INDEX

辰巳崇之氏(以下、辰巳):株式会社No.1社長の辰巳です。週末のお忙しい中、当社の個人投資家向けIRセミナーをご視聴いただき、誠にありがとうございます。

本日は、当社がどのような事業を営んで、どのような戦略で成長を目指しているのかを知っていただく機会になれば、大変うれしく思います。

さっそく、こちらのインデックスに沿って、私よりご説明します。

会社概要

辰巳:はじめに、会社概要となります。会社名は株式会社No.1、証券コードは3562です。所在地は東京都千代田区内幸町になります。代表者は、辰巳崇之です。資本金・従業員数等に関しては、2025年2月末現在の連結ベースをスライドに記載しています。会社概要の詳細に関しては、順次ご説明したいと思います。

経営理念・経営ビジョン

辰巳:経営理念は「日本の会社を元気にする一番の力へ。 私たちNo.1はトータルビジネスパートナーとしてお客様を支え、日本経済の原動力になります。」です。

経営ビジョンは「皆様のNo.1ビジネスパートナー セキュリティ&ソリューション。最先端の情報活用で企業成長を支援。」と掲げています。

No.1グループサマリー

辰巳:当社グループのサマリーです。このサマリーで、当社グループの規模感はおおむね把握していただけると思います。

当社は1989年に創業し、当期で37期目となります。2017年に東証JASDAQに上場後、2022年の東証の市場再編により、スタンダード市場に移行しています。

前期の連結売上高は142億円、営業利益は10億3,000万円となります。決算内容の詳細に関しては後ほどご説明しますが、No.1グループは、当社を含め10社で形成されており、従業員は連結ベースで668名です。グループ会社を含め全国に52拠点を展開しています。

No.1グループ企業

辰巳:グループ全10社の事業内容を簡単にご説明します。株式会社No.1がありまして、その右に記載しているのが、株式会社クレディセゾンさまとの合弁会社である、株式会社セゾンビジネスサポートです。拠点を九州の鹿児島県に構えており、OA機器の販売やクレディセゾンさまの本業であるファイナンス商材の販売代行を行っている会社です。

下に示しているのがすべて子会社となります。セキュリティ機器メーカーである株式会社アレクソン、同様に、情報セキュリティ機器の販売事業を行っている株式会社Club One Systems、ビジネスWi-Fi等の通信機器を扱う株式会社No.1パートナーです。

北日本・東北地方にあるS.I.T社は、OA機器の販売事業や受託工事事業等を行っています。そして、Webソリューション関連の会社である株式会社No.1デジタルソリューション、昨今進出したソフトウェア開発・システム開発事業を行っている株式会社アイ・ティ・エンジニアリング、OZ MODE株式会社、株式会社コードの全10社で形成されています。

No.1グループ業績推移

辰巳:No.1グループの業績推移についてです。上場した2018年2月期から2025年2月期までの当社グループの業績推移と、中期経営計画最終年度の2027年2月期までの目標を表したグラフになっています。

売上高と営業利益に関しては、棒グラフで示しています。折れ線グラフについては、営業利益率と時価総額を示しています。中期経営計画の期間ごとに、M&Aと新たに設立したグループ企業を掲載しています。

この中で注目していただきたい点は、「中期経営計画2024」の期間において、営業利益が6億円から、2倍の12億円と大きく伸長している点です。こちらに関しては、2020年にグループインした情報セキュリティ機器メーカーであるアレクソン社と、当社のシナジー効果が発揮された結果であると考えています。

「中期経営計画Evolution2027」の期間においても、すでに4社のM&Aを行わせていただき、新規事業への進出など事業領域の幅を広げるとともに、業績を拡大しています。

また、前期に時価総額が大きく増加し、約66億円から約121億円となっています。

関本圭吾氏(以下、関本):御社は特に直近でさまざまな会社のM&Aを実施されています。そもそも辰巳社長としては、どこを目指してこのようなM&Aを行ってきたのでしょうか? 昨今では事業承継もあるようですが、ぜひ辰巳社長の目指すところと、M&Aのそれぞれの経緯をうかがえればと思います。

