2016年決算実績サマリー

小口正範氏:CFOの小口でございます。本日は当社の決算説明会にお越しいただきまして誠にありがとうございます。

それでは、はじめに私から資料を使いまして、決算の概要ならびに今般、当初の計画に対して、数値が下回っておりますので、その分析結果等を踏まえましてご説明したいと思います。

それでは資料をご覧ください。まず、決算数値のサマリーです。

数字を申し上げますと、受注高は4兆2,756億円で、前年度に対しまして2,098億円の減でした。売上高は3兆9,140億円で同じく1,327億円の減。

営業利益は1,505億円。利益率3.8パーセントで前年度に対しまして1,589億円の大幅な減でした。経常利益は1,242億円。同じく1,482億円の減。

一方、特別損益は454億円の益で、これらを合わせました当期純利益は877億円。2.2パーセントの益で前年度を238億円上回っております。

特別損益につきまして、欄外に記載をしてありますが、まず特別利益について申し上げますと、横浜にありました当社所有のビルを売却した等により、固定資産売却益として538億円。

それから当社の不動産保有会社の株式の70パーセントをJR西日本さまに売却したことによる売却等を含めまして、610億円の益を計上しております。

一方、損失といたしましては、毎年度事業構造改革、ポートフォリオの見直しをしておりまして、本年度につきましても128億円の費用を計上いたしました。

また、客船の関連ですが、中間決算段階におきましては、160億円強の費用を計上しておりましたが、最終的に船を4月に引き渡しており、最終的な商務条件におけるお客様との交渉結果ならびに一部工事の悪化等を含めまして、追加計上を第4クオーターにしております。

これを合算いたしました年間の客船関連損失は343億円の損でした。これをもちまして、客船に関する費用の手当関係は終了したと考えています。

それから特別損失です。アメリカにおけるスチームジェネレーターの損害賠償金関連で160億円の特別損失を計上しております。

2016年度決算実績 セグメント別内訳

それをセグメント別に示しましたのが次の表でして、逐一の説明は後ほどまた行いますので、ご覧ください。

2016年度決算実績 貸借対照表

バランスシートの状況ですが、資産サイドは5兆4,819億円ということで、ほぼ前年同期並みでした。

これも後ほどご説明をしますが、バランスシートの効率化は、キャッシュフロー経営の重要な柱として、位置づけており、実は特殊用意を除く、例えば南アフリカの問題、それからMRJの問題を考慮しますと、着実にバランスシートは圧縮しております。

今般、リマークスとして挙げているところですが、固定資産の関係で減少しているのは、先ほど特別利益のところでご説明をしました不動産等の売却による影響です。

一方、負債・資本の関係ですが、今年度におきましても1,000億円強のフリーキャッシュフローを生むことができまして、その部分については有利子負債の圧縮に使っております。

したがいまして、有利子負債は1,265億円の減で、残高は9,255億円になりました。

一方、総資産は利益の計上並びに株式の評価益等がありまして、1,029億円の増加があった影響等により、合計すると2兆1,072億円、1,075億円の増加で、財務体質の強化は進んできていると評価をしております。

2016年度決算実績 主要財務指標/キャッシュ・フロー

それら財務関係の指標を示していますが、先ほど申しました改善を踏まえ、自己資本比率・有利子負債残高・D/Eレシオにつきましても、前年度よりも良化をいたしております。

