2017年3月期 第2四半期 決算説明会

田口三昭氏:本日はお忙しいなか、ありがとうございます。バンダイナムコホールディングス、田口でございます。それでは、ご説明を開始させていただきます。

まず、2ページの上をご覧ください。2016年度上期の実績でございます。

上期は、売上高2,945億円、営業利益389億円となりまして、8月に修正させていただきました数字を上回りまして、過去最高売上高、最高益となりました。

この上半期は、進行中の中期計画の折り返し地点でもありますが、IP軸戦略が効果を発揮しまして、良いかたちで中期計画後半戦に入ることができました。

次に、2ページの下をご覧ください。こちらがセグメント別の実績でございます。

利益面では、すべての事業が年初に掲げた計画数値を上回るかたちとなりました。

セグメント別概況

次に、3ページの上をご覧ください。事業別にご説明をさせていただきます。

まず、トイホビー事業でございますが、国内とアジアで『妖怪ウォッチ』の人気が高かった前年に比べますと減収減益となりましたが、それを事前に織り込んだ年初計画に対しましては、ほぼ計画通りに推移をいたしました。

国内の『機動戦士ガンダム』や『仮面ライダー』、『プリキュア』、欧米の『パワーレンジャー』、そして、アジアの『機動戦士ガンダム』といった、各地域で主軸となります定番IPの商品が、大変人気となりました。

トイはこれから年末年始商戦ということで、最大の商戦期を迎えますので、各地域でさらに盛り上げてまいりたいと思います。

続いて、ネットワークエンターテインメント事業は、4月に発売をいたしました『ダークソウルⅢ』が、欧米を中心に370万本以上販売する大ヒット商品となりました。

このタイトルはダウンロード比率も非常に高く、40パーセント以上ございます。利益面でも大変貢献をしてくれました。

ネットワークコンテンツにつきましては、国内では、9月に1周年を迎えました『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』、それと『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』など、継続して好調な既存タイトルに加えまして、新規タイトルであります『ソードアート・オンライン メモリー・デフラグ』が順調に立ち上がりました。

海外では、ワールドワイド配信をし、足元で1億ダウンロードを突破しました『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』や『ONE PIECE』の『トレジャークルーズ』、中国でランキングの上位を現在もキープしております『NARUTO』の『火影忍者 MOBILE』など、ラインナップの充実が進みまして、上期のネットワークコンテンツの海外売上比率は17パーセントとなりました。

この他、アミューズメント施設では、国内既存店売上が昨年対比107.8パーセントとなりまして、大変好調に推移をいたしました。

次に、映像音楽プロデュース事業では、『ガールズ&パンツァー』が、5月に発売した劇場版の映像パッケージを中心に、音楽パッケージや関連グッズ、イベントなどが大変好調で、IPとして大きく成長をしてくれました。『ガールズ&パンツァー』につきましては、新作の制作も決定いたしました。

また、『ラブライブ!』シリーズは、人気が現在も継続しておりまして、今年の春、実施をしましたファイナルライブの映像パッケージ、それと夏に放映を開始しました新シリーズ『ラブライブ! サンシャイン!!』の映像・音楽パッケージも大変好調でございます。

この他、『機動戦士ガンダム』シリーズの映像パッケージや、オリジナルIPの『アイドルマスター』や、今期急成長いたしました新規オリジナルIP『アイドリッシュセブン』の音楽CDも大変人気となりました。

通期見込

次に、3ページの下をご覧ください。こちらは通期の見込でございます。

通期の見込につきましても、上期の実績、足元の市場動向、商品・サービスの投入予定を踏まえまして、今回見直しをいたしました。

売上高5,900億円、営業利益570億円は、我々にとって過去最高売上高、最高益となります。IPごとに顧客としっかり向き合い、また、持続的成長のための投資も併せて行いながら、この数字を着実に達成していきたいと考えております。

なお、中間期の配当につきましては、12円とさせていただきます。また、期末の配当につきましては、当社の株主還元に関する基本方針であります年間安定配当24円をベースに、「配当性向30パーセントを目指す」という考え方に基づきまして、今後検討してまいります。

セグメント別通期見込

次に、4ページの上をご覧ください。こちらが、セグメント別の見込でございます。下期と通期の数字の背景につきまして、事業ごとにご説明をしてまいります。

4ページの下をご覧ください。

まずトイホビーは、通期の売上高、利益見込を、今回見直しました。売上につきましては、下期は今後の部分に関しては年初計画通りでございます。利益の減少につきましては、大きくは来期以降の成長に向けた投資を行うことが主な要因でございます。

