第137回 個人投資家向けIRセミナー 第2部
不二製油、過去最高益を大幅更新 強みのコンパウンドチョコの拡販を進め中計では450億円の事業利益を目指す
本日の説明会でお伝えしたいこと

蕪木勇輔氏(以下、蕪木):みなさま、こんにちは。不二製油株式会社コーポレートコミュニケーション部IR課の蕪木と申します。本日はお忙しい中、弊社の会社説明会にご参加いただき、ありがとうございます。
私はふだん、IR担当者として投資家のみなさまとコミュニケーションを取っています。本日はIR担当者の視点から、特に株式市場で注目されている点を中心にご説明したいと思います。
さっそくですが、みなさまは不二製油という会社をご存じでしょうか? BtoBの食品素材メーカーですので、初耳の方も多いかと思います。
当社は食品用の油、チョコレート、クリーム、マーガリン、大豆ミートなどを製造している会社です。自社のことながら、不二製油の事業展開は非常にユニークであり、おもしろい会社だと感じています。
本日は、この独自の事業展開と技術力を活かし、お客さまや消費者、そして社会の課題を解決している不二製油についてご紹介します。
本日の説明会でお伝えしたいことが2つあります。1つ目は、不二製油があらゆる食シーンを支える食品中間素材メーカーであることです。この後にもご説明しますが、みなさまのふだんの食事において、さまざまな場面で不二製油の製品や技術力が活用されています。
2つ目は、直近の決算期である2025年度に過去最高益を達成し、さらなる成長に向けて施策を実行中であることです。ここ数年で事業環境が大きく変化し、不二製油の技術力が収益力向上に寄与しています。
過去最高の利益成長へ

蕪木:その業績推移はスライドのとおりです。過去最高の利益は2019年度の236億円でしたが、2025年度には事業利益が360億円と、過去最高益を大幅に更新しました。
さらに中期経営計画では、2027年度に450億円というさらなる成長を目指しています。本日は、不二製油がどのような会社であり、なぜ成長できるのかについてお話しします。
目次

蕪木:本日の目次です。大きく4章に分けてお話しします。
「不二製油のご紹介」「2025年度連結業績」「中期経営計画」「サステナブルな食の未来に向けて」という順で進めていきます。
会社概要

蕪木:はじめに、不二製油のご紹介です。
不二製油は1950年に大阪で創業した会社で、東証プライム市場に上場しています。本社は大阪府泉佐野市、関西空港の近くにあります。また、日本国内には千葉県や茨城県に工場や研究所などを有しています。
株主優待・配当

蕪木:株主優待と配当です。株主優待として、チョコレートやプラントベース製品など、当社グループ関連の製品をお届けしています。特にこのチョコレートは非売品ということもあり、みなさまに好評をいただいています。
優待品は9月末日と3月末日のいずれにおいても100株以上を保有している株主さまが対象となります。ぜひ次の9月末までに保有をご検討ください。
配当は利益の成長を背景に、2026年度には増配を計画しています。当社の配当方針は、配当性向30パーセントから40パーセントに加えて、安定的かつ継続的な配当を目指すものです。
近年は1株当たり52円で据え置きが続いていましたが、収益力が改善しつつあり、業績水準も向上しています。このことから、2026年度は10円増配し、1株当たり62円の配当を計画しています。
会社紹介動画