フリーキャッシュフロー状況はご覧の通りでございます。

2016年度決算実績 セグメント別 <受注高・発注残高>

それでは、セグメント別に受注・売上・営業利益の内訳をご説明したいと思います。

まずは受注高ですが、先ほど申しましたように4兆2,756億円となり、前年同期を2,000億強下回りました。

とくにエネルギー環境の関係で、大型案件が一部凍結ないしは案件の発生が遅れていることが国内外にありまして、全般的にエネルギー環境が減少しております。

化学プラントも同じようなことです。

また、交通輸送部門におきましても商船のガス関係の受注がございませんでした。交通システムにつきましても大型案件が繰り延べになった等により、減少いたしております。

一方、防衛・宇宙関係は飛昇体が増加をいたしました。

機械・設備システムを申し上げれば、フォークリフト・ターボチャージャは増加をしましたが、コンプレッサがオイル&ガスの低調の影響を受けて少し低迷しております。

右側に手持ち受注残高がありますが、7兆285億円と1,300億円ほど増加をしております。

2016年度決算実績 セグメント別 <売上高>

次に売上高ですが、前年度との比較におきまして1,327億円の減少でした。とくにエネルギー・環境で減少し、また、交通・輸送につきましても減少をしております。

機械・設備システムにつきましては、ほぼ前年同期並みという状況ですが、エネルギー・環境で申し上げれば、化学プラントは増加し、火力発電プラントは減少いたしました。

交通・輸送では交通システムが増加をいたしましたが、ティアワン関連の民間航空機が減少しております。

防衛・宇宙につきましては、宇宙機器はロケットの関係は増加しましたが、飛昇体が減少しました。

機械・設備システムでは、フォークリフト、ターボチャージャが受注と同じように好調でしたが、製鉄機械で減少しております。

これは、世界の製鉄に関する投資が低迷しているという状況を強く受けております。

2016年度決算実績 セグメント別 <営業利益>

営業利益の内訳ですが、(棒グラフを)ご覧いただいてすぐわかるのは、青色の交通・輸送関係でして、前年度が500億円強の益に対して、今年度は500億円強のマイナスで、1,000億円を超える増減がありました。

この主な内訳は、ティアワンの工事規模が縮小したこと、それから商船において、後ほどまたご説明しますが、品質・コストの面で悪化が見られていること、それからMRJの開発費の増加がおもな理由でございます。

一方、オレンジ色のエネルギー環境におきましても、約500億円程度減っておりますが、これは火力発電プラントMHPSの関係で売上が減少し、それに伴う利益の減少です。

2016年度決算実績 世界地域別売上高

地域別売上高です。これはご覧をいただきたいということで説明を省略させていただきます。

2016年実績の分析 売上・営業利益の状況(1)

次に、今年度の経営成績を分析をしております。これは機首の計画から落ち込んだこと、それから中間段階においてわたしどもが公表した数字から数値が落ちてることについて、分析をしております。

まず始めに、このグラフをご覧いただきますと、前も申し上げましたとおり、わたくしどもの今までの姿としますと、受注をしてから売上に立つまで平均をすると2年程度遅れて出てくるということで思っておりましたが、今般、2014年・2015年の高い受注が売上に計上する時期がずれてきているという。

ここについては分析をしますというお約束をしておりましたが、その分析をいたしました結果、(折れ線グラフの)この青線のところが受注高の推移です。それに対して、青色の点線の部分が、納期までに3年以上のものを除いた受注高です。

2012年・2013年を見ていただくと、その間隔、つまり青の実線と点線との差額が見てとれますが、2014年・2015年においては、大きく乖離をしました。

すなわち、受注をしてから最終引き渡しまでの期間が、2014年・2015年の受注においては少し幅が広くなってきた。従って、赤の線の売上高が、少し受注高の動きとは一致をせずに、少し頭が寝たかたちで2016年度に数値が表れてきている。

この傾向は、売上高という面においては、踊り場にきていると。その期間が去年2016年、もしくは、2017年に売上計上のタイミングがずれてるということを示していると評価をしております。

2016年実績の分析 売上・営業利益の状況(2)

次は、利益の関係です。まず、昨年度の実績と当年度の実績が半減をしておりますが、この理由がなにかということをおおまかに分析をしておりますが、2つあると思っております。

1つは、先ほど申しましたように、当社は5兆円事業規模に向けて、企業体格を増やしてまいりました。バランス費と固定費が先行して出てきていると。

一方で、売上高のほうが先ほど申し上げました理由によって、少し頭が寝てしまっている。そういったところにおいて、事業規模と固定費、ないしはバランスシートのアンマッチが今年度においては起こったと分析しております。

それが起こった分野がMHPSならびにティアワンビジネスです。ここに端的に表れております。そのほか、技術的な課題が明らかになった部分として、商船・MRJは、むしろ技術的な問題でコスト悪化を呼び起こしているということでして、これに為替の影響を加えたものが、大きくいうと半減したおもな理由と分析をしました。

2016年実績の分析 売上・営業利益の状況(3)

それから、わたしどもは、途中で営業利益を2,400億円に修正をしましたが、それと実績の間におきましても900億円程度の減少が起こっております。分析を示したのはこの表でして、1つは将来損失の引当。

これはLNG船において、コストならびに品質において課題があるということが発見されましたので、第4クォーターにおいて、将来の損失引当をしました。それからMRJにつきましても、事業性の観点から一部減損をしたところもあります。

