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イノテック、2027年3月期営業利益40億円予想で最高益水準へ AIデータセンター需要や半導体向けテスターが成長を牽引
会社概要

棚橋祥紀氏(以下、棚橋):イノテック株式会社、代表取締役専務執行役員の棚橋です。本日はよろしくお願いします。
イノテックは、みなさまの目に触れる最終製品を製造しているわけではないため、馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。本日は限られた時間ではありますが、当社の事業内容、直近の業績動向、中期的な戦略について、できるだけ簡潔にご説明します。
まず、会社概要についてです。当社は1987年に設立され、約半年後に40周年を迎える歴史ある会社です。
本社は新横浜にあります。当社は、企業規模に対して比較的多くのグループ企業を有しており、M&Aを活用しながら事業を拡大してきました。
事業変遷

棚橋:事業変遷についてご説明します。当社は1987年の設立当初、完全な商社としてスタートしました。スライドの上部に記載している半導体製造装置やEDA(半導体設計用ソフトウェア)を中心に、欧米から輸入して日本の半導体企業へ販売することが当社の主な事業でした。
その後、半導体を含む電子部品やハードディスクの商社ビジネスも展開し、業績を拡大しました。しかし、2000年頃からは日本の半導体大手企業が韓国企業などに取って代わられる事態となり、当社のような輸入商社が日本企業のみを相手に事業を続けることが難しくなりました。このため、商社ビジネスである半導体製造装置、電子部品、ハードディスクドライブ事業から徐々に撤退することとなりました。
スライド下部に記載の自社製品ビジネスに関しては、このような状況の中で、社内での事業立ち上げやM&Aを通じて、メーカー型の事業やソフトウェア事業、自社製品・自社サービスを提供する事業へと徐々に転換してきました。
現在、商社ビジネスとして大きな割合を残しているのは、半導体設計用ソフトウェアです。ただし、売上の7割以上はスライド下部で示した自社製品が占めています。
東証の業種分類はもともと「卸売業」に属しており、現在メディアなどで当社の決算情報が「半導体商社のイノテック」と紹介される場合があります。しかしながら、現時点ではほとんどメーカー化していると考えているため、この点をご留意いただければと思います。
事業ポートフォリオ

棚橋:当社の事業は大きく3つに分けられます。
1つ目は、テストソリューション事業です。半導体を検査する装置を自社製品として開発し、製造を委託して販売しています。この事業はイノテック本体と台湾の子会社が行っています。
2つ目は、半導体設計関連事業です。創業時から扱っているEDAソフトウェア、すなわち半導体を設計するためのソフトウェアを提供しています。当社自身が独自の半導体を設計・開発するのではなく、半導体を設計する企業にソフトウェアを提供しています。
また、当社の子会社には、半導体の設計技術者を多数擁する企業があり、設計そのものを支援する事業を展開しています。
3つ目は、システム・サービス事業です。この事業では、半導体にとどまらず、エレクトロニクス全般に関わる複数の事業を手がけています。お客さまの製品に当社のハードウェア、ソフトウェア、サービスなどを活用いただき、製品をより良いものにするための技術を提供しています。
具体的には、組込み用CPUボード、ソフトウェア開発、ソフトウェア検証ツールなどを提供することで、幅広くエレクトロニクス関連の事業を展開しています。
事業内容:イノテックのビジネスとは

