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櫻井昭彦氏(以下、櫻井):みなさま、こんにちは。代表取締役社長の櫻井です。本日はお忙しい中、2025年3月期の決算説明会にご出席くださり誠にありがとうございます。また日頃より西華産業にご関心をお寄せいただき、重ねて御礼を申し上げます。
本日はスライドに記載の5つの項目についてご説明します。
2025年3月期 決算サマリー
はじめに2025年3月期の決算サマリーです。取扱高は2,904億4,000万円、売上高は937億3,000万円と、前期比でどちらも増加しました。営業利益は単体・連結とも概ね順調に推移し、前期比9億円増の64億8,000万円となりました。
当期純利益は、日本フェンオール社の持分法化による負ののれんおよび政策保有株式の売却益なども重なり、前期比33億1,000万円増の77億9,000万円となりました。また、受注残高についても、主に産業機械事業が昨年比で87億円ほど増加し、全体では前期比95億円増の667億6,000万円と大幅に増加しています。
今期の配当については前期比で70円増配し、1株当たり年間220円、中間期90円、期末130円を予定しています。期末については6月24日の株主総会に議案として提出しますが、これが承認されると年間220円となります。
2025年3月期 連結決算概要
川名康正氏(以下、川名):専務執行役員の川名です。2025年3月期の連結決算概要についてご説明します。冒頭のサマリーでお伝えした各数値をスライドにまとめていますのでご確認ください。
連結業績の進捗
連結業績の推移です。例年の傾向どおり下期偏重で推移しました。当期純利益については第1四半期において、政策保有株式の売却益に加え、日本フェンオール社の持分法化による負ののれんが発生しています。
受注高は1,032億3,000万円と売上高を上回っており、2025年度以降も順調な受け渡しが見込まれます。
連結の範囲
連結の範囲はスライドの図のとおりです。収益の柱となるグループ企業は、Tsurumi (Europe)GmbH、日本ダイヤバルブ、セイカダイヤエンジン、敷島機器の4社となっています。
連結バランスシート
連結バランスシートです。純資産は着実に積み上がっています。時価総額およびPBR、EPSの各指標についても、引き続き好調に推移しています。
キャッシュフロー
キャッシュフローについてご説明します。営業活動によるキャッシュフローは80億7,000万円となり、前期比で大幅に改善しています。日本フェンオール社の株式取得による18億円のキャッシュアウトがあったものの、政策保有株式の売却もあり、フリーキャッシュフローは88億8,000万円と、こちらも前期比で大幅に改善しました。
なお、政策保有株式売却の連結純資産に占める割合は、売却を進めた結果、2025年3月末時点で19.88パーセントとなり、縮減の目標である20パーセント未満を達成しました。
連結純利益のウォーターフォール分析(24/3 vs 25/3)
連結純利益における前期比のウォーターフォール分析です。エネルギー事業および主要連結子会社の業績が昨年同様に順調に推移し、増収増益となりました。加えて、日本フェンオール社の持分法化による負ののれん等、政策保有株式の売却益により当期純利益は大幅に増加しています。
過去3ヶ年の推移
各業績における過去3ヶ年の推移はスライドのとおりです。
セグメント別事業概要一覧
セグメント別事業概要をご説明します。実績についてはスライドに記載のとおりです。エネルギー事業については、売上高は前期比18.4パーセント増加、セグメント利益は65.7パーセント増加と大幅な増益となりました。
産業機械事業は、売上高・セグメント利益ともに減収減益、プロダクト事業は引き続き好調を維持しています。
セグメント別 売上高/セグメント利益の構成比
セグメント別売上高およびセグメント利益の構成比です。エネルギー事業は、西日本の原子力発電所向け防災・保安設備の更新、また火力発電所向け主要設備更新などの工事案件の受け渡しが順調に進みました。
加えて、持分法適用関連会社化したTVE社や日本フェンオール社も、営業シナジーもあり増収増益となっています。
産業機械事業は、米国・タイの現地法人の業績は好調に推移したものの、ドイツ・中国の現地法人の業績が低迷しました。加えて、当社単体の受注は拡大したものの、大型案件の受け渡しが少なかったことにより減収減益となっています。
プロダクト事業は、当社単体ではUTドローンによるプラント設備点検商談や、半導体関連商談などが拡大し、堅調に推移しました。また連結子会社Tsurumi(Europe)GmbHグループの業績も引き続き好調に推移したことから、増収増益となっています。
セグメント別 四半期毎の進捗
セグメント別売上高およびセグメント利益の四半期ごとの進捗です。連結業績の推移と同様に、概ね下期偏重となっています。産業機械事業のセグメント利益については、第1四半期から第3四半期にかけて赤字が続いたものの、第4四半期においては黒字転換し回復の兆しを見せています。
主要連結子会社の状況
