Yahoo!知恵袋には不適切な質問が多い

宮坂学氏(以下、宮坂):それでは、ただいまから株主様のご発言をお受けいたします。本総会の目的事項に関し、なにかご発言はありますでしょうか?

質問者1:Yahoo!知恵袋の件なんですけれども、あまりにも低質でちょっとひどいのばかりで、もっと徹底的に取締りをしてもらいたいです。

質問内容としては、「なんで1分足らずで十何件も連続で質問できるのか?」ということです。どう考えたって他人が質問したものをコピペして掲載してしているとしか思えないんですよ。普通に入力したって、1分おきに何十件も質問できるわけありませんよ。

あと、くだらない質問とかふざけた質問、人を見下すような質問。その例として、「野比のび太は元住吉駅ですね」とか、「クッパは稲毛海岸駅ですね」とか、それを何回も載せてるのがいるんですよ。

ほかにも、「高崎や宇都宮に住んでいて、大宮や東京へ行くのに、なんで新幹線を使わないで在来線に乗るんですか?」とか、そういうくだらない質問とか、ふざけた質問が多すぎるんですよ。

中にはもっとひどいのがあって。「ジジイはもう寝る時間ですか?」とか「電車内にパンツを忘れました。どうすればいいですか?」とか。そんなもの、どうやったら忘れられるんですか! パンツを電車内に忘れるなんかありえない話だよね。

なぜそういった質問をすぐに除去するとか、質問者に対して注意をされないんでしょうか?

宮坂:ありがとうございます。Yahoo!知恵袋のサービス運営に関するご質問、そしてご提言だというふうに賜りました。ありがとうございます。

株主総会の場ですので、個別サービスの改善についてはあまりディテールまで立ち入らずにいきたいと思います。会場のスタッフから後ほど詳細のお問い合わせについてお話しさせてもらいます。ただ、せっかくの質問でございますので、私から大まかな点だけはお伝えしたいと思います。

ご存じない方もいらっしゃると思うのでお話しすると、まずインターネットのYahoo!知恵袋のサービスというのは、質問を持った人がYahoo!上で「こういうことを教えてください」と投稿して、それについて知っている人が「その答えはこうですよ」と教えてくれる非常に便利なサービスです。

ただ、ご指摘にありましたとおり、ちょっと質問としてはよくないもの、不適切なものが紛れ込んでしまうことがどうしてもあります。

我々としては、こういったものを24時間365日パトロールするチームを作って適切に削除する一方で、やはり人海戦術だけだと追いつかない点もありますし、ある種コンピュータの仕様の穴を突いたような投稿もどうしても発生しますので、今後はテクノロジーなんかも使ってきれいにできるように努力をしていきたいと思います。非常に参考になる意見、ありがとうございました。

AIスピーカーに対するヤフーの見解

質問者2:業績および今後の事業展開の内容、大変力強い内容をお聞かせいただきありがとうございます。

1つ気になったんですけど、この秋、Amazon.comがAIスピーカーを日本に投入すると。Appleも来年日本に対してまた投入するというようなことが出ております。

私としては、せっかくですので、ソフトバンクと同じ流れでありますので、勝手な名前ですけれども、「Yahoo!マイコンシェルジュ」というようなAIスピーカーを出してもらえないでしょうか?

というのは今、タッチパネルとかスマートフォンでコンテンツを見る世界になっておりますけど、ゆくゆくは音声で情報コンテンツを取り出していくというよう流れが見えてきたような気がします。

とくに高齢者などは、タッチパネルが操作しにくいということがありますので、声で応答して、AIスピーカーがその人の動向や癖を全部飲み込みながら、その人に適した情報を提供していくようなサービスが展開できれば、さらなる発展が期待できると思いますが、どうでしょうか。よろしくお願いします。

宮坂:ご意見ありがとうございました。新しいスマートスピーカー、AIスピーカーのようなものについて、ヤフーとしてどのように考えているのかというご質問と賜りました。

私としてもこの分野には非常に注目しております。まだちょっと「具体的にこういうことをやります」ということについては、企業戦略上申し上げられないんですけど……。

今、ご指摘いただいたように、キーボードを使ったり、タッチパネルを使ったりという、指を使うインターネットというのがこの20年間でありました。

やはり声でインターネットを操作できるようにすると、いわゆる「インターネットを使いたいんだけど、ちょっと難しいな」「キーボードとかフリック入力ってちょっと難しいな」という人にも、インターネットのすばらしさをもっと届けることができるようになると思っています。

日本ではスマホの普及率がだいぶ高まってきたとはいえ、まだ半分近くの方がスマートフォンが難しくて使えないと。

このスマートフォンのサービスを簡単にする努力をする一方で、そういった難しいキーボードやフリック入力を覚えなくても、声でインターネットが使えるようになれば、本当にすべての人にインターネットを届けやすくなると思っています。

