2017年9⽉期(通期)ハイライト
中村浩二氏:あらためまして、BEENOSの中村でございます。本日はお忙しい中当社の決算説明会にお越しいただきまして、ありがとうございます。
私から2017年9月期通期の決算概要、それから四半期決算の概要につきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。
まず、通期の決算概要からご説明をさせていただきます。
2017年9月期におきましては、流通総額423億円。売上高207億円。営業利益、経常利益ともに15億円。最終利益が10億円という結果になりました。
とくに前期比で営業利益、経常利益はそれぞれ25.6パーセント増、28.2パーセント増と好調に推移をしております。前期比、業績予想比、すべてにおいてプラスで着地をいたしました。
それから売上に関しましては、過去最高売上。利益につきましても、過去最高益となっております。とくに、中核事業であるクロスボーダー事業の営業利益が158.6パーセント増と、大幅な増益となっております。
流通総額の推移
次に、個別に説明させていただきたいと思います。
まず流通総額でございます。今期におきましては、期初に前年からの円高傾向を受けまして、さらなる円高予測を基に予想をしておりました。結果的には円安トレンドで推移したことで423億7,900万円と、前年比で2.1パーセント増で着地をしております。
この流通総額なんですが、若干数値の集計方法を変更しております。下の注記に記載がございますが、これまでは当社のインターネット経由の流通総額のみを集計しておりましたけれども、それ以外の(リテールライセンス部門の)卸ですとか、そういった流通の重要性が増してきたことと、これからも増加見込みであることから、それらも含めて流通総額を集計しております。
過去の実績につきましても、それらを集計して、このグラフを作成しております。修正額につきましては、欄外に注記をしている通りでございます。
売上⾼の推移
次に売上でございます。207億1,100万円。過去最高売上となっております。とくにEコマース事業は、全部門で増収となっております。
売上総利益率と販管費の推移
次に、売上総利益率と販管費の推移でございます。
売上総利益率が54.4パーセントと上昇しておりますけれども、主にはインキュベーション事業での有価証券の売却益が前年よりも利益率が高かったことで、全体の売上総利益率を高めています。
それから販管費も、若干販管費率は上昇しておりますが、クロスボーダー事業を中心に、事業拡大にともなって人員を増強している影響で、若干人件費が増加しています。
営業利益の推移
次に、営業利益でございます。
営業利益は15億700万円、前年比で25.6パーセント増となっております。こちらはとくに棒グラフのいちばん下、クロスボーダー部門が158.6パーセントということで、全体を牽引しております。
2017年9⽉期 業績予想に対する部⾨別実績
次に、期初の業績予想との比較で説明をさせていただきたいと思います。
冒頭で申し上げましたように、流通総額につきましては、円高予測であったために370億円ということで、減少を見込んでおりましたけども、結果的には114.5パーセントの達成率で、前年比でも増加で着地をしております。
売上につきましては、達成率103.6パーセント。営業利益につきましては、(連結の)達成率が107.7パーセントとなっております。とくにEコマース事業だけでみますと、123.0パーセントということで、業績予想に対して上振れをしております。
連結︓資産・負債の概況
次に、バランスシートでございます。
こちらにつきましては、営業投資有価証券のところをご覧いただきたいと思います。2017年9月期末で、25億6,800万円となっております。前期末と比べまして、新規の投資で9億5,100万円。売却による減少が2,500万円。
当社は投資先の状況を適時把握し評価を行なっておりますけれども、その引当と減損の計上で、1億4,800万円の減少。前期末に比べて円安になっておりますので、その為替変動による影響が1億8,500万円プラスとなっております。
連結流通総額の推移
次に、四半期の概要につきまして、説明させていただきたいと思います。
まずは、連結ベースの流通総額です。
流通総額につきましては、第4四半期で101億5,500万円となっております。第3四半期、第4四半期ともに、季節的には弱い四半期でございまして、前期比では全体的に減少しておりますけども、前年比では2.7パーセント増で着地をしております。