辰巳:当社のM&Aの方針としては、当社グループとシナジーが見込める会社さまや、販売等の拡大ができる会社さまを当社グループに招き入れています。

私どもの創業が平成元年(1989年)だったわけですが、私も創業メンバーの1人として、創業者からバトンタッチしたのが2008年です。

その頃より成長エンジンを加速して、社内における目標や、いかにして経営理念を具現化するかを社員とよく共有し、通過点ではありますが株式上場しようと考え、2017年に上場を果たしました。

また、「日本の会社を元気にする一番の力へ。」という経営理念のとおり、国内には380万法人があるといわれていますが、数多ある会社さまにいかに貢献するか、どのようなサービスを提供することで貢献できるかという観点から、M&Aを戦略の旗頭に置き積極的に行ってきました。

今後も事業領域の拡大など、いかにしてお客さまに貢献できるかを一義に考えながら、M&Aを積極的に推進していきたいと考えています。

関本:提供できるサービスのラインナップを拡充することで貢献するということでしょうか?

辰巳:おっしゃるとおり、「No.1に頼めば、ワンストップですべてやってくれるね」ということです。多くのお客さまは経営課題を抱えていますが、小さい会社さまではリソースも少なく、実際には潜在的な課題がご本人にはわからないところも多くあります。そこを先取りしてしっかりとキャッチアップし、製品にプロダクトしたり、役務系のサービスとして提供したりしています。

事業概要

辰巳:事業概要についてご説明します。当社グループの事業概要は、既存の3事業に加えて新たな事業の柱として、前期よりソフトウェア開発・システム開発事業を展開しています。

当社グループの主な事業はスライドに記載のとおりですが、1つ目がメーカー事業、2つ目がオフィスソリューション事業、3つ目が経営支援事業、4つ目が、昨今参入したソフトウェア開発・システム開発事業です。事業内容の詳細に関しては、次のスライドからご説明します。

メーカー事業

辰巳:メーカー事業についてご説明します。メーカー事業に関しては、主に情報セキュリティ機器とネットワーク機器の企画製造に特化しています。

グループ会社であるメーカーのアレクソン社の高い開発力と、当社が永年培ってきた中小企業のオフィス環境に関する、手前味噌ではありますが深い知見を融合させることで、中小企業マーケットに最適な製品を開発し提供しています。

まず、グループ内に製造メーカーを持つことにより、お客さまのニーズを迅速に製品に反映させるマーケットイン型のアプローチを強化し、新製品の市場投入までのリードタイムを大幅に短縮しました。

メーカーの多くはプロダクトアウトですが、数多あるお客さまの些細なニーズをいかにしてキャッチアップするかには、高いスキルを求められます。当社では循環型のマーケットインと言っていますが、ニーズを瞬時に製品にして市場投入できることが競合他社さまに比べての差別化となり、大きな強みとなっています。

また、自社販売だけではなく、他社の代理店さま、フランチャイズさまも含めて好調に推移しており、事業全体の成長に大きく貢献してくれています。

関本:事前に調べたときに、アレクソン社の事業はとても収益性が高いと感じました。主なアレクソン製品とありますが、まんべんなく売れているのでしょうか? あるいは「このプロダクトは本当に評判がよい」という主要プロダクトがあるのでしょうか?

辰巳:サイバー攻撃等は、攻撃側も雨後のたけのこのように日進月歩なので、昨今は大手企業さまだけではなく小規模事業者さまであっても、対応し続けなければいけません。あるいは先取りして、このような脅威があるだろうということを製品にしています。

主にスライドに記載しているUTMや、外部からの侵入をしっかりと防ぐサーバーのようなものが、製品のプロダクトとしては一番主力になっています。コロナ禍において、テレワークステーションはNTTPC コミュニケーションズ社などと共同で発売しました。リモートワークが必然的に強いられている中で、テレワークステーションも非常に多く販売させていただけたと思っています。

関本:売りたいものと言うとプロダクトアウト型とは違うかもしれないですが、マーケットイン型でお客さまが求めるものをちゃんと合わせたかたちで売っているので、高い利益率もいただけているのかと思います。

辰巳:そのような意味においては、お客さまが欲しいものを作っているので、高飛車な言い方になりますが、売れないはずがないといえるかもしれないです。

オフィスソリューション事業

辰巳:オフィスソリューション事業についてご説明します。オフィスソリューション事業においては、国内企業の約85パーセントが小規模企業といわれています。具体的には10名未満の小規模企業さま向けに、経営課題に応じた商品とサービスをワンストップで展開しています。

