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株式会社アストロスケールホールディングス(186A)

東証グロース

サービス業

エグゼクティブ・サマリー

岡田光信氏(以下、岡田):みなさま、本日はご多用の中、半年に一度の事業説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。アストロスケール創業者兼代表取締役社長グループCEOの岡田光信です。

まず、本日のポイントを簡単にご説明します。1点目は、4月の事業説明会でご説明した継続受注案件の獲得を通じた成長戦略が順調に進捗していることです。

継続受注につながる可能性のある案件の獲得や、将来の事業拡大を見据えた衛星プラットフォームの開発が着実に進んでいます。

2点目は、海外における現地パートナーシップの強化についてです。フランスを中心に現地パートナーシップを拡充しており、事業機会の拡大につながっています。

3点目は、TOPIX(東証株価指数)への組み入れが決定したことです。こちらについては後半で取締役副社長執行役員グループCFOの松山がご説明します。

当社事業の軌跡と今後の戦略的方針

スライドは、4月の事業説明会でお伝えした成長戦略の概要です。これまで当社は、一品一様のプロジェクトを通じて技術や実績を積み上げてきました。

今後はそれに加え、継続受注案件を獲得することで事業を拡大し、収益性の向上につなげていくことが重要だと考えています。

黒字化に向けた短・中期的戦略

具体的には、防衛分野と民間分野の両方で継続受注案件の獲得を進めるとともに、コストコントロールを徹底しながら黒字化を目指します。

本日は、これらの取り組みの進捗状況についてご説明します。

継続受注案件の獲得に向けた取組み

まず、継続受注案件の獲得に向けた具体的な取り組みについてご説明します。現在、将来の継続受注やプラットフォームの再利用につながる案件の獲得に注力しています。実際に、英国では防衛案件を初めて直接受注し、フランスでは現地パートナーシップを強化しています。

また、米国では燃料補給サービスの実現に向けた重要な実証が間近に迫っています。

加えて、各地域の需要に応じた衛星プラットフォームの開発も進めており、将来的には他の用途への転用による開発効率の向上も期待しています。

英国:当社として初めて英国国防省との直接契約を実現

英国での取り組みについてです。今年9月、英国政府は「UK Space Strategy」を公表し、宇宙を国家安全保障と経済成長の中核インフラとして位置づけました。

宇宙領域把握(SDA)と軌道上サービスは、優先的に強化すべき4つのサブセクターのうちの2つとして明記されており、防衛・安全保障分野における宇宙関連需要はますます高まっています。

そのような中、当社は政府機関や防衛機関との関係構築を進めてきました。その結果、今回、英国で初めて防衛案件をプライムコントラクターとして受注することができました。また、この案件を契機として、将来の継続受注につながる可能性のある案件についても対話が活発化しています。

英国は、当社グループにとって日本に次ぐ重要な市場であり、今後も事業機会の拡大を目指していきます。

「COSMIC」フェーズ3については、残念ながら受注には至りませんでした。しかしながら今回の国防省案件の受注や継続的な対話により、英国における当社のプレゼンスや政府との関係性は引き続き強化されています。

フランス:現地法人の初ミッションとなる軌道離脱実証を受注

フランスでの取り組みについてご説明します。スライドは、当社のフランスにおける初の具体的な案件獲得事例です。今年4月にマクロン大統領と高市総理が当社の東京拠点を訪問された際、Exotrail社とのパートナーシップ締結を発表しましたが、今回の案件はその最初の成果となります。

本案件は、フランス政府の「France 2030」プロジェクトの支援のもと実施され、Eutelsat社のOneWeb衛星への接近・ドッキング、および軌道離脱の実証を行うものです。対象となるOneWeb衛星には、当社が設計したドッキングプレートがすでに搭載されており、磁石による捕獲が可能となっています。

当社フランス法人は、Exotrail社のサブコントラクターとして、RPO(ランデブ・近傍運用)および捕獲機構に関する技術や専門知見を提供します。RPOに関する知的財産や中核技術は引き続き当社が保有しており、自社の競争優位性を維持しながら事業機会の拡大を図っています。

本件は、現地パートナーとの連携を通じて案件獲得を進めるという、当社のパートナーシップ戦略が成果につながった事例です。これにより、フランスの宇宙エコシステムにおける当社の実績がさらに蓄積され、運用終了後の衛星除去サービスや防衛関連を含む新たな案件に発展することが期待されています。

フランス:現地パートナーシップをさらに拡大

フランスにおけるもう1つの取り組みをご紹介します。先ほどのExotrail社に続き、Hemeria社ともパートナーシップを締結しました。

その背景にあるのは、フランス政府が進める宇宙防衛プログラム「Yoda」です。従来からご説明しているとおり、宇宙は安全保障上ますます重要な領域となっています。「Yoda」は静止軌道上で防衛行動をシミュレーションする、フランスの宇宙防衛プロジェクトです。

Hemeria社はこの「Yoda」プログラムにおいて、衛星プラットフォーム開発を担う重要な企業です。同社は防衛用途の小型衛星プラットフォーム開発を強みとしています。

