2026年3月期決算説明
オーバル、収益性改善に向けた取り組みが進展し増収・大幅増益を達成 配当予想も5期連続で過去最高を更新
会社概要

谷本淳氏:本日はお忙しい中、株式会社オーバルの決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。株式会社オーバル代表取締役社長の谷本淳です。どうぞよろしくお願いします。
最初に、株式会社オーバルについて簡単にご紹介します。当社は、1949年にオーバル機器工業株式会社として創業しました。おかげさまで、今年で創業77周年を迎えることができました。
当社は、東京都新宿区に本社を構え、資本金は22億円で、東証スタンダード市場に上場しています。連結子会社は国内に4社、海外に7社の計11社を展開しており、従業員数は約700名です。
社名の由来:オーバル歯車

オーバルという社名の由来は、創業社長の加島淳が、日産自動車の2代目社長であった村上正輔氏からオーバル歯車の特許実施権を譲り受け、このオーバル歯車を流量計に応用して事業化したことに始まります。
このオーバル流量計は、高い精度と信頼性を誇りつつ、モデルチェンジを繰り返し、現在も当社の主力製品として活躍しています。
経営理念、中長期経営ビジョン

次に、当社の企業理念および経営ビジョンをご説明します。当社は、経営理念として「確かな計測技術で、新たな価値を創造し、豊かな社会の実現に貢献します」を掲げ、中長期経営ビジョンとして「アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニー」を目指しています。
事業部門概要

続いて、当社の事業についてご説明します。当社の事業は大きく3つの部門に分かれています。中心となるのはセンサ部門で、流量計をはじめとする計測機器および付属機器、関連機器の製造販売を行っており、当会計年度の全売上高に対する比率は66.9パーセントでした。
2つ目はシステム部門です。流量計を中核とした出荷、検査、分析などの流体計測制御システムの設計および施工を行っており、売上高比率は12.7パーセントでした。システム部門は、大口案件の受注状況による影響を受けやすく、売上高の変動が大きい事業です。
最後にサービス部門です。製品の修理、メンテナンス、校正事業などを行う比較的安定した事業で、売上高比率は20.4パーセントでした。
当社の強み:幅広い流量計ラインアップ

次に当社の強みを3つご説明します。1つ目は幅広い製品ラインアップです。
流量計は、測定原理別に容積流量計を筆頭に、コリオリ流量計、渦流量計、超音波流量計、熱式流量計、タービン流量計の6種類をラインアップしています。この幅広い製品群により、液体・気体・蒸気などの各種流体や、微小流量から大流量まで、さまざまな流量計測の需要に対応しています。
当社の強み:流量計を中核としたシステム・サービス

2つ目の強みは流量計の販売にとどまらず、流体計測制御システムや信頼性を担保するメンテナンス・校正まで含めた、幅広く総合的なソリューションやサービスを提供できることです。
当社の強み:標準供給を担うJCSS(計量法校正事業者登録制度)

最後の強みは、先ほどの校正サービスに関連しますが、当社がJCSS(計量法校正事業者登録制度)登録事業者であることです。石油、水、気体の3種類の流量のJCSS登録を持つ唯一の事業者であり、特に石油の校正可能流量は国内最大の流量を誇ります。当社は標準供給を担うJCSS登録事業者として、自社製品のみならず他社製品に対しても、校正サービスを提供しており、お客さまの設備の信頼性の向上に貢献しています。
Summary

続きまして、2026年3月期の決算概況についてご説明します。2026年3月期は増収かつ大幅な増益となりました。これは、センサ部門・サービス部門が堅調に推移したことに加え、Anton Paar社とのライセンス契約に伴う一時金が後押ししたことによるもので、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも前年度から大幅に増加しました。
2026年3月期における増益の要因となった収益性改善施策については販売単価の改善や収益性の高い製品を中心とした販売構成への見直し、および特に、システム事業においては、これまで培った実績および技術力を打ち出すことで、収益性の改善が進展しました。
次に2027年3月期の業績予想についてですが、売上高は過去最高水準に達することを見込んでいます。利益についても、原材料費や人件費の増加が見込まれるものの、引き続き販売単価の改善およびシステム部門の収益性改善により、2026年3月期を上回る見通しです。
業績ハイライト

続きまして、2026年3月期の業績ハイライトについてご説明します。センサ部門およびサービス部門が堅調に推移し、さらにAnton Paar社とのライセンス契約に伴う一時金の計上もあり、売上高は前期比3.6パーセント増の155億8,900万円となりました。利益面では、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも前年度を大幅に上回りました。
事業部門別受注高・受注残高

