2025年9月期第2四半期の総括
椎橋徹夫氏(以下、椎橋):株式会社Laboro.AI代表取締役CEOの椎橋徹夫です。みなさま、本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。2025年9月期第2四半期の決算についてご報告します。よろしくお願いします。
総括です。当社の経営方針についてご説明します。オーダーメイドのAI開発とコンサルティングを合わせたサービス「カスタムAI」を提供しています。中でも注力しているのが、AIを用いて新しい製品やサービスを創出していく「バリューアップ型のテーマ」という事業モデルを転換していく取り組みです。
スライド中段には、2025年9月期第2四半期までの累計業績を示しています。売上高は9億7,900万円で、前年同期比プラス37パーセントで着地しています。売上総利益は6億7,900万円で、前年同期比プラス44パーセント、営業利益は2億500万円で、前年同期比プラス205パーセントで進展しました。
売上は前年同期比で、第2四半期までの上半期で見ると累積37パーセントの増収となり、大きく成長させることができました。2025年9月期の通期の予想に対しての進捗を見ても、49パーセントで予定どおり順調に進捗しています。
一方、第2四半期だけの売上は、第1四半期を少し下回るかたちで着地しています。下回った要因は2つです。
1つ目は、前期の第4四半期の売上の一部が契約のタイミング等の期ずれで第1四半期にのっており、少し上振れしていたためです。2つ目は、ソリューションデザイナ、エンジニアの稼働が少しひっ迫し、健全なラインよりも少し高い水準になっていたためです。
このあたりを平準化して健全なかたちにしたのが、第2四半期の売上の数字です。端的にお伝えすると、計画どおり、現状の実力をきちんと反映した健全な売上になったと見ています。
営業利益は第2四半期すなわち上期合計2億500万円で、前年同期比で見るとかなり大きく進展・成長をしました。通期の予想に対する進捗で見ても82パーセントで、少し想定を上回るペースでの進捗になりました。
少し踏み込んでご説明します。事業の進捗は、新規・既存とも引き続きバランスよく顧客基盤を維持しながら拡大できたと見ています。
特に新規では、従前から力を入れている強化学習等の技術を含む最適化の領域や、昨今非常に速いスピードで需要が伸びているLLMという生成AIの領域での知見の蓄積が奏功し、新規の顧客をこの第2四半期単体で4社獲得しています。第2四半期までの上期累計では6社となり、計画どおり順調に獲得できました。
組織の構築については、エンジニア、コーポレートサイドの採用体制の拡充が、計画どおり順調に進捗しています。ソリューションデザイナについては、採用と人員計画の進捗が目標より少し遅れています。しかし、足元の流入数は増えていることから改善傾向です。このあたりについては、後ほどご説明します。
これらを受け、現時点で2025年9月期通期の方針は、期初の業績から修正なしとしています。今後は、事業進捗を踏まえながら、適時・適切に開示していきます。
Laboro.AIのミッション
第2四半期の業績についてご説明します。あらためまして、当社のミッションとして「すべての産業の新たな姿をつくる。」「テクノロジーとビジネスを、つなぐ。」を掲げています。
Laboro.AIのビジネス:「カスタムAIソリューション事業」
具体的な事業は、カスタムAIソリューション事業として展開しています。
売上高/営業利益の四半期推移
売上高、営業利益の推移です。売上高については、第2四半期は4億6,500万円となっています。第1四半期に比べると、少し下回る水準になっていますが、冒頭で触れた2つの要因を踏まえ、健全な計画どおりの順調な成長を実現できたと捉えています。
営業利益は8,400万円です。こちらも売上と同様に、よいかたちで進捗させることができたと見ています。
売上高の進捗(サマリ)
通期の売上予想に対する現状の進捗率は48.8パーセントです。昨年の2024年9月期、一昨年の2023年9月期と比べ、相対的に高い進捗率です。この勢いを引き続き保ちながら、通期予想の達成に邁進していきたいと考えています。
2025年9月期 第2四半期損益計算書
損益計算書です。営業利益は、上半期に当たる第2四半期累計で2億500万円でした。営業利益率は累計で21パーセントです。第2四半期では18パーセントになっています。粗利率は69パーセントで、営業利益率と同様に、計画及び過去の実績に対して少し高い水準で推移しています。
コスト構造
利益率が上がっている背景について、コスト構造を分解しながらご説明します。端的にご説明すると、当社として一番大きなコストの塊になる人件費及び研修採用費が、前年同期は売上に対して58パーセントであったのが、本年は51パーセントに減少しています。減少分が営業利益に反映されるというコスト構造です。
