Yahoo!株価予想達人×億トレーダーに学ぶ投資戦略
大橋ひろこ氏(以下、大橋):みなさん、こんにちは。フリーアナウンサーの大橋ひろこと申します。そして、中原良太さんとカグラさんです。よろしくお願いします。
中原良太氏(以下、中原):よろしくお願いします。
カグラ氏(以下、カグラ):よろしくお願いします。
大橋:今日は私がモデレーターとして、お二人のトレード手法を根掘り葉掘り聞かせていただきますが、まずは自己紹介をさせていただきます。
私はフリーアナウンサーですけれど、ラジオNIKKEIなどで番組を持っています。ただ、ザラ場(寄り付きから引けまでの間の取引時間)は担当していなくて、だいたい夕方から夜の番組です。
FXやコモディティ系が多いので、株取引をされている方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、Twitterやブログでは自分のポジションを書いて公開しています。
今日は私自身が個別株もしておりますので、お二方に知りたいことをたくさん聞けるチャンスだと思って、大変楽しみにしてきたイベントです。よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
自己資金250万円で始めた株式投資
大橋:では、お二人に自己紹介をいただきたいと思います。まずはカグラさん。
カグラ:カグラと申します。今日はよろしくお願いします。
大橋:株式投資を始めたのはいつですか?
カグラ:僕が株式投資を始めたのは2005年ですね。
大橋:まだリーマンショックの前ですね。
カグラ:そうですね。2000年頃に株を始めようと思ったタイミングがありまして、その時に大手証券会社が手がけるオンライン取引サービスがあったんです。
大橋:はい。
カグラ:手数料を調べたら、確か1回買うのに8,000円、1回売るのに8,000円で、お金もそんなにあるわけではなかったので、「ちょっと無理だな」と思って5年経ちました。
2005年頃は手数料が安くなっていて、とあるネット証券で1万2,000円で無制限の売買ができてしまうということで飛びついたのが最初ですね。
大橋:最初に株式投資を始めようと思った時は、まだネット証券があまりなかった時代ですか?
カグラ:あったのかもしれないんですけど、僕は見つけられなかったですね。
大橋:その時の自己資金はいくらだったんですか?
カグラ:250万円を使いました。僕が学生の頃は、スロットですごくお金が稼ぎやすい時期だったんです。今だとスロットで儲けるのは難しいんですけど、それで作った貯金がたまたまありました。
大橋:スロットで250万円作ったというのがすごいですよね。
カグラ:そうですね。ただ、どうしても月に20万円ぐらいは生活費で使ってしまうので、稼いでもなかなか増えない辛い状態を2年ぐらいかかって抜け出して、2007年頃にようやく1,000万円になりました。
大橋:資産が1億円になったのは何年頃ですか?
カグラ:2013年ですね。その年はまだ2,000万円ぐらいしかなかったんですけども、ソニーやケネディクス、ガンホーなど、アベノミクスに乗ってすごい勢いで上がる株が多かったので、おかげでどうにか……というところです。
大橋:そして今もその資産を安定的に運用していると。
カグラ:そうですね。
大橋:ありがとうございます。トレード手法については、後ほどうかがっていきたいと思います。
株初心者の大学生がYahoo!ファイナンス・株価予想の達人へ
大橋:では、今度は中原さん。
中原:はい。
大橋:中原さんはIQ上位2パーセントが入会できるMENSA(メンサ)の会員なんですね。テレビでしかそういう話を聞いたことがなかったので、実際にお会いしてビックリしました。
中原:ありがとうございます(笑)。
大橋:株式投資を始めたのはいつですか?
中原:株式投資を始めたのは、当時大学1年生の2009年かな? リーマンショックが起きた翌年ですね。
大橋:よくあんな時に始めようと思いましたね(笑)。
中原:そうなんですよ(笑)。高校を卒業して、大学生になりたての時期でした。
大橋:まだ子供じゃないですか(笑)。
中原:そうなんですけれども。その時期って、お金がほしくなる時期でもあると思うんですね。アルバイトをいろいろしてお金を稼ぐようになって、「まだ足りない!」「もっと遊びたい!!」と欲が高まってきて……。
大橋:(笑)。
中原:アルバイトって時給制じゃないですか。頑張っても「1時間働いていくら」というように先が見えてしまうんですけど、株は努力次第で上限がわからない、先が見えない夢のあるものだなと思って、気軽に始めてみたのが最初でしたね。
大橋:大学生で株を始めたということですね。最初はどのような手法だったんですか?
