本日の説明内容

蓮見正純氏(以下、蓮見):株式会社青山財産ネットワークス代表取締役社長の蓮見です。本日はお忙しいところ、当社の説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、当社の企業概要、外部環境と今後の取り組み、株主還元の3つに焦点を絞ってご説明します。

会社概要

蓮見:会社概要です。当社は総合財産コンサルティング事業を行っている会社で、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。連結子会社10社で、それぞれが役割を持って総合財産コンサルティング事業をサポートしています。

当社のグループ関係にある法人としては、青山合同税理士法人と税務総合事務所、社会保険労務士法人のプロジェストがあります。この3社は連結には入っていませんが、一緒に仕事をすることが多い会社です。

合弁会社としては、新生銀行と50パーセントずつ出資して作った新生青山パートナーズがあります。こちらは、事業承継ファンドを推進している会社です。

もう1つは、日本M&Aセンターホールディングスと50パーセントずつ出資して作った、ネクストナビという会社です。こちらでは、アフターM&A、つまりM&Aを終えた方々に向けた事業を行っており、財産運用や財産承継に関する相談をお受けしています。

沿革

蓮見:当社の歴史です。スライドのとおり、2021年に創立30周年を迎えることができました。

私たちが目指している青山財産のあり方

蓮見:当社は「仕事とは人の助けになることだ」という考え方に基づき、「富裕層ビジネスの第一人者となること」を目指しています。

当社がメインとするお客さまは、土地持ちの資産家や企業オーナー、金融資産家です。彼らは、相続や事業承継の問題、あるいは非常に経営が厳しい中でどのように舵を取ったらよいかなど、財産・財務に関わるさまざまな問題を抱えています。

このようなお客さまのパートナーとして、「財産のことなら青山に聞こう」と頭に浮かべていただける信頼関係を長期的に結んでいきます。いろいろな相談をお受けする中で、みなさまが直面する、財産に関わる問題の解決ができるパートナーになっていきたいと思っています。

当社は、そのようなパートナーとしてのあり方を「ウェルスアドバイザー」と名付けています。多くの方々の「ウェルスアドバイザー」として成長し、長きにわたって、この社会に存在する財産に関わる問題の解決に取り組んでいきたいと考えています。

ビジネスモデルの特色 ~100年財産コンサルティング~

蓮見:こちらのスライドは、前のスライドでご説明した内容を図示したものです。当社は、1代のお客さまで終わるのではなく、2代3代と続けてお付き合いをする仕事をしています。したがって、スライドのような時間軸で長く関係性を作っていき、どんどんお客さまが増えることを「望んでいる姿」としています。

しかしながら、現状ではその姿に至っていません。もちろん、何代にもわたってお手伝いしているファミリーの方々もいますが、より多くの方にそのような貢献ができるよう進めていきたいと考えています。

過去10年間の売上高と営業利益

蓮見:過去10年間の売上高と営業利益です。スライドのとおり、おかげさまで2014年度から2024年度まで、若干の上下はあるものの右肩上がりで成長しています。

2020年度の売上高は前年に比べて落ち込んでいますが、こちらはコロナ禍の影響によるものです。セミナーが一切できない上に、お客さまもほとんど外出しなかったため、この時期は少なからずダメージを受けました。しかし、10年間で見れば、右肩上がりの成長を実現することができています。

連結業績ハイライト・業績予想

蓮見:連結業績ハイライトと業績予想です。スライドには、2019年度から2023年度までの過去5年間の業績と、2024年度の業績予想を記載しました。

2020年度には利益が若干落ち込みましたが、先ほどお伝えしたように、全体では増収増益を実現しています。2023年度は、売上高および各段階利益が過去最高を更新しました。2024年も業績予想どおりに実行し、過去最高益を更新する予定です。

日本の人口の推移

蓮見:当社の置かれている外部環境についてです。スライドのグラフは、みなさまもよく目にしているであろう日本の人口の推移です。薄いオレンジ色とオレンジ色の部分が、65歳以上の人口を示しています。

