HOUSEI グループ

管祥紅氏:みなさま、こんばんは。代表取締役社長の管です。ただいまより、HOUSEI株式会社の説明会を開始します。

最初に会社のご紹介、それから決算報告、最後に今期の予想についてご説明します。

まずは会社紹介です。HOUSEI株式会社はスライドに記載のとおり、4つの子会社を傘下に構成されています。本社はHOUSEI株式会社で、システム開発やクラウドサービスを提供している会社です。

傘下には、越境ECプラットフォームの企画・運営を行う24ABC株式会社、教育向けのクラウドサービスを提供するアイード株式会社、エンターテイメント業界におけるITサービスやIP斡旋、スマホゲームの配信を行うSEVEN&EIGHT SYSTEM株式会社、中国武漢に開発の研究拠点を構える璞華国際科技(武漢)有限公司があります。加えて、今年から中国向けの事業も担当しています。

業績推移

業績推移です。おかげさまで、今期も含めた過去6期で増収基調を継続しています。ただし、残念ながら営業推移に関しましては若干凸凹があります。こちらについては後ほどご説明します。

事業紹介(概要)

事業概要についてです。当社は今年で設立28年になります。設立当初からの基本的なスタンスは、プライムベンダーとして、メディア業界などを中心に、比較的規模の大きなシステムの受託開発を展開しています。

メディア以外では、メディア業界として変わったノウハウを展開するプロフェッショナルサービス、さらにここ数年、力を入れて一生懸命取り組んでいるプロダクト事業の3つで構成されています。

情報システム事業

当社の事業の大半を占めている情報システム事業についてお話しします。メディア事業、プロフェッショナルサービス事業、プロダクト事業の3つに分かれており、それぞれ順調に推移しています。プロダクトとしては小さいものの、やや速いスピードで安定した成長を遂げてきています。

メディア事業は、名前のとおりメディア業界に必要なシステムを提供しています。

プロフェッショナルサービス事業ではシステムの受託開発を行っています。一部では自社製品も使用しているのですが、どちらかといえば受託開発が中心です。業界としては、製造業、不動産、金融、広告代理店などを対象に、システムやサービスを提供しています。

プロダクト事業は、主に顔認証および顔認証を応用した製品の開発、教育業界向けの学習プラットフォーム「Möbius(メビウス)」、昨年度に買収した英語スピーキングの評価AIである「CHIVOX」およびそのソフトを活かした応用製「英スピ」、インスタントウィンの「キャンペーンGO」の、これら4つを展開しています。業界としては、小売業、医療、教育業界などを対象にサービスを展開しています。

メディア向けIT事業のポジショニング

メディア業界について、さらに掘り下げてご説明します。大手メディア向けにシステム、サービスを提供しているとお話ししましたが、主に3つの特徴を挙げることができます。

1つ目は、大手メディア向けの実績が非常に豊富なこと、2つ目は広告まわりに非常に強いことです。3つ目としては、最近ではクラウドに自ら投資し、お客さまのトランスフォーメーションに協力していることです。

新聞製作においては、いまだに組版など、実際に紙面や紙での作成が大事にされていますが、当社は日刊スポーツPRESSさまとの協業で、「CloudXPress」というクラウド型組版システムを展開しています。

加えて、今後ますます重要になってくる素材管理を担う仕組みとして「NOVO」の発売を開始し、現在も展開中です。

また、昨年にリリースしましたが、時事通信社さまから受託したクラウド型デジタルメディア・データベース「Pixtock」も今年度の発売を予定しています。このようなことをメディア事業部で担当しています。

情報システム事業(メディア事業)

具体例にどのようなことへ取り組んでいるのかといったご質問をいただくことが多いため、こちらのスライドでは事例をご紹介しています。

一例として、「CloudXPress」を使って構築するケースについてです。スライド右下には、みなさまが親しんでいるスポーツ紙の絵が掲載されていますが、さまざまな素材や我々のエンジンを使用してレイアウトを作成し、この絵のページに仕上げていくソフトウェアが、当社の1つのキープロダクトになります。

