2024年12月期決算説明

綾部貴淑氏:みなさま、こんにちは。KIYOラーニング株式会社代表取締役社長の綾部です。本日はお忙しい中、当社のIR動画をご視聴いただきまして誠にありがとうございます。本日は2024年12月期の決算についてご説明します。よろしくお願いします。

目次

本日の内容です。まずは、ハイライトについてお話しします。続いて、2024年12月期の決算の概要についてご説明した後、事業別のKPI、トピックスについてご紹介します。

トピックスに続いては、今後の話題になります。その次には、経営の基本方針と戦略について概要をお話しします。詳しい戦略に関しては、すでに発表している中期経営計画2026に記載しています。資料の巻末に掲載しています。参考資料としてご参照ください。

最後に、2025年12月期の業績予想についてご説明します。

2024年12月期 ハイライト

2024年12月期のハイライトからご説明します。

通期業績に関してお話しします。売上高は44億6,000万円です。前年同期比17.6パーセント増となりました。2024年は第1四半期に出遅れがありました。能登半島地震による資格取得マインドが低下したことで前年よりかなり割れてしまったところからのスタートになりましたが、後半にかなり取り戻し、通期では高い成長ペースを回復できました。

営業利益は2億1,000万円です。前年同期比56パーセントの大幅増でした。営業利益に関しては、来期に向けた一定の投資を増やしながらも想定以上の利益を確保しています。

事業別に見ると、スタディング事業の売上高は39億円です。前年同期比14.6パーセント増となりました。能登半島地震による1月の出遅れや販売減は見られたものの高い成長ペースを回復できました。現金ベース売上も通期で8.2パーセント増となっています。第4四半期はさらなる回復が見られ、足元の事業は非常に良いペースで前進しています。

一方で、広告宣伝費率は前年同期比で1.3ポイント改善しました。改善により当社の利益が増えました。

法人向け教育事業の売上高は5億6,000万円です。前年同期比43.8パーセント増でした。大幅に売上を増やせています。主力のプロダクトである「AirCourse」の契約企業数は242社増えて928社になりました。平均解約率は0.77パーセントと低水準のままです。こちらはSaaS型の継続型の事業として、非常に良いかたちになっているといえます。

動画の最後にもお話ししますが、2025年12月期の業績予想です。売上高は前年同期比16.4パーセント増の52億円を見込んでいます。引き続き高いペースで成長していけると考えています。

営業利益は前年同期比41.0パーセント増の3億円を見込み、営業利益率の見込みは5.8パーセントです。2024年に続き2025年も、巻末に掲載している中期計画2026に記載している目標達成に向け、集客効率を高めたり、コスト効率を改善したりすることによって利益を増やしていく考えです。この利益増によって企業価値をより一層高めていきます。

2024年12月期 業績

決算概要についてご説明します。

売上高に関しては前年同期比17.6パーセント増の44億6,000万円となりました。第1四半期の出遅れを取り戻して成長ペースが回復したというかたちになります。営業利益はかなり伸びており、前年同期比56パーセント増の2億1,000万円です。

また当期純利益はさらなる伸びが見られ、前年同期比86.8パーセント増の2億円を計上しています。2024年第4四半期には投資もかなり増やしました。さらにグロースさせ利益を獲得していきたい2025年12月期につなげようと一定の投資を増加させましたが、業績は11月に上方修正した予想を上回って着地しています。

事業別売上高

スタディング事業については、前年同期比14.6パーセント増というかたちで成長ペースを取り戻しています。

法人向け教育事業はさらに伸びています。2本目の柱に育ってきました。

4Q(10-12月)業績

第4四半期の売上高に注目すると、前年同期比15.7パーセント増というかたちで、第1四半期からの出遅れをかなり取り戻し、着実に成長しています。

一方で、第4四半期の営業利益は、2025年12月期に向けた広告費の増加や人材採用の前倒しなどの先行投資を行ったため、前年同期に比べると減っています。しかしこの減少は、コントロールの結果です。

