株式分割の実施

尾松豪紀氏(以下、尾松):代表取締役社長の尾松です。2025年6月期第2四半期決算についてご報告します。

はじめに、中間期の決算を発表します。先にトピックスからお話しすると、まず、株式分割を2025年4月1日付で実施します。1株につき3株の株式分割を実施したいと考えています。

今までみなさまからいただいた「流動性をまず上げるべきではないですか?」とのご指摘に対し、流動性向上の地ならしをしていくことが第1の目的です。これにより、投資家層の拡大を期待しています。

中間期業績

2025年6月期の中間期業績です。売上高は62億800万円です。2024年6月期の中間期が43億8,300万円でしたので、前年同期比18億2,500万円増となっています。

営業利益は1億円です。2024年6月期の中間期が1,400万円の欠損でしたので、前年同期比1億1,400万円増です。

EBITDAは3億7,200万円です。前年同期比2億2,100万円増となっています。

先ほどふと思い出しましたが、我々は2021年6月2日に上場し、2021年6月期通期の売上が52億7,400万円でした。そのため、3年半前には1年で52億円だったのが、現在は半年で62億円と、それなりに成長しているのではないかと思っています。

スライドの表の一番右にある、業績予想の中間期の数値との差異については、後ほどあらためてご説明します。

(参考)直近12か月間で見る業績推移

直近12ヶ月間で見る業績推移です。スライドの棒グラフは売上の推移です。

この棒グラフについて補足説明しますと、建設業と建設関連の仕事は単年度予算ということもあり、売上がどうしても第3四半期に増える傾向があります。正確には、2月、3月がピークで一気に上がります。それ以外は、基本的にあまり売上が上がりません。そのような月ごとの推移をグラフ化するとデコボコしたグラフになるため、このグラフでは6ヶ月ごとの移動平均をとっています。

2022年12月から6ヶ月ごとに過去12ヶ月の売上高の移動平均の推移を示したのがこのグラフです。ご覧のとおり、一貫して右肩上がりになっています。

一方で、赤い折れ線のグラフは営業利益率を表しています。営業利益率でいうと、M&Aを行った後にはフィーやデューデリジェンス費用や、のれんなどのコストが発生しています。そのため、このようなかたちで営業利益は下がってきていますが、最近はまた上がり出しています。

(参考)直近12か月間で見るEBITDA推移

スライドの棒グラフは、同じように6ヶ月ごとの移動平均で見たEBITDAの推移です。点線は回帰直線です。先ほどの営業利益率は少し下がって上がるかたちでしたが、EBITDAはご覧のとおり一貫して上がり続けているのがご理解いただけるのではないかと思います。

(参考)受注高と受注残高の推移

受注高と受注残高の推移です。一言で言ってしまうと、新規グループの加入があり、その分の受注が増えているため、受注と受注残高が増えています。

今は中間期ですので、2023年6月期の12月末日で見ると、スライドに赤文字で示した建設セグメントは、2022年12月末日には6億4,000万円の受注残でした。それが2023年12月末日では19億2,000万円の受注残になりました。当期2024年12月末日では23億6,400万円と受注残が伸びています。

一方で、建設関連も同じような推移です。黒い文字で記載のとおり、2022年12月末日時点では17億6,000万円だったものが、2023年12月末日では18億200万円、2024年12月末日では20億3,700万円と、ともに受注残が伸びています。

会計する人はどうしても「売上」と書くと過去の数字に目が行くことが多いのですが、私どもはこれから立っていく売上と言いますか、「これからどれだけ売上が上がるのか」を、この「12月末の時点で受注残が伸びているか」の数字から見ていくわけです。

かつ、これから特に来年の3月、4月には、また来期分の受注を取りにいくため、売上・受注・受注残の3つを常に追いかけていくことになります。

後ほどご説明すると言った「業績予想中間地との差」については、売上でいうと、2025年6月期の中間期の売上は62億円でした。当初我々は、71億円ぐらいは達成できるのではないのかと思っていましたが、実際は62億円でした。

