2023年度決算 ハイライト①
山本均氏(以下、山本):4月1日より代表取締役 社長執行役員に就任しました山本です。本日は決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
2023年度決算のハイライトをご説明します。2023年度は、スポーツや音楽ライブなどが好評を得たことにより、新規加入件数は前期と比べ約7万件増加しました。一方、目的番組の終了による解約件数が増加しています。
しかし、新規加入件数の増加の影響等により、正味加入件数は前期と比べ2万8,000件改善しました。また、下期の正味加入件数はマイナス9,000件となりました。プラスとはならなかったものの、前年同期の正味加入件数マイナス6万件と比べ、大幅に改善しています。
2023年度決算 ハイライト②
収支のハイライトについてです。売上高は会員収入が減少したことなどにより、前期と比べて減収となりました。経常利益は、広告宣伝費や番組費が減少したものの、売上高の減少による利益減の影響等により、減益となっています。
また、株主還元について、1株当たりの期末配当金は、当初の予想どおり30円とする予定です。こちらは5月17日開催の当社取締役会にて付議予定となっています。
数字の詳細については、経営管理、経理統括の尾上よりご説明します。
2023年度決算 加入状況
尾上純一氏(以下、尾上):経営管理、経理統括の尾上です。IRを担当しています。
まず、加入状況です。新規加入件数は62万6,000件となりました。サッカー「UEFAチャンピオンズリーグ」などのスポーツや、B'zやKis-My-Ft2などによる音楽ライブ、3シーズンにわたる大型ドラマシリーズ「連続ドラマW フィクサー」などが好評を得て、前期と比べ7万5,000件増加しました。
解約件数は71万8,000件です。配信サービスとの競争結果に加え、目的番組の終了による解約などが増えたことで、4万6,000件増加しました。結果、正味加入件数は9万2,000件の純減、累計正味加入件数は246万7,000件となっています。
正味加入件数は純減となりましたが、前期と比べて2万8,000件改善しました。特に、下期にはバスケットボール「NBA」や、「Paramount+(パラマウントプラス)」の開始などにより、10月から12月までの正味加入件数はプラスとなっています。
先ほどご説明したとおり、下期のトータルは若干のマイナスとなり計画を下回りましたが、改善の兆しが見えています。
また、こちらの数値には含まれていませんが、「UEFAチャンピオンズリーグ」のシーズンパスなどを「WOWOWオンデマンドPPV(ペイパービュー)」で販売したため、WOWOWをお楽しみいただくお客さまの数は、下期に実質増加しています。
2023年度決算 収支状況(連結)
続いて連結の収支状況についてです。こちらは前期と比べ減収減益となりました。
売上高は748億6,900万円、22億3,100万円の減収、経常利益は20億5,700万円、14億8,900万円の減益となりました。
また、特別損失として減損損失7,000万円、投資有価証券評価損を1億100万円計上しています。これは、「WOWOWオンデマンド」のコンテンツ管理システムを開発していた過程で、開発後に開始されたクラウドサービスを利用するほうが経済的なメリットがあることが発覚したためです。この開発を中止したことによる減損損失となります。
また、投資有価証券評価損は、出資している会社の業績を踏まえ、減損処理をしたことによるものです。
セグメント別連結売上高/営業利益対比
セグメント別の状況についてです。まずメディア・コンテンツセグメントについてご説明します。こちらは主に、お客さまからの視聴料である会員収入が売上高の多くを占めています。
イベント事業や連結子会社であるWOWOWプラスのホテル事業が好調だったことなどにより、その他収入は増収となりました。しかし、加入件数の減少により会員収入が減収となったことなどから、16億7,800万円の減収となりました。営業利益は、売上高の減少などにより12億700万円の減益となっています。
次に、テレマーケティングセグメントです。連結子会社であるWOWOWコミュニケーションズにおける事業となります。グループ外のテレマーケティング業務が減少したことなどにより、売上高は前期と比べ7億2,800万円の減収となりました。