事業別では、スタディング事業が前年同期比12.8パーセント増、法人向け教育事業は前年同期比36.8パーセント増です。いずれも高成長を継続しています。

コスト構造

スライドのグラフは当社のコスト構造を表しています。2023年と2024年を比較すると、特に増えているコストが2点あります。1つが人件費です。こちらは今後の成長を支える中核人材の採用を進めることができました。

もう1つがマーケティング面の広告宣伝費です。当社はこの広告宣伝に費用を投資することにより、速いペースで成長させたり認知度を高めたりしようとしています。こちらの投資効率もかなり改善してきました。2023年には広告宣伝費の費用に占める割合が56パーセントでしたが、2024年は50パーセントまで小さくし、効率化を図っています。

社員数推移

年間での社員数です。当初の計画より業績が早く回復したため、採用計画を前倒しで実行してきました。かなり良いかたちで採用でき、社員数は期初から32名増加しています。12月末の社員数は126名になりました。

キャッシュ・フローの状況・推移

当社のキャッシュ・フローについてご説明します。

特にスタディング事業は、先に受講料をいただく事業モデルのため、いったん増えたキャッシュは、受講期間中に売上として案分計上していきます。後で売上が立っていくかたちになっているため、当社には対売上比キャッシュ・フローが大きいという特徴があります。

あらためて数字を見ていただくと、2024年12月期の営業キャッシュ・フローは約4億3,000万円でした。同じ期の営業利益は2億円強のため、営業キャッシュ・フローは営業利益の約2倍です。すなわち当社には、高いキャッシュ創出力があります。

現在、中長期的に認知度を高めていこうと考えているため、広告宣伝には積極的に投資しています。第1四半期にはテレビCMを打ちました。

今後の成長を支えるに当たって重要になる人材の採用も行っています。採用は、一部前倒ししています。システムやコンテンツなどのプロダクト開発にも先行投資しています。

これらの先行投資を含めたフリーキャッシュ・フローを見ても、3億円プラスですので、事業としては健全な状況で投資しているかたちです。

スタディング事業:KPI(累計)

事業別のKPIとトピックスについてご説明します。

スタディング事業についてお話しします。通年でのKPIとして、新規有料会員数と現金ベース売上高をお示ししています。新規有料会員数は前年同期比4.8パーセント減となっています。

要因の1つが、1月の能登半島地震の影響によって消費マインドが下がってしまったことです。資格取得を目指す方は年明けの1月に今年は何を目指そうかということで、やる気が比較的増してきます。このタイミングで講座を探し始めたりトライアルを行ったりする方が例年は増えるのですが、2024年は年初の地震などネガティブなニュースがいくつかあったことで気持ちが盛り上がらなかったようです。

その1月がCMを打つタイミングにも重なり、効きが悪かったことで会員数もあまり増えなかったのが前半戦です。

ただし後半には、販促施策を強化していくことで成長ペースを取り戻しています。成長ペースを取り戻せた要因は、当社の主力である難関資格の講座におけるユーザー数の回復が非常に鮮明だったことです。

難関資格の講座は単価が高い一方でユーザー数は少ないという特徴があります。このため、難関資格の講座はユーザー数の回復に伴い売上も回復してきています。一方で、単価の安い講座にはユーザー数がまだ回復し切っていないところが見られます。このあたりが今後の課題であり伸び代にもなると考えています。

現金ベース売上高も後半戦で難関資格の講座がかなり回復したため、通年では前年同期比8.2パーセント増になりました。グラフでも第4四半期での回復が見て取れると思います。

スタディング事業:KPI(4Q:10-12月)

第4四半期には新規有料会員数も前年より増えました。こちらも回復基調です。さらに現金ベース売上高はその他の講座も回復してきているため、前年同期比11.4パーセント増になっています。

当社では新規の会員を獲得するのみならず、1度受講した会員を対象に次の資格に向けさらにチャレンジしていただくリピート販売も行ってきました。このあたりも今、非常に好調に推移しておりリピートの売上も増えています。新規とリピートによるダブル増加が当社の成長ドライバーになっています。

