目次

黒木哲史氏(以下、黒木):HYUGA PRIMARY CAREの黒木です。今日はよろしくお願いします。では、さっそくですが説明に入ります。

アジェンダは5つです。会社概要・事業内容・サマリー、決算概要、業績予想、中期成長計画、サステナビリティ経営の流れでお話しします。

2024年3月期サマリー

サマリーです。今期の着地と来期についてまとめています。弊社には主力の3事業がありますが、2024年3月期は在宅訪問薬局事業に関しては減益でした。新型コロナウイルスの薬の関係で原価が少し上がったことが原価率に影響しましたが、新型コロナウイルスの流行が収束し、こちらは今後変わってくると思います。

また、人手不足による採用費の増加などが非常に影響しています。従前から投資家のみなさまにお話ししていることではありますが、やはり労働分配率、いわゆる人件費の粗利に対する割合をコントロールすることが非常に重要である一方、そこを絞りすぎると現場に負荷がかかります。こちらに加えて、新型コロナウイルス流行の負荷もかかったことが今回の大きな要因かと思います。

さらに、幹部職員の離職もありました。こちらにより全体的に採用コストが上がってしまったことが大きく影響しています。

すべて私の管理不足からくるものだと感じていますので、今期はそうならないように現場の負荷を考え、幹部職員も見ながら進めていきたいと思います。

なお、今期の在宅訪問薬局事業は、前期比増益の6億8,500万円の営業利益を見込んでいます。

きらりプライム事業に関しては、加盟店数の増加やARPUの増加により、営業利益は4億8,500万円となりました。今期に関しては、ARPUの増加により5億2,900万円を見込んでいます。

また、プライマリケアホーム事業は通期で黒字を達成することができました。今期から満床効果がフルに寄与しており、全社増益を牽引する3つ目の柱が育ちつつあると考えています。

2024年3月期通期の営業利益は34パーセント増で、ほぼ想定どおりの着地となりました。また、2025年3月期は売上高14.1パーセント増、営業利益30.9パーセント増を見込んでいます。

会社概要/ビジョン

会社概要です。こちらは毎回お見せしている資料ですが、当社は「24時間365日、自宅で『安心』して療養できる社会インフラを創る。」というビジョンで薬局からスタートしています。現在は、在宅訪問薬局事業、きらりプライム事業、プライマリケアホーム事業の3つを伸ばしていき、地域包括ケアの運営・仕組みを提供するプラットフォーマーになっていきたいと考えています。

決算概要

決算概要です。通期は売上高82億円、前期比24.5パーセント増、営業利益7億1,000万円、前期比34パーセント増となっています。先ほどお話ししたとおりですが、プライマリケアホーム事業が黒字転換し、それ以外の事業の売上も2桁伸びています。

営業利益増減要因分析

営業利益の増減要因分析です。先ほどのグラフを見やすく横に並べています。在宅訪問薬局事業が6,000万円減となっていますが、理由は先ほどお話ししたとおりです。きらりプライム事業は1.2億円増、プライマリケアホーム事業は1.5億円増となり、7.1億円で着地しています。

業績推移/売上高構成

売上高と利益額はご覧のとおりです。スライド右側の売上高構成比において、在宅訪問薬局事業の割合が、前々期の87.4パーセントから前期は78.8パーセントと少しずつ減ってきており、会社が変わりつつあると感じています。

逆にプライマリケアホーム事業は2.4パーセントから10.7パーセントとなり、増えつつあります。

四半期別決算推移(1)

四半期別の決算推移です。右肩上がりに伸びると同時に、内訳も変わりつつあります。

四半期別決算推移(2)セグメント別

セグメント別の四半期ごとの数字です。横に並べるとよくわかりますが、ずっと右肩上がりで全体的に増えていっています。特に第3四半期、第4四半期のプライマリケアホーム事業の売上が非常に大きくなってきています。第3四半期に3,000万円の売上が入っているところもありますので、きらりプライム事業もかなり大きく伸びているのですが、全体の傾向としては、売上も利益も右肩上がりで増えています。