営業利益は、売上高の減少に加え、昨年8月にフロストインターナショナルコーポレーションを買収した取得費用を計上したことなどにより、5億6,700万円の減益となっています。
連結経常利益 前期との差異要因
連結経常利益の差異要因についてです。スライドの左側が利益の増加要因、右側が減少要因となります。
まず、増加要因についてです。広告宣伝費が、前期と比べ5億2,100万円減少しています。主に、テレビCMの減少によるものです。番組費が3億3,300万円減少しています。詳細は次のスライドでご説明します。
また、為替差損益が前期と比べ2億6,700万円改善しました。前期は急激に円安に振れたため、すでに計上していた外貨建買掛金の評価損が発生し、為替差損を計上したことが要因となっています。
その他は、ケーブルテレビなどのプラットフォームに支払う手数料などの減少が主な要因です。
次に、減少要因についてです。会員収入は24億9,800万円減少しました。グループ会社収支は5億9,700万円悪化しています。テレマーケティングセグメントでの利益減が主な要因です。結果、14億8,900万円の減益となりました。
番組費の推移
番組費の推移についてです。当期は、下期に新たなコンテンツとして「NBA」や「Paramount+」の配信を開始しましたが、前期は、オリジナルドラマ「TOKYO VICE」や、「スペインサッカー ラ・リーガ」など、大型コンテンツの放送・配信があったため、番組費は前期と比べ3億3,300万円減少しています。
下期は当初の計画よりも積極的に番組費を増加させ、会員獲得を行う計画でした。しかし、見込んでいた一部のスポーツコンテンツの放送・配信がなかったことなどにより、年間の見込みより若干減少しています。しかし、番組費はほぼ想定どおりの投下となっており、下期の加入状況の改善につながったと考えています。
国内外の企業等を対象とした投資実績
投資実績についてです。2023年3月より、既存事業の強化や新規事業の創出を目的に、国内外の企業やベンチャーファンド等を対象とした投資を開始しました。
開始以降、連結子会社WOWOWコミュニケーションズによるフロストインターナショナルコーポレーションの買収など、ベンチャーファンドへの出資も含め、合計7社への投資を実行しています。今後も、当社グループの成長に資する企業等への投資を引き続き検討していきます。
現状分析 -資本収支性と市場評価について-
山本:4月26日に発表した資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。
当社は、2018年度まで13期連続で会員数が増加し、着実な利益成長と自己資本利益率(ROE)8パーセント以上のリターンを実現するとともに、株価純資産倍率(PBR)についても、2020年度まで1倍を上回る状況が続いていました。
しかし、近年は配信サービスとの競争激化など、外部環境の急激な変化により5期連続で会員数を減らし、2023年度も減収減益となっています。
それに伴い、2023年度末において、資本コストを上回るROEを達成できず、さらに利益計上による自己資本の積み上がりなども要因となり、PBR1倍を上回っていません。
なお、当社は資本コストを算定する指標として、株主資本コスト(CAPM:資本資産価格モデル)を採用しています。その数字は、6パーセント程度と推計しています。
具体的な取り組みについて
このような現状分析を踏まえ、当社は中長期的な成長に向けた収益構造の転換を早期に実現するため、成長戦略、財務戦略、非財務戦略、IRの強化の4点に取り組んでいきます。
成長戦略においては、メディア・サービスにおける構造改革、新サービスの開発による、新たな収益の創出などを行うことで、収益力の強化を図っていきます。財務戦略においては、有利子負債の活用も視野に入れ、投資を推進していくほか、政策保有株式の縮減も行い、資本効率の向上を図ります。
また、株主還元については、減収減益の状況においても、安定的な配当を継続していく考えです。そして、持続的な成長を支えるための人的資本投資の拡充や、サステナビリティ経営を強化するほか、投資家と対話する機会の拡充、開示資料の充実など、IRの強化も図っていきます。
これらの取り組みを実行することで、ROEを向上させ、PBRの改善を目指していきます。