詳しい投資につきましては、欧米の主力IP『パワーレンジャー』のさらなる訴求と、IPブランド価値を高めるために、3月の全米映画公開に合わせて、大規模なプロモーションを行うことなどを予定しております。

ネットワークエンターテインメントは、下期はコストが先行いたします。

こちらは複数の要因がございます。まずネットワークコンテンツにおきましては、国内の新規タイトルの投入数が、上期は9本でございましたが、下期は14本を予定しております。このため、開発費の負担や立ち上げコストなど、費用が先行する見込みでございます。

加えて、海外では主力タイトル『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』、『ONE PIECE トレジャークルーズ』で、現在世界規模の大型プロモーションを実施しております。

また、次世代技術の研究など、インキュベーション投資も併せて行ってまいります。変化の大変早いこの業界では、常に最先端の技術に触っていることが大変重要でございます。

技術と経験を蓄積することで、新たなプラットフォームが登場した際に、スピーディーな対応が可能となります。最近では、VRへの向き合い方が大変わかりやすい例かなと思います。

この他、家庭用ゲームでは、今下期は利益率の高いリピートや他社タイトルの販売が、上期の非常に今回大きな前倒しもありまして、タイミング的には下期は大きく見込めない編成となってます。

この他、アミューズメントビジネスにおいては、販売機器のアイテム数の絞り込みを行う予定であります。

次に、映像音楽プロデュースの上下の差につきましては、『ガンダム』につきましては、年間を通じタイトルを平準的な準備をしている一方で、『ラブライブ!』、『ガールズ&パンツァー』は上期に大型タイトルの発売が集中した編成となっておりまして、そのタイトル編成のための、上半期と下半期のバランスということでございます。

中期計画の進捗

次に、中期計画の進捗について、少しご説明をいたします。5ページの下をご覧ください。

この10月から、2015年4月スタートの3ヶ年の中期計画後半戦に入ってまいりました。今中期計画では、自分たちの強みでありますIP軸戦略をさらに強くし、グローバル市場での成長を図ることを重点戦略としております。

これら戦略を推進するために、挑戦とイノベーションをし続け、ヒットの有無にかかわらず、過去最高売上高、最高益レベルであります、売上高5,000億円、営業利益500億円を安定的に達成し続けることができるグループを、現在目指しております。そのうえで、グループとして、次のNEXT STAGEを進みたいと、そのように考えております。

中期計画の成果

6ページの下をご覧ください。これまでの成果について、簡単にご説明したいと思います。

まず、IP軸戦略の進化についてです。創出・育成力の強化という点では、まずは『ラブライブ!』と今急成長しております『アイドリッシュセブン』、『ガルパン』など、有力なIPを創出・育成してまいりました。また、ウィズを子会社化することで、企画開発力の強化も併せて図っております。

新規IPビジネスという点では、ライブイベントやVRを活用した場のように、体験を共有するビジネスが、出口として定着してまいりました。また、ターゲットの拡大という点では、大人女子という新たな層を、現在開拓しております。

また、これらの施策をスピーディーに進めていくために、4月から持ち株会社ホールディングスの中に、IP戦略本部を立ち上げました。

この組織には、各事業のメディアのキーマンが現在参画しております。中長期を見据えた全体最適とIP価値最大化の視点で、海外における『ガンダム』や、既存IPの展開拡大、それとイノベーション、それと併せて大人女子プロジェクトなど、グループ横断で行う複数のプロジェクトも合わせて推進しております。

さらに、投資も積極的に行ってまいります。先ほど申し上げましたが、2015年度にはウィズの子会社化をはじめ、50億円の案件を実行いたしました。今期2016年度につきましても、IPの海外展開に関する投資案件など、約80億円を着手しております。

この中には、東映さんへの追加出資などにあるように、重要なパートナーであり、ともに海外展開をする目的を持つIPホルダーさんとの関係を、さらに強化するための出資も含まれています。今後も我々のIP軸戦略を強く、さらに厚く、持続性を高める投資を行っていく予定でございます。

グローバル市場での成長

次に、7ページの上でございます。グローバル市場の成長について、少しお話をします。

アジアにおいてガンプラを中心にトイホビー事業の拡大を行いましたほか、アプリなど、ネットワークコンテンツの本格展開をスタートしております。

また、欧米再始動という展では、大型タイトルの投入や、他社タイトルの販売拡大による家庭用ゲームビジネスの成長、ネットワークコンテンツのワールドワイド配信、それとトイホビーにおきますIPラインナップの拡充への取り組みなど、市場での存在感を徐々に発揮しつつあります。

