Tモバイルの買収失敗報道について

質問者:朝日(新聞)のオオシカです。孫さん、今の一連のお話のなかで最近話題になったTモバイルの話があんまり出て来なかったんですけれども、Tモバイルの件、非常にこう、孫さん、熱心にアメリカに行って、ルースさんを起用されたりとかですね、色々働きかけをされてこられたと思うのですが。結局どういういきさつで、どういう経過で、どういう経緯になったのか。今まであんまり開示されてこなかったので、その辺の話を、顛末を詳しくご説明いただけないでしょうか。

:ソフトバンクとしてはですね、特定の会社の買収とか、するとかしないとかいうことについては、今まで一度も、私自身、正式なコメントをしておりません。従って今回においても、そのことについての公式なコメントはなし、ということでございます。ただ一貫して、米国の市場がより健全により激しい競争をもたらすためには、2強状態よりも、3強、三つ巴の状態のほうが、健全でかつ激しい競争が起きるというふうに、基本的には思っている……ということは、最初も今も変わっておりません。それが基本的な、中長期の考えでございます。

一方スプリントとしては、新しいCEOを発表させていただき、ネットワークも順調に改善が進んできたということで、これからソフトバンクの得意な営業部分に注力するという構えができてきた、ということでございます。また、経費の効率化ということについても、着実に、競争がより展開できるような、そういう筋肉質に変えていきたいという風に考えております。

SIMロック解除の義務化について

質問者:フリーランスのイシノと申します。総務省のほうで、SIMロック解除の義務化と、あとクーリングオフの導入ですね、その中間取りまとめが出ましたけれども。これに対してソフトバンクモバイルとしてどう対応していくのかということと、対応した際の影響をどのように見ているかという点を教えていただければと思います。

:クーリングオフについては、消費者保護の観点からしますと、ある程度当然の行為として行っていくべきだと考えております。ただ極端な形になりますと、事実上営業に障害が出るということになりますので、方法論については、細やかにこれから詰めていくべきだなと思っておりますが、基本的な考え方としては、クーリングオフは消費者保護の観点から望ましいという風に考えております。

次にSIMロック解除についてですけれども。こちらについても、私どもとしましては、かねてより機能的にも、また提供すべき内容としてもあってしかるべきだとは思っております。ただ、これが極端な形で行われるのも、これまた理に適わないところが出てきかねないので、その方法論についてはですね、よく詰めながらやっていくべきだという風に考えております。

ちなみに、スマホを世界で一番多く数売っているのは米国であって、私どもも今スプリントで米国に経営参画しておりますが、特に最近の新しいスマホについては、SIMロックがかかって販売されている、というのが殆どの場合でございます。それはなぜかというと、各社が販売補填金のようなものを出したり、割賦販売で契約期間を設けたりという形で行われておりますので、販売奨励金等の回収が終わるまではSIMロックは当然あってしかるべきだ、というのが世界の流れとしてあります。

一方で、SIMロックがない端末を高い値段でもいいから買いたいというお客さんもいるのは事実なので、これはこれで柔軟に対応すべきだという風に思っております。ですから、方法論の是々非々はありますけれども、方向性としてはいいのではないかと思っております。

スプリントはどのような戦略をとるのか

質問者:フリーランスのスギです、宜しくお願い致します。スプリントの件について質問なんですけれども、ネットワークの改善が一段落ついて、新CEOということなんですけれども。アメリカの携帯電話市場、もうほぼ100%、携帯電話の普及率は超えていますけれども。こういった飽和感のなかで、どういった市場を狙っていかれるのかという、もし方針とか考えあるようでしたら、コメントいただければと思います。

:アメリカの市場はですね、今もトータルのユーザ数が増え続けているという部分があります。移民も増えてきておりますし、また、普及率も未だに少しずつ伸びている、というところがございます。さらに新しいスマホの増加だとか、マシンtoマシン、こういうようなものも増えてきております。ですから販売チャンスはたくさんあるわけです。

しかし一方、我々も販売体制がこれから整ってくる。つまりネットワークの構えもできたし、これからいよいよ販売体制に入るので、価格競争などは激しくなるという風には思っております。今まである意味、スプリントはネットワークの準備ができていないので、激しい価格競争だとか販売合戦というものに殆ど参加していない状況でしたけれども、これからはむしろ積極的にそういうものを行っていくという体制が整ってきたということでございます。

質問者:ありがとうございます。

スプリントの通信率改善にはソフトバンクのノウハウが役立った

質問者:東洋経済のタナベと申します。まず先ほど出てきたスプリントのパケット通信率の改善というところなんですが、4月から7月にかけて、いきなり上がっているとこがあって、どういうことをやって上がったのかということと、それまでなんでダメだったのかということを簡単に教えてください。

もう1点、「フラミリー(プラン)」を1月にやってきて、で100万人が入っていると思うんですけれども、ネットワークが中々改善しないなかでフラミリーをやった理由について、あとフラミリーの評価について教えてください。

:4月20日まで、ネットワークの接続率がどんどん落ちてきていたと。というのは、新しいネットワークに置き換えるのにおいて、置き換わる途中の様々な不具合が出ていたということがあります。ネットワークの局がクラスターで、つまり束で開局してくるとその分繋がりやすくなる、という部分があります。従ってつまり、開局がその後順調に進んだという点と。

もうひとつは、ソフトバンク流の、これまで非常に苦しんでネットワークを改善したという部分がありましたので、そのソフトバンクのノウハウを様々に、積極的にネットワーク部隊に注入していったという、この2点があります。その結果、スプリントの現場の努力と、ソフトバンクのネットワーク接続率改善のノウハウ、両方がミックスされて、急激に改善していったという部分があります。