火力についても若干将来の引当をしたところで、(グラフの)ねずみ色の部分合算しますと、350億円が今年度の決算における将来引当部分による悪化と考えております。

一方、当期としての悪化が、火力を中心に起こっており、これは第4クォーターにだいたい火力のアフターサービスの売上、および利益が立つのが従来のパターンでしたが、今年度の第4クォーターにおきまして、その伸びがなかった。

すなわち、火力事業におけるアフターサービスが当初予定したよりも規模が縮小したところで、売上が当然減少しましたし、比較的利益率の高いアフターサービス工事のボリュームが減ったところで、大きな当期悪化が起こっております。

それから、水色のところは、採算改善活動で達成できるだろうと思っていたうち、現実的に達成ができなかった部分が150億円ありました。

すなわち、将来の損失引当をしたことによる悪化が350億円、当期の予想よりも損益が悪化した部分が400億円、さらには、採算改善の未達部分が150億円があり、2,400億円から1,500億円に実績が落ちた理由を分析すると、このようになっているかと思っております。

2016年度実績の分析 キャッシュ・フローの推移

営業成績・経営成績につきましては、そういう意味では大変残念な結果になりましたが、一方で財政につきましては、引き続き健全性を保っております。これはフリー・キャッシュ・フローと有利子負債の状況を示しております。

今般、新たにお示しいたしましたのは、2つのラインがございまして、赤のラインがフリー・キャッシュ・フローの各年度の数字です。当年度は、1,046億円の益でした。

これに対しまして、緑色のライン、これが特殊要因を除く部分でして、特殊要因と申しますのは、MRJ、客船、それから現在、日立さんとの関係で建て替えさせていただいている南アフリカの関係等々除きました部分を、定常収益的に当社が生み出しているキャッシュ・フローとご理解をいただきたいと思うのですが。

これにつきましては2009年以前は、当社のキャッシュ・フローというのは0近辺でしたが、2010年からキャッシュ・フローを重視した経営に当社は移行いたしまして、それ以降安定的に2,000億円強のフリー・キャッシュ・フローを生み出しております。

新規事業、およびリスク対応における先ほどの特殊要因を除きますと、2010年から2016年にかけて、トータル1兆6,000億円のフリー・キャッシュ・フローのプラスがありました。

このうち、財政健全化に5,700億円。配当に2,100億円。これは財務キャッシュ・フローになりますが、このように使っております。一方、新規事業およびリスク対応に関してましては、8,100億円を使いました。

財政健全化につきましては、キャッシュ・フローの生み出した源泉でほぼバランスシートの改善から出たものについて、主にローンの返済に充てたところで、表の上に赤の線で書いてあります。

2009年度末の有利子負債が1兆5,000億円でしたが、先ほどご説明しましたように、徐々に徐々に財政を改善しており、当年度末には、9,255億円。最低水準にまでもってきております。

2016年度の実績の分析 財政状態

バランスシートの関係です。先ほど、バランスシートについては、ほぼ横ばいと申しましたが、これにつきましても南アフリカや、MRJといった特殊要因を除きますと、着実にバランスシートは圧縮してきており、その結果として財務指標である自己資本比率・D/Eレシオについては改善が続いております。

すなわち有利子負債を減少させながら、純資産は着実に増加をしてるということで、D/Eレシオにつきましても、0.4まで下がってきている。まとめますと、事業規模のずれが起こったということによって、経営成績はある意味足踏みをしましたが、財政のほうは着実に改善が進んでると評価をしております。

2016年度の実績の分析 財政状態 ‐純資産、運転資金、有利子負債、固定資産‐

もう少し内輪を分析しますと、総資産につきましては回転率を見ておりますが、緑色が特殊要因を除いた部分で0.83と。他社に比べて決していい数字ではありませんが、2010年の0.72からは改善をしております。

また、運転資金を表すキャッシュコンバージョンサイクルで見ますと、同じように2011年で163日あったものが、2016年度には72日まで減りました。有利子負債につきましては先ほどご説明したとおりです。

一方、固定資産とBSと事業規模のアンバランスが生じてることにつきまして、固定資産の回転率を見てみますと、その傾向が顕著に表れております。

すなわち、M&Aにおきまして固定資産がずいぶん増えてきてまいりましたが、売上高がそれに沿って伸びていないというところで、とくに固定資産の回転率につきましては、2013年に2.32まで上昇しましたが、今は2.13まで落ちてきております。これが経営の大きな課題だと思っておりまして、今後PMIを進めていく必要があると思っております。