連結売上⾼の推移
売上でございます。
売上は55億6,400万円となっております。第4四半期につきましては、インキュベーション事業で営業投資有価証券の売却を行なっておりますので、その売上を9億5,900万円計上しております。
クロスボーダー部⾨の流通総額の推移
次に、中核事業のクロスボーダー部門の流通総額をINとOUT、「To Japan」「From Japan」で分けて説明をさせていただきたいと思います。
とくにクロスボーダー部門は、為替の影響を受けます。季節性があり前期比では減少しておりますが、前年比でみたときには、為替の影響もありまして、From Japanが16.4パーセント増となっております。
このグレーの折れ線グラフのところが、為替ドル円のレートになりますけども、前年と比べると円安にシフトしていることもありまして、From Japanでプラス。To Japanがアゲインストでマイナスになっております。
From Japanの売上⾼及びTake Rateの推移
次に、From Japanの売上高とTake Rateでございます。
Take Rateというのは、売上高を流通総額で割ったレートになります。こちらに関しましては、From Japanは第4四半期で18.3パーセントと、前期に比べて上昇しております。
とくに、収益性の高い代理購入サービス「Buyee」の構成比が高まっておりまして、それによるTake Rateの上昇がございます。
To Japanの売上⾼及びTake Rateの推移
一方、To Japanです。こちらに関しましては、前年と比べますと円安傾向で、アゲインストの状況になりますので、前年比でみて流通総額、売上ともに減少しております。Take Rateに関しましては、大きな変動はございません。
連結売上総利益率と販管費の推移
次に、四半期ベースの売上総利益率と販管費でございます。
売上総利益率のところは、第4四半期に有価証券の売却がございましたので、その影響で利益率が上がっております。販管費に関しましては、バリューサイクル部門(上場しておりますデファクトスタンダード)が第4四半期に関しては広告宣伝費の抑制期になりますので、その分前四半期比で販管費が減少しております。
連結営業利益の推移
次に、営業利益でございます。
営業利益につきましては、第4四半期で10億600万円となっております。前年と比べますと、15.6倍になっております。こちらは、第4四半期に営業投資有価証券の売却益がございますので、それによる影響が大きくなっております。
営業利益の推移(Eコマース事業の内訳)
Eコマース状況を、分解してご説明させていただきたいと思います。ご覧の通り四半期ベースでみますと、デコボコがございます。とくにバリューサイクル部門が、買取期と販売期と四半期ごとに強弱つけてやっておりますので、その影響で第2四半期と第4四半期が、利益ベースではのっているような傾向でございます。
第4四半期に関しましては、バリューサイクル部門は収益をあげております。一方でリテールライセンス部門に関しましては、BtoCのオンラインショッピング事業の赤字があり部門としても赤字となっております。
Eコマース事業全体でみますと、前年と比較して118.3パーセント増となっており、好調に推移していると考えております。
以上、私から通期の決算概要、それから四半期に決算概要につきまして、ご説明をさせていただきました。
当社のミッション
直井聖太氏:改めまして、BEENOS株式会社代表取締役社長の直井でございます。本日は当社の決算説明会にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。
私からは、事業別のトピックと今期の戦略。こちらの2点について、お話をさせていただきたいと思います。
先ほど中村から話がありましたけれども、前期に関しては流通総額、売上高、そして営業利益ともに増収増益というかたちで、着地をさせていただいております。これもひとえに、日頃よりご支援を賜る株主のみなさまのおかげだと思っております。
そして、改めて当社のミッションについてもお話をさせていただきたいと思いますが、当社はグローバルプラットフォームを創造するということを掲げ、事業を運営しております。
これまでのグローバルプラットフォーム構想図
事業内容としてはこちらになります。国内においては「Boost もりあげる」ということで、モノセンス株式会社が国内のeコマース事業を盛り上げるということで行っております。そしてクロスボーダーにおいては、「Connect つなげる」という役割を持って、tenso株式会社、そしてショップエアラインが事業を行っております。
