存在意義

茂木貴雄氏(以下、茂木):株式会社コラボス、代表取締役社長の茂木です。私から2025年3月期通期決算概況と2026年3月期業績予想についてご説明します。

当社は、コールセンターシステムやマーケティングシステムを開発し、クラウドサービスとして提供している会社です。

Agenda

本日は、スライドに記載のアジェンダでご説明します。

決算概況_損益計算書(サマリー)

2025年3月期通期の決算概況をご説明します。

売上高は、「VLOOM(ヴルーム)」「UZ(ウズ)」の新規顧客への販売拡大が進む一方、「@nyplace(エニプレレイス)」や「COLLABOS PHONE(コラボスフォン)」の大口顧客であるBPO事業者の業務縮小や、既存顧客における大幅なコスト削減の影響により、前期比で2億4,700万円減少し、19億600万円となりました。

一方、利益については、当事業年度の重点施策として位置付ける、全社的な「コスト改善施策」の取り組みが順調に進み、前期比で3億6,900万円増加の7,500万円となり、黒字へ転換しています。

また、経常利益については、システム開発における受取損害賠償金2,600万円の計上により、前期比3億7,900万円増加の1億200万円です。

当期純利益は、ソフトウエア資産の減損損失2,600万円を特別損失として、関係会社株式売却益6,400万円を特別利益として計上し、1億4,400万円の着地となりました。

決算概況_売上高の増減要因

売上高の要因分析についてご説明します。

「@nyplace」「COLLABOS PHONE」の現有サービスについては、既存顧客の業務拡大やシステムバージョンアップ、移転作業による一時売上高の増加があった一方、大口顧客の業務縮小や顧客企業内での全社的なコスト抑制により、利用席数が減少しました。

一方、コストダウンを目的としたソフトフォンへの切替需要もあり、「COLLABOS PHONE」においては新規案件の受注も進んでいます。

独自サービスの「VLOOM」については、AIや音声認識機能のニーズの高まりを背景として、協業企業からの紹介や当社既存顧客からの新規案件の獲得により、売上高および席数ともに着実に増加しています。

また、DX化推進による業務効率化やマーケティング活動を支援するサービスは、AIや音声認識、コールセンター業務のDX化、VoC活用などのニーズの高まりを背景に、AIマーケティングシステム「UZ」において新規獲得が増加しました。

加えて、AI顧客分析・予測ツール「GOLDEN LIST(ゴールデンリスト)」における生命保険業務でのアウトバウンドコールの費用対効果向上の提案や、統合CRMマーケティングシステム「GROWCE(グロウス)」における健診勧奨業務での業務効率化提案など、販売戦略に伴う新規受注も獲得しました。

これらAI、DX、VoC領域のサービスは、コールセンター業務の効率化と品質向上に対するニーズの高まりを背景に、お客さま企業からの引き合いも増えており、着実に売上を伸ばしています。

しかしながら、現有サービスの減収影響までカバーすることができず、最終着地は前事業年度比2億4,700万円減の19億600万円となりました。

決算概況_営業利益の増減要因

営業利益の要因分析です。売上高が減少した一方、当事業年度の重点施策と位置付ける「コスト改善施策」の取り組みにおいて、経営資源の再配置に伴うコスト構造の抜本的な見直しを実施しました。

主に「@nyplace」の提供にかかる保守費・ホスティング費や、業務の内製化による外注費等の削減など、大幅なコスト削減が当初想定よりも前倒しで進捗したことにより、黒字へ転換しています。

これにより、売上原価は4億3,400万円、販売費および一般管理費も1億8,200万円のコスト圧縮を実現し、営業利益は前期の赤字から黒字に転換しています。

決算概況_[コスト改善施策]の取り組み結果

営業利益が改善した大きな理由となる「コスト改善施策」の取り組み内容と、その結果についてご説明します。

当事業年度は、各サービス環境に沿った経営資源の再配置による「コスト改善施策」を重点施策と位置付け、取り組みを行ってきました。

経営資源の再配置の実施により、サービス提供体制に合わせた最適な人員配置による生産性向上や、原価構造の抜本的な見直しを推進した結果、当初の想定よりも前倒しでコストの改善が進み、利益創出を後押しする結果となりました。

最もコスト削減効果が大きかったものは外注費となりますが、「@nyplace」保守作業の自動化や、サービスの提供状況に沿った経営資源の再配置および業務の内製化を進めたことにより、通期で昨年度対比約2億円を削減しています。

