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東洋テック株式会社9686

東証スタンダード

サービス業

発表者 プロフィール

池田博之氏(以下、池田):東洋テック株式会社代表取締役社長の池田です。本日はお忙しい中、説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。短い時間ですが、どうぞよろしくお願いします。

スライドは私のプロフィールです。お手すきの際にご一読いただければと思います。

目次

池田:スライドは本日の概要です。まず、当社の概要についてお話しします。次に、2月2日に発表した2026年3月期第3四半期の決算と、昨年実施された大阪・関西万博を含めた最近のトピックス、2026年3月期から開始した第13次中期経営計画の取り組み状況についてご説明します。

会社概要 ~東洋テックとは~

池田:東洋テックについてご紹介します。当社は「警備とビル管理の会社」です。1966年1月、今から60年前に銀行を設立母体とした東洋警備保障株式会社として、主に金融機関向けの警備会社としてスタートしました。関西では当社が唯一の上場警備会社です。

増井麻里子氏(以下、増井):ご質問を挟みながら進めたいと思います。銀行を設立母体とされている警備会社というのは、珍しいのではないでしょうか?

池田:日本では他に例がなく、金融機関を主な株主としてスタートした会社です。そのため、現在も地元の金融機関や上場企業との強力なパイプを有しており、これが当社の強みとなっています。

増井:やはりそのような場所では警備が必要ですよね?

池田:そのとおりです。

会社概要 ~東洋テックとは~

池田:スライドが東洋テックのロゴです。みなさまも街中で見かけることがあるかもしれません。当社が警備している建物には、このステッカーが貼ってあります。

スライド右側には当社の主要計数を記載していますので、ご覧ください。

会社概要

池田:スライドは会社概要です。後ほどご確認ください。

沿革

池田:スライドは沿革についてです。後ほどご確認ください。

業務概要

池田:業務概要についてご説明します。東洋テックグループは、当社本体をはじめとする合計8社で構成されています。スライドに記載のとおり、各社が警備、ビル管理、不動産の各事業を担っています。

売上比率は、警備事業が約3分の2、ビル管理事業が約3分の1、残りが不動産事業という構成です。

業務概要~警備事業~

池田:スライドは警備事業の売上の内訳です。機械警備が全体の約4割を占めています。機械警備とは、建物にセンサーやカメラを設置し、異常を感知した場合に当社のパトロール隊員が駆けつける警備スタイルです。

次に売上が多いのはイベント警備を含む常駐警備で、全体の約3割に相当します。これは、オフィスビルや集客施設などに警備員を常駐させる警備スタイルです。その他、金融機関の貴重品を輸送する輸送警備や、ATMの管理業務なども行っています。

業務概要~ビル管理事業~

池田:ビル管理事業についてご説明します。建物の大規模修繕、消防・エレベーター・給水などの各種設備点検および管理業務、フロアの日常清掃、貯水槽の定期清掃など、建物に関するあらゆる業務をフルサポートする体制を整えています。

業務概要~不動産事業~

池田:不動産事業では、賃貸業務と仲介業務を行っています。賃貸業務では現在6件の収益不動産投資を行い、安定的な賃料収入を得ています。2026年3月期からは不動産REITや私募ファンドなどへ間接投資も行い、資産効率の向上を図っています。

不動産事業に参入している狙いとしては、賃貸業務や仲介業務で手数料を得ることはもちろん、不動産情報をいち早く入手し、他社に先駆けてビル管理を一括して受託するアプローチを行うことが大きな目的です。

例えば、ビルのオーナーが交代する際や建て替えなどの不動産情報を早期に取得した場合、常駐警備、受付業務、機械警備、ビル管理業務、清掃業務といったビル全体の業務をワンストップで受託するアプローチが可能となります。

こうした川上での情報をいち早く入手することでシナジー効果を発揮することを目的に、業務を進めています。

警備・ビル管理を一括で請負う

池田:当社の特徴や強みについてご説明します。1つ目は、ビル1棟を丸ごと請け負える総合ビル管理会社であるという点です。

増井:ビル1棟を丸ごと請け負うことには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

池田:スライドの表にあるように、オーナーさまの視点から見た場合、ビル管理のうち設備管理はA社、清掃はB社、警備はC社といったかたちで、それぞれ個別に発注するケースが多く見られます。そのため、オーナーさまにとって各業者とのやり取りが非常に煩雑になります。

当社グループでは、警備を含め、ビル管理におけるすべての業務を一括で受注できる体制を整えています。このため、業務の効率化やコスト削減を検討されているオーナーさまにとって、非常に魅力的な存在であると考えています。

増井:やはり、すべてを丸ごと引き受けられる会社というのは、それほど多くないということでしょうか?