そして海外においては、この「Expand 拡げる」というところで、海外の、とくにネクストチャイナと呼ばれる地域のマーケットプレイスを中心に投資育成事業を行い、ネットワークを広げております。
セグメント別ハイライト
セグメント別のハイライトになりますけれども、結果としては、クロスボーダー部門においては流通総額が213億円、そして売上高が41億円、営業利益に関しては6.7億円ということで、営業利益に関しては前年比158.6パーセント増と大きく成長しております。
続いて、バリューサイクル部門においては、年間の売上高105億円、流通総額も同様になります。そして営業利益については4.3億円ということで、こちらも36.0パーセント増と順調に成長していると言えるかと思います。
そして、Eコマース事業の最後のリテール・ライセンス部門においては、流通総額105億円、売上高50億円、そして営業利益に関しては5,600万円でした。流通総額や売上高に関しては成長したものの、一方で営業利益に関しては64.3パーセント減ということで苦戦をしておりました。
そして最後に、インキュベーション事業におきまして、売上高9.7億円、そして営業利益7.3億円ということで、前期、前々期に続きコンスタントに利益を計上させていただくことができました。
FY2017のハイライト クロスボーダー部⾨①
クロスボーダー部門の内訳に関しては、グラフにさせていただくとこういったかたちになっております。営業利益が大きく改善、そしてさらに伸びているというところをご覧いただけるかと思います。
一方で、流通総額が微増であったり横ばいとなっておりますが、当社としては、内容がまったく変わってきているということをご説明申し上げたいと思っております。
FY2017のハイライト クロスボーダー部⾨②
これは発送国別、これは社外秘でやってきた内容でありますけれども、中国を切り出してデータを公開させていただきたいと思っております。
2013年から2015年に、中国のいわゆる「爆買い」という言葉、みなさんも記憶に新しいかと思います。中国メインランドの方々が、日本商品を買い漁るという時期がございました。
当社もそういった爆買いというキーワードが出るよりも以前に、やはり中国の方々の消費が、非常に活性化をしまして、結果として中国の流通比率が非常に高いという状況にございました。
当社としてその時期に感じていたことは、その当時から申し上げていたかもしれませんが、やはり中国に依存することのリスクですね。これはもちろん、競争が激しいということもございます。法律の問題もございます。そして政治関係もあるというところもあり、当社は中国にフォーカスしないということを申し上げてまいりました。
この時期に企業様が越境ECの取り組み開始をされましたけれども、多くの企業様は、ほぼ「越境EC」というよりも中国ECですね。こちらをやっていらっしゃったというのが正しいかと思います。
その時期から、当社はインキュベーション事業、そしてこのクロスボーダーともに中国にフォーカスせず、むしろネクストチャイナにフォーカスしていく方針を申し上げておりました。
結果として、現状で流通総額210億円を超えておりますけれども、中国の比率は今19パーセントというところまで低下してきております。逆に、ネクストチャイナを中心とした新興国を中心に流通が伸びているというところが、内容がまったく変わってきたといったところのご説明になります。
そして、流通総額の推移がこちらにございますけれども、先ほど中村からも話ありましたけれども、Buyeeが伸びている。
そして流通総額が微増にもかかわらず、営業利益が非常に伸びているというところの背景としては、より高収益な、tensoサービスからBuyeeサービスへの転換。
こちらも、2年ほど前から申し上げておりましたけれども、こちらを積極的に推し進めると申し上げた結果、今では約70パーセントがBuyeeでの取り扱いというところまで伸長しております。
なぜ高収益なのかというところを端的に申し上げますと、転送サービスに関しては、商品代金の決済は入っていないんですね。いわゆる送料や手数料をいただくビジネスになっていまして、あくまで商品代金に関しては各ECサイト様でお支払いただくというサービスになっていました。
このBuyeeサービスに関しては、代理購入サービスということで、商品代金の決済というところも弊社を通じて行っております。したがってトランザクションボリュームが圧倒的に多く、マネタイズポイントが非常に多いというのが特徴であるかと思います。
