たけびし、通期業績予想を上方修正 上期に続き通期でも増収増益を見込み、配当金は68円に増配予定
目次

岡垣浩志氏:株式会社たけびし代表取締役社長の岡垣です。本日はご多用のところ、当社の決算説明会にご出席いただき誠にありがとうございます。
本日は、会社概要、2026年3月期第2四半期の決算状況、2026年3月期の通期予想、そして当社が取り組んでいる中期経営計画「T-Link1369」についてご説明します。
会社概要

はじめに、当社の概要をご説明します。
当社は京都に本社を置く技術商社であり、三菱電機製品を中心に、約1,600社のパートナー企業の製品を取り扱っています。製品の単品販売にとどまらず、自社開発のソフトウェアやシステム構築を組み合わせたトータルソリューションの提供を強みとしています。
また、当社は来年で創立100周年を迎えます。これを記念し、「100年の軌跡と未来へ『∞』に広がる可能性」をテーマにしたロゴマークを制作しました。京都の文化に根ざした水引をモチーフとして取り入れ、当社がこれまで歩んできた歴史と、未来へのさらなる発展や成長への想いを表現しています。
たけびしの歴史

当社の歴史についてご説明します。
1926年に大阪で創業し、その後、京都に本社を移して三菱電機の特約店として事業を開始しました。その後、オムロン製品の取り扱いを始めるなど、産業機器を中心に幅広い事業に取り組んできました。1995年には海外展開を開始し、シンガポールに拠点を設立した後、香港や上海へと事業を拡大しています。2006年に現在の「株式会社たけびし」に商号を変更し、2014年に東証一部に上場しました。2023年には、売上高1,000億円を達成しています。
ネットワーク(拠点・関係会社)

当社のネットワークについてご説明します。
当社は京都に本社を置き、主要都市を中心に7支店・1営業所を運営しています。国内には5つのグループ会社があり、当社の物流業務を担う「竹菱興産」、空調設備の設計・販売・工事を行う「TSエンジニアリング」、電子部品の販売や自社製ボードの設計・販売を行う「梅沢無線電機」、携帯電話ショップの運営やシステム・アプリ開発を手掛ける「フジテレコムズ」があります。
フジテレコムズの子会社である「ファーストブレイン」は、携帯電話基地局の設計・施工を行っています。昨年にはアスベスト分析事業を行う「アーバンエココンサルティング」をM&Aしましたが、同社は今年10月にファーストブレインへ吸収合併しています。
ネットワーク(拠点・関係会社)

次に、海外ネットワークについてご紹介します。
海外には4つのグループ会社があり、中国の香港・上海およびタイに直営拠点を設けています。また、2021年にM&Aを実施した「Le Champ(リチャンプ)」社は、電子部品や実装機の販売を行う会社であり、シンガポール本社のほか、インド・マレーシア・ベトナムなど8ヶ国16拠点で営業活動を行っています。
売上高構成比と主要取扱製品

売上高構成比と主要取扱製品についてご説明します。
昨年度の売上高は1,010億円で、産業機器システムが全体の40パーセント、半導体・デバイスが33パーセント、社会・情報通信が27パーセントを占めています。海外売上高比率は23パーセントですが、今後さらにこの数字を伸ばしていきたいと考えています。
取扱製品については、スライド右側に記載のとおりです。
2026年3月期 第2四半期 実績

2026年3月期の上期実績についてご説明します。
売上高は522億円、営業利益は20億円、経常利益は22億円となり、いずれも上期として過去最高を更新しました。特に、当社が成長戦略として注力している医療ビジネスの事業拡大が売上高の増加に大きく寄与しています。
また、昨年度の当期純利益は14億円でしたが、これは政策保有株式の一部売却益によるものでした。今年度は事業拡大の成果により、過去最高となる15億円を達成しています。
2026年3月期 第2四半期 営業利益(前年同期比)

こちらは営業利益の増減要因を示すグラフです。
昨年度の営業利益は14億3,000万円でしたが、今年度は規模変動により8億1,000万円の増加となりました。主な要因として、Le Champ社を中心としたデバイスビジネスの売上拡大や昨年度M&Aを実施したアーバンエココンサルティング社のアスベスト分析事業による収益の増加、医療関係の売上規模の拡大が影響しています。
その他、為替の影響で1,000万円のマイナスがありました。また、在庫償却や評価損で3,000万円の増加があり、利益を押し下げています。さらに、成長投資を含む販管費が2億3,000万円増加しました。
その結果、前年同期比では5億5,000万円の増加となっています。
2026年3月期 第2四半期 セグメント別売上高・営業利益