蕪木:不二製油の紹介動画をご覧ください。
不二製油の歴史

蕪木:不二製油の歴史についてお話しします。不二製油は1950年に創業し、日本の油脂食品会社の中では最後発の企業です。
戦後、大豆や菜種などの油脂原料は政府の統制下にあり、不二製油は原料調達が非常に困難な状況にありました。さらに、技術や設備もない状況で、大変厳しい事業環境に直面していました。
そのような環境の中で、「人マネをしていては道はない」という考えのもと、他の会社と同じことをするのではなく、目をつけたのが南方系の油脂であるパーム油やヤシ油でした。
これらは東南アジアで採れるもので、油を多く含むにもかかわらず、当時の日本ではあまり使用されていませんでした。これらを扱えるようになれば、不二製油独自のものを作ることができると確信し、研究開発を重ねました。
その結果、カカオバターと同じ性質を持つ油を低コストで製造することに成功しました。カカオから採れ、チョコレートに使われるカカオバターは、当時最も値段の高い油でもありました。これが不二製油の成長のきっかけとなりました。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):質問を挟みながらうかがっていきたいと思います。
スライド右側にパームの写真がありますが、このパームから作られるパーム油とは具体的にどのようなものなのか、どのような特徴があるのか教えてください。
蕪木:パーム油は、日本ではあまり馴染みのない油かもしれませんが、主に東南アジア、例えばマレーシアやインドネシアで採れる油です。海外では家庭用フライオイルとしても一般的に使用されています。
パームにはオレンジ色の果肉があり、その中には、常温で固まる硬い油と、常温で液体になる柔らかい油など、異なる性質の油が混在しています。
不二製油の技術では、1つのパームから複数の硬い油と柔らかい油に分けることが可能です。例えば、この硬い油はチョコレート用として使用され、柔らかい油はフライオイルとして活用されるなど、用途によって分けられます。
坂本:用途が異なる油を1つのパームから作れるということですね。
蕪木:そのとおりです。1つのパームの実から異なる品質の油を作り出せることが、パームの特徴です。
坂本:非常によくわかりました。パームの生産地が主に東南アジアだということは、原料は海外から調達することになりますよね? その場合、為替が業績に大きく影響する部分があるのではないかと考えます。そこで、個人投資家からもよくいただく質問ですが、御社の為替感応度について教えてください。
また、チョコレートの製造にも関連することかもしれませんが、近年、人権問題や環境問題が注目されています。御社はその点についてどのような取り組みをされているか、アピールできるポイントがあれば教えてください。
蕪木:ご質問は2点、為替の影響と原料調達におけるサステナビリティの取り組みについてと理解しました。
まず為替については、確かに投資家のみなさまからよくご質問いただきます。この点については、連結業績全体で見た場合、為替の影響は出ないと考えています。
その理由として、国内の事業では海外から原料を輸入しますので、円安が進むとコストアップにつながりますが、その一方で当社には海外事業もあります。海外では円安によって取り込み益が増えるため、相殺されて全体として影響は軽微になると考えています。
また、パーム等に関連する人権や森林破壊の問題については、弊社ではかなり早い段階からサステナビリティの取り組みを進めています。
よく話題になるテーマとしてトレーサビリティなどがあります。どの農園や工場からこのパーム油が供給されているのか、そのパーム油は森林破壊や児童労働に関与していないかといった点について、当社ではしっかりと取り組んでいます。
坂本:非常によくわかりました。それでは、続いて製品についてのお話をお願いします。
日本初の多くの製品を創出

蕪木:その後、不二製油は日本初となる多くの製品を創出しています。例えば、カカオバターの代わりに使用可能なチョコレート用油脂を開発し、それを市販のチョコレート菓子を製造するメーカーに販売しています。
また、このチョコレート用油脂を使用して、自社でもチョコレートを製造しています。ドーナツやアイスクリームに使用するコーティングチョコレートも、不二製油が日本で初めて製造しました。
さらに、植物性油脂を使用したホイップクリームや植物性チーズフィリングも日本初の製品です。
ビジネスモデル

