はじめに: JDR ( 日本型預託証券 ) とは

石田裕樹氏:みなさまお忙しいところ、お時間をいただきましてありがとうございます。グループCEOの石田裕樹です。YCPホールディングス(グローバル)リミテッド2025年12月期第1四半期決算のご説明をしたいと思います。

私どもは、YCPホールディングス(グローバル)リミテッドというシンガポール法人で、JDR(日本型預託証券)という新しくできた制度を活用して、東京証券取引所に上場しています。

みなさまは、当社の株式をお持ちいただいているわけではなく、市場で取引していただく際にも、株式を売買していただくのではありません。株式を預託証券というかたちにして取引所に上場させていますので、預託証券をみなさまで売買していただくかたちになっています。

今月、株主総会をシンガポールで実施しました。先月末に日本のJDR受託者のみなさま、日本における株主のみなさまへの説明会を行いました。みなさまに直接株主総会に出ていただくことはできないため、説明会を通じてみなさまの議決権行使指図権を行使いただきました。

みなさまの議決を三菱UFJ信託銀行に指図していただき、みなさまがお持ちのJDRの口数・持分数に応じて、株主総会に出席した三菱UFJ信託銀行が、みなさまに代わって議決権を行使するという枠組みで運用を行っている会社となっています。

投資参考指標のご案内

2021年12月に上場して以来、東京証券取引所やさまざまなメディアのみなさまと改善にあたってきていますが、一部でJDR銘柄の情報が適切に開示されていないことは認識しています。このような四半期の業績開示のタイミングで、現状での投資参考指標を整理して、みなさまにお伝えしています。

かなり直ってきているという認識は持っています。例えば時価総額が昔は適切に出ていませんでしたが、現在は「Yahoo!ファイナンス」等で見ると時価総額が適切に表示されるようになりました。ただ一方で、PERやPBRが適切に反映されていない、表示されていないという問題は認識していますので、引き続き東京証券取引所のみなさまとともに改善にあたって、関係各社に働きかけていきたいと考えています。

スライドにお示ししている数字が、現状での投資の評価になっています。

会社概要

会社の概要です。YCPホールディングス(グローバル)リミテッドは、シンガポール企業です。2021年12月に東京証券取引所に上場しました。

現状では、470名ぐらいのプロフェッショナルが在籍しています。このプロフェッショナルとは、いわゆるコンサルタントのことで、スライド右側に記載のとおり、日本と東南アジアで今100名ずつぐらい、インドではすでに200名を超えるぐらいの規模になっています。引き続き成長著しいインドや東南アジアでの規模の拡大、組織の強化を図っていきたいと考えています。

事業概要及び当社グループの報告セグメント

事業は大きく2つに分けられます。1つがマネジメント・サービス事業で、いわゆるコンサルティングの事業です。

コンサルティングの事業の中でも、特にお客さまの経営の現場に常駐し、実行支援を行います。机上の空論ではなく、実際に我々が描く戦略をお客さまのところに落とし込んでいくことを特徴としているサービスを、マネジメント・サービス事業という呼称で展開しています。

もう1つのセグメントは、プロフェッショナル・ソリューション事業です。4つの領域に特化した専門性の高いチームを構築し、それぞれの各領域で専門性の高いソリューションをお客さまに提供しているのが、プロフェッショナル・ソリューション事業となっています。

主にDX(デジタルトランスフォーメーション)をお客さまに展開していきます。サプライチェーンにおける調達や物流の最適化をご提案します。デジタルマーケティングのご提案も行います。あるいはサステナビリティへの取り組みを支援することもあります。

このような専門領域において、現状で、だいたい20名から50名ぐらいの人材をそれぞれのチームに配置し、お客さまに専門性の高いサービスを提供しているのがプロフェッショナル・ソリューション事業の特徴となっています。

スライド下段のプリンシパル投資事業についてです。創業間もない頃から自分たちで培ってきたコンサルティングのプラットフォームを活用しながら、実際に自分たちが投資をしたり、投資先に人材を提供したりすることに取り組んできています。

