目次
安達昌史氏(以下、安達):2024年9月に代表取締役社長に就任した安達です。よろしくお願いします。本日はお忙しい中、当社中間決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。2025年6月期中間決算についてご説明します。
本日はスライドの項目に沿ってご説明します。通常は当期中間決算の実績からご説明するところですが、公表を延期していた新中期経営計画を昨年12月に公表したため、まずはそちらからご説明します。
I. 中期経営計画〈2025-2027〉の骨子
今回の中期経営計画は、スライドのような項目から構成されています。この項目に沿ってご説明します。
PURPOSE
当社は「日常も、いかなるときも社会インフラの安全を守り、安定した社会を支える」というパーパスを掲げています。これは当社の存在意義および事業に関わる志を示すものであり、前回の中期経営計画より引き継いでいるものです。
STATEMENT
ステートメントはパーパスを言語化したもので、前回の中期経営計画より引き継いでいます。このステートメントのとおり、当社は道路、水道、ビルおよび鉄道などの社会インフラ改修作業の一番手として社会に貢献することを目指します。その貢献を持続的なものとするため、安全・安心の確保は当然として、人材育成や技術革新に今後も取り組んでいきます。
I. 中期経営計画〈2025-2027〉の位置づけ 1/2
中期経営計画の具体的な内容をご説明します。はじめに、今回の中期経営計画〈2025-2027〉の位置づけについてです。前回公表した中期経営計画2024では、競争優位性の構築・人材・ガバナンスなどの基盤強化に取り組んできました。
今回の中期経営計画〈2025-2027〉では、前回の中期経営計画で築いた競争優位性のさらなる強化と、人材・ガバナンスなどの安定した経営基盤を基にした、新たな挑戦を促進できる環境づくりに邁進します。
2028年以降となる次期中期経営計画では、社会トレンドの変化に合わせたさらなる挑戦と価値貢献に取り組んでいきたいと考えています。
I. 中期経営計画〈2025-2027〉の位置づけ 2/2
今回の中期経営計画では、長期的な事業成長〈長期目標の達成〉を実現するため、既存事業の安定成長に加え、既存事業の拡張と新規領域への挑戦を推進し、そのための積極的な投資を本中期経営計画期間に行います。
具体的な数字を交えてご説明します。本中期経営計画期間に総額85億円の事業投資を行い、本中期経営計画期間の最終年度である2027年6月期は、売上高245億円、営業利益24億5,000万円を目指します。
営業利益に関しては10.0パーセントと、前期末である2024年6月期よりも数字的には低下することが予想されています。これは長期目標として前中期経営計画より掲げている売上高510億円、営業利益86億5,000万円という目標の実現に向けて、今後の成長角度を向上させるための積極投資による一時的な利益率の低下です。
スライド右側の図のとおり、2036年6月期長期目標実現のためには、既存事業の安定成長のみならず、既存事業の拡張と新規領域での事業成長も必須となります。本中期経営計画期間において、そのための基盤を構築していきたいと考えています。
I. 経営目標
先ほどもお伝えしたとおり、2027年6月期の経営目標としては、グループ売上高245億円、グループ営業利益24億5,000万円、グループ営業利益率10.0パーセントを目指します。
投資方針としては、長期目標の達成に向けた3ヶ年合計85億円の積極投資を行います。株主還元に関しては、継続した安定配当と段階的な配当性向の向上を両立させ、2026年6月期以降で配当性向30パーセント以上を達成します。
資本戦略としては、継続的なROE10.0パーセント以上の確保に向けた最適資本構成を追求し、成長投資および株主還元を実施した上で、余剰資金が生じた場合は自己株式の取得などの施策も検討しています。
I. 投資計画
投資計画についてです。当社は本中期経営計画期間において、健全な財務基盤を基に、戦略の実現に向けた積極的な投資を行います。
投資総額は85億円を予定しています。投資の内訳としては、設備・研究開発・技術開発に向けた投資に35億円、人材投資・システム投資に10億円、拠点増設・M&A投資に40億円を計画しています。
それぞれの具体的な内容です。設備・研究開発・技術開発に向けた投資は、新工法の開拓・確立に伴う工事機械などの先行投資、既存事業の拡大に伴う工事機械や車両などの先行投資、省力化・技術の伝承に向けた研究開発です。
人材投資・システム投資は、人材採用拡大に向けた広告宣伝、階層別の育成に向けた外部研修、社員への還元、生産性向上に向けた基幹システムの改善です。
拠点増設・M&A投資は、エリア拡大・強化に向けた拠点増設や改修、予防保全事業の確立に向けた事業投資、これらの規模拡大・事業立ち上げに伴う戦略的なM&Aです。
また、配当性向30パーセント以上の水準での株主還元実現のため、15億円以上の配当枠を想定しています。