この推移からも予想されるように、65歳以上の方々が抱える相続・事業承継の問題は、これから15年から20年とまだ続きます。今までよりも多くのお客さまが問題を抱えるようになるため、それに合わせて当社が貢献する機会も増えていくと考えています。

個人資産家を取り巻く環境 〈相続マーケット〉

蓮見:スライドのグラフは、課税割合の推移を示したものです。こちらは、100人が亡くなった時に何人が相続税を払っているかという割合を表しています。

2022年の全国平均は9.6人ですが、東京・千葉・神奈川・山梨は15人となっています。東京に至っては20人を超えて25人と、4人に1人が相続税を納める時代になっています。

このように、個人資産家にとって相続の負担は大きな悩みとなっているため、そのお手伝いも増えると推察しています。

企業オーナーを取り巻く環境 〈事業承継マーケット〉

蓮見:企業オーナーを取り巻く事業環境です。ご存じのように、社長の平均年齢はどんどん上がっています。後継者不在比率は、M&Aが増えて後継者が見つかることで少しずつ減ってきています。

しかし、いまだに半分以上の企業が後継者不足に悩む状況が続いており、こちらも大きな社会問題になっています。

顧客数とコンサルティング売上高の推移と今後の展望〈成長性〉

蓮見:「ありがたい」と言うのは社会に申し訳ないですが、当社が置かれている環境として、いろいろな悩みを持った方が非常に増えてきていることは事実です。おかげさまで、当社の顧客数も増えており、同時に、当社と連携している金融機関からお客さまをご紹介していただく数も増えています。

その結果がスライドのグラフにも表れています。2023年度は、2,780ファミリーが当社のお客さまとなり、その方々に対するコンサルティング収益が70億8,200万円となっています。

当社は、事業承継の問題解決については全国をカバーしています。しかし、首都圏に土地勘があるため、事業対象は首都圏の土地持ち資産家におおむね限定されている状況です。金融資産を5億円以上持っている方は、日本全国に9万世帯いると言われています。加えて、首都圏で一定以上の資産を持っている方は3万人以上とも言われているため、当社のお客さまの母集団は約12万人と見ています。

したがって、12万人に対し、現在の顧客数はわずか2,780人という状況だと言えます。当社が全国展開を進めてサービスを提供できるお客さまを増やせば、12万人のうち5パーセント、10パーセントと顧客数が増えていくだろうと考えています。

そのようなニーズや期待に応える会社になるべく、成長していきたいと思っています。

実態PL ~不動産取引を純額にした場合~〈収益性〉

蓮見:実態PLとは、不動産取引を純額にしたPLのことです。売上高のうち、不動産取引の売上高は、不動産を仕入れて販売した際の粗利部分だけを示しています。つまり、当社は不動産取引で32億9,200万円を粗利で稼ぎ出しているのです。

一方の財産コンサルティングによる売上高は、70億8,200万円です。したがって当社は、まさに財産コンサルティングを主として行う「コンサルティング会社」であることがおわかりいただけると思います。

また、実態PLは「当社がこのような前提でPLを作ったとすると、2023年度の売上高は約100億円、営業利益は約32億円です」という内容になっています。これは、営業利益率が31.5パーセントと、非常に高い収益性を誇る会社であることを示しているわけです。当社自身、そのことを意識して仕事をしています。

このように、当社は決して収益性の低い会社ではなく、むしろ収益性の高い会社であるということをご理解いただければ幸いです。

BSハイライト(財務戦略)〈安全性〉

蓮見:BSハイライトです。スライド右側に記載のとおり、ポイントが3点あります。

1点目は、実質無借金経営を継続していることです。現預金と有利子負債がバランスしていることもあり、現預金の残高は約140億円と多くなっています。

こちらは、2点目に挙げているとおり、どのような経済リスクにも対応できる現預金水準を維持しているためです。当社はリーマン・ショックの時に大変苦労しました。その時の教訓を踏まえ、「どのような不況も乗り越えていける会社であることが必要だ」という理念のもと、このような財務戦略をとっています。

3点目は、不動産在庫をほとんど保有しないことです。2023年12月時点の保有在庫は約16億円です。年間300億円近くの不動産売上を計上しますが、在庫は16億円ほどで、多くても17億円から20億円しか持たないというのが特徴です。