スタディング事業:現金ベース売上高の四半期推移

2020年以降の現金ベース売上高の四半期別の推移です。基調は右肩上がりです。

年間では4四半期ごとに異なる傾向が見られ、現金ベース売上高の山になるのが第1四半期と第3四半期です。第2四半期と第4四半期は谷になります。例年は谷になる四半期だということを考え合わせると、2024年第4四半期は比較的良いペースでの推移になりました。

スタディング事業:売上・利益の四半期別傾向

売上に山と谷がなぜできるのかをご説明します。

第1四半期は、先ほどお話ししたように、年が明けると資格を取りたいという方が非常に増えてきます。1月が含まれている第1四半期には、現金ベース売上が立ちやすく集客も非常に良い傾向が見られます。

もう1つの山の第3四半期です。第3四半期には当社が得意とする難関資格講座の試験日が集中しています。例えば中小企業診断士や税理士、社労士などです。試験が終わると翌年の試験に向けた勉強を始めようとする新規需要や、受験後に不合格だった方が翌年の更新版を購入する更新需要が増えてくる四半期になります。

比較的イベントが少なくなるのは第2四半期です。第4四半期には試験日が一定数あるため、第2四半期よりは現金ベース売上高が多くなります。

なお、現金ベース売上高は会計上の売上高ではありません。会計上の売上高には発生ベース売上高を用いています。

現金ベース売上高は、お客さまがコースを購入した時点で計上されます。コースには受講期限がありますが、受講期限までの間に毎月均等で案分した売上高が発生ベース売上高です。

コースの受講期限は試験日の直後であることが多いので、試験日直後に発生ベース売上高の計上が集中します。受講期限の到来日は第3四半期に多く、四半期ごとの発生ベース売上高は第3四半期が最も高くなる傾向にあります。

受講期限は第3四半期から第4四半期あたりまでにほとんど到来してしまうため、次の四半期になる第1四半期には、発生ベース売上高があまり流入しないかたちです。

したがって、第1四半期は現金ベース売上高が大きくなるものの会計上の売上高に当たる発生ベース売上高が非常に小さくなり、会計上では利益もマイナスになる傾向です。

スタディング事業:広告宣伝費率(累計の比較)

その他のKPIをご説明します。当社が重視している指標の1つである広告宣伝費率についてお話しします。

広告宣伝費率は、現金ベース売上高における広告宣伝費の割合です。現金ベース売上100に対しての広告宣伝費をパーセンテージで表します。このパーセンテージは広告の効率を表す指標です。

当社は中長期的なところを見据え、2022年くらいから認知度や「資格といえば『スタディング』」というようなブランディングを高めていこうとテレビCMを打ち始めました。そのため、2022年あたりに、いったん広告宣伝費率が非常に高くなっています。

上手に効率良くマーケティングを行っていくノウハウがたまってきたため、年々改善が見られ、2024年の広告宣伝費率は前年よりも1ポイント以上改善しています。

一方で、現金ベース売上高は大きくなり、利益が増えています。

スタディング「合格者の声」件数推移(累計)

「スタディング」の講座は資格試験に合格していただくという目的を持つ講座です。大事なのは合格者をどんどん増やしていくことです。この戦略を当社では「合格者No.1戦略」と呼んでいます。市場の中で最もたくさん合格者を輩出する講座になっていこうと考えています。

そこで、合格者の声を集め統計を取っています。スライドのグラフは、実際に「スタディング」で講座を受け資格に合格した方にアンケートを取り合格体験記を寄稿していただいた件数の推移です。合格体験記はWeb上で公開しているものの合計になります。2024年の年末の時点で2万7,000人分を超えてきました。前年に比べると7,000人以上増えました。すなわち合格者が今どんどん増えている状況です。

