主要トピックス

山口直彦氏(以下、山口):みなさま、こんにちは。フルハシEPO株式会社代表取締役社長の山口です。本日はお忙しい中、弊社の決算及び中期経営計画説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。みなさま方には、日頃よりフルハシEPOの経営に対してご指導、ご鞭撻を賜り、厚く御礼申し上げます。

2024年3月期の決算及び中期経営計画の主なトピックスについてご説明します。1つ目に、売上高・営業利益・経常利益いずれも4期連続で過去最高を達成することができました。ちなみに2025年3月期においても、過去最高と予想しています。

2つ目に、拠点展開の加速です。2024年10月には新規工場として、本社地区である愛知県一宮市に愛知第八工場が稼働します。前期には千葉県柏市において、資源循環事業の工場「柏リサイクルガーデン」を2023年8月に稼働しています。

3つ目に、安定的な株主還元を実施しています。2025年3月期においても、1株当たり2円の増配を予定しています。また、中期経営計画の中では累進配当を行っていく計画です。

経営理念とマテリアリティ

経営理念とマテリアリティについてご説明します。当社は「世のため、人のため、地球のため、社員のため、持続可能な社会を創造します」を経営理念としています。この理念をもとにマテリアリティを特定し、中長期的な視点で、社会の持続可能な成長と企業価値の向上のため取り組みを推進しています。

目 次

本日はスライドをご覧のとおり、1つ目に2024年3月期の業績、2つ目に四半期ごとの業績、3つ目に2025年3月期の業績予想、4つ目に株主還元、5つ目に中期経営計画についてご説明します。

業績ハイライト

業績ハイライトです。2024年3月期は売上高87億5,300万円、営業利益10億3,900万円と、売上高・営業利益ともに過去最高を達成しています。当期純利益においては、特別損失を計上した関係上、前年同期比64.6パーセント減の2億6,300万円となっています。詳細については、後ほどご説明します。

事業構成(売上高)

売上高の事業構成です。最も中心になるのがバイオマテリアル事業です。こちらは木質廃棄物を再資源化する事業で、売上高の71パーセントを占めています。

資源循環事業は、特に多くの木材を利用している住宅建設現場を中心に排出される木材を再資源化するという視点から始まった事業です。こちらの事業は売上高の17.8パーセントを占めています。

この2つの事業を通じて、資源循環社会やサーキュラーエコノミーをさらに推進していくことが可能になると考え、展開を進めています。

事業構成(営業利益)

営業利益の事業構成です。バイオマテリアル事業のビジネスモデルは、再資源化処理と、さらにそれを原料として販売するという、ビジネスの入口と出口で売上が計上されるダブルインカムとなっています。非常に利益率の高いシステムができており、このバイオマテリアル事業が営業利益の86.2パーセントを占めています。

資源循環事業は営業利益の7.7パーセントを計上しています。この2つの事業により、営業利益の90パーセント以上を達成しています。

損益計算書

2024年3月期決算の損益計算書です。売上高は87億5,300万円で、売上高・営業利益・経常利益は過去最高となりました。出資先の特別損失計上に伴い、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比で減少しています。これは当社が出資しているCEPO半田バイオマス発電所の減損会計によるものです。

業績推移

業績推移です。スライドは、過去3年間の売上高・売上総利益・営業利益をグラフ化したものです。緑色の棒グラフは今期の予想となっています。すべての部門で右肩上がりとなっており、安定的に成長していることが当社の強みです。

営業利益増減要因分析(前年同期比)

営業利益の増減要因です。バイオマテリアル事業の売上高が前期より7億500万円増加したことが、営業利益が増加した最も大きな要因です。

それに対して、売上原価・販管費のうち3億1,700万円増加した部分については、賃金のベースアップと、退職給付に関して従来の簡便法から原則法に変更して引当を行ったことにより発生した約1億1,200万円が含まれています。

決算概要(貸借対照表/キャッシュ・フロー計算書)

決算概要です。2024年3月期決算の貸借対照表に関しては、土地及び建設仮勘定の増加により、固定資産が大きく増加しています。

キャッシュ・フロー計算書については、営業キャッシュ・フローが大幅に増えています。これは税引前利益と債務保証損失引当金の加算により、前期比で4億5,900万円増加したことによるものです。

売上高(四半期ごとの推移)

