アジェンダ

瀬戸雅弘氏(以下、IR室):IR室の瀬戸です。どうぞよろしくお願いします。本日のアジェンダです。前年度の業績詳細はIR室より、業績見通し以降は代表取締役社長の齋藤よりご説明します。説明の都合上、昨日開示した決算説明資料と順番が異なる点をご了承ください。

グループ概要

決算説明の前に、グループ概要について簡単にご説明します。

当社はネオジャパンが手がけるソフトウエア事業、子会社Pro-SPIREのシステム開発サービス事業、海外子会社4社で構成する海外事業の3事業部門から成り立ちます。本説明会では、収益の大半を占めているソフトウエア事業を中心にご説明します。

サービス概要

スライドで示しているものが、主力3製品です。現在は「desknet's NEO(デスクネッツ ネオ)」が単体売上の7割強を占めています。

累計業績サマリー

齋藤晶議氏(以下、齋藤):代表取締役社長の齋藤です。本日はお忙しいところご参加いただき、ありがとうございます。2025年1月期の業績ハイライトについてご説明します。

2025年1月期は、売上・利益ともに順調な決算でした。2024年4月にクラウドサービスの価格改定を発表し、同年9月から新価格がスタートしています。クラウドサービスは初めての値上げで、値上げ幅も大きいことから、一定の影響を覚悟していました。

しかし実際には、クラウドの新規が少し減った時期もありますが、解約率に大きな影響はなく、極めて順調だったと考えています。

結果として、営業利益は前期比50.5パーセント増と、大幅な増益を確保できました。今後の開発やサービスを強化するための土台ができたと考えています。

株主還元については、昨日、累進配当の導入と配当性向の引き上げを発表しました。この点については、後ほどご説明したいと思います。

クラウドサービスの価格改定

IR室:業績面で大きな影響がある価格改定の内容を、あらためてスライドに示しました。ポイントは2つあります。

1つ目は、クラウドサービスにおいて「desknet's NEO」と「AppSuite(アップスイート)」の単体価格を約1.5倍にしたことです。2つ目は、クロスセルを進めるため、割安なセットプランを設定しました。

クラウドサービスの価格改定に関する補足事項

スライド左側の図のとおり、月契約のお客さまは昨年9月から新価格が適用されています。一方で年契約のお客さまは、更新のタイミングで新価格が適用されるため、業績には順次反映されます。

2025年1月期 連結業績

先ほど齋藤から総括がありましたが、2025年1月期の通期業績について、売上高は前期比9.8パーセント増、売上総利益は前期比10.8パーセント増、営業利益以下の各利益は約50パーセント増となりました。

売上高は、昨年12月に発表した上方修正後の通期予想どおりの着地です。利益面は各コストが想定を下回ったこともあり、通期予想を上回り着地しています。

連結売上高及び営業利益増減要因

セグメントごとの売上高及び営業利益の増減です。売上、営業利益ともに、ネオジャパンが手がけるソフトウエア事業が大きく牽引しています。

当期はテレビCMを実施しなかったため、広告宣伝費が3億3,000万円程度減少した影響もありますが、それ以上に価格改定やユーザー数の増加が大きく貢献しています。

海外事業は少しずつ売上が増加してきましたが、利益面では前期比9,500万円のマイナスとなりました。

主な要因は2点です。1点目は米国子会社DELCUIにおける開発強化のためのエンジニア採用コストや人件費が増加したこと、2点目はフィリピン子会社立ち上げによる費用増加です。いずれも、今後の成長のための先行投資の位置づけです。

連結売上高の推移

連結売上はスライドに示したグラフのとおり、今期で13期連続増収を達成しています。

NEOJAPAN ソフトウエア事業の売上高推移

ネオジャパン単体の売上推移と内訳は、スライドに記載のとおりです。プロダクトが前年比9.0パーセント増、クラウドサービスが16.1パーセント増となり、いずれも年度ベースで過去最高売上を更新しました。

プロダクトでは、ライセンス販売後の保守料にあたるサポートサービスが前期比13.1パーセント増となり、順調に推移しています。

連結貸借対照表

連結貸借対照表は、スライドに記載のとおりです。当期に総額9億5,000万円の自社株買いを行ったため、純資産がわずかに減少しました。一方で大幅な増益もあり、ROEは22.4パーセントと大幅に向上しました。

連結売上高の推移

四半期業績および各種KPIについてご説明します。まずは、連結売上の推移です。

第4四半期は、過去最高売上を更新した四半期となりました。ソフトウエア事業は、29.0パーセントの増収です。特に第3四半期からの価格改定が大きく貢献しました。

一方、子会社であるPro-SPIREが手がけるシステム開発サービス事業は、主要取引先の売上減少の影響もあり、前年同期比2.8パーセントの減収となりました。前期より大口顧客への依存度を下げ、新規を含めた顧客層の拡大に取り組んでいます。

