連結損益計算書
髙智亮大朗氏:株式会社コスモスイニシア代表取締役社長の髙智亮大朗です。11月8日公表の資料に沿って、2025年3月期第2四半期決算概要を説明いたします。
2025年3月期第2四半期決算の連結損益計算書です。売上高は626.4億円、営業利益は59.2億円、経常利益は52.7億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は35.0億円となりました。前年同期比では、主にソリューション事業・宿泊事業が全体業績をけん引したことで、大幅な増収・増益を達成しました。
連結損益計算書(セグメントサマリー)
セグメント別の決算概要です。前年同期比では、前述のとおり、ソリューション事業・宿泊事業を中心に、全事業において増収・増益を達成しています。各セグメントの詳細については、後ほどご説明します。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。前期末と比較し、仕入れが進捗したことにより、棚卸資産が70.5億円増加しました。また、利益剰余金の増加による純資産の積み上がりにより、自己資本比率は28パーセント程度まで改善しました。
下段の表にて、第2四半期末時点で保有している棚卸資産の売上高想定内訳をお示ししています。新築マンション・一戸建、及び収益不動産等を中心に、合計2,299億円相当を保有しています。
仕入については、引き続き建築コストの上昇が続く厳しい環境ではありますが、情報ルートの深耕や仕入手法の工夫などを通して、採算性と物量の確保を両立させていきたいと考えています。
業績予想の修正
2025年3月期通期の業績予想です。宿泊事業の好調な推移を踏まえ、今年5月に公表しました利益予想を上方修正しました。修正後の業績予想は売上高1,340億円、営業利益は期初予想比プラス10億円の90億円を見通しています。経常利益以下、各段階利益も期初予想比で増益見込みです。
業績予想の修正(セグメントサマリー)
セグメント別の業績予想です。宿泊事業は、前述のとおり好調な進捗を踏まえ、期初予想比で増収・増益となりました。
レジデンシャル事業は、豪州での開発物件の引渡遅延、及び棚卸資産評価損を計上したこと等により、期初予想比で減収・減益となりました。
ソリューション事業・工事事業は、期初予想より変更ありません。
各セグメントの詳細については、この後の「セグメント情報」にてご説明します。
また、下段には、売上高のうち、不動産販売による商品種別の売上高の内訳、及びセグメント別の売上高構成比をお示ししています。
業績予想に対する第2四半期実績
通期業績予想に対する第2四半期までの進捗です。当期第2四半期においては、不動産販売の物件引渡を一定程度上半期中に行えたことに加え、ソリューション事業の収益不動産等販売において上半期に収益性の高い物件の引渡があったこと等により、進捗率は売上高で46.8パーセント、営業利益で65.9パーセントと、前期水準を上回るペースで順調に進捗しています。
中期経営計画2026 経営目標に対する進捗
中期経営計画2026の経営目標に対する進捗です。中計最終年度に掲げた経営目標のうち、営業利益率はすでに達成し、当期はそれを上回る見通しです。引き続き収益力・財務基盤の強化に努めることで、経営目標の確実な達成を目指してまいります。
株主還元
株主還元です。利益予想の上方修正を踏まえ、2025年3月期の1株当たり年間配当金は、期初の配当予想から3円増配し、29円としました。前期比では9円の増配となり、持続的な増配を継続しております。なお、期初に公表のとおり、当社が2024年2月に創業50周年を迎えたことから、記念配当の実施を予定しています。
セグメント情報
セグメント情報です。当社は、レジデンシャル事業、ソリューション事業、宿泊事業、工事事業を展開しています。
2025年3月期 事業環境認識
前述の業績予想策定にあたり、前提としました進行期における当社の事業環境認識をご説明します。
レジデンシャル事業、ソリューション事業については、住宅購入や不動産投資に対する需要は引き続き堅調に推移するとみています。一方で、建築費や金利の動向等、収益性に影響のある事象には注視が必要と認識しています。
宿泊事業については、インバウンド需要は急拡大しており、それに応じた国際線の増便もみられるなど、宿泊需要はさらなる増加が期待できると考えています。一方で、観光業界の人手不足等に起因する各種問題や、地政学リスクの高まりによるインバウンド需要の減退には注視が必要と認識しています。