重点戦略
2024年度の重点戦略についてご説明します。当社が置かれている厳しい競争環境のもと、収益力の強化を目指すためには、メディア・サービスにおける構造改革、新たな収益の創出などに着手することが急務であると考えています。
メディア・サービスにおける構造改革においては、個々のコンテンツの収益性や多層的な活用を意識した投下を実行していきます。
また、外部企業と連携し、WOWOWのコンテンツをまとめた新規パックサービスを拡大する方針です。4月からは、当社が配信するスポーツコンテンツを使用できる新サービス「WOWSPO」を「ABEMA」で提供開始しました。それにより、4月単月の正味加入件数は、2003年以来21年ぶりにプラスとなっています。
さらに、当社に加入したことがある顧客の行動データをもとに、リピーターマーケティングを強化することで、宣伝費を効率的に投下し、新規加入などにつなげていきます。
新たな収益の創出については、オリジナルコンテンツを軸とした海外事業展開を拡大していきます。4月にアメリカのMaxと共同制作した「TOKYO VICE Season2」を放送・配信しています。
7月には、当社とソニー・ピクチャーズ、アメリカの配信大手企業Crunchyroll(クランチロール)の3社共同で、大型のアニメ制作プロジェクト「ばいばい、アース」の放送・配信開始が控えています。さらに、音楽、スポーツコンテンツを中心に多層サービスを開発・提供することや、新規ビジネス構築に寄与する外部企業との協業を、グループ全体で推進していきます。
DX/投資の推進においては、DXの推進およびコスト構造の見直しにより、生産性を向上させ、経営基盤の強化を図り、会員事業の強化や新規事業創出等を目的とした投資を引き続き行っていきます。
2024年度 加入計画
2024年度加入計画についてです。2024年度の重点戦略をもとにした加入計画は、正味加入件数プラスマイナスゼロ、累計正味加入件数246万7,000件となります。
2023年度下期に正味加入件数が大幅に改善した流れを維持するため、今期は映画『ゴールデンカムイ』の連続ドラマ化や、「WOWSPO」の開始、リピーターマーケティングの実施、さらにWOWOWオンデマンド専用コンテンツを活用した利用継続を図ることなどにより、マイナストレンドからの脱却を目指します。
なお、Apple Store経由での契約や「WOWSPO」をはじめとしたさまざまな外部プラットフォームでのサービス提供が増え、加入・解約の判定時期など管理形態も多様化しています。そのため、今期より新規・解約件数の計画値の公表は行わないこととしました。ご理解いただけますと幸いです。
2024年度 収支計画(連結)
2024年度の収支計画は、減収減益を見込んでいます。連結売上高は、昨年8月に買収したフロストインターナショナルコーポレーションが通期で寄与することにより、テレマーケティングセグメントが増収となりますが、会員収入が減少することなどにより、前期と比べ減収となる見込みです。
経常利益については、広告宣伝費や番組等を効率的に投下することなどが利益増の要因となりますが、会員収入の減少や「WOWOWオンデマンド」関連費用の増加などにより、前期と比べて減益となる見込みです。
2024年度 投資計画(単体)
2024年度の投資計画です。2023年度は、主に放送・配信設備や顧客管理システムの改修等に投資しました。2024年度の設備投資予定額は36億円で、主に放送・配信設備や会員ビジネス、DX活用に不可欠なデジタル基盤強化のために設備投資を行う予定です。
2024年度 配当計画
2024年度配当計画です。1株当たりの配当は30円を計画しています。株主還元については、当社も重要性を認識しているため、減収減益の状況下においても継続的に安定的な配当を行う方針を維持することとしました。
コンテンツを軸に収益を多層化
井原多美氏(以下、井原):4月から事業戦略を統括することになりました、井原です。私からは、先ほど山本からお伝えした重点戦略について補足いたします。
先ほどVTRでご覧いただいた「欧州サッカーUEFAチャンピオンズリーグ」は、来シーズンも独占放送・配信することがすでに決定しています。来シーズンは、出場クラブ数が32から36に増加します。さらにこれまでのグループステージ制が廃止され、出場全36クラブが1つの大きなリーグの中で戦うなど、新たなフォーマットで行われることに注目が集まります。