NEOJAPAN ソフトウエア事業の売上の推移

ネオジャパン単体では、プロダクトが前年同期比26.4パーセント増、クラウドサービスが30.3パーセント増と、大幅に増加しました。プロダクトは、サポートサービスの積上げに加え、規模の大きな官公庁や金融機関等のカスタマイズ案件も増加しました。

NEOJAPAN ソフトウエア事業のストック売上の推移

ストック売上の推移です。プロダクトが前年同期比19.1パーセント増、クラウドサービスが33.6パーセント増と、いずれも順調に拡大しています。

NEOJAPAN ソフトウエア事業のARRの推移

ARRも前年同期比30.7パーセント増と、大幅に増加しています。

NEOJAPAN ソフトウエア事業のストック売上比率

ストック売上比率は81.0パーセントと、引き続き高い水準で推移しています。

連結営業利益及び営業利益率の推移

連結営業利益および営業利益率の推移は、スライドに記載のとおりです。四半期としては、過去最高益を更新しました。

前年同期はテレビCMを実施したため、広告宣伝費が前年同期比1億8,000万円程度減少していますが、それ以上の増収効果によって増益幅が拡大しています。

desknet's NEOのユーザー数推移

製品ごとの状況についてご説明します。「desknet's NEO」のプロダクト累計販売実績は前年同期比4.0パーセント増、クラウドユーザー数は3.5パーセント増となりました。

クラウドサービスは、大規模ユーザー1社がプロダクト製品へ移行した影響もあり、前四半期比で横ばいとなりました。

desknet's NEOの売上高推移

「desknet's NEO」の売上推移は、スライドに記載のとおりです。クラウドサービスは価格改定およびユーザー数の増加、プロダクトはサポートサービスの伸びが大きく貢献しています。

desknet's NEOのクラウドの解約率推移

「desknet's NEO」クラウドの解約率推移は、スライドに記載のとおりです。第4四半期の解約率が0.64パーセントと上昇していますが、これはプロダクトに乗り換えた大規模ユーザー1社の影響が大きくなっています。

当該1社を除いた場合、当期1年間の平均解約率は0.35パーセント、価格改定後5か月間の解約率は0.36パーセントとなるため、従来と比較して大きな変動はありません。

AppSuiteのユーザー数推移

「AppSuite」のユーザー数推移です。プロダクト累計販売実績は前年同期比29.3パーセント増、クラウドユーザー数は37.9パーセント増と、大幅に増加しました。

クラウドサービスでは、「desknet's NEO」に対する「AppSuite」の比率が前期末比4パーセント向上し、約15パーセントとなりました。

AppSuiteの売上高推移

「AppSuite」クラウドの売上は前年同期比58パーセント増と、大幅に伸びています。

ARPUについて

今回、価格改定による変化を見える化するため、クラウド1ユーザーあたりの売上高であるARPUを開示しています。主力3製品のうち、いずれかを利用している1ユーザーあたりの月売上高を集計しました。

2024年1月は400.9円でしたが、2025年1月には525.8円となり、31.1パーセント増と着実に増加しています。今後はクロスセルにより、さらに向上させたいと考えています。

2026年1月期 業績見通し

齋藤:2026年1月期の業績見通しです。今期の業績は、クラウドサービスが引き続き伸び、増収増益の見通しです。

サービス別では「​​desknet's NEO」クラウドが20パーセントの増加、「AppSuite」クラウドが35パーセントの増加を見込んでいます。また、子会社Pro-SPIREは5パーセントの増収を計画しています。

費用面では人件費、データセンター利用料、ソフトウエアの償却費、研究開発費に加え、従業員増加に伴う本社オフィスの増床や、広告宣伝費の増加などを見込んでいます。

配当計画

配当に関しては、冒頭にもお伝えしたとおり「累進配当の導入」および「配当性向の引き上げ」を発表しました。

上場来、今期で9期連続の増配となりますが、累進配当の方針を明確にすることが必要だと考えています。併せて、配当性向を30パーセントから40パーセント目安へと引き上げました。

今後も事業拡大のための資金を確保しつつ、業績に応じた利益還元を行っていく方針です。

NEOJAPAN ソフトウエア事業の成長戦略

成長戦略として、3つの重点戦略を掲げています。1つ目は「desknet's NEO」のさらなる拡大とクロスセル、2つ目はAI活用、3つ目は海外戦略です。順番にご説明します。

desknet's NEOのユーザー数拡大

まずベースとなるのは、「desknet's NEO」のさらなる拡大です。現在、クラウドサービスで約53万ユーザー、プロダクトと合わせると520万ユーザー以上の販売実績があります。

グループウェア市場では、特にクラウドが今後3年で年率8パーセント程度伸びると言われています。昨年度は価格改定の影響もあって一時的に伸び率が鈍化しましたが、製品アップデートやプロモーション強化により、伸び率を回復させていく計画です。