特に第1四半期は営業利益5,500万円で予算を組み、ほぼ予算どおり推移したのですが、第4四半期に関しては、2億4,500万円まで伸びています。

セグメント別営業利益推移

セグメント別の営業利益推移です。在宅訪問薬局事業は6億3,500万円、営業利益率9.7パーセント、きらりプライム事業は4億8,500万円、営業利益率58パーセント、プライマリケアホーム事業は黒字転換しています。

在宅訪問薬局事業KPI

在宅訪問薬局事業のKPIです。店舗数は44店舗と記載していますが、現在は46店舗となっています。1店舗当たりの売上高は1億4,800万円です。また、1店舗当たりの在宅患者数は223名で、全体の在宅患者数も9,353名まで伸びています。

きらりプライム事業KPI

きらりプライム事業のKPIです。加盟店舗数は1,870店舗、加盟法人数は704店舗となっています。3月末現在で全国45都道府県に1,900店舗弱を展開しており、ARPUは44.9万円となっています。

プライマリケアホーム事業KPI

プライマリケアホーム事業のKPIです。スライド左の棒グラフは入居定員数に対する入居者数を表しています。入居定員264人に対して入居者は211人となっており、第4四半期時点で約80パーセントの入居率となっています。現時点では、予約も入れるとほぼ満床に近い状態になっていると思います。

単価に関しては、47万6,000円となっています。スライドに書いてあるとおり、感染症が発生した影響で医療の訪問看護が少し下落しましたが、当初立てたよりも単価が高く推移し、総じて順調に進捗しています。

介護施設を運営されている会社などに聞くとよいと思いますが、非常に速いスピードで入居が進んでいます。現場もかなり大変ですが、社会的ニーズは非常に高く、私どもも手応えを感じています。

2024年3月期アクションプラン 取り組み状況について

続いて、アクションプランについてです。在宅訪問薬局事業はドミナント戦略を継続して行っていきます。前期には、きらりプライム加盟店から弊社が事業承継して出店した例もあります。オンライン服薬指導に関しては、年間4,324件実施しました。

きらりプライム事業に関しては、今回は主に加盟店舗数もしくは法人数とARPUの話に尽きます。4月にパッケージプランをスタートさせ、ARPUが上がってきています。加盟店舗数についても今後も増やしていきます。そのため、大手パートナー企業と47回のセミナーを実施し、デッドストックのシステム稼働も開始しています。

プライマリケアホーム事業については、春日ちくし台・博多麦野の2棟がほぼ満床となっており、黒字転換しています。すでに発表していますが、施設開発体制の構築として、熊本市にも出店を決定しました。また、ICT機器に関しても直営施設で実証実験中です。

バランスシート

バランスシートはスライドを見てもらえばわかると思いますが、自社で保有した施設の影響で自己資本比率が少し下がっており、自社株買いも影響しています。

キャッシュフロー

キャッシュフローについては、スライドをご覧ください。

業績見通し(連結)

今期の業績見通しです。売上高94億円、14.1パーセント増、営業利益は9億2,900万円、30.9パーセント増を見込んでいます。営業利益は10億円に近い予算を出していますが、プライマリケアホーム事業の伸長があるため、上期と下期で前期ほど差は出ない見込みです。

KPI前提

KPIの前提です。在宅患者数は1万人超え、きらりプライム加盟店は2,200店舗、ARPUは46万8,000円という計画を立てています。

営業利益想定増減要因分析

営業利益を分解すると、総じて通期で伸び、2億2,000万円増、9.3億円の着地という想定になっています。

2025年3月期アクションプラン

2025年3月期のアクションプランです。スライドに記載のとおり、前期の反省を活かして店舗の負荷をなるべく軽減します。そのための教育も今回非常に重要視しています。1年未満の離職が多いこともわかっていますので、不安なく働いてもらうことが非常に大きいと思っています。