工事事業については、コロナ禍をきっかけとした働き方の変化やオフィスニーズの多様化により、企業のファシリティマネジメントに対する需要は堅調に推移するとみています。一方で、資材価格・労務費の動向には注視が必要と認識しています。
レジデンシャル事業
レジデンシャル事業の2025年3月期第2四半期実績と通期予想です。第2四半期は、「売上高201億円、営業利益6.9億円」となりました。豪州での開発物件の引渡遅延、及び棚卸資産評価損の計上がありましたが、国内不動産販売の売上高・収益性改善等により、前年同期比で増収・増益となりました。
豪州での分譲住宅開発物件の状況について補足しますと、豪州では資材価格や労務費の高騰等を要因とした建築費の上昇影響が日本以上に大きくなっています。また、新築住宅を供給する事業者側に課せられる新たな法規制の施行も重なり、許認可取得に追加的な時間を要することとなりました。
このため、分譲住宅の開発において、追加的な費用と期間が課せられることとなり、プロジェクトの採算性にマイナスの影響が生じる見通しとなったことから、この度一部のプロジェクトで評価損を計上いたしました。今後も予断を許さない状況ではありますが、外部的な環境の変化などにも留意しながら、プロジェクト管理を進めてまいります。
通期予想は、新築マンション・一戸建販売の売上高増加等により前期比で増収・増益となる「売上高489億円、営業利益18億円」を見通しています。
なお、期初予想比ではマイナス7億円の減益となりますが、前述の豪州における棚卸資産評価損の影響を除くと、概ね期初の想定どおりの着地を見込んでいます。
レジデンシャル事業
レジデンシャル事業における、引渡数などの主要指標です。2025年3月期第2四半期は、新築マンションは売上高・売上総利益率ともに前年同期比で改善となりました。
リノベーションマンションは、前年同期比で減収となる一方で、売上総利益率は改善いたしました。売上総利益率については、資材・労務費の上昇や競合環境の激化等により前期に低下しましたが、都心部への供給シフトなどが奏功し上昇に転じています。
通期予想は、新築マンション・リノベーションマンションともに、売上高、及び売上総利益率が前期比で改善する見通しです。
レジデンシャル事業
契約進捗率については、第2四半期末時点で新築マンションは8割超、リノベーションマンションは4割超となっており、順調に積み上げが進んでいます。
完成在庫については、建物竣工後の販売がメインとなる、シニア向け新築マンション「ザ・福井タワー イニシアグラン」が当期第2四半期中に竣工したこと等により、前期末比で増加しました。
レジデンシャル事業
レジデンシャル事業における当期第2四半期のトピックスです。リノベーションマンションは都心部への供給シフトを推進し、デザイナーズホテルのような空間に暮らす「INITIA & Renovation ID」シリーズなど高価格帯の販売を強化しました。
ベトナムでの分譲住宅開発事業の第1号物件である「TT AVIO(ティーティーアビオ)」の起工式を2024年8月に開催しました。総戸数1,800戸超と大規模プロジェクトとなりますため、竣工予定は2028年度と少し先になりますが、販売活動は当期より開始する予定です。現地パートナー企業との戦略的パートナーシップのもとでしっかり推進してまいります。
また、創業50周年記念物件「イニシア京都御所南」のHPを公開し、販売を開始しました。目指したのは、住み続けることでアンティークになる家、です。日本の美意識である侘び寂びをデザインコンセプトに京の街並みを継承しつつ、この先の新たな姿を創造する住まいを提案しています。
ソリューション事業
ソリューション事業の2025年3月期第2四半期実績と通期予想です。第2四半期は、「売上高250億円、営業利益30.7億円」となりました。収益不動産等販売の売上高・収益性改善等により、前年同期比で増収・増益となっています。
通期予想は、収益不動産等販売の収益性改善等により前期比で増収・増益となる「売上高494億円、営業利益39.0億円」を見通しています。
ソリューション事業
ソリューション事業における、引渡数などの主要指標です。2025年3月期第2四半期は、一棟物件の売上高・売上総利益率ともに、前年同期比で改善となりました。売上総利益率の改善要因としては、相対的に収益性の高い新築開発物件の割合が多かったことが挙げられます。
また、住宅サブリースについては、受託戸数は減少となった一方で、空室率は3パーセントを下回って推移しており、引き続き好調な稼働を維持しています。
通期予想は、一棟物件の売上高は前期比で減収を見込むものの、売上総利益率については、前期にあった低収益物件の計上の反動等から、前期比で回復する見通しです。
