主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせに関して
進顕氏:代表取締役社長の進顕です。ただ今より、2024年9月期第3四半期決算についてご説明します。
はじめに、6月21日に公表した主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせに関してご説明します。私が保有する株式は、株式会社プロシードへ異動となりました。プロシードは私、進顕が代表取締役を務め、私の長男である進顕任が全株式を保有する資産管理会社であり、当社株式を安定的に保有する予定です。なお、本件に伴う業績への影響はありません。
2024年9月期第3四半期は増収増益
2024年9月期第3四半期の業績についてご説明します。まず業績数値です。売上高は対前年105.4パーセントの74億3,000万円、営業利益は対前年137.1パーセントの7億6,100万円、経常利益は対前年135.1パーセントの7億6,300万円、当期純利益は対前年85.8パーセントの5億1,700万円となりました。
売上高・営業利益・経常利益の増加要因は、第2四半期に続き、主に単価改善が進捗したことによるものです。
経営戦略上の課題の整理
次に、課題への対策と今後の成長戦略について、あらためてご説明します。まずは経営戦略上の課題の整理です。当社は、営業利益に焦点を当てた経営を推進しています。設計開発アウトソーシング事業において、売上高は人員数・稼働率・単価の要素に分解することができます。そして、売上原価の大部分は人件費となります。
当社の課題は、単価改善と人材確保です。単価については、技術力に見合わない低単価案件の存在や、物価および全国的な賃金上昇の傾向があるにもかかわらず、契約時の単価が据え置かれていることがあります。そのため、単価見直しが1つ目の課題です。
2つ目の課題は、人材の確保です。売上高に関わる技術者数は、新卒・経験者とも計画を下回っています。
その他の費用や販管費については、取引内容などの継続的な見直しや効率化等により、削減を目指していきます。
課題①単価改善に向けた取り組み
単価改善に向けた取り組みをご説明します。第2四半期は、経団連による賃金改定の呼びかけがあったこと、リーディングカンパニーであるトヨタ自動車が決算説明会で公言したとおり、下請けまで含めた賃上げに積極的に取り組んだことなどが、第3四半期においても追い風となり、当社も会社計画を上回る単価改善を行うことができました。
今後は、国内賃金上昇率に沿った改定にとどまらず、高単価・高難度案件の受注を増やし、技術力に見合った単価を獲得できるようにしていきます。同時に、教育を充実させることで、高単価案件に従事できる技術者を増やしていきます。
また、研究開発技術を活用し、AR/AIや設計ソリューションを外販することにより、収益化を目指します。さらに、設計効率化ツールなどの活用により、請負業務などの効率化を進めていきます。
従来は、専門部署にて開発会議を実施していましたが、より詳細かつタイムリーな開発アイテムの選別やリソースの最適化を目的に、2023年11月より部門横断型の「研究開発会議」を発足させました。
この半年間で開発アイテム選別を進め、重点開発プロジェクトを7つ設定しました。2024年6月からは技術顧問を外部から招致しており、差別化されたアイテムのリリースをさらに加速させていきます。
第3Q以降の経営課題
第3四半期以降の経営課題についてご説明します。現時点での経営課題は2つあります。1つ目は、2024年4月に実施した賃上げによる収益率低下の課題です。対策として、上期に順調に進捗した契約単価改善に向けた取り組みを、第3四半期も引き続き継続中です。
なお今期においては、国内賃金上昇に沿った価格改定が後押しした局面もありましたが、より技術力に見合った単価改善を実施するために、営業力強化を図るワーキングチームを組成しました。営業環境整備を含め、さまざまな角度からゼロベースでの検討を開始しています。
2つ目は、技術者数の停滞による売上高成長率への課題です。
次のページで上期の状況を整理し、下期の対策をご説明します。
第3Q以降の経営課題
技術者数に関して、上期のプラス要因は新卒技術者の早期配属が可能になったことです。当社では、顧客の要求値が高くなっていることへの対策として、2022年より新卒社員に1年間の教育を実施してきました。教育カリキュラムの充実化に加え、新卒社員一人ひとりの学習進度に合わせてグループ分けをし、少人数教育を実施することで早期配属ができるようになりました。
一方で待遇面などの課題から、経験者採用数の未達と、退職者数が計画を上回っている状態です。
下期は順調な施策については加速させ、課題がある部分は改善を図っています。具体的には、充実した教育カリキュラムを水平展開し、より多くの技術者確保に向けた活動をしています。
自社採用においては、未経験者枠を拡大し、教育カリキュラムの受講機会を確保することで、技術者の数と質の確保を両立させます。また、教育カリキュラムの受講を前提に、パートナー会社からの受け入れ要件の緩和も可能となりました。今後は品質を維持しながら、さらなる技術者の確保を目指します。
課題①一人月売上高の推移
一人月売上高の推移です。中期経営計画を策定した第17期10月以降、効率的な人員配置などにより右肩上がりに推移しています。第19期第3四半期は、単価改善の取り組みが進捗し、前年同期比プラス4万6,000円と一人月売上高の上昇に寄与しています。引き続き、付加価値の高いサービスの提供を実施し、さらなる売上高向上を目指していきます。
課題①業務形態別一人月売上高の推移
業務形態別一人月売上高の推移です。派遣においては、企業の生産活動は高水準を維持しており、開発投資も拡大が続いています。派遣業務への戦略的な人員配置転換に加え、単価改善が寄与し、売上高は前年同期比7.7パーセント上昇となりました。1人あたり売上は単価改善効果もあり、63万6,000円と前年同期比プラス2万2,000円となりました。