売上高の四半期ごとの推移です。2022年3月期、2023年3月期、2024年3月期の過去3年間の推移はスライドのグラフのとおりです。第1四半期から第4四半期に向かって順調に売上高が増加しており、安定的な成長を示しています。

営業利益、営業利益率(四半期ごとの推移)

営業利益、営業利益率の四半期ごとの推移です。こちらも先ほどのグラフと同様に右肩上がりと言いたいところですが、過去3年とも、第4四半期の数字が少し落ちています。

先ほどもご説明したとおり、2024年3月期の第4四半期は退職給付引当金の算定方法の変更により、一過性の引当金1億1,200万円が発生しました。これは従業員が300名を越すと簡便法から原則法に変更することになり、引当金が増額となったためです。今後はこの一過性の引当金は発生しないとお考えください。

通期業績予想

2025年3月期の通期業績予想です。売上高は前期比9パーセント増の95億4,400万円、営業利益は前期比13.5パーセント増の11億8,000万円、経常利益は前期比14パーセント増の14億2,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比約2.7倍となる9億8,500万円としています。

特にバイオマテリアル事業においては、冒頭のトピックスでお話ししたとおり、愛知第八工場が10月より稼働します。そして前々期に展開した埼玉県入間市の西東京工場や岐阜県大垣市の岐阜第二工場、千葉県柏市の柏リサイクルガーデンが本稼働に移っていくため、こちらも売上増の要因と見込んでいます。

当社の投資計画

今期の投資計画です。バイオマテリアル事業では、冒頭のトピックスでご説明した愛知第八工場のほか、愛知県名古屋市の名古屋工場(仮称)、近畿では滋賀県に滋賀工場(仮称)の新設を計画しています。

資源循環事業においては、湘南リサイクルガーデンが2025年10月に稼働します。そして愛知県の東三河リサイクルガーデン(仮称)の計画も順調に進んでいます。

今後、計画が明確になり開示できる段階になり次第、順次開示していきます。

株主還元

株主還元です。当社の配当方針については、安定性と継続性といったサステナビリティを重視しています。2024年3月期の配当性向は116パーセントと、桁の大きい数字になっていますが、増配に関しては継続的に実施する予定です。また今期の配当計画として、28円配当を計画しています。

中期経営計画

中期経営計画についてご説明します。中期経営計画には「Fuluhashi Sustainable Plan 80th」というタイトルをつけています。この中期経営計画は、今年度スタートの4ヶ年の計画です。

4年後が当社の設立80周年となることと、また当社の事業展開の中で、各拠点の展開における許可や土地の取得、許認可の取得、工場の設立といったものを含めると、2年、3年、場合によっては4年という時間がかかる関係もあり、4年間の中期経営計画としています。

当社は2022年4月に上場しました。設立80周年にターゲットを置いていますが、ベンチャースピリットを持って積極的に展開していきたいと考えています。

この「Fuluhashi Sustainable Plan 80th」では、「環境で未来をクリエイトする」という当社のミッションを基に展開していきます。

「日本は資源が少ない」とよく言われますが、私どもは木材に視点を置いています。日本は森林国です。森林を有効に活用し、再資源化することにより、日本が「資源国」と呼ばれるような位置に持っていきたいという夢を持って展開しています。

中期経営計画における経営方針

中期経営計画における経営方針です。経営理念は先ほどお話ししたとおりです。

中期方針としては、木質資源を軸にしたサーキュラーエコノミーと再生可能エネルギーの2つで時代を牽引していこうと考えています。また、増収・増益・増配・従業員還元のサステナビリティ企業へ進めていくという方針で展開していきます。

戦略としては3つを掲げています。1つ目に、事業戦略として量的拡大をこの4年間、積極的に進め、増収・増益を目指します。2つ目に、サステナビリティ戦略による企業価値の向上を目指します。3つ目に、累進配当を基本方針とした株主還元を行います。

フルハシEPOグループが重視する定量目標

当社グループが重視する定量目標についてご説明します。2028年3月期に売上高150億円、営業利益30億円、営業利益率20パーセント、ROE15パーセント超を目指していきます。

先ほどお伝えしたように、配当方針は連結配当性向35パーセントを目標に、累進配当を継続します。

経営戦略(植林からエネルギー)