顧客ポートフォリオ(1/2):業界別顧客構成(2Q累計)
顧客のポートフォリオについて少し触れます。従前から、研究開発型産業や社会基盤・生活者産業などバリューチェーンの両端に注力してきました。引き続き、ちょうど半分ずつぐらいのバランスの取れたかたちを維持しながら、顧客のベースを拡大しています。
顧客ポートフォリオ(2/2):既存/新規顧客売上成長率
既存顧客、新規顧客の比率も、想定どおり適切なバランスで推移しています。新規顧客については、第2四半期のみで新たに4社との取引を始めています。第2四半期までの上期累計の新規顧客は6社です。こちらも、想定どおり順調に推移しています。
社員数の推移
社員数です。第2四半期末時点の全社合計人員数は88名で、第1四半期末比で5名増えました。全体で見ると、順当に組織が拡大しています。
ソリューションデザイナは、第1四半期末比で増減はゼロで、同じ人数での推移になっています。少し計画に追いついていない状況です。このあたりの振り返りや課題については、後ほどご説明します。
貸借対照表サマリー
貸借対照表です。現時点で大きな変更はなく、引き続き一定の余力を確保した財務基盤を築けています。
当社の事業モデル
事業の進捗及び今後の成長戦略についてです。定性的な振り返りについても少しご説明します。
当社の事業モデルは、従前から変わっていません。バリューアップ型AIテーマという事業モデルを掲げています。ターゲット市場は、AIを使い新規製品やサービスを創出し、事業モデルの転換という大きな価値を生み成長につなげていくような領域です。
ビジネスモデルとしては、カスタムAIソリューション事業です。AIの開発と導入支援、共創をカスタムで行っています。バリューマイニングとして新しいテーマに取り組んでいくことと、バリューディストリビューションとして取り組んだテーマの知見をノウハウ化・型化させて展開していくことを、好循環で回していく方針を掲げています。
25年9月期以降の成長戦略
中長期の成長戦略です。こちらも、従前からの変更はありません。前期から示していた短・中長期の成長戦略の中で、2025年9月期は中期の第1期目という位置付けです。中期は、カスタムAI事業の確立と、非連続な成長機会に向けての模索により、ステップを踏み始めるという位置付けになります。
そのための柱は3点です。柱①は、顧客基盤を安定的にバランスよく成長させていくことです。柱②は、そのすべての成長を支えていく体制の整備です。柱③は、長期のさらなる新たな事業モデル確立に向けて、非連続な成長を模索していくことです。
2025年9月期第2四半期の事業進捗(サマリ)
3つの柱の観点から、第2四半期の事業進捗を振り返ります。
柱①は、市場成長を超えるペースでの安定した収益成長です。需要が非常に堅調に伸びている中で、既存の顧客企業との取り組みを継続して拡大していきました。加えて、新規の顧客を獲得していくことについて、非常に良い進捗を見せられたと振り返っています。
新規顧客の獲得については、2024年6月に立ち上げたグロービング社とのジョイントベンチャーX-AI.Laboの活動等を行いました。加えて、潜在的な顧客への積極的な営業活動を行った結果、リーチが広がっていることを背景に、第2四半期で4件、上期累計で6件の新規顧客を獲得できています。引き続き、非常に堅調な重要な需要の伸びを捉えながら、活動していきたいと考えています。
柱②は、成長を支える体制の整備です。前期からの振り返り・反省というところで、育成とエンゲージメントの領域で少し課題が顕在化しているとお話ししました。課題に対しては、今期に入り、いろいろな施策を打っています。第2四半期においても、新たな研修制度やメンタリング制度の導入等を進めている中で、課題解決がよいかたちで進展を見せています。
エンゲージメントにおいては、主に人事総務部や人材開発室が、部署を越えたコミュニケーションの促進を進めています。また、新しいメンバーのオンボーディング支援など、全社的な仕組みの整備や施策を進めており、エンゲージメントが高まっている状況と見ています。
採用については、自己評価が唯一の「△」になりました。エンジニアとコーポレートサイドの採用組織拡大が非常によいかたちで進んでいる一方で、ソリューションデザイナの採用が計画比で引き続き進捗が少しビハインドしているためです。ここは課題として捉えて、きちんと正面から対応していく必要があると考えており、「△」としています。