その他にも、ネットワーク機器や保守費、通信原価の価格交渉およびデータセンターラックや回線整理による固定費削減、販売価格の適正化、変動費の抑制により、コスト改善に努めています。これにより、黒字へ転換することができました。

決算概況_貸借対照表(サマリー)

前期末と比較した貸借対照表です。総資産は1,600万円減少し、17億3,500万円となりました。主な要因は、現金および預金の増加があった一方、売掛金の減少、減価償却に伴う有形固定資産の減少、ソフトウエアの減損による無形固定資産の減少、関係会社株式の売却に伴う投資その他の資産の減少によるものです。

負債は2億300万円減少し、4億4,400万円となりました。主な要因は、未払消費税の増加があった一方、買掛金の減少、未払金の減少、リース債務の減少、長期借入金返済による減少によるものです。

純資産は1億8,600万円増加し、12億9,100万円となりました。主な要因は、当期純利益により利益剰余金が増加したことによるものです。

決算概況_キャッシュ・フロー計算書(サマリー)

キャッシュ・フロー計算書です。営業活動の結果得られた資金は、2億800万円となりました。

投資活動の結果得られた資金は、3,100万円となりました。主な要因は、「@nyplace」や「VLOOM」を含む新サービスの追加機能開発による支出、9月に実施した関係会社株式売却による収入によるものです。これらの結果、フリーキャッシュ・フローは黒字へ改善しています。

財務活動の結果支出した資金は、1億1,100万円です。主な要因は、2023年に資金調達として借り入れた3億円の長期借入金の返済や、リース債務の返済によるものです。

これらにより、現金等の期末残高については13億700万円となりました。

2026年3月期 業績予想

2026年3月期業績予想をご説明します。

売上高は、生成AIや音声認識技術のニーズの高まりを背景に、ニーズに沿った機能開発やサービス間の連携強化、戦略的な販促活動の実施により、「VLOOM」「GROWCE」「GOLDEN LIST」「UZ」等の新規独自サービスにおいて売上高の増加を見込んでいます。

一方、現有サービスについては、主に「@nyplace」において前事業年度に発生した大口顧客の業務縮小、既存顧客における大幅なコスト削減の影響による契約数の減少により、前期比2億3,600万円減の業績予想としています。

利益については、売上高のマイナス分をカバーするに至らず、引き続きコストの最適化に取り組むことにより、継続的な利益創出を目指していきます。

2026年3月期 業績予想_売上高の増減根拠

業績予想における、売上高の減少要因についてご説明します。当社はこれまで、マーケットや顧客のニーズに沿って「VLOOM」「GROWCE」「GOLDEN LIST」「UZ」といった「独自サービス」を開発してきました。

これら独自サービスの販売開始時期が遅れたことによる売上貢献の遅れはあったものの、2026年3月期は「@nyplace」に続く新たな収益基盤の確立期と考えており、当社にとっても非常に重要な時期を迎えています。

独自サービス「VLOOM」「GROWCE」「GOLDEN LIST」「UZ」は、生成AIや音声認識技術へのニーズの高まりを背景に、これらの売上高は前事業年度比で約1億4,000万円の増加を見込んでおり、売上構成比率は全体の約20パーセントを占めるサービスへと成長していく見通しです。

しかしながら、先ほどからご説明している、「@nyplace」「COLLABOS PHONE」等の現有サービスにおいて前事業年度に発生した大口顧客の業務縮小の影響、既存顧客における大幅なコスト削減の影響による契約数の減少、また、独自サービスへの切替に伴う顧客単価の減少が見込まれるため、現有サービスの売上高は、前事業年度比約3億8,000万円の減少となる見込みです。

独自サービスによる新たな収益基盤が確立しつつあるものの、現有サービスの減収は当初想定を上回る状況であり、一時的な減収見通しとなります。

なお、現有サービスにおける減少傾向は概ね下げ止まりと考えており、独自サービスの収益拡大により、収益の上昇トレンドへの転換を図っていきます。

2026年3月期 業績予想_営業戦略施策

前のページでもお伝えしたとおり、当事業年度は「@nyplace」に続く新たな収益基盤の確立期であり、独自サービスによる収益基盤を築くため、業績予想の必達に向け、5つの営業戦略を推進していきます。