棚橋:それぞれの事業について、もう少しご説明します。1つ目は、テストソリューション事業についてです。スライド上段右側に記載のSTAr Technologiesの信頼性評価装置・プローブカードと、その下に記載のイノテックのテストシステムが該当します。
イノテック本体のテストシステム事業では、主にNANDフラッシュメモリーを検査する装置を取り扱っています。NANDフラッシュメモリーは、みなさまが使用されているスマートフォンなどで写真や動画を保存する際に利用される記憶用の半導体です。この半導体を製造する企業が行うテストのための検査装置を、当社が製造・販売しています。
また、STAr Technologiesは、台湾の子会社です。台湾には、半導体の製造を受託する企業が数多く存在しますが、これらの企業に向けて、研究開発用途の信頼性評価装置やテストに使用するプローブカードを提供しています。
当社本体と子会社では分野に若干の違いがありますが、いずれも総じて、半導体をテストするための装置を提供しています。
2つ目は、半導体設計関連事業についてです。スライド上半分の左端に「設計・開発」と記載された部分が該当します。この事業には、イノテック、子会社の三栄ハイテックス、モーデック、ファイ・マイクロテックが属しています。本日は、時間の都合上、業績への影響が大きいものに絞ってご説明します。
まず、イノテック本体が扱うEDAソフトウェアについてです。冒頭に申し上げたとおり、創業時から行っているビジネスです。米国には、ケイデンスというEDAソフトウェアで世界的に有力な企業があります。当社は約40年間、同社の日本における代理店を務めています。
このビジネスは、テスターのように装置を販売するものではなく、ソフトウェアのライセンスを販売するビジネスです。数年間にわたるライセンスを提供し、毎月一定の売上を得るため、半導体業界の中で非常に安定的に業績を上げられることが特徴です。
子会社の三栄ハイテックスは、半導体の設計を受託したり、半導体設計の技術者を派遣したりして、半導体メーカーの設計を支援しています。
3つ目は、スライド下段に記載されているシステム・サービス事業についてです。この事業には、多くの子会社があります。
スライド一番右側に記載のエッジコンピューターは、イノテック本体が行っている事業です。組込み用CPUボードについては、先ほどお話ししましたが、ここで言うコンピューターは、一般的に想像されるパソコンやメインフレームのようなものではありません。
私たちが日常的に利用する多くの機械にも、コンピューターで動くものが数多くあります。例えば、駅の券売機や行き先表示板、マンションの宅配ボックスなどに組み込まれているコンピューターがそれに該当します。当社では、このような機械の中で使用されるCPUボード、いわゆる組込み向けのコンピューターを、さまざまな用途に提供しています。
どのような分野の需要が伸びているのかについては、後ほどご説明します。
子会社の中で売上が大きいのは、スライド下段に記載のアイティアクセスと中央に記載のガイオ・テクノロジーです。
アイティアクセスは従来からソフトウェア開発を行っており、数年前に新規事業としてクラウド決済システム、すなわち電子マネーの決済システムの提供を開始しました。みなさまも自動販売機でジュースやお茶を電子マネーで購入されることが多いかと思いますが、その決済端末を当社が開発・提供しており、現在はこのビジネスが主力です。
ガイオ・テクノロジーについてです。自動車は、ブレーキ、エンジン、トランスミッションなど、さまざまな機能がソフトウェアで制御されています。これら各種のソフトウェアが仕様どおり作動しているかを、実機を動かさずにシミュレーション上で検証するためのツールを提供しています。
2027年3月期第1四半期 実績

棚橋:2027年3月期第1四半期の業績について、8月10日に発表しました。前年同期の実績と比べて、売上・利益がともに大きく伸びています。この要因は、スライド下段に示されているセグメント別売上実績にあるテストソリューション事業が大きく伸びたためです。
テストソリューション事業では、半導体を検査する装置を製造・販売しています。特にイノテック本体の事業は、NANDフラッシュメモリーに集中しています。
そのため、お客さまが投資をする時期には売上・利益が大きく上がりますが、投資が毎年コンスタントに行われるわけではありません。年によって、投資が集中する時期と、その後の休止期間が生じます。
今回は複数のお客さまの投資が第1四半期にかなり集中したかたちになったと考えられます。
したがって、第2四半期以降はやや下がる可能性があるものの、業界環境全体が下降トレンドにあるわけではありません。第1四半期に投資が集中しただけであり、その後も需要は続くものの、今期中に再び大きな山が来る可能性は低いと考えています。
2027年3月期 通期予想

棚橋:そのような意味から、通期予想をご覧いただいたほうが、現状をご理解いただけるかと思います。
通期予想は売上高510億円、営業利益40億円で、期初予想を少し上方修正しています。
前期の営業利益は約31億円でした。30億円台の利益は約20年ぶりとなります。20年前は、現在とは業態が大きく異なっていたため、メーカー中心の事業構成となった後では、実質的に過去最高益といっても差し支えない利益水準です。今期はさらにそれを超え、40億円台に到達しそうだというのが足元の状況です。
2027年3月期 通期予想のポイント

棚橋:2027年3月期通期予想のポイントをセグメントごとにご説明します。テストソリューション事業では、海外のお客さま向けの需要が前年度から非常に好調であり、第1四半期もその好調を維持しています。したがって、今期も一定の需要が見込まれます。
また、国内メーカー向けのテスター販売は一昨年度から前年度にかけて非常に低迷していましたが、前年度の第4四半期から回復基調にあります。今期は、一昨年度や前年度を大きく上回る伸びが期待されています。
半導体設計関連事業は、非常に安定しており、主力のEDAを中心に予定どおり進んでいます。前年度比で増収増益を達成できると見込んでいます。
一方、システム・サービス事業では、自動車産業を顧客とするガイオ・テクノロジーが、自動車メーカーの業績低迷の影響を受けています。これに対して、さまざまな用途に使われる組込み用コンピューターの需要が非常に強く、今回の上方修正の主な要因となっています。
2027年3月期 事業別売上予想