前期においては、放送・配信することに加えて、シーズンパスや決勝トーナメントパスの販売も実施しました。さらにHUBや快活CLUBと提携するなど、法人契約も展開しました。今シーズンも収益拡大につながる取り組みを推進していきます。
また、今シーズンの決勝戦は6月2日の午前4時には、映画館のスクリーンで決勝戦を見るライブビューイングも実施いたします。想定以上の予約が入っている状況です。今期もサッカーのいろいろなかたちの楽しみ方を、今期に向けて増やしていきたいと考えています。
7月には、3社共同での大型アニメ制作プロジェクト「ばいばい、アース」は当社での放送・配信に加え、各配信プラットフォームでも配信する予定です。さらにソニー・ピクチャーズ、クランチロールと提携し、北米、欧州、アジア全域を中心とした200以上の国や地域への海外展開とともに、ゲーム化、グッズ化などの多層展開を目指します。
新サービス「WOWSPO」がスタート
スポーツファンに「WOWOW」との接触機会を増やすために、「欧州サッカーUEFAチャンピオンズリーグ」など、当社が配信するスポーツコンテンツを視聴できる新サービス「WOWSPO」を開始しました。
「WOWSPO」は月額1,980円で、厳選した世界最高峰のスポーツを配信で楽しむことができます。4月2日より「ABEMA」にてサービスを開始しましたが、大変好評を得ています。4月の新規加入件数は、「WOWSPO」も含めて8万9,000件で、前年同期と比べて2倍強増加しました。
大型オリジナルドラマを展開
4月からは世界約120ヶ国で放送・配信され大ヒットを記録した超大作ドラマ「TOKYO VICE」のシーズン2を展開しています。今後も海外事業の拡大を視野に入れた、国際共同制作によるコンテンツ開発等を進めていきます。
6月には当社とテレビ東京の初の共同製作となる「ダブルチート 偽りの警官」、秋には興行収入約30億円、観客動員数200万人以上の大ヒットとなった、映画『ゴールデンカムイ』の続編を「連続ドラマW」として放送・配信します。
WOWOW FILMS最新作が公開
「WOWOW FILMS」最新作2作品が劇場公開となります。石原さとみさん出産後の初出演映画作品の『ミッシング』、大泉洋さん演じる実話をもとにしたストーリー『ディア・ファミリー』、こちらの2作が劇場公開となります。
質疑応答:重点戦略について
質問者:重点戦略について質問です。「新たな収益の創出」では、「音楽・スポーツコンテンツを中心に、多層サービスを開発・提供」とありますが、どのようなものを想定しているのでしょうか?
また、「メディア・サービスにおける構造改革」で、外部企業と連携して新規のパックサービスを提供促進する、という説明がありましたが、「ABEMA」以外にも、新たな提携をするのでしょうか?
井原:最初の「多層サービスを開発・提供」についてですが、今まで当社は放送と配信でサービスを提供することにとどまっていました。
しかし、先ほどお伝えしたとおり、例えば映画館でコンテンツを楽しんでいただくであるとか、ツアーを計画するであるとか、1つのコンテンツをもとに、今までなかったような多層的な体験をお客さまに提供できる企業体にステージアップしていきたいということが多層サービスの想定している展開となります。
今、ご説明させていただきましたように、例えば「欧州サッカーUEFAチャンピオンズリーグ」も権利をいくつか取得しているため、こちらをベースに今まで挑戦したことないお客さまとのタッチポイントの創出や新たな価値創造、そういったところに展開していくのが一番大きな狙いです。
2つ目の「メディア・サービスにおける構造改革」に関しては、今回は「ABEMA」との協業となりますが、今後も他の配信事業などとも提携することによって、当社が持っているコンテンツ、クオリティの高いドラマも含めて、さまざまなかたちでタッチポイントの機会を増やしていくところが主な活動となっていきます。
質問者:この戦略は、御社のコンテンツを独占ではなく、外に出していくことになると思います。例えば、「ABEMA」の「WOWSPO」は少し値段が安くなっていますが、これにより、「WOWOW」本体への加入が減る、いわゆるカニバリゼーションの恐れはないのでしょうか?