また、スライド上部に「NOVO」と記載がありますが、こちらは素材を作ったり管理したりするシステムです。現在はメディアの民主化が進み、自社Webページを立ち上げたり宣伝を行ったり、お客さまとコンタクトを取る会社が増えてきています。今後はメディア業界だけでなく、このような領域でも我々のソフトウェアの展開が可能になっているため、「NOVO」には非常に期待しています。

情報システム事業(メディア事業)

情報システム事業のメディアの中で、我々が素材管理するクラウド型システム「NOVO」に非常に期待している理由について、さらにブレークダウンしてご説明します。

「NOVO」というクラウドベースのシステムでは、文章の作成だけでなく、書誌情報の検索や再利用が簡単にできます。また、それらの情報を会社の規定に沿って承認、構成、決済するなど、さまざまな分野で活用できるようになっているため、データフローを簡単に設定することができます。

さらに、最新のアーキテクチャはマイクロサービス化している点も特徴です。このようなものを、今後はメディア業界に限らず、記事、写真、音声といった素材を作成する分野でご利用いただけると考えています。

情報システム事業(メディア事業)

メディアアーカイブサービスの「Pixtock」についてお話しします。こちらのシステムでは、画像、動画、音声を一元管理することができ、販売することも可能です。

特に、従来の大手メディア業界は非常に歴史が長いため、多種多様な素材を持っています。そのような素材をクラウドベースで管理・検索・販売できます。

また、先ほどお話ししたとおり、それらの素材を最新のアーキテクチャと同様にマイクロサービス化することで、「Pixtock」を使った時代に合ったカスタマイズも、比較的容易にできます。

データ構造を活かして、自社にあった仕組みを構築して、自社のコンテンツを管理します。その上で、これらを販売してマネタイズ化していきます。このようなこともサポートしていきたいと考えています。

大手新聞社や出版社のDX投資の状況

大手新聞社や出版社のDX投資の状況についてお話しします。事例として、スライドにはこの業界を代表する先進的な企業2社を取り上げています。ほとんどすべての業界に共通して、「デジタル化は避けて通れない道」だとのコンセンサスが取れていると思います。

例えば、日本経済新聞電子版の有料購読者数は2023年12月時点で107万人を超えており、世界でも有数の会社になっています。朝日新聞においてもデジタル化を重要視しており、デジタル分野に投資していくことを発表しています。

このようなところで我々が過去に蓄積したノウハウを活かし、そのDXに伴う必要な技術を提供することを、我々のミッションとしています。

プロフェッショナルサービス事業のポジショニング

プロフェッショナルサービス事業の強みや特徴についてお話しします。こちらの強みは「幅広い実績」「ワンストップサービス」「コストパフォーマンス」です。

1つ目は幅広い実績です。スライドでは、それぞれ特徴ある競合他社3社と比較していますが、HOUSEIは幅広い業界をカバーできるソリューション提供実績があります。

2つ目に、大手SI企業にとっては規模が小さく、中小ソフトハウスにとっては手に負えない規模となる、数億円から数十億円規模の案件まで、自社で最初から最後まで一貫して請け負うことができます。

3つ目に、ワンストップサービスで展開しているため、お客さまと連携して、コミュニケーションもスムーズに行うことができますので、コストパフォーマンスも優れていると考えています。

プロフェッショナルサービス事業

当社は、メディア業界にシステム・技術を提供することでスタートしました。その傍ら、「これもできないか?」といろいろな相談を受けたり声を掛けられたりして、仕事をだんだんと請けてきたのが、プロフェッショナルサービス事業の始まりです。

結果的には、中堅のかなり有名な会社も含めた幅広い業界に直接受注でシステムを提供し、成功してきています。

中でも、医療業界やヘルスケア領域については専任のチームを立ち上げ、業界向けにさまざまなサービス提供を行っています。この領域は、株主さまの力も借りて、中長期的な1つの柱として育成していきたいと考えて取り組んでいます。

