ディスプレイ広告の成長

孫正義氏(以下、孫):あとは簡単に言います。Yahoo! JAPANですね。上場会社ですからすでに皆さんいろんな情報を持っているとは思いますけれども、ヤフーの検索サービスのほうは収益が減っております。検索連動の広告ですね。大きな画面のパソコンだったのが小さな画面のスマフォになったと。このスマホで、iPhoneにはGoogleのサービスが基本埋め込まれていると。

Googleのアンドロイドは当然Googleだと、しかも画面が小さいということで検索連動型の広告は減っておりますが、それを埋めて補って余るだけディスプレイ広告が成長していると。なぜ成長しているかというと、画面が小さくなったスマホにFacebook型と同じようにインフィード広告がありまして、こちらが非常にうまく機能し始めたと。

ユーザーのプロファイルに合わせて、そのユーザーがどういうプロフィールのお客さんだと。そのユーザーのプロフィールに合わせて、つまり17歳の女子高生にメルセデス・ベンツの広告を出しても意味がないわけですよね。

17歳の女子高生に毛生え薬を宣伝しても、あんまり意味がないと思うんですが。意味のある人に意味のある広告を提示すると。しかも、インフィード広告という非常に見やすく簡単にできるということで、広告効果が非常に増えてきたということで。それがYahoo! JAPANの中長期的な経営の改善の兆しとして見えたと、これが1点目です。

アリババ型のイーコマース新戦略が奏功

2点目がイーコマースです。Yahoo! JAPANのイーコマースは後手に回りました。しかも伸びていないという状況でしたけれど、2年前からイーコマース革命ということで、Yahoo! JAPANのイーコマースのモデルがアリババ型に変わりました。

新しい経営陣でアリババ型のイーコマースにモデルチェンジしたと。その結果、2年前の第3クォーター伸び率が3パーセントだったのが、1年前には12パーセントになって、ついに今年度には48パーセント伸びているという状況であります。

恐らくこれは、日本のどの競合他社よりも一番伸びているところじゃないかと思います。少なくとも主要なYahoo! JAPANの競争相手と言ったら、みなさん名前の想像がつくと思いますけれど、彼らに比べても取扱高が著しく伸びているという状況になりました。

さらにそれに加えて、「一休」がYahoo! JAPANのグループに入ることになりました。買収を発表させていただきました。

ということで、これからYahoo! JAPANのイーコマースは、伸びてくると。さらに伸びてくるということが想像いただけるんじゃないかと思います。

その他の事業者さんとして、簡単にお話いたします。Pepper売れております、売り切れです。毎月1分間で売り切れというのが、7ヵ月連続で続きました。作ったら作っただけ売れる、売り切れるという状況でしたけれど、これからさらに店頭でも販売するというかたちになりました。

Pepperのビジネス向け、企業向け、こちらも我々が想像していた以上に、多くの企業のお客様から引き合いをいただいて、導入が続々と決まっているということであります。事業としてはまだ小さいですけれども、Pepperも楽しみな事業に育ってきはじめているということであります。

中国におけるイーコマースの成長

次に、投資資産としてのポートフォリオですけれど、いくつかの項目があります。まず最初にイーコマース。ソフトバンクグループの代表的なイーコマースは、アリババですね。

アリババの取扱い金額がついに57兆円ということで、これは3四半期分で57兆円。すごいですね。3四半期分で57兆円の取扱高まできたということです。

結果、アリババの売上もどんどん伸びておりまして32パーセント増。

なかでもモバイルのところが急激に伸びていて、こちらは前年対比3倍増であるということであります。

したがって、モバイルからの売上がもう半分を超えるところまで来ていると。パソコンからモバイルになったら、イーコマース売上の伸びが落ちるんじゃないかという懸念に対しては逆だったと。

モバイルはより大きく伸びていると。その結果、アリババの売上、利益はさらに伸びると思っています。

というわけで、純利益も着実に成長できていると。チャイナリスクというのが昨今多く言われていますが、GDPが6.9パーセント伸びているが、いや、本当は5パーセントじゃないかとか、いろんな説がありますけれども。でも、それでも日本やアメリカ、その他に比べればはるかに伸びているわけです。

さらには、中国のGDP全体に比べて、小売の世界というのは10パーセント伸びているわけですね。一般的な小売が10パーセントくらい伸びているわけですけども、イーコマースは20パーセント以上伸びているわけですね。

ですから、GDPは日本、アメリカより大きくて、いろいろ言われてはいるけれども、結局それでも日本アメリカよりは伸びていて。小売はそれよりも伸びてて。イーコマースはさらにそれより伸びていると。

つまり、成長産業にあると。確実に利益を伸ばしている。この利益はAmazonとか、ほかのイーコマース、世界的に有名な会社と比べても、はるかに利益を出して、はるかに伸びている。はるかに大きいということを、多くのみなさまに再認識していただきたいと思います。