1つ目は、サービス間の連携強化です。「VLOOM」と「UZ」、「GOLDEN LIST」と「GROWCE」などを密に連携させます。

例えば、「VLOOM」の通話録音データを自動で「UZ」に取り込み解析し、生成AIと組み合わせ、自動でレポート・FAQ・トークスクリプト・広告コピーなどを生成します。また、CRMに蓄積した顧客情報から、成約確度の高いアウトバウンドリストを自動で作成できるようにします。

こうした仕組みにより、コールセンターをコストセンターからプロフィットセンターへ転換することに貢献します。

2つ目は、既存顧客へのDX推進の提案です。「@nyplace」などの大型の既存顧客に対し、定期的なヒアリングやアンケートを実施し、来期予算や課題を把握した上で、音声認識の「AmiVoice(アミボイス)」「UZ」「GOLDEN LIST」を含めたツールを使ってのDX化・業務効率化を提案します。これにより、クロスセルとアップセルを強化していきます。

3つ目は、オンライン集客の強化です。ブログ記事の定期投稿、共催オンラインセミナー、SEOやリスティング広告を強化し、製品比較サイトへの掲載も進めます。さらに、独自サービスの導入事例を増やし、新規市場を開拓していきます。

4つ目は、市場ニーズに沿ったサービス力強化です。特に既存顧客からのヒアリングを強化し、また、販売パートナーとの協業や他社サービスとの連携で機能を拡充し、成長領域である独自サービスをタイムリーにバージョンアップして市場の要望に応えます。

5つ目は、業界特化型の営業展開です。例えば、「GROWCE」はDX化やAI化が遅れている保険・医療・ヘルスケア業界に特化して拡販します。「GOLDEN LIST」は地域金融機関や通販業界に向け、CRMとのセット提案でシェア拡大を図ります。

これら5つの施策を通じて、業績予想の必達に向けて多面的にアプローチし、業績予想を超える売上拡大を目指していきます。

2026年3月期 業績予想_営業利益

業績予想の営業利益に関してご説明します。2025年3月期の実績7,500万円から、2026年3月期は2,100万円となる見込みです。

売上高については、独自サービスの販売拡大が加速するものの、現有サービスの減少が大きく、前事業年度比で減収となります。しかし、全社を挙げて取り組みを行っている「コスト改善施策」の推進効果によってコスト構造が最適化されていることに加え、当事業年度も引き続きコストの引き締めを行います。

2026年3月期以降は、これまで続いていた売上の減少傾向に一定の歯止めがかかる見通しです。足元では、AI・DX・VoCをはじめとする成長領域での受注増加が見込まれており、売上の底打ち感が徐々に出始めています。

また、重点施策とした「コスト改善施策」においては、経営資源の再配置によるコスト削減が確実に結果に結びついている状況にあります。こうした動きを確かな回復基調につなげていけるよう、引き続き注力していきます。

今後も、業績予想の修正が必要と判断した場合には速やかに開示します。

中期経営計画2年目の進捗状況

2023年5月10日に開示した中期経営計画について、2年目の進捗状況をご報告します。中期経営計画2年目は、2つの成長戦略による販売拡大と業績回復に向けた追加施策として、先ほどからご説明している抜本的なコスト構造の改革を行いました。

成長戦略1つ目の「『@nyplace』の安定成長」については、新機能およびサービス拡張、基盤強化等を実装するためのバージョンアップを実施し、継続して既存顧客の移行計画を遂行しています。

また、お客さま自ら交換機の各種設定変更が可能となるツールのバージョンアップや、関連するドキュメント類のWeb化により、自動化および効率化を実現し、外注費の削減を実現しています。

加えて、データセンター機器類のリソースの最適化による固定費削減も実施し、「@nyplace」の売上総利益率は前期比4.9パーセント改善しています。

成長戦略2つ目の「独自サービスの飛躍成長」の進捗については、AIや音声認識、コールセンター業務のDX化やVoC活用へのニーズの高まりを背景に、それぞれ販売拡大が進んでいます。

まず、AIコールセンターシステム「VLOOM」は、売上高5,700万円、前事業年度比148パーセント増加しています。AI音声認識需要の高まりに加え、在宅環境や海外拠点での利用といった柔軟性や拡張性が求められるニーズの増加もあり、受注が拡大しています。

「GROWCE」は健診案内のアウトバウンドコールの業務効率化への貢献、「GOLDEN LIST」は保険関連業務のアウトバウンドコールで費用対効果を訴求しています。「UZ」は主に、コールセンターで蓄積する音声データからレポートやFAQなどの自動生成で引き合いが増えています。