I. 株主還元における配当方針
株主還元における配当方針についてです。スライドのとおり、当社は2020年6月期以降、配当性向の向上を図ってきました。今後も安定的な配当を維持しつつ、2026年6月期以降は配当性向30パーセント以上を目指します。
I. 戦略方針サマリー
戦略方針のサマリーについてご説明します。本中期経営計画では「業界のトップランナーとして新しい技術・領域に挑戦し続ける」をスローガンとし、事業戦略と組織戦略を戦略の両輪として推進します。
まず、事業戦略の挑戦として、既存事業の優位性強化、既存事業の拡張、新規事業の開拓・拡張に取り組みます。また、これらの戦略を支えるための組織戦略として、専門性の伝承と進化、マネジメント人材の育成、事業づくりの挑戦機会の創出にも取り組んでいきます。
I. 外部環境と競争優位性
当社グループの外部環境と競争優位性に関してご説明します。当社グループは、インフラ老朽化への対策、業界内の統廃合、働き手の減少と価値観の変化、DX・AIの発展トレンドなど、外部環境の変化の中に置かれています。
当社には、そのような外部環境の変化に対する強みがあります。施工技術に長けた従業員の豊富さ、グループ会社連携による高い対応力、拠点数の多さ、良質な設備・機械の豊富さ、研究開発による新技術獲得、顧客数の多さ・信頼関係の厚さなどです。
これらの強みに裏付けされたコンクリート切断・穿孔市場ナンバーワンの実績の下、優れた施工技術や安定した施工供給体制を活かせる機会を探索し、事業戦略および組織戦略へと展開していきます。
I. 事業戦略
戦略の両輪である事業戦略と組織戦略のうち、事業戦略からご説明します。既存事業では、技術の伝承、人材採用、社員教育や実務を通じた能力向上、研究開発によって優位性を強化します。
また、既存事業における技術・施工体制の優位性を活かし、新エリアを開拓することで、既存事業の拡張にも取り組んでいきます。同時に、研究開発等を通じて新しい技術・新たな付加価値を生む工法を確立し、新規事業として既存市場に適用することにより、売上の拡大を図ります。
さらには、新たな技術・工法をベースに、新規市場への探索にも着手します。これらの市場・技術の開拓・拡張のすべてにおいて、M&Aの活用も視野に入れています。
I. 組織戦略 1/2
組織戦略についてご説明します。組織戦略の要諦は、業界トップランナーとして規模を拡大しても挑戦を続けられる仕組み・組織体制・文化を構築することにあります。
具体的には、すべての社員に「専門性」「マネジメント」「事業づくり」の領域でキャリアの挑戦機会を増やし、挑戦を促進・サポートすることで、組織戦略である専門性の伝承と進化、マネジメント人材の育成・輩出、事業づくりの挑戦機会の創出が可能となります。
これらが、事業戦略である既存事業の優位性強化、既存事業の拡張、新規事業の開拓・拡張の実現にもつながるものと考えています。
I. 組織戦略 2/2
スライドのとおり、当社は第一カッター興業を親会社とし、ウォールカッティング工業、新伸興業、アシレ、ユニペックを子会社とする連結グループを形成しています。
グループを構成する各企業が、採用・施工・安全のノウハウ共有、施工案件の相互供給・連携、さらなる施工体制の強化からなるグループシナジーを引き続き強化し、グループ一体となって価値提供の領域を拡張することに挑戦します。
I. 組織戦略の推進を支える働きやすさ・働きがいの強化 1/2
組織戦略の推進を支える働きやすさ・働きがいを強化する取り組みについてです。当社は、従業員それぞれの強みを理解した上で、多様なキャリアの選択肢と成長のサポートを用意し、個性を活かして活躍できる環境を構築します。
具体的には、肝となる技術を極め、安定した品質の高い施工の中心を担う人材である「スペシャリスト」、多様な経験を活かし、組織を動かす人材である「ゼネラリスト」、少数で新たな領域・市場開拓などの探索を担う人材である「イノベーター」などのキャリアパスを想定しています。
さらに、これらのキャリアパスに従業員が前向きに取り組めるよう、社内外のカウンセリング機会による本人の適性に合わせたキャリアの選択肢の多様化の支援や、管理職およびそれに準ずるリーダー層に対するリーダーシップ教育等のトレーニングの充実、ジョブローテーションによるキャリアの可能性の探索、情報共有による柔軟な人材配置などの施策に取り組みます。
I. 組織戦略の推進を支える働きやすさ・働きがいの強化 2/2
組織戦略の推進を支える働きやすさ・働きがいの強化のために、多様なキャリアへの挑戦を促進する仕組みと、その基盤として長く安心して働けるような評価・福利厚生などの制度を整備します。
施策の概要としては、明確な昇格基準の整備、社内評価制度の改定、安心して長く働ける福利厚生の拡充を目指します。
I. M&A戦略
M&A戦略に関してご説明します。事業戦略である既存事業の優位性強化、既存事業の拡張、新規事業の開拓および拡張の実現をサポートする機能として、資本提携およびM&Aの活用を視野に入れています。