現状で言うと、ペットケア領域と戦略投資領域に取り組んでいます。従前はここにパーソナルケア領域があり、株式会社SOLIAという会社を育て、昨年12月に売却しました。そのため、パーソナルケア領域がなくなり、現在はペットケア領域と戦略投資領域に取り組んでいます。

引き続きプリンシパル投資事業では、規模のある投資先については一部売却も進めていき、重点的には、マネジメント・サービス事業とプロフェッショナル・ソリューション事業に注力し、事業の成長を加速させていきたいと考えています。

円ベースによる過年度の業績推移

当社は2011年の8月に創業し、14年が経ったところです。おかげさまで昨年は、200億円規模の事業を作ることができました。

昨年12月に株式会社SOLIAを売却したことに関して、当社は国際財務報告基準(IFRS)に則って決算を締めているため、売却する事業に関しては売上を過去2期分では外すのがルールとなっております。したがって、2023年度、2024年度に関しては、スライドのグラフで示した点線の中の53億円、65億円が、決算上の数値からはなくなり、昨年度の決算では約140億円という数字を売上として開示しています。

グラフの点線部分は株式会社SOLIAのこれまでの売上を示していますので、ご参考にしていただければと思います。

足元で言うと、140億円のうち約80億円をマネジメント・サービス事業とプロフェッショナル・ソリューション事業の売上として、昨年を終えることができました。別途60億円ぐらいが、動物病院事業や戦略投資領域の連結している子会社・投資先から上がっている収益となっています。

FY2025 第1四半期業績ハイライト

本年度の第1四半期の業績についてご説明します。まず売上に関しては、2,310万米ドルで約35億円を実現することができています。株式会社SOLIA売却を抜いた売上と比べて、前年対比で10パーセントの成長です。今期の計画値に関しても110パーセントで過達することができています。

営業利益も、1億8,000万円と昨年よりも成長させています。今年はかなり採用を加速させていき、チームを大きくしてより大きな売上を作ることに、プロフェッショナルサービス領域で取り組んでいる関係で、利益に関してかなり保守的に開示していました。しかし、2025年度第1四半期の業績では、計画に対して約2倍の数字を上げることができています。

FY2025 Q1 グループ連結業績

四半期の推移を示しています。グラフはドルベースだけになりますが、昨年、約2,000万米ドル、円で言うと当時のレートで28億円ぐらいだったように記憶しています。そこを35億円ぐらいと大きく伸ばすことができています。

特に、マネジメント・サービス事業がしっかりと伸びましたし、プロフェッショナル・ソリューション事業も、きちんと確実な成長を遂げることができました。グループとしては良いかたちで第1四半期を終え、2025年度に入ることができたと考えています。

日本地域のリーダーシップ強化

マネジメント・サービス事業は前年同期と比較して20パーセント成長することができたとお伝えしましたが、特に成長が著しいのは日本です。これまで3年ぐらい、マネジメント・サービス事業の日本チームは、収益性は非常に高いチームではありながらも、事業の拡大がそれほどスムーズに進んでいなかったのが実態です。

一方で、今年の1月にフロンティア・マネジメントというコンサルティング会社を経営していた松岡真宏氏に当社の日本地域の統括として参画してもらいました。松岡氏のリーダーシップのもと、新しいパートナークラスの人員を、昨年末から今年の4月ぐらいにかけて大幅に拡大し強化してきています。

まだ完全にその効果が出てきているわけではありませんが、第1四半期からすでに大きく事業を拡大させています。マネジメント・サービス、DXチーム、サステナビリティも、日本において非常に大きく業容を拡大することができたのが今期の特徴かと思っています。

加えて、今は青山一丁目に日本のオフィスを構えていますが、夏には赤坂周辺にオフィスを新設し、さらなる組織の拡大、お客さまに提供している価値の向上を図っていきたいと考えています。

マネジメント・サービス事業のご紹介

マネジメント・サービス事業についてご説明します。いわゆるコンサルティングの事業ですが、我々はお客さまの現場に常駐しながら、「インプリメンテーション」や「PMO型」と呼ばれる、経営の企業変革の実行支援を現場で行うことを特徴としています。

