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平瀬智樹氏:株式会社GENOVAの代表取締役社長の平瀬智樹です。本日はお忙しい中、当社の2024年3月期の決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日はスライドに記載した順番でご説明します。

事業概要

まず事業概要ですが、我々は「ヒトと医療をつないで健康な社会を創る」というミッションのもと、2つの事業を展開しています。

メディカルプラットフォーム事業では、「Medical DOC」という医療情報メディアを中心に事業を進めています。スマートクリニック事業では、患者さまが快適に受診ができるよう、クリニックの自動化を進めています。

スナップショット 2024年3月期末時点

2024年3月期は連結売上高が累計で86.8億円、営業利益が23億円になりました。メディカルプラットフォーム事業における医療メディアの記事数が1万3,000記事を超え、アクセス数も伸びています。また、スマートクリニック事業の自動受付精算機とセルフレジの導入台数も累計で1,964台になりました。

メディカルプラットフォーム事業

まずメディカルプラットフォーム事業ですが、我々は医療メディアである「Medical DOC」を運営しています。「Medical DOC」は医療と患者さまの医療情報格差をなくすために、一般の患者さま向けに、さまざまな医療情報を提供しているメディアです。

スライドの下部に記載していますが、メディカルプラットフォーム事業の売上高は約54億円です。会社全体の売上の約62パーセントをこの事業で出しています。売上総利益については49.7億円で、全体の75.9パーセントをメディカルプラットフォーム事業で立てています。

当社がMedical DOCにて提供しているメインコンテンツ

医療メディア「Medical DOC」のコンテンツは、病気や治療、闘病、トレンドの医療記事を記載した自社企画の医療情報コンテンツと、クリニックからお金をいただいて作成しているクリニック紹介ページの2種類に分かれています。このクリニック紹介ページが、メディカルプラットフォーム事業の売上になります。

スマートクリニック事業

スマートクリニック事業は、会社全体の売上の約3割を担っており、粗利ベースでは2割を占めている事業になります。この事業では主に医療のDX化、クリニックオートメーションとして医療人材不足に対する対応、不要な医療事務業務の撲滅、患者さまの待ち時間短縮を目指し業務効率化を推進するソリューションの構築を目指しています。

今まで我々は、クリニックの受付や会計を自動化するサービスを展開してきました。昨年は「NOMOCa AI chat」というチャットボットを使ったサービスで、問い合わせ、受電、予約、問診などを自動化しました。また、患者さまの待ち時間のストレスを軽減するために、クリニックの待合室にタッチパネルを設置し、子どもたちが待っている間に画面越しで遊べるようなサービスを提供しています。

他にも自動化できるところはたくさんありますので、今後もサービスを拡充し、クリニックの自動化を目指して、この事業を進めていきます。昨年のスマートクリニック事業の売上高は26.7億円で、全体の約30パーセントを占めるかたちになりました。

2024年3月期実績

2024年3月期は、先ほどお話したスマートクリニック事業内の「NOMOCa AI chat」というChatGPTを使ったAIサービスが想定を上回る反響だったこともあり、セールスミックスの改善から売上、営業利益ともに計画を上振れる着地となっています。

売上高は前年対比133パーセントの86.8億円、メディカルプラットフォーム事業は前年対比133パーセントの54.2億円、スマートクリニック事業は前年対比で141パーセントの26.7億円、営業利益は前年対比133パーセントの23億円、当期純利益は前年対比137パーセントの17.2億円で着地しています。

3ヵ年サマリー 四半期事業別売上

スライドには3ヶ年サマリーの四半期ごとの事業別売上と、合計の売上を記載しています。2024年3月期の第4四半期の売上高はスマートクリニック事業が四半期で最高売上を更新しました。

総売上も前年同期比で約128パーセント成長を実現し、四半期では過去最高の売上を更新しました。スマートクリニック事業の売上の比率が非常に高くなっていますが、先ほどご説明した「NOMOCa AI chat」の売上が大きく寄与しています。

利益構造及び利益率の推移

こちらは利益構造および利益率の推移になります。2024年3月期の営業利益は通期予想を約1億円超過するかたちで、23億円になりました。通期を通して研究開発コストに資金投下はありましたが、それ以外でコスト管理もできていたことから、営業利益率については第3四半期の24.1パーセントから26.5パーセントへ改善し着地しています。