スマートスピーカーであるかはともかく、ヤフーのミッションである「すべての人にインターネットの力を届ける」ということは変わらずやっていきたいと思っていますので。

この音声でインターネットを使う技術、これはヤフーも業界の中では相当いいものを持っていると自負していますので、こういった技術を無駄にしないようにしっかり取り組んでいきたいと思います。非常に示唆に富むアドバイス、ありがとうございました。

株価向上に向けた企業施策(1)

質問者3:今、議長の説明でも、ヤフーというのはうんと儲かっている、成長産業だと言っている。それに対して株価は低迷して、今、460円。私が買った時の半分以下です。株主数も今期は1万2,000人も減っている。

あなたが言ってることとぜんぜん違うんですよね。なにかヤフーに隠している欠点があるんじゃないでしょうか。それについて説明をお願いします。

宮坂:ご質問ありがとうとうございます。ヤフーの株価についてのご質問というふうに賜りました。

まず株価については、今、お話しいただいたとおり、もっともっと努力をしてやっていきたいと思っています。企業価値を上げるには、やはり大事なことは継続的な業績の向上ではないかと思っています。

また、M&Aや資本業務提携といった新しい取り組みだったり、株主還元の活動をもっと強化したり、さらには我々が今やっている取り組みを株式市場の方にちゃんと理解いただけるようにやることではないかと思います。

先ほどもプレゼンさせてもらいましたが、我々はPCの会社からスマホの会社にいくことができました。

やはり次にYahoo! JAPANの業績を上げるには、eコマースで一番になる、データの会社で一番になるということを実現すること抜きには、次の飛躍はないと思いますので、これが必ず実現できるようにやっていきたいと思います。

「なにか都合の悪いことを隠しているんじゃないのか?」というご懸念がございましたが、これについては、企業活動においてなによりも正直に誠実にやっていくことを事業運営のモットーとしてやっておりますので、そういったなにかやましいことを隠しているようなことはないと、ご安心いただければと思います。

以上、ご回答申し上げました。ご意見ありがとうございました。

Yahoo!JAPANの海外戦略

質問者4:資料を見せていただきますと、ヤフーさんから2人の取締役が入ってきているとか、あるいはいろんな社会情勢が変わってきているとういうことで、もう一度この質問をぶつけたいと思います。

海外戦略について何か殻をやぶるようなことがあったのかどうか、成長戦略に結びつけた方策を考えられているのかどうか、お願いいたします。

宮坂:ご質問ありがとうございます。弊社の海外戦略について変化があったのかどうか、というこご質問だと理解いたしました。

まずやはり現在については、契約の関係もありますので、日本のいろんな消費者の方やクライアントの課題を解決することに全力を集中していきたいと思います。

ただ一方で、我々が事業として今すぐ海外に行くことはないのですが、中国の最新のインターネットの情報とか、シリコンバレーで起きている最新の出来事とか、インドでもどんどん新しい動きがあるんですけど、そういった最新の事例を国内に取り入れるという意味での海外戦略というのは、この数年で大きく加速しておりまして、いろんな事業のノウハウやアイデアといったものについては、今まで以上に取り組んでいます。

とくにeコマース革命については、世界最大のeコマースサイトであるアリババとの意見交換などを通じて、ノウハウやアドバイスを国内に取り入れながらやっています。こういった海外の知見を国内に取り入れるという海外戦略をしっかりとやっていくことが今は大事だと思います。

ただ一方で、将来インターネットの世界は何があるかわかりませんので、グローバルで仕事をする人材については、少しずつ増やしていきたいと思っておりまして、いろんな海外の拠点に常駐社員を送り込んだり、例えば今はベトナムにも拠点があるんですけど、海外の拠点でパートナーと一緒に開発をすることで、ノウハウを着実に積んでいこうと取り組んでいます。

以上、ご回答を申し上げました。

Yahoo!マネーの今後の計画

質問者5:Yahoo!マネーについておうかがいしたいと思います。Yahoo!ショッピングで使える店と使えない店がありまして、使い勝手が悪いなと思っています。あと1点、(Yahoo!マネーを)Yahoo!プレミアムの料金にもあてられないんですけど、そのへんを改善していただけないでしょうか?