合格者が増えると、安心感が増すとともに知名度も増してきます。資格を勉強する方は合格者がたくさん出ているところで勉強したいと思うため、合格者が増えると、さらに受講者が増えます。受講者が増えると、当然また翌年の合格者が増えるという好循環が生まれます。

スタディング事業:テレビCMによる認知拡大

今、テレビCMを打っています。認知を拡大することにより「資格を取るなら『スタディング』」というブランドを蓄積していく長期的な取り組みです。2023年から川口春奈さんをメインキャラクターに起用し、CMに出演していただいています。ホームページやいろいろな広告などにも出ていただくことで、安心感の創出やブランド力の強化などを行っています。

スタディング事業:講座ラインナップの拡充

スタディング事業では現在、講座ラインナップも着々と増やしています。2024年第4四半期は、比較的新規開講が多い四半期でした。

新しいタイプの講座もリリースしています。たとえば「スタディングテック」という講座は資格取得を目標に置かずプログラミングやAI等を学ぶ講座です。

10月には、「保育士講座」および「公務員講座 保育士コース」を開講しました。

スタディング事業:「ネットワークスペシャリスト講座」開講

「ネットワークスペシャリスト講座」というITの中でも専門的な資格を目指す講座もオープンしています。本講座の動画講義やテキストには図解を豊富に入れており、初心者にもわかりやすい講座になっています。

スタディング事業:「公認会計士講座」開講予定(3月)

2025年3月の「公認会計士講座」開講をプレスリリースしています。すでに1月からモニター版の募集を始めています。本講座を開講する前にプレ開講することでユーザーの声などを集め、十分に伸ばしていこうと考えています。

プレ開講しているとお話しした「公認会計士講座」は非常に大型の講座ですが、当社も準備をかなり入念に行っており、満を持して今開講しようとしています。

スタディング事業:生成AIによる学習サポート

スタディング事業で特徴的なところは、システム面が非常に強いことです。特に今、生成AIの活用を強化しています。いろいろな機能があるのですが、現在、3つの機能に生成AIを活用しており、受講生一人ひとりの条件に合わせて効率的に学習をサポートする仕組みを提供しています。

生成AIの活用では、「AIマスター先生」という擬人化したキャラクターが先生役を務め、受講生一人ひとりについて学習を支援しています。

3機能のうち、「AI添削」は2024年8月にリリースしています。記述式の試験の答案を添削してくれます。従来は添削では先生が添削する必要がありましたが、AI添削では添削結果がその場で即時に返ってくるため、効率的に学習できます。

「AI説明機能」は、受講中に出てくるわからないことを質問すると、タイムリーに答える機能です。

「AI学習ナビ機能」は受講中、設問への回答時などのタイミングで学習アドバイスをタイムリーに提案する機能です。

これらの機能は他社に先駆けて提供しています。個別指導をAIが行うという時代を切り開く講座開発に取り組んでいます。

スタディング事業:AIによる学習の個別最適化

生成AI以外の従来型のAIを使う機能もたくさんあります。

「AI実力スコア」は受講者の現時点での実力を可視化する機能です。特徴的なのは、「今試験を受けたら何点取れるか」という試験得点を予測することです。これは、当社が大量に保有している受講者の学習データをAIが分析・予測することで実現しています。

可視化によりリアルタイムで科目別の強み・弱みがわかります。少し勉強することで弱みが少しずつなくなり点数が上がっていくという励みにもなるため、モチベーションが高まり、効率的に学習できます。

「AI学習プラン」は文字どおり、AIが学習計画を作ってくれる機能です。

「AI問題復習」は、AIが復習問題を自動的に出題してくれる機能になります。今日はどこを復習すればよいかを悩むことがなく、AIに従えば、良いタイミングで復習できます。

このような機能は特許化しており、独自性を高めると同時に、競争優位性を確保しています。

法人向け教育事業:KPI(累計)