成長期である独自サービスについては、マーケットや顧客のニーズを反映し、商品力を高めるバージョンアップをタイムリーに行っています。

営業利益が改善した大きな要因となるコスト改善施策の取り組み結果として、前期比で外注費を約2億円削減しました。加えて、ネットワーク機器や保守費、通信原価の価格交渉、データセンターラックの整理や回線整理による固定費削減、さらに販売価格の適正化、変動費の抑制によりコスト改善に努め、黒字へ転換しています。

Topics1 AIマーケティングシステム「UZ」のアップデート情報

最近のトピックスを4つご紹介します。1つ目のトピックスです。2025年4月にAIマーケティングシステム「UZ」のメジャーバージョンアップを行いました。

本システムは、通話録音からAIで興味関心キーワードを抽出し、生成AI連携で、コールセンター業務の分析レポート、広告コンテンツやメルマガ、FAQなどを自動生成するAIマーケティングシステムです。

音声データは、顧客ニーズや不満を直接把握できる重要な情報資産ですが、従来のVoC分析は活用が限定的で、分析の工数やコストも大きくなってしまい、分析に対する費用対効果が見込みにくいことが課題でした。

新しいバージョンの「UZ」ではこのような課題に対応し、生成AIや独自のRAGなどを活用して、スピーディに分析から具体的な施策提案まで行える新バージョンへと進化しています。

新バージョンでは、生成AI「Gemini」と連携し、お客さまの声の分析結果から、コンテンツを自動生成できる機能を追加しました。さらに、さまざまなファイル形式での読み込み機能や、音声認識結果の一括ダウンロード機能、個人情報マスクのON・OFF機能なども搭載しています。

これにより、誰でも簡単に素早く高度なVoCの分析および高品質なアウトプットが可能になり、コールセンターだけではなく、より多くの企業における営業活動やマーケティング施策に大きく貢献できるようになっています。

Topics2 AIモデル生成「GOLDEN LIST」のアップデート情報

2つ目のトピックスです。2024年12月に、AI顧客分析・リスト生成サービス「GOLDEN LIST」についてもメジャーバージョンアップを実施しています。

本システムは、顧客データをもとに、顧客の動向や属性を綿密に分析し、ニーズが高く、見込みのある顧客を効果的に発見・順位付けするリストを作成するサービスです。DM送付やアウトバウンドコールの費用対効果の向上に幅広く活用され、金融、通販、製薬など100社以上の実績があります。

新バージョンでは、ユーザー操作の自動処理範囲の拡張や、ユーザーインターフェイスの再設計、大量データの一括挿入等処理能力の向上、セキュリティ強化等の機能を拡充しました。これにより、通販や金融など大規模データを扱う企業でも、数クリックで誰でも簡単に高度なAI分析が可能になりました。

Topics3 人材採用支援会社での当社サービスの採用

3つ目のトピックスです。人材採用支援大手のエスプールリンクにおいて、「VLOOM」と「GROWCE」がセットで採用されました。

アウトバウンドコールの営業活動において利用いただいており、効果としては、クリック発信により、架電効率が約2倍に向上し、無駄な営業アプローチも削減できたとの評価をいただいています。

現在、他サービスの導入もご検討いただいており、さらなる営業全体の効率化と、営業活動の高度化に向けた取り組みを支援しています。

Topics4 「優良電話事業者」の認証取得

4つ目のトピックスです。2024年10月に、5つの日本の電気通信事業者団体によって設立された、電話事業者認証機構の「優良電話事業者認証」を取得しました。

この認証制度は、昨今の特殊詐欺などの犯罪利用を防ぐことを目的としており、電話番号を用いる電気通信事業者を対象としたもので、安心・安全な電話サービスの提供、電話市場の健全化を目的としています。

本認証を取得することで、お客さまには安心して当社サービスをご利用いただけると考えています。

以降のスライドには、Appendixとして、サービス概要、導入企業実績、外部環境、サステナビリティへの取り組みについてまとめていますので、よろしければご覧ください。

私からのご説明は以上です。

質疑応答:「@nyplace」の減少要因について

司会者:「コールセンターシステムの『@nyplace』が大きく減っているのは、日本全体でコールセンターの数自体が減っているという業界動向の影響が大きいのでしょうか? 以前は新型コロナウイルスのコールセンターもあったかと思います」というご質問です。

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