棚橋:こちらのスライドでは、各セグメントについて、事業別・子会社別の売上見通しを示しています。イノテック本体が扱うNANDフラッシュメモリー向けテスター事業は前期比で約60パーセント、組込みシステムも60パーセント近い伸びを予想しています。
一方、ガイオ・テクノロジーは、残念ながら前期比で約20パーセントの減収を想定しています。
業績の推移

棚橋:こちらのグラフは、過去4年間と今期予想の売上・利益を示しています。2024年度は若干利益を減らしましたが、その後は順調に伸びています。営業利益が30億円台、40億円台に達したことは、当社にとって非常に大きなステップになったと考えています。
テスター事業:「顧客最適化モデル」で高シェアを獲得~AI関連需要と国内・海外の需要回復を背景に成長加速~

棚橋:現在、イノテック本体のテスター事業と組込みシステム事業が非常に好調であるとお伝えしましたが、それぞれについて少しコメントします。
まず、テスター事業においては、大手のテスター会社が存在する中で、当社が事業を継続できている理由があります。当社のテスターは、お客さまの要求に従い、その要求に応えることを最大の特徴としています。
大手企業では、高性能で多用途に対応できるテスターを提供する傾向がありますが、当社がそうした分野で正面から競争することは難しいと考えています。そのため、当社はお客さまの要求を確実に実現すると同時に、要求されていない機能を追加しないことで、相対的に安価なテスターを製造しています。この特徴が評価され、海外および国内のお客さまから需要をいただいています。
また、メモリー半導体の市況が好転しており、当社の業績を後押ししています。ただし、現時点ではNANDフラッシュメモリーへの依存度が非常に高いため、今後に向けて、同じメモリー分野のDRAMや、スマートフォンのカメラなどに使用されるイメージセンサーの検査装置への参入を目指し、研究開発を進めています。
組込みシステム事業:防衛・船舶等の安定需要に加え、AIデータセンター向けの計測器・SSD需要が急拡大

棚橋:次に、組込みシステム事業も非常に好調です。先ほどさまざまな用途で使用されていると申し上げましたが、具体的な例としてはスライド右側に記載の防衛・船舶分野が挙げられます。
これらの分野でもさまざまな電装品が使用されており、その中に当社のコンピューターが搭載されています。防衛関連や船舶は政府の成長戦略にも含まれており、実際に需要も大きく伸びているため、安定的な成長が期待できます。
同時に、足元でより勢いがあるのが、スライド左側に記載のデータセンターやSSDなど、フラッシュメモリー関連の分野です。半導体の製造過程では、工場内のさまざまな機械が使用されており、また、データセンターで使用される計測器も含まれます。
このような機器を製造するお客さまからの需要が非常に増加しており、これを背景に、今期は組込みシステム事業の売上が大幅に伸びると想定しています。
荒井沙織氏(以下、荒井):あらゆるものに使われているからこその強みがあるということですね。
棚橋:そのとおりです。さまざまな業界に製品を提供していることで、ある業界が不調でも別の業界が好調であれば売上を確保できます。また、多くのお客さまとお付き合いする中で、どこに需要があるのかを把握することができるという効果もあります。
全社経営戦略 – 目指すべき姿

棚橋:中長期戦略についてです。当社の中期経営計画は2024年度から2026年度を対象としており、現計画は今期が最終年度となります。そのため、今後3年間に向けて新たな中期経営計画を策定する必要があります。現中期経営計画の内容と進捗状況、次の数年間に向けた取り組みについてご説明します。
当社のビジョンとミッションについて、詳細な説明は省略しますが、当社はテクノロジー企業である一方で、新たな技術そのものを開発しているわけではありません。もともと商社だったこともあり、お客さまのニーズを確実に把握し、それに対応した解決策を当社の製品で提供することをモットーとしています。
中期経営計画(2024~2026年度)数値目標

棚橋:中期経営計画では、ROEやROICなどの目標を設定しています。利益水準については、過去最高益である2007年度の33億円を更新することが、2年前に立てた目標でした。現在の予想どおりにいけば、達成できると考えています。
中期経営計画(2024~2026年度)グループ共通の事業戦略