柱③は、新たな領域への染み出しの検討です。非連続な成長に向けて、第2四半期には取り上げるべき成果が1つあったと考えています。第2四半期末の2025年3月、CAGLA社というグラフデータベースの技術に強みを持つ会社との株式譲渡契約の締結を完了しました。
4月には実際に株式譲渡を実行し、本日現在では100パーセント子会社としてグループに入ってもらっています。契約締結に至ったのは第2四半期末でした。こちらについて、後ほどご説明します。
採用/育成:採用/育成の進捗状況
組織と採用育成の部分について、少し踏み込んで共有したいと思います。ソリューションデザイナ、機械学習エンジニアの採用と育成について、特にソリューションデザイナの採用が課題となっています。
従前、ソリューションデザイナの育成、オンボーディングに課題がありました。新規メンバーの定着、育成、研修、メンタリング制度を拡張・拡充しており、よいかたちで課題解決に進んでいると考えています。
採用については、計画に対して遅れが発生していますが、担当部門だけでなく、経営や他部門との連携も含めて採用に力を入れて、なんとか上げていこうとしているところです。足元は、かなりよいかたちで改善に向かっています。
現在、複数名の内定者が出ており、さらにオファーに至った候補者も複数出てきています。ここから巻き返しを図り、ソリューションデザイナとチームの拡大を進めていきたいと考えています。
機械学習エンジニアについては、従前から採用、育成ともによいかたちで推移しています。こちらは変わらずに、計画どおりに組織拡大が進んでいます。
M&A/新領域:CAGLA社の子会社化について
CAGLA社の子会社化についてです。データベースの技術の中で、比較的新しい先進的な技術としてグラフデータベースという技術があります。この領域において、CAGLA社は大変ユニークな技術を持っています。AIを支えるデータの部分になるので、レイヤーとして補完関係にあります。
CAGLA社の本社は愛知県豊田市にあり、トヨタ自動車さまを中心に、製造業との取引が非常に多く、強い顧客基盤を有しています。「カスタムAI」の顧客基盤を拡大していく上で補完関係にあり、シナジーがあると考えています。
技術面と顧客基盤の観点から、1つのグループになることでより大きな価値を生むのではないかと考え、第2四半期末にグループ入りの合意に至りました。
(参考) CAGLA社の子会社化に係るリリース
4月の段階でグループに加わっていただき、第3四半期から連結決算へと移行します。それにより、各種リリースを出しました。
主要な事業の進捗(1/4):主要取引先様
第2四半期の4社、半期の6社をはじめ、幅広い領域で各業界を代表するリーディングカンパニーとの取引が拡大しています。
主要な事業の進捗(2/4):主要プレスリリース・メディア掲載
第2四半期におけるプレスリリースやメディア掲載についてです。マーケティングをはじめ、対外的な情報発信については引き続き積極的に行っています。スライド左側のプレスリリースは、気象庁気象研究所さまとの取り組みですが、このようなプロジェクトを一緒に発信していく顧客企業も増加しています。
主要な事業の進捗(3/4):主要なイベント出展・講演
イベントの出展、講演、啓蒙活動など情報発信にも力を入れており、こういったサミットへの出展の取組みも進めています。
売上高及び営業利益の見通し
2025年9月期における通期の業績見通しについてです。特に営業利益に関して、期初予想に対する進捗率は、現時点で8割を超えており、かなり先行して進捗しています。しかし現段階では、通期の見通しの修正は考えていません。
単体としては、スライドに記載したような通期業績を目指します。同時に、第3四半期より連結の決算に移行していきます。そのため、通期予想についても、あらためて連結での共有をできればと考えています。
中長期的な売上成長のイメージ
中長期の成長イメージも変わっていません。柱となる既存のカスタムAI事業を中心に、CAGLA社との連携、X-AI.Laboに続く第3、第4の染み出しを模索しながら、中長期的な成長を目指します。
コア事業を支える体制構築の見通し
体制構築についてです。ソリューションデザイナは、採用の進捗がビハインドしています。通期の見込みとしては、引き続きこのかたちを目指しながら、全力で体制拡大を図りたいと思います。
以上で、全体のご説明は終了となります。ご清聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答:ソリューションデザイナの体制拡充における課題と対策について
司会者:「ソリューションデザイナの体制拡充に向けて、足元どのような課題があり、どのような対策を実施していますか?」というご質問です。
既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。