増加・銀行収益などが主な要因です。すべての既存事業で、増益となっております。
次に、右側のチャートのセグメント資産の推移をご覧ください。セグメント資産は、前期末から2,359億円(の増加)で、3パーセントの増加となっております。
既存事業については、前期末から4,007億円増加しています。
資産につきましては、先ほど申し上げた通り、海外事業での増加が大きいわけですが、国内においても銀行の貸付金の伸び・環境エネルギー事業・国内投資で、資産の増加を果たすことができました。
セグメント別業績(1)法人金融サービス
次のページをご覧ください。ここからは、セグメント別の業績について簡単にご説明します。
まず、法人金融サービスセグメントです。セグメント利益は、前年同期比43パーセント増の、376億円となりました。リースおよび貸付金残高が減少しているということです。今のゼロ金利という(状況下で)国内において収益性を維持することを主眼においたので、アセットとしては減少しました。
これによって、金融収益が13億円減少している一方、サービス収入が増えたということです。また、法人金融セグメントで保有している複数銘柄の株式の売却を行ったことにより、今期は株式の売却益が、このセグメントで発生しています。
セグメント資産は、右の棒グラフでお示ししている通り、若干減少しました。前期末比6パーセント減の、9,669億円となっております。
セグメント別業績(2)メンテナンスリース
次のページをご覧ください。メンテナンスリースセグメントです。セグメント利益は、前年同期比9パーセント増の311億円となりました。これは主に、自動車のアセットが増えているということです。
自動車リースの新規実行は、前年同期比で6パーセントの増加です。これによる金融収益とオペレーティング・リース収益の増加が、主な理由です。
セグメント資産は、(自動車リースの)新規実行の増加により、前期末比4パーセント増の7,805億円となっております。
セグメント別業績(3)不動産
次のページをご覧ください。不動産セグメントです。セグメント利益は、前年同期比5パーセント増の521億円となりました。引き続き日本の不動産市況が堅調だということで、売却によるキャピタルゲインを実現しています。
また、ホテル・旅館などの運営事業収入が含まれているサービス収入も、堅調に推移しています。
セグメント資産は前期末比で8パーセント減の6,058億円、年換算のROAは7.5パーセントとなりました。
不動産セグメントでは、運営事業からの安定収益の拡大に注力していて、今年(2018年)の1月には、日本初のホテルブランド「ハイアット セントリック 銀座 東京」をオープンしています。今後は2020年までに5施設、計1,200室の新規開業を予定しています。
セグメント別業績(4)事業投資
次のページをご覧ください。事業投資セグメントです。セグメント利益は、前年同期比9パーセント減の626億円となりました。
前年同期は、プライベートエクイティ投資のExitが2件あったことや、それ以外の既存投資先の売却があったことから、大きな売却益を出すことができました。しかし当期は、プライベートエクイティ投資のExitが第3四半期までで1件ということもあり、それが減益の要因となっております。それ以外のコンセッション事業や環境エネルギー事業は、着実に利益を伸ばしています。
なお、今年(2018年)の1月になって、プライベートエクイティ投資先の1社であるアークという会社を、三井化学がTOBをかけた際に、我々の株式の大部分をTOBに応じて売却したということで、売却益を第4四半期に計上することをすでに決定しています。そのためトータルでは、事業投資セグメントも前年同期を上回れるのではないかと考えております。
2017年12月末時点の国内太陽光発電事業は、確保済の案件が合計990メガワットになりました。
関西空港・伊丹空港を運営するコンセッション事業は、当期において、この9ヶ月間で87億円の利益貢献となっております。これは、前期比で49億円の増加です。
セグメント資産は、環境エネルギー事業での新規投資により、前年末比13パーセント増の8,703億円となりました。
セグメント別業績(5)リテール
次のページをご覧ください。リテール事業です。セグメント利益は、前年同期比5パーセント増の633億円となりました。