人材確保の取り組みや、患者の数が多すぎるためオペレーションが難しくなっている部分が問題だったと思っています。今後は在宅専門店を出店することにより店舗負荷を減らしていきます。

「たられば」の話になりますが、セントラルキッチン方式のような、調剤の外部委託解禁が国家戦略特区で行われようとしており、大阪でも始まろうとしています。現在、薬はその店舗でしか調剤できない制度になっています。1ヶ所でまとめて作ることができないのですが、厚労省がそれを解禁する方向で動いていますので、解禁されればセントラルキッチン方式を試してみたいと思います。

また、きらりプライム事業に関しては、在宅薬剤師の派遣や、電子薬歴システムとの自動連携も模索しており、ある程度見えてきたところです。

さらに、どの業界もそうですが、これから高齢化が進み、事業承継が非常に重要になってきます。加盟店も含めて、私たちがしっかりお助けするサービスもスタートしています。

プライマリケアホーム事業では、年間2棟を開設する体制を作っていき、熊本にも進出していきます。

「リージョンプライム(仮)」と書いていますが、弊社が行っている施設の運営サービスをコンサルするサービスも今後開始していきます。これによって、プライマリーケアのプラットフォーム企業としてのポジショニングをしっかり強化していきたいと思います。

2024年報酬改定インパクト

診療報酬改定のインパクトについてよくご質問をいただくため、載せています。今回は調剤報酬と介護報酬の両方が改定となりました。6月からスタートしますが、国が点数配分を決めるため、いろいろな影響が出てきます。

まず在宅訪問薬局事業ですが、在宅訪問に対し厚労省が新しい点数をつけることから、全体で年間約6,000万円の報酬増となる見込みです。また、医療用麻薬使用や重度疾病者の方に対して点数が加算されています。

みなさまご承知のとおり、外来や敷地内薬局などに関しては非常に厳しい改定だったと思いますが、在宅に関しては評価いただいています。これに伴い、きらりプライム事業に関しても、4月・5月の足元はかなり好調に推移しています。国が診療報酬を改定し、「在宅にしっかり取り組みなさい」と打ち出した結果、そのように変わってきているのだと思います。

加盟店に関してもARPUが増加しています。今後どうなるのか予測を立てていますが、取り組んでみなければわかりません。逆に、加盟店が離脱していく可能性もあると思っています。新規加盟店は今後も増えていくと予想していますので、サービス利用拡大からARPUも増加する見通しです。この両軸を追っていかなければいけない事業だと考えています。

プライマリケアホーム事業については、定期巡回訪問介護看護が1パーセントほどの報酬減になりました。しかしながら、先ほどお話ししたとおり、単価自体は47万円ほどの水準で推移しています。医療保険はほぼ変わりなかったため、その結果プラス算定となる見込みです。

調剤関連報酬点数の比較変化

調剤関連報酬点数の比較変化について、スライドにわかりやすくグラフで示しています。改定前と改定後で、2階建の部分がどちらもプラスになっています。

在宅訪問薬局事業:2024年調剤報酬改定の影響

2024年調剤報酬改定の影響について、内訳を詳しくお話しします。調剤基本料は、改定前と改定後でほぼ変わっていません。地域支援体制加算が減ったのをDX加算などで補い、差し引きゼロとなっています。

加えて、在宅薬学総合体制加算が新設されたことにより、在宅処方箋は1枚あたり350円増となりました。弊社には在宅患者が1万人弱いますので、月2回訪問する場合、全体で約6,000万円の報酬増になると考えています。

在宅訪問薬局事業:オペレーション改革の方向性

オペレーション改革の方向性についてです。先ほど少しお話ししましたが、国家戦略特区では、まもなく「セントラルファーマシー」システムの実証実験がスタートする見込みです。