ソリューション事業
ソリューション事業における当期第2四半期のトピックスです。
知的障害のある作家の描くアートをさまざまなビジネスへ展開するヘラルボニーと協業したプロジェクト「コスモグラシア街並みアートプロジェクト」を始動しました。
「彩り」をコンセプトに描き下ろされたアート作品を工事現場の仮囲いにラッピングすることで、工事期間中の閑散とした景観を鮮やかに彩り、工事に従事される方々や周辺にお住まいの方々のストレス緩和や、新しい街への期待感を醸成しています。また、描き下ろし作品を使用し、竣工後はアップサイクルすることで、アート作品として長い期間楽しめることに加えて、作家に対してより多くの使用料還元機会を提供しています。
シェアオフィス「MID POINT」においては、第9号店となる「MID POINT市ヶ谷」を開業しました。「MID POINT」は「住居と職場の中間点」「企業の成長過程における新たなステージへの通過点」をテーマとしたシェアオフィスです。心地よいラウンジと集中できる個室などデザイン性の高い空間を創出しながら、ゆるやかなコミュニティ形成や利用者間のコラボレーションも促進してまいります。
宿泊事業
宿泊事業の2025年3月期第2四半期実績と通期予想です。第2四半期は、インバウンド需要の増加とレベニューマネジメントの徹底による施設運営の収益改善に加え、高収益施設の引渡があったこと等により、前年同期比で増収・増益の「売上高117億円、営業利益34.3億円」となりました。
通期予想は、施設運営の好調な事業環境の継続を見込み、前期比で増収・増益となる「売上高236億円、営業利益63億円」を見通しています。
宿泊事業
宿泊事業におけるアパートメントホテルの運営状況です。2025年3月期第2四半期は、平均客室単価が前年同期比20パーセント増加の4.8万円、客室稼働率は73.2パーセントとなりました。通期予想は、平均客室単価・稼働率ともに第2四半期までの好調な水準が維持されることを見込んでいます。
右上に移りまして、宿泊者の国籍別内訳です。2025年3月期第2四半期は、宿泊者の95パーセント超が外国籍であり、宿泊者全体の内訳としましてはお示ししています円グラフのとおり、アジア圏が52パーセント、アジア圏以外が48パーセントとなっています。前期比では、北南米を中心にアジア圏以外の割合が増加している傾向です。
宿泊事業
宿泊事業における、施設数・室数や施設一覧です。アパートメントホテルの施設数・室数については、2025年3月期第2四半期末では、開業前を含めて31棟1,678室となり、前期末比で60室程度増加しました。
当期末時点では、休業中施設の売却に伴い、一時的に減少する見通しですが、需要拡大余地の大きい東京・大阪エリアの新規出店に継続して注力しつつ、地方圏への展開も検討を進めていくなど、将来的には運営室数3,000室を視野に、今後も事業拡大を図ってまいります。
宿泊事業
宿泊事業における当期第2四半期のトピックスです。「KURO-GO(クロゴ)」という、訪日外国人家族の不便解消サービスをスタートし、第1弾として、東京エリアの「MIMARU」と、羽田・成田空港間の手荷物を当日配送するサービスの提供を開始しています。
手荷物の多い入国・帰国時やお子さまと一緒の電車移動、観光地での滞在を身軽にし、快適な移動をサポートし、手ぶら旅を推奨することで、街なかや交通機関の混雑緩和にも貢献したいと考えています。
今後は、京都や大阪エリアの「MIMARU」と関西空港間や、東京エリアの「MIMARU」と京都・大阪エリアの「MIMARU」間など、配送対象範囲の拡大を図り、入国から帰国までの荷物移動の不便解消を目指してまいります。
また、「みんなが安心して泊まれる」ホテルを目指し、障がいのある方・医療的ケア児の家族旅行を応援するため、必要備品やサービスを改善し、受入体制を強化しました。
具体的には、医療的ケア児を持つご家族の意見をもとに、宿泊時に必要な備品のご用意や、医療ケア児や障がいのある方のご予約の際に「コミュニケーションシート」にてご要望の確認を実施しています。
公式ホームページ内に専用のご案内ページ開設を行っております。
さらに、運営子会社の全取締役・従業員がユニバーサルマナー検定3級を取得し、難病と闘う子どもたちを応援するボランティア団体への宿泊支援を開始しています。
工事事業
工事事業の2025年3月期第2四半期実績と通期予想です。第2四半期は、建築・リノベーション工事の受注が増加したこと等により前年同期比で増収・増益の「売上高57億円、営業利益0.5億円」となりました。
