【配当利回り約4%】EC物流拡大が追い風、採算重視で配当性向70%の中堅ゼネコン
国内の注目銘柄を紹介する新連載「ログミーFinanceの#銘柄発掘」。ビジネスモデルやファンダメンタルズの分析を通じて、中長期で保有できる優良銘柄の見極め方が身につく実践的シリーズです。今回は、淺沼組を取り上げます。
受注4割超の物流施設、EC拡大が追い風となるか
淺沼組(1852)は中堅ゼネコンの一角を占める企業です。2025年3月期の個別受注工事高(受注時点の契約金額で、将来の売上につながる受注規模を示す指標)の構成比は建築が約86.5パーセント、土木が約13.5パーセントでした。建築の用途別では、物流施設を含む工場・倉庫が44.6パーセントと最大で、同領域の受注動向が業績を左右する重要テーマといえます。
物流施設の市況は、足元では追い風と向かい風が併存する状況です。ネット通販や在庫戦略の変化で「より近く・より早く」届けるための物流拠点ニーズが高まっている点は追い風となります。一方で供給が先行し空室率が上昇すれば、開発の中止や延期が増え、結果として建設会社に回ってくる新規案件が細りやすくなります。2025年の7月から9月の首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率は10.4パーセントでした。首都圏では2023年に8パーセントを超えて以降、高水準で推移していることも踏まえると、建設会社は案件数の増加だけに依存せず、採算の取れる案件を見極めて受注し、確実に利益を残す姿勢が重要になります。
受注時利益率を確保し、4週8閉所を実現する選別受注
この点、すでに淺沼組では選別受注(採算と体制が整う工事に絞って受注する方針)を運用に落とし込んでいます。2025年3月期の決算短信では、受注時利益率(契約時点の見込み利益率)を確保し、作業所の4週8閉所(4週間で8日の閉所を確保し、週休2日相当の運営を行う)や、協力会社も含めた人員・工期を確保できる案件の獲得を強化したと説明しています。
配当利回り約4%、自己資本比率は39.7%
株主還元は、中期3カ年計画の中で2026年度まで連結配当性向70パーセント以上を維持する方針です。2026年3月期の配当は1株あたり41.5円で、足元の配当利回りは4.02パーセントです(2025年12月26日現在)。財務面では、現金及び現金同等物168億円、総資産1,152億円に対し純資産461億円、自己資本比率39.7パーセントと一定の厚みがあります。もっとも、市況やコスト高の影響を受けやすい業種であることや配当性向の高さを踏まえると、配当の原資となる利益が確保できているかは投資後も継続的に確認したいところです。具体的には、利益率と受注の質(工期など)が維持されているかがチェックポイントになります。
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淺沼組が登壇する1月17日(土)開催セミナー
名称:ログミーFinance×コエキク 個人投資家向けIRセミナー
主催:ログミーFinance(ログミー株式会社)
日時:2026年1月17日(土) 13:00〜16:30
会場:渋谷サクラステージShibuyaタワー Japan 東京都渋谷区桜丘町1−1
参加費:無料
タイムテーブル
・13:00
オープニング
・13:05~13:25
基調講演
▶1UP投資部屋Ken 氏(個人投資家)
・13:30〜14:10
①淺沼組(1852)
・14:30〜15:10
②石光商事(2750)
・15:30〜16:10
③大末建設(1814)
▼詳細・参加お申込はこちら【IRセミナー特設Peatixページ】
2026年1月17日(土)13:00時開催。淺沼組含む3社が登壇するIRセミナー
※当日は投資家向けに注目テーマの解説や質疑応答などを予定しています。
執筆者プロフィール
執筆:西田哲郎ライター・コンテンツディレクター。投資歴15年。『神の手』の某社で大きな損失を出したことをきっかけにイナゴを卒業、ビジネスモデルとファンダメンタルズ重視の手法に切り替える。業界紙やスタートアップを経てフリーで投資情報メディアやM&A情報サイトの立ち上げに関わり、現在は主に週刊誌で投資や経済関連の記事を執筆。
※記事内容、企業情報は2025年12月24日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。
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