Executive Summary

北村直樹氏(以下、北村):執行役常務兼CFOの北村です。2024年度第3四半期決算のポイントをご説明します。

まずは、連結のサマリーです。2024年度第3四半期累計の実績は、前年比で増収増益となりました。売上高は45億円の増収、EBITDA、営業利益はともに38億円の増益となりました。

一方、期初計画に対して主にLTS事業の固定費削減施策の進捗が遅れています。そのため、本日発表しているとおり、通期連結業績予想は下方修正となっています。この見通しについては、後ほどご説明します。

LTS事業については、ベース事業が引き続き堅調です。新型コロナウイルス関連売上高を除くベース事業の売上高は、前年比7パーセントの増収となりました。

収益性改善施策については、限界利益の改善は計画どおりに進んでいます。固定費削減施策については遅れているものの、一定の効果が発現しており、増益に寄与しています。

H.U. Bioness Complexは、今期中に移管を完了させ、4月以降は完全稼働ができるように進めています。

IVD事業においては、注力しているNeuro試薬の売上は引き続き堅調に推移しています。新型コロナウイルス関連は前年比で減収となっていますが、感染状況を背景に、当初の見通しは超過して推移しています。

24年度1-3Q連結業績(対前年同期比)

第3四半期の連結業績についてご説明します。全体の業績としては、対前年同期比で引き続き増収増益の結果となりました。特にEBITDAは9.9パーセントのマージンとなっており、しっかりとした営業キャッシュ・フローの創出につながっています。それぞれについて、次のスライド以降でご説明します。

24年度1-3Q連結売上高(対前年同期比)

連結売上高については、新型コロナウイルス関連売上高が減収となった一方、ベース事業では増収を達成しています。特にLTS事業が大きく増収となりました。IVD事業は減収となっていますが、これは主に新型コロナウイルス関連売上高の減収によるものです。

24年度1-3Q連結営業利益(対前年同期比)

スライドには、連結営業利益の対前年同期比を示したグラフを示しています。

LTS事業では、増収による増益に加え、収益性改善施策の効果が一定程度発現したことにより増益となりました。H.U. Bioness Complex関連費用については、対前年同期比で見ると増益に寄与しています。前期は移管に伴う一時費用が大きく発生した一方、今期は一時費用の発生が前期比で小さくなったためです。

IVD事業は、Neuroの伸長による利益貢献があったものの、新型コロナウイルス関連売上の減収による減益が大きなインパクトとなっています。

HS事業は、売上成長および収益性改善により増益となりました。

四半期毎の業績推移

四半期ごとの売上高、EBITDA、営業利益の推移です。新型コロナウイルス関連売上高は減少基調にありますが、市場環境は回復してきています。ベース事業が増収傾向となっていることと併せて、利益面でも増益のトレンドとなっています。

連結経常利益/損失および純利益/純損失

連結業績の最後のスライドです。営業外損益では、2017年に投資を行ったベンチャーファンドからの分配金を、出資金運用益として28億2,000万円計上しています。こちらは上期まで運用損の約2億6,000万円をオフセットした金額となります。また、為替差益も営業外収益として計上しています。

営業外費用として、持分法による投資損失を計上していますが、上期に発表したとおり、中国での検査サービス事業からの撤退により、金額は前期から縮小しています。結果として、経常利益は約43億円と大幅な増益となりました。

純利益については、上期同様、補償損失引当金の戻入益、平安JVの関係会社整理損などの要素があるものの、営業利益および経常利益の増益により、約28億円で着地しています。

LTS事業

ここからはセグメント別にご説明します。

まずはLTS事業です。遺伝子関連検査を含むベース事業は、第1四半期から引き続き堅調に推移しています。

新型コロナウイルス関連検査は減収となっているものの、新型コロナウイルス関連を除くベース事業の売上高は約7パーセントの成長となりました。テスト数も引き続き6パーセント増加しており、市場環境はポジティブに推移していると考えています。

利益面では収益性改善施策の効果が徐々に発現していることに加え、増収による増益、およびH.U. Bioness Complex関連費用の減少により、増益となっています。

第3四半期においても営業赤字が継続していますが、この成長のトレンドを継続させるとともに、収益性改善施策の推進と徹底的なコスト削減を進めていきます。

LTS:テスト数の推移(2020年4月以降)

スライドのチャートは、2020年4月以降の1日当たりテスト数について、2019年度を100とした場合の推移を示しています。スライド上部に記載のとおり、外部環境の変化を背景に、我々が実施するテスト数は徐々に増加のトレンドを見せています。

