2018年3月期第2四半期決算説明会
馬場稔正氏:みなさまこんにちは。MRT株式会社代表取締役の馬場と申します。
本日の目次です。企業価値、2018年3月期の第2四半期決算概要、2018年3月期通期業績の見通し、最後に市場環境の現状と医療の未来についてお話しいたします。
企業価値 MRTの特徴
まず企業価値です。我々MRTの特徴は、東大医学部発の医療ベンチャーということです。東大卒医師3人に1人が我々MRTの会員です。また、取締役の7割が医師であり、徹底した医療現場主義・医師目線でのサービス提供を強みとしております。
他社との差別化の要因の1つは、圧倒的な実績です。医師紹介件数は年間10万件で、つい先日累計100万件を突破しました。
医療は患者さまの命を預かっているので、失敗は許されません。その状況の中、医師と医療機関をつなぐマッチングサービスの質がいかに重要であるかというところですが、我々MRTでは、紹介件数100万件を突破しても、医療事故は一度も起こっていません。
東京大学医学部放射線科医局から誕生
我々MRTは、もともと東京大学医学部放射線科医局から誕生しています。最初は医師同士の小さなコミュニティでしたが、2000年1月に法人化をし、IT技術を活用してシステム化を始めたというのが誕生の経緯です。
取締役の70%が医師
役員一覧です。取締役の7割が医師で、医学顧問には元慶應義塾大学病院長の相川直樹先生に就任していただいています。
医師紹介件数 年間10万件
他社にはない、圧倒的なマッチング累計件数です。
3つのプラットフォーム
サービスには3つのプラットフォームがあります。1つ目は、主力事業の医師と医療機関をつなぐプラットフォーム。
2つ目は、なかなか他社では取り組んでいない医師と医局をつなぐプラットフォームです。ひいては医師とさまざまな企業をつなぐプラットフォームにしていきたいと考えています。
3つ目は、昨年から本格的に進出した、医師と患者をダイレクトにつなぐ、遠隔診療や遠隔健康相談のプラットフォームとなっています。
2018年3月期第2四半期連結業績の概要
2018年3月期第2四半期連結業績の概要です。
売上収益は前年比36.1パーセント増の7億4,800万円です。株主のみなさまにもお伝えしたとおり、今期は事業投資を行う予定としているため、営業利益等については前年を下回っていますけれども、投資状況は計画どおり進んでおります。
連結売上収益推移
当期については、2018年の第1四半期、第2四半期、上期においてそれぞれ過去最高売上収益を更新中です。
売上収益変動要因
売上収益変動要因です。圧倒的に「Gaikin」事業等の医療人材サービス(の売上)が占めていますけれども、ネット医局については、いよいよマネタイズの目処が立ってきています。後ほどご説明いたしますが、今年、ネット医局内で生まれたアプリケーションをリリースしています。
遠隔診療「ポケットドクター」と、子会社で展開している医科および歯科の予約サービスのプラットフォームについては、今期に投資をして、来期以降に収益化を期待しています。
税引前四半期利益変動要因
こちらは税引前四半期利益変動要因です。 主に、売上の増加および、それにに伴う人件費が増加しています。
キャッシュ・フロー変動要因
キャッシュ・フロー変動要因です。当期はキャッシュ・フローがプラスにはなっていますけれども、「Gaikin」等の医療人材サービスの売上増に伴うキャッシュ・フローの増加が要因です。一部、投資有価証券の売却にて資金の獲得も行っており、投資効果を出しております。
事業投資の状況
事業投資の状況です。3つの新しいseeds(サービス)に投資しています。遠隔診療のプラットフォームである「ポケットドクター」。
そして子会社になりますけれども、医科および歯科のクリニックと患者をダイレクトにつなぐ予約プラットフォーム「医科歯科.com」では、コンテンツ強化、運営サイトの機能追加等を行いました。
最後、こちらは関係会社となりますけれども、微量採血検査サービスを患者(一般ユーザー)にダイレクトに提供している「Lifee」です。
こちらもいよいよ(マネタイズの)目処が立ち、製造販売認可の取得と、今年は特許関係について足元を固めて、来期以降につなげていきたいと考えています。
サービスは主にコンシューマーである患者とサービスプロバイダである医師を直接マッチングさせているものです。サービスごとに記載しておりますが、各サービスは連携するものであり、実は一体のサービスと捉えていただければと思います。
ポケットドクターの状況
ポケットドクターの数字です。予約相談サービス登録医師数は240名です。ユーザーよりも医師の方があまりに多くなりましたので、今、登録医師の募集を絞っている状況です。
登録医療機関数は470院超です。今年(2017年)3月までは無償で提供させていただいていましたが、4月以降に有償化版を発表、6月から正式導入し、営業させていただいています。