丸善雄松堂を始め、部品を多く扱っている製造業や大手インターネット広告代理店、不動産業界の上場会社など、数多くの導入事例があります。

以上、情報システム事業の2つの大きな事業部に関してご説明しました。

弊社の競争力

当社の3つの競争力に関してご説明します。「優秀な人材を確保・育成する仕組み」「ワンストップサービスの提供」「研究開発への取り組み」の順にご説明します。

弊社の競争力①

競争力の1つ目は、優秀な人材を確保・育成する仕組みです。ソフトウェア開発では、プログラマの力量によって、できあがったもののパフォーマンスが大きく変わってきます。

HOUSEIはもともと、メディア業界の難しいシステムを作ることから事業をスタートしたこともあり、プログラムの質を大切にしています。自社でエンジニアを採用して育成することに、長い間継続して取り組んできています。

その結果、大規模な開発に関して、外部の力を一部借りつつも、ほとんど自社で対応することができています。我々はプログラムを、子会社を含む内部で作っていることが非常に大切だと考えています。また、必要に応じて外注を利用する体制も構築できています。

大学は研究開発の場であり、人材を輩出する場です。我々はもともと、大学から始まった会社でもあり、今も中国で著名な大学研究室と連携しています。日本での産学連携も模索中です。最近では人材の採用や育成などに関して、インターンシップ拡大といった方面で、日本での産学連携を強化しているところです。

弊社の競争力②

競争力の2つ目は、ワンストップサービスの提供です。ソフトウェアを作るには、単に設計や管理だけではなく、実際にものを作る工程も大事だと認識しています。その認識のもと、ワンストップで当社の中で作っています。人数が不足した場合には、外部に来てもらいますが、我々の一部として参画してもらい、一緒に取り組みます。

ものを作っていく過程では、さまざまな変更が発生しますが、コミュニケーションロスを削減することで、スピード感をもって柔軟に対応することができます。その結果、我々にとってもお客さまにとっても、コストパフォーマンス・収益性が高いものが実現できると考えています。

弊社の競争力③

競争力の3つ目は、研究開発への取り組みです。当社の昔からの方針として、積極的に研究開発を行っています。

研究開発は競争力の源泉だと認識しているだけではなく、人材を育成していく意味でも、社風をよりイノベーティブに変えていく上でも、重要なものだと考えています。

2023年12月期の研究開発費は1億4,913万円と、ほぼ1億5,000万円の研究開発を行っています。研究開発としては、組版エンジン、AI顔認証を始め、最近では生成AI活用などにも費用を配分して取り組んでいます。

これらの技術を応用したプロダクト製品として、クラウド型素材管理システム「NOVO」や、クラウド型メディアアーカイブサービス「Pixtock」、クラウド型お悔み広告・案内広告制作サービス「KALO」を開発してきました。

また、顔認証端末およびそれを応用した自動車運転者管理支援ソリューションや、同クラウド型管理サーバ、Web予約システムの開発などにも積極的に取り組んでいます。以上、当社の事業内容と特徴に関してご説明しました。

連結決算概要

ここからは決算報告です。2023年12月期の売上高は46億3,900万円、営業利益は1億5,500万円となりました。

売上高は前年比プラス9.1パーセントと順調に成長しましたが、残念ながら営業利益は、前年比で15.7パーセントダウンになりました。

原因としては、2022年12月期に引き続き、2023年12月期もさらに円安元高が進んでいるため、情報システム事業における中国子会社で発生した開発費用が、円建てで前年比2,400万円増となったことが挙げられます。

さらに、研究開発への投資を予算より若干多めに使ったため、情報システム事業の営業利益は前年比で14.1パーセントのダウンとなりました。

越境EC事業については、各方面にシステム投資を積極的に行っており、大きな成長を見込めると考えていたのですが、売上高は前年比41.5パーセントの成長でした。数字としては大きいのですが、ベースが小さいため、さらに高い成長を期待していたのに対して、小さな成長にとどまりました。