池田:なくはありませんが、当社の強みとして非常にアピールしている点です。

業績の安定性

池田:2つ目は、業績の安定性です。当社は創業以来、営業利益・経常利益ともに黒字を維持しており、売上高についても14期連続で増収を達成しています。

警備事業や清掃業務はストックビジネスであり、毎月安定的に収入が得られる業務です。そのため、リーマン・ショックやコロナ禍の際にも大きな業績の下振れはあまりなく、比較的安定した業績を維持することができました。

株主優待制度の実施

池田:配当方針についてです。後ほど詳しくお話ししますが、株主さまへの還元策として実施している株主優待制度について、簡単にご説明します。

以前より、説明会において株主のみなさまから株主優待制度の導入について多くの問い合わせをいただいていました。これを受け、株主さまの日頃のご支援に対する感謝を表し、当社株式の投資魅力をさらに高める観点から、2024年3月末より株主優待制度を導入することとしました。

増井:対象を500株以上の保有者としている理由について教えてください。

池田:東証スタンダード市場に上場していることもあり、当社の株式は売買高が比較的少なく、流動性が低いことに問題意識を持っています。そのため、株主優待制度を導入することで、少しでも多くの株主さまに、安定的に一定の株数を保有していただきたいという狙いから、このような制度としました。

増井:優待ポイントはいろいろな商品に交換できるということで、大変魅力的だと思いますが、ポイント自体に有効期限はあるのでしょうか?

池田:同一の株主番号で継続して500株以上お持ちの株主さまには、1回限り繰り越してお使いいただける制度設計にしています。

決算状況・今年度の業績見込み/セグメント別売上高及びセグメント利益の概要

池田:続いて、2026年3月期第3四半期の決算状況についてご説明します。

2025年3月期は堅調な警備事業が全体を牽引し、14期連続の増収となりました。一方で、2026年3月期第3四半期までの進捗状況については、大阪・関西万博関連の売上が大きく寄与したことに加え、イベント関係の警備も非常に好調です。この結果、売上高は約345億、前年同期比で95億円の増収となっています。

営業利益については、大阪・関西万博関連の利益が業績に大きく寄与したことに加え、既存の取引先に対する徹底した価格改定交渉による収益率の改善も相まって27億6,800万円となり、前年同期比で21億9,500万円の大幅な増益を達成しました。

現在進行中の第4四半期では、人件費などのコスト増加に見合う値上げ交渉を引き続き進めるとともに、新規契約獲得など営業活動の強化に取り組んでいます。第4四半期もさらなる利益の積み上げを目指していきます。

増井:スライドを拝見すると、第3四半期ですでに計画値を上回っていますが、業績修正などはされるのでしょうか?

池田:第3四半期の決算発表の時点では、60周年記念事業に関連するさまざまな取り組みや、来期以降の積極的な投資をどの程度実施するか慎重に見極めていたため、現時点では公表している数字を据え置いています。

増井:大阪・関西万博の影響が非常に大きかったと思いますが、それらの特殊要因を除いた一般的な業績には季節性はあるのでしょうか?

池田:警備事業やビル管理事業はストックビジネスですが、警備事業における機器販売、例えばお客さまにカメラをご購入いただく場合などについては、法人さまの予算の関係もあり下期に増える傾向があります。また、ビル管理事業や不動産取引についても期末に向けて取引が活発化することがあります。そのため、全体として下期偏重型の構造になる傾向があります。

経営指標の推移

池田:スライドは、決算期における経営指標の推移を一覧表にしたものです。3段目に記載している自己資本比率の推移については、2025年3月期に56パーセントと引き続き高水準を維持しています。

中央付近の株価純資産倍率(PBR)については、2025年3月期に0.64倍と1倍を割り込んでいました。しかし、大阪・関西万博の受注などの好材料によって2026年2月に1,700円から1,800円程度まで株価が上昇したこともあり、2026年3月期のPBRは0.8倍から0.9倍の水準で推移しており、大きく改善しています。