この差はどこにいったのかというと、その分が受注残として次に乗ってきています。売上発生時期の意味で遅れたのは事実ですが、受注が3ヶ月遅れると、売上が立つのが3ヶ月遅れるのは当たり前のことです。その分が後ろへずれているということですので、比較的楽観視しています。

連結B/S

B/Sです。総資産は前期末比で4億8,700万円増えています。流動資産は前期末比4億7,100万円増、固定資産は前期末比1,600万円増となっています。流動負債は前期末比4億900万円増、固定負債は前期末比9,400万円増となっています。

極めて順調に仕事が受注でき、このように負債も流動負債として安定してうまくいっていると考えています。流動資産4億7,100万円の増加に対して流動負債が4億900万円の増加ですので、安定した負債だと私どもは考えています。

(参考)連結B/S 詳細

読み上げませんが、B/Sの詳細な結果です。

(参考)負債・純資産の推移

負債と純資産の推移です。これは借入金を活用し、M&Aや手堅い投資を着実に実施してきていることの証拠だと思っています。

M&A以外の手堅い投資とは何かと言うと、私どもは介護セグメントにアルトという会社を持っています。この会社で今年老人ホームを1つ建て、それが投資の負債として乗ってきています。こちらはこれから回収することになります。

通期業績予想 連結

当期の業績予想です。売上高は140億円、営業利益は6億5,000万円です。現時点で当初の通期業績予想からの変更の必要はないと判断しています。

通期業績予想 セグメント別

セグメント別の業績予想です。建設関連サービスセグメントは売上43億円、営業利益6億6,500万円です。人材関連サービスセグメントは売上36億円、営業利益2億1,000万円です。建設セグメントは売上49億2,000万円、営業利益2億8,500万円です。介護セグメントは売上8億8,000万円、営業利益9,000万円です。

全社差し引きとしてホールディングスの経費等を引き算し、連結で売上140億円、営業利益6億5,000万円を予想しています。

通期業績予想 セグメント別見通し

セグメント別の見通しです。まず、建設関連サービスセグメントです。受注残高は、昨年12月末の時点で今回見直した通期売上高の85.8パーセントをすでに確保しています。その後は1月、2月も受注していますし、これから3月になると来期になってきますので、当然増えていくと思っています。

また、スライドに記載の「災害業務の完了」について説明します。例えば、今日大雪が降ったり、台風で大雨が降ったりして、土砂崩れが起きた場合、おそらく県や市といった官公庁から電話がかかってきて「明日すぐ対応してくれ」と発注があります。そうなると、1ヶ月以内にその仕事を実施しなければなりません。

その場合、先に経費が発生しますが、会計上は売上と経費を同額で計上します。ですので、利益は1円も上げていません。業務金額が確定するのは年度末に向けて2月、3月あたりです。最初に計上した売上と確定した業務金額の差額は、原価ゼロで売上がそのまま利益になるため、会計上は利益が一気に乗ります。そのため、第3四半期の1月、2月、3月の年度末にどうしてもそこの部分が上がります。

もう1つ、「変更契約による増額」は、途中で仕事を依頼されるものです。変更契約は増減がありますが一般には増加が多いです。

「このような仕事を行ってください」と依頼され、「お金はあとで見る」と先に仕事を実施した場合、変更増の部分は2月、3月に乗るため、私どもとしては今の時期には「このぐらいのボリュームの仕事をしたため、このぐらい数字上がるだろう」ということが読めています。したがって、そのようなことを見込んで数字を出しています。

続いて、人材関連サービスセグメントは堅調に推移しています。

通期業績予想 セグメント別見通し

建設セグメントです。受注残高については、現在半年の時点で、今回見直した通期売上高の約83パーセントをすでに確保しています。当然、今後1月から6月で再び取っていきますので、これもあまり心配していません。

変更契約による増額については、先ほどのような事例です。特に多いのが、維持管理工事の仕事です。例えば、国道の維持管理は365日24時間受けています。ガードレールが壊れれば、「ガードレールを直して」と依頼されます。そうすると先ほどと同じように、その分は後から変更増になります。