おかげさまで遠隔診療事業者初のIT導入支援業者にも認定されています。また、営業体制の強化として、販売アライアンスの強化、営業部員の増員等を図っています。
2018年3月期上期の実績①
2018年3月期上期の実績です。
主力の「Gaikin」等の医療人材サービス事業では、まず営業基盤の強化として、新たに福岡の営業所を開設しています。また、常時取り組んでいることではありますが、とにかく医師の会員数を集めるために、会員向け施策の刷新等、Webを中心に投資させていただいています。
続いて「ネット医局」です。こちらは他社が取り組んでいないユニークなマーケティングツールの1つのモデルではあり、医局との関係強化を行っています。この中に、先ほど「マネタイズの目処が立ちました」と申し上げた「FAST CALL」という災害時の緊急安否の確認アプリがあります。
大きな災害が起きたときの対策をする病院(災害拠点病院)が国内に700施設ほどあります。我々MRTは、そこに向けたBCP(厚生労働省通達の事業継続計画)のアイテムの1つとして、医療スタッフの緊急安否の確認ツールとして、大きな病院向けにクローズドでアプリを提供しています。
こちらは自治体や多くの医療機関よりお声をかけていただいており、今、導入が進んでいる状況です。こちらはアプリの販売というよりも、主力事業である医師の会員を増やすことにもつながっておりまして、我々MRTとしては医師のマーケティングツールの1つとして位置付けています。
自治体などによる利用実績として、関西圏の大規模広域災害訓練の際に、我々MRTの「FAST CALL」を使っていただきました。
2018年3月期上期の実績②
続いて、「医科歯科.com」です。繰り返しになりますが、コンテンツ収集の強化やサイトの内の投稿機能の追加等で投資させていただきました。
微量採血検査の「Lifee」です。こちらは昨年と今年にさまざまな血液検査結果のサンプリングを使い、やっと認可証を取得させていただきました。これから製造、販売につながっていくところです。
その他、事業とは直接関係のない話ではありますが、IFRS基準の導入です。こちらはM&Aやグローバル展開に向けた経営基盤の強化と位置づけています。こちらについても、例年よりコストがかかっています。
あとは、グループ子会社が増えてきましたため、今期はグループ管理システムの導入にも着手しております。
2018年3月期 連結業績の見通し
2018年3月期連結業績の見通しです。8月10日付で公表した通期予想から、現在まで変更はありません。
こちらは株主総会でもお伝えしたとおり、今年はとにかく遠隔診療の導入に最も注力し、市場の3パーセントの導入を目指します。、10万施設の3パーセントというと全国で3,000施設です。
地方にはまだまだITが進んでいないところがたくさんあり、遠隔診療に対しての理解が東京よりも高くないと言われておりますので、現状は、とくに東京に集中して拡大していきたいと考えています。
売上は3割ぐらいの上乗せとなりますけれども、そこで得た利益のほとんどを新しい事業(ポケットドクター)に投入させていただきたいと考えています。
2018年3月期下期の取組①
2018年3月期下期の主な取組です。引き続き主力事業である「Gaikin」等の医療人材サービスについては、関東一極集中ではなく全国展開に向けてしっかりと基盤固めをしていきたいと考えています。
まずは関西に活動を広げておりましたが、新たに福岡営業所も開設しましたので、次は九州エリア、中国、四国まで施策範囲を広げていきたいと思います。
Gaikin等の医療人材サービスについては、医療現場で働くみなさま、医師および看護師のみなさまにいかに認知していただき、実際に使っていただき、そして、(利用者に)広めていただくかが必要ですので、引き続き認知活動に注力してまいりたいと思います。
2018年3月期下期の取組②
ネット医局については「FAST CALL」をリリースしています。こちらも他社が取り組んでいないサービスですので、いち早く浸透させることを進めて、医師会員集めに寄与していきたいと考えています。
2018年3月期下期の取組③
医局サービス「FAST CALL」の具体的な取組ですが、2017年10月に災害訓練を実施いたしました。今月(2017年11月)については、九州エリアの国立大学病院での災害訓練に使っていただいています。
遠隔診療・健康相談ポケットドクターでは、引き続きアライアンスと営業強化、そして他社にない、医療現場の医師の声から生まれた機能を順次追加しているところです。
サービス、機能、システムについては、我々MRTが企画・アイデアを出して、パートナーシップを組んでいるオプティム社と両社で(企画・アイデアを)練り、一緒にシステムをつくっている状況であり、合わせてWebページの刷新やSEO対策等も行なっております。
子会社等の2社については、いよいよポケットドクターとの連携を来期以降に向けて、今は下地の段階で打ち合わせをしているところです。これにつきましても具体的に連携ができたあかつきには、またプレスリリースにて発表させていただければと考えています。