具体的には、既存事業の優位性強化のため、自社の競争優位性を強化できる新たなグループ企業の探索を続けていきます。また、既存事業拡張のため、重点エリア・重点領域を拡張できる新たなグループ企業を探索していきます。
さらには、新規事業の拡張・開拓を推進するために、新規事業・新規工法の立ち上げを促進する新たなグループ企業や提携先の探索にも着手していきます。
マネジメントサマリー
2025年6月期中間決算実績についてご説明します。当中間期は、ムーバブルトレードネットワークスの連結除外により減収減益となりました。主力事業である切断・穿孔工事事業においては、前年に続き、高速道路リニューアル工事の受注が堅調に推移したことに加え、公共投資関連の受注が増加したため増収となりましたが、施工原価の増加により減益となりました。
下期については、上期に続き、高速道路リニューアル関連の工事を予定しており、売上は堅調に推移する見通しです。
当中間会計期間におけるトピックスとして、前連結会計年度におけるムーバブルトレードネットワークスの株式を一部譲渡したことにより、リユース・リサイクル事業を報告セグメントから除外しています。
II. 中間決算
中間期決算概要についてご説明します。中間期の実績は、スライドのとおり減収減益となりました。前連結会計年度において、連結子会社であったムーバブルトレードネットワークスを連結から除外したことによるものです。
II. 四半期別業績推移(単期)
前連結会計年度において、ムーバブルトレードネットワークスを連結範囲から除外したものの、業績は好調であり、売上高・営業利益ともに依然として高水準を維持しています。
II. セグメント状況
セグメント別の状況についてご説明します。切断・穿孔工事事業については、高速道路リニューアル工事の受注・施工が堅調に推移しています。公共投資関連の受注も増加しており、業績に貢献しています。一方で、経費の高騰による施工原価の増加により減益となりました。
ビルメンテナンス事業については、大手デベロッパー案件の確実な受注・施工により増収増益となりました。リユース・リサイクル事業については、当中間会計期間より報告セグメントから除外しています。
II. 通期セグメント
各セグメントの状況はスライドのとおりです。切断・穿孔工事事業は増収減益、ビルメンテナンス事業は増収増益となっています。表を見るとわかるように、切断・穿孔工事事業が当社グループの主力セグメントであり、業績の大勢を占めています。
II. 中間期増減分析
売上高は、切断・穿孔工事事業で増収となったものの、リユース・リサイクル事業を行っていたムーバブルトレードネットワークスの前連結会計年度における連結除外の影響が大きく、最終的な売上高は減収となりました。
営業利益については、ムーバブルトレードネットワークスの連結除外により販管費が減少したものの、粗利も減少しており、最終的には減益となりました。
II. 官民別売上高_切断・穿孔セグメント
官民別の売上高です。今期は公共投資関連が増加しています。これは、主に橋梁関連工事によるものです。
II. B/Sの状況
バランスシートです。業績自体がおおむね好調に推移したことに伴い、現金・預金が増加しています。全体としては、構成に大きな変化は生じていません。
III. 通期業績予想サマリー(連結)
2025年6月期の通期業績予想です。通期予想の各種数字はスライドのとおりです。
III. 通期業績予想サマリー
2025年6月期の売上動向については、当期に続き、高速道路リニューアル関連・公共部門の受注が順調に推移することが見込まれるため、今期比で増収となることを予想しています。
利益動向については、売上の増加に伴って営業利益は増益を見込むものの、営業外収益の減少が予想されるため、経常利益・当期純利益は減益を想定しています。
投資還元動向については、人材への投資を積極的に続けることはもとより、今まで以上に研究開発と事業領域拡張に向けた施策を打っていきたいと考えています。
また、これまで多くの投資家さまからいただいた声と真摯に向き合った結果、安定的な配当を継続しながらも、配当性向の上昇にも配慮していきたいと考えています。
III. 株主還元の方針と配当予想
投資家のみなさまに対する還元方針についてです。当社は過去3年にわたって配当性向の引き上げを行っており、2025年6月期の予想配当性向は25.8パーセントとなる予定です。中期経営計画のご説明の際にもお伝えしたとおり、今後も安定配当を最優先に考慮し、配当水準を検討していく所存です。
質疑応答:中期経営計画の配当性向について
司会者:「中期経営計画で『配当性向30パーセント以上』と謳っていますが、これは最終的に30パーセントという数字の維持を強く意識しているものですか? それとも、40パーセント、50パーセントまで視野に入っているのでしょうか?」というご質問です。
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