蕪木:このように数多くの製品の創出により、不二製油のビジネスモデルが確立されています。
主要原料はスライドに記載のとおり、パーム、カカオ、大豆です。これらを高度加工することで、食品用の油脂やチョコレート、クリーム、大豆たん白素材などを製造しています。
不二製油はBtoBの食品中間素材メーカーであり、お客さまはチョコレート菓子メーカーや大手の製菓・製パンメーカー、コンビニエンスストア、外食産業など非常に多岐にわたります。そして、お客さまが製造する製品を通じて、消費者のみなさまへ商品が届けられています。
坂本:取引先はBtoBの食品メーカーなどが多いとのことですが、御社の事業は大きく4つに分かれています。主な取引先としては、やはり食品会社が多いのでしょうか?
蕪木:基本的には食品会社です。特に取引が多いのは製菓・製パンメーカーで、チョコレート用途の販売が中心です。
また、大手の製菓メーカーの中でも、チョコレートの製造設備を持っている会社と持っていない会社があります。
製造設備を持っている会社には、チョコレートを作るための油を出荷しています。一方、設備を持っていない会社でも、例えばアイスやパンにチョコレートをかけたいといった需要があると考えられます。そのようなお客さまには、不二製油がチョコレートまで製造して販売しています。
このように、油とチョコレートの両方をお客さまに提供できることは、不二製油の強みだと思います。
海外事業を拡大

蕪木:不二製油は1980年代から本格的に海外展開を進めてきました。最初の展開先はパームの産地である東南アジアで、マレーシアに原料供給の拠点として工場を設立しました。
その後、よりグローバルに展開するため、アジア、米国、欧州、中国などにマーケットを拡大しています。
不二製油にとって大きな転機となったのが2015年です。不二製油の強みであるチョコレート事業は、世界市場でも競争できると認識したことから、2015年から2019年にかけてM&Aを加速しました。
その結果、ブラジル、マレーシア、豪州、米国のチョコレート企業が不二製油グループに加わりました。現在では海外売上高比率が69パーセントまで拡大しています。
事業領域

蕪木:現在の状況を事業別にご説明します。
2025年度の実績では、植物性油脂事業の売上高が2,711億円となり、不二製油全体の約3割を占めています。また、業務用チョコレート事業の売上高は3,709億円で、全体の半分程度を占めています。
さらに、当社には強みのある製品群が複数あり、高いグローバルシェアを獲得しています。チョコレート用油脂CBEは世界トップ3、日本では1位、業務用チョコレートは世界3位です。
大豆加工素材事業には水溶性大豆多糖類という製品があり、こちらは世界1位です。乳化・発酵素材事業では、植物性油脂を使用した業務用ホイップクリームは日本で1位となっています。
不二製油の強み

蕪木:グローバル展開と成長を続けてきた基盤でもある、不二製油の強みを2つご紹介します。
1つ目は、油脂とチョコレートの両事業をグローバルに展開している点です。
チョコレートの品質において、油脂は非常に重要な役割を果たしています。例えば、チョコレートの口どけや食感、硬さ、見た目、そして保存の安定性など、さまざまな要素に油脂の技術が深く関わっています。
不二製油は、自社で油脂とチョコレートの両方の技術および製造設備を保有しており、自社内でのシナジーを発揮することで、多様なチョコレート製品の展開が可能です。これにより、お客さまの要望する品質のチョコレートを提供できることが当社の強みです。
2つ目は、幅広い製品ポートフォリオを通じて、お客さまへの総合的な提案が可能である点です。
不二製油はパーム、カカオ、大豆を主な原料として、多様な製品群を展開しています。これにより、お客さまに対して1つの商品提案にとどまらず、複数の製品を組み合わせた提案が可能となり、お客さまの商品開発に貢献しています。
不二製油のソリューション ~チョコレート~

蕪木:ここまで不二製油の歴史やビジネスモデル、強みなどをご説明してきました。不二製油の製品はみなさまの生活にとても馴染み深く、口にされたことが何度もあるかと思います。
ここでは、お客さまや消費者の課題を解決した不二製油のソリューション例を3つご紹介します。
1つ目はチョコレートの例です。ご存じのとおり、チョコレートは暑いと溶けやすく、包装の袋にベタベタとついてしまうこともあります。しかし、冷蔵庫に入れると硬くなり、口どけが悪くなってしまいます。
また、アイスやケーキにコーティングされたチョコレートが、噛んだ際に剥がれてボロボロと落ちてしまったというご経験がある方もいらっしゃると思います。
そこで不二製油では油脂の選定にこだわり、季節や気候、食べ方に応じたおいしいチョコレートを作ることができます。
例えば、暑い季節に常温で持ち運んでも溶けにくいチョコレートや、冷凍アイスでも口どけがなめらかで柔らかい品質のチョコレートなど、油脂の特性を活かしてチョコレートを調整することができます。
不二製油のソリューション ~ホイップクリーム~

