2025年8月期第1四半期決算説明
宮寺之裕氏(以下、宮寺):ククレブ・アドバイザーズ株式会社代表取締役の宮寺です。
本日はお忙しい中、説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。昨年11月28日に上場して約2ヶ月が経っていますが、この間に機関投資家のみなさまや個人株主のみなさまからいろいろなご質問・お問い合わせ等をいただいています。
これらはすべて当社への期待と理解していますので、みなさまの期待にしっかり応えていけるよう、引き続き精進してまいります。それでは、説明会を始めます。
2025年8月期 第1四半期 決算説明ハイライト
第1四半期の業績ハイライトです。今回は通期業績予想を修正しました。こちらは当初計画していなかったCREソリューションビジネスの新規案件の受注増加などにより、もともとの通期計画よりも想定以上の進捗で進んでいるためです。
第1四半期における連結ベースでの売上高は6億8,100万円、営業利益は3億700万円となりました。当初計画に対する進捗率は、売上高が38パーセント、営業利益が59.5パーセントとなっています。
これを受けて、通期業績予想を上方修正することとしました。修正後の業績予想は、売上高が22億円、営業利益が6億5,000万円、当期純利益が4億2,800万円となります。それぞれ、当初計画に対して22.7パーセント、26.1パーセント、25.9パーセントのアップとなります。
また、配当金は1株あたり20円と公表し、前期実績と比較すると3円の増配です。投資家のみなさまには上場時に配当方針をご説明してきたものの、配当金の予想が未定となっていました。そちらをしっかりとお見せしながらご評価いただけるよう、20円と公表しています。
事業の進捗状況です。こちらも上場時にいろいろとご説明しましたが、KPIとして設定しているマッチングシステム「CCReB CREMa」の登録数とユーザー数については、引き続き増加しています。
CREソリューションビジネスも、上場による認知度向上を非常に実感しています。そのような中で、CRE戦略の支援案件などの新規案件パイプラインが増加しています。パイプラインについては後ほどお話しします。
不動産テックビジネスのシステム開発については、外部のシステム会社とタッグを組むことは変わらないものの、今第1四半期中にエンジニアを採用しています。それによって利便性向上のためのサービス機能拡充が迅速にできることになりましたので、引き続き開発を加速しながら進めていきます。
ご質問が多かった人員採用についてです。当社の社員数が少ないというご意見等がありましたが、今期の採用計画はすでに達成している状況です。今後は採用計画以上の追加採用を進めていきたいと考えており、しっかりと採用を進めながらビジネスを拡大していく所存です。
2025年8月期 第1四半期実績 エグゼクティブ・サマリー
第1四半期の実績についてご説明します。まずはエグゼクティブ・サマリーです。
売上高は6億8,100万円となりました。前年同期比でプラス202.7パーセントの成長です。営業利益は前年同期比320.5パーセント増の3億700万円、当期純利益は2億円と、比較的順調に進んでいます。
マッチングシステムのユーザー数は、2024年8月期の325ユーザーに対して370ユーザーとなりました。当社のビジネスの源泉となる物件情報登録数も前期末の5,474件から6,063件となり、第1四半期においても順調に推移しています。
スライド中央に「当初通期計画に対する進捗率」と記載していますが、実際には先ほどお伝えした修正後計画との比較が正しい数字になります。そちらに対する進捗率では、売上高が31パーセント、営業利益は47.2パーセント、当期純利益は46.7パーセントとなります。いずれにしても、第1四半期の進捗率という意味では比較的順調に進んでいる認識です。
2025年8月期 第1四半期実績 決算概要 -業績推移(連結)-
2025年8月期第1四半期の決算概要です。実績と前期比については、先ほどお話ししたとおりです。
全体の進捗として、CREソリューションビジネスは大幅に増加しています。引き続き、企業の資本効率改善のご相談や不動産プレイヤーの取得意欲旺盛に対する不動産売却等が順調に進んでいます。
不動産テックビジネスの計画進捗率は20パーセントとなります。こちらは第2四半期から第4四半期にかけて計画しているものがあるためで、特段進捗が劣っているわけではなく、順調に推移していると考えています。
なお、一部において不動産テックビジネスからCREソリューションビジネスへの科目変更がありましたが、全体的には順調に推移しています。
