2024年5月期第2四半期決算説明
堀内康隆氏:ブックオフグループホールディングス代表取締役社長の堀内です。本日は、2024年5月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
はじめに、この度、令和6年能登半島地震において被災されたみなさまに、心よりお見舞いを申し上げます。また、被災地の1日も早い復旧をお祈り申し上げます。
本日の決算説明会は、2024年5月期第2四半期の決算の実績、取り組みの内容、そして今期の見通しについてご説明します。また、昨年7月に発表した当社グループの中期経営方針についてあらためてご説明した後に、質疑応答の時間を設けています。
本日は、どうぞよろしくお願いします。
連結損益計算書
まずは、当社の2024年5月期第2四半期の連結決算の概要です。第2四半期の業績は、売上高529億3,400万円、営業利益10億5,900万円、経常利益12億6,800万円、四半期純利益7億500万円となりました。
売上高と経常利益は、前年同期比で増加しています。しかし、純利益については第1四半期でもご説明しましたが、前期第1四半期において、グループ再編に伴う税負担の軽減の剥落に伴い、前年同期比でマイナスとなりました。
連結損益計算書 四半期別実績推移
スライドのグラフでは、売上と経常利益の推移を四半期ごとに比較しています。この第2四半期の9月から11月の3ヶ月は、増収増益となりました。その結果、第1四半期ではやや減益でしたが、6ヶ月の累計で増益に転じました。
連結貸借対照表
B/Sについては、総資産が532億円、自己資本比率は36パーセントです。
連結キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローが2億2,000万円、投資キャッシュ・フローがマイナス12億6,900万円、財務キャッシュ・フローが20億6,800万円となっています。積極的な投資と、その投資資金を財務キャッシュ・フローで補ったかたちです。
連結売上高 増減要因
売上高について、今期からスタートしているセグメントごとに分解してご説明すると、第2四半期までの6ヶ月の中で、すべてのセグメントで増収を果たしています。国内ブックオフ事業ではプラス33億円、プレミアムサービス事業ではプラス4億円、海外事業ではプラス3億円という結果です。
連結経常利益 増減要因
一方の経常利益は、ブックオフ事業も海外事業も増益ですが、プレミアムサービス事業については、前年同期比で若干マイナスという結果です。
プレミアムサービス事業は事業拡大のため、今後積極的な出店を考えており、そのために人員拡充を進めてきました。しかし、残念ながら、この期間での新規出店が叶わず、先行したコストがセグメントの利益に影響するかたちとなっています。
全社コストについては、今年度からセグメント会計をスタートさせたことに伴い、セグメントの区分を組み替えました。その結果、前期の区分ではブックオフ事業に含まれるITコストを、全社に効果があることから全社コストに含めました。それにより国内ブックオフ事業と全社コストで、ITコストの入り繰りが発生しています。このようなコストの入り繰りを含めても、国内ブックオフ事業については増益となっています。
事業セグメント別実績
主要なセグメントごとにご説明します。まず、セグメント別の業績はスライドのとおりです。
2024年5月期 業績予想の前提
業績予想の前提として、今期は主要3セグメントにおいて、それぞれ積極的な出店を行う方針で進めてきました。この後、セグメントごとに取り組みの状況をご説明します。
国内ブックオフ事業 実績
国内ブックオフ事業については、売上高467億円、経常利益17億円で増収増益となりました。四半期ごとに比べると、第1四半期は若干の減益でしたが、第2四半期では前年同期比で大きく増益となっています。
前年9月から11月に関しては、トレーディングカードの積極的な導入により、粗利率の低下といった影響が出たため、利益はなかなか伸びませんでした。今期9月から11月については、利益幅をしっかりコントロールした結果、収益を確保したというのが背景です。
国内ブックオフ事業 新規出店の状況
「BOOKOFF PLUS」「BOOKOFF」、また、新しいパッケージである「あそビバ」を含めて新規出店はトータルで9店舗です。
国内ブックオフ事業 直営既存店の状況
商材別のトレンドです。第2四半期累計における既存店の売上は、6ヶ月すべて前年同期を上回る結果となりました。
その内訳としては、巣ごもり需要の剥落により、書籍は前年を下回り97パーセントとなっています。また、ソフトメディアについては、映像メディアは若干厳しいトレンドでしたが、レコードや、かつて人気のあったオールドゲームのソフト、昭和レトロを懐かしむ商材が大きく伸びたことから、前年並みの売上を確保しています。