また、今年は大雪で、この3連休も大変でした。特に新潟県の会社などは、今年は雪がたくさん降っているため、そのような変更増はけっこうあるだろうと思っています。

続いて、介護セグメントです。デイサービスは予定どおり堅調に推移しています。新しく建設した住宅型有料老人ホームは、入居者数が計画に対して順調に推移していますので、経費先行による赤字幅の縮小を見込んだ上で利益の数字を出しています。

2025年6月期 中間期 事業セグメント別業績

事業セグメント別の業績です。こちらは後ほどご覧ください。

今田建設のグループ加入後の状況

私どもの会社で今までで一番大型のM&Aついて、「今田建設を高いお金で買ったが、大丈夫なのか?」とみなさまが非常にご心配されていると思いますので、今田建設のグループ加入後の成績について先にご紹介したいと思います。

上期の実績は売上高が14億4,000万円、営業利益率が8.3パーセントでした。足元では大阪の地下鉄といった大型現場が、大阪・関西万博の開催に向けて3月から4月の完成を控えており、現在、施工体制を強化しています。

そのため、中間期末時点の受注残は約14億円持っています。こちらがやがて売上に上がってくるという予測と、下期では来期の受注計画を一生懸命行っていますので、比較的順調に推移しています。

住宅型有料老人ホームの開設

こちらも「老人ホームを作ったが、今、介護業界は大丈夫なのか?」というご意見もあるかと思い、先に少しご説明します。

オープンしてから2月の段階で、定員33名のところを、すでに21名の方に入っていただいています。入居率63.6パーセントで、予定より極めて早いペースで進捗しています。

中期経営計画を公表します(予定)

こちらのスライドに関しては、自分で自分の首を絞めるようですが、「やらなければいけない」と思っているため、先に公表してしまいます。

「中期経営計画は出さないのか?」とよく言われます。我々はずっと前から中期計画は作っていたのですが、上場する時に証券会社からの指導で、要は「先行きのわからないことはしゃべるな」という教育を徹底的に受けました。そのため、このようなことは公表してはいけないという思い込みがありました。

それが、最近いろいろな会社について勉強していると、我々の1,000億円規模の話を、みなさま当たり前のように「3年後こうなります。長期的にはここを狙っています」と発表されています。

そこで、我々もしっかりと中期経営計画を作成し、夏までには発表できればありがたいと思っています。

質疑応答:EBITDAの増加について

司会者:「EBITDAが非常に増えています。これは予想どおりでしょうか? それとも予想を超えているでしょうか?」というご質問です。 

尾松:感覚値で言うと3ヶ月ぐらい受注が遅れました。

そのため、その部分がやや少ないと思っていますが、おおむね予想どおりかと思っています。

質疑応答:今田建設の営業利益率の改善要因について

司会者:「今田建設の営業利益率が非常に良くなっています。要因を教えてください。」というご質問です。

尾松:これは、本来このくらいのはずなのです。前期が特別に悪い年だっただけのことだと思っているため、今が良くなっているとも思っていません。このようなものだと思っています。だからこそ投資したということです。

質疑応答:M&Aが停滞している理由と今後の計画について

司会者:「2023年の今田建設のグループ化以降、M&Aが停滞しているように見えますが、その理由と、2025年と2026年のM&Aの計画件数や目標件数を教えてください」というご質問です。

尾松:結果として、今のところM&Aは実施できていません。「M&Aに対してネガティブになっているのでしょうか?」というご質問はありませんが、仮にそのような質問だとすれば、まったくそのようなことはありません。検討している数は今までとまったく変わっていません。

案件については言える話と言えない話がありますが、制約条件が難しい案件もあります。例えば建設系で特殊な業務を行っている会社の場合、その業務に対し、我々がアプローチできるかどうかのチェックに時間がかかる案件もあります。件数はなにも変わっていませんし、規模感も変わっていないのですが、結果として今はまだできていない現実があります。

また、いけると思っていたら、実は他社とM&Aを行っていたケースもあります。想像ではありますが、おそらく他社が我々よりも高い金額をご提示されたのだと思います。このように我々としてはご縁がなかった案件もあります。