12月は季節性もあり、月次比較では減少したものの、前年同月比では増加しており、全体として4月以降は増加傾向にあると言えます。今後もしっかりと需要を取り込んでいきます。

IVD事業

IVD事業です。海外の「ルミパルス」におけるNeuro試薬が引き続き大きな成長となっていることもあり、ベース事業は堅調に推移しています。一方、新型コロナウイルス関連売上高は、対前年同期比で減収となりました。

利益面では、超高感度検出技術やNeuroの成長に向けた先行投資として特に海外におけるR&Dコストが増加していることに加え、新型コロナウイルス関連売上高の減収による減益の影響はありましたが、営業利益率20パーセント以上、EBITDAマージン約30パーセントの利益水準は確保できています。

HS事業

HS事業です。滅菌関連事業は堅調に推移し、売上高は増収となりました。利益面では、前期に滅菌関連事業で一過性のコストが発生していましたが、収益性改善の効果もあり、今期は前年同期比で増益となりました。

2024年度1-3Q連結キャッシュ・フロー(対前年同期比)

連結キャッシュ・フローです。スライド左側のグラフは、営業キャッシュ・フローの対前年同期比での増減を示したものです。EBITDAが増加したことに加え、NWC(Net Working Capital)の減少がキャッシュの増加に寄与しています。

Taxについては、前期に還付が行われたことにより、対前年同期比でキャッシュアウトが大きくなりましたが、結果として営業キャッシュ・フローは37億円増加しています。

スライド右側のグラフは、フリー・キャッシュ・フローを示しています。今期の設備投資自体は落ち着いてきているものの、Fluxus社へのアーン・アウトの支払いがあったことなどから、投資キャッシュ・フローは対前年同期比で増加しました。

ただし、先ほどご説明したとおり営業キャッシュ・フローが増加したことにより、結果としてフリー・キャッシュ・フローは対前年同期比で増加しています。

現預金・有利子負債残高

現預金・有利子負債残高の推移です。今期は短期借入金や社債の償還のタイミングにより、一時的な現預金の増減があるものの、純有利子負債としては同水準で推移しています。

2024年度連結業績予想の修正

最後に、2024年度通期業績の見通しについてご説明します。

まず、本日発表しているとおり、2024年度通期連結業績予想を修正しています。売上高は、各セグメントで入り繰りがあるものの、金額の変更はありません。

一方、利益は各段階で見直しを行いました。EBITDA、営業利益については、55億円の下方修正となります。

LTS事業に関しては、収益性改善施策、特に固定費削減施策の効果発現が遅れている状況です。一方、IVD事業については、先行投資として海外R&Dコストが為替の影響も含めて増加することを見込んでおり、IVD事業全体として計画をやや下回る見通しです。

経常利益については、出資金運用益等を第3四半期に計上したため、営業利益よりも修正幅が小さくなっています。当期純利益については、経常利益の見直しに伴い下方修正しました。なお、第3四半期はQonQで増益方向に転じており、この流れを継続することで、第4四半期はQonQでも増益となる計画です。

配当については当初の予想から変更はなく、株主還元として引き続き安定配当を継続します。

H.U. Bioness Complex完全稼働までのスケジュール

スライドに、H.U. Bioness Complexの完全稼動までのスケジュールを示しています。第2四半期にお伝えした見通しから大きな変更はありません。

報告システムは移管済みとなり、現在は最後の売上・請求・回収システムの移管に取り組んでいます。2025年3月末に完了を予定していることに変更はありません。

なお、一時費用および減価償却費が当初の見通しよりも少なく着地する見込みのため、今期のP/L影響は小さくなる見通しです。先ほどお伝えしたとおり、移管をスケジュールどおりに進めることが利益の創出にもつながるため、全社一丸となって引き続き取り組んでいきます。

以上で、私からのご説明を終わります。ありがとうございました。

質疑応答:LTS事業における固定費削減施策の遅れについて

質問者:2025年3月期の連結業績予想の下方修正についてうかがいます。LTS事業の営業利益予想の引き下げについて、主要な理由として「固定費削減施策の効果発現の遅れ」が挙げられていました。これは具体的に何を指しているのでしょうか?

H.U. Bioness Complexのスケジュールの変更は昨年11月時点で行われており、今回の下方修正のタイミングと3ヶ月のずれがあるため、わかりにくい部分がありました。ご回答をお願いします。

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