営業利益率は45パーセントとなりました。当社の営業利益率は平均30パーセント前後になりますが、本第1四半期に粗利率の高い案件が多く計上されたため、このような数値で着地しています。引き続き、高い利益率を図っていけるよう進めてまいります。
2025年8月期 業績予想の上方修正
業績予想の上方修正についてです。売上高の予想は前期比73.3パーセント増の22億円に修正しました。修正前の数値に対し、「今までの成長率に対してやや保守的ではないか」という意見もありましたが、しっかりと案件を積み上げながら計画数値を設定してきており、当初計画以上に案件が進捗していることを踏まえて今回の上方修正を行った次第です。
また、営業利益は前期比54.5パーセント増の6億5,000万円、当期純利益は前期比48.5パーセント増の4億2,800万円へと上方修正しています。
これを受け、1株あたり純利益(EPS)も変更しております。前期実績の84.29円に対し、今回修正後では106.24円となります。期中はIPOによって発行株数が増えていますが、その発行株数を踏まえても、EPSは21.95円増加しています。
今後も営業利益率をしっかりと保ちながら事業を推進していきますので、引き続きご期待いただければ幸いです。
パイプラインの進捗(CREソリューションビジネス)①
事業の進捗状況についてご説明します。上場以来、投資家のみなさまからは「『不動産を取得した』『このような仕事を受注した』」というリリースがなかなかない」という声もありました。
当社のビジネスはBtoBである上に事業法人との取引が多いことから、当社から積極的に取引先の企業名を開示して「この取引をおこなった」とお伝えするのは、守秘義務の関係からも難しいところがあります。
今後もこのような事業成約等があった場合にはオブラートに包んでしまうかもしれませんが、パイプラインをお示しできる、ないしは事業実績をお示しできるような開示方針で臨みたいと思っていますので、ご理解いただければ幸いです。
パイプラインの進捗についてです。スライド左側に番号を記載していますが、1から6は契約がすでに終わって成約済みのものとなります。CREソリューションビジネスにおける成約済・契約済案件は、当初計画比で92.8パーセントまで進捗しており、この状況を踏まえての上方修正でもあります。
「契約済」とは、当然ながら取引先と契約をしたことを意味します。「成約済」とは、その契約の決済が完了し、当社がなにかしらのフィーを受け取る、ないしは売上が実現している状況を意味します。スライドでは「ステータス」という箇所に記載しています。
第2四半期に入り、すでに成約しているものもあります。昨年12月10日に開示した5番の「B/S活用投資」である、大分県の産業用地売却もすでに成約済みです。併せて、新規でAM業務受託等も行っていますので、足元の新規案件は増えている状況です。
ビジネスモデルについてはあらためてお話ししますが、いずれもテックを活用したソーシングを行っています。スライド右から2列目に「活用テック」と記載しているとおり、マッチングシステムやAI、企業分析、企業のニーズに対するマッチング等の仕事を組成しています。
パイプラインの進捗(CREソリューションビジネス)②
こちらのスライドには契約予定のパイプラインを記載しています。一部は仕掛けもありますが、かなりの確度で物件が進捗している状況です。1番はすでにコンパクトファンドの組成準備に入っていますので、このような案件を積み上げていきます。
加えて、第1四半期ではまだ実現していませんが、8番、9番、10番の案件はプロジェクトマネジメントとなっています。昨今、企業の土地の有効活用案件が非常に増えており、そちらについても現在提案を続けているところです。
当社は「産業用不動産」を対象にしたビジネスを行っています。「所在」の列を見てもわかるように、全国の産業集積地を中心にいろいろなところで仕事の幅を広げており、記載のない物件も継続的にパイプラインを積み上げています。
マッチングシステム ユーザー数の推移と潜在案件数の拡大
「CCReB CREMa」についてご説明します。第1四半期末時点のユーザー数は370ユーザー、情報登録数は6,063件まで増えています。当社はこれを「いけす」と呼んでおり、スライド左側の円グラフには「いけす」の中身を示しています。当社が展開しているサービスに関し、サービスの源泉となる案件に関する潜在的な情報がどのようなかたちで構成されているかというところです。