蕪木:2つ目は、ホイップクリームの例です。ホイップクリームは出来たてはおいしいものの、翌日になると食感が変わることがあります。
不二製油では、ここでも油脂と乳化・発酵の力を活用することで、翌日でもみずみずしいホイップクリームを作ることができます。
この技術がどのような場面で活かされているかというと、例えばスーパーやコンビニで販売されているケーキがあります。製造から数日経ってもおいしい状態が保たれているのは、不二製油の技術が貢献しているからです。
不二製油のソリューション ~機能剤~

蕪木:3つ目は、大豆由来の機能剤の例です。資料にあるような酸性乳飲料は、濃縮された液体を水で希釈して作られます。しかし、時間が経つと白い成分が沈殿してしまうことがあります。この沈殿により見た目が悪くなるため、以前はペットボトルでの販売が行われていませんでした。
不二製油の商品には、大豆のおからを利用した機能剤があります。この機能剤を添加することで時間が経過しても白い成分が沈殿せず、常に攪拌された状態を維持することができます。これによりペットボトルでも酸性乳飲料を楽しむことが可能となりました。
このように、不二製油には多くのソリューションの例があります。ほかにもさまざまな例がありますが、時間の都合上、本日はこの3例のみのご紹介とします。
2025年度 実績/事業別

蕪木:ここからは決算の状況についてご説明します。
スライドは2025年度の事業別業績です。植物性油脂事業が大変好調で、事業利益は2年連続で最高益を更新し、334億円に達しました。
一方、業務用チョコレート事業の事業利益は前年の赤字から改善傾向にありますが、後ほどご説明する米国のブラマーにおいて、カカオに関連する損失が約100億円発生しており、早急に対処すべき課題となっています。
カカオ価格の変動

蕪木:植物性油脂事業では2年連続で最高益を更新しましたが、その一方で、業務用チョコレート事業のブラマーにおける大幅な損失が発生しています。
その背景には、2024年から2025年にかけてのカカオ価格の急激な変動があり、事業環境が大きく変化しています。
結果として、不二製油グループで従来から得意としていたチョコレート用油脂であるCBEや、それを用いたコンパウンドチョコレートの需要が拡大しました。一方、ブラマーではカカオ価格の変動により、大きな損失を計上しています。
坂本:カカオ価格が大きく変動している根本的な理由について、御社が把握されている範囲でかまいませんので教えてください。
蕪木:当社の見解ですが、複数の要因が重なって大幅な価格上昇が起きたと考えています。
具体的には、まず天候による収穫不足が挙げられます。また、カカオ豆の多くがアフリカで生産されていますが、その産地における土地の採掘や、カカオの木に病気が蔓延したことなど、複数の要因があります。特に、土地の採掘やカカオの木の病気が発生すると、木が枯れてしまい、実が収穫できない状況に陥ります。
坂本:翌年も厳しくなる場合がありますよね?
蕪木:おっしゃるとおりです。仮に今から新しくカカオの木を植えたとしても、実が収穫できるようになるまでには数年かかります。1年などの短期間で安定的に収穫できるものではなく、供給側が非常に逼迫した状況になります。結果としてスライドにもあるように、カカオは従来の水準と比較して5倍超の価格となっています。
チョコレート用油脂(CBE)