当社は創業より、OA機器販売で業容を拡大してきました。しかし、ペーパーレス化などの影響により、我々にとってメイン商材であった複合機の市場が非常に縮小しています。

当社は何度となく、永年お取引のあるお客さまの入れ替え需要やご紹介をいただいていることもあり、非常に重要な事業ですが、アレクソン社のグループインを機に情報セキュリティ機器の販売をメインにシフトしました。

小規模企業さまにおいては、大企業さまと違い、専任の担当者が置かれていないことが多いです。なかなかリソースが少なく、経営資源がそこまで豊かではないことで、例えば情報システム部を設けるまでのボリュームもないのが実情です。

そのような場合は、社長さま自らが情報システムや経理、人事、雑務も含めたさまざまな業務を、お1人で担っていることが多くあります。そのような意味では、課題の洗い出し、課題解決に対応するリソースが不足しているのが実情です。当社は、3軸のサポートにより課題の発見からソリューション提供までを、ワンストップで展開しています。

関本:このビジネスフローについて、いくつか質問です。小規模企業とは、具体的に売上規模や従業員数などは、どれくらいの規模感のお客さまなのですか?

辰巳:まちまちです。当社グループとしては全国に1万6,000社の、請求行為が日常的に発生しているアクティブユーザーさまがいらっしゃって、規模感でいうと、年商で3,000万円という規模もあれば、従業員数も社長と奥さまと息子さまの3人というような、昔でいう三ちゃん農業のような会社もあって、千差万別です。

それだけに経営課題はまちまちなので、それらにしっかり応えていくことが大切です。もちろん大手企業さまも取引はありますが、基本的には小規模企業、10名未満の事業所さまが多いかもしれません。

関本:私もそうですが、企業規模的にリソース不足に困る会社さまなのですね。このような小規模企業をお客さまにしようとすると、どうしても単価が低くなってしまうので、マーケティングや顧客獲得のコストが重くなるのではないかと思いますが、顧客獲得についての経路やコストのかけ方について、どのようにお考えでしょうか?

辰巳:主に新規顧客の開拓等については、テレマーケティングを使っています。そのため販売に対するコストは、比較的かからない、人件費がそのままです。人を採用してしっかりと教育してという意味においての先行投資は見られるものの、獲得コストそのもの自体はさほどではないと思っています。

関本:御社のビジネスモデルとしてはセキュリティ商材やIT商材を売っているということで、大塚商会などを思い出します。規模感が違うとは思いますが、競合のイメージはどこかあるのでしょうか?

辰巳:大塚商会さまは、我々も同業の中にあってはガリバーでもありますし、ベンチマークとして置かせていただいています。現場レベルでいうと多少のバッティングはあるものの、大塚商会さまは比較的ミドル層のお客さまがターゲットになっているので、さほど競合する場面は少ないのかと思われます。大塚商会さまは我々も目指しているすばらしい会社ですので、学ばせていただいています。

オフィスソリューション事業

辰巳:当社が提供させていただく商品・サービスを、イラストで表現しました。ご覧いただくとオフィスの中にある、ありとあらゆるものがワンストップで提供可能であることがおわかりいただけると思います。これらの商品・サービスで、お客さまの課題解決を支援していきたいと思っています。

経営支援事業

辰巳:経営支援事業についてご説明します。経営支援事業においては、お客さま企業の経営課題に対して、先ほどのオフィスソリューション事業よりもさらに踏み込んだ、役務系の支援を行う「No.1ビジネスサポート」というサービスを展開しています。

2024年の中小企業白書によると、小規模企業の経営課題としては、人手不足の深刻化やDX化の立ち遅れ、生産性がなかなか上がらない、などが挙げられています。

そのような課題に対して、お客さま専任のビジネスコンサルタントがDX化や、経営課題の解決を伴走支援することで、お客さまが本業に専念できる環境をサポートしています。こちらの基本メニューに記載があるとおり、経営支援からパソコンの各種設定など、多様化するニーズに応えたサービスを提供しています。