後ほど説明しますが、企業価値の向上に努めることで、引き続きPBRの向上を図っていきたいと考えています。

業績の推移(連結)グラフ

池田:スライドは業績の推移を示すチャートです。後ほどご覧ください。

大阪・関西万博への取組み

池田:続いて、前期より取り組んでいる施策の主要なトピックスについてご紹介します。昨年の大きなトピックスとして、半年にわたり開催された大阪・関西万博が挙げられます。当社を幹事会社として、日本国際博覧会協会さまより警備業務を受託しました。

具体的には、セコムさま、シンテイ警備さまと3社での共同企業体(JV)形式により、ゲート警備業務と会場警備業務に加え、パビリオンや駐車場の警備・清掃業務、会期前後の工事での警備業務、会期中の公共交通機関での乗降客の警備業務を担当しました。

JV全体では、大阪・関西万博関連の警備で1日約1,700名を超える警備員を配置しました。一方、当社グループの人員確保においては、当社の営業部門や管理部門から多くの助勤体制を組み、協力いただける企業にもご支援をいただきました。また、350名を超えるアルバイトを毎日動員し、文字どおり総力を挙げて取り組んできました。

大阪に本社を置く会社として、大阪・関西万博は単なる一過性のイベントではなく、これまでの60年間にわたる警備業やビルメンテナンス業のノウハウの集大成であり、次のステージへ飛躍するための最大の挑戦と位置づけていました。

増井:私も大阪・関西万博に行きましたが、4月に訪れた時にはそれほど混雑しておらず、警備用のロボットが歩き回っている様子がかわいらしく、少し牧歌的な雰囲気がありました。しかし、9月頃になると非常に混雑しており、少し殺伐とした印象を受けました。

来場者が非常に多く、希望するパビリオンになかなか入れないといったこともありましたが、これはおそらく当初の想定を超えた事態だったと思います。来場者数の多さをはじめ、いろいろな意味で想定外のことが起きたように思いますが、実際の警備や清掃についても大変苦労されたのではないでしょうか?

池田:おっしゃるとおりです。もともと地元である大阪では非常に盛り上がっていた一方で、全国的にはネガティブな報道も影響し、開会式が大雨に見舞われたこともあって、4月は来場者数が伸び悩みました。しかし、ゴールデンウィーク頃から「大屋根リング」やパビリオンなどを訪れた来場者の方々がSNSで「案外良かった」と多数投稿されたことで、次第に人気が高まっていったようです。

警備業務も徐々に忙しくなり、6月から9月にかけては非常に暑かったものの、幸運にも台風や大きな地震などの影響を受けることもなく、9月には連日20万人を超える来場者を迎えることができました。

そのような状況の中、幸いにも警備業務では大きな事故がなく無事に終えられました。当社にとっては、大阪・関西万博は大きなレガシーだと感じています。

大阪・関西万博での財務効果

池田:大阪・関西万博での財務面の効果としては、売上高で83億7,800万円、営業利益で12億4,700万円と、業績に大きく寄与しました。

営業利益については、2025年3月期の通期営業利益である10億4,900万円を上回る水準であり、高い利益率を確保できました。これは、周到な準備のもとで綿密に計画を立て、コストを極限までコントロールしながら利益を上げることができた点が大きかったと考えています。

また、大阪・関西万博期間中、当社グループの人員は大阪・関西万博に直接携わる警備へ大きくシフトしました。一方で、既存業務を担当した留守番部隊も重要な役割を果たし、価格改定などに取り組んでくれた結果、大阪・関西万博に直接携わった人員だけでなく、それ以外の人員も含めて前期を上回る大きな利益を上げることができたと考えています。

大阪・関西万博での非財務効果

池田:非財務面の効果についてです。既報のとおり、大阪・関西万博は来場者が2,900万人を超えるナショナルイベントとなりました。会期中には総勢30万人を超える警備員を動員し、大きなインシデント、すなわち重大な事故もなく終えることができました。

また、例えば警備員が配置先に来なかったといったこともなく、業界でいうところの配置欠員ゼロを達成しました。ある業界関係者からは「これは業界の金字塔だ」と称されました。