セグメント別の売上高と営業利益の推移です。
産業機器システムでは、FA機器は在庫調整の長期化を背景に低迷している一方、装置システムは製造業の設備投資や自動化需要を捉えて増加し、全体では昨年並みの実績となっています。
半導体・デバイスは、Le Champ社によるインドでの需要開拓により、デバイス品の販売が大きく伸長しています。インドではスマートメーターの部品ビジネスを展開しており、市場規模は約2億4,000万台から2億5,000万台といわれていますが、普及率はまだ十数パーセントにとどまっています。そのため、今後さらに需要が伸びる分野だと考えています。
社会・情報通信では、主力製品である放射線がん治療装置が大きく伸長し、売上拡大に貢献しています。また、防衛関連の需要の高まりに伴い、非破壊検査装置の需要も増加しています。
2026年3月期 通期予想

今年度の通期予想についてご説明します。
売上高は1,040億円、営業利益37億円、経常利益40億円を計画しています。10月23日に上期の実績見込みを上方修正し、通期の売上高についても当初の1,020億円から上方修正しました。一方で、下期は当初計画よりもやや数字を引き下げています。これはFA機器の需要回復の遅れなどのリスクを織り込んだ結果です。
2026年3月期 通期予想 セグメント別売上高・営業利益

通期のセグメント別売上高と営業利益の予想です。
産業機器システムは、FA機器の在庫調整が長期化していることに加え、装置システムの売上が昨年の大口案件の反動で減少する見込みです。
半導体・デバイスは、引き続きLe Champ社を中心に堅調に推移すると見込んでいます。国内では防犯意識の高まりを背景に、セキュリティカメラのODMビジネスの成長も予想されています。
社会・情報通信は、放射線がん治療装置の案件が上期に集中したため、下期はやや減少する見込みです。一方で、当社が注力する診断装置などでは販売エリア拡大の成果が表れており、全体としては堅調に推移すると考えています。また、冷熱および住設関係では、2027年に蛍光灯の国内製造および輸出入が終了することから、駆け込み需要としてLED照明の売上増加が見込まれます。
中期経営計画『T-Link1369』

次に、当社が取り組んでいる中期経営計画についてご説明します。
当社の中期経営計画「T-Link1369」は、2027年3月期の創立100周年に向けて、売上高1,300億円の達成を目指すものです。
この計画は2023年度にスタートし、現在3年目を迎えています。しかし、今期の売上高の計画は1,040億円となっており、最終年度の目標値との間に大きなギャップが生じています。特に基幹ビジネスである産業機器システムでは、FA機器の需要低迷などの影響で売上が伸び悩んでいます。一方、成長領域や変革領域として新たに取り組んでいる事業は着実に拡大しているため、引き続き注力していきます。
また、財務面と非財務面の両面で組織体制を強化し、持続的な企業価値の向上を目指していく計画です。
4つの成長戦略の進化

「4つの成長戦略の進化」についてご説明します。
まず1つ目の「グローバル」では、東南アジアやインドを中心としたデバイスビジネスの拡大を目指しています。グループ会社のLe Champ社では、既存のインド拠点(全4箇所)を現地法人化し、現地通貨での取引を始めることで、インドでの新規ビジネスの獲得を進めます。さらに、脱炭素関連の需要も積極的にキャッチアップしていきます。
また、当社の直営拠点である香港・上海・タイの統合によるアジア拠点の再編を行い、経営効率の向上と意思決定の迅速化を図ります。Le Champ社はローカル顧客へのビジネス拡大、香港・上海・タイは日系顧客への対応強化と、2つの重点施策にそれぞれ取り組んでいく計画です。
2つ目の「メディカル」では、放射線がん治療装置や診断装置を中心に医療ビジネスを推進しています。従来は関西地区のみであった商圏を中国・四国地区へ拡大し、診断装置や周辺装置の販売を進めています。さらに、脳外科や循環器内科向けの装置需要も取り込み、事業の幅を広げています。
4つの成長戦略の進化
3つ目は「オートメーション」です。少子化による労働人口の減少に伴い、製造現場で働く人も年々減少しています。そのため、今後は工場自動化の需要がさらに高まる見込みです。
また、半導体や再生可能エネルギーなど、製造業界の設備投資の拡大を確実に取り込むことが重要だと考えます。当社は製造業のOT領域を得意としており、上位のシステム系に強みを持つITベンダーと協業しながら、スマートファクトリー化の推進に取り組んでいます。さらに、食品業界などの分野にも注力していきます。
最後の4つ目は「オリジナル」です。これは当社がメーカーとして自社開発を行っている分野であり、商社としては非常にユニークなビジネスであると考えています。
主なオリジナル製品を2つご紹介します。1つ目は、産業用のデータ通信規格であるOPCに対応した「デバイスエクスプローラ OPCサーバー」というソフトウェア製品です。こちらは30年近く前から開発を行っており、全世界で70カ国以上、累計で約5万ライセンスの販売実績があります。この商品は現在も機能を拡充しており、生成AIとの接続機能や、ヨーロッパを中心に普及する各種標準規格への対応を進めています。販売面では、インドと北米に専任人材を配置し、海外での販売強化にも取り組んでいきます。
2つ目は、携帯ショップ向けの「compass」という月額課金型のアプリケーションです。このサービスは、すでにさまざまな業種への展開を進めていますが、BtoBビジネスのさらなる開拓を目指し、安否確認や作業日報の入力を簡単に行えるシステムなどの開発にも取り組んでいます。
総合商社を目指したビジネスモデルの変革