こちらのバランスシートを見ると、財務的にも安心していただけると思います。

2024年以降の取組み

蓮見:当社はおかげさまで増収増益を図り、顧客数や金融機関からのトスアップも増え、右肩上がりの状況です。

その中で、今はお客さまとの関係性をさらに強化し、財産のことならいつでも相談できる会社になることが必要だと考えています。そしてそれを突き詰めることは、結果として高い生産性に結びつき、希望や働きがいを感じられる方々と一緒に働くことができるようになると考えています。

社会の問題を解決するためには、当社自身が力をつけなければいけません。そのためには、よい人材に入ってもらい、入った後は「良い会社に入ってよかった」と言ってもらえる会社である必要があります。そして、給与も増えて働きがいも大きくなり、お客さまへの貢献度も増し、結果として会社も収益が上がるという会社を目指しています。

そこで2024年度からは、スライドに記載した4つの取組みを軸に活動していこうと考えています。

2024年以降の取組み

蓮見:1つ目の取組みとして、人間力を高めるために、利他心を軸とした徳を積むことを徹底的に教育します。

実力は当然必要ですが、コンサルタントに最も大切なことは人間力です。人に優しく寄り添い、人の気持ちに共感できることが非常に重要だと考えています。また、これは人が幸せに生きていくためにも必要な要素だと思っています。

当社で働いてる人たちには、人間力を高めるだけではなく、問題を解決するためには実力もつけなければならないため、人間力と実力の両方を兼ね備えることが大事だと話しています。そして、人間力を高めるために徳を積むことをみんなで学び、実力をつけるためにさまざまな工夫をしています。

2024年以降の取組み

蓮見:2つ目の取組みは、DX・AI等の活用によるコンサルタントを支える環境の整備です。

当社では現在211名のコンサルタントが働いていますが、昨年に比べると約4パーセントの伸びに留まっています。採用環境が比較的厳しいため、次々と人を採用することが難しくなっているのも事実です。

その問題にどのように対応するかについては次のフェーズでお話ししますが、ここで重要なのは「コンサルタント1人当たりの生産性をいかに高めるか」ということです。

コンサルティングにはさまざまな情報が必要です。一定の情報はパソコンに格納されていますが、コンサルタントがいつでも自分のパソコンからデータベースにアクセスし、必要なデータを見られる状況になっているかと問われれば、決してそうではありません。

そこで、当社は今年から約3年をかけ、DX・AIを活用して情報のきちんとしたデータベースを作る取組みを進めます。スライドに記載のとおり、外部から知見のある方を招いて取組むべく、2024年4月1日にDX推進室を設置しました。これから約3年をかけて、コンサルティングファームとしては大きなチャレンジに挑みます。

また、コンサルティングメソッドや業務プロセスについても、DX・AIを活用することで標準化します。標準化によって業務効率が上がり、生産性の向上につながります。

この2つを実現することで、当社で働くコンサルタントの実力も確実に上がると考えており、人材育成にも寄与すると期待しています。

2024年以降の取組み

蓮見:3つ目は、働きやすく、働き甲斐のある職場に向けた取組みです。

働きやすいことと働き甲斐があることの2つが大切だということは、みなさまもご承知のとおりだと思います。社内ではよく「10人いたら10人の、100人いたら100人それぞれの事情があって働いてるんだ」と話しますが、それぞれの事情が受け入れられ、安心して働ける職場を作ることが非常に大切だと思います。

私も高齢の両親を抱えていた時は、介護が非常に大変でした。周りの理解によってなんとか介護と仕事の両立が実現できましたが、みなそれぞれの課題を抱えています。その人たちの課題をきちんと会社が理解した上で、職場環境を作るということに大変注力しています。

また、役割に応じた給与、業績への貢献度に応じた賞与をきちんと支給することも重要です。当たり前のことですが徹底的に実現していこうと思い、2024年からではなく永遠の課題として、私が社長になった2008年からはひたすらこのことに取り組んでいます。