これらを通じて、当社グループの業務遂行力と信頼性をあらためて証明することができました。大阪・関西万博を無事に成し遂げられたことにより、次世代に向けた大きな自信にもつながったと思います。また、知名度も向上し、今後の採用活動においても大きく寄与したと考えています。

グループ全体の総合力が大きく向上したことも非常に重要な効果だと思います。大阪・関西万博に多くの人員をシフトした中で、残った人員も少ない人数ながら非常によく働いてくれました。

M&Aによる主力警備事業の強化

池田:M&Aによる主力警備事業の強化について簡単にご説明します。2024年5月にアムスグループ3社を、2024年6月に関西ユナイトプロテクションを子会社化し、さらに2024年10月には大阪のアムスグループ2社を当社に吸収合併しました。

アムスグループは機械警備と駐車場管理を主な業務とし、関西ユナイトプロテクションはイベント警備に非常に強みを持っています。それぞれ特徴のある会社です。

アムスグループには25億円、関西ユナイトプロテクションには13億円、合計で38億円の大きな投資を行いました。現時点ではのれんの償却などにより若干の負担がありますが、将来的には売上高が20億円、営業利益が3億円から5億円となり、当社グループの業績に寄与する見込みです。

このM&Aには大きな効果を2つ見込んでいます。1つ目は、警備業務の中でも非常に収益率の高い機械警備に強みを持つ会社をグループに加えられたことです。2つ目は、従来手薄であったイベント警備に強みを持つ会社が加わり、警備業務のサービスラインナップが拡充されたことです。これにより、お客さまのニーズにさらに幅広く対応できるようになったと考えています。

特に関西ユナイトプロテクションについては、当初見込んでいた以上に2026年3月期のイベント警備における売上・利益の面で大きく貢献しており、グループの業績進展に寄与しています。

サービスラインナップの拡充とDXへの取組み

池田:当社のサービスラインナップの拡充とデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みについて、簡単にお話しします。

警備事業において安心・安全へのニーズが非常に高まっていることから、サービスラインナップを拡充し、お客さま基盤のさらなる拡大を進めています。

まず、「TEC-SMART」という商品をご紹介します。機械警備に対しては「費用がかさむのではないか?」「警備費用が高いのではないか?」といったご心配をされる方もいらっしゃいます。しかし、「TEC-SMART」は比較的小規模な店舗や事業者、いわゆる小売店舗向けのサービスとなっています。

より手軽でお手頃な価格で提供し、スマートフォンで警備操作が簡単に行える点が特徴です。通常の機械警備で必要とされるセキュリティカードも不要で、小規模事業者に大変好評を得ている商品です。

一方、ホームセキュリティをご契約いただいている方には警備事業として駆け付け業務を提供していますが、それ以外の方にも対応しています。一例を挙げると、単身の高齢者やお子さまの生活を見守りたいといった、家族に安心を届けたい方向けに「Mimamori-O(ミマモリ・オ)」という商品を開発しました。

「Mimamori-O」は、冷蔵庫やトイレなど日常的に使う扉にセンサーを取り付け、開閉や振動を検知し、一定期間作動しない場合には関係者に通知を送ります。非常に低価格でシンプル、気軽に導入できる点が特徴です。

次に、スライド下段に記載しているDXへの取り組みをご紹介します。警備品質向上のために、AIやロボティクスなどの技術を活用した警備サービスを提供しています。

機械警備におけるAI侵入者検知については、カメラに映った侵入者をAIが自動で検知し、当社の管理センターに通知を行う画像解析サービスがあります。動物などには反応せず、人間やあらかじめ設定された対象だけを検知するよう設計されており、より精度の高い警備サービスを提供しています。

一方、施設警備においては、防犯カメラなどから不審な行動や異常な行動を取る人物をいち早く検知するAI技術を導入し、警備の高度化を図っています。

サービスラインナップの拡充とDXへの取組み(参考動画)

池田:ご参考までに、当社の画像管理サービスの紹介動画を用意しましたので、ご覧ください。

(動画始まる)

ナレーション:従来、屋外でのセキュリティといえば、通常、塀や門扉が必要など制約が多く、警備システムの導入が難しいものでした。そこで東洋テックでは、最先端の画像解析技術を採用した屋外型画像監視サービスにより、屋外での高レベルなセキュリティサービスを他社に先駆けて実現しました。