中原:今とはまったく違いますね。当時はウォーレン・バフェットさんという「世界一の投資家」「バリュー投資の神様」と言われている人の本をとにかくひたすら読みあさって、決算書とにらめっこして、「この会社の成長性はどうだ」「割高か割安か」と考えながら銘柄を一つひとつ選んでいました。
大橋:究極のバリュー投資ですね。
中原:そうですね。いい銘柄を安く買うことを目指して取引をしていました。
大橋:それはうまくいったんですか?
中原:当時は相場が戻ってきていたので、それに合わせて年利10パーセントとか、20パーセントとか……まあ無理せず淡々と。
大橋:初心者の大学生にしては優秀ですね。
中原:運がよかったんです(笑)。
大橋:今はYahoo!ファイナンスの株価予想の達人ということで、去年は株価予想パフォーマンス+1,024.4パーセントで第1位。
中原:はい。
大橋:その株価予想の手法は、バフェットさんの手法とはぜんぜん違うんですか?
中原:ぜんぜん違いますね。こちらは「システムトレード」と言われている取引スタイルがあって、たくさんのデータを集めて、昔うまくいった方法を同じように淡々と行って利益を狙いましょうというものなんです。
大橋:システムトレードで+1,024パーセント。
中原:そうですね。
カグラ:僕は以前から中原さんのことを知っていて、まさかこんなにお若い方だとは思いませんでした(笑)。
中原:ありがとうございます(笑)。
大橋:カグラさんもネットではあまりお顔を出されていませんよね?
カグラ:そうですね。Twitterではヨッシーの着ぐるみをかぶっています(笑)。
中原:かぶってましたね(笑)。
大橋:あのアイコンしか見たことがなかったので、こんなにイケメンだとは……(笑)。本当にビックリしました。
消費者金融の株を大量買いした結果…
大橋:では次に「お二人の手法はぜんぜん違うのか」ということで、中原さんは今、システムトレードがメインいうお話でした。カグラさんはいかがですか?
カグラ:僕はどちらかというと、デイトレードになりますね。先ほど、中原さんが「ウォーレン・バフェットの本を読んでトレードを始めた」と聞いた時に、ちょっと衝撃を受けました。僕は「ダイエーが優勝しそうだからダイエーの株を買ってみる」みたいなところから始まりました。
(会場笑)
大橋:ニュースとか、自分の生活の中で(投資判断を行う)。でもそれが株の王道と言えば王道ですよね。
カグラ:試合に勝つと上がるんですけど、すぐ戻ってきたり。そういう失敗を踏まえて、「何が動く銘柄なのかな?」とつきつめて、「みんなが見ている株を買おう」と思ったのが最初でしたね。
大橋:今は成功されているお二人ですけど、失敗体験はありますか?
カグラ:僕が最初に大きな失敗をしたのは、消費者金融の株が全般的にものすごく下がった時期がありました。
大橋:はい。
カグラ:例えば、アイフル、オリックス、武富士などがものすごく下がって、かなり下がるのを待ったんです。それでアイフルとオリックスの株を大量買いしたその日に、アイフルの上場疑義が出まして。
大橋:買った日ですか! 天才的ですね(笑)。
カグラ:当時あった1,000万円の半分ぐらいをアイフルに突っ込んでいました。それで次の日にストップ安に張り付きをくらいまして、だいたいマイナス200万円ぐらいですかね。
大橋:売るに売れないという。
カグラ:オリックスは一応買ったところまで戻ってくれたので、そちらの損はなかったんですけど、ひどい結果になってしまいました。
大橋:そういう失敗もあったということですね。
カグラ:はい。
投資商材の詐欺で全財産が空っぽに
大橋:中原さんは何か思い出したくない失敗はありますか?
