目次

小川哲史氏:本日はお忙しいところ、ご参加いただきありがとうございます。太平洋工業代表取締役社長の小川です。

これより、2025年3月期中間期決算説明会を始めます。本日のご説明内容はご覧のとおりです。

1-1 中間期 連結業績

それでは、業績をご説明します。

当社グループの中間期の売上高は995億円、営業利益は49億円、経常利益は64億円、純利益は53億円となりました。

1-2 連結売上高 増減要因

売上高は、円安の進展による為替換算差などのプラス影響はありましたが、日本、アメリカでの一部車両の生産停止や、新車型の金型売上の減少による販売物量の減少、海外での販売価格改定などの影響があり、減収となりました。

1-3 連結営業利益 増減要因

営業利益は、販売物量の減少、販売価格の低下といった販売面のマイナスに加え、原価面では黄銅材などの材料価格上昇や、円安ユーロ高によるTPMS用IC輸入価格の上昇など、材料価格の影響、プレス新工場稼働に伴う労務費・経費の増加により、減益となりました。

1-4 連結事業別セグメント

事業別セグメントをご説明します。

プレス・樹脂事業では、販売物量減少の影響により、売上高は減少し711億円、営業利益は物量減少に加え、償却費増加などにより減少し、22億円となりました。

バルブ事業においては、物量は減少しましたが、円安の影響により、売上高は前年並みの283億円、営業利益は償却費の減少などにより増加し、26億円となりました。

1-5 連結地域別セグメント

地域別セグメントでご説明します。

日本の売上高は、物量の減少により333億円、営業利益は、物量減少に加え、償却費増加などにより20億円となりました。

欧米の売上高は、円安の影響により488億円、営業利益は、償却費の減少などにより16億円となりました。

アジアの売上高は、物量の減少により173億円、営業利益も、物量の減少により9億円となりました。

2-1 2024年度 連結業績予想

次に、2024年度通期予想についてご説明します。

中間期の実績と外部環境変化を踏まえ、通期の業績予想を修正しました。

売上高は1,970億円、営業利益は110億円、経常利益は135億円、当期純利益は105億円に見直しています。

想定為替レートは、第3四半期以降1ドル150円から145円へ見直しています。また、為替感応度は、1円につき、年間1億円となっています。

2-2 通期 連結売上高 増減要因

通期の売上高は、円安の進展による為替換算差など、プラス影響はありますが、生産台数減少や金型売上の減少による販売物量の減少、海外での販売価格改定などにより、減収を予想しています。

2-3 通期 連結営業利益 増減要因

通期の営業利益は、販売物量の減少、販売価格の低下といった販売面のマイナスに加え、原価面では、黄銅材の価格上昇や、円安ユーロ高によるTPMS用IC輸入価格の上昇など、材料価格の影響、プレス新工場稼働に伴う労務費・経費の増加により、減益を予想しています。

2-4 通期 連結事業別セグメント

通期の事業別予想については、プレス・樹脂事業の売上高は、販売物量減少により1,411億円、営業利益は、物量減少や償却費の増加などにより65億円と予想しています。

バルブ事業の売上高は、販売物量の減少により556億円、営業利益は、償却費の減少により45億円と予想しています。

2-5 通期 連結地域別セグメント

通期の地域別予想については、日本の売上高は、前年並みの670億円、営業利益は、労務費・経費・償却費の増加などにより42億円と予想しています。

欧米の売上高は、物量の減少により932億円、営業利益は、物量減少、労務費増加により36億円と予想しています。

アジアの売上高は、物量の減少により368億円、営業利益は、物量は減少しましたが、償却費の減少により25億円と予想しています。

2-6 四半期別 連結業績推移

売上高と営業利益の四半期別推移についてご説明します。

昨年度の第4四半期以降、一部車両の生産停止などにより、販売物量が減少し、売上・利益は減少しています。特に、2024年度の第2四半期は、日本、アメリカでの車両生産停止、金型売上減少が重なり、減少幅が大きくなっています。