その結果、営業利益は前年とあまり変わりなく4,600万円の赤字となりました。

研究開発投資

研究開発費は、先ほどもお話ししたとおり1億4,900万円です。内容は先ほどと重複するため、省略します。

連結業績予想

2024年12月期の予想と取り組みに関してご説明します。2024年12月期の連結業績予想に関しては、先日発表したとおり、売上高56億円、営業利益3億800万円、経常利益3億2,200万円、純利益は2億200万円と考えています。

目標達成に向けて

2024年12月期の目標達成に向けて、従来ご説明してきた4つに、今期は「中国事業の展開」が加わりましたので、これら5つの側面からご説明します。

人員増強による既存事業の拡大

1つ目に、当社はソフトウェア事業のため、エンジニア数が物を言います。引き続き既存事業の拡大は人数に関わるところがありますので、会社の魅力を向上し、よりエンジニアが入社したいという状況にしていきたいと思います。また、人材採用だけではなく、人材の交流を通じてレベルアップを図るというところにも取り組んでいきます。

メディア業界向け情報システム事業の高度化

2つ目に、HOUSEIはメディア業界ではかなり高いシェアを持っており、特に大手企業に対して多くの実績があります。そのようなところを活かして、プロダクト化を推進し、そのプロダクトをより多くの会社に使っていただくことを目指しています。

場合によってはメディア業界を越えて、共通したメディア機能を持ったところにも使っていただくことを積極的に推進したいと思います。それからWebflowも含めた、外部との積極的な提携も進めます。

我々1社で、すべてができるものではありませんので、やはりオープンなかたちで、共同で行っていく方針を強化していきます。その結果として、オーダーメイドからの開発を脱却し、メディアの汎用化、サービス化を推進していこうと考えています。

メディア業界以外のサービス強化

「プロフェッショナルサービス事業部」と呼んでいる、メディア以外の業界へサービスを提供している事業部は、それなりのメディアに匹敵する規模まで成長してきています。ただし、たくさんの業界を跨いでカバーしているため、早く1つの業界に軸足を置いて、その業界を深掘りできる体制と規模を拡充していけるようにしたいと思っています。

そのために、2024年12月期は医療・医薬、金融、不動産といったところを意識して推進し、早く第2の軸を拡充したいと考えています。

プロダクトの充実と拡販(越境EC含む)

3つ目はプロダクトの充実と拡販です。先ほどの説明で、当社はメディア業界にシステムを提供することをミッションに会社を作って進んできたとお話ししましたが、もともとHOUSEIという会社を作った当初は、プロダクトの会社だったのです。

プロダクトを販売しながら「こうして欲しい」「ああして欲しい」というニーズに応えていたところ、気がつけばオーダーメイドの会社に生まれ変わっていました。しかし、それでは駄目だと考えています。

特に、今後DXをスピーディに、よりリーズナブルに提供する必要がある時代のニーズを考えると、初心に戻ってプロダクトを作らなければなりません。我々はメディア業界に向けても作ってきていますので、メディア業界で培ったノウハウを活かし、メディア業界を超えるニーズにも応えて、システム開発を行い、プロダクトを作るためにも積極的に投資を行っています。

その意味では、ECもプロダクトの1つだと思っています。2024年12月期も、これまで投資し続けてきた越境EC、顔認証、教育クラウド、スマホゲームの拡販を目指し、黒字化を図っていきます。ちなみに2023年12月期までは、毎年赤字で投資をしてきました。

中国事業の展開

また、先日発表させていただいたとおり、2024年12月期より、中国の金融業界向けシステムを展開する事業を買収しています。

金融といっても、どちらかというと投資業界向けのシステムに強みを持つ事業になります。その拡販を行うとともに、場合によっては中国以外、例えば日本や他の地域でも、そのようなシステムを展開する可能性がないかどうかを探っていきたいと考えています。

目指す姿

HOUSEI株式会社が最終的に目指すビジョンとは、「内部の研究開発、外部との連携を積極的に行い、メディア業界をはじめ、金融、医療・医薬、教育、エンタメ、製造、不動産などの業界におけるプロダクトやサービスを通じてDX化を牽引する」ことだと考えています。

当社のご説明は以上とさせていただきます。本日はありがとうございました。