中原:いろいろあるんですけど、大きな転機になったのは、投資商材の詐欺に遭ったことですね。
当時大学生で株を始めて、初心者を狙った投資詐欺がすごく多かったんですね。「このDVDを50万円で買いませんか?」みたいな。そのDVDをみんな借金して買うんですよ。 正確に言うと詐欺ではないんですけど、マルチまがいのような感じです。それで僕はほぼ全財産がなくなりました。
大橋:えー!
中原:それまで3年くらいかけて、地道にバイトして貯めた200万円がすっからかんです。ただその商材は、システムトレードの商材だったんですよ。
大橋:もしかして、そこでシステムトレードに出会ったんですか?
中原:そうなんです。それで「これはちょっと勉強してみよう」と思って勉強し始めて、その翌年にYahoo!ファイナンスの株価予想の達人になりました。
大橋:えー!? 早っ!
カグラ:本当に元取っちゃいましたね。
中原:そうですね。悔しさをバネに、という感じですね。
大橋:転んでもただでは起きなかったというのが普通の人とは違うのかもしれないですね。
カグラ:すごい。
大橋:これだけ成功している方でも、失敗して本当にお金をいっぱい無くした 経験があるとわかれば、私たちも明日からの希望が見えてくる気がしますね。
億トレーダー・カグラ氏の投資手法
大橋:では次に、カグラさんのトレード手法を教えていただきたいなと思います。デイトレというと、ほとんどその日で決済するんですか?
カグラ:僕の場合は、わりとスイングすることもあるんですけど。比較的多いのは、例えば、今年の4月から6月頃にかけて、ゲーム株がだいぶ盛り上がっていたと思います。
例えば、サイバーステップのように、あるきっかけで赤字会社が黒字になるとします。業績予想でもかなり高い数字が出た時に、その銘柄だけ盛り上がるのではなくて、アエリアとかアカツキとか、他のゲーム株もいい業績が出るんじゃないかと。業界全体で盛り上がっている時というのは、そのトレンドがなかなか崩れません。
毎日分足・日足チャートを見ていて、こういうタイミングで買えばいい株。出来高のある株というのは、すごくきれいな日足チャートを描くことが多いです。だから、そのトレンドが崩れるまでとか、次の決算が出るまではある程度長いスパンで上昇を描くことが多いと思います。
そういうところで部分的にいいところで入れれば、3日ぐらい持って高値を狙うこともありますし、「買った場所、失敗したな」と思えば、結果デイトレになってマイナスになったり、少しだけプラスになったりで逃げることもあります。
大橋:スイングというのは数日ですか? 本当に日足でいい形の銘柄は、もっと長く上がることもありますが?
カグラ:理想は次の決算を目標にしているので、そこまで持てればいいんですけど、僕はけっこうビビりなので、ある程度上がったら半分は利食って、半分は利食って……とやっていたら、結局なくなってしまいます(笑)。
大橋:利食いをし、収益を確保しながら、少しポジションを残すこともあるというイメージですか?
カグラ:そうですね。なので、売ったところよりも高いけど、また頑張って買い直すということもやっています。
大橋:「高いところでも、いい株だったらまだいける」と踏むこともあるということですか?
カグラ:そうですね。例えば、決算を3ヶ月後に控えている場合は、1回落ち着いて、またあるタイミングで上がって始まってというように、自分で売ったところよりは高いんですよね。ただ、目標になっている期限はもっと後なので、そこは辛くても追いかけて買っているというところですね。
大橋:自分が手仕舞っているところより高くなっていると、心理的にはなかなかもう1回買いに入りにくいということがありますけど。
カグラ:そうですね(笑)。
中原:買う時はその辛さを乗り越える何かがあると思うんですけど、そういう時はなぜ買えるんですか?
カグラ:そうですね……。例えば、他のゲーム株が強いからとか、まだこのトレンドが終わっていないからとか、あとは実際のランキングに反映されているとか。
例えば、アカツキの場合でいうと、バンダイと「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」というゲームを共同開発しているんですけど、実際にバンダイの決算もよかったというベースがあれば、さらに上を狙えるとか。
大橋:複合的な期待という意味で、提携している会社の業績をチェックしているということですね。
カグラ:そうですね。
大橋:デイトレって板読みの人もいれば、スキャル的(スキャルピングトレード:数秒、数分で売買するような超短期売買)な人もいるかと思いますが、業界全体のムードとか、総合的にいろいろチェックは必要ということですね?
