主要ポイント
工藤英之氏:2016年度の業績と2017年度計画。それから資本政策。この3つをポイントにお話します。
まず2016年度の結果です。親会社に帰属する純利益が507億円の着地となりました。
マイナス金利政策導入後の想定以上のリスクオフマインドというものがあったということ、こちらはワンタイム要因と認識していますが、グループ会社での利息返還損失引当金の追加繰り入れが背景としてありました。
それにも関わらず507億円というものは期初想定していた計画を達成していると認識しています。とくに成長分野の資産拡大という点において無担保ローンが12パーセントです。
それからストラクチャード・ファイナンスが6パーセントです。それぞれ残高を伸ばしております。私ども基礎的利益という概念を使っております。これは過性あるいは変動性の高い利益を除いた部分ですが、この部分の額も増加し比率も高まっているといます。
次に2017年度の業績予想ですが、親会社に帰属する純利益510億円としています。2016年1月に発表した中期経営計画において、610億円という数字を出しておりました。この差は中計時に織り込んでいませんでした、いくつかのファクターがございます。
まず先ほどもお話しましたマイナス金利政策の影響というものがあります。去年は導入直後ということで例えば借入ですと貸出期限や金利改訂や色んなタイミングで少しずつ影響が出てくるわけですが、その効果が年中で効いてくる年になるだろうということで、その影響を加味しております。
もう1つは不動産関連のファイナンスですが、これを引き続き取り組んでおります。一部のアセットクラスにおいて、やや過熱感もあるのかなという認識でおります。そういう意味では慎重な取り組みになってくると考えています。成長がスローダウンすしてしまうというより、自らそのペースをコントロールするという趣旨です。
それからもう1つ、個人顧客の資産運用マインドのところです。
2016年度はかなりひどい年でありました。それが第4四半期にかけて、だいぶ復活の兆しを見せております。そして、その傾向が回復してくれるかなと思っていること、あとそもそも個人の資産運用ということは、今の日本では国家的な課題になってることでございます。
いずれにせよ方向性として悲観はしてないのですが、今年度という時間軸で見た時に、どうなるかということも少し勘案しております。
それから目標設定の仕方として、リーズナブルな努力で達成できるものということでやっております。あとは外部環境の変化に柔軟に対応するために、戦略・戦術自体を随時見直しを図ります。あるいは資産残高計画、収益計画も機動的に修正します。そういうニュアンスでの数字だと理解いただければと思います。
基本的な方向性としては、より優位性のあるエリアに集中を図っていきます。そして成長分野を伸ばします。そして、一時的な利益への依存度を減らし基礎的な利益の厚みを増やしていきます。このような基本的な考え方に変更はございません。
このような金融環境、ビジネス環境です。やはり「生産性の改革」が最大のテーマになってまいります。そして私どもの場合は今現在システム公開のプロジェクトも進めております。
その部分が少しずつ乗っかってくるベースはあるのですが、それを打ち消すべく生産性改革プロジェクトということで、パート1というものは、先般、数字も含めて発表しました。その着実な遂行に加え、パート2というニュアンスで取り組んでまいります。
そして最後に資本政策についてでございます。ここに書いてあります通り最大の経営課題であります。
若干の補足をします。「なぜ自己株取得を去年行ったのにしなんだ」ということは予想されるご質問だと思っています。まず昨年度のPLが507億円という数字に何が問題があったかというと、問題ではなかったということがまず1つあります。
そしてバランスシートの状況含むキャピタルの状況です。一部のアセットクラスについてFIRBへの以降に伴いリスクアセットが増え、自己資本比率の計算が少し変わっております。それが何か障害になったかというと、そうでもないです。この2つは、現時点で申し上げておきます。
それ以外のところは、ここの文章を文字通り読んでいただければ結構かと思っています。総還元性向の維持・向上を意識し、年間の株主還元計画を策定中ということでございます。私の方からポイントのご説明は以上になります。この後、平野の方から追加でお話いたします。
2016年度決算概要
平野昇一氏:よろしくお願いします。決算の概要について、簡単にご説明させていただきます。
まず資金利益でございますが、マイナス金利の政策導入によるベースレートの低下。それから競争激化に伴うスプリットの現象。これらを無担保ローンの残高増加による収入増加などが相殺して前期並みの1,222億円となっております。