蕪木:過去最高益に寄与した植物性油脂事業について詳しく説明します。植物性油脂事業と申し上げましたが、チョコレートの話から始めたいと思います。
チョコレートの主な原料はココアパウダー、砂糖、カカオバターの3つです。スライドにも示しているように、カカオバターのみを油脂として使用して作られるチョコレートは「ピュアチョコレート」と呼ばれます。
一方で、不二製油が得意としているのは、カカオバターの代替として使用可能なCBE(Cocoa Butter Equivalent)のような植物性油脂を使った「コンパウンドチョコレート」です。このCBEの好調な販売が業績に寄与しており、過去最高益を達成したポイントです。
坂本:先ほどカカオの大幅な高騰についてお話がありました。CBEの販売量が増加しているのは、カカオ価格の高騰に伴い代替として使用されたためだと思われます。
しかし、現在ではカカオ価格は下落しています。このような状況下でも顧客はCBEを使い続けるのでしょうか? カカオ価格が下がったことで再びカカオバターへ戻すという選択肢もあるでしょうし、CBEの使用が非常に良好だったために使い続けたいと考える顧客もいると思います。
御社ではカカオ価格と連動してCBEの販売が変動してきたのでしょうか? そのあたりの関連についてご説明をいただけると、先行きをイメージしやすくなると思います。ご説明をお願いします。
蕪木:過去を振り返ると、CBEの販売状況とカカオ価格にそれほど強い連動性が見られたわけではありません。ただ、それでもCBEはカカオバターの代わりに使用するものであるため、カカオバターが非常に高騰する局面では、コスト面での需要が高まる傾向があります。
一方で、投資家からも最近よく指摘されるのは、今のご質問にもあった「カカオ価格が下がっているけれど大丈夫?」という点です。
確かに、コストメリットを重視してCBEに切り替える顧客もいますし、コストメリットはCBEの優位性の1つです。しかし、それ以上に不二製油が重視しているのはCBEが持つ機能性です。
不二製油の強みとして、CBEを使用することでチョコレートの品質調整が可能である点を先ほどもご紹介しました。暑くても溶けにくい、冬場でも口どけが良いといった特性に加え、固まる速度なども調整が可能です。
その結果、お客さまの製造ラインにおいて、最適なタイミングでチョコレートが固まるなど、作業面での使いやすさも得られます。
カカオ価格は下落傾向にありますが、そのような機能性から、一度CBEを使用いただいたお客さまに継続してご利用いただけているのだと考えています。
ここ数年のカカオ価格の急騰は、これまでCBEを使っていなかったお客さまにもCBEの存在を知っていただける良い機会となり、事業環境にも大きな変化をもたらしています。
中期経営計画 財務目標

蕪木:ここからは、現在の中期経営計画についてご説明します。
冒頭でもお話ししましたが、中期経営計画の最終年度である2027年度には、2025年度の過去最高益をさらに上回る事業利益450億円を計画しています。また、ROEやFUJI ROICについても、直近の水準を大きく上回る計画としています。
坂本:中期経営計画の目標である事業利益450億円や、ROE10パーセントを達成する状況になると、増益になると思います。配当性向30パーセントから40パーセント程度を維持していったとしても、かなりの増配になると考えられます。配当政策について簡単に教えてください。
蕪木:配当方針は、引き続き配当性向30パーセントから40パーセントを基本とし、安定的かつ継続的な配当を実現する方針です。
その方針のもとで利益成長を通じて、企業価値の向上と配当の両面から株主還元を強化していきたいと考えています。
また、2026年度の計画においても増配を見込んでいますが、配当性向で見ると27パーセント台となり、方針のレンジから外れる見通しです。この点については、業績の進捗を見ながら追加的な還元も検討しています。
コンパウンドチョコレート

蕪木:中期経営計画の目標達成に向けて、ポイントとなるのが業務用チョコレート事業です。
先ほど植物性油脂事業で触れたコンパウンドチョコレートは、カカオ価格の変動が大きい現状において、コストダウンが可能であることに加え、さまざまな機能性を発揮できることから需要が高まっています。
このコンパウンドチョコレートの拡販を進めることが、現在の中期経営計画における重要なポイントです。
さらに資料の右側に示したように、中長期的にはグローバルでの人口増加や経済成長により、チョコレート菓子の市場規模が着実に拡大していく見通しです。
コンパウンドチョコレート 設備投資を通じ、販売数量増加を狙う