法人向け事業です。KPIでは、法人向け事業の売上が前年同期比43.8パーセント増です。引き続き高い成長を実現しています。社員教育向けのSaaSのサービス「AirCourse」は法人向け事業の主力プロダクトですが、その契約数が非常に増えています。当年度末時点で928社となっています。

法人向け教育事業:契約企業数・平均解約率 四半期推移

「AirCourse」はSaaSのサービスです。SaaSは契約が解約されない限り、毎期継続するため、継続率が非常に重要になります。当社は現在、継続率を上げるための取り組みに力を入れています。スライドに記載のとおり、第4四半期の解約率は0.77パーセントと低下しており、非常に良い数字で進んでいます。

継続と同時にカスタマーサクセスにも取り組むことで、アップセルを行っています。例えば大企業において、まず1部門から導入していただくケースもあります。そのような時に、成功例を作ることで全社展開したり、企業グループの他の会社に展開してアップセルを行ったり、違うプロダクトを販売したりするといった取り組みを行っています。

法人向け教育事業:大規模顧客増で成長が加速

従来当社が得意としてきた中堅企業からの受注は引き続き好調ですが、最近では大企業からの受注もかなり増えてきました。

スライドに記載の事例などもホームページ上で開示しています。さまざまな業界での成功事例が蓄積され、販促効果も高まってきています。

法人向け教育事業:標準コースの大幅拡充

「AirCourse」の1つの特徴は、受け放題コースがあることです。これにより、お客さまがコースを作らなくても、受け放題コースから選んで受講することができます。

受け放題コースは、第4四半期で1,081コースまで拡充しました。ついに1,000コースを超え、通常よくある研修メニューは基本的に揃っています。

スライドに記載のとおり、生成AIのコース、サステナビリティのコース、育児・介護休業法のコースなど、いろいろラインナップを広げています。

現在のラインナップとしては、リスキリングの需要が増えているため、IT系の講座を拡大しています。加えて、サステナビリティや法制度の改正など、さまざまな企業ニーズを拾い、対応したラインナップを強化しています。

新規事業展開:スタディングキャリア

「スタディング」と法人向け事業だけではなく、3本目の柱を作る活動も行っています。その1つが「スタディングキャリア」という事業です。こちらは「スタディング」で資格を取った方に、資格を取っただけではなく、取った資格を活かしたキャリアアップを支援するサービスになります。

具体的には、転職の支援を行うダイレクトリクルーティングサービスになります。つまり「スタディングキャリア」に登録すると、企業やエージェントからスカウトを受けられます。そして、マッチングを図っていきます。

「スタディングキャリア」は1年ぐらい事業を行い、転職成功事例がだいぶ増えてきました。当社の中でもノウハウがたまってきているため、さらに伸ばしていこうと思っています。

新規事業展開:AirCourse AIナレッジ

「スタディングキャリア」とは別に、もう1つ事業展開を行っています。法人向け事業の「AirCourse AIナレッジ」です。生成AIを法人内で活用していただくサービスになっています。イメージとしては「ChatGPT」の法人版です。

「ChatGPT」と違うのは、組織内でナレッジを共有できる機能がかなり強化されていることです。生成AIを使う時には、プロンプトというものをテキストで作る必要があります。「AirCourse AIナレッジ」はプロンプトのテンプレートを150種類以上提供しているため、生成AIの利用が初めての方でも、そのテンプレートをお手本にしながらカスタマイズして、すぐにご自身の業務に使っていただけます。

さらに、生成した結果を組織内で共有するナレッジ共有機能もあります。一人ひとりが生成AIを自身で学び、使っていくのはなかなか大変だと思います。しかし、テンプレートを使ったり、うまくいった取り組みを社内で共有したりできれば、組織内で生成AIの活用が進みます。そのように、組織的な生成AI活用を支援するプロダクトになっています。こちらも導入が増えており、今後も事業として成長させていこうと考えています。