こちらの自動車販売店では、敷地入口に設置したEV充電スタンドは自由に利用いただきたいものの、奥の展示スペースなどへの立ち入りが心配とのことで、画像監視サービスを導入いただきました。

カメラ映像内に設定したバーチャルエリアへの侵入者を画像解析で検知、侵入者を検知した直前からの映像を動画で確認します。監視員は侵入者を確認した場合、即退去するよう音声報知するとともに、パトロール員へ出動指示を行います。

音声報知:「こちらは機械警備中です。直ちに退去してください。こちらは機械警備中です。直ちに退去してください」

ナレーション:パトロール員が現地へ駆けつけます。音声報知を実行しても居座る不退去、不審者に対しては、110番通報を行い、迅速・的確に対応します。

この他にも、防犯カメラを活用した画像巡回サービスもあります。お客さまのご要望に応じた時間にカメラ画像の遠隔監視を行います。警備員による巡回になり代わり、画像による巡回により省人化が可能になります。東洋テックの画像監視サービスは、自動車販売店をはじめ、さまざまなシーンでご利用いただいています。

東洋テックは、AIを活用した高品質なサービスを提供し、関西の業界リーディングカンパニーとしてお客さまのご要望に応え続け、安心・安全をお届けします。

(動画終わる)

第13次中期経営計画の概要

池田:続いて、第13次中期経営計画の概要について簡単にご説明します。

当社では、スライドのように3年間の中期経営計画を立案しました。「『量』の拡大から『質』の向上へ」をスローガンに、「新たな成長領域への進出」を成長戦略に、「警備・ビル管理を中核とした『総合生活安全企業』への進化」を目指すべき姿に掲げています。

経営指標としては、3年間で100億円の成長投資枠を設定しています。株主さまへの還元策としては、株主資本配当率(DOE)3.0パーセントを下限として、配当性向50パーセントを目処としています。また、3年後の2028年3月期の定量目標として、売上高400億円、EBITDA25億円を掲げています。

2026年3月期は大阪・関西万博が大きく寄与しています。このため、第13次中期経営計画の2年目となる2027年3月期は、大阪・関西万博での財務効果である売上高80億円を完全にカバーすることは難しいかもしれません。しかし、M&Aや先ほどお話しした収益の質的な改善を通じて、3年後には目標を達成したいと考えています。

重点施策

池田:具体的には、重点施策をいくつか掲げています。「既存領域の収益性の向上」については、先ほどご説明したとおり、価格改定や仕様変更による採算性の向上、AIとDXを活用した効率化、リニューアル工事のフロー確立などが挙げられます。また、点検整備の24時間体制にも注力しており、ライフサイクルコストといわれるビルの修繕業務などを積極的に取り込んでいく方針です。

「成長戦略投資の実行」については、M&Aやオープンイノベーションはもちろんのこと、ライフエンハンス事業を展開しようとしています。これは、機械警備で展開している「25分以内に現場に駆けつけられる警備員の配置」というラストワンマイルの強みを活かしたサービスになります。健常者から介護が必要に至るまでのフレイル(虚弱)層に対して、当社業務をどのように活用できるかを関西の行政機関とともに検討しており、2027年3月期から試行を開始する予定です。

「人的資本経営の高度化」や「ウェルビーイング経営の実践」については、詳細のご説明を省略します。専門部署を設け、従業員のエンゲージメント向上を目的とした各種施策を策定し、取り組んでいます。

企業価値向上に向けた取組み①

池田:企業価値向上に向けた取り組みについてです。資本コストや株価を意識した経営を実践し、PBR1倍割れの早期解消を目指しています。

企業価値向上に向けた取組み②

池田:株主さまへの還元策の拡充については、先ほどご説明したとおり、DOEの下限を3パーセントとしています。配当については、2026年3月期は中間期に前年同期比12円の増配となる32円、期末に前年同期比13円の増配となる33円を予定しており、年間配当額は65円を計画しています。