そして、政府からは「物価高を上回る賃上げを」という号令が出ており、当社は5パーセントを超える賃金アップを目標としています。おかげさまで2023年度は、5パーセントを上回る賃上げを実現することができました。

このように、生産性を上げて賃金を上げることで、働きやすい環境を作っていける会社を目指しています。

2024年以降の取組み

蓮見:4つ目は少し毛色が違いますが、8つの個別サービスに次ぐ新サービスの提供に取組みます。当社のメイン事業は総合財産コンサルティングですが、お客さまのニーズはどんどん多様化しています。

財産全体の問題以前に、今所有している空き家や空き地をなんとか有効活用して、収益の上がるものに変えたいというニーズもたくさんあります。そのようなニーズにきちんと対応するべく、スライド左上に記載した「土地有効活用コンサルティング」という個別サービスを作りました。

このように、時代のニーズに合わせた8つの個別サービスを提供しています。2024年以降の取組みの中でも、時代やニーズの変化によって個別サービスの内容は変わります。今後もニーズの変化を捉え、新たなニーズに応えられるサービスを加えていきたいと考えています。

ADVANTAGE CLUBの新規組成実績

蓮見:ニーズに応えた個別サービスの1つが「ADVANTAGE CLUB」です。こちらでは、例えば都心にある10億円の不動産を、1口1,000万円で100口に分けて取得していただくという商品を販売しています。すなわち「不動産商品の小口化」です。

当社は2002年からずっと取り組んでおり、2023年度には約244億円を組成することができました。みなさまから大変ご愛顧いただき、最近では発売後1日で5億円から6億円の商品が売れる状況です。

今までは1棟ものを求めていた方々が、1棟買うのは手間もリスクもあるため小口化の不動産商品を求めるというケースが大変増えています。そのようなニーズに応えようと「ADVANTAGE CLUB」という商品を提供しています。

株主還元方針

蓮見:株主還元についてです。当社は、配当性向50パーセント水準を目標に配当を行っています。特筆すべき還元方針は継続的な増配です。

配当の推移

蓮見:現在は、おかげさまで13期連続の増配を実現しています。今期に約束している46円を達成すれば、14期連続の増配となります。

当社は、経営において「増配の継続」を大きな目標の1つに掲げています。これはリーマン・ショックで大きく株価が下落したことがきっかけです。当社も苦しみましたが、投資家にも大変な損失が出ました。

その時に感じたのは「上場している当社がリーマン・ショックをなんとか乗り越えて事業を続けていられるのは、投資家の方々に支えていただいたからだ」ということです。そこで、投資家のために毎年きちんと増配することを目標の1つに掲げ、本当に運良く、今のところ13年連続で増配できています。

今期の目標の1つである増配を実現して14期連続増配を達成し、みなさまに還元したいと考えています。

10年間の株価動向

蓮見:10年間の株価動向です。2013年には200円を割っていましたが、おかげさまで現在は1,200円近くまで上がっています。

株主総利回りの推移(TSR)

蓮見:ご存知の方もいると思いますが、当社の株式を10年間保有した場合の配当と値上がり益の合計は、約6倍となっています。「6倍」という数字は、マーケットの中でも比較的上位ではないかと思います。

このように、投資家のみなさまに株価と配当で喜んでいただくことを目標に取り組んでいます。

株主優待

蓮見:株主優待についてです。6月末日の株主を対象とした優待と、12月末日の株主を対象とした優待の2つがあり、内容はそれぞれスライドのとおりです。

優待を2つ用意しているのは、当社のファンになって継続的に応援していただきたいからです。また、半年ごとに優待を出すことによって、きめ細かく株主のみなさまに楽しんでいただきたいという思いがあります。

駆け足になりましたが、ご説明は以上です。ぜひみなさまに興味を持っていただき、応援していただけるとありがたく思います。当社一丸となってがんばりますので、どうぞよろしくお願いします。本日はお忙しい中お時間をいただき、本当にありがとうございました。

質疑応答:事業環境の見通しについて

kenmo氏(以下、kenmo):財産コンサルティングについてうかがいます。昨年度までは非常に好調であり、今期の売上高も80億円と予想されています。足元の好調な事業環境は、今期あるいは来期以降も続きそうでしょうか?