我々のスタンスはなにも変わっていません。ただし、M&Aは一方的に我々の計画どおりできるわけではなく、相手があっての話ですので、相手との関係の中で、できるものは着実に行っていきたいと思っています。

一方で、今、新聞をはじめとして、いろいろなところで「資本効率」という言葉を目にする機会が増えました。我々もそれこそROICなどは常に気にしており、資本効率について以前にも増して気にするようにはなってきています。

しかし、「では、何か変わったのか?」というと何も変わっていません。

質疑応答:本社移転の可能性について

司会者:「岐阜市では優秀な人材確保が難しいと思われますが、東京や名古屋などへの本社移転は検討されているのでしょうか?」というご質問です。 

尾松:みなさまのご期待に沿えるお答えができるかどうかわかりませんが、嘘つくわけにもいかないため、実際のところを申し上げると、我々は岐阜にこだわっています。しかし、どうしても岐阜でないといけないと思っているわけではありません。

ただし、我々は地域を創生する会社です。私は、世の中を変えていく力は中央にはないと思っています。ここは、みなさまのご意見がわかれるところかもしれません。歴史の話をするつもりはありませんが、明治維新などを見ても、都でそのような革新的なことが起きたことはありません。世の中を変えるムーブメントは必ず地方から起きてくると私は思います。

この閉塞感ある日本を、地域の中小企業のネットワークをコアに変えていくことは、地方からしかできないと私は思っています。したがって、岐阜にこだわりたいと思っています。

岐阜が田舎かと言えば、東京と比べれば圧倒的に田舎ですが、実は名古屋から電車に乗ってしまえば20分で到着します。ご指摘のとおり、結局人材は名古屋にしかいません。実際に私どももIPOをする上で、名古屋の人材を集めました。例えば、経理や会計に詳しい方は名古屋の方ですし、株主総会やこのような会を仕切れる方も名古屋の方です。

また、我々は東京の半蔵門、千代田区一番町に事務所を有しています。より専門的なことや、どうしても中央と関わらなければいけないようなことは、そちらのオフィスに人を集めてカバーできると思っています。

基本的には岐阜にこだわりたいと思っていますが、名古屋の人材と、それでも駄目な場合は東京の人材を使い、ブランチのようなかたちで進めたいと思っています。

質疑応答:「X」で公開された動画で三川土建の阿部社長が顔を隠した理由について

司会者:「先日、『X(旧Twitter)』で公開された動画で、三川土建の阿部社長が顔を隠しての登場だった理由について教えてください」というご質問です。

尾松:私は阿部社長ではないためよくわかりませんが、阿部社長が顔を隠したのは、照れ屋で顔を出したくなかったためだと思っています。

ただし、このようなご質問を受ける立場だということは、阿部社長にしっかりと伝えます。阿部社長に限らず、私どもの関連会社の社長には、「このような質問がくるから、絶対に顔を出したほうが良い」というのは言おうと思っています。

質疑応答:ガラス張り経営に対する考え方について

司会者:「上場会社としてのガラス張り経営に対する考え方をお聞かせいただけますでしょうか?」というご質問です。

尾松:私がやらなければいけない大きなミッションの1つとして、「ガラス張りの経営」をすることが挙げられます。

「ガラス張りの経営」とは何かというと、一般的に中小企業の社長というのは、社員に堂々と帳面を見せません。なぜかというと、会社のお金で高級車に乗っているなど、公私混同している会社も多いためです。

当社は、誰に見られても恥ずかしくないということで、上場する前からすべて見せていました。上場前は、毎月の会社の社内報に、部署別の売上や利益をすべてオープンにして載せていました。ただし、今それを行うとインサイダー取引になるため、決算発表後の翌月の社内報にしか数字は出さなくなりました。

経営をガラス張りにすることが、会社を強くする一丁目一番地です。つまり、社長が本当に勇気を持って、覚悟を持って経営しようと思うことが大切です。それは、気が強いとか弱いといった話ではなく、一切やましいことがない経営を行うという、おそらくこの1点だと思います。