カグラ:そうですね。やはり板だけとか、日足だけでできるものではないので、僕は一応全部チェックしています。
銘柄の“爆発力”を見極める
大橋:では、その「全部」のどのようなところを見ているかを一つひとつ聞いていきたいと思います。まず銘柄を選ぶ時は、何をきっかけにその銘柄に触れるのでしょうか?
カグラ:一番最初のきっかけは、やはり自分の身近にあるものです。僕の場合、ゲーム株が入りやすかったのは、自分でランキングのチェックができたり、自分で遊んでみておもしろいかどうかがわかるので。そういう入口は入りやすいと思います。
大橋:ランキングを見るということは、人気があるとか、売買高とか出来高があるということですか?
カグラ:はい。やはりランキングが株価に反映されているかどうかというのは、日足に出てきますし、あとはTwitterを見ていると、そのゲームのランキングが上がったら、実際に売買代金が増えているということが広まっています。その時には「遅いかな」と思うこともあると思いますけど。
大橋:Twitterに書かれると「もうみんな買っちゃってるんじゃないかな」と思いますよね。
カグラ:そうですね。ただし、例えば決算が出て、まだ株価的に2倍いっていないという場合であれば、まだ爆発力はあると思います。
本当に個人に人気の株というのは、株価2倍、3倍、4倍と増えていきます。なので、その先が見えるのであれば、高いところからでも買うとか。
大橋:高値更新というところでも、決してチャート的な押し目ではなくても買う時もあるということですね?
カグラ:そうですね。
大橋:「まだ爆発力があるかもしれない」という見極めとして、日中に板は見るんですか?
カグラ:そうですね。日中は板をかなり大事に見ています。本当に強い株というのは、すごく下がっても、戻す力も強いんですよね。ほしい人が控えているから戻すという。
それは板に出てくるものなので、「高値であっても上を買っていくということは、人気の株なんだな」ということを、分足チャートや1日の板を見て考えることはあります。
大橋:その勢いというのは、毎日見ないとわかってこないものですか?
カグラ:そうですね。やはり毎日見て、自分で「ここで入らなきゃな」と積み重ねて、次の日に活かすということを日々やっています。
損切りのタイミングは「最短でも15分」
大橋:ありがとうございます。出来高を見て、分足チャートを見て、さらに板を見て手仕舞う瞬間を見極めるということですが、利食いと損切りはどのような考え方でやっていらっしゃるんですか?
カグラ:僕のトレードというのは、けっこう勝率が悪いんですよね。
大橋:そうなんですか?
カグラ:だいたい4割〜5割ぐらいしかないと思います。
大橋:では損切りが早いということですか?
カグラ:そうですね。損切りは入ったタイミングで「こういう状態になったら売ろう」と決めています。
例えば、人気の株があって、昨日はストップ高で終わったけど、その日はギャップダウン(※前日の終値よりも当日の始値が安く寄り付くこと)で始まったとします。それで、勢いがある株というのは、マイナスで始まってもすぐプラスになろうとするんですよね。
大橋:はい。
カグラ:例えば、前日比±0のところで買いましたと。ただ人気の株であれば、買った瞬間はなかなか下がらないと思うんですよね。やはり「プラスになったぞ、買うぞ」という人が多いと思うので。そういう時は、最低でも15分ぐらいはその位置で揉めるというか。
ただし「±0のところで買ったのに、瞬間でヒゲついたぞ」となると「何か違うな」と感じ始めて「15分たったら売っちゃうかな」と決めます。
大橋:そういう時は、もうすぐに15分で売ってしまうんですか?
カグラ:そうですね。自分の思ったことが実現しない場合は売ってしまいます。
大橋:なるほど。それはみなさんもわかりますよね? 買った時に「こうなるだろう」というイメージがあって買うはずですから。そうならない時は、もう15分で切ってしまうという。
カグラ:そうですね。
中原:かなり早いですね。
大橋:早いですよね(笑)。
中原:15分間ずっと追い続けて、上ヒゲがついたら(イメージとは)違うということですか?