主要連結子会社4社の売上高と営業利益の推移です。各社、若干増減はありますが、概ね期首の予定どおりでした。
セグメント別受注残高
セグメント別受注残高を表にまとめました。3セグメントすべてで増加傾向にあり、全体の受注残高は前期末から95億円増加し、667億6,000万円となりました。
特に、産業機械事業の受注残高は前期末比で45.1パーセント増加しました。他の2つのセグメントと比較しても大幅に増加していることから、今後受け渡しが進むことで連結業績への貢献が期待できるものとなっています。
長期経営ビジョンおよび中期経営計画の目標数値修正
本年2月13日に開示した長期経営ビジョンおよび中期経営計画の目標数値の修正についてご説明します。
中期経営計画の最終年度となる2026年度は、売上高1,200億円、営業利益70億円、経常利益76億円を目標に掲げています。また、長期経営ビジョンの到達目標として、2030年度に売上高1,800億円、営業利益120億円、経常利益125億円を掲げています。
2024年度の営業利益64億8,000万円に対し、長期経営ビジョンは約2倍の120億円を目標としています。オーガニック事業(エネルギー、産業機械、プロダクト)の成長による約85億円と、ノン・オーガニック事業(事業投資、M&A)への取り組みによる35億円を合わせ、営業利益120億円を目指していきます。
中期経営計画「VIORB2030 Phase1」期間における追加施策
現中期経営計画「VIORB2030 Phase1」期間における追加施策についてご説明します。事業戦略としては、成長領域(エネルギー・プロダクト事業)での事業拡大、低成長・低収益事業の構造改革断行、グループ会社の耐性強化を進め、収益力の向上を図っていきます。
経営戦略としては、キャッシュアロケーションの検証、人的資本経営の高度化を進め、投下資本の効率運用を実現します。
これら2つの戦略を掛け合わせ、さらなる企業価値の向上を図ります。
長期経営ビジョン「VIORB 2030」におけるキャッシュアロケーション
長期経営ビジョン「VIORB 2030」におけるキャッシュアロケーションについて詳しくご説明します。次期中期経営計画「VIORB2030 Phase2」においては、新たな収益基盤の構築や事業の形成を目的に、健全な財務内容とデットの活用を意識したノンオーガニック事業への投資を行っていきます。
キャッシュアロケーション 各方針
次期中期経営計画におけるキャッシュインおよびキャッシュアウトの各方針はスライドのとおりです。
2026年3月期 連結業績予想
2026年3月期連結業績予想です。売上高は1,050億円、営業利益は66億円、経常利益は71億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は60億5,000万円を予想しています。
2026年3月期 セグメント別連結業績予想
セグメント別の業績予想です。今期2026年3月期より、セグメント利益の算定方法を変更し、営業利益に持分法投資損益を足したものをセグメント利益とします。
エネルギー事業は、持分法適用会社の業績予想を反映し、減益を見込んでいます。産業機械事業は、積み上がった受注残の受け渡しが進み、増益するものと見込んでいます。プロダクト事業については微減となっています。
株主・投資家との対話から得られた関心事項
櫻井:株主・投資家との対話から得られた関心事項についてです。面談などでいただいた多くのご質問の中からピックアップしています。
IR活動の状況(株主数および売買代金の増加)
最初にIR活動の状況です。当社のさまざまな取り組みをしっかりと市場にお伝えし、取り組みを通じて当社の成長の可能性をご理解、評価いただくことが、企業価値の向上につながるものと考えています。そのような意味で、私もIR活動は大変重要だと認識しています。
年間のIR面談件数は合計88件で、そのうち国内の機関投資家が53件、海外においては35件です。いただいたさまざまなコメントは、取締役会や経営会議で情報共有し、戦略に反映していくよう取り組んでいます。
また、前期は初めて海外でのIRミーティングを実施し、台湾の機関投資家7社とミーティングを行いました。
TOPIX残留に向けた取り組み ― 株主の状況
2025年3月末時点の浮動株比率向上を狙い、昨年の秋に株式売出しを実施しました。三菱UFJ銀行、三井住友銀行にご協力いただき、63万株強を売出し、政策保有株式の解消も実施しました。これにより、上位の株主に機関投資家の流入が見られます。
TOPIX残留については、2026年8月の時価総額が重要となるため、引き続き企業価値向上に向けたさまざまな取り組みを推進し、マーケットにご理解いただけるようIR活動に取り組んでいきます。
TOPIX残留に向けた取り組み― 株主の状況
スライドは、個人株主にフォーカスした各数字のグラフです。IR活動を強化する中で、個人投資家向けの説明会を開催しました。株主優待の導入効果もあり、個人株主の割合がかなり増加しています。