インド、韓国、東南アジアにおける成長

中国、次がインド。我々のグループのインド、前年対比90パーセント伸びています。倍増近く伸びています。

我々の韓国、これは4倍増伸びています。

インドネシア、3倍増伸びている。

インドにおける最大のホテルチェーンになりました。我々のグループの「OYO」が。経営者、創業者、まだ21歳か22歳くらいです。非常に若くて、急成長していると。彼は19歳で社長になりました。対前年比34倍。伸びすぎくらい伸びていると。

次にトランスポーテーション。今、未上場の会社でおそらく世界で一番大きい会社。未上場はUberだと思います。Uberのインド版。インドにおける圧倒的ナンバーワンです。マーケットシェアおそらく8割くらい。前年対比、10倍伸びていると。

それから、インドネシアだとかタイとかフィリピンとか。東南アジアでやっている会社「Grab」。これが6倍伸びていますし。

中国で90数パーセントのマーケットシェアを取った、クアイディ。こちらもUberの乗車回数を抜きました。つまりソフトバンクグループのトランスポーテーションサービスは、アジアでしかやっていませんですけども、全世界のアジアの乗車回数を抜いたと。

Uberが世界最大の未上場会社として急成長しているとすると、我々はそれ以上に伸びている。それ以上に乗車回数も増えたと、いうことで楽しみな会社だと思っています。これらみんな未上場ですから。

アリババも私がいくら口から泡を飛ばして言っても、アリババの価値についてはほとんど未上場の時は理解されていなかったと思いますが。上場後はその価値が顕在化してきましたね。これらの会社はまだ未上場ですから、まだ価値の顕在化がないですけれども、私は非常に楽しみにしているということです。

ゲームの方の会社も成長率はガンホーあまり伸びていませんですけど、それでも順調に利益を出している。日本のスマホのゲームでは、最も利益を出している会社の1つであると。SUPERCELLは世界で最もスマホで利益を出している会社であるということであります。それらがソフトバンクの会社だと。

フィンテック、最近語られるようになりましたが、我々のフィンテックは前年対比4倍増ということで、おそらくフィンテックで未上場で今最も期待の高い会社がこの「SoFi」だと思います。

SoFi貸付残高が、もうすでに今年は5,000億円を超えていると。急成長と、4倍増ということであります。すばらしいビジネスモデル。

本当はこの1社語るだけで、私は3時間くらい喋れるんですけども、今は一言ですましましたけれど。ということで、我々の事業資産、それぞれが順調にそれなりに伸びていると。また、我々のグループのポートフォリオカンパニー。こちらも非常に急成長しているということで。両方ともに楽しみにしております。

右肩上がりの成果を出せなかったものはない

最後に締めくくりますけれども、うちの社員が昔の写真を見つけて、引っ張り出してきましたけれども。なんかこう……フサフサしてますね(笑)。懐かしく思います。

毎日朝から晩まで、一生懸命経営の課題に取り組んでおりました。そのころから、今もほとんど変わらないんですけど、難局難題にぶち当たったときほど、頭が回転し始めます。エネルギー、情熱がわきあがってきます。

そういうときは本当に充実しているんですけど、私自身が社長あるいは会長として直接経営に携わっている会社、事業をオペレーションしている会社はたくさんあるんですけど、代表的なものを3つ挙げました。

私の誇りは、自らが直接手をかけて、集中してやったもので、右肩上がりの結果を出せなかったものはないと。こういうふうに自らのプライドを持っております。

ヤフーのアメリカが利益を出す前に、Yahoo! JAPANは利益を出しました。ヤフーのアメリカが利益がでこぼこして赤字になっても、Yahoo! JAPANは着実に利益を積み上げてきました。

固定通信ビジネスとしての日本テレコム、世界中で固定通信の会社は赤字、減益というのがほとんどですけど、その日本テレコムを我々が買収して、真っ逆さまに利益が落ちていっていたのが、反転して黒字、増益にできたと。

ソフトバンクモバイルも利益が真っ逆さまに落ちていたボーダフォン・ジャパンを買収して、私自身が経営者としてやって反転できたと。これが私のひそかな誇りであります。プライドであります。

それに対して、今回のスプリントを私の誇りにかけて同じように反転して見せると。1年前は自信をなくしていたと。売りたくてしょうがなかったと。買い手がほしかった。

今は、言い訳抜きでこれを同じように反転させてみせると。その自信を深めたと。まあ、これだけ言っていかないとあとで大変なことになりますが(笑)。

そのくらい私は自信をもってきたということを正直ベースでお話しさせていただいて、今日のプレゼンを締めくくりたいと思います。どうもありがとうございました。