次に、7ページの下をご覧ください。中期計画後半戦も、IP軸戦略の進化とグローバル市場での成長を進め、最終年度2017年度には、計数目標であります売上高6,000億円、営業利益600億円の達成を目指してまいります。

ただ、我々のゴールはこの2017年度ではございません。足元を瞬発的に強くするだけではなくて5年後10年後も存続・成長し続けることが、我々の目標です。足元を固めつつ、中長期的な未来を常に意識し、そのために今打つべき手を打ってまいりたいと思っています。

事業動向

続いて、足元の事業動向を少しご説明をいたします。8ページの下でございます。まずトイホビーの国内では、IPポートフォリオの強化を行っています。10月スタートの『仮面ライダーエグゼイド』は、テレビゲームということが今回のテーマでございます。

ご覧のように、色も含めて斬新なデザインといった新しい要素が人気で、立ち上がりは上々です。主力商品の変身ベルトは、平成ライダー歴代2位、鎧武の次だという報告でございます。歴代2位の出足となっておりまして、年末年始商戦でも最主力商品として、大変期待をされております。

また、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は、第2期がスタートいたしました。中心商材のガンプラも非常に、第1期に引き続きまして順調に売れております。この他にも、『デジモンユニバース アプリモンスターズ』、『ヘボット!』といった小学生男児ターゲットのIPもスタートしておりますので、これらも定番化を目指して育てていきたいと、そのように考えております。

次に、9ページの上をご覧ください。海外でも、年末年始商戦直前の11月にDVDが発売を計画されております『ファインディング・ドリー』、また、欧州でアクションドール商材を中心に人気が高い新規IPの『ミラキュラス』のようなIP拡充に、どんどん注力していきます。

それに加えまして、既存IPの強化も継続しています。『ガンダム』は日本での『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第2期放映と同時に、海外配信をサイマルで行うとともに、アジア各地でイベントを開催するなど、きめ細かいマーケティングを行っています。

また、『パワーレンジャー』は欧米の主軸IPとして人気が上がってきておりますが、さらなるIP価値拡大に取り組んで、来年には北米で、海外で人気の忍者をテーマにした新テレビシリーズ『パワーレンジャー・ニンジャスティール』の放映が始まります。また、これに合わせて、先ほどもお話しましたが、3月24日からいよいよ全米での『パワーレンジャー』の映画が公開されます。

テレビの新作、そして、映画の2種類のマーケティングを、たたみかけるように大々的にプロモーションし、2017年度以降につなげてまいります。本格的なハリウッドの映画作品でのマーチャンダイジングは、今回が初めてのトライアルとなります。

この他、欧米では数年前より、ボーイズトイ以外に、ハイターゲット向けフィギュアなどのコレクターズ商材、プラモデルなどの展開を広げております。コレクターズ商材のブランド「魂ネイション」、これが今年10周年を迎えるにあたりまして、12月からブラジルを皮切りに、全世界10都市でワールドツアーイベントを行ってまいります。

また、ゲームソフト『ドラゴンボール ゼノバース2』の発売、これに合わせてアプリの、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』のワールドワイドキャンペーンに合わせて、『ドラゴンボール』の地上波、および、ケーブルでの映像配信、それと配信のダブルのタッチポイントをしてまいります。

加えて、トイホビーから、まずは『ドラゴンボール』のプラモデルを、併せて発売してまいります。続いて、トイ・カード、さらなるカテゴリーの拡大、グループ内の最大連携をもちまして、さまざまな角度から、『ドラゴンボール』の欧米での定着に向けて、施策を強化してまいります。日本から欧米に、『ドラゴンボール』を売って出るということでございます。

ネットワークエンターテインメント

9ページの下をご覧ください。続いて、ネットワークエンターテインメントでございます。家庭用ゲームでは、引き続き市場が活性化しております、欧米市場での展開を強化してまいります。

ワールドワイドにヒットしております『ダークソウルⅢ』は、10月から追加のダウンロードコンテンツの販売をスタートしております。また、直近で10月末から発売しまして、国内では11月2日でございましたが、『ドラゴンボール』の『ゼノバース2』、初回出荷140万本をすでに突破しております。今後も欧米に向けては、『NARUTO』含め、大型IPタイトルを続々投入してまいります。