井原:当社もそのようなことがあるのではないかと、事前にシミュレーションを行いました。結果は、もちろん多少のカニバリゼーションは起こるものの、新たなるターゲットにリーチをする観点では、「ABEMA」の場合はプラスになると見込んでおります。
今までのプラットフォームでは取り込めなかったターゲット層に拡大できたということでは、このようなやり方は1つ我々の勝ち筋としてあるなと、「ABEMA」との契約を通じて実感しています。
質疑応答:リピーターマーケティングの戦略について
質問者:重点戦略の「メディア・サービスにおける構造改革」の項目に、「リピーターマーケティング強化による宣伝費の効率的な費用投下」という文面があります。
リピーターマーケティングを単純に考えると、解約したお客さまに、再度メールを送るようなことが考えられますが、別のアプローチをお考えであればお聞かせください。
井原:マーケティングに関しては、比較的大がかりなと言いますか、シンプルなマーケティングを行っていました。
しかし、今までリピーターの獲得をあえて戦略的に行っていたかと言うと、そうではなかったため、それを強化することで、より効率的にマーケティング展開ができるのではないかと思っています。
いったん、われわれのサービスを使っていただいた、そしてサービスに好感を持っていただいたという方に対して、、それぞれに見合ったサービスないしはコンテンツをご提供することで、効率的なマーケティングができると思っています。
だからといって、今まで行っていた新規獲得のためのマーケティングをやらないということではありません。今まで行っていたことに加え、我々のサービスを体験していただいた方に対してさらにアプローチをかけることで、より効果的なマーケティング結果をもたらすのではないか、ということです。
質問者:では、リピーターを獲得するためにさまざまな方法を考えられると思いますが、例えばスペシャルオファーを提供したり、リピーターになっていただきたい方だけの加入特典があったり、あるいは、スポーツが好きだというデータマーケティングが立証されたお客さまには「WOWSPO」をご提供したりと、そのようなことをお考えになっているのでしょうか?
井原:さまざまなアイデアをいただき、ありがとうございます。「具体的にこうである」ということはなかなかお話ししにくいのですが、そのようなかたちで、お客さまがどのような行動をとっていらっしゃったのか、どのような思考を持っていらっしゃったのかを理解した上で、その方により価値のある情報を提供していきたいと考えています。
質疑応答:外部企業と連携したサービス提供促進を戦略に挙げた背景について
質問者:重点戦略のスライドに「外部企業と連携し、WOWOWの新規パックサービスを提供促進」とあります。先ほどのQ&Aでもさまざまなお考えをお聞きしましたが、もっと広い視点から、外部企業と連携したパックサービスの提供をどんどん出していこうという考えに至った背景について教えてください。
例えば、マーケット戦略において、これまではWOWOW単体で加入者を獲得しようとがんばってきましたが、今はそのような時代ではなく、外部のサービスとうまく組んで進めていったほうが効率的です。そのような判断があったりするのでしょうか?
山本:「ステップアップをしている」とお考えいただければ良いと思います。まずは、「WOWOWオンデマンド」で、B-CASカードがなくても加入できる導線を作りました。
その次のステップとして「WOWOWオンデマンド」の中に、TVOD(都度課金制)サービスを立ち上げてきました。いよいよ次は、我々が持っているコンテンツの権利をしっかり確認した上で、その権利で外部のプラットフォームに出ていこう、ということです。
放送だけの時代においては、3チャンネルのサービスで2,300円というものが1つの商品としてありました。一方、配信は、価格も含め柔軟性があるという意味では、新たな商品を積極的に開発して、新たなプラットフォームと組んでいくということで、今までにないWOWOWの取り組みです。
質疑応答:毎月の加入実績について
質問者:単純な質問ですが、今後御社がご発表する毎月の加入実績には、当然ながら「WOWSPO」など他のプラットフォームサービス経由で獲得した会員も含まれると解釈してよろしいでしょうか?
山本:そのような解釈で結構だと思います。ただし、チャンピオンズリーグのシーズンパスのようなものは、いわゆる月額課金とは違う考え方であるため含まれません。
質疑応答:今期の業績予想について
質問者:決算短信に記載の2025年3月期連結業績予想において、上期の営業利益は0円であり、下期で稼ぐかたちになっています。不勉強でお恥ずかしいのですが、この上・下期には意味があるのでしょうか? ゼロという数字が驚きではあるのですが、どのように考えればよろしいでしょうか?
尾上:この理由としては、主に売上高が上期よりも下期が多いことが利益の差の要因となっております。会員収入においては、上期は下期と比べ、チャンピオンズリーグ終了による影響があること、また、下期においてはゴールデンカムイのドラマによる加入増を見込んでいることなどが、会員収入の差の理由となります。
また、その他収入においても、下期の売上高が上期よりも多くなる見通しです。上期は映画『ゴールデンカムイ』の売上の計上を予定しているものの、下期はイベント事業を多く予定しております。
質疑応答:今期の加入計画について
質問者:会員数がマイナストレンドからの脱出の兆しが見えているところから、今期の正味加入件数の計画はプラスマイナスゼロと先ほどお話がありました。このプラスマイナスゼロについて、今後さまざまな施策を行うことでプラスに持っていくという見通しを立てていらっしゃるのでしょうか? 今後の見通しはいかがでしょうか?