今回のパートナーシップでは、当社のRPO技術とHemeria社の衛星プラットフォーム技術を組み合わせ、フランス向けの小型静止軌道(GEO)衛星を共同開発し、防衛用途における現地ソリューションの開発を目指します。

フランスにおいて宇宙防衛分野の中核を担う企業との関係を構築できたことは、大きな意味があります。先ほどご紹介したExotrail社との協業を含め、フランスでは現地パートナーとの連携を通じて事業機会が着実に広がっています。

今後も、このようなパートナーシップを具体的な案件の獲得につなげていきたいと考えています。

米国:実証ミッションを通じ継続的な燃料補給ビジネスを開拓

米国では、継続受注につながる可能性がある案件が、いよいよ宇宙での実証フェーズへと近づいています。

現在、米国宇宙軍は次世代SDA(Space Domain Awareness:宇宙領域把握)衛星において、燃料補給能力を重要な要件として位置づける方針を示しています。その背景には、燃料残量の制約による衛星の運用や機動性の制限という課題があります。

当社が受注している「APS-R」ミッションは、米国宇宙軍にとって初めての燃料補給実証となる見込みで、非常に重要なプロジェクトです。

今回のミッションでは、軌道上で燃料補給口を有する衛星と燃料貯蔵基地の間で、実際に燃料を輸送する実証を行う予定です。

また、「APS-R」は今期中の打上げを予定しており、開発および地上試験は順調に進捗しています。当社としても、非常に重要なマイルストーンであると考えています。

この実証を成功させることにより、米国宇宙軍向けの継続的な燃料補給ビジネスの拡大を期待しています。

日本:宇宙インフラ防護の具体化が進展

日本における取り組みについてです。宇宙では、他国の衛星に接近して妨害や無力化を行う、いわゆる「キラー衛星」への警戒感が高まっています。このような状況を踏まえ、日本政府は重要な宇宙アセットを防護するため、「ボディーガード衛星」の導入を検討しています。

報道によると、2035年度までに6機体制の構築を検討しているとされており、将来的には複数機の需要が見込まれます。

当社はすでに防衛省から、このような将来構想につながる機動対応宇宙システムのプロトタイプ開発を受注しています。現在、開発は順調に進捗しており、2028年度の納品に向けて準備を進めています。

まずは実証を成功させ、将来的には複数機の「ボディーガード衛星」需要につなげていきたいと考えています。

寿命延長サービスの市場規模

寿命延長(LEXI)サービスについてです。「LEXI-P」は以前からご期待いただいている案件ですが、遅れていることをお詫び申し上げます。

現在、初号機案件については、顧客との最終的な契約条件の協議が順調に進捗しています。一方で、注目しているのは初号機案件だけではありません。スライドに記載のとおり、静止軌道には寿命延長(LEXI)サービスの対象となりうる衛星が数多く存在しており、毎年20機から30機程度の退役が見込まれています。

まずは初号機契約を受注し、これを成功させた後、さまざまな静止軌道(GEO)衛星事業者への展開を通じて、継続的な受注案件につなげていきます。

継続受注や再利用につながる既存プロジェクトの状況

英国、フランス、日本、米国の事例でご紹介したとおり、4月の事業説明会で示した継続受注案件の獲得に向けた取り組みは、着実に進展しています。それぞれの案件の性質は異なりますが、いずれも将来の継続受注やサービス展開につながる可能性を持っています。

このような案件が日本だけでなく、欧州や米国を含めたグローバル規模で広げられていることが、当社の強みです。

現在開発中の衛星プラットフォーム

現在、既存プロジェクトを通じて、将来にわたり継続的に活用可能な衛星プラットフォームを開発しています。

まず欧州では、「ELSA-M」が2028年4月期に打上げ予定です。このプラットフォームを活用し、将来的には運用を終了した複数の衛星の除去案件、いわゆるEnd Of Life(EOL)サービスに加え、静止軌道用への改変や、今後の継続的な欧州防衛案件への活用も視野に入れています。

米国では、「APS-R」が2027年4月期に打上げ予定です。その後は米国における継続的な燃料補給案件への展開を目指しています。

日本では、防衛省案件である「GRPO-D」が2028年3月に完成予定です。その後の軌道上実証を経て、将来的な複数の「ボディーガード衛星」案件へつなげていきたいと考えています。

また、「LEXI-P」については2028年4月期の打上げを予定しており、その成果を将来の継続的な寿命延長(LEXI)サービス案件へ展開する計画です。

これまでは案件ごとにイチから開発することがほとんどでしたが、今後は既存プラットフォームを活用することで、防衛分野を中心とした継続受注案件を獲得するとともに、開発効率の向上や収益性の改善を実現していきます。

プラットフォーム開発の進捗状況

各プラットフォームの開発状況です。スライドに記載のとおり、各プロジェクトは順調に進捗しています。特にお伝えしたいのは、開発だけでなく、打上げロケットの確保も着実に進んでいる点です。

「ELSA-M」については、打上げ事業者であるIsar Aerospace社が2回目の飛行で成功しています。また、「APS-R」「GRPO-D」「LEXI-P」についても、打上げ手段の確保が完了しています。