プロダクトも他社製品からの乗り換えによって着実に増加しており、今後も継続させていけると考えています。シリーズ累計1,000万ユーザーを目指し、取り組みを続けていきます。

AppSuiteのクロスセルによるシェア拡大

クロスセルの中心は「AppSuite」です。1月末現在、「AppSuite」のクラウドユーザー数は「desknet's NEO」の15パーセントを占めるまでに上昇しました。現在、この比率をまずは30パーセント以上に拡大することを目指しています。

AppSuiteのクロスセル戦略

「AppSuite」の取り組みを3つご説明します。

1つ目はセットプランの新設です。昨年9月から開始したスタンダードプランでは、1ユーザー当たり200円追加すれば「AppSuite」を使えるようになります。官民ともに紙・「Excel」・メールの非効率な業務が相当ある中、サービス導入による費用対効果を訴求していきたいと考えています。

2つ目は新プロモーションです。9月から、「ノーコードツール一体型グループウェア」としてプロモーションを開始しました。「desknet's NEO」とセットにしたプランを、新規のお客さまに提案しています。

3つ目はパートナー戦略です。アプリケーション作成やAPI連携、環境構築の経験が豊富なパートナーを「AppSuiteインテグレーター」として認定し、導入・活用を支援していただきます。これらを通じ、クロスセルを加速させる計画です。

製品ラインナップの拡大

ビジネスチャット市場の拡大も見込まれているため、「ChatLuck(チャットラック)」の機能強化にも取り組んでいきます。「ChatLuck」は、オンプレミス環境で使えるビジネスチャットという特徴がありますが、クラウドでもコストパフォーマンスの優れた製品です。

その他にも、新製品「NEOPORT(ネオポート)」や新オプション「RoomMgr(ルームマネージャー)」など、新しい製品・オプションを今後もリリースし、クロスセルを進めていきます。

AIの活用方針とアクション

AIの活用方針です。一昨年より、「desknet's NEO」や「ChatLuck」に「ChatGPT」との連携機能を搭載しています。まずは手軽に、そして安全にAIを利用できる環境を提供してきましたが、それだけでは十分に活用が進んでいないのが実態です。

お客さまが業務効率化を実現していくことが、目指す姿です。「desknet's NEO」にはさまざまな業務データが保存されているため、検索や要約・分析の精度を上げるだけでも、大幅な業務効率化につなげることができます。

また、従来以上に簡単に「AppSuite」のアプリケーションを作成できるようにしたいとも考えています。昨年は、DELCUI社においてAIエンジニアを採用しました。12月には、neoAI社との業務提携を開始しています。

今年度は、お客さまがAIを活用した効率化を実現できるよう準備を進めているため、ご期待いただければと思います。

海外戦略

海外の状況についてご説明します。マレーシアに販売子会社を設立した2019年以来、タイ、そして昨年はフィリピンに子会社を設立しました。

まだ規模は小さいですが、各国ともにクラウドユーザー数が増加してきました。日本以上に紙文化が残っており、効率化のニーズが強いため、特に「AppSuite」の評価は高いです。

昨年、マレーシア投資開発庁で「AppSuite」の運用を開始したのが、その一例です。現在はまだ先行投資の段階ですが、ASEANの成長性やIT化の需要は非常に魅力的であり、マレーシアやタイでは黒字化も見えてきました。その上で成長軌道に乗せ、将来的には国内の売上を上回ることを目指しています。

機関投資家とのQ&A集

最後に、いくつかのトピックスをご紹介します。機関投資家との面談の中で多く寄せられた質問を開示しています。詳細は、決算説明資料をご参照ください。

プライム市場上場維持基準の適合について

プライム市場の上場維持基準の適合状況についてご説明します。1年前は流通株式時価総額が基準を満たしていませんでしたが、その後の取り組みにより、1月末時点ですべての基準に適合しました。今後も、さらなる企業価値向上に取り組んでいきます。

新イメージキャラクターに野口絵子さん・野口健さんを起用

2月には、新しいイメージキャラクターとして野口絵子さん・野口健さん親子の起用を発表しました。今後、当社および製品の認知度向上にご協力いただきます。

desknet's NEOのバージョンアップ

最後に、今年リリースしたバージョンアップおよび新オプションについてです。

3月6日に提供を開始した「desknet’s NEO」の最新バージョン9.0では、大容量ファイルを安全に送信できる「ファイル転送」機能を搭載しました。

2月4日には、クラウドの追加オプション「RoomMgr」の提供を開始しています。会議室前のタブレットで、空き状況の確認や予約・キャンセルができるオプションです。当社では以前から利用していますが、「desknet's NEO」との連携もスムーズで、便利な機能となっています。

以上で、2025年1月期の決算説明を終了します。今後もみなさまのご期待に応えられるよう努めていきますので、どうぞよろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました。