目次

橋本宗之氏(以下、橋本):Sansan株式会社CFOの橋本です。当社の決算説明会にご参加いただきましてありがとうございます。私より2025年5月期第1四半期の実績についてご説明します。

第1四半期実績ハイライト

2025年5月期第1四半期実績のハイライトについてです。1点目、売上高は前年同期比27.7パーセント増、調整後営業利益は前年同期比44.4パーセント増となり、公表している業績予想に対して順調に進展しました。

2点目、営業DXサービス「Sansan」は、前期に実施した人材採用やその後の人材育成などの効果により契約件数の増加ペースが加速し、売上高は前年同期比15.5パーセント増と堅調に推移しました。

3点目、インボイス管理サービス「Bill One」においては、売上高が前年同期比82.8パーセント増となり高成長が継続したほか、新サービス「Bill One経費」の提供を開始しました。

経営成績の概況

全社の経営実績はスライドのとおりです。売上高は前年同期比27.7パーセントの増収となりました。売上総利益率は、相対的にまだ利益率が低い「Bill One」の構成比が高まったことにより0.1ポイント低下しましたが、「Bill One」の利益率自体は改善が続いています。

調整後営業利益は、オフィス移転に伴う地代家賃・移転関連費用等の増加や採用強化による人件費の増加はあったものの、売上高の伸長により前年同期比44.4パーセントの増益となりました。

経常利益以下の段階利益の詳細については8ページにてご説明しますが、株価条件付ストックオプションに関わる費用計上額が増加したことなどから減益となりました。

調整後営業利益の増減要因

調整後営業利益の増減要因についてご説明します。前期に実施した積極的な人員採用により、人件費が前年同期比で約9億9,900万円増加したほか、オフィス移転に伴い一定期間生じる二重家賃や移転にかかる一時的な費用などにより、地代家賃・移転関連費用が前年同期比で約4億6,300万円増加しています。

また、広告宣伝費も前年同期比で約5,900万円増加したものの、売上高広告宣伝費率が11.3パーセントにとどまったことなどにより販管費率が低下し、調整後営業利益は前年同期比で約6,300万円の増益、利益率は0.3ポイントの改善となりました。

なお、2025年5月期より、これまで「その他の販管費」に含めていた法定福利費を人件費に含める変更をしています。そのため2024年5月期の実績も遡及して変更しています。

調整後営業利益の進捗状況

当社の調整後営業利益の傾向についてご説明します。当社の売上高はストック売上高が中心であるため、四半期が経過するにつれて徐々に積み上がり、その規模が大きくなっていくビジネスモデルとなっています。

またここ数年は、上期に多くの広告宣伝費を使う傾向にあることから、調整後営業利益は下期に偏重しやすくなっています。

2025年5月期においても同様の計画としていることから、当第1四半期の調整後営業利益は業績予想に対して順調な進捗となっています。

株式報酬関連費用について

株式報酬関連費用が増加した要因についてご説明します。当社では、株主のみなさまとの一層の価値共有を図ることなどを目的に、当社役職員に対して複数のストックオプションを発行しています。

その一部は、当社株価があらかじめ定めた水準に到達することを権利行使条件とした、株価条件付のストックオプションとなっており、その費用は株価水準等に応じて変動する会計処理となっています。

具体的には、株価が権利行使可能期間中に、権利行使条件に到達した場合は全額を費用化し、そうでない場合は四半期末の株価水準等に応じて一定の金額を費用化していくこととなっており、これまでは株価水準等に応じて一定の金額を株式報酬費用として計上してきました。

今回、当社株価が2022年に発行した第7回および第9回のストックオプションの権利行使条件を上回ったことで、これまで費用化されていなかった残額の全額を当第1四半期に費用計上したため、株式報酬関連費用が増加することとなりました。

今後、第7回および第9回のストックオプションにかかる費用が計上されることはありませんが、他の株価条件付ストックオプションについては、これまでと同様に、株価に応じて費用計上していくことになります。

なお、これらの株式報酬関連費用はすべて、現金支出を伴わないノンキャッシュの費用であり、キャッシュフローへの影響はありません。

セグメント利益の算出方法の変更

当第1四半期より実施したセグメント利益の算出方法の変更についてお話しします。2024年5月期までは、本社費等の全社費用を各セグメントに配賦せず調整額に計上してきましたが、当該コストのさらなる管理などを目的に、2025年5月期第1四半期より各セグメントの人件費に基づいて配賦することにしました。

セグメント別実績の概況

セグメント別の概況についてです。Sansan/Bill One事業の売上高は増収となりましたが、前期の積極的な採用による人件費増加等により、前年同期比で減益となりました。Eight事業は前年同期比で増収増益となりました。

先ほどご説明した利益算出方法の変更に伴い、旧基準と比べた場合、Sansan/Bill One事業は約19億8,000万円減、Eight事業は約2億2,000万円減となっています。