アセットマネジメントの成果

アセットマネジメントですが、これは新たな取り組みとしてバランスシートからどれだけ効率的に利益、ならびにキャッシュ・フローを生み出すかを、当社の経営の1つの柱とに位置付けております。

「2015事業計画目標」におきましても、すでに発表しているとおり、従来の資産を上手に組み替えることによって新たな価値を生み出すところで、不動産と投資有価証券合わせて2,000億円のキャッシュ・フローを生み出すことを計画しておりましたが、2016年度において、ほぼ達成をいたしました。

以降につきましては、もう一段のアイディアを出して、このアセットマネジメントによる価値の創造、キャッシュ・フローの創造に努めてまいりたいと考えております。

2017年度以降の財務戦略 財務基盤強化に向けた施策

バランスシートの問題は、ある程度自分たちでできるところがありまして、これの取り組みを強化してまいります。

まず1つは、時間軸のなかで物事を考えていきたいと思っておりまして、1つはすぐできること。すなわちステップ1として、不要なキャッシュアウトの抑制ですとか、当社が持っている資産を有効活用する。

それは生産におけるものとして、例えば、外注取り込み等いろんな問題を含んでおりますが、そういったものを進めることによって、今すぐ打てる手を打っていくと。

2つ目としては生産効率化です。これは今多くの工場においてすべてがフル生産ではありません。低操業の工場を上手に再配置することによって、全体としての設備効率性を上げ、また、余剰の資産については上手にアセットマネジメントとして活用していくということです。

最終的には、もう少し高度なことを考えておりまして、当社が持っているさまざまな資産、有形固定資産だけではなくて、将来的には技術、IPといったノウハウも含めて、これを当社の中でのみ活用するのではなく、多くのところにアイディアを広めることによって、当社のバランスシートから利益、ないしはキャッシュ・フローを生み出していく取り組みです。

このようなことを着実に進めることによってバランスシートが当社にとって主だったものが、できるだけ早く収益化することによって、営業利益の改善や来の設備投資、もしくは研究投資の原資として使いたいと考えております。

2017年度の財務戦略 2016年度実績を踏まえた方向性

そのような財務戦略をベースに、今後どのように動いていくかを示しておりますが、まず1つは売上高の状況です。

売上高につきましては、先ほど受注の動きと売上の動きが従来と動き変わって少し足踏みが長くなってきたということですが、その動きはおそらく2017年ぐらいまでは続くでしょうと思っています。しかしながら、その後については従来通りに上がっていくとみております。

一方、販売間接費、ならびに固定費は、すでに5兆円規模の体制になってしまっておりますので、費用削減をする、効率化をすることにおいて下げていきます。同じく、バランスシートも下げていきます。

なかなか売上高、利益率でビジネスをするのが厳しい状況のなかで、できるだけ資産回転率を上げていくようにさまざまな工夫をすることによって、安定的な収益ができるように努めてまいりたいと思っております。

2017年度業績見通し サマリー

こちらを前提として、当年度の見通しについて次のように考えております。

まず受注高につきましては、直近の予想をベースに4兆5,000億円と見積もりました。売上高につきましては、先ほど申しましたような諸条件を精緻化いたしまして、4兆1,500億円と見ております。

それほど増えない、手持ち残高に対してはもう少し売上に影響を及ぼしていくのは後ろの年度になるのではないかということで、横からちょっと上に上がった程度と見ております。

したがいまして、まだ固定費の圧縮が十分にできていない段階での営業利益は、2,300億円程度、経常は2,100億円、純利益は1,000億円。ROEが5.5、EBITDAが4,300億円を、今年度の見通しとして公表させていただくことにしました。

フリー・キャッシュ・フローはプラスの1,000億円です。これを踏まえて、配当については1株あたり12円を継続したいということです。為替の前提は、欄外にございますのでご覧いただきたいと思います。

2017年度業績見通し セグメント別内訳

さらに、全体見通しのセグメント別展開をしておりますので、ご覧をいただければと思います。新しい内訳につきましては、新しいセグメント、つまりパワー、インダストリー&社会基盤、それから航空・防衛・宇宙の3ドメインに再編された状態で組み替えた数字を示しております。

簡単ではございますが、私からの説明は以上です。どうもありがとうございました。