続いて「変革」についてご説明します。
これは、先ほどご説明した4つの成長戦略とは別に新たに取り組んでいる分野であり、「モビリティ」「マテリアル」「エネルギーソリューション」「DX推進」の4つの項目でビジネスを展開しています。2026年度の売上高は50億円を目標としています。
「モビリティ」では、製造現場やオフィスでのAGV・AMRの需要拡大を見込み、ビジネスの開拓を進めています。製造業以外では、オフィス向け清掃ロボットの拡販などにも注力していきます。
「エネルギーソリューション」では、太陽光発電システムの継続的な展開に加え、今後、新たに蓄電池や関連部材の販売にも注力していきます。
「DX推進」では、新たにOTセキュリティ領域に取り組みます。当社は5年から6年前にもOTセキュリティ対策として独自のソリューションを展開していましたが、当時は需要がほとんどありませんでした。しかし、近年はランサムウェアなどによる被害が多数発生しており、OTセキュリティ対策の需要が高まると考え、再度注力していく方針です。
財務 資本効率を重視した経営の実践(成長投資)

次に、財務面、特に成長投資についてご説明します。
まず、事業投資として、直近5年間で計3社のM&Aを実施しました。今後も国内外で積極的にM&Aを推進し、事業拡大とシナジーの創出に取り組んでいきます。
また、創立100周年のその先を見据えたインフラ投資も進行しています。1つ目は基幹システムの刷新です。今回、20年ぶりに基幹システムの刷新を実施しており、来年度カットオーバーを予定しています。
2つ目は新倉庫の建設です。こちらも来年度の完成を予定しており、物流対応の強化に加え、倉庫運営においてさまざまなDX商材を活用することで、将来的にそれらの商材をお客さまにも展開していくことを目指しています。
財務 資本効率を重視した経営の実践(株主還元強化)

次に、株主還元の強化についてご説明します。
昨年1月に開示した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」に基づき、累進配当を基本方針とし、配当性向の目標を40パーセント以上、中期経営計画達成時のDOEを4パーセント以上と設定しています。
今期は当初、配当を66円と開示していましたが、業績の上方修正に伴い2円増配し、68円としました。ただし、まだ十分な水準とは言えないため、今後も中長期的な成長と株主還元のバランスを考慮しながら、持続的な企業価値の向上に取り組んでいきたいと考えます。
非財務 サステナビリティ経営の高度化

次に、非財務面についてご説明します。
このスライドで特にご紹介したいのは「環境への取り組み」です。今年9月、滋賀県高島市にソーラーパネルを設置した発電所を開設し、自己託送による電力供給を開始しました。現在、同発電所からの電力で、本社ビルの使用電力の約20パーセントから30パーセントを賄っています。また、一部の支店にソーラーカーポートを設置し、自家消費電力として活用しています。今後も環境への投資を続けるとともに、自社導入で培ったノウハウをお客さまに提供し、環境事業の展開にも取り組んでいきます。
次に、「エンゲージメントの向上」についてです。当社がネーミングライツを取得している「たけびしスタジアム京都」で小学生向けのサッカー教室を開催するなど、さまざまな地域貢献活動を行っています。また、社内ではクラブ活動の支援や、クリスマスパーティ・夏祭りなどのイベントを積極的に開催することで、コミュニケーションの活性化を促しています。こうした取り組みによって従業員のエンゲージメントが向上し、結果として離職率の低下につながっていると認識しています。
また、当社は来年で創立100周年を迎えます。その一環として、京都駅の新幹線ホームや地元の阪急電鉄西京極駅に記念広告を掲出しました。
トピックス:持続的成長を目指した新たな取り組み

最後に、新しいトピックスをいくつかご紹介します。
まず、フィジカルAIロボットです。今後は従来のロボットではなく、AIを活用した人型・犬型ロボットが広く普及すると考えています。当社では、犬型ロボットを搬送などに活用できないかという観点で、実証実験に取り組んでいます。
次に、AI分野に関しては、クラウド型AIからエッジAIへの需要拡大が進むと見込んでいます。当社はシーケンサに組み込むAIソフトウェアを自社開発していますが、今後はパートナー連携によるデバイス組み込み型AIにも取り組んでいきます。
また、次世代インフラとして、大型投資が続くデータセンター向け需要を確実に取り込み、売上拡大につなげていきたいと考えています。
中核事業に加え、このような新しい取り組みを積極的に推進することで、当社は今後もトータルソリューション商社としての持続的な成長を目指していきます。
以上で説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
新着ログ
「卸売業」のログ