蕪木:中長期的な需要拡大の見通しがある中で、当社はコンパウンドチョコレートの拡販を進めるため、複数拠点で設備投資を行い、供給能力の強化を進めています。
2025年度下期にはブラジルで新しい製造ラインが稼働を開始し、2026年度上期、今年5月からは日本でも新しい製造ラインが稼働を開始しています。2026年度下期にはさらに北米、欧州、豪州でも新しい設備の稼働開始を予定しています。
これらの増産投資により供給能力を強化し、コンパウンドチョコレートの拡販を進めていきたいと考えています。具体的な数字として、2027年度には2024年度と比較して10パーセントの販売数量増加を計画しています。
ブラマー買収からこれまで

蕪木:現在不二製油グループ全体で改善に向けて取り組んでいるブラマーについてご紹介します。
不二製油が、北米を中心に業務用チョコレート事業を展開するブラマーを買収したのは2019年です。ブラマーが事業を展開する北米、特に米国は、単一国家として世界最大のチョコレートマーケットです。
買収当時、不二製油グループはすでにグローバルにチョコレート事業を展開していましたが、米国には拠点を持っていませんでした。
不二製油グループの中長期成長に向けて、ブラマーの強みである米国での幅広い顧客網やブランド、そして不二製油の強みである工場の生産性や油脂技術とのシナジーによって、米国のコンパウンドチョコレート事業展開を強化することを目的にブラマーを買収しました。
買収以降は、ブラマーの改善を進める中で、コロナ禍等の外部環境の変化や、それに伴う日本からの専門人材の派遣が思うように進まず、収益力が低下しました。
それらを受けて大きな決断が必要であると判断し、2024年3月に構造改革を打ち出しました。その方針は主に3つあります。
1つ目は老朽化が進んだシカゴ工場の閉鎖、2つ目はカカオ加工事業の適正化、3つ目はコンパウンドチョコレートの販売を進める差別化戦略の推進です。
特にシカゴ工場はブラマー創業の地であるため、その閉鎖は苦渋の決断でしたが、構造改革は現在も順調に進捗しています。工場閉鎖によるコスト削減効果もあり、ブラマーの基礎的な収益力は改善傾向にあります。
改革を推進する中で黒字転換を図りましたが、2024年から2025年にかけてカカオ価格の変動がありました。その結果、米国市場でのチョコレート消費が低迷したことに加え、追加的な費用等が発生し、2024年度および2025年度にはカカオに関連する大きな損失を計上することとなりました。
坂本:ブラマーに関するお話の中で、チョコレート菓子の消費鈍化にも触れられていました。もちろん、チョコレートが体に悪いわけではないと考えますが、健康志向の高まり、イメージ的な問題、趣味嗜好の変化、価格の上昇など、さまざまな要因が思い浮かびます。
個人的には、価格の上昇が理由であれば、その落ち着きに伴って消費や需要は回復するのではないかと思うのですが、この点についてどのように分析されていますか?
蕪木:米国ではここ数年にわたりインフレが続いていた中で、さらに2024年から2025年にかけてのカカオ価格上昇が起きました。それに伴い、スーパーなどで販売されているチョコレート製品の価格が大幅に上昇しています。
米国におけるチョコレート消費の鈍化は、これが主な要因だと整理しています。ただし、現在はカカオ価格が下落傾向にあるため、チョコレート消費の回復を期待しています。
また、健康志向に対応した製品群も展開しており、例えばシュガーレスや高タンパクといったチョコレート製品もブラマーでは取り扱っています。
坂本:なるほど、おもしろいですね。
ブラマー 今後の施策