それ以外の商材はリユースの需要が伸びたため、すべてにおいて前年を上回る結果となりました。アパレル、貴金属・時計・ブランドバッグ、トレーディングカード・ホビーといった商材が、既存店の売上高を牽引しています。特に、トレーディングカード・ホビーについては、ブックオフ全体で集中的に注力しているため、第2四半期累計で、売上高における構成比が2割に迫る勢いで伸びています。
国内ブックオフ事業 トレーディングカード売上高推移と市場の動向
トレーディングカード・ホビーの両要素を分解してご説明します。近年、トレーディングカードは、「ポケモンカードゲーム」を中心に急速に市場が伸びてきており、当社グループ直営店・フランチャイズ加盟店ともに、積極的に取り組んできました。
トレーディングカードについては、データベースの価格を整備し、市場価格の変化に対応し、タイムリーに価格を変更できるオペレーションを導入しています。
私たちのメインターゲットは、コレクションを楽しむコレクターではなく、トレーディングカードをゲームとして遊ぶプレイヤーです。そのような方を幅広く捉え、ご利用いただくべく取り組みを進めています。
昨年の夏場は、一時、トレーディングカードの相場が下落するトレンドも垣間見えました。しかし、私たちのメインターゲットであるプレイヤーの「カードゲームを楽しみたい」という需要は底堅く推移しており、6月から11月の上半期では、売上が前年同期比123パーセントという結果になりました。
トレーディングカードユーザーを引き続き増やしていくため、当社グループの取り組みとしては、売場面積の拡張はもちろんですが、トレーディングカードユーザー・プレイヤーを対象に、全国10ヶ所で「トレカフェス」を開催しています。今後も事業を継続的に拡張し、ユーザーの広がりを作っていくためにも、そのような取り組みを積極的に行い、売上そして利用者の増加を目指していきます。
国内ブックオフ事業 ホビー売上高推移とエンタメ化の継続
一方、トレーディングカード・ホビーのもう一角を担うホビーの商材には、フィギュア、プラモデル、モデルカー、アニメグッズなどが含まれています。これについては以前から、買取を伸ばしてきたことが功を奏し、着実に成長しています。
ホビーの商材は日本国内だけでなく、海外からの需要も大変多く、この上半期はインバウンド需要を捉えて大きく伸びました。6月から11月の期間における売上高前年比は134パーセントで堅調に推移しています。
純粋に買取・販売をするお店というだけでなく、スライドの写真のとおり、「ミニ四駆」で遊べるスペースや、組み立て済みの塗装したプラモデルをショーケースに飾れるスペース、あるいは鉄道模型の「Nゲージ」を店内で走らせるスペースなどを用意しています。
このように、単にモノを売買する場所ではなく、ホビーの商材をより楽しめる場所として、どのような変革ができるのかを追及してきました。その結果が、先ほどお伝えした売上の伸びにつながったのだと考えています。
国内ブックオフ事業 アプリ会員の状況
デジタルシフトへの取り組みについてです。以前から、国内のブックオフ事業において、アプリ会員を中心とした「ひとつのブックオフ」構想を進めてきました。
前期2023年5月期で、アプリ会員が600万人となったのを1つの区切りとして、会員を拡張していくという方針から、会員の方々の利用を活性化していくという方向性にシフトしてきています。
ただし、引き続き店頭における会員の獲得は進んでおり、この第2四半期末において、700万人弱の水準に達しました。ここまで会員獲得が進んだことで、実際の売場において、3人に1人が会員アプリを保有・利用する状況となっています。
現在、このアプリ会員をさらに利用活性化させるため、ロイヤリティプログラムをリリースし、利用を後押ししていく動きを進めています。今後、アプリ会員にとってより良いサービスを提供していくことで、便利に「BOOKOFF」をご利用いただける世界を作っていきます。
国内ブックオフ事業 IT投資の進捗
また、この上半期において、長年の懸案事項であったECサイトの刷新と、店舗の仕組みの再構築を進めてきました。ECサイトについては、2023年9月にリニューアルし、長年進めてきたシステムの開発にようやく1つの区切りをつけることができたことで、商材の拡張や利便性の向上につなげていく土台が整ってきました。
これから1年をかけて、直営全店、加盟店ともにトライアル・初期導入が進んでいる店舗におけるPOSの刷新を進めていきます。また、EC販売を支える倉庫内システムの強化といった基幹となる仕組みの刷新も継続的に進めていきます。このような大型のシステム開発が今後も続くため、順次リリースしていくとともに、システムの償却コストは増えていく見込みです。
プレミアムサービス事業 実績
