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青野友弘氏:バリオセキュア株式会社、執行役員社長室長の青野です。2025年2月期第2四半期の決算についてご説明します。
本日は会社概要、2025年2月期第2四半期の決算概要、2025年2月期第2四半期の業績予想に対する進捗状況、第2四半期のトピックス、中期成長戦略についてお話しします。
会社概要
会社概要についてご説明します。バリオセキュア株式会社は、創業から20年以上経過している老舗の国産セキュリティメーカーです。先般の不祥事によって期中に前代表が退任し、現在の代表取締役社長は山森です。
全体の従業員数は、100名弱です。東京都千代田区神田錦町に本社を構え、大阪と福岡に事務所を置いています。事業内容についてはこの後ご説明しますが、単一セグメントの事業構成です。
2021年に上場し、現在はスタンダード市場に上場しています。親会社は、同じくスタンダードに上場しているHEROZ株式会社です。
事業概要 – サービスラインナップ
事業概要について、大きく2つに区分してご説明します。スライド左側のマネージドセキュリティサービス事業は、言い換えると毎月月額でお客さまから手数料をいただくビジネスモデルです。スライド右側のインテグレーションサービスは、売り切り型のビジネスです。
マネージドセキュリティサービス事業は、5つのサービスをラインナップしています。
1つ目の社内では「VSR」と呼んでいる総合型インターネットセキュリティサービス(マネージド型)、2つ目の「VarioマネージドLAN / Wi-Fiサービス」は、社内のLANやWi-Fiを守るサービスです。
3つ目のデータバックアップサービスはファイルデータを守るサービス、4つ目の「Vario-NSS(Network Security Suite)」は社内端末を一括管理するサービス、5つ目の「Vario-EDRサービス」はパソコンを守るサービスです。
これらの製品をお客さまにご提供するとともに、当社が得意とする24時間365日の運用保守サービスを付加し、月額で手数料をいただいています。
インテグレーションサービスのラインナップは、2つあります。1つ目の「中小企業向け統合セキュリティ機器販売(販売型)」は、LANを守る機器を売り切りでご提供するものです。
2つ目のネットワークインテグレーションサービスでは、ネットワーク機器の販売や構築も提供します。その後の保守・運用は、お客さまご自身で実施されるというものです。
事業概要 – 業務領域
当社のサービスは、一般的なセキュリティフレームワークのすべてに対応しています。このフレームワークは、脅威を特定して攻撃を入口で防御し、サイバー攻撃を検知します。
場合によっては攻撃を受けた端末をネットワークから自動的に切り離すなどして対応し、必要に応じてデータバックアップなどを通じて復旧するというプロセスです。当社はこの各プロセスで製品を提供しており、すべてのプロセスにわたって保守・運用サービスを提供しています。
統合型インターネットセキュリティサービスのビジネスモデル
当社のセキュリティサービスは、主にネット回線に付帯するセキュリティサービスとして販売しています。
主な商流としては、販売代理店と販売代理店契約を締結し、販売代理店のブランドでのOEM提供を行ったり、販売代理店が当社ブランドで販売を行ったりする形態です。販売代理店を通じて、法人顧客であるエンドユーザーに製品とサービスを提供しています。
マネージドセキュリティサービス 強力な販売チャネル
販売代理店は、通信キャリアやSIer、電力系通信会社です。直近では30社以上の販売代理店と販売代理店契約を締結し、強力な販売網を構築しています。
市場シェア
市場シェアについてです。インターネットと社内ネットワークの境界に、「UTM」という防御機器があります。
当社機器の商品名は「VSR」ですが、これを設置して運用監視するサービス市場において、1,000人未満の会社規模ではトップシェアを誇っており、特に中小規模の会社に対して大きなシェアを占めています。
2025年2月期第2四半期(3/1~8/31) 決算ハイライト・重要な業績指標
第2四半期の決算概要をご説明します。第2四半期までのハイライトです。
売上収益は前年同期比103.7パーセントの13億5,400万円、営業利益は前年同期比94.0パーセントの2億7,300万円、四半期利益は前年同期比95.9パーセントの1億8,200万円という結果でした。