以上が、決算のご説明になります。

Mission and Vision

ここからは今後のお話になります。はじめに経営の基本方針と戦略として、全体的な方針をお話しします。スライド41ページ以降の中期計画に抜粋を記載しています。

当社のミッションとビジョンです。当社のミッションは「学びを革新し誰もが持っている無限の力を引き出す」となります。

言葉どおりなのですが、当社は学びを革新するイノベーションを行い、より効率的な学びを提供しようと考えています。目的は、人の力を引き出し活躍していただくことです。

ビジョンは「世界一『学びやすく、分かりやすく、続けやすい』学習手段を提供する」となります。「世界一」は、日本発で世界一のプロダクトを作りたいという、私のもともとの思いから入れています。

まず日本一の個人向け教育サービスとなり、そして日本一の法人向け教育サービスになり、その先には世界一を見据えていきたいと考えています。

当社が目指すプラットフォーム戦略

戦略です。ハイレベルな戦略としては、プラットフォーム戦略になります。スライドの図では円が2つ重なっていますが、左側が個人向けのキャリア支援プラットフォーム、右側が法人向けの人的資本活用プラットフォームとなります。

この2つのプラットフォームを成長させることが、当社の戦略です。キャリア支援プラットフォームとは、人のキャリアを支援することです。人生100年時代となった現在、1社に就職して最後まで勤め上げる人は、かなり減ってきたと思います。ほとんどの人は、自身でいろいろ考えながらキャリアアップしないといけない、難しい時代になっていると思います。

一方で、そのような人を支える仕組みはあまりないと思います。従来は企業が支えていたのかもしれませんが、現代は人の寿命より企業の寿命のほうが短いという時代になっています。そのような意味では企業にも頼れません。そこで当社は、人々のキャリアに寄り添い、支援していけるサービスを提供したいと考えています。

具体的には、学びを提供する「スタディング」のサービスがあります。現時点では資格を中心に展開していますが、最近、IT講座の「スタディングテック」というサービスも始めました。資格をさらに拡張しつつ、それ以外にもいろいろな学びに展開していきたいと考えています。

社会人のキャリアを支援する上では、学んだだけではなく、キャリアアップすることが課題になります。つまり転職をしながらキャリアを築いていくことが必要になるため、「スタディングキャリア」というサービスでそこをサポートしていきます。

「スタディングキャリア」は、もう一方のプラットフォームである人的資本プラットフォームとの接点にもなっています。スライド右側の人的資本プラットフォームは、主に企業の人事担当者がカウンターのサービスになっています。

当然ながら、人事には育成だけでなく採用も関わるため、人事担当者の課題である採用面を「スタディングキャリア」で解決しようと思っています。人的資本プラットフォームでは、「スタディングキャリア」で採用し、さらに「AirCourse」で人材育成を行います。

会社では、人材を育成するだけでなく、その人材に活躍してもらうことが必要です。これから、人材が活躍する上で大事なのは、生成AIを業務で使いこなしていくことです。そこで作っているのが「AirCourse AIナレッジ」というサービスです。

2つのプラットフォームはともに、中心にあるのはデータです。スライド左側のキャリア支援プラットフォームでは、個人の学習、スキル、資格のデータが蓄積されます。

スライド右側の人的資本活用プラットフォームでは、企業の社員の学習、スキル、資格のデータが蓄積されます。

当社の戦略のポイントは、これらのデータをうまく活用して事業を行うことです。当社はそのような理由でAIに投資しており、AIを使うことで個別最適化した学習ができ、生成AIを活用したサービスの展開が可能になります。将来的には、人材マッチングなどにもAIを活用できる可能性があると考えています。

データを蓄積し、AIを使い、プラットフォームを強化していくのが当社の戦略です。

事業ポートフォリオの拡張

プラットフォーム戦略の中核となる「スタディング」「AirCourse」の事業だけでなく、プラットフォームの中で、さらに周辺事業にも展開したいと考えています。

スライドのマトリックスの左側にある事業展開の例としては、「スタディングテック」によるIT教育マーケットへの展開が挙げられます。企業のIT教育、リスキリングのマーケットは広がっているため、既存の組織能力を活かし、新規の市場・顧客獲得を狙おうと考えています。