非資金利益につきましてはストラクチャード・ファイナンスにおいて、新規組成の案件からの収益や不動産ファイナンスでの大口の有価証券売却益が貢献し前期比13パーセント増の1,062億円となっております。
この結果、業務粗利益は2,285億円と5パーセントの増加となっております。経費のラインですが、システム関連費用、それから税制改正の影響などによって物件費が増加したことを主因として前期比1パーセント増の1,424億円となっております。
与信関連費用につきましては、無担保ローンとストラクチャード・ファイナンスにおける残高の積上げに伴う一般貸引貸倒引当金の繰入によって318億円となっております。
なお前期は法人業務において不良債権処理に伴う貸倒引当金の取り崩し益、202億円が計上されておりました。
それからその他につきましては利息返還損失引当金の51億円追加繰り入れをしたものの、第3四半期に計上した特別利益などの影響があって、これで相殺され33億円の費用となっております。
以上の結果、先ほどご説明させていただきました通り、2016年度の親会社に帰属する純利益は507億円となっております。
2017年度業績計画(1)
通期の業績計画についてご説明させていただきます。
まず業務粗利益ですが、無担保ローンを中心に、残高の積み上げを図って増収を計画しておりますが、2016年度に計上した、有価証券売却益などの、市場性の収益の剥落を想定して、前期比横ばいの計画といたしております。
経費につきましては、コンシューマー・ファイナンス業務における経費の増加。前向きなものを生産改革プロジェクト効果などで経費削減を行い、相殺して、全体では、IT関連経費に係る経費の増加分を見込んでおります。
与信関連費用につきましては無担保ローンの残高増加により貸倒引当金の増加分を前期、少し法人業務で想定外の増加がありました。これが剥落することで、前期なみの320億円を想定しております。
以上の結果2017年度の親会社に帰属する純利益は510億円の計画とさせていただきます。
2017年度業績計画(2)
左のグラフのところは基礎的な利益の推移です。それから右側で、営業性資産残高の大まかな見通しについてご説明させていただきます。
従来からご説明させていただいております通り第3次中計では、一時的な利益への依存度を減らし、基礎的な利益の厚みを増すことを目指しております。
2015年度から2016年度にかけては、一時的な利益への依存度が大きく改善しております。2017年度につきましても、引き続き基礎的な利益を着実に伸ばしていくという計画にさせていただいております。
営業性資産残高につきましては、引き続き、成長分野の資産残高の増加を目指しておりまして、無担保ローンにおきましては、8パーセント。ストラクチャード・ファイナンスにつきましては10パーセントの成長を計画しております。
生産性改革プロジェクト:第一弾
生産性改革プロジェクトについて、ご説明させていただきます。
7ページですが、こちら生産性改革プロジェクトの第1弾ということで徹底的な生産性向上を目指しており、2016年度の第3四半期に発表させていただいた内容について、粛々と取り進めております。
第1弾の期待効果としては2015年度の実績との対比で、2018年度に単年度ベースで50億円の効果を見込んでおります。
生産性改革プロジェクト:第二弾
第2弾ということで、さらなる生産性向上を目指して、拠点網の最適化。そして各ビジネスの商品のポートフォリオの合理化。さらにIT調達コストの最適化の3つについて取り組んでいきます。
第1弾の効果に加えて、この第2弾というのを検討して進めていくということを致しております。
決算概況:資産の質
資産の質は単体の不良債権比率は0.22パーセントになっております。右側、連結リスク管理債権比率は1.4パーセントとなっておりまして、いずれも債権比率が下がってきているという状況になっております。
決算概況:自己資本、リスク資本
次に15ページでございます。こちらでは自己資本について説明させていただきます。バーゼルⅢの国際統一基準完全施行ベースの普通株とTier1比率は、12.3パーセントとなっており引き続き十分な水準を確保しております。
2016年3月末対比では減少しております。これはストラクチャード・ファイナンスの新規実行の取り組み、あるいは先ほどご説明いたしましたレイク事業が標準的手法から基礎的内部格付手法に移行した影響によるものです。
以上、簡単でございますが2016年度の通期業績と2017年度の計画についてご説明させていただきました。