私どもは、誰から見られてもやましくない経営を行うことにより、社長としての迫力が出て、会社も発展していくというような価値観を持っています。

これがお答えになっているかどうかわかりませんが、私はこれまでずっと、そのような価値観で「ガラス張りの経営」を行ってきました。

質疑応答:プライム市場への移行の意思や計画について

司会者:「プライム市場への移行の意思、計画の有無、計画があるのであれば、目標の時期を教えていただけますでしょうか?」というご質問です。

尾松:プライム市場には明確に行くつもりで取り組んでいます。目標とする時期については、今はここでは言えませんが、みなさまの力で株価を早く上げていただき、時価総額300億円程度になったらチャレンジできるかと思っています。早く時価総額300億円となるよう努めていきます。

3、4年で通期の売上を半期であげていることもあり、個人的にはもう少し時価総額がついても良いと思っています。そのような思いもあるため、なるべく早く時価総額300億円を達成したいですし、がんばってプライム市場へ行きたいと思っています。

質疑応答:IR発表について

司会者:「現状、貴社では他社のようなIRを発表されていませんが、今後発表する予定はありますか? 予定がない場合は、開示されない意図をご教示ください」というご質問です。

他社事例として3つ挙げていただいています。2025年1月20日に開示された証券コード「6239」のナガオカの「大口受注に関するお知らせ」、2025年2月17日に開示された証券コード「3083」のスターシーズの「系統用蓄電池事業における戦略的パートナーシップに向けた秘密保持契約締結及び協議開始のお知らせ」、2025年2月17日に開示された証券コード「4958」の長谷川香料の「連結子会社からの配当金受領に関するお知らせ」の3つです。

尾松:まず、このような発想がありませんでした。ご質問いただきありがとうございます。確かに、できる範囲でさまざまなアピールをしたほうが良いと思います。

個別に見ていくと、例えば1つ目の事例の大口受注では、当社グループは今田建設を筆頭に、年間数本は大型受注があります。それを発表しても良いのかもしれませんが、当社グループには20社の会社があります。今田建設は確かに10億円を超える工事を受注できます。

一方で、売上が5億円程度の地場ゼネコンでは、いくら大きくても2億円から3億円の受注です。そうなると、2億円、3億円の受注は公表せず、10億円の受注を公表して良いのだろうかといった、デリケートな問題もあるのではないかと直感的には感じています。

2つ目の事例についてです。協議開始と言いますか、私どものM&Aは今のところ基本的に非上場です。ご指摘の裏には、M&Aの検討を始めたなら「検討に入りました」ということを公表しても良いのではないかと、そのような意味合いも含まれているように感じます。

これについては間違っていたら教えていただきたいのですが、私は、それはしてはいけないことだと思っています。我々は、東京証券取引所の開示基準に則り、意思決定をした時点、つまり取締役会での意思決定日には、2時間以内くらいには必ず公表しています。そこは厳密に行っています。これが仮にグレーゾーンでホワイトに近いという話であったとしても、相手企業のことを考えると公表しないほうが良いのではないかというのが、私の直感的な判断です。

3つ目の事例の「配当金受領のお知らせ」というのは意図がよくわからないのですが、連結であるため業績には変化が出ないような気もします。これをオープンにすることで何か良いことがあるのであれば、かつホワイトであるならば、発表しても良い気はします。当然、配当金はもらっていますが、公表してもしなくても利益や売上には関係はないような気がします。公表は今まではしていません。

質疑応答:今後の決算説明会開催について

司会者:「今後も四半期決算のたびに、決算説明会を開催される予定ですか?」というご質問です。

尾松:いろいろな人から「やらなくていいよ」と言われれば、やめる日が来るかもしれませんが、私はなるべくみなさまとこのような接点を持ちたいと思っています。

例えば今日は、一方的ではありますが、このようにお話しすることで、私どもについて理解してもらったり、数字を見てもらったりという機会になりました。

先ほどのガラス張りの話ではありませんが、私はこのような性格であるため、何も隠さずお話しします。そのような意味合いも含め、続けられる環境がある限り、決算説明会については続けていきたいと感じています。