カグラ:その時というのは、たぶん±0のところに買いも入るんだけど、売りもいっぱい出てくるんですよ。「あれ? ここで売られるはずがないのに、売りがいっぱい出てくるぞ」というのをまず見ています。
中原&大橋:うんうん。
カグラ:もし僕の判断が早ければ、たぶん5分で切れるはずなんですよね。でも、だいたい15分持って上ヒゲがついて売る時というのは、僕がけっこうくらってる時ですね(笑)。
中原:じゃあ15分でも遅いんですか?
カグラ:そのタイミングのトレードは遅いですね。
利食いの基本は「自信がある銘柄に厚く張る」
大橋:損切りはそのようにパパッとやるから勝率があまり高くないということですが、それでも資産を積み上げてきているということは、収益は大きく伸ばすという手法でしょうか。利食いはどのように考えているんですか?
カグラ:利食いはけっこう難しいんですけど、自分に自信がある銘柄に厚く張るというのが基本手法です。
大橋:厚くというのは、たくさん買うということですね。
カグラ:そうですね。金額を多く入れるという意味です。
大橋:そうすると、レバレッジが高めになるということですよね?
カグラ:そうですね。ただ資産をフルで張ることはあまりないので。
大橋:どのくらいですか? 例えば10の資産があった時に、「全力でいっている」というのはどのくらいの状態ですか?
カグラ:昔はヤンチャだったので、(レバレッジをかけて)12とかだったんですけど(笑)。
大橋:(笑)。
カグラ:今だと6ぐらいですかね。
大橋:6ぐらいが全力の状態。
カグラ:そうですね。
大橋:普段はもっと少ないんですか?
カグラ:普段は板に対して影響を与えることがあるので、あまりたくさん入れることはありません。
中原:株数が増えちゃうから?
カグラ:そうですね。
大橋:言ってみたいですね(笑)。
中原:言ってみたいですね(笑)。
カグラ:そんなことないでしょう。中原さんも……。
中原:「僕のせいでちょっと株価動いちゃったな」って言ってみたいです(笑)。
大橋:全力でいく時というのは、本当に自信がある時ですよね?
カグラ:そうですね。もうくらう覚悟でいく感じですね。
リーマンショックはどう乗り切った?
大橋:2005年から株式投資をスタートしたということで、2008年にリーマンショックがありましたが、そこは大丈夫だったんですか?
カグラ:僕はリーマンショックの下げ相場を、ひたすら買いでやってたんですけど……。
大橋:それは……(笑)。
中原:地獄じゃないんですか? 大丈夫だったんですか?
カグラ:ビックリするんですよ。昨日ストップ安で買ったのに、次の日に平気でギャップダウンするんですよね。
中原:なりますね(笑)。
大橋:あの時はそうです(笑)。
カグラ:でも「あれ? やっぱり(株価が)戻ろうとするぞ」というところで、もう1回倍プッシュして、なんとか±0で逃げてということをやって、その月はプラスで乗り切りました。
大橋:すごーい! 下げ相場を買いでなんとか乗り切ったと。
中原:すごいですね。耐えきったんですね。
カグラ:でも、あれはちょっと衝撃でしたね。やっぱり売りから入れることを知っていたら、どれだけ儲かったんだろうなという。
大橋:当時はまだ空売りはしてなかったんですか?
カグラ:当時、空売りは知らなかったんです。今は逆に空売りをして負けている感じなので、あまり売りをしたくないんですけど(笑)。
大橋:売りが得意ではないんですね。
カグラ:そうですね。「売りって難しいな」というのは、僕の永遠のテーマですね。
大橋:買う銘柄を探したほうが楽ということですか?
カグラ:そうですね。やっぱり会社って業績を上げるためにいいIRを出すじゃないですか。業績を下げるためのIRって出てこないんですよね(笑)。
大橋:不祥事は時々出てきますけどね(笑)。
中原:会社以外のところから出てきますからね。
カグラ:そうですね。
デイトレードの強みと活かし方
大橋:なるほど。中原さんは空売りは?
中原:空売りもしていますね。ただ、長期はそんなにないですね。デイトレードは朝一に空売りして、引けで手仕舞いするというのがすごい得意なんですよ。
大橋:それもシステム化しているんですか?