次に、事業部門別の受注高および受注残高の状況についてご説明します。
センサ部門は、国内の半導体関連業界向けが回復し、石油関連業界向けも好調に推移しました。海外では、中国において船舶関連業界向けや電池関連業界向けが堅調に推移しました。システム部門は、前年度に大口受注が集中した反動もあり、受注高は前年度を下回りました。サービス部門では、保全計画サポートサービスや他社製品の校正受託など、受け身のサービスから攻めのサービスへの転換の成果もあり、堅調に推移しました。なお、サービス部門の売上高は、6期連続で増加しています。
事業部門別売上高(センサ部門)

続いて、事業部門別の売上高についてご説明します。
センサ部門は、半導体関連業界向けが回復し、化学関連業界向けおよび中国での船舶関連業界向けが好調であったため、売上高は前期比9.9パーセント増となりました。
事業部門別売上高(システム部門)

システム部門は、シンガポールの連結子会社における大口案件により一定の売上が計上されました。しかし、前年度に大口受注が集中した反動で、売上高は前期比23パーセント減となりました。
事業部門別売上高(サービス部門)

サービス部門は、化学関連業界および石油関連業界向けが堅調に推移し、長年の経験とノウハウを活かして他社製品の校正や提案型のメンテナンスサービスを展開した結果、売上高は前期比6.6パーセント増となりました。
出荷元の国別売上高

国別の売上高は、スライドのとおりです。出荷元別の海外向け売上比率は20.5パーセントで、中国、韓国、シンガポール向けがその内の83.5パーセントを占めています。特に、中国とシンガポール向けが前期比で増加しています。海外については、中長期経営ビジョンに沿って、アジアを中心に事業を展開していきます。
キャッシュフロー

キャッシュフローの推移についてご説明します。営業活動によるキャッシュフローは19億9,300万円の収入、投資活動によるキャッシュフローは13億4,700万円の支出、フリーキャッシュフローは6億4,600万円となりました。詳細は当社Webサイトに掲示の決算短信をご覧ください。
減価償却費、研究開発費、設備投資

次に研究開発費については、当年度において、売上高比率は3.1パーセントとなりました。今後も、研究開発への積極的な投資を継続する方針です。
設備投資については、横浜事業所に水素実ガス校正設備「OVAL H2 Lab」、中国の連結子会社に新工場をそれぞれ建設しました。これらの設備については、後ほど詳細をご紹介します。
連結貸借対照表

連結貸借対照表です。主な増減については、流動資産の売掛金が前期比7億5,300万円減少しました。一方、固定資産のうち有形固定資産が、水素実ガス校正設備、中国の新工場、本社の非常用発電機、CNC旋盤などにより、前期比8億8,700万円増加しました。
その結果、資産合計は前期比2億1,700万円増の247億1,100万円となっています。その他の詳細については、スライドをご覧のとおりです。
2027年3月期 通期連結業績予想

2027年3月期の通期連結業績予想です。継続的な販売単価の改善およびシステム部門の収益性向上により、コストの上昇を織り込みながらも増益を見込んでいます。中期経営計画「Imagination2028」の2年目として、各戦略のKPIを確実に達成していきます。
株主還元

次に株主還元についてです。2027年3月期の1株当たり配当金は、前期から8円増配で過去最高額となる年間28円を予定しています。今後も、配当を株主のみなさまへの最も重要な利益還元と認識し、経営基盤の確保や将来の事業展開に備えた財務体質の充実を総合的に勘案して決定していく方針です。
オーバル 中長期経営ビジョンとPHASE2の位置づけ

続きまして、昨年4月にスタートした中期経営計画「Imagination2028」の概要と進捗状況についてご説明します。「Imagination2028」は、「PHASE1 構造改革期」に続く次の3年間の「PHASE2 成長期」という位置付けとなります。
PHASE1において好調に推移してきた背景を受け、当初計画した中長期目標値を上方修正し、2028年3月期の計画値については、売上高170億円、経常利益率10.3パーセント、ROE7.2パーセントを計画しています。
中期経営計画 「Imagination2028」基本戦略

「PHASE1 構造改革期」で掲げたご覧の計8つの戦略は、順調に推移しており、その有効性を確認できていることから、「PHASE2 成長期」に引き継いでいます。「成長戦略」と「経営基盤強化戦略」の2本の柱の下に、それぞれ4つの戦略を掲げています。
基本方針