そしてさらには、商品代金の決済まで入っているものですから、例えばECサイト様がクレジットカードしか対応してなくて、アリペイやPayPal、また今後も引き続き増えていくであろう各国の決済サービスに対応しなかったとしても、当社の決済サービスを通じてお買い物いただくことができる。
さらにはEコマースサイト様においては、クレジットカードの決済において、どうしても不正利用が非常に多いんですね。これは非常に問題だと思っています。
そういった中で当社が決済に入ることで、安心して海外で販売していただけるということで、ユーザビリティの改善と収益率の改善、これを同時に成し遂げたとご理解いただければと思っております。
FY2017のハイライト クロスボーダー部⾨③
そして2017年やってきた内容として、ちょっとハイライトさせていただいております。
国内の提携パートナー様に関しては、1,420サイトから1,690サイトとこちらも伸びております。特徴としてはBuyeeサービスの提供が増えているということも、あわせて申し上げたいと思います。
そして前期テーマとしておりました、国外でのPR力の強化ということで、とくに台湾においてメディア、クレジットカード会社様等との提携や、さまざまなイベントへの出展を繰り返し、認知の拡大に努めてまいりました。
そして最後、一番下でございます。ショップエアライン。これはTo Japanの輸入モデルでございますけれども、こちらに関しては独自開発したレコメンデーションです。こちらは非常に、芽が出てきております。今期以降も期待いただける部分かなと思っております。
FY2017のハイライト バリューサイクル部⾨ (デファクトスタンダード)
続いて、バリューサイクル部門に関してご説明申し上げたいと思います。こちらは昨日(2017年11月1日)行われましたデファクトスタンダード社での決算説明会において、くわしくお話しさせていただいておりますので、ここでは本当に概略だけとさせていただければと思います。
今期に関しては海外販売の体制の確立を行い、さらなる集客を実現していくというところを中心に事業展開を進めていく方針でございます。
FY2017のハイライト リテール・ライセンス部⾨①
そして、リテールライセンス部門についてお話をさせていただきたいと思います。リテールライセンス部門においては、今期、流通強化に向けた有力コンテンツの獲得ということを中心に行っていきました。
中でも、サブライセンスではなくマスターライセンスを持つということにフォーカスをしていたわけでございますけれども、「ECONECO」というブランドに以外に、この「SWATi」というキャンドルを中心としたインテリア雑貨の会社のM&Aを行っております。
前期に関しては、このブランドのリブランディングに関してかなりフォーカスをして行ってきました。そして、体制は整ってきたと言えるかと思います。
ギフトショーにも出展させていただきましたけれども、非常に多くのバイヤーの方々からお声がけをいただきまして、今期は店舗展開も含めて積極的にこのブランドを成長させていきたいと思っています。本当に、若い女性であれば、みなさんSWATiを知らない人はいないというブランドになると、私は確信して事業を推進してまいりたいと思っております。
FY2017のハイライト リテール・ライセンス部⾨②
一方でリテールライセンス部門に関しては、先ほども申し上げましたが苦戦しました。営業利益面について、とくに苦戦をしておりました。モノセンスの売上、流通の拡大というところに反して、ネットプライスは苦戦をして、部門として減益ということを発表させていただいております。
リテールライセンス部⾨(ネットプライス)
そして、このネットプライスに関してなんですが、こちらは昨日(2017年11月1日)発表させていただきましたけれども、株式会社オークファン様への株式譲渡を決定をいたしております。
背景としては、当社としては非中核的事業になっておりました。一方でオークファン様が進めていらっしゃる今後の戦略を考えたときに、非常にシナジー効果が高いと考え、今後ネットプライス事業の拡大を目指すためにはそちらの方がいいという判断の下、このような決定をさせていただいたということになります。
日程としては、株式譲渡日は2017年の12月1日を予定しております。そして今後の見通しとしては、当社の連結対象から外れるということをご理解いただければと思います。
ここまでが前期のハイライトでございます。
これまでのグローバルプラットフォーム構想図