マトリックスの右側です。既存の市場・顧客に対して、新規サービスを提供することもありえます。そのような方向で展開したのが「AirCourse AIナレッジ」や「スタディングキャリア」になります。

これらをさらに伸ばしつつ、探索行動としては新たな事業展開も見据え、将来的にはM&Aや提携も視野に入れて、事業展開を行っていこうと考えています。

市場ポテンシャルと事業展開

市場規模、マーケットについてお話しします。

スライド最上段の個人向け教育マーケットについてです。当社のメインターゲットはその中の資格取得市場であり、年間1,920億円のマーケットサイズになっています。

従来は資格学校や通信講座が主なプレイヤーでしたが、現在はオンライン講座が増えており、オンラインの時代になってきています。

資格取得市場が徐々にオンライン化される中で、当社はリーダーのポジションとして、オンライン市場を拡張していこうとしています。そうすることで、市場がオンラインに塗り替わった時に「スタディング」がNo.1になっていれば、かなり大きなシェア、マーケットボリュームを獲得できます。

資格取得市場以外にも、個人向け教育のマーケットはいろいろあります。周辺には語学、通信教育などもあるため、こちらも徐々に狙っていこうと思っています。

次は人材関連市場です。いま個人向けではダイレクトリクルーティングサービスの市場が伸びており、ここに向けたサービスとして「スタディングキャリア」があります。こちらも大きなマーケットですので、着実に伸ばしたいと考えています。

法人向け教育です。当社のメイン市場は、BtoBのeラーニング・映像教育市場になります。こちらは現時点で年間1,123億円のマーケットですが、毎年成長しています。従来のeラーニングはオンプレ型、システム開発やカスタマイズを行うものが主体でしたが、数年前からSaaSの市場が大きくなってきています。

その中で、当社のサービス「AirCourse」はSaaSであり使いやすく、競争力を非常に高く保てています。さらにここを強化し、マーケット内でNo.1を目指そうと考えています。

周辺市場である企業向け研修マーケットなども、事業機会としては狙いたいと考えています。

生成AIです。こちらのマーケットは現在急速に立ち上がっており、かなりの勢いで大きくなっています。こちらの市場向けには、「AirCourse AIナレッジ」を展開しており、現時点では立ち上げを行っているフェーズですが、プロダクトを強化しつつグロースしていこうと考えています。

海外法人向けです。先々での展開を視野に入れ、AirCourse事業を行っています。

当社の強み(組織能力)と事業展開

当社の強みです。スライド左側の5つの丸は、ラーニング・テクノロジーと呼んでいる当社の5つの強みです。学習コンテンツ、学習システムは創業時から作り続け、ノウハウを蓄積しています。

そこに最近、AI・データ活用力が加わったため、さらに良いプロダクトになってきています。ここ2年ぐらいで生成AIの取り組みをかなり進めており、学習者に対して個別最適化したサービスが展開できるようになります。

スライド下部の2つは、当社の成長を下支えしている強みです。そのうちの1つがWeb集客・販売力です。「スタディング」には、実は営業員が1人もいません。すべてWebで集客し、Webで販売するeコマースのモデルとなっています。

こちらを支える上で、Webマーケティング力がキーになっています。創業時から継続して行ってきているため、1つの武器になっています。

もう1つがローコストオペレーションです。従来型の資格学校と比べると、かなり違いが鮮明になります。資格取得市場において、従来の企業には教室設備があり、教室ごとに講師やスタッフがいます。一方、当社はそのようなものがありません。良い講師が数名いれば良いコンテンツが作れ、教室設備も特に必要ないため、非常にコスト効率が良い特徴があります。

したがって粗利率が非常に高くなり、それを活かしてWeb広告を投下することで、早く成長できています。

以上の5つの力は「スタディング」だけでなく、いろいろな市場に展開する時にも役立ちます。スライド右側の「スタディングキャリア」や「AirCourse AIナレッジ」の展開も5つの力があってこそであり、今後さらにこれらの組織能力をブラッシュアップすることで、将来的にさまざまな市場への展開が可能になると考えています。

