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田中義一氏:みなさま、おはようございます。共和電業の代表取締役社長の田中です。本日はお忙しい中、ご出席を賜り、誠にありがとうございます。本日は当社のご紹介と、2024年12月期第2四半期の決算概況および事業の状況、今期の業績予想と取り組みについてご説明します。

会社概要

会社概要についてです。当社は今年6月に創立75年を迎えました。

「計測を通じ、お客様と共に社会と人の安全を実現し、安心な未来をつくる」というグループ経営ビジョンのもと、会社設立以来、各種計測機器の開発、生産、販売や、計測コンサルティングを通じて、お客さまとともに社会の安全に寄与し続けていくことを目指し、計測技術の発展と、計測を通じた社会への貢献に努めてきました。今後も安心な未来作りに向けて貢献していきたいと考えています。

会社概要の中での変更点として、期初にタイ子会社の株式を一部売却したことにより、海外子会社および販売拠点がそれぞれ減少しています。

日本機械学会「機械遺産」に当社製品が認定

今年8月7日の「機械の日」に、当社が日本で初めて商品化に成功した「ひずみゲージ K-1型」が機械遺産に認定され、認定証をいただきました。機械遺産の認定は、日本機械学会が歴史に残る機械技術遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝える目的で、2007年から行われています。

今年認定の6件を含め、126件が認定されています。スライド右下のQRコードからご覧いただければと思います。

業績ハイライト

2024年12月期第2四半期決算概況についてご説明します。

第2四半期決算の概要です。前中間期に続き増収増益となりました。自動車試験分野を中心とするシステム品の売上増加、電子部品調達難の影響を受けていた測定器関連の生産が回復しつつあることから、売上高は前年同期比8.8パーセント増の75億6,800万円となりました。

収益面では、汎用品の売上増加と、生産増加に伴う原価率改善により、前年同期に比べ、営業利益は44パーセント増の7億100万円、中間純利益も23.6パーセント増の5億6,700万円と、大幅な増益となりました。営業利益および中間純利益の詳細については、後ほどご説明します。

売上高・営業利益の推移

売上および営業利益の推移です。2022年に、電子部品調達難の影響で業績が一時的に落ち込みましたが、その後は順調に持ち直し、当期も前期に続き増収増益を見込んでいます。

収益の増減内訳

収益の増減内訳についてです。営業利益は売上増により2億3,800万円、原価率改善効果として8,900万円の増益となりました。一方で、販管費で労務費や経費が1億1,300万円増加した結果、前年同期と比べ2億1,400万円の増益となりました。

経常利益は、前年同期と比べ営業外損益が為替差益などで1,800万円増加したことなどにより、2億3,300万円の増益となりました。中間純利益は、前期は投資有価証券売却益1億2,800万円の計上があったことから、増益額は1億800万円となりました。

財務のポイント

財務の状況です。資産については、前期末に売上が集中したことから売上債権が増加していましたが、それらが回収されたことで現預金が13億1,700万円増加しました。また、譲渡性預金の一部解約による4億円の減少があり、資産合計は3億3,800万円減少しました。

負債については、支払手形および買掛金の減少等により、負債合計は6億1,400万円減少しました。純資産は、配当金の支払いによる減少がありましたが、前期末と比べ2億7,500万円の増加となっています。

この結果、自己資本比率は73.8パーセントと、前期末と比べ2.4ポイント上昇しました。

キャッシュフローの概況

キャッシュフローの概況についてご説明します。当期は、営業活動におけるキャッシュ・フローが大きくプラスとなりました。その主な要因は、前期末に増加した売上債権を当期に回収したことです。その結果、第2四半期末における現金および現金同等物の増減額はプラス10億5,700万円となり、前期末に比べて大幅な増加となりました。

中間配当金について

配当についてです。株主のみなさまへの利益還元の機会を充実させるため、当期より定款を変更し、中間配当制度を導入しました。当中間期における配当金は1株当たり8円で、効力発生日は9月6日となります。

セグメント別・品種別の状況

事業の状況についてご説明します。まず、セグメント別・品種別の売上状況です。計測機器セグメントの売上高は、前年同期比7.4パーセント増の68億3,600万円となりました。

コンサルティングセグメントは、中期経営計画における魅力的なフィールドエンジニアリングの提供に向けた取り組み施策の効果もあり、前年同期比24パーセント増の7億3,200万円となっています。