そしてここからは、今期以降の当社の戦略についてお話しさせていただこうと思っております。
前期は、先ほども簡単にご説明を申し上げましたが、このようなかたちで事業運営を行っておりました。そして今期に関しましては、どんどん加速・進化していきたいと思っております。
これからのグローバルプラットフォーム構想図
まず国内部門において、今までは「Boost もりあげる」という言葉を使っておりましたけれども、今後の戦略をより強くするために、言葉を変えて「Discover 開拓・育成」といったミッションをもって、事業を行っていきたいと考えております。
key pointとしては、今まではエンタメ領域へのEコマースでの支援・グッズの販売を中心に行っておりましたけれども、今期以降はサブカル領域への展開というものを進めていきたいと思います。この領域では、新事業を創っていきたいと考えております。
なぜサブカル領域なのか? というところのご説明でございます。
国内でEコマース事業を盛り上げるという側面もあるのですけれども、やはり今後の海外展開を考えた際、私どもは今までも、コンテンツを海外に持っていくというお話をさせていただいておりました。
このコンテンツを考えた際に、海外から非常に興味を持っていただけるコンテンツ、それはやはりサブカル領域だと考えております。
例えばエンタメ領域においては、みなさんもご存じだとは思いますけれども、やはり東南アジアを中心としたアジア各国においては、日本のエンタメのパワーよりも、どうしてもK-POPを中心とした他の国々のパワーが強いということが、率直な印象でございます。
そしてそれは、日本においては若干停滞気味ではありますけれども、アジア各国においては、まだ非常に高い水準であります。
その一方で、日本のコンテンツの中心となってきているのは、サブカル領域でございます。当社は、このサブカル領域でコンテンツを持っていらっしゃるさまざまな方々とパートナー関係を組みながら、日本国内でも喜んでいただけるサービスをしっかりと構築し、そういった方々のネットワークを広げて、ゆくゆくは海外につなげていきたいと思っております。
そしてクロスボーダー事業においては、今までは「Connect つなげる」ということをミッションに事業を行っておりました。したがって、例えば物流というサービスをどうするのか。そして決済サービスをどうするのか。そういったところを中心に、事業を構築してまいりました。
今期以降はこれを、「Advance 促進する」というミッションに変えていきたいと思います。ただつなげるだけではなく、よりそのマーケットを促進するために、さまざまな取り組みをしていきたいと思っております。
ここでは、key pointを3つ挙げさせていただいております。
1つ目が、物販アービトラージ。2つ目が、送料事前確定モジュール。そして3つ目が、バーティカル構想。この3つのポイントを持って、進めていきたいと考えております。こちらの内容については、後ほどくわしくご説明させていただければと思います。
そして最後に、「Expand 拡げる」というものがあります。今までは海外・新興国のマーケットプレイスを中心に投資・育成関係、そしてネットワークを拡げるということのみを行っております。
今期以降は、越境BtoBにもチャレンジしていきたいと思っております。今まで当社は、BtoCという立場でいろいろなコンテンツや商材を販売するということに留まっておりました。
しかし今期以降は、BtoBのネットワークを構築していく。そして、ネットにこだわらずリアルも含めて、流通展開をしていきたいと考えております。こちらは、後ほどくわしくお話しさせていただければと思います。
FY2018の戦略 クロスボーダー部⾨①
まず最初に、クロスボーダーのポイントとして挙げさせていただきましたのは、こちらの「物販アービトラージ」というものであります。
この「アービトラージ」という言葉は、金融業界にいらっしゃる方々はよくご存じだと思います。為替等、さまざまなところで、利鞘を取りに行くというモデルになっております。
この「物販」という場においても、アービトラージがありえると当社は考えています。当社は今まで、クロスボーダービジネスをずっとやってまいりました。From JapanもTo Japanも、両方を持ってクロスボーダービジネスをやっている、ほぼ唯一の企業だと思っています。
そういったことをやっていく中で、当社は先ほど(お話ししたとおり)「Buyee」事業を行い、商品購入代行の決済にも入ることで、実際に「誰が何をいくらで買っているのか」「何が今どこで売られているのか」ということの重要性を非常に感じました。