質疑応答:株主優待制度導入の検討について

司会者:「私見ですが、ビックカメラなどは多くの個人株主を増やして株価を向上させました。御社も、プリペイドカードやAmazonギフトカードなど、株主優待制度の導入や導入時期の検討をぜひ進めてくださいませんか?」というご質問です。

尾松:考えなければいけないのかもしれません、としか答えようがありません。株主優待については、いろいろなところからアドバイスもいただいていますし、確かにそのような効果もあると思います。

私自身が会社の大株主であることもあり、「そんなに配当とかしなくてもいいや」と今までは思っていました。しかし、やはり配当や株主優待をもっと行っていかないと、本当の意味で株主を大切にしていることにならないのではないのかと、ここ半年ほどで明確に考え方が変わってきています。

今ここで、行うとか行わないとか、配当を出すとか出さないとかということは言いませんが、社員を大事にするのと同じくらい株主を大事にしていかなければいけないということを、本当に思うようになってきました。その点だけはお伝えします。

質疑応答:リアル開催の決算説明会について

司会者:「アナリスト向けなど、リアル開催の決算説明会は行わないのでしょうか? 直接、生の声をお聞きしたいです」というご質問です。

尾松:ありがとうございます。呼んでいただければいくらでも、と思っています。呼んでいただければというか、開催すれば良いということなのでしょうが、本日のこの場についても、準備していただく人がいて開催できています。

私は「来い」と言われれば、いくらでも説明しに行きます。そのようなことで良いのであれば、いつでも行きます。

質疑応答:株価4,000円台まで回復する可能性について

司会者:「株価が4,000円台まで回復する可能性について、経営陣としてどのようなシナリオをお考えでしょうか?」というご質問です。

尾松:本質的には、やはり会社を立派にしていく以外はないと思っています。株価というのは人気投票だと思います。そのような意味では、一時的に短期間での高騰を期待され、勢いよく上がった時期があったようにも思います。

先ほどの株主優待ではありませんが、IRをしっかりと行って私どものことを好きになっていただき、それによって当社の株が欲しいという人を増やしていくのが本筋だと考えています。

その中で、冒頭にトピックスとしてお話ししましたが、2025年4月1日付で株式を3分割します。まずは流動性を高めていかなければならないということで、流動性が高まるであろう施策を随時図っていきたいと思います。

ただし、流動性を高めることで4,000円になるかというと、それは私がコントロールできることではありません。私が実現したいのは、しっかりと利益・売上を向上させ続けられるような地域の会社ができ、それによってその地域が良くなっていくことです。私は純粋にこのことについて考えており、そのためにいろいろな施策を打っています。

それがしっかりと世間に認知され、「メイホーホールディングスという会社は小さな会社だけれど、本気でチャレンジしている会社だよ」ということが投資をする方に認知されていけば、株価は上がっていくと思っています。そのための撒き餌として、いろいろな作戦はあると思います。

お答えになっているかどうかわかりませんが、そのようなことを思っています。逆に、いろいろとアドバイスをいただければありがたいです。

質疑応答:2025年6月期における営業利益予想の達成について

司会者:「2025年6月期通期予想の営業利益6億5,000万円の達成について、より具体的な数値とともに説明をお願いできますか?」というご質問です。

尾松:より具体的な数値というのは、売上と利益率だけでは足りないということでしょうか? 今は手元に資料がないため、お出しできる部分とお出しできない部分がありますが、どのような言い方をしたら良いでしょうか?