主要事業分野の売上構成比

主要事業分野の売上状況です。前年同期と比べ、自動車試験分野が大きく伸びています。また、運輸・交通インフラ分野も、コンサルティング関連需要により増加しました。

主要事業分野の売上高【自動車試験分野】

主要事業分野ごとの状況についてご説明します。自動車試験分野の売上高は、前年同期に比べ45.7パーセント増の20億7,900万円となりました。昨年下期から引き続き、新車開発に伴う計測需要が増加しており、当期は自動車衝突試験システムを中心に需要が増加しました。また、欧州でのEV化推進の方針転換により、エンジン周辺試験のリピート案件が復調しています。

自動車試験分野は、センサや関連機器の更新・増設ニーズが今後も継続して見込まれることから、当期業績達成に向けた牽引役となっています。今後は、自動車開発における新たな試験分野の需要を取り込むべく、用途の拡大に向けた活動を推進していきます。

主要事業分野の売上高【工業計測分野】

工業計測分野です。売上高は、前年同期に比べ4.7パーセント減の17億2,800万円となりました。前年同期に顧客製品に組み込まれるシステム製品の大口売上があった影響もあり、当期は特注・システム品の売上が減少しました。一方、産業機械メーカーや海外の日系企業を中心に、設備投資関連で汎用品の売上が増加しました。

今後は、設備投資に対する市場情報の収集と、顧客ニーズに応じた提案を推進することで、新たな用途開発を推進していきます。

主要事業分野の売上高【環境・防災・エネルギー分野】

環境・防災・エネルギー分野の売上高は、前年同期に比べ2.4パーセント減の12億3,100万円となりました。ダム堤体観測装置の更新需要や、洋上風力など、再生可能エネルギー関連は堅調に推移しています。

今後も魅力的なフィールドエンジニアリングを提供していくため、当社グループ全体の連携を強化することで、計測サービスにおける顧客対応力の向上を図っていきます。

主要事業分野の売上高【運輸・交通インフラ分野】

運輸・交通インフラ分野です。売上高は前年同期に比べ、9.6パーセント増の9億5,600万円となりました。高速道路向けの設置型車両重量計測システムの大口工事物件は減少しましたが、鉄道関連の特注・システム品とコンサルティング売上が増加しました。

現場における計測業務に関するニーズが高まっていることから、今後も計測機器とコンサルティングの総合的なサービス提供を推進していきます。

主要な海外地域別の売上高

海外の地域別売上状況についてご説明します。海外売上高は、前年同期に比べ0.3パーセント増の10億3,500万円と、ほぼ横ばいとなりました。

地域別では、アメリカは、引合案件の成約遅れなどが影響し、微減となりました。中国は、景気の低迷が続くものの、現地自動車メーカーなどローカル企業への販売網拡大の成果により、売上高は前年同期に比べ21.6パーセント増となりました。

欧州では、欧州委員会によるエンジン車完全廃止の方針の撤回により、エンジン周辺の試験で使用される高温用ゲージの需要が回復した結果、売上高は前年同期比62.4パーセント増と大幅に増加しました。

インドは支店開設5年目となり、顧客開拓が進み、業績を伸ばしています。アジアの売上高は前年同期比38パーセント減となっていますが、当期よりタイの子会社が連結対象から外れたことが主な減少要因です。

2024年の業績予想と業績の推移

2024年12月期の業績予想と取り組みについてご説明します。現時点における2024年12月期の連結業績は、当初計画どおり、売上高は157億円、営業利益は12億円、当期純利益は9億円で、2期連続の増収増益を見込んでいます。

また、営業利益率は7.6パーセント、ROEは5.2パーセントを見込んでいます。業績の推移については、スライドのとおりです。

通期業績予想への進捗状況

中間期における通期の連結業績予想に対する進捗状況です。売上高は50パーセントを若干下回っていますが、ほぼ計画どおりに推移しています。受注残物件の確実な生産対応を図るとともに、堅調な国内設備投資需要を背景にさらなる受注確保に取り組むことで、計画達成を目指していきます。

利益については、中間期における進捗率は高い水準にありますが、第3四半期以降において利益率の低い大口物件の売上を予定していることや、外注費や原材料費、エネルギーコストの上昇、人件費負担の増加、原価率の上昇などの不確定要素もあることから、現時点では当初の業績予想値を据え置きました。