そしてまた、流通が伸びるきっかけとなった際に、いわゆるアベノミクスや円安が起こり、結果として流通が非常に伸びる。こういった為替影響による変動というものも、つぶさに見てまいりました。
おそらく爆買いがリアルに起こってくるというよりも、まずはネットで起こるという兆しがあり、それが拡がっていくんだということを、我々は実感値として持っております。
今後は、当社が持っている購買動向データと、さまざまな提携をしている海外のプラットフォームのEコマースのデータをすべて分析し、今どこで何が売られていて、どの地域に販売していると利鞘が取れ、収益が上がるのか。こういったところにフォーカスして、分析していきたいと思っております。
そして、その背景にあるAI技術に投資していきながら、解析を行い、さまざまなところに提供していきたいと思っております。
もちろん海外のマーケットプレイス、いろいろな企業の方々がご商売をされています。
Alibabaさんが成長されたときも、(グループ傘下・中国、アジア最大の小売ショッピングサイト)taobaoのことを思い出していただきたいのですけれども、あの時は個人の方と法人の方との区別がつかないような、いわゆるスモールBと呼ばれるような方々が、商売を活性化させていたわけですね。
そういった方々が、これから日本のもの、アメリカのもの。そして中国のものを自国の商売につなげていく。そういった際に、「どういうところで仕入れればいいのか?」という場合に、お使いいただければと思います。
一方で、消費者の方々が実際に商品を買う際に、日本から買った方がいいのか、アメリカから買った方がいいのか、それとも中国から買った方がいいのか。そういったことを比較・検討する時代は近づいてきていると、私どもは考えております。
今現状で、そういった行動をされている方々は、ごく一部だと思います。しかし今後は、クロスボーダーEコマースというものが、世界的に標準化していく時代においては当たり前になっていくと、当社は考えております。
そういった世界を私どもとしては実現していくべく、私どもは各国に倉庫等を持ち、そういった事業を行っているからこそ提供できる、価値あるデータだと思っております。ここに関してはしっかりと伸ばしていきながら、今後の戦略の中心とさせていただきたいと考えております。
FY2018の戦略 クロスボーダー部⾨②
ここからは、「送料事前確定モジュールの確立」についてお話しさせていただきます。
今まで当社が提供していたクロスボーダーサービスにおいて、送料・関税は、お客様が商品を購入したあと、(商品が)倉庫に到着して初めて、送料が確定するというモデルでやっておりました。
つまり、商品をご購入いただいたあとに、「送料が2,000円かかるんだ」「3,000円かかるんだ」といった、お客様にある程度のリスクを負担していただきサービスを提供してきました。逆に言えば、それでもこれだけの流通があるとご認識いただければと思います。
ここを、私どもとしては今期、事前に送料がいくらかかるんだということを確定してお伝えする。そういったモジュールの開発を進めております。
これは当然なのですけれども、例えば100商品、1,000商品ぐらいを扱っているだけであれば、商品の重さを量って送料を割り出すということはできると考えております。
しかし当社では、例えばTo Japanビジネスで言えば、eBay様がアライアンスパートナーでございます。非常にたくさんの商品がございます。そういった商材を、基本的には事前に送料を確定するということでやらせていただいております。
こちらに関しては、先ほどからキーワードが出ておりますAI技術を駆使し、(送料を)事前に確定できる。そしてその精度を早く高めていくことに、着手したいと考えております。
これにより、今商品をご購入いただいている方々の利便性は、結果として飛躍的に上がるかと考えております。
そしてさらには、先ほど申し上げたアービトラージ。
物を買う際の比較といったときには、当然商品代金だけではなく、クロスボーダーになればなるほど、送料という要素が重要になってくると考えております。この送料事前確定モジュールを確立させることで、さらに当社の価値は上がってくると考えております。
そして、今後はこれを送料だけではなく、関税といった分野にも拡げていく方針でございます。これは恐らく、送料の分野で実現することができれば、関税の分野でも自ずと実現することができると考えております。
これに関しては、上期早々にリリースをさせていただければと考えております。