2018年3月期下期の取組④
その他について、既存の収益事業である「Gaikin」等のプラットフォームの全国展開、拡充に結び付くシステムの刷新等は引き続きやっていきたいと思っておりますが、今後は全国の医師とのアライアンス強化、あるいは事業者とのM&Aを含む連携等を積極的に考えていきたいとも思っています。
また、我々MRTは事業拡大に向けてとにかく社員(人材確保)が一番重要だと思っておりますので、今後も、日々採用活動に力を入れていく予定です。。
市場環境の現状と医療の未来 医師不足
最後に、市場環境の現状と医療の未来についてお話しさせていただきます。
医師不足という点については、当然医師が急に増えるわけではありませんので、まだまだ需要(医療機関)に対し、供給側(医師)の力関係が強いというところで、我々MRTの優位は変わっていないと考えています。
地域偏在(地域格差2倍)
医師の地域格差も非常に前から言われておりますけれども、2倍以上に広がっています。つまり、その地域でのターゲティングをしっかりと行って、例えば、医師不足の地域に、医師の多い地域の先生をアサインするなど、そのような営業強化も引き続きやっていきたいと考えています。
高騰する医療費(国民医療費の伸び)
医療の全体的な予算については、みなさまもご存じのとおり、医療費は非常に高騰しています。
高騰する医療費(高齢化率)
また、2040年までは疾患が一番多い65歳以上の年齢層が増えていく予定とされております。つまり、今の医療制度の仕組みの中では医療費は増えていき、医師あるいは医療従事者のなり手は、引き続き2040年までは増えていくものだと考えています。
遠隔診療の動向①
私たち(MRT,オプティム)が「民間初の遠隔診療」ということをテレビやマスコミを通じて発表させていただいたのは、今から2年前です。
公式の医療のビジネスコンテストが初めてありまして、我々MRTもエントリーして、そこで運よくグランプリを受賞し、(ポケットドクターが)広まったわけです。
当時私は遠隔診療の波が2020年頃から来るのではないかと考えていたので、その前に遠隔健康相談など、スマホやパソコン等のデバイスを使って、利用者・患者に慣れていただく施策・啓蒙活動を4年間ぐらい続けていきたいと考えていました。
まさか来年の2018年4月に遠隔診療の報酬の議論があり、導入があるとは2016年の時点では誰も想像していなかったわけです。
当時の私は「2020年頃は遠隔診療が当たり前の時代が来ていますよ」と語っておりました。医療費高騰という要因もあると思うのですが、それが政府あるいは国にも通じて、今、すごくいい流れになっています。我々MRT遠隔診療サービスのプロバイダーとしては、この千載一遇のチャンスを逃すことなく市場に浸透していきたいと思います。
遠隔診療において、診療報酬は課題の1つです。今は(対面報酬と比較して)低い状態です。今後、今までの開業医の先生や病院の先生が対面で患者さんと接するのと同じぐらいの診療報酬がつけば、提供する医師側においても、時間の効率などで確実に生産性向上につながりますので、遠隔診療が増えていくと考えています。
遠隔診療の動向②
今月、「未来投資会議」ということで、遠隔診療を推進するいろいろなルールを今後決めていく研究会が発足しました。
本当にありがたいことに、非常に著名な先生方の中で私もメンバーに選んでいただき、光栄に思っております。民間企業として初めて遠隔診療を唱えたという責任もありますので、しっかりと議論を尽くして、遠隔診療の普及に向けていきたいと思います。今月末から来年の3月ぐらいにかけていろいろな話が議論されていくところです。
未来①(ビッグデータ)
こちらは釈迦に説法ではありますが、ビッグデータの活用により、患者が自ら医師や医療を選べる時代が間違いなくやってくると考えています。とくに我々MRTは医師と医療機関のデータを持っており、。100万件ものマッチング実積がありますので、そこから発生しているビッグデータが我々MRTにあるということです。
未来②(AIディープラーニング・機械学習)
毎日のように「AI」という言葉を聞かない日はないと思います。ディープラーニングも、機械学習もそうですが、医師がAIにとって代わられるという話ではなく、AIの力を使って最終的に人間である医師の責任において診療を行うという意味で、(AIとの)組み合わせが間違いなくできる時代になってくると考えています。
未来③(VR・AR→MR)
最後は8Kの技術です。いよいよ医療現場ではいくつか出てきておりますけれども、本当にすばらしい技術です。8Kで遠隔診療ができれば、本当にリアルな現実と変わらない環境ができます。
外に行く時は病気でもきちんとした格好でなければいけないという方がほとんどだと思います。格好を気にせず治療が受けられる(遠隔診療において)病院、病室、診察室と同じような環境がつくれないかという研究についても、我々が何かお手伝いできればと考えています。以上でご説明を終わらせていただきます。