全体の個人株主数は、一昨年から約25パーセント増加し1万3,000人弱となっています。日々売買代金も約2倍の3億円強ということです。短期株主の比率も高まっており、個人株主の多様化が図られていると分析しています。
TOPIX残留に向けた取り組み― 政策保有株式の縮減状況
政策保有株式の縮減状況です。2022年2月の取締役会において、連結純資産割合で20パーセントまで縮減すると決議しました。株価の上昇に伴い、20パーセントを上回ってしまうかと心配もありましたが、取り組みの結果、2025年3月期における割合は19.88パーセントとなり、目標を達成しました。加えて、今年1月16日の開示のとおり、さらに縮減を進め、2028年3月期には10パーセントの水準を目指します。
政策保有株式の縮減により、売却などで得た資金については次の事業戦略にきちんと当てていく考えです。
株主還元や配当方針
株主還元や配当方針については、すでにさまざまな場で公表しています。配当方針は、総還元性向45パーセントを目途にしています。昨年より株主優待制度も導入しており、当面はこの方針を継続していきます。
先ほどお話ししたとおり、情報開示や投資家との対話、IRの強化を行うとともに、着実に株主還元に努めていきます。
原子力発電事業の状況と今後の見通し
事業面については、原子力発電事業の状況などについてのご質問をたくさんいただいています。
2023年度より、三菱重工の原子力発電事業の代理店として活動を開始しました。2023年から2024年にかけて、TVE社、日本フェンオール社の持分法化を実施しました。これに伴い、営業シナジーも少しずつ効果が表れてきていると思っています。
環境的には、本年2月に第7次エネルギー基本計画が出され、原子力発電設備の最大活用が提示されました。私どもとしては、全体的にエネルギー事業への追い風になると考えています。
原子力発電についても、着実な定期点検の実施や長期運転化に伴う主要設備の更新、使用済み核燃料のリサイクルについての商談などが、これからも展開されていくと考えています。
電力需要については、2040年には2023年比で約20パーセント伸びると見込んでいます。デジタルトランスフォーメーションなどの進展に伴い、電力需要は伸びていくと想定されることから、フォローの風となると思っています。
実際、エネルギー事業については、2022年度、2023年度のセグメント利益は約20億円でした。現在、エネルギー事業のセグメント利益は約30億円となっています。この差である約10億円のかなりの部分が、今ご説明した原子力発電事業にかかる部分だと思っています。
社会インフラに根づいた事業ということで、急激な成長というよりは、安定的に少しずつ拡大していく事業だと考えています。
ESGの取り組み(グリーンイノベーション関連商品の推進)
ESGの取り組みについてのご質問もたくさんいただいています。当社は、エネルギー事業と産業機械事業を通じて培った経験や事業基盤を活かし、機械総合商社としてカーボンニュートラルの実現に向けた積極的な取り組みを実施しています。
具体的な取り組みとしては、グリーンイノベーション関連商品の拡販に努めています。脱炭素やクリーンエネルギー、省エネ・省人化、公害防止、リサイクル・リユースなどに貢献し得る商品の取扱売上高をターゲットにしています。
長期ビジョンの策定段階では、2030年度にはグリーンイノベーション関連商品取扱売上高2,000億円という目標を掲げてきましたが、原子力発電事業の開始に伴い、すでにこの数字は達成しています。
現在、新たなKPIの設定について検討しています。決定次第発表させていただきたいと思います。
東京産業株式会社の株式取得
2025年4月に実施した東京産業株式会社の株式の取得についてご報告します。本件は、大量保有報告書において公表しているとおり、投資収益を目的とした株式取得ではありますが、中期経営計画においては収益力強化に向けた補完的なM&Aの活用を表明しています。そのような意味でも、今後政策保有目的への変更の可能性を検討していきたいと思っています。
現時点のアクションとしては、持続的な当社の成長を目指し、同社との協業・協働を視野にさまざまな検討を進めています。今後開示すべき事象が生じた場合は速やかにお知らせしたいと思います。
以上で説明を終了します。株主、投資家のみなさまには、今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。ご視聴いただき誠にありがとうございました。
質疑応答:東京産業の株式取得について
質問者:4月の東京産業の株式取得については意外な印象を持ちました。長期経営ビジョンの最終年度目標は営業利益120億円、内訳としてオーガニック事業が85億円、ノン・オーガニック事業が35億円というお話でした。長期経営ビジョン最終年度目標を達成するにあたり、東京産業の事業検討はノン・オーガニック部分に該当するのでしょうか?
また、東京産業について調べてみますと、決算の修正や太陽光事業の赤字計上、訴訟などを抱えている中で、今後の検討をどのようなスケジュールでお考えになっているかお聞かせください。
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