FY2018の戦略
そして最後に、バーティカル構想でございます。
当社は今まで、クロスボーダー領域においては、本当にオールジャンルで商材の販売を行ってまいりました。
しかし今後、掲げたミッションである「Advance」というところを進めるにあたっては、さらにバーティカルに、ユーザー特性・顧客ニーズにあわせた付加価値の高いサービスを提供していく必要があるかと考えております。
こちらはEコマース業界をウォッチされている方であれば当たり前の話かもしれませんが、例えばファッションであれば、ファッションを売るのに適したUI・UXがあり、ファッションを売るのに適した梱包の仕方があります。そのようにバーティカルに切って、ユーザーにとってより利便性の高いサービスの実現に着手していきたいと考えております。
FY2018の戦略 越境BtoB
そして、最後にExpandのところで申し上げた、越境BtoBでございます。こちらに関しましても、日本のコンテンツ商材を海外にどんどん広げていくという話をさせていただきましたが、こちらはネットに限らず、そしてBtoCに限らず、当社が海外での販売能力を高めていくことにより、日本の企業様やコンテンツホルダーの方々にとっての当社の価値が高くなると考えております。第一弾は、台湾企業の日薬本舗様というパートナーとの提携を2017年10月16日に発表させていただきました。こちらはあくまでも第一弾だと思っていただければと思います。
日薬本舗様というのは、もしかしたら日本の方はあまりご存じないかもしれませんが、台北に旅行に行ったことがあれば、絶対に看板を見たことがあると思います。台湾では新興のドラッグストアとして、非常に勢いのある会社様でございます。日本の商品を専門に扱っていらっしゃるドラッグストアでございます。
週末に行くと、中国からの観光客や現地の方々など、非常に多くの方々がお買い物をされているのですが、こちらの会社様の強み・特徴は、新興勢力であるというところもあるのですが、1つ大きいのは、台湾で流通している日本のドラッグ商品のライセンスをこちらの会社様が抑えていること。そして自社の小売だけではなく、さまざまなストアやモールに卸売というかたちで展開しているところでございます。
当社としても、先ほどの物販アービトラージやさまざまな活動を通じて、日本のコンテンツを抑えていきたいという話をしておりますけれど、このような商材の展開をする際に、台湾でのパートナーとして日薬本舗様にお願いをしたいと思っております。
第一弾としては、当社がマスターライセンスを持っている「ECONECO」の展開を通じて、台湾でどのように成功していくのかというところに関して、見通しをつけていきたいと思っております。そして今後はこちらをさらに拡大していきます。国の拡大も商材の拡大もしていく方針で進めていきたいと思っております。
FY2017のハイライト(インキュベーション事業)①
続いて、インキュベーション事業についてお話をさせていただきます。(2017年の)インキュベーション事業のハイライトでございます。本当にさまざまな国や企業に投資をしておりますので、本日はその中からかいつまんで2つご説明をさせていただきたいと思っております。
こちらは先般から少しご説明をさせていただいておりましたが、インド最大の自動車取引オンラインマーケットプレイス「Droom」についてです。こちらは前期に大きく成長しております。
あらためてご説明させていただきますと、こちらのDroom社は新品、中古の自動車(二輪バイクも含む)をオンラインで取引するマーケットプレイスでございます。つまり、メディアではないということです。この中でトランザクションが完成しているマーケットプレイスの事業になっております。
強みをこちら(スライド)に記載させていただいておりますが、独自のアルゴリズムに基づく価格DB(データベース)です。こちらは中古事業で非常に重要なものになりますけれども、独自の価格DBをすでに構築して、流通を広めることによりそのDBを強化しています。さらに、インド全域に行き渡る車検ネットワークをすでに構築しております。
さらに、中古車履歴管理です。中古車にはどうしても嘘やごまかしが発生します。かつての日本でも問題になっていたかと思いますが、そのような中古車履歴管理をすでにシステムとして行なっています。
最後が一番大きいのですが、インドは昨年、金融でいろいろな問題がありましたけれども、その時期にとくに喜んでいただいたのですが、中古車ローンの提供をすでに行なっています。つまり、マーケットプレイスだけではなく、マーケットプレイスが伸びるのに必要な金融サービスに関してもすでに着手して、評価をいただいております。