中期経営計画2026 基本戦略

中期経営計画2026の基本戦略をご紹介します。詳しくは、スライド41ページ以降の中期経営計画2026でご説明しています。

2026年度の売上・収益のレンジはスライドに記載のとおりです。中期計画初年度である2024年度の決算は非常に良いペースだったため、2026年度の業績は可能な限りレンジの上のほうに着地させたいと考えています。それを狙う上で必要になるのが、スライドの真ん中あたりに記載した3つの戦略になります。

1番目は、スタディング事業の成長と収益力強化です。こちらが最も大きな事業ですので、しっかり成長させていきます。また、収益力も高めていこうと考えています。コスト効率、集客効率を向上させることで利益を増やしていきます。前年度も進めてきましたし、来年も利益を増やしていけると思っています。こちらで獲得した利益で、戦略の2番目、3番目に十分に投資し、2本目、3本目の柱を作ることが戦略となります。

2番目は、法人事業の本格的グロースです。こちらはかなり立ち上がってきたため、さらに組織力を強化して販売を増やし、プロダクトの強化を行います。

3番目は、その先を見据えて、新規事業展開とプラットフォーム成長を行っています。すでに始めているキャリア事業、生成AI市場の売上が増えてきたため、グロースさせて3本目の柱に育てていきます。さらに、事業機会を探して次の柱への種まきを行おうと考えています。

この3つの戦略を行う上で、組織能力の5つの強みであるラーニング・テクノロジーを強化していきます。それを行うためには人材がベースになるため、成長を支える優秀な人材採用、育成を強化しています。また、事業もかなり大きくなってきており、経営基盤やコーポレートガバナンスの整備を十分に行っていこうと考えています。

2025年12月期 通期業績予想

2025年12月期の業績予想についてご説明します。売上高は、前年同期比16.4パーセント増の52億円を見込んでいます。前年の成長に引き続き、着実に成長することで中期計画の目標を達成したいと考えています。営業利益は前年同期比41.0パーセント増の3億円を見込んでいます。営業利益率は5.8パーセントに増加します。

スタディング事業の収益性がかなり増すと考えており、こちらで十分に利益を増やそうと考えています。一方で法人事業や新しい事業へ投資し、2本目、3本目の柱を作っていきます。

この数字は、中期経営計画2026で当初考えていた2025年度のペースと比べると、かなり上限に近い数字です。したがって3ヶ年計画としては、2025年度は非常に良いペースで推移すると考えています。

最終的な2026年度の目標も、できる限りレンジの上限で着地したいと考えています。

2025年12月期 事業別売上予想

事業別に見ると、スタディング事業が前年同期比14.1パーセント増の44億5,500万円です。マジョリティ層の取り込みを着実に行い、受講者、合格者をどんどん増やして成長していきます。一方で集客・講座開発の効率化も行いながら、事業の収益性を高めていきます。

法人向け教育事業は現在、伸び盛りです。前年同期比30.7パーセント増で高成長を継続したいと考えています。こちらは法人向けの営業、プロダクト開発に注力して、事業の2本目の柱にしていこうと考えています。

2025年12月期 半期毎の業績予想

半期ごとの数字です。前半の1月から6月は売上高が23億5,000万円、営業損益はマイナス1億5,000万円です。

先ほどご説明したように、第1四半期は毎年、発生ベース売上がかなり少なくなるため、どうしても利益がマイナスになってしまいます。ただし、2024年度と比べると営業損益は4,000万円以上改善できると考えています。

後半の7月から12月は売上や営業損益がかなり増えてきます。このように、年間を通じてしっかりと売上や利益を増やすことで、企業価値を高めていきたいと思っています。

以上で本日のご説明は終了します。引き続き、ご支援のほどよろしくお願いします。ありがとうございました。