オリックス生命における、保険契約の増加による生命保険料収入の伸び・オリックス銀行の金融収益の増加が、増益に寄与しています。
セグメント資産は、前期末比2パーセント減の3兆2,127億円となっております。主な理由としては、旧ハートフォード生命のランオフ資産の減少分の、1,557億円です。それがなかりせば、既存の生命事業・銀行事業では資産の増加であったということです。
セグメント別業績(6)海外
次のページをご覧ください。海外セグメントです。セグメント利益は、前年同期比15パーセント増の1,096億円となりました。
アジアにおけるプライベートエクイティ投資案件のExit、フーリハンの株式の一部売却に加え、航空機・船舶事業やアセットマネジメント事業が、増益に寄与しています。
セグメント資産は、前期末比12パーセント増の2兆7,565億円となっております。この中には、為替の影響がプラスで811億円ありますが、この為替の影響を除いても大きな増加となっています。
アセットとしては、航空機・船舶事業およびアメリカでの事業の伸びが、大きな要因です。
以上が、セグメント別の業績となります。
ポートフォリオの3分類で見る実績
次のページをご覧ください。(ポートフォリオの)3分類で見た場合の、利益とROAの実績です。このグラフでは、旧ハートフォード生命の損益やフーリハンに売却益による増減要因を除いた数値を使用しています。
ファイナンスは、国内における有価証券の売却益および銀行の収益増ということで、増加しています。その一方で、ファイナンスの海外部門が(若干減少しています)。前期は、米国でTACという会社の売却益が約200億円あったのですが、その一時的な利益がなくなり、トータルでは若干減少しています。したがって、ROAも2パーセントから1.8パーセントに減少しています。
事業は、環境エネルギー分野での増益・金融サービスに含まれるアセットマネジメント事業の好調や、アセットマネジメント事業でボストンフィナンシャル・ランカスターのような新しい会社が加わったこともあり、大きな伸びを示しています。
また、事業の中に含まれるコンセッションについては、先ほど申し上げた通り、ここも増益に寄与しています。ここ数年力を入れてきた事業が大きく伸びたということで、事業のROAも4.9パーセントから5.8パーセントというかたちで、収益性も高まっております。
投資につきましては、航空機が含まれる現物投資……ここには不動産も含まれるわけですが、引き続き好調です。
米国を中心とした債券投資も増益ということですが、先ほど申し上げたプライベートエクイティ投資が、この第3四半期までは前期ほどの売却益が計上できておらず減少ということで、ほぼ横ばいです。ROAとしては、5.3パーセントから4.8パーセントというかたちになってございます。
2018年3月期3Q累計 新規投資実績
次のページをご覧ください。今期9ヶ月の新規投資の実績ということで、主なものをここに出させていただきました。
「事業」「投資」における新規投資額は、この9ヶ月で約6,000億円となり、前期の通期の新規投資と、ほぼ同水準となりました。事業分野では、環境・インフラで1,100億円、金融サービスで900億円の新規投資を実施しました。
次に、投資の分野では、債券投資が約1,100億円となりました。これは主に、米国での地方債やCMBSの投資です。また、現物投資が2,650億円・エクイティ投資が200億円という実績になっています。
引き続き「事業」「投資」の分野においては、新規投資のパイプラインとしては豊富なものがあるので、積極的に投資拡大を行いたいと考えております。
まとめ
次のページをご覧ください。最後に、本日のまとめです。
2018年3月期第3四半期累計の当期純利益は2,564億円、前年同期比で18パーセント増益、ROEは年換算で13.2パーセントとなっております。
通期(の当期純利益)目標の3,000億円に対する進捗率は85パーセントで、3,000億円の達成が見えてきたと言えるかと思います。
(2018年3月期は)残り3ヶ月ですが、来期(2019年3月期)以降の成長に向けて、新規分野の開拓を引き続き積極的に行っていきたいと考えています。
私からの説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。