スライドの右側には、具体例として、M&Aの場合には数年かけてプロジェクトに入るということをお示ししています。M&Aのように大きな企業変革のタイミングで、当社の社員が10名から場合によっては30名ぐらいのチームを組んで、お客さまの現場に常駐し、非常に長いスパンでお客さまの経営の実行支援を行うことを特徴としています。

マネジメント・サービス事業の業績

マネジメント・サービス事業の業績です。2025年度の第2四半期から第4四半期はそれぞれ今計画値としてお出ししているものになりますが、非常に良いかたちで第1四半期を終えることができています。昨年に比べると20パーセント弱ぐらいの成長になっています。

円ベースで見ても非常に大きく成長させることができています。日本のビジネスは非常に円安が進んだことで、ドルベースで見ると非常に減退していましたし、円ベースで見ても横ばいが続いていたところですが、今この局面に来て、非常に大きくビジネスを拡大できています。

昨年の第4四半期はワンタイムで大きなプロジェクトが一斉に入ってきたこともあって非常に業績が良かったのですが、そのワンタイムの大きなプロジェクトがなくても、安定的に経営することができたのが、この第1四半期の特徴になっているかと思います。

ちょうど損益分岐を大きく超えると、昨年の第4四半期のように利益も大きく計上することができますが、今期の第1四半期に関しては利益計上よりも採用費を相当かけて、チームを大きくすることに取り組んでいます。一部、東京オフィスの引っ越しによってかかる販管費の拡大も想定しながら、利益面に関しては計画値を出しています。

このままのペースでいくと第2四半期以降も過達で進行することができるのではないか、計画を上回るかたちで経営することができるのではないかと考えています。

また、東南アジアも非常に大きく業績を伸ばすことができています。インドは横ばいではありますが、この第2四半期以降で大きなプロジェクトがまた入ってくることを想定していますので、2025年度は非常に良いかたちでマネジメント・サービス事業はスタートすることができたと考えています。

プロフェッショナル・ソリューション事業のご紹介

プロフェッショナル・ソリューション事業についてです。マネジメント・サービス事業に関しては、一生懸命人を採用して人を育てて、お客さまに付加価値の高いサービスを提供することを特徴としていますが、一定の離職率もありますし、短期間で大きくスケールさせることがなかなか難しいのが特徴です。

一方で、特定のソリューション、特定の領域に特化したチームやプロダクトを開発すること、および、高いスケーラビリティを実現させていくことを目標として、IPO以降プロフェッショナル・ソリューション事業に取り組んできています。

特に、我々はお客さまのデータベースを7万件超有していますので、マネジメント・サービス事業で培ってきたデータベースを最大限活用しながら、さまざまな専門領域にアプローチしていき、垂直的にサービスを立ち上げることに取り組んできています。

プロフェッショナル・ソリューション事業の業績

プロフェッショナル・ソリューション事業の業績です。2025年第1四半期は4,600万米ドルと、約7億円の売上を上げることができています。スライドのグラフのとおり、サプライチェーン領域は昨年、第2四半期、第3四半期、第4四半期とかなり売上が落ちていたのですが、ここにきて挽回することができました。

特に拡大したのはDX領域で、主に日本ということになります。日本におけるDX領域のチームが大きく売上を伸ばすことができました。

また、サステナビリティ領域にも昨年の第4四半期から取り組んでおり、ここでもしっかりとした売上を上げることができ、大きく業績を伸ばすことができています。

2025年度第2四半期以降も、この流れを活かして、各領域をしっかりと成長させていきたいと思っています。マネジメント・サービス事業以外の、このプロフェッショナル・ソリューション事業に関しても、大きく成長の実現が期待できるのではないかと考えて、経営にあたっているところです。

ペットケア領域のご紹介

プリンシパル投資事業についてご説明します。株式会社SOLIAを売却したことによって、今一番大きなポートフォリオがこのライフメイト動物病院グループになっており、現状は10病院を運営しているかたちになっています。

ペットケア領域の業績

特に直近で病院を増やしたわけではありませんので、非常に安定的に経営を行っていますが、第1四半期は若干閑散期ということもあり、売上は6億8,000万円になっています。