6,063件のうち、約56パーセントが将来的に仲介・アドバイザリーのビジネスにつながるであろう案件情報です。約41パーセントはB/S投資ないしはコンパクトファンド組成の案件情報です。残る2.4パーセントは、プロジェクトマネジメントにつなげられる案件情報となります。
いずれにしても、「いけす」を大きくしていくことが当社のビジネスの源泉となります。今後も、マッチングシステムを拡大させながら「いけす」を大きくしていく戦略を進めてまいります。
不動産テックビジネスの進捗
マッチングシステムの営業および「CCReB AI」のテックの進捗です。マッチングシステムについては、いろいろなマスメディア等で「地方銀行に力を入れていく」とお伝えしました。特に上場に伴う信用力を非常に感じる場所として、地方銀行への営業を一気に仕掛けています。
この3ヶ月で17行にアプローチを行い、うち7行が商談中です。今後もフラグを立てながら地方銀行へ営業していきます。こちらを広げることで、テック収入や「いけす」が大きくなり、当社のビジネスの幅が広がる可能性があるため、今後も力を入れていきます。
併せて「CCReB AI」も、サブスクリプションサービスとして事業法人や不動産会社などで使っていただいています。特に非上場企業のデータをさらに増やしたり、非上場企業が保有する不動産拠点情報を追加したりしながら、データを拡充しているところです。
これまでは有価証券報告書と中期経営計画書の分析が中心でしたが、今後は分析の対象資料にサステナビリティレポートやIR資料、コーポレートガバナンス報告書なども取り込み、サービスの幅を広げていきます。
こちらは先般ホームページでも開示しましたが、新たなサブスクリプションサービス収入の源泉として、不動産業以外の業種へのアプローチにより収益を拡大していきたいと考えています。
企業理念
事業概要です。当社はBtoBビジネスということもあり、上場後には「会社のビジネスモデルが若干わかりづらい」というお声をみなさまから頂戴しました。ここであらためて、当社のビジネスモデルについてご説明します。
企業理念は、「全ての企業不動産へのソリューションを通じて、日本の経済・産業に貢献する」です。当社は上場前から企業不動産を扱ってきていますが、昨今は、日本企業を取り巻く環境は激変しています。その中で、企業が持っている不動産の保有方針などを企業側が見直す流れが起きています。
当社はまさにその流れを商材として、企業理念の実現のために邁進していることが大前提となっています。
ビジネスモデル
ビジネスモデルです。当社は「不動産テックを使って案件を掘り起こしている」とご説明してきました。スライドに示すとおり、企業はサプライチェーンの改革や、最近では資本効率の向上、一番多い相談としては遊休資産の活用など、多種多様な経営課題を持っています。当社は、それらを不動産テックを活用して効率的にキャッチアップしています。
このような企業のニーズをマッチングシステムでマッチングさせながら、CREソリューションビジネスの5つのカテゴリの中から、お客さまに最適なご提案を行います。これがビジネスモデルです。先ほどご説明したパイプライン等を含めて、この取引が成就してフィーをいただく、ないしは売上の実現につながっています。
従前お話ししたとおり、不動産業で私自身が課題と感じていた、営業先のピックアップや企業のニーズへのキャッチアップという部分にテックを使って、時間を短縮しています。それにより生産性を上げ、営業利益率を確保していくというところが当社のビジネスモデルとなります。
サービス提供フロー
サービス提供フローです。先ほどのパイプラインをはじめ、情報については「CCReB AI」や「CCReB CREMa」を使って入手します。例えば「CCReB AI」であれば、「この企業についてはこのような経営課題を持っている」というものを可視化し、その経営課題に沿った提案を行います。
またマッチングシステムについては、ニーズを登録することによって自動的にマッチングを発生させ、効率的なアプローチをします。そして、トランザクションのどのカードを切るかを選択します。
このような長年のノウハウを全部システム化することにより、難易度が高い法人不動産のマーケットを開拓していくことが当社のサービス提供フローとなっています。
CREソリューションビジネスの概要
それぞれのビジネスカテゴリについて、具体的にご説明します。当社は主に、同業である不動産プレイヤー、顧客となる事業法人と取引を行い売上計上しています。
「CREアドバイザリー」では、当社と同じく法人営業を行う企業に対するアドバイスや、ソリューションやテックシステムをご利用いただいている顧客に対するコンサルティングなどを行っています。