配当金について

2024年12月期の期末配当は1株当たり8.5円で、中間配当と合わせて年間16.5円と予想しています。

通期の見通し

通期業績予想を達成するための取り組みについてご説明します。経済環境の変化による顧客の設備投資意欲減退や予算執行延期に対しては、売上原資を確保するべく、さらなる受注獲得を推進していきます。具体的には、特注・システム品の引合物件に対する早期の仕様確定による受注促進、汎用品の拡販を進めます。

生産面では、一部の電子部品において供給停滞が続いていることや、生産遅延リスクがあることから、引合情報の活用による生産投入の早期化や受注残物件への確実な生産対応を行っていきます。

収益面については、調達コスト、エネルギーコスト、人件費増加等に伴う原価率上昇などの不確定要素もあることから、費用の執行状況と採算状況に対する管理の徹底と、生産平準化による原価低減に取り組んでいきます。

これらの取り組みを実施していくことで、通期業績目標の達成を図ります。

販売力強化に向けた取り組み

当期に実施した取り組みをご紹介します。海外での販売力強化に向けて、アメリカ、欧州、インドの販売店を集め、技術指導と関係強化を目的とした販売店会議を実施しました。

コロナ禍で途絶えていた海外ユーザー訪問も促進しており、汎用品販売が伸びている海外市場に向けた取り組みを進めていくことで、販売の増加を見込んでいます。

販売力強化に向けた取り組み

デジタルを活用した販売力強化に向けた取り組みについてです。企業の購買活動で多く活用されている業務用ネットストア「モノタロウ」で、当社の主力商品である「ひずみゲージ」の販売を6月から開始しました。

昨年から実施している「Amazon」での販売と並行し、引き続きデジタルを活用した販売促進を進めていきます。

技術基盤強化に向けた取り組み

新たな技術基盤の確立を目指した取り組みについてです。4月に、「あらゆるスペースをつなぎ、世界の新体験を創造する」というビジョンを掲げるIoTソリューション事業者の、アプトポッド社との協業を開始しました。

当社の持つセンサ、測定器を中心とした計測技術と、アプトポッド社の持つIoT、クラウドなどの各種ソリューション技術を合わせ、新たな技術基盤の確立と魅力的なサービスの開発を進めていきます。

地域貢献に向けた取り組み

地域貢献に向けた取り組みについてです。横浜市風力発電所(ハマウィング)の協賛企業として「ハマウィングサポーター」になりました。現在、洋上風力は着床式発電所の建設が進んでいますが、今後は浮体式や小型化の実現に向けた技術開発が進んでいくことが見込まれています。

協賛により、実際の風力発電施設であるハマウィングでさまざまな計測を行えるようになったため、風力発電における計測ニーズを探求していきます。

ESGへの取り組み

ESGへの取り組みについてです。主力生産子会社である山形共和電業に太陽光発電設備を設置し、6月から試験稼働、8月に本格稼働を開始しました。脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として、設置面積約9,700平方メートルの太陽光発電設備を稼働させました。

年間発電予想量は約90万kWhとなり、再生可能エネルギーへの転換を進めることで、当社の事業活動による環境負荷の低減を図っていきます。当社では、2024年のCO2排出量を2015年比で46パーセント削減することを目標に取り組んでいます。

トピックス①福岡工業大学との教育・研究に関する包括連携協定を締結

トピックスを2つご紹介します。1つ目は、福岡工業大学との教育・研究に関する包括連携・協定についてです。今年3月に、包括連携・協力協定を締結しました。福岡工業大学の教育・研究活動と当社の技術力等を統合し、計測技術の発展に向けて連携することにより、研究成果の社会活用と、先端的かつ広い視野を有する高度技術者の育成に貢献していきます。

トピックス②「市民の足」の安全を支える計測技術 名鉄バス様向け バス運転データ集録システム

2つ目は、名鉄バスさま向けのバス運転データ集録システムについてです。本システムは、運転中の車体の揺れや側方距離、ブレーキやアクセル開度、速度などを計測し、運転手の動作や視線を全方位映像とともに記録するものです。運転手不足が顕在化しつつある現代社会において、計測を通じて社会の安全と市民の足となる交通インフラを支えます。

本システムはニュース番組で紹介され、当社ホームページでもお知らせしています。ぜひご覧ください。

これからも企業価値向上に向けて各施策を確実に実行していきます。ご支援賜りますよう、よろしくお願いします。本日はご清聴ありがとうございました。