企業価値向上に向けた取組み③

池田:サステナビリティに関する取り組みについてはさまざまな活動を行っていますが、時間の関係上、省略します。

企業価値向上に向けた取組み④

池田:人的資本経営に関する取り組みについて記載しています。

ウェルビーイング経営の取組みについて

池田:ウェルビーイング経営の目的やその取り組み内容を記載しています。

本日のまとめ ~今回の「IRセミナー」でお伝えしたい点~

池田:本日のまとめとして、みなさまにお伝えしたい点を4点に整理しています。

1つ目は、当社は設立60周年を迎えた「警備とビル管理を総合的に受託できる会社」であり、関西では唯一の上場警備会社です。

2つ目は、当社の強みはビル1棟の管理を丸ごと請け負える総合ビル管理会社であることです。また、14期連続で増収を達成し、創業以来安定した営業利益・経常利益を維持しています。

3つ目は、2026年3月期は大阪・関西万博の特需を背景に、大幅な増収増益を果たし、業績は好調に推移しています。また、株主還元策を強化する方針を掲げており、2026年3月期の配当は年間65円と前期比で25円の増配を予定しています。

4つ目は、今後についてです。警備やビル管理を中核とした『総合生活安全企業』への進化を掲げており、新たな成長領域への進出による成長を目指しています。本日詳細をご説明することはできませんでしたが、設備管理の24時間体制やライフエンハンス事業への取り組みなどの新規事業に数十億円単位の積極的な投資を行い、挑戦を続けていきます。

また、すべての関係者にとってウェルビーイングである経営を実践し、人的資本経営の高度化や株主還元策の強化に取り組む会社を目指します。

株価推移

池田:最後に、スライドには当社の株価推移をお示ししています。2026年3月期第1四半期・第2四半期決算発表時に続き、2026年2月2日の第3四半期決算発表時にも株価は大きく上昇しました。本日ご説明した方針や施策により、引き続き企業価値の向上に取り組み、みなさまの期待に応えられるよう、グループ一丸となって努力していきます。

私からのご説明は以上です。ありがとうございました。

質疑応答:大阪・関西万博特需終了後の売上減少の可能性と対策について

増井:まず、何といっても大阪・関西万博後の状況が気になります。大阪・関西万博特需が終了した後、売上が下がるのではないかと推測していますが、いかがでしょうか?

池田:大阪・関西万博による売上は80億円を超える規模がありました。当社の2025年3月期の連結売上高は約350億円ですので、大阪・関西万博の特需は実に全体の20パーセントを超えるものでした。

2027年3月期にこの特需を完全に補うようなM&Aや業績向上の進展は、現時点では厳しいものがあります。ただし、先ほどご説明したように、M&Aを通じた既存業務の拡充が進んでいます。人手不足および高齢化による後継者不足や事業承継問題は現在どの業界でもあり、力のある業者に対して多くのM&Aの話が進行しています。当社にも現在検討中の案件があります。

また、イベント警備など、従来当社が手掛けていなかったラインナップを積極的に追加することで、警備におけるお客さまの幅を広げていきたいと考えています。イベント警備については現在関西を中心に展開していますが、非常にニーズが強いため、2027年3月期以降は関東地区・東京地区への進出も計画しています。

一方、価格改定の取り組みも地道に進めています。すぐにすべてのお客さまに受け入れられるものではありませんが、人件費やコストの上昇について丁寧にご説明することで、価格改定による収益改善を図っています。

これらの取り組みにより、大阪・関西万博後の売上減少を一定程度カバーし、翌期には利益率を向上させ、EBITDA25億円を達成できる体制を整えつつあると思います。

質疑応答:大阪・関西万博特需終了後の戦略について

増井:大阪・関西万博後の戦略としては、先ほどおっしゃったM&Aなどが中心になるかと思いますが、他にはどのような戦略をお考えですか?

池田:M&Aによる既存業務の拡充については何度もお話ししていますが、特に機械警備は利益率が非常に高いため、この分野でのM&Aに注力していきたいと思っています。また、当社のホームタウンである京阪神地区において、機械警備業務を中心にさらなる拡充を進めていきたいと考えています。

加えて、イベントを含めた施設警備については、「25分以内に現場に駆けつける」という制限がないため、地域や営業基盤を活用し、お客さまのニーズに応じて業容を拡大していきたいと思っています。

一方、第13次中期経営計画で掲げる「新たな成長領域への進出」に取り組む中で、第3の柱を模索しているところです。ライフエンハンス事業として警備員が駆けつけることで、いわゆるフレイル状態を支援する仕組みを考えています。行政と連携し、要介護状態になる前の段階で地域に貢献できるビジネス展開の可能性を模索しており、2027年3月期以降の試行を予定しています。