ストック型売上比率は、前年同期と同水準の86.3パーセントです。エンドユーザー数と解約率は後ほどグラフを見ていただきますが、エンドユーザー数は前年同期比69社の増加、解約率は前年と同水準の0.7パーセントを維持しています。
2025年2月期第2四半期(6/1~8/31) 業績サマリー
第2四半期となる、6月、7月、8月の3ヶ月間の業績サマリーです。
売上収益は前年同期比で増加したものの、営業利益段階では原価増の影響もあり、減益の着地でした。そのため四半期利益段階も減益となり、EPSは若干下がったという結果になりました。
2025年2月期第2四半期 財政状態
第2四半期末時点の財政状態です。資産合計は76億7,600万円、負債合計は19億4,500万円、資本合計は57億3,100万円で、前期末となる2024年2月末と比べて大きな変動はありません。
全体的な傾向としては、継続的な収益の積み上げと借入金の返済により、自己資本比率が徐々に上昇している状況です。財務指標についても、特筆すべき変化はありません。
2025年2月期第2四半期(3/1~8/31) サービス別業績
サービス別の業績状況です。月額課金のビジネスモデルであるマネージドセキュリティサービスは、パソコンを守るサービス「Vario-EDR」における売上収益の伸長により、増収でした。
また、売切り型のビジネスであるインテグレーションサービスは、ネットワーク構築の需要が堅調であり、増収でした。
これら2つの区分の売上収益構成は、従前とほとんど変化がなく、主力である月額課金型のマネージドセキュリティサービスの構成比は86.3パーセントでした。
マネージドセキュリティサービス概況 ①解約率の推移
重要指標として見ている月額課金型の契約の解約率は、スライドの折れ線グラフに示しているとおり、低位で推移しています。
マネージドセキュリティサービス概況 ②エンドユーザー企業数の推移
同じく重要指標として認識しているエンドユーザーさまの会社数は、今期に入って若干減少しているものの、長期傾向としては堅調に増加しており、安定的な収益基盤を下支えしています。
伸び率の高いサービス内容 「Vario-EDR」と「ネットワークインテグレーション( IS )」
伸び率の高いサービス内容です。パソコンを守るサービス「Vario-EDR」と、ネットワーク構築のサービス「ネットワークインテグレーション」の2つで、特に大きく売上を伸長させています。それぞれ前年同期比30パーセント以上、50パーセント弱の売上収益の伸びを示しています。
2025年2月期業績予想の進捗状況
2025年2月期の業績予想と、それに対する進捗状況です。2025年2月期の業績予想は、売上収益27億5,300億円、営業利益4億8,500万円、当期純利益3億3,600万円です。前期実績に対して増収減益の計画ですが、こちらは成長投資のためであり、人員の増員が主な減益要因です。
これに対して第2四半期までの進捗状況は、売上高、営業利益、当期利益の進捗率ともに堅調に推移しており、特に利益面は順調に進展していると認識しています。
中堅・中小企業向けのゼロトラスト「Vario Ultimate ZERO」をリリース
第2四半期のトピックスをお話しします。まず、8月の「Vario Ultimate ZERO」という商品のリリースが非常に大きなトピックスです。
「Vario Ultimate ZERO」は、後ほどお話しする中期経営方針に沿った成長セキュリティ市場への参入を意図したソリューションです。従来のオンプレミス型のセキュリティサービスから進化させ、クラウド環境に対応した次世代型のソリューションです。
クラウド化が進む現代において、会社のデータや業務環境は物理的な境界を越えて広がっています。こうした変化に対応するため、場所を問わず安全に業務を進めることができる柔軟性と拡張性を備えたセキュリティソリューションとして、「Vario Ultimate ZERO」を提供します。
「Vario Ultimate ZERO」の特徴は、3つの一元管理です。「Vario SASE」は、社内に限らず営業先やテレワーク時の全社のインターネット接続を一元管理する機能を持っています。「Vario IDaaS」は、認証情報を一元で管理・運用します。「Vario EDR」は、社内ネットワーク上のPC端末等を一元管理します。
こちらに、当社が得意とする24時間365日体制でのセキュリティ監視サービスを加えたソリューションとして提供しているのが「Vario Ultimate ZERO」です。
2025年2月期 2Qトピックス(マーケティング)