中原:そうですね。「寄り付き天井、引け安値」という相場格言があると思うんですけど、相場は朝一が高くて、夕方にかけて下がっていく傾向があって、統計的にもそのとおりなんですよ。
大橋:へえー。
カグラ:確かに僕は体感でそういうことを感じるんですけど、やっぱりデータを取って売買に活かせるのは強いと思いますね。
大橋:体感では感じるけど、はたしてどの銘柄の相性がいいのかと迷うことがありますよね。
カグラ:そうなんですよね。
寄り付き前の板読みは役立たず?
大橋:逆に中原さんから、カグラさんのデイトレ手法について聞きたいことはありますか?
中原:一番聞きたかったのは、どんな1日を過ごしているのか。朝起きてから、相場に臨む9時までに何をやっていて、相場が始まってからは板をひたすら見ているのかどうか。
カグラ:僕は8時頃に起きて、「NYダウ上がったかな? 下がったかな?」というのをまず見て。それで日本に少し影響があるので、漠然とアメリカの株がどうだったのかを見て、そこから実際に8時の板を見ます。ただ、この8時の板はあまり役に立たなくてですね……。
中原:役に立たないんですか?
大橋:寄り付き前の板読みとか流行ってますよね。
カグラ:でもその時の状態って、取引が始まる5分前の8時55分ぐらいになったら、すごい変わってるんですよ。
大橋:変わるんですか。
中原:確かにそうですね。9時直前になって、「8時半の時とぜんぜん違うじゃん!」みたいなことばかりですよね。
カグラ:例えば、僕が狙っていた株が「やった! これだけ下がってくれたから買おう」と思っていると、気配が上がってきて「±0か……」みたいな。そうなってしまうと、やることがなくなってしまいます。だから朝はあまり板を見ないんですよね。
大橋:では、1日の中で一番集中している時はいつですか?
カグラ:基本的には9時が一番集中しているんですけど……。
大橋:値がついた瞬間ですね。
カグラ:そうですね。ただ、その時の動きはけっこう騙しが多いので、どちらかというと、9時15分頃から落ち着いてきた10時半頃までの動きを重視しています。
大橋:後場はどうですか?
カグラ:僕は後場はけっこうゆっくりしています。もちろんポジションがある時はがんばっているんですけど、ない時は「まあ、ゆったり見てみるかな」という感じです。だいたい狙っている銘柄は朝に動いてしまうので、午後はやることがありません。
専業投資家・兼業投資家の1日の過ごし方
大橋:なるほど。中原さんには後半戦でトレード手法をじっくりと聞いていきますけど、カグラさんとぜんぜん違いますよね?
中原:ぜんぜん違いますね。
カグラ:そうですよね。
中原:朝8時に起きるというのがすごい意外です(笑)。
大橋:中原さんは何時に起きているんですか?(笑)。
中原:僕は6時ですね。
カグラ:早いですね(笑)。
中原:仕事をしているので、会社まで通勤しないといけない(笑)。
カグラ:なるほど。
大橋:ではマーケットが開いている間に、張り付くようなことはないんですね?
中原:一切ないですね。日中は仕事をしていて、張り付けないので。
大橋:大引け後は何かやるんですか? 反省したりとか。
カグラ:僕はふだん投資仲間とSkypeで話しながら株取引をしているんですけど、その時には明日取引する銘柄が整理されています。15時からやることは、その日に出たIRのチェックぐらいなので、16時頃には終わります。
大橋:わりとチャチャっと済ませて。あとは自分の時間に使ったり?
カグラ:そうですね。わりと、「18時から飲みだな」とか、そういう感じで過ごしています(笑)。
中原:できるサラリーマンみたいな感じですね(笑)。早く帰れる人は仕事ができる人だから。
大橋:そうですね。早く仕事が終わるという。
カグラ:いや、本当にできたらもう少し稼げていると思うんですけど(笑)。
大橋:それぞれ生活スタイルもぜんぜん違うということですね。ではいったん休憩をはさんで、後半は中原さんのトレード手法を聞いて、みなさんからお二人に質問をいただきたいと思います。