蕪木:ブラマーを立て直すために、現在、基礎収益力の改善とコンパウンド製品の拡販の2つを進めています。
1つは、基礎収益力の改善です。構造改革の施策は着実に進捗しており、コストダウンの効果も表れています。
さらに、カカオ価格高騰に伴い発生した損失については、リスク低減を目的とした施策や販売価格の改定が進行しており、2026年度への影響は限定的になると見込んでいます。
改善に向けた会社の体制としては、日本から営業・開発・生産分野への駐在員派遣を進め、ブラマーの販売体制の拡充や生産性向上に取り組んでいます。
もう1つが、コンパウンド製品の拡販です。カカオ価格の高騰に伴い、チョコレート菓子の需要が鈍化していた米国ですが、現在はカカオ価格が徐々に落ち着きつつあり、消費の回復が期待されています。
この状況において、ブラマーでは2026年度後半に新しい製造ラインの稼働を予定しており、これらの対応によってコンパウンドチョコレートの販売数量を2024年度比で2027年度までに1.5倍に拡大する計画です。
油脂技術とコンパウンドチョコレートに強みを持つ不二製油らしい方法で、ブラマーを成長企業へと回帰させていきたいと考えています。
坂本:スライドに「付加価値型コンパウンド製品を増産」と記載されていますが、これはどのようなものでしょうか?
また、ブラマーはもともとコンパウンドチョコレートの販売が多かったのか、それともピュアチョコレートが多く、コンパウンド製品に切り替えることで利益を向上させているのでしょうか?そのあたりを含めてコンパウンド製品の増産計画について教えてください。
蕪木:ブラマーの販売においてはもともとピュアチョコレートが非常に多くを占めていました。その理由として、米国ではピュアチョコレートが主流だという市場の特徴が挙げられます。ちなみに、日本市場ではコンパウンドチョコレートが多くなっています。
不二製油の強みを活かせるのは、やはり油脂技術を活用するコンパウンドチョコレートです。これがまさに「付加価値型コンパウンド製品」につながる要素です。
資料にも記載しているとおり、現在はコンパウンドチョコレートの増産計画を進めており、ピュアチョコレートとコンパウンドチョコレートの販売量はすでにほぼ同等にまで達しています。今後は、さらにコンパウンドチョコレートを中心とした拡販を進めていく計画です。
不二製油グループの価値創出

蕪木:最後の章に移ります。「サステナブルな食の未来」に向けた取り組みについてです。
不二製油グループは植物性素材を探求することで、人と地球の課題を解決し、「サステナブルな食の未来」を作り上げていきたいと考えています。社会や顧客に対してどれだけ貢献できるか、その度合いが不二製油グループの収益につながると考えています。
従来は顧客や消費者の抱える課題が中心でしたが、今では顧客にとどまらず、サプライチェーンの上流に位置する原料の農産地、地球環境、社会全体の課題にも対象を広げています。
このような多様なステークホルダーが抱える課題に対し、植物性素材を通じた解決につながる製品を生み出し、ビジョンである「サステナブルな食の未来」の実現を目指します。
サステナブルな食の未来に向けて

蕪木:不二製油での「サステナブルな食の未来」に向けた取り組みを3つご紹介します。
1つ目は、カカオ由来原料を一切使用しない、ミルクチョコレートタイプの製品です。この製品にはカカオバターもカカオパウダーも使っていませんが、チョコレートのように使用することができます。実際に試食したところ、チョコレートと遜色ない味わいで、とてもおいしい仕上がりになっています。
2つ目は、植物性素材だけを使用し、豚などの動物脂の代替となる製品を開発しています。動物脂が持つ独特の甘みやコクなども植物性素材で表現しています。今後、人口増加やアニマルウェルフェアの観点からも注目が集まる領域だと考えています。
3つ目は、植物性素材で動物性食品特有の満足感や風味を実現する植物性ダシシリーズ「MIRA-Dashi」です。現在、チキンやビーフなど全部で6種類のダシ製品を展開しています。植物性原料のみで設計することで、原料の安定性やアレルギー対応など、さまざまな課題解決に貢献しています。
このように、技術力を活かしてお客さまや消費者、社会の課題を解決していきます。これからもぜひ、私たちの挑戦を応援してください。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:2027年度の事業利益目標達成におけるリスクについて
向井沙耶氏(以下、向井):それでは、視聴者からの事前質問にお答えいただきたい
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