いろいろと検討し、今受けている仕事の売上が「いつまでに上がる」ということで、その分の利益を順番に足し算していき、その結果「いけるのではないか」というかたちで精査した結果が、売上高140億円、営業利益6.5億円という数字です。これについては、「いける」としか言いようがありません。

今受けている仕事が、グループ全体で何百件とあるわけです。その何百件を1件ずつ、すべて精査しているわけです。

「この仕事はいつまでにいくら売上に変わる」「この仕事は変更増になる」「これは原価収益基準ではなく、契約したら利益が乗ってくる」というように、1本ずつ見ていった結果です。

もしそれが達成できないとしたら、私どもの都合ではなく発注者の都合で、どこかに大きな変更が生じたケースです。「6月末までに売上が上がらず9月に変更させてほしい」など、といったことはあり得ない話ではないため、あるかもしれません。

「この仕事は何月にいくらで予定しています」「この仕事は何月で、受注金額がいくらで、変更増をいくらで見込んでいます」ということは、公表するかどうかはさておき、詳細な資料を1つずつ見ていくような、そのようなかたちになると思います。

それを行った結果、営業利益は達成できると思っています。お答えになっていないかもしれませんが、お許しください。

質疑応答:株式分割以外の個人投資家向けの株主還元施策について

司会者:「個人投資家向けの株主還元策として、株式分割以外にはどのような施策をお考えでしょうか?」というご質問です。

尾松:流動性を高めるということは、私の持つ株、もしくはもともと当社社員が持っていた株の比率を下げていくことだと思っています。

流動性をより高めるために、私どもが持っている株を売り、マーケットに放出するのか、新株を発行するのか、おそらくそのようなかたちをいろいろと勘案しながら、緩やかに進めていくかたちかと思っています。

質疑応答:今田建設とのシナジー効果について

司会者:「今田建設とのシナジー効果について、具体的な数値目標などをお示しください」というご質問です。

尾松:「今田建設とのシナジー効果の具体的な数値目標」というのは、意味がわからないのですが、今田建設がグループインしたことで他の会社ともくっつき、売上や利益はいくら上がりますか、というご質問でしょうか?

そこは目標値にはしていません。今田建設としての数字はありますし、当然、今田建設の得意なところと他の会社が得意なところで行き来はしているため、そのような部分で結果として数字になる部分はあります。そこに目標を立てたほうが良いのかもしれませんが、シナジー効果を数字としては考えていません。

個社の数字として、オーガニックグロースを上げる意味で、今田建設が例えば三重県尾鷲市にある東組で土木の技術を学ぶなど、そのようなことは一生懸命行っています。ただし、現状ではそこに数値目標は持たせていません。

ご指摘はおっしゃるとおりだと思います。確かに、そこのシナジーを数値目標としても良いかもしれません。そうは思います。ありがとうございます。

質疑応答:グループ全体のROICとWACCの今後3年間の見通しについて

司会者:「グループ全体のROICとWACCについて、今後3年間の見通しをお聞かせください」というご質問です。

尾松:そちらは、夏頃に行う説明会でご説明します。

質疑応答:のれん償却負担軽減のためのIFRS導入について

司会者:「のれん償却負担軽減のためのIFRS導入について、具体的なスケジュールはありますか?」というご質問です。

尾松:今年はIFRSについてかなり勉強しました。結局は、償却しなければいけないことに変わりはない、ということになっています。絶対に導入するとか導入しないという話にはなっていませんが、学んだ結果、IFRSを入れればすべてがバラ色かというと、そうでもないということがわかりました。かつ、費用増もありますし負担増もあります。

そのような中、今のIFRSでは確かにのれんはありません。ただし、例えば2年続けて赤字だった場合、一気に落とさなければいけなくなります。そのような時に耐えられるのかどうかなどの検討も必要です。IFRSは勉強しましたが、バラ色だとも思っていません。

質疑応答:「弾み車」を回転させる具体的な施策について

司会者:「『弾み車』を本格的に回転させる具体的な施策と、その効果の数値目標をお示しください」というご質問です。

尾松:数値目標はないです。ないと言いますか、わかりません。「弾み車」を回したことで売上が倍になるとか3倍になると言えるのであれば、逆に私が教えてほしいです。

ただし、「弾み車」の肝は、アナリストの方々と経営者との感覚は違うのかもしれませんが、本当に社員一人ひとりです。もっとはっきり言うと各会社の社長および番頭、もしくはトップ1人でも良いです。各会社の社長のマインドで決まります。