Sansan/Bill One事業の概況

セグメント別の実績についてご説明します。まず、Sansan/Bill One事業の実績についてです。売上高は前年同期比26.9パーセントの増収となりました。サービス別で見ると「Sansan」は前年同期比15.5パーセント増と堅調な実績となり、「Bill One」は82.8パーセント増と高成長が継続しました。

調整後営業利益は、営業人員の採用による人件費増に伴い、配賦される全社費用が増加したことに伴い、前年同期比11.9パーセントの減益となりましたが、期初に公表した業績予想に対しては順調な進捗となっています。

なお、その他の売上高に含まれる契約データベース「Contract One」の契約件数は前年同期末比71件増の245件となり、順調に成長しています。

「Sansan」:主要指標の状況

「Sansan」のKPIについてご説明します。スライド左側のグラフが示す「Sansan」のストック売上高は前年同期比15.9パーセント増と堅調な実績となりました。

スライド中央のグラフは契約件数と契約当たり月次ストック売上高を示しています。前期に増員した営業人員の育成過程で、比較的小規模の顧客獲得が順調に進展した結果、契約件数は前年同期比10.6パーセント増、四半期では300件を超える増加となり、合計で1万件を超過しました。

契約当たり月次ストック売上高は、小規模顧客が増加したことで前第4四半期と比べて伸び率は鈍化しましたが、前年同期比4.8パーセント増と堅調な実績となりました。

スライド右側のグラフは「Sansan」の直近12ヶ月平均月次解約率を示しています。当期末の解約率は0.40パーセントとなり、1パーセント未満の低水準を維持しました。

参考までに、第1四半期における新規受注状況についてお話しします。ここで言う新規受注金額には、すでに第1四半期の売上高に反映されているものや、翌第2四半期から計上が開始されるものなど複数の性質のものが混ざっていますが、その金額は前年同期比34.7パーセント増となり、好調な実績となりました。

「Bill One」:主要指標の状況

「Bill One」のKPIについてご説明します。スライド左側のグラフは「Bill One」のMRRを示しています。2024年8月の実績は前年同期比73.9パーセント増と高成長が継続しました。

次にスライド中央のグラフについてです。順調に新規顧客の獲得が進んだ結果、有料契約件数は前年同期比55.4パーセント増、有料契約当たり月次ストック売上高は前年同期比12.1パーセント増となりました。

スライド右側のグラフは「Bill One」の直近12ヶ月平均月次解約率の推移を示したものです。解約率は0.33パーセントと、非常に低い水準を維持しました。

なお、規模はまだ小さいですが、これらKPIには「Bill One発行」や6月からサービス提供を開始した「Bill One経費」の実績も含まれています。

足元の受注状況については、インボイス制度による駆け込み需要がなくなった影響は多少あるものの、その影響は軽微です。

前期に大きく増員した営業人員の育成が進むことで、第2四半期の新規受注額は第1四半期を上回ると見込んでおり、結果としてMRRの伸び額も現状より大きくなることを期待しています。

Eight事業の概況

Eight事業の概況についてご説明します。BtoBサービス、BtoCサービスともに順調に成長した結果、売上高は前年同期比42.0パーセントの増収となりました。

BtoBサービスにおいては、2024年6月にグループ会社化した、かえでIRアドバイザリー株式会社の業績が当第1四半期の期首より寄与しています。

調整後営業利益は、売上高の伸長に伴い、前年同期比約1億2,900万円の赤字が縮小しました。なお、かえでIRアドバイザリー社は、2024年9月にグループ会社のログミー社が吸収合併を実施しました。

中期財務方針

2025年5月期の通期業績見通しについてです。まず、中期財務方針について、今年7月に公表した内容から変更はありませんが、あらためてポイントをお話しします。

売上高については、今後3年間の年平均成長率(CAGR)として、22パーセントから27パーセントを目指します。

調整後営業利益率は、売上高成長に必要な投資を行いながらも、これまで以上のスピードで成長させ、2027年5月期は18パーセントから23パーセントを目指します。

また、長期的には、事業の成長率が市場の平均並みとなった際に、少なくとも30パーセント以上の利益率を達成できると考えています。

業績見通し

2025年5月期の通期業績見通しについては、資料の17ページをご覧ください。こちらも7月の公表内容から変更はありません。

売上高は前年同期比27パーセントから30パーセント増、調整後営業利益は76.2パーセントから157.6パーセント増、調整後営業利益率は2ポイントから5ポイント増となる見通しです。

以上でご説明を終了します。ありがとうございました。

質疑応答:一時的な費用について

質問者:一時的に増えた費用についてあらためて確認させてください。第4四半期から第1四半期になる過程で、本社移転コストや株価上昇による株式報酬関連費用が一時的に増えた費用であると考えてよろしいでしょうか? 

また、第2四半期に発生する予定の一時的に増える費用としては、移転関連費用と地代家賃の合計が約8億2,000万円とのことでしたが、他に見込んでいる費用はありますか?

ここから先は無料会員登録で続きをお読み頂けます

既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。

登録することで、本サービスにおける利用規約プライバシーポリシーに同意するものとします。