新プラットフォームにも、積極的にチャレンジをしてまいります。先ほど話題になりましたPSVR向けに、ローンチ発売をしました弊社の『サマーレッスン』、それと『アイドルマスター』は、非常に高い評価をいただいております。とくに『サマーレッスン』は、装着率5割に近い装着率ということで、大変業界でも驚かれております。

また、先日発表しましたNintendo Switchにも、タイトルを提供してまいります。今後も、IP軸戦略と技術力の両輪を生かした、バンダイナムコならではの挑戦を行ってまいります。

次に、ネットワークコンテンツは、IPの世界観とマッチしたゲーム開発と、ファンの特性を踏まえた運営とプロモーションが、現在効果を発揮しております。

国内は、既存の定番タイトルの人気を継続し、加えて新規タイトルを育成することで、タイトルポートフォリオを分厚くしてまいります。10月よりサービスを開始しました『キングダム セブンフラッグス』、今後投入予定の『GOD EATER ONLINE』等々、新規タイトルを続々と投入してまいります。

海外については、ワールドワイド配信と、ローカライズに主軸を置きました、中国のパートナー企業と組んで行う配信の、両軸で回してまいります。その一環として、ワールドワイド展開をさらに強化すべく、現在40ヶ国以上で配信中の『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』のタイトルと『ONE PIECE トレジャークルーズ』のコラボキャンペーンなど、大型プロモーションを行ってまいります。

アミューズメントビジネス

次に、10ページの上をご覧ください。アミューズメントビジネスを、少しご説明をします。

主力店舗へのリソース集中、技術力を生かした「屋内砂浜 海の子」など、バンダイナムコらしいコンテンツと、カルビーさんとのコラボで話題となりました、コーラ味のポテトチップスのような差別化された製品などの効果で、国内既存店売上が大変好調に推移しています。

この他、「なぞとも」や、「アニON」などの新業態につきましても、この施設でしかできない遊びというのを、我々は追及しています。

前年独占しましたアミューズメント機器につきましては、今年度は絞り込んだ人気タイトルの展開、併せて収益の改善を目指してまいります。また、施設と機器が一体となりました、さまざまなプロジェクトにも取り組んでまいります。バンダイナムコならではの価値提供の1つとして、期間限定のVR研究施設「VR ZONE Project i Can」も大きな反響をいただきました。

こういったさまざまな取り組みを検証しながら、差別化された場やコンテンツの提供を行ってまいります。今後の我々の取り組みに、どうぞご期待ください。

映像音楽プロデュース

次に、10ページの下をご覧ください。最後に映像音楽プロデュースです。

大ブレイク、おかげさまでいたしました『ラブライブ!』でございますが、7月から新作アニメ『ラブライブ! サンシャイン!!』がスタートし、従来のファンに加えまして、新しいファンも、どんどん入ってきてくれています。

新シリーズへの移行の際には、固定の従来ファン離れというのもあるんですが、映像や音楽をはじめ、世界観を丁寧に作っていったことを、今回はファンの方から、新しいファンの方も含め、評価していただけたのではないかと、そのように考えております。今後は、再放送、映像や音楽パッケージの発売、国内外のライブイベントなど、さまざまな方向から話題を提供し続けてまいります。

続いて、『機動戦士ガンダム』は、映像音楽事業の基盤として、ハイターゲット向けには『ORIGIN』や『サンダーボルト』、ティーン向けには『オルフェンズ』というように、各ターゲットに対応した作品を提供してまいります。

そして、IPの層を厚くすべく、グループの各事業とも連携を図りながら、今回、福井晴敏氏を迎え新たに始動いたします『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』、また、大きな市場になりつつある大人女子向けの作品、IP『ドリフェス!』や『マジきゅんっ! ルネッサンス』など、さまざまなバリエーションに富んだ作品を、我々は挑戦してまいります。

さらには、ライブイベントやファンクラブビジネスのような新しいニーズに向かって、ビジネスの裾野拡大も強化してまいります。

以上、駆け足ではございますが、業績、事業動向について、ご説明をさせていただきました。上半期はおかげさまで良い結果となりましたが、変化の早い業界でございます。現状のやり方の延長では、我々は通用しないと、そのように認識しております。常に新しいものを考えていかないと生き残れないという危機感を持ちまして、イノベーションと投資を引き続き行うことが重要かと考えています。

バンダイナムコは挑戦なくして成長、進化なし、ということでございます。今後も時代の変化を読みながら、スピードを持って先手を打つことで、5年後、10年後も持続的な成長を続けてまいりたいと、そのように考えています。

以上、簡単ではございますが、ご説明をさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。