山本:昨年度の下期に「Paramount+」を導入し、「WOWOWオンデマンド」の利用が非常に上がっていることから、既存のお客さまの満足度が上がってくれば、解約も減らしていけるだろうという部分があります。また、新たなスポーツパック等を投入することで、外部のプラットフォームから加入を取ってくるという、新たなルートによる加入増の部分もあります。
この2つの効果により、今年度は正味加入件数プラスマイナスゼロを目指せるのではないかという見通しのもと、今回はこのような計画を立てています。
質疑応答:今期も営業利益の半減が続く理由について
質問者:会員数はマイナストレンドからの脱却の目処が見えつつあるとのことですが、営業利益を見ると、前期は半減しました。今期も半減となっております。会員数の今期の計画は、ほぼ横並びにもかかわらず、営業利益の半減が続く理由を教えてください。
尾上:前期の各月で区切った会員数と比べると、今期の見通しは減少するため、会員収入は減る見込みです。当然これまでご承知のとおり、各月で会員数は増減いたします。結局、各月の加入件数の総和といったものが会員収入になりますので、その増減によりまして会員収入が変動いたします。
利益については、広告宣伝費や番組費等を効率的に投下することなどが利益増の要因となりますが、会員収入の減少や、WOWOWオンデマンド関連費用の増加などにより、前期と比べ減益となる見込みです。
質疑応答:重点戦略の具体的なプランについて
質問者:WOWOWはオリジナルドラマやスポーツ、音楽が強みとしてお客さまにも認知されておりますし、そういったコンテンツで、加入者を増やしてきたということが、今までの歩みでございます。
その強みをもっと活かすために、4月よりスポーツ事業局、音楽事業局という形で組織変更も行いました。いわゆる放送や配信で視聴していただくだけではなく、持っている権利を最大限利用し、多層的な活用を行なうことで収益を拡大することが狙いです。
コンテンツを軸にイベントを展開し、グッズを世界に売るなど、もっとエンターテイメントにまつわるビジネスを拡大し、そのコンテンツが好きなお客さまに対して映像以外のサービスをもっと積極的に開拓して、ビジネスにつなげていこうという考えです。
今後、コマース事業も積極的に開発していきたいと思っています。そのコンテンツが好きなファンであるお客さまにより多層的なサービスを展開することで、一人ひとりからいただくARPUを上げていきたいという考えかたです。
質疑応答:番組販売から得られる収益について
質問者:「TOKYO VICE Season1」が120ヶ国で放送・配信されたことに関する質問です。このような場合は、120ヶ国からWOWOWに、売上となるお金が入ってきているのでしょうか?
山本:権利関係については詳しくお話できませんが、WOWOWは日本国内の権利を持っているとお考えください。
質疑応答:自社コンテンツの海外展開について
質問者:現在は民放キー局中心に、自社コンテンツを日本だけでなく海外にも売りたいということで、総務省を含めて海外展開に力を入れていると聞いていますが、御社制作のコンテンツを海外に売ることは、なかなか難しいのでしょうか?
山本:これまでもオリジナルドラマを海外に販売してきた実績はございますが、それを拡大させていくことは、正直そう簡単な話ではないと思います。
今期は、国際共同制作によるコンテンツ開発は、「TOKYO VICE」や「ばいばい、アース」を実施いたしますが、将来的にはより拡大させていくことも挑戦したいと考えております。今後、ロサンゼルスに社員を派遣して、国際共同制作の関係性を強化していくなど、積極的に海外に仕掛けていきたいという考えです。
山本氏からのご挨拶
山本:本日は決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。4月1日より、経営体制の若返りを図りました。本日この場にはおりませんが、執行役員も若返りを図っており、2024年度は新たなWOWOWの成長に向けたスタートの年であると考えています。
先ほどご説明したとおり、メディア・サービスにおける構造改革と新たな収益の創出にスピード感をもって取り組んでいきたいと思います。
引き続きご支援のほど、何卒よろしくお願いします。本日はありがとうございました。