請負については、高単価の新規開発案件が足元で増加しつつあることに加え、単価改善が寄与し、前年同期比4.1パーセント増収となりました。1人あたり売上は80万6,000円と、前年同期比プラス6万3,000円となりました。
課題②人材確保に向けた取組み
人材確保に向けた取り組みです。2024年4月より人的資本投資の一環として、平均8.37パーセントの賃上げを実施しました。これは事業開始以来、最大規模の賃金改善です。今回の賃上げにより、物価上昇による社員の生活向上への対策や、優秀な人材の確保、社員のエンゲージメント向上に取り組んでいきます。
当社の人材採用の強み・弱みと今後の対策についてお話しします。人材採用の強みは、リクルーターが直接全国の学校を訪問し、強い関係性を築いていることです。当社の事業内容を理解している先生や学校から勧められることで、学生は安心して応募し、ミスマッチを減らすことができています。この強みをより活かすべく、専任のリクルーター人員を2名から11名へ増員し、より多くの関係者と情報共有していきます。
一方、弱みは知名度やWebでのPR力が弱く、インターネット経由の応募が少ないことです。この対策として、採用専門コンサルタントを活用し、ペルソナ設定やホームページの刷新、Web媒体の有効活用、求人票の見直しや露出強化を進めていきます。
加えて、協業による人材確保にも取り組みます。従来までは案件に対して足りないリソースとして経験者をパートナー企業から紹介いただくものでした。今後はこれに加えて、未経験者を含めて受け入れ枠を拡大し、パートナー企業に対して当社の教育プログラムを受講していただくことで、当社の業務に対応できるレベルに押し上げて請け負っていただく予定です。
これらの施策により、必要な人材確保を進めていきます。
課題②新卒を除く技術者稼働率は高稼働率を維持
技術者数と稼働率の推移です。赤色のグラフが示す新卒者を除く稼働率は、95パーセント以上と高稼働を維持しています。
オレンジ色のグラフが示す新卒を含む稼働率ですが、新卒技術者は第17期より研修内容の抜本的改革を行い、長期間での研修対応を実施しているため、横ばいで推移しています。
その他:営業利益向上への取り組み
その他の営業利益向上への取り組みとして、営業利益の達成度に応じた業績連動賞与を導入しました。全社員が営業利益達成に向け、目標を共有していきます。
また、事業ポートフォリオの見直しも進めており、3月末日にて3Dプリント事業を廃止し、より高付加価値なソリューション領域へ経営資源を集中させています。
中期経営計画の概要
中期経営計画の概要です。2023年11月に修正開示した中期経営計画に変更はなく、目標達成に向け、各種施策を着実に実行していきます。
中期経営計画 2027年9月期目標:売上高125億円・経常利益13億円
2020年以降、利益はほぼ横ばいにとどまっていますが、第20期以降、再び成長軌道に乗せていきます。
自社の設計力を活かしたソリューションを積極的に訴求
デジタルソリューション開発事例をご紹介します。6月に「設計・製造ソリューション展」へ出展し、「設計自動チェックツール」および「DiffAR」の2つの当社独自のソリューションをご紹介しました。自動車メーカーをはじめ、広く製造業、建設業などの方々にご興味を寄せていただきました。
設計支援ソリューション開発事例
展示会で展示したアイテムも含め、現在開発中のソリューションの一部をご紹介します。まず、「設計自動チェックツール」です。これは、文書に記載されているチェックシートの内容を読み取り、図面がその内容に適合しているかを自動で判定するシステムです。現在自動車部品メーカーと共同で研究開発を行っており、今秋の利用開始を目指し、開発を進めています。
DiffAR
iPad上で対象物と3D-CADモデルを重ね合わせ、形状の差異をAR技術にてリアルタイムに認識できるアプリケーション「DiffAR」は、2023年8月に特許を出願しました。現在、より精度を上げるよう改良を行うと同時に、既存顧客に向けて売り込みを開始しています。
AR・AI ソリューション開発事例
展示会ではご紹介しきれませんでしたが、他にもAIを用いたソリューションをご紹介します。スライドで示しているとおり、高精度な3Dスキャン技術を用いた人体の3Dモデル設計や、認可証の自動転記システムなどを開発しています。
設計支援ソリューション開発事例
当社主力事業の業務効率化ツールとして、設計断面の自動作成ツールや干渉チェックツールなどを開発しています。すでに社内で利用しており、現在はさらなる精度向上に取り組んでいます。これらのツールを活用することで、自社内の設計業務の品質向上や自動化による原価低減につなげていきます。
継続的・安定的な配当で株主還元
株主還元方針についてご説明します。当社は株主さまに対する利益還元を経営の重要課題の1つとして位置づけ、継続的かつ安定的な配当の実施を基本方針としています。
配当政策については、事業拡大のための設備投資などを目的とした内部留保の確保と、配当の安定的拡大を念頭に置き、財政状態および利益水準を勘案した上で、当期純利益の35パーセント以上を毎期配当していくことを原則としています。
アビストの株主優待制度
当社は株主のみなさまからの日頃のご支援に感謝の気持ちを示すとともに、事業についてより理解を深め、当社株式の魅力を高めることにより、多くの株主さまに株式を安定的に保有していただくことを目的として、株主優待制度を導入しています。
2024年3月末時点での株主さまへ「浸みわたる水素水」を資料に記載のとおり贈呈します。都道府県別の発送時期などの詳細はホームページに記載していますのでご覧ください。
2024年9月末時点の株主さまへも「アビスト・プレミアム優待倶楽部」のポイント贈呈を予定しています。
以上、2024年9月期第3四半期決算についてご説明しました。ご清聴いただきありがとうございました。