通期予想は、前期比で増収・増益の「売上高125億円、営業利益3.0億円」を見通しています。
工事事業
工事事業における当期第2四半期のプロジェクト実績とトピックスです。
総務アウトソーシング新商品である「ちょい投げオンラインサービス」の提供を開始しました。他企業での常駐事務経験があるスタッフが、事務作業を月30時間からオンラインで代行する新サービスとなります。安定したアウトソーシング先や、期間限定で依頼したいニーズに対応しています。
総務アウトソーシング事業を通じて、オフィス事業・建築事業へのトスアップによるシナジー創出や、より強固な顧客関係構築に引き続き注力してまいります。
デジタル推進
その他の当期第2四半期のトピックスです。
デジタル推進の取り組みについてご紹介します。
1つ目は、新たな旅行体験の実現に向けて、アパートメントホテル「MIMARU」にて、Web3を活用した実証実験を開始しました。実証実験の内容としては、NFT会員証への荷物配送サービス申込・本人確認機能やパスポートの事前登録機能の搭載、サービスをご利用いただく宿泊者に対してのステーブルコイン(仮想通貨)付与、ホテル利用者の煩雑な手続き削減・本人確認プロセスにおける顧客体験価値の向上及びNFTやステーブルコインの受容度などの検証が挙げられます。
ユーザー情報や予約情報を安全かつ効率的に記録できるWeb3を活用することで、旅行者の煩雑な手続きを削減し、さらなるスムーズな旅行体験の実現を目指してまいります。
2つ目は、不動産小口化商品への電子契約システムの導入になります。契約業務の効率化を目的に「Musubell」を導入し、業務効率化に加え、労務・郵送コスト等の削減を実現しています。
3つ目は、分譲マンションの定期点検における手続きのシステム化になります。ペーパーレス化・業務自動化の推進による業務効率化を実現し、顧客の利便性向上を目指しています。
ESG経営の実践
次に、ESG経営の実践についてご紹介します。
1つ目は、収益不動産3物件で、環境認証「CASBEE不動産」のSランク、Aランクを取得しました。収益不動産において、新たに3物件が認証を取得しています。
2つ目は、新築マンション「イニシア日暮里」にてサステナビリティを考えた各種取り組みを推進しました。人に地球にやさしい住まいを目指し「ZEH Oriented」と「ZEH-M Oriented」の双方を取得しています。
また、建物の設備・仕様や認証の取得に加えて、将来にわたり「持続」を可能にするよう環境配慮を促すため、「ごみの居場所」を明示して楽しくリサイクルするごみ置き場のデザイン、高耐久仕様を取り入れた18年周期の長期修繕計画実装、マンション管理への「第三者管理方式」選択、入居者向けの「防災セミナー」や「マンション防災マニュアル」作成の実施、電気自動車の普及に備えて駐車場に「電気自動車用充電コンセント」設置、といった「仕掛け」を採用しています。
ESG経営の実践
続きまして、3つ目です。湘南エリアでのリノベーションマンション販売事業を通じて、ビーチクリーン活動を今上半期も実施しました。活動で回収した海洋プラスチックからアップサイクルしたタイルをリノベーションマンションの室内装飾に使用しました。また、社員やその家族での活動に加え、湘南の中学生向けに海洋プラスチック問題の校外学習を実施しました。
4つ目は、帝京平成大学との共同研究での、ヘルスキーパーによる施術の有効性の検証です。検証により、肩こりなどによる労働生産性の損失が、ヘルスキーパーによるマッサージなどの施術によって軽減される可能性が提示されました。
5つ目は、グループ共通のESGテーマの1つとして、「次世代を担う子供や若者」の育成支援を掲げてスタートした「Next Generation Challenge」を昨年度に続いて実施したことです。これは、当期純利益の2パーセント程度をESG投資に充当することを企図し、全グループの従業員を対象とする取り組みです。
「2024年度グッドデザイン賞」 3プロジェクト受賞
次に、「2024年度グッドデザイン賞」についてです。今回、当社からは計3プロジェクトが受賞しました。受賞プロジェクトは、室内外の動線上に居住者同士が共有できるさまざまな居場所を設けた「イニシア芦屋レジデンス」、跳ね出しバルコニーを住居ごとに独立させた「コスモグラシア蔵前テラス」、古材を活用した買取再販リノベーションマンションとなります。今回の受賞で受賞累計54プロジェクトとなりました。ニュースリリースはこちらとなります。
以上、2025年3月期第2四半期決算概要の説明を終わります。ありがとうございました。