今までは、店舗で薬を作って在庫を置き、分包機などの機械を設置していました。一方、「セントラルファーマシー」システムではそれが一元化されます。人の問題も含めて前向きに進むと聞いています。

「セントラルファーマシー」ができれば、大幅に業務負担が改善できると思っています。特に一包化に関しては、「セントラルファーマシー」で懸命に取り組もうとしている部分です。

国も生産性を上げなければ、医療・介護が持ちませんし、薬局のこれからの運営にも大きく関わってきます。人手不足も含めて、国も保険業界の中で効率化していくことが非常に重要だと考えているため、このようなところを懸命に進めているのだと思います。

プライマリケアホーム事業:出店戦略

プライマリケアホーム事業の出店戦略についてです。現在2棟を運営していますが、今後も同じような規模で2棟の開設を予定しています。3棟目 の「プライマリケアホームひゅうが熊本はません」(仮称)は2024年12月開設で、168床規模となる予定です。4棟目の 「プライマリケアホームひゅうが久留米聖マリア病院前駅」(仮称)は2025年4月開設で、150床規模となる予定です。

プライマリケアホーム事業:Medical Mind社株式取得

トピックスをご紹介します。バランスシートのスライドでもお話ししましたが、実際に運営してみてどうなのかがある程度見えてきました。

今後の考え方としても非常に重要だと思いますが、自前で持つと減価償却は増えますが、お金を借りて家賃を払わなくてよいため、利益はよくなります。もちろんバランスシートを考慮する必要はあると思っています。

そのようなところも踏まえて、Medical Mind社の株式を5億円で取得しました。Medical Mind社は当社運営のプライマリケアホーム2施設を保有していました。施設運営と施設保有の一体化により、機動的かつ効率的な事業運営の実現を目指します。

プライマリケアホーム事業:オムツセンサーの開発と実装テスト開始

継続した取り組みとして、オムツセンサーの開発を行っています。実装テストが始まり、実際に施設内のベッドにセンサーを配置して実証実験を行っているところです。

市場分析

中期成長計画についてです。まず市場分析ですが、在宅訪問薬局事業ときらりプライム事業を含む在宅訪問薬局市場だけで3,200億円の市場規模があります。こちらは今も成長しており、市場成長率は6パーセント、在宅患者は1年で5万人ずつ増加しています。成長期間は30年と、日本でも唯一かなり長いレンジで成長していく市場だと思っています。

また、高齢者施設運営市場の規模は13.3兆円で、市場成長率は2パーセントとなっています。これからの20年で要介護者は175万人増えていきます。今でも非常に大きな市場ですが、これからも成長していきます。

そのような意味では、理念にも記載しているとおり、サービス提供の整備を急ピッチで行わなければなりません。高齢者の方を見守る施設が足りなくなり、個人の家で見なければいけなくなると、介護離職という大きな社会問題が起こります。

介護によって年間約10万人が離職しているという統計があります。市場が伸びていく中でしっかりサービスを提供していくことが、今後よい社会を作るために非常に大事だと思っています。

中期成長計画

数字の話に戻ります。売上高は2026年3月期に11億円以上を計画しています。経常利益は2025年3月期に8億8,900万円、2026年3月期に13億円以上を計画しています。

サステナビリティ経営

当社のサステナビリティ経営に対する考え方について、スライドに記載のホームページをご覧ください。何度もお話ししていますが、当社の経営理念は「患者さん、利用者さんが24時間365日自宅で安心して療養できる社会インフラを創る」です。これ自体がすでにサステナビリティだと思っていますが、それ以外のことに関してもホームページに記載していますので、後ほどご確認いただければと思います。

私からのご説明は以上となります。ありがとうございました。

質疑応答:きらりプライム事業の加盟店数の見通しについて

司会者:「きらりプライム事業の加盟店の伸びが鈍化していますが、今後の見通しを教えてください」というご質問です。

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