また、基本メニューに加えてオプションメニューも拡充しており、例えば人財不足の解決を目的とした「採用アシスタント」や、小規模企業では未だにエクセル管理が多いということがありますが、案件管理や管理会計などを行うクラウドサービスの「lagoona(ラグーナ)」などのサービスを提供し、お客さま企業の成長に貢献しています。

経営支援事業

辰巳:「No.1ビジネスサポート」の保有契約数・平均解約率、平均顧客単価に関してのグラフとなります。保有契約数が、2020年のサービス開始より5,000件を突破して、平均顧客単価に関しても順調に伸びています。

解約率も非常に低く、お客さまのニーズを捉えたサービスになっていると社内でも認識しています。中には、お客さまから「No.1を辞めてうちに来てほしい」と言われるようなビジネスコンサルタントがいて、お客さまとの信頼関係が構築できている証左かと自負しています。

ソフトウェア開発・システム開発事業

辰巳:ソフトウェア開発・システム開発事業についてご説明します。当社グループの成長性拡大を目的として、前期にはアイ・ティ・エンジニアリング社とOZ MODE社、今期においてはコード社を子会社化しました。これにより、成長領域であるソフトウェア開発・システム開発事業へ参画した次第です。

子会社化の目的は、1点目が新規事業としてソフトウェア開発・システム開発事業に進出することです。2点目が3社それぞれの強みを活かして、多様なお客さまのニーズに対応することです。今後、新たな技術を活用した今までにないサービスを、小規模企業さま向けに展開していきたいと考えています。

3点目が、リスキリングにより当社従業員を育成し、IT人財を確保することです。経済産業省が公開したデータによると、2030年にはIT人財が最大で79万人不足するという予測がされています。当社はIT人財を確保するため、OZ MODE社の独自ノウハウによってIT人財の育成を計画しています。

4点目が、基幹システムの開発・保守・運用業務をスピーディに内製化することです。

中期経営計画Evolution2027と2030年のありたい姿

辰巳:成長戦略についてご説明します。スライドに記載のとおり、当進行期を含めた中期経営計画であり、2025年2期の売上高が142億円、営業利益が10億3,000万円です。進行期においては、売上高160億円、営業利益13億円を計画しています。最終年度においては、売上高168億円、営業利益18億3,000万円です。

これらの「Evolution2027」の中期経営計画を経て、我々が「Vision2030」と名づけている次の中期経営計画となる2030年の「ありたい姿」として、最終年度には売上高240億円、営業利益34億円、時価総額300億円を目標に、100年企業としての経営基盤を確立していきたいと考えています。

中期経営計画Evolution2027の重点戦略

辰巳:「中期経営計画Evolution2027」の重点戦略についてご説明します。当社は4つの重点戦略により、強い経営基盤の構築と収益のさらなる拡大と安定化を図っています。

重点戦略の1つ目は、経営基盤・事業基盤の再強化および構造改革です。事業領域の拡大、事業ポートフォリオマネジメント、商品競争力の強化などにより、経営基盤・事業基盤を再強化する計画となっています。

重点戦略の2つ目が、事業領域拡大に向けた積極投資です。M&A、事業提携、システム投資により、事業領域のさらなる拡大を目指したいと考えています。

重点戦略の3つ目は、収益構造の安定化です。既存事業の拡充と新事業領域の展開により、ストック売上比率の向上を目指しています。

そして重点戦略の4つ目は、サステナビリティ経営・人的資本経営の推進です。人的資本経営の拡充とダイバーシティの推進、中小零細企業さまの支援を通じた地域経済の活性化などの取り組みにより推進していきます。次ページ以降で取り組みをご説明いたします。

事業領域拡大に向けた積極投資

辰巳:M&Aについてです。当社はオーガニック成長に加え、重要戦略であるM&Aによる持続的な成長を目指しています。M&Aの方針に関してですが、グループシナジーと販売チャネルの拡大を見込める企業に対しては、積極的に実施します。

グラフの縦軸は新規事業、横軸が既存事業となっています。新商品・サービスの拡充と新たな分野への進出により縦軸を伸ばし、市場開拓とシナジーの創出、そして顧客レイヤーの拡大によって横軸を伸ばして事業領域を拡大していきたいと考えています。

関本:M&Aについてもおうかがいします。M&Aの基本方針としての「グループシナジーと販売チャネルの拡大」についてですが、その規模感、買収時におけるバリュエーションのルールなど、開示されているものはありますか?