宮坂:ご意見ありがとうございました。サービスの改善に関するご意見ですが、せっかくの機会ですので、Yahoo!マネーについて私から少しお話ししたいと思います。

Yahoo!マネーというのは、今後のヤフーのeコマース革命を支える非常に大きな戦略的サービスになると位置付けています。今、一番力を入れているのは、Yahoo!マネーを貯める人をどんどん増やしていくことです。これについては、計画よりもかなり順調に進んでいると思います。

ただ、次にやるべきことは、「せっかく貯めたYahoo!マネーをどこで使うんだ」というのは、本当にご指摘いただいたとおりでして、Yahoo!上のあらゆるところで使えるようにしたり、今後に関しては、可能であればやはりオフラインでもちゃんと使えるようにするとか、それからYahoo!マネーで貯めたものを金融商品の運用に簡単に回すことができるといったように、Yahoo!マネーをキャッシュ以上に使い勝手のいい存在に育てていきたいと思います。

貴重なご意見でした。ありがとうございました。

株価向上に向けた企業施策(2)

質問者6:先ほど株価について意見された方もいたのですが、ちょっと同じようなかたちで角度の違う質問になります。

企業は経営陣がたくさん業績に報いるように稼いでもらって、それはけっこうだと思います。ヤフー自体も上場以来業績が今までよくて、今回は自社が直接の原因となるようなことではなくて減益になったということだと思います。

株価対策について、業績をよくするとか、(企業)イメージを上げるというような回答をされていたと思うんですけど、どこの企業に行っても同じことを言うと思うんですよね。それで「(株価は)市場が決めることだ」みたいな。

ところが、ヤフーは業績が順調に伸びていて、業界でもNo.1のところをとっています。昔の新興市場(NASDAQ)に上場した時は、(株式)分割をやって(マイナスを)埋めていって勢いがよかったんですけど、1部に鞍替えしてからはその勢いが株価的に止まってしまっています。私も1部に鞍替えしてから(株式を)持ったものですから、いまだにずっと含み損です。

業績に比例して経営者の報酬をどんどん上げるのもいいと思うんですけど、やはり株主というのは買うときは、株が値上がりするか、横ばいでも配当金が高かったり、優待がよかったりということをほかの企業と比べて、ヤフーという会社(の株式)を買ってくると思うんです。

ですから、もし株主利益を一番考えてもらえるんだったら、配当金を上げていくのもいいんですけど、はっきり言って配当金なんてたいしたことないですよね。売るか持っているかは別として、やはり含み益になっていれば安心感もありますし、一番株主にとってはうれしいと思うんです。

株価が上がるというのは、単純に株主利益にもなるし、「いい会社だな」というイメージアップにもつながると思うので、株価が上がるような具体的な対策にもお金をかけてもらいたいなと思っています。

例えば、年に一度だけでも上場来高値をつけられるようにすれば、その時点で買った人で含み損を抱えている人は1人もいないわけですよね。そういうかたちで、少しずつでもいいんですけど、毎年株価が高値を塗り替えるようなかたちを取れるような方向に対策をとるというか、具体的に動いてもらえるとありがたいです。そういうことについて、どう考えているか質問します。

宮坂:ご質問ありがとうございます。当社の株価に関して、もう少しいろんな対策をとるべきではないのかということで、いろんなご提言をいただいたものと理解しております。ありがとうございました。

繰り返しにはなってしまいますが、これはやはりどうしても、業績を上げることが一番大事だと思っています。それも単に上げるというよりも、市場のみなさまからの期待値を超えるということがもう1つ大事だと思っていまして、Yahoo!JAPANはここまでずっと、「去年の自分を超える」ということは20年続けてきましたけど、市場関係者のみなさまの期待値を超えるという点については足りていない点もあったのではないかと、自分自身、深く考えています。

なので常に、去年を超えたからよしというのではなく、去年を超えるのは前提の上で、常に期待値を超えるような業績の伸び、それは利益の伸びのこともあるでしょうし、広告売上の伸びのこともあるでしょうし、今だとeコマースの伸びというものがすごく期待値としては高まっていると思います。

そういった期待値を常に心の中のベンチマークに置いて、伸ばしていって、上場来高値が超えられるように、これからもがんばっていきたいと思います。

以上、ご回答申し上げました。本当にありがとうございます。

最近のヤフーにはエネルギッシュな雰囲気が見られない

質問者7:先ほどeコマースの発展の話をされたのですが、ライバルには楽天やAmazonなどがいて、いろいろ強力な事業展開をやっています。

昨年の株主総会の時は、我が(ソフトバンク)ホークスも調子が良く、社屋もワンフロアで、新しい環境でどんどん伸びていくなという雰囲気があったのですが。

最近思うのは、ヤフーさんはあまりにも老舗過ぎて、がんばってはいるんでしょうけど、新しい視点とか、もうひとがんばりとか、そういうエネルギッシュな雰囲気が若干見られないんじゃないかと思います。