2-7 連結設備投資・減価償却費

設備投資は、生産準備や改善、更新といった通常投資に加えて、将来の成長に向けた投資を行っています。

2024年度は、国内では、金型工場、バルブ新工場、開発センターの建設、アメリカでは、プレス生産能力増強のための新工場建設投資を含めて、320億円の設備投資を予定しています。

2-8 連結貸借対照表

連結のバランスシートについては、2024年3月末と比較し、2024年9月末の総資産は、170億円減少しました。

なお、政策保有株式の保有残高は、みなし保有株式を含めた純資産比率が、2024年3月末22.7パーセントから、9月末には16.8パーセントに減少しています。

3-1 中期経営計画 NEXUS-26 進捗

ここからは、中期経営計画「NEXUS-26」の進捗をご説明します。

「NEXUS-26」では、2026年度を最終年度として、財務価値目標と非財務価値目標を設定しています。

それぞれの目標についての進捗はご覧のとおりです。先ほど通期予想でもご説明したとおり、2024年度は一旦減収減益となりますが、目標の達成に向けた取り組みは順調に進んでいます。

3-2 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組みについては、ROEとPERの向上を実現することで、PBR1倍以上の達成をめざしています。

ROE向上に向けては、まずは事業の収益体質、基盤を強化することが重要と考えています。後ほど、それぞれの戦略でご説明します。

加えて、投資効率や資本効率の向上も必要であると考えています。各事業での拡販推進による投資回転率の向上に加え、投資判断する際には、資本コストを基準とした検証を行っています。また、資本効率を高めるため、機動的な自己株式取得の実施等、株主還元を充実していきます。

PERの向上に向けては、当社の成長戦略を十分にご理解いただけるよう、IRでの各事業戦略のご説明や、デジタルや人財戦略も含めた、財務・非財務面の開示を充実すること、サステナビリティ経営の推進による、事業リスクの低減と機会の拡大を進めていきます。

3-3 株主還元方針

株主還元方針は、配当性向の基準を30パーセントとし、加えて、機動的な自己株取得を実施することで還元を充実していく方針です。

2024年度の配当は年間52円を予定しており、昨年の特別配当を除く普通配当50円から、2円の増配と、安定的、継続的な配当を行っています。

自己株取得については、株主還元と資本効率の向上、機動的な資本政策の遂行を目的としており、今年度は20億円を実施しました。

3-4 事業別進捗:プレス事業

ここからは事業ごとの進捗をご説明します。

プレス事業では、技術、製品の開発や拡販は順調に進んでおり、売上の拡大に向けた生産体制の構築を推進しています。加えて、超ハイテン技術を活かした電動車向け新製品や既存プレス部品の拡販による、受注の拡大を進めています。

昨年立ち上げたプレス新工場は、順次稼働率を上げていき、来年度後半には利益に寄与する見通しです。 また、グローバルマザー工場として、ノウハウの横展開を行うことでグループでの付加価値の最大化を図ります。

アメリカでの新規受注も増加しているため、工場建設とプレス機の導入を行い、生産能力を増強する計画です。

3-5 事業別進捗:樹脂事業

樹脂事業についても、バッテリーEV向けの製品開発、拡販が進んでおり、物量増加に向けた生産体制の構築に取り組んでいます。今後のバッテリーEV動向も見極めながら、各地域で、需要に合った生産能力の増強を進めていきます。

また、来年稼働予定の開発センターにおいては、共創空間をテーマにして、試作・評価を一体的に進めることで、開発のスピードアップを図ります。防音技術、加飾技術を強化して、競争力の強化を進めています。

3-6 事業別進捗:バルブ事業

バルブ事業では、熱マネジメントシステム用、電子膨張弁をはじめとした、電動車向けバルブの開発、拡販を進めています。

今後の電動化に伴う市場拡大を見据え、事業拡大と競争力強化のため、電動車向けバルブを生産する工場を建設しています。

また、今後の電子膨張弁の事業展開については、細かな制御仕様に適した製品開発による バリエーション展開を進めており、複数のバルブを複合的に組み合わせたモジュール開発も可能であることから、お客さまのニーズに柔軟にお応えすることで採用拡大につなげていきたいと考えています。