辰巳:我々は年次ごとの計画を、業績が上回る計画で進めてきました。今後についても、計画を着実に進めていくわけですが、そのような中で、キャッシュ等の積み上げがあります。これらを有効活用し、その一部を投資するかたちです。

また、従業員に対する処遇の改善や、株主に対する配当も実施しています。M&Aの対象となる企業の規模感というのは特段、規定はありません。一緒に営んでいく上で、有益な会社については、基本的に自己のキャッシュをベースとしつつも、外部金融機関等からの調達も含め、積極的に投資していく方針です。

事業領域拡大に向けた積極投資

辰巳:事業領域拡大に向けた積極投資に対する取り組みであるclosip社との業務提携についてです。新たな分野に挑戦することにより、持続的な成長を実現させる目的として、特許技術を持つ同社と強固なパートナーシップを構築しました。

closip社の「LTE over IP」という特許技術ですが、これは携帯電話の認証技術を応用したもので、デバイスを選ぶことなく搭載できる認証セキュリティシステムです。

まだあまり知られていませんが、すでに上場企業の大手企業をはじめ、官公庁を中心に導入が進んでおり、すでに90社以上、4万6,000ユーザー以上の利用実績がある技術となっています。

今後の計画としては、グループシナジーを活用し、closip社の「LTE over IP」を搭載した製品を積極的に開発していきます。また、情報セキュリティ分野に加え、生成AIを活用したITの新しい分野においても、積極的に事業展開していく方針です。

業務提携の第1弾として、当社グループであるアレクソン製のNASサーバーに、closip社の持つ技術を搭載した製品を、2月より販売しています。販売については堅調です。

関本:closip社の買収について、期待値が非常に高いと感じています。この中期経営計画の期間の最後、あるいは長期ビジョンの後と考えた時、ストック売上について「ここまで伸ばしたい」「この水準にしたい」といったお考えはありますか?

辰巳:当社は、営業会社が生業だったため、フローの売上が多いです。対象会社の規模や収益力、また売上高、利益率などにもよりますが、ストックについてはM&Aを進めながら30パーセントの売上を目指しています。現状は16パーセント程度ですので、この数字を倍化したいと考えています。

収益構造の安定化

辰巳:収益構造の安定化についてです。事業運営の安定・長期的な事業成長を目指し、ストック売上比率の向上を図ります。役務提供による売上が増加し、前年同期比で1.3パーセント程度上昇しました。

ストックとフローの内容に関して、ストック売上に関係するのは「No.1ビジネスサポート」、レンタル系のWi-FiやPC、あるいは、黎明期より行っている複合機の保守・メンテナンス、あるいは回線関係です。この中で特徴的なものがBCP対策で、災害時における緊急災害用通信機器「ハザードトーク」です。こちらも非常に人気で、需要も高まっています。

フローの売上については、機器の販売事業によるものです。OA関連商品や自社企画のセキュリティ商品がフローの売上となっています。現在、前期より1.3ポイントほど上昇し、ストックの売上が15.8パーセントまで達していますので、今一度、注力していきたいと考えています。

当期の成長戦略

辰巳:当期の成長戦略には3つの柱があります。1つ目は「既存事業の成長」、2つ目が「グループシナジーの創出」、3つ目が「人的資本経営への取り組み強化」です。既存事業をしっかりブラッシュアップし、さらに領域を広げていきたいと考えています。これらの取り組みにより既存事業を成長させ、事業基盤の強化を図ります。

2つ目は、前期にグループインしたソフトウェア開発・システム開発のアイ・ティ・エンジニアリング社、OZ MODE社、コード、資本提携先であるclosip社など、アレクソン社の技術力を活用したシナジーの創出を図ります。

これまでになかった技術をグループ内に持つことで、業績の伸長以外にも、新たな商品の販売や、システムの内製化によるコスト削減、業務効率の向上など、さまざまなシナジーを見込んでいます。

3つ目は、人的資本経営への取り組み強化です。No.1本体の営業活動もシステム開発も、「人財」が重要なテーマです。業績の積み上げには稼働人員の拡大が必要不可欠であるため、積極的な新卒採用、さらには人的資本経営への取り組みを強化していきたいと考えています。