四半期費用内訳の推移

こちらは四半期ごとの費用内訳の推移になります。2024年3月期第4四半期は、スマートクリニック事業のハードウェアサービスが契約件数を伸ばしたこともあり、製造経費は増加傾向にありました。年間を通して増加した営業スタッフの貢献もあり、売上の増加に伴い、営業に対するインセンティブの支払いがかさみ、人件費も前年対比で増加しています。

3ヵ年サマリー 四半期事業別営業利益

3ヶ年サマリーの四半期ごとの事業別営業利益になります。2024年3月期第4四半期のスマートクリニック事業およびメディカルプラットフォーム事業ともに四半期で過去最高益を更新し、特にスマートクリニック事業単体では、前年同期比で約300パーセントの成長を示しました。全事業体ではプラス1.6億円ほどで高い成長を維持しています。

3ヵ年サマリー 四半期新規既存比率

四半期ごとの新規のお客さまと既存のお客さまの契約比率です。当社のビジネスはフロー型の収益モデルですのでこちらを記載しています。

19年間の歴史を通じて培った1.4万件に及ぶ医療機関のタッチポイントを活用して、既存のお客さまへの再販およびクロスセルにより一定水準の売上を創出できています。

新規のお客さまも獲得しつつ、既存のお客さまには新サービスが出る度にご案内しており、昨年は新しいサービスの「NOMOCa AI chat」が出たため、既存のお客さまの比重が高くなっています。

2025年3月期業績予想 及び 3ヵ年サマリー

続いて、2025年の3月期連結業績予想です。2025年3月期は前期比約126パーセントの成長を見込んでいます。売上高においては初めて100億円を超えるという予想です。各事業で新サービス等の立ち上げのため、積極的な投資を継続していきますが、営業利益率を確保しつつ規律のある投資計画の下、強固な事業基盤を作っていく所存です。

2025年3月期の売上構成比

売上構成比では事業ごとの大きな変更はなく、メディカルプラットフォーム事業が売上の約6割、スマートクリニック事業が3割強です。スマートクリニック事業では新しいサービスがどんどん増えていますので、セールスミックスの改善が営業利益に貢献すると見込んでいます。

利益構造及び利益率の推移

2025年3月期の利益構造は、両事業において前期よりさらに先行投資を加速させる予定です。既存事業の機能拡張だけではなく、新規事業に向けての開発投資も予定しています。

一方で、利益率の高いサービスを拡充するため、開発投資を行ったとしても、営業利益率については25パーセント以上を目標値として計画しています。

売上を構成する2つの要素

続いて成長戦略です。売上規模を成長させていく上で、内的な要因はサービスの価値向上による単価の値上げです。加えて、既存のお客さまからの追加のお申し込みや新規のお客さまの獲得により、契約件数が増えることで売上を成長させます。

外的な要因は2025年問題による医療費増大や少子高齢化による労働力人口の減少です。これにより両事業は今後も成長すると予測しています。

営業人員一人当たりの売上高

営業スタッフの推移になります。2023年4月に新卒が50名入社し、昨年は中途も毎月だいたい5名程度を採用してきました。2024年3月期の営業人員1人当たりの生産性は、前年と同様の増加傾向にありました。

2025年の3月期においても新卒約50名を採用し、4月から入社していますが、中途採用も約50名を予定しています。成長のための採用は今後も強化していく予定です。

昨年は採用と毎年行っている研修の効果が、非常に大きかったと思っています。そのおかげで営業のスタッフが増えたにもかかわらず、1年間の平均生産性は上がっています。今年に関しては、できれば生産性をもっと上げたい考えですが、なんとかこのまま維持していくようなかたちで計画しています。

既存深堀及び新規開拓による顧客数の増加

スライドの左側に展開している営業拠点を記載しました。2024年3月期中に広島の営業所を新規で開設し、中国地方での営業を可能にしています。取次店や各社と結んでいる代理店パートナーシップの拡充も今後も強化していく流れです。

メディカルプラットフォーム事業の契約件数と契約単価

各事業の売上成長の要因をご説明します。まず、メディカルプラットフォーム事業は契約件数が引き続き高水準で推移しています。2024年3月期に実施した価格改定の恩恵はありながらも、第4四半期では低単価の記事が契約件数として多かったことから、契約単価自体は若干減少しています。