中期経営計画「Imagination2028」の基本方針は、「PHASE2 成長期」のミッションとして「確かなはかる技術と、新しい価値でサステナブルな取り組みを加速」を掲げています。
「成長戦略」として新製品、アジア市場、新規事業、「経営基盤強化戦略」として1人当たりの営業利益、カーボンニュートラル、従業員のエンゲージメントについて、それぞれに定量的なKPIを定め、各取締役のリーダーシップのもと、各戦略を推進しています。
また、資本政策にも注力し、ROEの向上や株主還元策にも積極的に取り組んでいきます。
業績計画および進捗

中長期の経営目標と進捗状況についてです。最終年度である2028年3月期の経常利益、当期純利益、ROEの計画値は、2026年3月期に2年前倒しで達成しました。2032年3月期には売上高200億円を目指しており、これに向けて事業の拡大と収益性の改善を進めていきます。なお、ROEについては2032年3月期10パーセント以上を目標としています。
センサ事業成長戦略:新製品・リニューアル製品の売上拡大

ここからは、先程の中期経営計画の目標を達成するための取り組みの事例をご紹介します。
コリオリ流量計「ALTImassⅡ」は、高い品質と収益性を誇る当社の主力製品です。モデルチェンジを進めており、今年秋に、視認性、操作性、メンテナンス性を向上させた新製品「ALTImassⅡ PLUS」の販売開始を予定しています。
これらの新製品を新たな市場に投入し、センサ事業の売上高については、2028年3月期に、2025年3月期比30パーセント増を目指しています。
当社は、AIを活用した自己診断機能など市場動向や新技術の時代の流れに対応した新製品の開発を積極的に進めていく方針です。
センサ事業成長戦略:水素・アンモニア関連事業の拡大

当社は、地球温暖化対策を背景とした、水素社会の到来に向けて、水素・アンモニア計測用流量計の拡販を積極的に進めています。前中期経営計画「Imagination2025」では、売上高が161.3パーセント増と目標値を大幅に超える結果を達成しました。
現中期経営計画「Imagination2028」では、初年度である2026年3月期の売上高は前期比9パーセント増でしたが、 2028年3月期には売上高を2025年3月期比50パーセント増加させる目標を掲げています。
サービス事業成長戦略:水素・アンモニア関連事業の拡大

さらに、水素に関しては、センサ事業に加えてサービス事業成長戦略においても水素計測流量計の拡販を目的に、当社横浜事業所に水素実ガス校正設備「OVAL H2 Lab」を建設し、2月に竣工式を行いました。「OVAL H2 Lab」で校正することにより、取引量の計測用途などに不可欠な、より高精度で信頼性の高い水素流量計を供給することが可能となります。
加えて、研究開発部門においても、新たな水素流量計の開発および評価に活用していきます。さらに、国内には水素実ガス校正を請け負う機関が少ないため、他社の流量計の校正も積極的に受け入れる計画です。
システム事業成長戦略:エネルギー安全保障への貢献

システム事業においては、国土強靱化やエネルギー安全保障への貢献を見据え、計量標準を支える高度な技術力と長年にわたり培ってきた流量計測・制御に関するノウハウを活かし、事業拡大を進めています。
特に、石油・天然ガス分野における高精度な流量計測制御システムの提供を強化し、アジア市場での売上高を15パーセント増加させることを目標としています。その実現に向けて、シンガポールを中心に東南アジア、中国、韓国、台湾のグループ会社との連携を強化することで、営業・サービス体制の充実と販路拡大を推進しています。
また、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)やFSO(浮体式原油貯蔵積出設備)向けのメータリングシステムおよびプルービングシステムについては、納入実績を有しています。今後もエネルギー開発プロジェクトにおける需要を着実に取り込み、さらなる受注・売上の拡大を目指していきます。
新事業創出戦略:自社保有技術を活用した新たな取り組み

既存の技術を活用した新事業も積極的に展開しています。
最近の事例として、製品含有化学物質規制に対応するケムシェルパ調査代行事業、食の安全を担保する食品・飲料輸送用ローリー車マンホールカバー封印管理システム、教職員の負担軽減を目的とした学校のプール給水監視システムなどの、新事業を進めています。
これらの事業は、環境問題やプラスチックごみ問題、過重労働対策といった社会問題にも貢献しています。これらを時代の流れの中で大きなビジネスに育て上げ、経営理念「豊かな社会の実現」に寄与したいと考えています。
新事業創出戦略:プール給水監視システム

続きまして、プール給水監視システムについてご説明します。学校プールの給水口に、工事不要のクランプオン形超音波流量計「UC-1」を設置し、無線によりリアルタイムで給水状況を学校関係者のスマートフォンに通知し、また、LTE回線を通じて自治体にも通知するシステムです。
これにより、教職員や学校関係者の負担軽減だけでなく、水の流出事故を未然に防止することが可能となります。
本システムはすでに複数の公立学校に導入されていますが、今年5月に教育総合展「EDIX東京」で展示・紹介した際にも、多くの教育関係者にご関心を寄せていただいています。
生産性向上戦略:アジアNo.1を目指し設備投資