昨今、世界中で打上げ需要が急増しており、ロケットの確保が重要な課題となっていますが、当社では各案件について打上げに向けた道筋を着実に固めています。

営業利益の黒字化に向けた重点領域

松山宜弘氏(以下、松山):スライドは、前回の事業説明会でもご説明した黒字化に向けたロードマップです。

当社では、受注残高の積み上げに加え、継続受注を通じて「平均案件期間の短縮」「売上総利益率の改善」「研究開発費/販管費の抑制」が必要不可欠であると考えています。

受注残高(受注済残高+受注内定済の案件総額)

まず、当社の収益の源泉となる受注残高についてです。第1四半期決算後の2026年9月には、先ほどご説明したExotrail社との共同案件であるCNES(フランス国立宇宙研究センター)の案件、および英国国防省の案件を受注しており、合計で50億円を超える案件を新たに積み上げました。

直近の数四半期では受注残高が減少している状況ですが、次のスライドに示している潜在パイプラインを獲得し、着実に積み上げていきたいと考えています。

潜在グローバルパイプラインのイメージ(2026年9月末時点)

今後の受注機会についてです。9月の第1四半期決算発表時に開示した8月時点のパイプラインのうち、入札中だった防衛案件は英国国防省の案件として無事に受注しました。現在、政府と民間でそれぞれ1件ずつ入札・契約交渉中のステージにあります。

政府案件については英国の案件で、「COSMIC」を上回る金額と収益性が期待できる内容です。さらに、これは単発の案件ではなく、将来的な継続受注につながる可能性があります。

また民間の1件は「LEXI-P」です。先ほどもお話ししたとおり、契約作業は最終局面に入っており、現時点で契約がなくなる心配はありません。

これらの案件を受注できれば、今期はここからさらに200億円規模の受注残高を積み上げることになります。

収益認識方法の業績に対する影響

売上総利益の向上に関連して、当社の収益認識の方法についてご説明します。黒字化に向けては、継続受注案件の獲得に加えて、収益認識の方法も重要だと考えています。

現在、当社では一部案件において進捗度を合理的に見積もることが難しいため、原価回収基準で収益認識を行っています。この場合、スライド左側のチャートに記載されているように、契約期間中は原価相当額までしか収益を認識できず、利益の認識が契約の最終年度に集中します。

一方、IFRS(国際財務報告基準)の原則的な考え方では、進捗度に応じて収益と利益を認識する方法が採用されています。当社としても、案件管理やコスト見積もりの精度向上を図ることで、より多くの案件で進捗度に基づく収益認識を適用できるよう、取り組みを進めています。

これが実現すれば、スライド右側のチャートに記載しているとおり、案件期間を通じて利益を認識できるようになり、業績の見え方も大きく変化することになります。

営業黒字化に向けた取組み:販管費のコントロール

コストコントロールについては、前回から方針に変更はありません。現在、為替の影響により円換算ではやや上振れしていますが、現地通貨ベースではコスト抑制を継続できています。

引き続き、規律あるコスト管理を徹底しながら、損益分岐点を可能な限り下げ、黒字化に向けた取り組みを進めていきます。

キャッシュ・フロー及びバランスシート

キャッシュ・フローとバランスシートについてご説明します。6月に実施した資金調達により、手元の流動性を大幅に増やすことができました。これにより、成長に向けた投資余力を確保するとともに、事業機会に応じて柔軟な経営判断が可能な財務基盤を整えることができています。

また、転換社債のうち163億円については戦略投資家に引き受けていただいており、相対的にリファイナンスリスクが低いと評価しています。さらに、実質的なネットキャッシュのポジションも潤沢であると考えています。

したがって、現時点では株式調達が必要な状況ではありません。株主価値向上に資する魅力的な成長投資機会が顕在化しない限り、運転資本調達のための負債調達以外に資本調達を実施する計画はありません。

TOPIX構成銘柄への採用

先日、当社株式がTOPIXの新規採用銘柄として選定されました。今回の見直しでは683社が移行措置銘柄となった中で、グロース市場から新規採用されたのはわずか12社でした。

このような中で当社が選定されたことは、流動性や時価総額を含め、資本市場から一定の評価をいただいた結果であると考えています。また、規模としては上位1,000社に入る水準で、一定の規模感を持って東証規模別株価指数へ参画できたと評価しています。

これもひとえに、投資家のみなさまからのご支援とご期待のおかげであると感謝しています。

上場後、投資家のみなさまには2度の資金調達をご支援いただき、それを当社が積極的に成長投資に充当することで、成長の礎を築いてきました。これからは、継続受注の積み上げなどを通じて収益性の改善を実現し、投資家のみなさまのご期待にお応えしていきます。

投資家のみなさまにはこれまでのご支援に御礼申し上げるとともに、引き続きサポートいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

質疑応答:130億円相当の英国政府案件について

質問者:英国における130億円相当の政府案件についてうかがいます。先ほど継続案件とおっしゃいましたが、御社が現在期待しているおよそ130億円の案件がどのようなものであるかの解説と、それが継続案件になると考える理由について

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