第2四半期は逆に繁忙期に入っていきます。昨年は8億2,000万円でしたが、それを上回る業績を上げられるような経営を、経営陣にお願いしているところです。

戦略投資領域のご紹介

戦略投資領域についてです。例えば香港やシンガポールでの飲食のビジネス、シニア領域、それ以外でもいくつか、やや小型の新しい投資にも携わっています。

戦略投資領域の業績

大きくグループの業績を変動させることがないように、一定のリスクコントロールをしながら投資活動にあたっています。

グループ全体の成長戦略

今期以降での取り組みですが、株式会社SOLIAの売却も含めて、今だいたい足元で現金が60億円ぐらいグループの中で貯まっています。

その60億円を最大限活用しながら、母体であるマネジメント・サービス事業の日本チームで引き続き積極的に人材を採用していきます。また日本以外においても、積極的にリーダーシップを含めた経営体制を強化します。

現状は250人でだいたい売上60億円ぐらいとご説明しましたが、いち早くここを500人体制にして売上100億円を作ることが非常に重要だと思って取り組んでいるのが戦略の1つ目です。

特に足元での資金は、プロフェッショナル・ソリューション事業で活用したいと思っていますが、4領域、あるいはそれ以外の領域に積極的に進出し、場合によってはM&Aも活用しながら、4領域が5領域、6領域と増えながら、それぞれで50億円から100億円の事業を作っていきます。

これを200億円ぐらいの塊にしていき、マネジメント・サービス事業の100億円とプロフェッショナル・ソリューション事業の200億円で、300億円ぐらいの事業を作ることが2つ目の戦略です。

その中で株式会社SOLIAを売却して、グループの中で資金を回収したのは非常に大きなマイルストーンになっています。ペットケア領域、あるいは戦略投資領域において投資している先の価値の最大化を図り、場合によってはそのような投資先の売却も行い、グループの中に資金を回収します。その回収した資金でグループの本業の成長を確実に実現させていきたいと思います。これを3つ目の戦略として掲げています。

2025 年 12 月期 中期経営計画 ( 円ベース )

数値面ではすでに開示していますが、中期経営計画を円ベースでご説明します。今期は、株式会社SOLIAを除いて145億円から150億円ぐらいの売上を上げる見通しを発表しています。すでに60億円のマネジメント・サービス事業を100億円に持っていくことをご説明しています。

足元で17億円のプロフェッショナル・ソリューション事業を、M&Aも含めて200億円ぐらいの規模にしていくことが非常に重要だと思っています。3年後の目標として開示しているマネジメント・サービス事業87億円、プロフェッショナル・ソリューション事業40億円は、M&Aを一切織り込まない数字ですので、積極的にさまざまなM&Aに取り組むことで、2領域あわせて300億円ぐらいの事業をいち早く築くべく、経営にあたっています。

株主還元の方針

上場してからは配当というかたちでの株主還元は実施していませんでした。昨年までは株主優待として、株式会社SOLIAのさまざまな商品を、株主のみなさまにご提供することに取り組んできました。

我々の本業であるマネジメント・サービスおよびプロフェッショナル・ソリューションを大きくしていくことが一番重要だと思っていますので、株式会社SOLIAを売却したタイミングで、本業から上がってきている経常的な利益の50パーセントを配当していくことを発表しています。

一方で、足元60億円の現金というお話をしましたが、この資金については、先ほどお伝えしたように、100億円、200億円の事業ポートフォリオを作るためのM&Aに活用したいと思っています。

どうしても使いきれない場合、ここの余剰資金については積極的にみなさまに一時的な還元も含めてお戻ししていきたいと考えています。

スライド下段にはすでに発表している今期の見通しを前提とする配当金の予想について示しています。今お伝えしたとおり、第1四半期はすでに計画値に対してプラスで推移していますので、より良いかたちで今期を進行させていき、配当数値に関してもできるだけこれを上回るかたちで上方修正できるよう、経営を進められたらと考えています。

質疑応答:松岡氏就任後の取り組みおよび評価について

「日本事業の立て直しに向けて新たに松岡氏を代表に迎え、パートナーを増員したとのことですが、どのような課題認識のもと、どのような狙いで体制を変更されたのでしょうか? また、松岡氏が就任されてから現在に至るまで具体的に取り組まれた内容と、改善スピードに対する石田社長の評価もお聞かせください」というご質問です。

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