棚橋:中期経営計画において、グループ共通で取り組んでいることの1つが営業利益率の向上です。当社は商社からメーカー、つまり自社製品を中心としたビジネスへと移行してきました。そのため、営業利益率をさらに向上させる余地があると考え、その実現に向けて取り組んでいます。
また、当社の事業は非常に多岐にわたっており、M&Aによる獲得事業も含まれています。その中で、どこに経営資源を集中させるべきか、どこが成長分野なのかを慎重に見極めています。
第1四半期の業績をご覧いただくと、テスター事業の変動が依然として非常に大きい状況です。その変動を少しでも緩和するために、業績の安定性向上に向けても取り組んでいます。
具体的にはストック型ビジネスの強化や、特定顧客への依存からの脱却を進めています。テスター事業では、国内のお客さま中心だった構成に海外のお客さまが加わり、ある程度進捗していると考えています。
中計事業戦略の進捗 ~テストソリューション事業~

棚橋:セグメントごとの取り組みについて、簡単に触れます。テストソリューション事業では、フラッシュメモリーや特定顧客への依存度を下げるため、NANDフラッシュメモリー以外の半導体を検査する装置の開発に注力しています。
この中期経営計画期間中に売上実績が出るわけではありませんが、来期以降に向けて大きく進捗していると考えています。
中計事業戦略の進捗 ~半導体設計関連事業~

棚橋:半導体設計関連事業ではEDA事業が主力です。当社は大手EDAメーカーであるケイデンスの製品を日本で販売するとともに、サービスも提供しています。
一方、商社であるため、独自の付加価値を提供することは容易ではありません。そのため、半導体設計やその周辺の各種サービスを提供する子会社と連携し、より付加価値の高いサービスを同時に提供することを目指して、さまざまな取り組みを進めています。
中計事業戦略の進捗 ~システム・サービス事業~

棚橋:システム・サービス事業では、さまざまなコンピューターやソフトウェアを提供しています。最初にお客さまに合った製品を提供し、その後、なるべく横展開できる製品として他のお客さまにもご利用いただけるよう取り組んでいます。
また、先ほど申し上げた産業用・組込み用コンピューターの他、飲料自動販売機のクラウド決済システムも、飲料自動販売機以外の用途で活用できる方向で戦略を実行しています。
財務戦略(2024~2026年度)成長戦略と株主還元を重視したキャピタルアロケーション

棚橋:中期経営計画では、この3年という短い期間の中で大きく変更した部分があります。それがキャピタルアロケーションです。
具体的には、もともと検討していた新横浜に本社がある自社ビルの売却を、昨年度に決定しました。この売却は昨年度末の3月と今年度の9月の2回に分けて実施する予定です。
これにより、特別利益が大きく計上されるだけでなく、多額のキャッシュが得られることになりました。そのため、当初の予定に比べ、株主還元をほぼ倍増させることにしました。
特別利益が当初の想定を上回ったため、その税引後利益分を特別配当および自社株買いのかたちで株主還元に充てます。残りの部分については、成長投資に活用していく計画です。
ただし、現中期経営計画の期間中にすべてを使い切ることは困難なため、いったん借入金を返済しました。その上で、将来の成長投資のための資金余力が十分にある状態とご理解いただければと思います。
成長戦略 ~成長投資の方向性~

棚橋:成長投資としては、これまでどおりM&Aを進めるとともに、R&D(研究開発)を強化していきます。特に半導体のテスター分野は、非常に大きなチャンスがあるため、この分野に多くの資金を投入することを検討しています。
さらに、輸入商社としての背景から、海外ビジネス展開がまだ十分でない点を踏まえ、その分野にも成長投資を進めるための資金を確保していきたいと考えています。
株主還元(配当+自社株買い)

棚橋:株主還元については先ほどお話ししたとおり、昨年度の期末配当および今年度の中間配当に関しては、本社ビル売却に伴う特別配当を実施しています。
また、自己株式の取得も現在継続中ですが、そのような背景から、現時点では少しイレギュラーな利益が発生しています。
そのため配当性向は30パーセント台となっていますが、通常の状況に戻れば40パーセントから50パーセント程度を配当性向の目安として考えています。
株価推移(直近1年間)

棚橋:株価に関しては、昨年度の途中からようやくPBR1倍を超える状態になりました。
しかし、まだ課題が残っているため、当社は中期経営計画やその先の戦略を着実に実行し、みなさまの期待に応えられるよう努めていきたいと考えています。
ROEとROICの推移

棚橋:そのような意味では、現状非常に注目されているのが、ROEやROICという指標です。
中期経営計画の目標であるROE10パーセントは表面上達成していますが、これは特別利益が出ている影響によるものです。そのため、特別利益を除いた場合の仮計算では、昨年度末時点で8パーセント台でした。
今期は大幅な増益を予想しており、今期が終了すれば特別利益を除いたベースでもROE10パーセントを達成できると考えています。その先に向けてもしっかりと意識しながら成長戦略を進めていく方針です。
私からのご説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:テストソリューション事業の収益性向上要因について
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