2024年3月期決算説明

鷲根成行氏:芦森工業株式会社、取締役社長の鷲根でございます。どうぞよろしくお願いいたします。当社の概要、2024年3月期の決算についてご説明いたします。

目次

本日、ご紹介する項目でございます。まずは会社の概要をご説明した後に、2024年3月期決算の概要、連結業績予想、株主還元、経営戦略と、順を追ってご説明いたします。

ご挨拶

当社、芦森工業株式会社は、創業1878年、ロープ製造を祖業とし、繊維で培った要素技術「織る・組む」「樹脂(被覆)加工」「巻取る・固定する」「膨らませる」を組み合わせ、発展させることで事業内容の多角化を進めてまいりました。

現在では、「織る」「巻取る」「膨らませる」技術を発展させた自動車用セーフティ部品や、「織る」「被覆する」「膨らませる」技術を組み合わせたライフラインの更生といった"安全・リニューアル分野"を主力事業としています。

これらのベースとなる技術力・適応力・研究開発力が当社の強みです。

1.芦森工業について(会社概要)

こちらには会社概要を記載しております。本社は大阪府摂津市にございます。昨年の11月に創業145周年を迎えた長寿企業でございます。

資本金は83億8,800万円、従業員は約2,400名となっており、東京証券取引所スタンダード市場に上場しております。

1.芦森工業について(事業紹介)

当社の事業内容を簡単にご紹介させていただきます。当社は、「安全」「リニューアル」分野を主力事業としたモノづくり企業で、事業は大きく分けて、「自動車安全部品事業」と「機能製品事業」の2本柱で構成しております。

機能製品事業は、パルテム、防災、産業資材の3部門で構成され、活動しております。売上構成比率は、自動車安全部品部門が全体の約73パーセントを占めております。

2.決算概要(連結業績の概要)

それでは、ここから2024年3月期の業績について、ご説明いたします。当連結会計年度の売上高は683億8,900万円と、前期比27億6,500万円の増収となり、過去最高の結果となりました。

利益面も大きく伸長し、営業利益は37億5,300万円と、前期比16億円の増益、経常利益は42億200万円、前期比14億500万円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は32億1,700万円、前期比21億9,900万円の大幅な増益となりました。利益面においてもいずれも過去最高益を更新しました。

2.決算概要(セグメント別業績の概要)

セグメント別業績の概要をご説明します。まずは自動車安全部品事業でございますが、当連結会計年度においては、一部で生産調整の影響がありましたが、円安効果および原材料価格の市況変動分の一部を売価に転嫁した結果、当事業の売上高は500億3,900万円と、前期比33億7,200万円の増収となりました。

また、豊田合成株式会社との協業活動による生産性の向上および業務効率アップや経費削減、為替影響により、損益面は大幅に改善し、営業利益は23億1,700万円と、前期比17億3,300万円の増益となりました。

次に機能製品事業でございますが、パルテム関連は、期を通じて受注は堅調に推移しましたが、繰越工事が多かった前期に比べて上半期が低調であったことから、通期では前期を下回る結果となりました。

防災関連は、石油コンビナート向け大口径ホースシステムの納入が寄与したほか、消防用ホースの販売も堅調に推移しました。

産業資材関連は、輸送用車両の生産増加による物流関連の回復が寄与し、増収となりましたが、他の分野は低調に推移しました。

以上の結果、機能製品事業全体では、パルテム関連の占める割合が大きいため、売上高は183億2,000万円と前期比6億500万円の減収、営業利益につきましても21億8,400万円と前期比2,300万円の減益となりました。

2.決算概要(連結B/S)

連結貸借対照表の状況はご覧のとおりでございます。有利子負債残高は129億3,700万円となっております。

増益に伴い、前期と比べまして13億6,100万円減少しております。引き続き有利子負債の圧縮を進め、財務体質の改善を目指してまいります。

2.決算概要(連結C/Fと設備投資の状況)

連結キャッシュ・フローの状況と、設備投資の状況でございます。「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、棚卸資産の増加等により運転資金が増加したことにより、前期比で減少しました。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、設備投資案件を厳選したことにより、前期比で改善いたしました。また、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、前期に引き続き、有利子負債の圧縮を進めました。

3.連結業績予想・推移(連結業績予想)