ソフトバンクは、主力選手を欠きながら交流戦1位になり、これから武田(翔太投手)も復帰してどんどん伸びていくと思いますので、ヤフーもできるだけ若い力を活かして、来年の総会に来るときは、また株価うんぬん含めて、みなさんご不安でないような感じまでいけばありがたいので、よろしくお願いいたします。

宮坂:ご質問ありがとうございました。Yahoo! JAPAN自身のエネルギッシュさというか、チャレンジしている雰囲気が少し薄れてるのではないかという視点からのご質問だったというふうに思います。

やはり20年になりますので、インターネットの中では老舗ということになります。なので、老舗ならではの信頼感のある……信頼感が必要な事業もやっぱり世の中ありますので、金融の事業とかですね。そういったものはやはり老舗の良さを活かしてやっていきたいと思います。

一方で、今から伸ばそうとしているeコマースの事業やメディアの事業、まだまだ大きな変化がありますので、こういったものについては常にチャレンジングで、世間に話題を巻き起こすような姿をもっと打ち出さないといけないと、今のご発言を聞いて、私自身も深く思いました。

非常に示唆に富む発言、ありがとうございました。来年に向けてがんばります。ありがとうございます。

孫正義氏が見据えるインターネットの未来

質問者8:すべての議案に賛成の立場です。いろいろな意見があると思いますけれども、そんなことは心配なく、方針を貫いてほしいと思います。

ところで私たちは、例えば株価が下がっても、孫さんがいるから今日参っております。せっかくでございますので、恒例になっている、孫さんの持ち時間がございます。

(孫正義氏は)トランプ大統領に2度お会いして、大統領はどんな人なのか? それからロシアのトップともインドのトップとも人脈が広い。今後のソフトバンクは世界でどうするのか。簡単でけっこうでございますので……。

(会場拍手)

質問者8:拍手もありますので、事務局は嫌がっておると思いますけれども、1つよろしくお願いいたします。

宮坂:いやいや(笑)。

質問者8:それが株主の願いです。よろしくお願いします。

宮坂:応援ありがとうございます。せっかく持ち時間がございますので、お願いします。

孫正義氏(以下、孫):まあトランプ大統領だとかプーチンさん……ちょっと今日風邪を引いておりまして(笑)、あくまでも私は事業家ですので、事業を広めるために政治家の各国のリーダーとお会いすることはありますけれども、基本的に政治については中立でいたいと思っています。

ただ、我々の事業が投資という意味で、非常に世界に広く影響を与えて、世界の情勢が我々の事業に影響を与えますので、各国のリーダーと会う機会が増えております。

それぞれの国の政治の情勢・事情はあろうかと思いますけれども、我々のグループの会社がそれぞれの国の中におけるポジションですね。

例えば、中国におけるアリババだとか、アメリカにおける我々の各投資先の事業だとか、非常に大きく影響が出てきております。

我々のグループ企業ががんばることによって、その国の経済もより大きく発展するし、また、どの国がこれからより大きく伸びるかというのは、我々がどの国に投資をするかという意思決定にも重要な意味合いを持つようになってきております。

以前は、政治的なニュースはあまり読まなかったんですけれども、最近は、中東のどこの国がどこと仲が良いとか悪いとか、そういうことまで気になるようになりました。やはりそれだけ我々の事業における影響が増えてきたんだなと思います。

ただ1つ言えることは、我々Yahoo! JAPANの海外戦略の質問も先ほどありましたけれども、すべての国においてインターネットの重要性が増してきておると。これはもう確実に言えるなと。

以前は、アメリカや日本のような先進国がインターネットの恩恵をより受けておりましたけれども、最近では中国のインターネットの技術は日本・アメリカをも上回るようなところもたくさん出てきております。

また、インドやインドネシアなど、これまではインターネットで物を買うとか、インターネットでサービスを受けるということは、一般の人々にはあまりなかったんですけれども、(今は)パソコンを買うよりもスマホが安く買えると。

そして、そのスマホがインターネットを快適に使う入り口になっているということで、より早くタイムマシンの効果がそういう諸国にも現れてきておると。こういう意味で、世界に我々の投資、そして事業展開の機会がますます増えているなと感じております。

ですから、我々ソフトバンクグループはもちろん日本で、Yahoo! JAPANは我々の中核企業ですけれども、とくにAIを使うことによって、あらゆる産業が再定義されるということが最近見えてきておりますので、国際的にも業界としても、従来の情報産業だけではなくて、交通機関や医療など、そのほかあらゆる分野にこのIoTとAIで(インターネットが)広がるなと思っています。

ですから、国際的にもがんばっていきたいと思いますし、先進的な事業をこれからますます広げていきたいと思っています。すいません、今日のコメントです。

(会場拍手)

宮坂:ご質問ありがとうございました。