加えて、中長期的に成長が期待されるバッテリーEV向けのバルブ新製品として、バッテリーパック内で、ガス発生時に圧力が過大にならないよう、素早く開放するためのバッテリーパック用リリーフバルブを開発しています。

当社はグローバルシェア8割を誇るカーエアコン冷媒用リリーフバルブや、水素用リリーフバルブのノウハウを活かして開発を進めており、採用拡大に向け、OEMへの提案を行っていきます。

3-7 事業別進捗:新事業

新事業では、モビリティ領域以外の柱を作っていくため、社会課題解決に結びつくビジネスを軸に、新しい発想で、多様な商品を開発しています。

これまでリリースした商品については、Webマーケティング等、製品特性に合わせた拡販活動で、売上の増加を図っています。

また、自社リソーセスによる開発を進める一方で、オープンイノベーションの活用も進めています。社内公募型の新規事業創出プロジェクトや、外部との協創による価値創造をめざした新組織を設置して、新しいアイデアをスピーディに事業化する取り組みを進めています。

今後も新商品・新事業への挑戦を継続していきます。

3-8 デジタル戦略の進捗

デジタル戦略は、DX・デジタル化、人財育成、サイバーセキュリティの3本柱で競争力を高めていく戦略です。スマートファクトリーをはじめとして、製造・物流、事務スタッフの業務など、社内の業務効率化を進めています。

昨年、稼働を開始した新プレス工場では、デジタル部門による自社開発システムで生産設備・ラインの稼働状況を見える化して、現場改善に活用しています。

また、全社的に階層別のDX人財育成も進めています。デジタルリテラシーを底上げし、利活用を促進することで業務の効率化を図っています。

さらに、社内のAIエンジニアで、部門を超えたワンチーム体制とするAIエキスパートチーム体制を構築することでグループ内の課題解決支援による改善の促進や、新事業などでAIの活用を促進して、価値創造に寄与するよう取り組んでいます。

3-9 人財戦略の進捗

人財戦略は、パーパスを実現するための重要な取り組みであると考えており、昨年より実施している、従業員エンゲージメント調査の肯定的回答率を指標として、2023年度実績48.2パーセントに対して、2026年度は60パーセント、2030年度には70パーセントをめざしています。

当社では、エンゲージメントを全社的に向上していくために4つの重点取組みをテーマアップしています。

「経営ビジョンへ共感してもらうこと」「上司や同僚との信頼関係を構築すること」「仕事にやりがいを感じられるようになること」「成長、学びを実感できること」、これら4つの重点取組みを推進することで、従業員エンゲージメントを高めて、事業の成長、企業価値の向上につながる、という好循環を生み出していきたいと思います。

3-10 サステナビリティ

企業価値の向上に向け、サステナビリティの取り組みや事業リスクの低減、情報開示の充実を推進しています。

カーボンニュートラル実現をめざした太陽光発電の積極導入や、CO2排出量削減、ウレタン製品の端材をアップサイクルにする取り組みも含めて、4つのサステナビリティテーマである、「ステークホルダーとの信頼醸成」「製品を通じた社会・顧客課題の解決」「環境負荷の極小化」「人財の尊重と活躍」について、KPIを定めて取り組みを進め、情報開示を行っています。

これらのサステナビリティ、ESGへの取り組みと開示状況をご評価いただき、GPIFが採用する国内株ESG指数、6つのうち5つで採用されています。

今後も、パーパスである「思いをこめて、あしたをつくる」を追求し、サステナビリティ経営を進め、企業価値の向上をめざしていきます。

引き続き、みなさまのご理解をいただきますよう、よろしくお願いします。

以上で、ご説明を終わります。