続きまして、生産性向上戦略です。中国では近年、EV(電気自動車)の普及に伴うリチウムイオン電池市場や、船舶市場の需要が拡大しています。また、既存の化学・エネルギー市場も堅調に推移しています。
このような市場環境のもと、現地需要に迅速かつ高品質で対応するため、中国の連結子会社である安徽省の合肥オーバルに新工場を建設しました。事業継続計画(BCP)を踏まえ、地政学リスクに十分配慮しながら新工場を活用し、アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーを目指します。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて」については、当社Webサイトなどで公表しているとおり、利益率の向上、総資産回転率の向上、財務マネジメントの強化、積極的なIR活動の取り組みをそれぞれ進めています。
これらの取り組みの結果、2032年3月期にはROE10パーセント以上、PBR1倍以上を達成することを目指しています。この取り組みについては、成果が出始めており、PBRは、足もとでは、ほぼ1倍の水準に達しています。
株主還元

続きまして、株主還元についてご説明します。中期経営計画「Imagination2028」では、2028年3月期のROE7パーセント達成に向け、総還元性向は期間平均で70パーセント以上、DOEは2.7パーセント以上、さらに機動的な自己株式取得の実施を計画しています。
株主還元 - 自己株式取得・消却

この株主還元方針に従い、2026年3月期には、2回に分けて総額13億円の自己株式取得を実施しました。なお、2026年3月31日には、自己株式518万株の消却も行いました。
株主還元 - 配当

中期経営計画「Imagination2028」では、年間配当について2028年3月期に28円、2032年3月期に40円を目標としていました。しかし、利益面で目標値を前倒しで達成したため、配当については、2027年3月期に前期比8円増配の28円を予想しており、一年前倒しの予想となっています。
キャピタルアロケーションの方針・投資計画

続いて、キャピタルアロケーション、いわゆる資本配分の方針および投資計画についてです。「成長投資」「株主還元」「財務体質の健全化」のバランスを確保しながら、経営資源を配分していきます。株主還元を重視しつつ、成長投資や設備投資も積極的に行っていきます。
BS戦略、IR戦略

最後に、資本効率向上に向けた取り組みです。資産の最適化、適切な負債管理、資本構成の最適化を通じて、バランスシートを重視した経営を進めています。これらの取り組みにより、持続的な企業価値向上を図ります。
また、IR活動では、本日の説明会をはじめ、株主・投資家のみなさまとの対話機会の拡充に取り組んでいます。あわせて、Webサイトや統合報告書などを通じた財務・非財務情報の開示を強化し、当社への理解促進と適正な企業価値評価につなげていきます。
以上で、2026年3月期の決算説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。証券コード7727、株式会社オーバルをどうぞよろしくお願いします。
質疑応答:2026年3月期業績の上振れ要因について
質問者:2026年3月期の業績は大幅増益とご説明いただきました。中期経営計画の2028年3月期の計画値に対して上振れた原因についてご説明をお願いします。
谷本:業績の上振れ要因は複数ありますが、まず生産面では、グローバルな視点で最適な生産拠点を活用する「ベストコストロケーション」を推進し、生産効率の向上を図るとともに、内製化や業務効率化による継続的なコストダウンを進めてきました。次に営業面では、一部商品の価格改定を実施するとともに、収益性の高い製品を中心とした販売構成への見直しを行っています。また、Anton Paar社との契約に伴う一時金の計上も、利益の押し上げ要因となっています。その他外部環境としては、円安の進行により当社製品の価格競争力が高まり、海外メーカーに対する優位性が強化されたことも、業績の上振れに寄与しました。
質疑応答:2027年3月期の業績予想について
質問者:2027年3月期の業績予想が保守的に感じます。特に当期純利益の伸びが他の利益に比べて控えめであるように思いますが、その理由は何でしょうか?
市村:経営企画室の市村です。今期業績予想の背景・理由については、私からご回答します。前年度との比較との観点でご説明申し上げますと、2026年3月期の当期純利益は、当社の業績が安定的に推移していることを踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について見直しを行った結果、税効果適用後の法人税等負担額が減少し、前年度を上回る14億円の結果となりました。一方、2027年3月期については、前期に計上したこのような税効果会計の特殊要因を見込んでいないため、当期純利益の伸び率は前年度との比較では、低くなっています。なお、本業の収益力については引き続き堅調に推移しており、売上高および営業利益は増収増益を計画しています。
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