続きまして、2025年3月期の業績予想でございます。2025年3月期は「第123~125期中期経営計画」の3年目、最終年となります。

中期経営計画3年目の業績は連結売上高600億円、営業利益27億円の数値目標を掲げておりましたが、当初計画を上回る連結売上高680億円、営業利益32億円を見込んでおり、当期純利益については目標と同額の20億円を見込んでおります。前期と比較しますと減収減益となる計画となっておりますが、各種の業績改善施策に努め、前期を上回る業績を目指したいと考えております。

3.連結業績予想・推移(連結業績の推移)

こちらは2020年3月期からの連結業績の推移でございます。新型コロナウィルス感染症による売上の低迷と自動車安全部品事業の収益性の低下のため、利益水準は低迷しておりましたが、2024年3月期は自動車安全部品事業の収益力が改善したことと、為替の影響により業績は回復し、中期経営計画2年目の数値目標を上回りました。

4.株主還元

株主還元についてご説明いたします。当社は、株主のみなさまに対する利益還元を最重要事項の1つと認識しており、安定した配当を継続的に実施することを基本方針としております。

2024年3月期の期末配当につきましては、「第123~125期(2023年3月期~2025年3月期)芦森グループ中期経営計画」の数値目標を1年前倒しで達成できましたことから、普通株式一株当たり100円といたしました。目標として掲げております配当性向30パーセントは下回りますが、有利子負債の削減による財務基盤の強化を優先させていただきたく存じます。

また、2025年3月期の配当につきましても、普通株式一株当たり100円を予定しております。

5.経営戦略

今後の経営戦略についてご説明いたします。中期経営計画における全社戦略として、「1.新たな成長軌道への挑戦」と「2.体質改善の実行」を掲げております。

「1.新たな成長軌道への挑戦」としましては、成長市場である自動車安全部品分野と管路更生分野に引き続き経営資源を集中してまいります。

5.経営戦略

当社は、2021年5月に豊田合成株式会社と協業を開始し、昨年11月にさらなる協業の強化を目的として、新たな資本業務提携契約を締結しました。これにより、豊田合成株式会社が当社の筆頭株主となり、当社は同社の持分法適用会社となりました。

また、新たな提携により、エアバッグ事業の競合関係が解消し、エアバッグ仕様の統一や部品の共同調達を進めていくことができるようになりました。今後もグローバルなセーフティシステムの拡販に向けて取り組んでまいります。

5.経営戦略

自動車安全部品分野においては豊田合成株式会社との協業における両社の役割分担を明確にし、シートベルト技術とエアバッグ技術を組み合わせたセーフティシステムの開発を推進し、新規顧客の獲得や受注拡大に取り組んでまいります。

管路更生分野においては、老朽化した国内インフラの更新が見込まれることから、新工法の開発と下水道分野以外への展開を強化し、さらなる工期短縮で需要の拡大に対応してまいります。

5.経営戦略

「2.体質改善の実行」につきましては、人的資本の質の向上により企業価値を高めることを目指してまいります。

「芦森グループ人材Vision」に掲げる「高い専門性と幅広い視野、論理的展開力を持った世界に通じる人材」を育成するため人事制度・教育制度の改革を進めると同時に、「サークル活動」を通じた「芦森グループ従業員行動規範」の定着および実践により、高い規律と倫理観を持った企業グループへの変革に取り組んでおります。

5.経営戦略

また、当社グループは、「創意を生かし、社業を通じて社会に貢献する」を経営理念である社是に掲げ、自動車安全部品、防災用商品や物流省力化商品、管路更生事業等、「命と暮らしを守る製品」を提供し、SDGsが国際社会の共通テーマとなる以前より、社会課題の解決に貢献してまいりました。

引き続きSDGsと親和性の高い商品の開発を進めると同時に、徹底した省エネによる環境負荷の軽減、すべての従業員が働きやすい環境づくり、社会貢献活動への取り組み等、「サステナブルなものづくり」を推進いたします。

最後に...

最後になりますが、当社は創業以来、「常に一歩先を見据えた製品開発」を心掛け、繊維業界はもちろんのこと、消防業界、自動車業界、建設業界、物流業界など数多くの業界と良好な繋がりを持つことにより、数多くの開発依頼を受け、商品開発に繋げてきました。

この繋がりを大切に、今後もより高い技術水準への挑戦で新製品を開発し、企業価値を最大限高めてまいります。みなさま、どうぞこれからの芦森工業にご期待ください。

最後までご視聴いただき誠にありがとうございました。今後ともご支援のほど、よろしくお願いいたします。

※本内容は、企業提供の書き起こしになります。