スマートクリニック事業(ハードウェアサービス)の契約件数と契約単価

スマートクリニック事業についてです。自動精算機/再来受付機やセルフ精算レジは、過去最高の契約件数を更新しました。昨年の夏ぐらいから今年にかけては新紙幣への対応も進んでいますので、今後も伸びていくと思っています。

スマートクリニック事業(ソフトウェアサービス)の契約件数と契約単価

スマートクリニック事業は、先ほどハードウェアサービスとしてご説明した自動受付精算機の他に、ソフトウェアサービスをどんどん増やしています。特に昨年8月から販売開始した「NOMOCa AI chat」が販売件数を伸ばしており、ソフトウェアサービスの契約件数は過去最高水準まで達している状況です。

メディカルプラットフォームにおける契約単価の向上施策

メディカルプラットフォーム事業は、安定的に医療記事がどんどんと増えていくことにより、アクセス数も増えていきます。アクセス数が増えることでメディアの価値が上がり、値上げもできますし、営業活動にもプラスに働いていくというような循環になります。

1年間でアクセス数は1,400万PVを超え、記事数は3,500記事ぐらい増えて、とても伸びています。

メディカルプラットフォームにおける契約単価の向上施策

メディカルプラットフォーム事業は、ネットワーク効果で今後も価値が上がることによって、値上げもできると思っています。

組織体制の強化について

昨年から進めている組織体制強化についてです。スライド上段に記載した財務経理部の分割、法務部の新設、IT課の新設の3つが大きな組織改編になります。もともと財務経理部だったものを2つの部署に分け、財務部を新設しました。こちらでIR対応をしています。

また、総務労務部にあった法務チームから、法務部を新設し、法務、コンプライアンス推進・リスク管理の強化をしていきます。さらに、総務労務部にあったITチームを強化し、外部からも専門キャリアの方などを採用してIT課を新設しています。

経営体制について

組織改編とともに、執行役員も9名から13名に増えています。内3名を上級執行役員として前期は役職を新設して運営しています。組織図のピンク色の箇所が新設部署です。

特化型メディアの増設

メディカルプラットフォーム事業の新しいサービスとして、昨年は特化型メディアを増設しています。

こちらは10件ほどの特化型メディアを立ち上げました。例えば「矯正歯科DOC」では、マウスピース矯正の紹介として、日本矯正歯科学会の認定医以上で、前年の症例数で80症例以上あるクリニックだけを紹介するメディアです。

また「眼科DOC」というメディアでは、緑内障手術のレーザー機器が完備されてることや、白内障手術の症例数が年間1,000症例以上あるというように、かなりの高い基準をクリアしたクリニックだけを紹介する特化型メディアを立ち上げています。

株主還元政策について

その他の取り組みとして、当社としては初めて、株主還元政策について期末配当の実施予定を本日発表しました。株主さまとの対話の中でご要望があり、社内でいろいろと議論をして、この配当の実行を発表しました。

内容としてはスライドに記載のとおり、1株当たり普通配当金10円、1株当たり記念配当金20円、合計配当金額30円を予定しています。

マテリアリティ(重要課題)について

こちらの内容は今日ホームページでもアップしていますが、マテリアリティを作成しました。我々がありたい姿を実現するという観点から、ミッション、価値観、戦略的側面を考慮して、優先的に取り組むべき重要課題のことを指しており、それをこの図に記載しています。

大きく5つ記載していますが、まず1番目が「医療DXによるクリニックオートメーションの進展」、2番目が「オーガニックな成長と非連続的な成長の創出」、3番目が「コーポレート・ガバナンスと情報セキュリティの強化」、4番目が「カルチャー共感に基づく人的資本強化」、5番目が「気候変動による事業影響の把握」です。

中でもマテリアリティの1番目と2番目を掲げた理由は、当社の既存および新規事業を通して社会全般、医療機関、患者さまが抱える社会課題を解決できると考えているためです。

スキルマトリックスについて

スライドの表にはスキルマトリックスを記載しています。

個人投資家向けホームページ開設について

本日から個人投資家さま向けホームページを開設しています。こちらでさまざまな情報を個人投資家さま向けに、紹介していますのでご覧いただければと思います。

本日の決算説明は以上になります。ご清聴ありがとうございました。