結果として、9月の月間取引量(GMV)はすでに59億円を超えております。直近の状況(2017年9月時点)はこちら(スライド)に書かせていただいておりますので、詳しくは資料をご覧いただきたいと思います。
インドの2輪も含むオート市場は、世界第3位の規模にまで成長しております。インドに行った方々はよくおわかりだと思いますけれど、まだ決して裕福なところまではきていないと思います。自動車業界におけるオンライン普及率は0.5パーセントということで、非常に巨大なマーケットの中で、ものすごく伸びしろがある巨大市場であると言えると思います。その中で、すでに月間59億円の取引量があるというところで、当社としても非常に期待しているマーケットプレイスになるかと思います。
FY2017のハイライト(インキュベーション事業)②
こちらもすでにご存じかと思いますけれど、インドネシア最大のマーケットプレイスであるTokopediaでございます。こちらは先般発表させていただきましたけれど、2017年8月に中国のAlibaba社から総額11億米ドルの調達を発表しております。当社は2012年に投資をさせていただいております。
ポイントとして申し上げたいのは、当社はネクストチャイナと呼ばれる地域のいろんな状況をつぶさに見ているのですけれど、いま中国から(資金が)大量に流入してきております。中国での成長を果たした企業の方々が、インドも含めた東南アジア地域での投資や育成に乗り出してきております。当社の一番のポイントしては、こちらのTokopediaもそうなのですけれど、中国企業よりも先に行けているというところです。もう今行っても遅いということです。
みなさんも感じていらっしゃると思いますけれど、今後、日本がチャイナマネーに勝つことはおそらくないと思います。そのような中で、当社は中国マネーが動くよりも先に投資活動を行なっている。こちらが一番大きいポイントだと思います。今後はこのような企業の育成をさせていただきながら、価値の最大化に努めていきたいと思っております。2017年度のインキュベーション事業の実績は、売上高9.7億円、営業利益7.3億円というところで着しております。
F2018の戦略 インキュベーション事業
インキュベーション事業(新規事業)に関しては、こちらも先般発表させていただきましたが、新規事業の開発に特化した新会社「BeeCruise株式会社」を設立させていただきました。こちらの目的としては、当社のグローバルプラットフォーム構想をより加速させるための新規事業を積極的に創出していきたいと思っております。
もう1つ、投資育成に関しては、国内のインバウンド関連事業を展開する企業に積極的な投資を行い、このような企業の方々のネットワークを活用し、それぞれが相乗効果を発揮できるようなかたちで成長を後押ししていきたいと思っております。
最後に売却方針でございますけれども、適切なタイミングを見て、営業投資有価証券の売却を実施していくという方針は変わらずに行ってまいりたいと思っております。
今後の見通しと利益還元 FY2018流通総額計画
今後の見通しと利益還元についてご説明させていただきます。
まず今後の見通しに関して、こちらが流通総額のグラフになっております。今期から業績予想に関しては非開示とさせていただき、流通総額のみを参考として発表させていただいております。
背景としては、インキュベーション事業の売却益の発生時期と金額を事前に見積もり発表することが合理的ではないと判断させていただき、Eコマース事業の成長性を表す流通総額を発表させていただきたいと考えているところでございます。
2018年においては、今期は流通総額430億円での着地を予想しております。こちらは先ほどご説明した、ネットプライス譲渡による減少を考慮したうえでの数字であるとご理解いただきたいと思います。
自己株式の取得
こちらも昨日(11月1日)に発表させていただきましたが、自己株式の取得を実施したいと思います。取得する株式の総数は10万株を予定しており、株式の取得価額の総額は1億5,000万円を予定しております。取得期間は、平成29年11月2日から平成30年1月31日を予定しております。
2018年9月期 配当予想
続いて、配当に関してでございます。前期は当社が東証一部に上場させていただいたということで、記念配当を実施させていただきましたが、今期に関しましては記念配当を除いた前期と同額の配当を計画しております。
私からの説明は以上です。
<続きは近日公開>