先ほどのガラス張りもそうですが、その方のマインドを、私どもの価値観とぴったり合わせることができるか否かです。そこさえできれば、間違いなくその会社はオーガニックグロースしていくと、私は自信を持っています。

すべての会社のオーガニックグロースが実現すれば、「弾み車」のとおりになると思います。私どもが一生懸命行っているのは、数値目標の追求ではありません。経営トップが会社の発展やうわべの数字の追求をやめて、社員にとって本当に良い会社を作っていけば、会社は絶対に伸びます。

あまりにうわべの数値目標を追いかけすぎると、社員を足蹴にしてでも会社の数字を作りにいくため、うわべの数字は伸びても、長い目では成長しません。したがって、短期の利益を追いかけることが目的だとすると、私はあまり良い話をしていないのかもしれません。

私どもは、グループインしていただいた会社が、50年後も100年後も続き、なおかつ発展してほしいと願っています。建設業であれば建設業以外にもいろいろな生業を持ち、その地域でコアな会社としてがんばっているような会社に育てていかなければいけないと思っています。

そのような意味合いでは、社長のマインド、攻める心とか、戦う気持ちとか、勇気を持つとか、抽象的なことばかりと思われるかもしれませんが、しかしそこを各社の社長の深いところまで落とさない限り、会社は伸びないのです。今までと同じ理屈で同じように田舎で建設業を行っているとすれば、絶対に会社は大きくならないのです。

会社を大きくしていくには、短くとも3年くらいかけて、そこのマインドを一致させていくことです。それによって、会社というのはそこからは例外なく成長していきます。したがって、そのような部分が「弾み車」の一番の肝かと思います。

質疑応答:売上高300億円達成への時間軸と実現プロセスについて

司会者:「中期経営計画で示される売上高300億円達成への時間軸と実現プロセスをご説明ください」というご質問です。

尾松:実現プロセスは、今お話しした「弾み車」に集約できると思っています。1社1社のオーガニックグロースに加えて、新たな会社のM&Aというかたちになると思っています。

中期経営計画は3年で作ります。そのくらいの時間軸で進めていけると良いとは思っています。まだ詳しくはお話しできない内容であるため、中期経営計画で明確に公表します。8月まであと6ヶ月です。もう少しお待ちください。

質疑応答:投資家への情報開示の充実について

司会者:「投資家への情報開示について、四半期ごとの開示内容をより充実させる予定はありますか?」というご質問です。

尾松:それは逆に教えてほしいです。私は、充実させていきたいと考えています。

私どもの場合、今期ののれんと減価償却で4億円弱だったと思います。EBITDAとの差ということになります。今の私どもの規模ですと、個人投資家のみなさまから応援してもらうしかないと思っています。

個人投資家のみなさまに「3.8億円ののれんと減価償却があります。ですので、実際にはキャッシュがあるためぜんぜん厳しくないのです」と話をすると、「あ、そうなんですね」で終わります。

ただし、一般の投資家のみなさまの場合、おそらくこの話を理解できる方とできない方に分かれると思います。そのような部分を、ぜひなんらかの方法でアピールできる方法があるのであれば、教えていただきたいです。積極的に行っていきたいと思っています。

質疑応答:売上高1,000億円達成時の株主価値について

司会者:「最終目標である売上高1,000億円達成時の株主価値について、経営陣のビジョンをお聞かせください」というご質問です。

尾松:株主価値というのはどのような意味合いでしょうか? 申し訳ありませんが、私が株主価値について知識がないため、後ほどなんらかの方法でお答えします。ただし、1,000億円と言っていますが、実際には1,000億円とは思っていません。私は、さらに上の数字を考えています。

ご質問の趣旨とは別になりますが、最終的な目標は1,000億円とは考えていません。日本の中小企業がネットワークを作り、活性化し、この国をもっと活気のある国家にしたいというのが私の思いです。1,000億円程度ではやっと入口に立ったくらいとしか思っていません。あまり言うとほら吹きにもなるため、1,000億円と言っています。ほら吹きになってもけっこうですが、私はそのような思いのために一生懸命取り組んでいます。