蓮見:おかげさまで、本当に好調な状況が続いています。先ほども少しお話ししたとおり、当社は現在、金融機関との連携を積極的に広げています。

2022年度は金融機関から1,000ファミリーをご紹介いただき、そのうち300ファミリーにお客さまになっていただきました。2023年度は1,300ファミリーをご紹介いただき、400ファミリーがお客さまになっていただいています。

提携銀行の数も増えて「さらに深く連携したい」というお話もいただいているため、右肩上がりの状況は継続していくものと考えています。

質疑応答:人材採用と生産性向上施策について

kenmo:先ほど「人を採用するのが大変な状況の中で、生産性を上げていく」とお話いただきました。実際に、顧客の伸びに対してコンサルタント数を伸ばし切れていない印象を受けています。今後の方針としては、人材採用や育成強化よりも生産性を上げていくというイメージでよろしいでしょうか?

蓮見:両輪だとお考えください。人材採用と育成によって優秀なコンサルタントをどんどん輩出していく軸と、コンサルタント1人あたりの生産性を高めていく軸の両輪で進めていこうと考えています。

コンサルタントの採用と育成を実現するために、スライドに記載の「働きやすく、働き甲斐のある職場」を整備しているという状況です。

質疑応答:配当性向について

質問者:「連続増配を続けていくことが目標」というお話がありました。決算資料にもROE20パーセント以上、配当性向50パーセント以上、DOE10パーセント以上という目標を掲げており、大変すばらしいことだと思います。

一方で、直近のROEは23.2パーセントと、コロナ禍の前の約30パーセントに比べて若干回復が遅いように見えます。こちらは、自己資本が積み上がっていることが1つの原因ではないかと思います。今後増配を続けていく中で、配当性向を50パーセントから引き上げていくことを考えているかどうかを教えてください。

蓮見:配当性向は、基本的には50パーセントを維持していこうと考えています。先ほどご説明したように、今後はさまざまな投資も出てくると思っています。

バランスシートについても確実に純資産を積み上げているものの、企業の安定性という側面を考えると、やはりそちらも積み上げていかないと心配なところではあります。そのため、今のところは50パーセント前後の配当性向で進めていくという方針です。

ただし、臨機応変にいろいろなことを考えたいと思っています。実はコロナ禍の時に大きく収益が落ちましたが、その時も当社は増配していました。このように、基本的には長期的に見た時に毎年確実に増配されていくという目標を立てて取り組んでいます。そのようにご理解いただければと思っています。

質疑応答:株主優待について

質問者:御社の株主構成を見ると、上位はほとんどが法人格だと思います。彼らから「株主優待よりも、さらに増配したほうがよい」という声が上がることはありますか?

またそれに関連して、個人投資家に多くの株を持ってもらいたいと思った時に、今は少なくとも300万円ほど投資しなければ優待を受けられません。新NISAが始まったとはいえ、ほとんどの一般投資家はそこまで手を出せないと思います。

したがって、優待に関してはもう少しハードルを下げるなど検討の余地があるのではないかと思いますが、その点に関するご見解をお聞かせください。

蓮見:こちらについては検討したいと思います。ご意見ありがとうございます。

質疑応答:案件数の進捗や提携金融機関数の開示について

質問者:財産承継と事業承継についてそれぞれ金額を出されており、直近では財産承継の単価が大きく跳ねていたと思います。案件数と単価を掛け合わせたものが売上高になると思いますが、案件数はどのような進捗状況でしょうか? 言える範囲でお聞かせください。

また、成長戦略として人材の質は非常に重要だと思います。同様に、こちらはダイレクトなソーシングが難しい領域だと思います。そのため、金融機関や税理士法人などとの提携がかなり重要になるのではないかと考えています。御社が提携されている日本M&Aセンターホールディングスも、金融機関との提携を非常に重視されていると思います。

そこで、先ほど提携金融機関からの紹介数が伸びているとご回答されていましたが、個人的には、主要KPIとして提携機関数の推移や、そこからのトスアップ数も非常に大事だと思っています。これらの数字は、すでに決算資料で開示されていますか?