また、すでに実施している設備管理24時間体制では、単に「クーラーが動かない」「水道が壊れている」といった応急的な対応にとどまらず、設備の長期修繕計画への参入や修理事業への提案を積極的に行うことで成果を上げつつあります。この活動をさらに進め、2027年3月期以降も積極的な営業展開を図り、新たな成長領域へ挑戦することで、第3の柱を築きたいと考えています。

質疑応答:機械警備と常駐警備のバランスについて

分林里佳氏:「機械警備と常駐警備のバランスについて、今後どの領域で収益性を高めていく方針ですか?」というご質問です。

池田:先ほどもご説明しましたが、機械警備については警備業法や公安委員会の制約上、25分をめどに警備員が駆けつけ、配置されることが求められています。そのため、広範囲にわたる展開が必要となります。

京阪神地区においてはすでに強固な警備体制を確立し、警備員の配置も完了しています。この地区では機械警備先が増加すればするほど収益性が向上することから、引き続き注力していきます。

一方、当社の拠点がある中京地区や関東地区などでは、機械警備よりも施設警備やイベント警備での取り組みを進めています。これらの地域では、お客さまや地域のニーズに対応するため、協力会社とのタイアップを活用しながら事業を展開しています。

このように、地域の特性とニーズを考慮して機械警備と施設警備を使い分け、将来的な発展の基盤にしていきたいと考えています。

質疑応答:大阪・関西万博の実績がもたらす好影響について

増井:「大阪・関西万博での実績が評価されて、別の案件につながる場合はありますか?」というご質問です。

池田:大阪・関西万博での日本国際博覧会協会からの警備の受注はもちろんのこと、さまざまなパビリオンの個別受注も承りました。実際、海外パビリオンを含めて10ヶ所以上を当社グループが担当しました。

これらの実績が非常に評価されていることに加え、警備員が経験を積み慣れてきたことも相まって、多くのパビリオンで「しっかり警備している」と評価をいただき、表彰を受けることもありました。

また、人命救助においても、熱中症の症状の方が多数出た際、警備員が最初に対応した対応力が非常に高く評価されました。これらの結果、現在ではナショナルイベント運営会社から次なるイベントへの打診も受けています。

また、当社の地元では2030年に統合型リゾート計画(IR計画)が予定されています。大阪・関西万博での実績を基に、地元企業として大きな役割を果たしたいと考えています。

質疑応答:人材確保策および2026年3月期採用計画に対する進捗について

増井:人材についておうかがいします。人材確保策や採用難への対応として、現在どのようなことをお考えですか? 2026年3月期の計画は大きく上回る予定なのか、その点も教えていただけますか?

池田:当社は労働集約型の産業であり、DX・ロボティクス・AIの導入に注力していますが、やはり人が最大の財産であるという認識は変わりません。そのため、採用活動には非常に力を入れています。

新卒採用については、SNSやさまざまな媒体を活用して、従来以上に丁寧な募集活動を行っています。また、中途採用についても、ハローワークだけでなく専用媒体を利用するなど、警備員の確保を含めた幅広い採用活動を展開しています。

さらに、従業員の知人や関係者からの紹介による採用、いわゆるリファラル採用を積極的に取り入れています。この制度では、一定期間勤続した場合、紹介者に謝礼を支払う仕組みを設けています。また、一度退職した方で、家庭の事情が落ち着いたなどの理由で再雇用を希望される方を対象としたアルムナイ採用にも力を入れています。

人材確保のためには、「TikTok」などを活用して「働きやすくやりがいのある職場」であることをPRするなど、あらゆる手段を駆使しています。

新入社員に対しては、マンツーマン指導の実施や自己啓発手当の支給、家賃補助、初任給のベースアップなど、手厚い支援を行っています。これらの施策により、処遇の向上にも努めています。

なお、2026年3月期の新卒採用の目標は年間50人以上ですが、それを上回る実績となる見込みです。

池田氏からのご挨拶

池田:警備業やビルメンテナンス業は、ふだん目に触れる機会が少なく、馴染みの薄い業種かもしれませんが、当社ではさまざまな先進的な取り組みを行っています。

本日の視聴が、みなさまの投資に少しでもお役に立てればと思います。よろしくお願いします。

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