事業法人に対しては、「資本効率の面から企業の保有不動産を見直したい」という企業へのコンサルティングや、「不動産を売却したい」という企業への助言や仲介などを行っています。こちらは主にコンサルティングとして、アドバイザリーフィーをいただくビジネスとなります。
「CREファンド組成」は、企業にご提案し、結果的に不動産を動かすという結論に至った際に行う受け皿としてのファンド組成です。SPC(特別目的会社)を作って資金調達をし、当社がアセットマネージャーになって最終的な出口を考えながらファンド組成をしていくビジネスです。
「プロジェクトマネジメント」は、ご提案した結果、企業のほうで土地や不動産を保有し続けたいというお話になった場合、その土地の有効活用を当社と一緒に考えるというものです。
例えば、この有効活用を考える際に当社のマッチングシステム等を使い、当該土地に関心がある方をテナントとして紹介し、建物を建てて収益不動産として運用いただくというようなコンサルティングを行います。
「B/Sを活用した不動産投資・賃貸」は、CREファンド組成と似ています。企業に提案した結果「不動産を動かしたい」という際に、ファンド組成するには金額が少額すぎる場合に当社のB/Sを使って不動産を取得し、最終的にリノベーションやバリューアップをして売却するというビジネスです。また、保有中は賃貸収入が入ってくるため、それを賃貸収入として売上計上しています。
「不動産仲介」は、先ほどご説明したマッチングシステムを使い、マッチングしたものを売買・賃貸仲介するビジネスです。こちらは仲介フィーをいただくビジネスです。
これらが当社の売上の源泉となっているビジネスであるとご認識いただければと思います。
不動産テックビジネスの概要
不動産テックビジネスの概要です。CRE営業支援システムの「CCReB AI」とマッチングシステムの「CCReB CREMa」が主力のサブスクリプションサービスであり、当社も活用しています。
「CCReB AI」は、企業が開示する資料を自動的に取得・分析し、企業ごとの不動産ニーズを探る仕組みです。これにより、資料を収集し記載内容を一生懸命確認するという作業がすべて割愛され、業務効率を上げることができます。
「CCReB CREMa」は、「売りたい」「買いたい」「貸したい」「借りたい」というニーズを登録しながら、自動的なマッチングを行うシステムです。こちらも、これまでは担当者の経験や勘といった属人的な能力に頼っていたものをシステムで自動的にマッチさせることによって、当社の営業担当者が同じ水準で業務を進められるようになります。
このように、CRE営業の効率的な実行を可能とするテックをサブスクリプションサービスでも提供しているというのが、当社のもう1つのビジネスです。
高い参入障壁と独自のポジショニング
当社のポジショニングについても、まだご説明が足りておらず、ご理解いただけていないと思っています。不動産にはいろいろな種類があり、その中でも大手不動産会社、中堅不動産会社、中小不動産会社がひしめき合っています。その中での当社のポジションを示しているのが、スライドの図です。
主に企業が事業で使う工場や研究開発施設・物流施設の中でも、特に20億円以下の価格帯で、大手不動産会社が積極的に取り扱わず、また中堅・中小の不動産会社では扱うためのノウハウがまだない部分を当社が埋めながら、プレイヤーのみなさまと協業しています。
こちらについては、情報がなかなか出てこなかったり誰に相談していいかわからない部分に、当社が参入して事業運営を進めていることが特徴となります。
高い収益性と財務健全性の両立
高い収益性と財務健全性の両立についてご説明します。第1四半期の営業利益率は45パーセントとかなり高く出ています。しかし、通期でも30パーセント台を確保していく方針で取り組んでいきたいと思っています。
スライドには、同業プレイヤーの営業利益率の分布を示しています。当社はそれらと一線を画した営業利益率を実現しながら、上場による資金調達の実施しています。上場による信用力の付与に伴い外部から資金を調達できる環境になったこともあり、今後はレバレッジをかけながら、高い収益性と財務健全性を両立したビジネスをしていきたいと考えています。
質疑応答:第1四半期に業績予想を修正した理由について
司会者:「今回、通期の業績予想を上方修正されていますが、なぜ第1四半期での業績予想の修正となったのでしょうか?」というご質問です。
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