蓮見:そちらについては開示していません。案件数はさまざまな捉え方があるため、数字を出すことが難しいのが現状です。現在も案件数は増えていますが、さらに増やせるのではないかという感覚を持っています。

当社のビジネスモデルはダイレクトもありますが、ほとんどがご紹介です。おっしゃるとおり、深く提携できる金融機関が増えたほうが当社へのトスアップが増えます。実際の提携数としては、2020年まではメガバンクと信用金庫を合わせて15行でした。しかし、2021年から大きく増え、今年3月末時点の提携数はトータルで64行です。

基本的には、地方銀行との提携が進んでいる状況です。今は地方銀行のお客様に「『ADVANTAGE CLUB』を買いたい」という方が多く、その方々を当社にご紹介いただき、説明した上でご購入いただいています。

ご購入者には相続問題や承継問題などをお持ちの方が多いため、金融機関としても、そのようなお客さまにアクセスして緊密性を高めたいというニーズがあります。それにより「青山財産ネットワークスと一緒に連携しませんか?」というお話が増えつつあります。

質問者:そこからのトスアップ数も増えていると思いますが、数を開示する予定はありますか? 見る方からすると、この数値があったほうが伸び率などがわかりやすいと思います。

蓮見:案件数の数え方もさまざまですので、こちらについては検討したいと思います。

質問者:「この不動産のこの部分だけで1件として見てよいのか?」という問題もあるということですね。

蓮見:おっしゃるとおりです。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問者:プライム市場に上場する予定はありますか? またそのための条件はなんですか?

蓮見:プライム市場に上場するための条件は現状すべて満たしておりますが、無理にプライム市場に昇格するよりも、自然体でプライム市場に昇格していけるタイミングで上がることができればと考えております。具体的な時期は申し上げられませんが、皆様の期待に応えられるよう努力してまいります。

<質問2>

質問者:顧問契約の件数は現在どれぐらいでしょうか? 平均単価もわかれば教えてください。

蓮見:顧問契約の件数は開示しておりませんが、個人の方ですと月額数万円程度です。顧問契約はお客様との長期的な関係を構築するために締結しており、報酬の大半はお客様の課題を解決するたびにいただく成功報酬となります。

<質問3>

質問者:上記に関連して、収益全体に占めるストック収益の割合を教えてください。

蓮見:顧問報酬をストック収益、成功報酬をフロー収益と考えると収益のほとんどがフロー収益となります。一方で当社は2千数百名のお客様へ継続的にコンサルティングを行っており、毎年、「今年はこのような対策をしましょう」と計画を立てております。個々のお客様から定期的・継続的に報酬をいただいておりますので、そのような意味では大半がストック収益と理解いただければと思います。

<質問4>

質問者:リカーリングモデルと説明をいただきましたが、実際の顧客の離脱率はどれぐらいか教えてください。逆に次世代、次次世代まで続いている顧客の割合も教えていただけますと幸いです。

蓮見:一通りの対策を終えられてしばらく案件が発生しないお客様もおられますが、基本的には毎年資産の評価替えを行い現状の確認を行っております。ほとんどのお客様は離脱することなく良好な関係を維持しております。

​​<質問5>

質問者:財産コンサルと不動産取引の売上比率は、現在の2:8から今後はどちらを伸ばしていく展開になるでしょうか。

蓮見:売上の比率でみると大半が不動産取引となりますが、利益の源泉は財産コンサルです。不動産はコンサルティングのソリューションの1つであり、また、新規顧客との接点となるものです。財産コンサルを伸ばすことにより今後も成長してまいります。

<質問6>

質問者:STO事業についてですが、決算資料によると「2024年以降で3件100億規模組成」とありますが、これは今後何年程度を目途とされていますか。又、組成する地域はADと同じ考えですか。

蓮見:STOについては今年度100億規模の組成を計画しております。組成する地域はADよりも少し幅広に検討しておりますが、原則として東京の都心エリアとなります。