もうひとつ、なんでしたっけ……。あ、フラミリーね。フラミリーについては、社内でも評価が分かれているということです(笑)。色んな知恵で出したわけですけれども、一般の人にはわかりにくいかなという部分と、それ(フラミリー)によって加入した(人がいる)部分と評価が分かれていると。ただ、顧客の純増に繋がるほどの十分な力を持っていなかったということも、併せて言えるんじゃないかと思っております。

質問者:じゃ今後はフラミリーについて、例えば改善を加えていくというお考えはあるのでしょうか。

:そうですね、今、新しい料金体系については様々に見当の真っ最中ということでございます。新しくマルセロ・クラウレCEOの元で販売体制が再構築されていくということになります。

NTTの新サービスが、アンフェアにならないよう規制当局には注意してもらいたい

質問者:朝日新聞のナガシマといいます。2つお願いします。1つはNTTが秋にも始めようとしている「光サービス卸」なんですが、まだ詳細は発表されていなくて明らかになっていないんですが、これでドコモなんかはセット割を展開してくる構えになってますけれども、御社はどういうふうな対抗や対応をされていくのかというのがひとつ。

もうひとつは、今しがた出た質問にも関連するんですけれども、スプリントを通してアメリカで経営参画されてますが、その他の国、ブライトスターが得意とする中南米や欧州なんかにも、例えば携帯会社を買収するなどして拠点を築くなり、というふうなことについてはどのようにお考えか、お願いします。

:NTTさんの「光サービス卸」については、我々も非常に高い関心も持っているということです。ですから、元々国が100%所有している、税金で作られた会社ですから、それがアンフェアに民業を圧迫するということもいけないと思うんですよね。ですからそれについては、元々独占的な立場にあった会社が、不当な力をそこで発揮するのは良くない。

ですから十分にそこについては公正な取引がなされるように注意をしていただきたい、と規制当局にもそれはお願いしたいところです。それが平等な、公正な形で行われるのであれば、我々も積極的にそれに販売のご協力をさせていただきたいと感じております。

次に米国以外への進出の件ですが、我々は常々、日本国内だけで終わるつもりはないと思っているわけですが、今は米国に力を集中しているところですので、他の国々に関するコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

pepperは大きすぎる?

質問者:度々すいません、オオシマです。先ほどのプレゼンのなかでpepper、ロボットの話にも触れてましたが、記者会見も拝見していましたが、日本の住宅事情とかからすると、pepperはけっこう大きい商品です。私もソフトバンクショップへ見に行きましたけれども、ちょうど小学生くらいの子どもが1人増えるくらいの大きさになると思うので、なかなか置き場に困るのではないかなと。(開発会社の)アルデバランは「nao」とかもっと小型のものも開発してましたので。

そういう点でいうと、普及とか、置き場に困って手を出さない人も出てくるのではないかなと思うんですが、まあ孫さんのお家ぐらい大きければ置き場もあると思うんですけれども、なぜあのサイズに拘ったのか、お聞かせ頂けますか。

:まあ存在感として、おもちゃのようなロボットを作りたいということであれば、おもちゃに適したサイズがあると思うんです。でも私の思いとしては、まさに今おっしゃられたように家に子どもが1人増えたというような感覚でpepperを登場させたかった、という思いがあるということです。つまり我々はpepperをおもちゃだとは思っていない、ということであります。家族の一員になる、くらいのつもりで迎えてくださるところにpepperを提供していきたいと。

将来、今から10年後20年後30年後には、pepperのような大きさの、存在感のある、家族の一員だとか、あるいは一緒に会社で仕事をする一員として、このようなロボットが普及する時代がやってくるのではないかなと信じているということです。あくまでもおもちゃではなくて。

Y! モバイルは低価格帯を狙っていく

質問者:時事通信のハシモトです。2点ほど伺いたいんですが、御社の場合、傘下にソフトバンクモバイルとY! モバイルの2社があると思うんですが、それぞれの役割というか、日本の携帯市場でどう売り分けていくのか、というのを改めて伺いたいのが1点目。

2点目は、先ほどpepperの話があったと思うんですが、アメリカでスプリントを伸ばしていくにあたって、pepperの販売員としての役割というか、そこらへんはどのようにお考えになっているのか。以上2点お願いします。

:ソフトバンクモバイルがいわゆる正規軍だとすると、Y! モバイルは別働隊という役割だと思っています。したがって別働隊である以上は、別働隊としての機能の部分、価格の部分、棲み分けが必要だとは思っています。そこで、"モバイルインターネット"という位置づけとして、グループ会社のヤフーとの連携をより深めた運営にしていきたいというふうに思っています。

だからこそ、ヤフーの宮坂くん(社長)の、Y! モバイルを持ちたい、という思いに我々もそもそも賛同したわけですけれども、爆速で来て爆速で去っていったのでですね(笑)、我々が今もそのままY! モバイルを経営することになっておりますが。

基本的にその時の思想はそのまま生きているということで、ヤフーとの業務提携の部分はより密接な形の機能になっていくということと、価格帯についてもですね、最近格安スマホとかいろいろ出ていますけれども、そういうようなところとも十分競争していけるような価格帯にしていきたいと思っております。

次にpepperについてですが、実はpepperについて海外の様々なところから関心をいただいております。ですから当然、米国にも拡大していきたいと思っておりますけれども、まずは最初に日本国内で、我々のいろんな手の届きやすい範囲のなかでしっかりと商品を完成させていきたいと。十分な完成に近い状況になっていったら、米国だとか他の国々にも徐々に拡大していきたいと。ですからその時期がきたら、スプリントの店頭でも集客に役立つとか、いろいろなことになるのではないかなと期待しております。