当社の経営戦略は「植林からエネルギー」と位置づけています。スライドの図は、木質資源の循環を表しています。植林、育林、伐採・加工を経て製材されたのち、建築物や住宅、梱包などに使用されます。

さらに、それらが当社工場に入ってきた段階で、エネルギー資源の原料となります。紙パルプ、建設ボードの原料というかたちに再資源化されて、その後燃料化されたものはバイオマス発電所の燃料となり、再生可能エネルギーとして供給されます。

再生可能エネルギーには太陽光、風力、地熱、そして木質バイオマスがあります。木質バイオマスは天候に左右されないという特徴があり、必要な時に必要なだけ供給できるベース電源になる点で、非常に有利な再生可能エネルギーであることをご理解いただきたいと思います。

事業戦略(量的拡大)

事業戦略についてご説明します。現在の木質バイオマス取扱量は55万トンです。中期経営計画では年間100万トン、国内シェア約10パーセントを目指します。

その達成のために約100億円を投資し、中日本エリア及び東日本エリアを中心に16ヶ所以上の工場を新設します。具体化された案件から順次開示することとしており、現時点では7ヶ所を候補案件として進めています。

サステナビリティ戦略

「サステナビリティ戦略」とうたっていますが、循環経済(サーキュラーエコノミー)が求められる背景の中での当社の取り組みについてご説明します。

環境の観点では、資源循環経済の実現に向けて、木質バイオマス100万トン体制の構築と生産システムの省人化及び輸送の効率化を行います。

気候変動対策としては、木質バイオマス発電・熱利用等の推進及び環境負荷の削減を行います。環境負荷削減の設定目標は、CO2を2030年までに、2019年比50パーセント削減することです。

ソーシャルとガバナンスの観点は、スライドの表に記載しているとおりです。このようにESGの各項目を中期経営計画の中に盛り込み、達成していきます。

株主還元の基本方針

株主還元の基本方針です。先ほど「重視する定量目標」でお話ししたとおりですが、最終利益を確保し、財務体質の健全性を確保した上で、現中期経営計画期間の4年間は累進配当を行うことを基本方針としています。

また、これまで配当性向30パーセントを目処にしてきましたが、最終年度は35パーセントを目指します。

中期経営計画の戦略骨子

中期経営計画の戦略骨子についてご説明します。長期ビジョンの実現、さらには企業価値の向上を実行するため、収益力の向上と資本効率及び持続性強化に取り組みます。

収益力の向上については、ROE15パーセント超を目標に設定し、量的拡大と管理コストの圧縮を行います。量的拡大は営業利益増大に大きなプラスとなり、売上高増加による管理コストの圧縮は営業利益に直結します。

持続性については、リスク対応としてのESG強化と非財務諸表の開示を目標として展開していきます。また、企業の社会価値をさらに高めていく新たなサステナビリティ事業の創出を、資源・エネルギー・食糧など、社会に最も必要とされるものを中心として展開していく計画です。

フルハシEPOグループの将来像(長期ビジョン)

当社の長期ビジョンです。3つのプロジェクトを軸として、持続的に調達可能な資源の産出とその循環を長期的な成長戦略としています。

1つ目は、グリーンジャパンプロジェクト(GJP)です。日本は年間8,500万立方メートルの木材を海外及び国内から調達しています。

これらを循環させることは、日本の資源を有効利用する意味で非常に有利であり、資源、富を海外流出させないという上で非常に有利な展開ができます。なおかつ、我々の生活を豊かにすることができます。

2つ目は、ブルーオーシャンプロジェクト(BOP)です。長期的には、陸上バイオマスから海洋バイオマス、具体的には藻類の資源化を展開していきたいと考えています。資源として、バイオアルコール、バイオエタノールを国内で産出することが可能になります。

3つ目は、オレンジサンプロジェクト(OSP)です。食料自給率を現在の40パーセント以下からさらに高めます。我々企業でできる部分は積極的に事業を展開していきます。

資源・エネルギー・食糧を3本柱として、中長期的な事業展開につなげていこうと考えています。以上、中期経営計画についてご説明しました。

質疑応答:木質資源調達のめどについて

質問者:中期経営計画も含めて積極投資の計画で、能力増強も非常に急ピッチに進められています。一方で、能力を上げていくと受け入れも確保していかなければなりません。このあたりについて、確保の見込みは十分見えているのでしょうか?

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