2025.2期の位置づけ

辰巳:続いて、決算のハイライトです。まずは、2025年2月期の位置づけですが、この期は、100年企業に向けた持続的成長、また、企業価値向上に向けて、経営基盤・事業基盤の再強化、構造改革に取り組む助走期間と位置づけており、あえて減益の計画としました。

2025.2期 決算ハイライト

辰巳:4月に発表した、2025年2月期の決算ハイライトです。2024年2月期までは、業容拡大・業績目標の達成を1番の優先事項として取り組んでいましたが、足元を固めるという意味で前期はあえて減益の計画としていました。

結果として、取り組みの成果が早期に表れたことで、営業利益は10億3,900万円となり、当社の業績予想よりも11.7パーセントプラスで締めくくることができました。

2026.2期 業績予想 | 連結及び主要各社別

辰巳:2026年2月期の業績予想です。今期は、主要各社ごとの業績予想をはじめて開示しました。営業利益は前期から25.1パーセントプラスで、過去最高の13億円を見込んでいます。

No.1については、生産性改善施策やコスト削減への取り組み、また営業利益率の改善を図ると同時に、株主優待制度導入、および人的投資に係るコストをすべて吸収する計画となっています。アレクソン社については、新商品の開発と同時に、海外への展開も進めていきたいと考えています。

その他の子会社も、グループシナジーをしっかりと活かし、M&Aによって加わった子会社の伸長を図りながら、継続的に新たなM&Aを実施して、非連続成長を目指していきたいと考えています。

配当方針

辰巳:配当方針および株主優待についてです。従前より周知していますが、配当方針は、配当性向30パーセントを目安とし、年次ごとの業績の変動にかかわらず、安定的・継続的に株主配当を実施していきたいと考えています。前年度の1株当たりの年間配当金を下限として、累進配当を行う方針です。

自社株買い等については、財務規律のもとで機動的に実施します。年間配当金の推移は右側のグラフのとおりですが、2026年2月期に関しては累進配当の方針どおり、初配を含み、8期連続の増配を計画しています。年間配当金は1円増配し、36円を予定しています。

関本:配当や還元について確認できればと思いますが、大変成長しており、しっかり配当も還元も実施されているため、感謝されるところだと思います。

例えばM&Aを実施したい企業は、やはり「手元に現金がほしい」と思っています。それを踏まえた上で、「バランスシートでどれくらい現金を持っていたいか?」「M&Aは、基本的に負債で調達するのか?」など、バランスシートに関することで、なにか開示されているものはありますか?

辰巳:方針は開示していません。計画をしっかり進めていくと、ビジネスモデルとしては比較的キャッシュが積み上がりますので、M&Aを含めた積極的な投資や、ベースアップをはじめ、従業員に対する処遇の改善が非常に重要だと考えています。

おかげさまで、財務状況については開示しているとおり健全ですので、外部から調達した分を含めてM&Aで使ったり、積み上げた利益に関しては、従業員や株主への配当でより多く使えるようにしたいと思っています。

株主優待

辰巳:株主優待、株主に対する優待制度についてご説明します。「当社グループの事業内容へのご理解をより一層深めていただきたい」という観点から、当社株式への投資の魅力を高め、より多くのみなさまに当社株式を中長期的に持っていただくことを目的に、株主優待制度を新設しています。優待制度についてはこれからも継続し、株主のみなさまにしっかり還元していきたいと考えています。

優待の内容に関してですが、年2回の基準日ごとに、300株以上をお持ちの株主に対して、QUOカード1万5,000円分、年間で3万円分を還元しています。優待の利回り等については、さらに手厚く実施できるように精進したいと考えています。

本日、ご参加いただいている株主のみなさまをはじめ、すべてのステークホルダーのみなさまからいただく「No.1の成長は頼もしいな」「ますます成長してくれよ」といったお声を具現化すべく、我々は「日本の会社を元気にする一番の力へ。」という経営理念に則り、しっかりがんばっていく所存です。

今後も当社No.1グループを、何卒よろしくお願いいたします。ご清聴いただきありがとうございました。

質疑応答:企業へのセキュリティ機器販売について

荒井沙織氏(以下、荒井):「企業へのセキュリティ機器販売については、売り切りではなく、維持・運用のストック収益もありますか?」というご質問です。

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