その他のトピックスとしては、製造業や建設業向けのリード獲得施策として、ホワイトペーパーを用いた施策の実施、あるいはパソコンを守るサービス「Vario EDR」のトライアルサービスを開始しました。
ネットワークセキュリティビジネス市場の動向
中期成長戦略についてお伝えします。
当社が属するネットワークセキュリティビジネス全体の市場規模は、2021年度の5,800億円弱から2027年には8,667億円に達し、8,700億円規模にまで拡大することが予測されています。
その中でも、当社が新たにリリースしたセキュリティソリューション「Vario Ultimate ZERO」が属するゼロトラストセキュリティ製品の現状の市場規模は879億円ですが、全体の拡大と対比するかたちで、2027年度には2,157億円まで拡大すると予測されています。
先ほどもお伝えしましたが、在宅勤務の増加などの社会環境の変化をはじめ、社外勤務の一般化やクラウドサービスの利用増加が影響しています。
また、サイバー攻撃の高度化などさまざまな影響を受け、セキュリティのトレンドは、従来の境界防御型から侵入を前提に何者をも信用せずセキュリティ対策を行う、ゼロトラストの考え方に沿ったかたちに変化してきていることにも起因しています。
経営課題
こうした市場環境を踏まえた当社の経営課題として、スライド左上に記載した外部環境としては、ゼロトラストセキュリティ製品市場の伸びに対し、境界防御型製品の市場成長率は微増にとどまっている点があります。既存製品では、わずかな成長しかしない環境であると認識しています。
また、ゼロトラストセキュリティ対策の需要が一層高まっているという環境変化があります。スライド右側の内部環境については、従来、当社はUTM製品という境界防御型の製品を主力として安定成長してきましたが、先ほどご説明したエンドユーザー数における企業数からも明らかなように、直近では若干微減に転じています。
現状では、当社の主力商品が境界防御型のUTMであることが内部環境課題であると認識しています。
以上の状況を踏まえ、今後の課題解決と会社の成長に向けた方向性として、3つの方針を掲げました。
まず、「強みの深化」です。UTMなど、今後あまり伸びが見込めない強みがある製品については、市場の伸びが見込めなくても安定した収益のベースとして商品を強化していく方向性で考えています。
次に「成長市場への投資」です。成長が見込まれるゼロトラスト市場への投資を考えています。最後に、「戦略的な顧客開拓」を進めていきます。以上の3つを、経営の方向性として設定しました。
中期経営方針
これらの方向性を、3つの中期経営方針として取りまとめています。
方針①は「強みの深化」を踏まえたマネージドサービス、月額課金型ビジネスです。この対応領域を拡大し、競争力を強化していきます。クラウド領域への進出や、自社製品だけでなく他社製品をラインアップに加えた上で、24時間365日の保守運用を付加していくことも含まれます。
方針②は、「成長市場への投資」を踏まえた成長セキュリティ市場への参入です。「Vario Ultimate ZERO」をはじめとした成長市場へ参入し、当社の事業成長につなげていきます。
方針③は、「戦略的な顧客開拓」を踏まえた、既存の販売網とは異なる新規営業体制の強化です。具体的には、代理店販売網に加え、直販の販売体制を構築していくことを目標に掲げています。
中期経営方針に沿ったM&A戦略
これら3つの方針に沿って自社単独で注力していきますが、一方で単独よりも強化のメリットが見込まれる場合には、積極的にM&Aを推進していきます。
メインターゲットは、セキュリティ関連のIT企業です。先にお伝えした各方針を踏まえ、ターゲット会社を設定して案件の発掘を行っていきます。
スライド右側に、具体的なターゲットを記載しています。1つ目は、セキュリティ関連サービスを提供している会社です。2つ目は、セキュリティ関連の商品・システムの開発力、特別な技術を持っている会社です。3つ目は、多くの顧客基盤を保持している会社です。
このような会社をターゲットとして、当社とのM&Aを通じて一緒に事業成長を進めていけるような取り組みも経営戦略に組み込んでいきたいと考えています。
中期経営目標
以上の取り組みを踏まえ、2027年2月期決算では売上収益37億6,300万円、営業利益9億2,000万円を目指しています。
現状から非常に背伸びをした目標であることは間違いありませんが、中期経営方針に沿った取り組みを着実に実行することで目標を実現していきます。
本日の決算説明は、以上です。最後までご視聴いただき、誠にありがとうございました。今後とも、バリオセキュア株式会社をどうぞよろしくお願いします。