プレミアムサービス事業の実績・状況についてご説明します。プレミアムサービスの第2四半期累計の業績は、売上高33億4,600万円、経常利益2億2,900万円と、増収微減益という結果になりました。
先ほどお伝えしましたが、中期の経営方針として、積極的に出店していくため人材確保に取り組んでいます。この上半期、残念ながら出店が叶わなかったところもあり、人員拡充のためのコストが負担となり、前年同期比で利益は若干マイナスとなりました。この下半期、積極的に出店していくことで、この人件費の部分を取り戻したいと考えています。
プレミアムサービス事業 仕入高推移
トピックスとしては、中核となる「hugall」、また「BOOKOFF総合買取窓口」における買取の獲得が着実に進んでいます。
一時期、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、首都圏における人流が大幅に減り、百貨店に来店する方が減ったこともあり、買取に大変苦労しました。しかし、その後は店舗における買取が着実に伸びており、この上半期でも、前年同期比110パーセントの買取獲得を達成できました。
プレミアムサービス事業 販売チャネルの開発
買い取った商品は、BtoB販売だけでなく、ECサイトでも販売しています。昨年1月、そのECサイトのリブランディングを行い、「rehello(リハロ)」というかたちでリニューアルオープンしました。1年経過した時点ですが、サイトリニューアルが功を奏して、「rehello(リハロ)」を通じた商品の販売は前年同期比137パーセントとなるなど、着実に売上を伸ばしています。
海外事業 実績
海外事業についてです。上半期の業績は売上高22億4,900万円、経常利益4億800万円で増収増益となりました。期間ごとの利益は、第2四半期期間の3ヶ月間で大きく増益しています。
新規出店については、すでに第2四半期の期間までにオープンしているものの、連結に取り込む決算期の違いにより、下半期の業績に反映します。
海外事業 店舗パッケージ別売上高推移
主力となる「BOOKOFF USA」と「Jalan Jalan Japan」の売上の推移です。こちらも新型コロナウイルスの影響を大きく受けた時期がありましたが、それ以降は着実に成長しています。
新規出店と、既存店のオペレーション改善・売場の改革などが功を奏して、「BOOKOFF USA」は前年同期比109パーセント、「Jalan Jalan Japan」は前年同期比115パーセントと、着実な売上成長を見せています。
以上が上半期の振り返りです。それを踏まえて、当期2024年5月期の連結業績の見通しについてご説明します。
2024年5月期 連結業績と配当予想
今期の上半期の総括です。中期経営方針に沿って、いろいろなアクションをする中で、足元の利益を固める1年に位置づけていたこの上半期は、その土台作りが進みました。
業績については、前年同期と同水準の利益を確保し、予定どおり進んでいます。通期の業績見通しについても、7月に発表した売上高1,060億円、経常利益30億円、純利益16億円という予想を据え置きとしました。今後の状況を踏まえて、見通しについて検討していきたいと考えています。
ブックオフグループ中期経営方針 概要
私たちが昨年7月に発表した、これらの土台となる中期の経営方針について、あらためてご説明します。
私たちは、今期で創業から33期目を迎えました。新たな中期経営方針では、引き続き経営理念として、事業活動を通じての社会への貢献、全従業員の物心両面の幸福の追求を、私たちが実現していくミッションとして掲げています。今、私たちが置かれている環境を踏まえて、多くの人に楽しく豊かな生活を提供していくために、どのように活動していくかを考えてミッションを定めました。
ビジョンとしては、主戦場であるリユース業界の中で、私たちが業界を牽引するリーディングカンパニーになりたいと考えています。リユースに対して、まだまだ不安な感情をお持ちの方がいたり、なかなかポジティブなニュースが流れない瞬間もあったりします。しかし、私たちが積極的に行動していく、あるいはサービスを磨いていくことによって、リユースは「楽しい」「もっと能動的に使いたい」「社会貢献につながっている」という感覚を世の中に広めて、リユース人口の拡大を目指していきます。
さらに、そこで働くメンバーにおいては、自分たちが関わる事業に自信と情熱を持って、安心して仕事をしながら成長し続けられるような場を、グループとして提供していきたいと考えています。
この5年間においては、これまで培ってきた国内のブックオフ事業が安定収益を稼げるかたちに整ってきました。私たちが新たな成長期を歩んでいくにあたって、引き続き深掘りしていく事業に加えて、私たちの未来の成長を担う、探索していく事業を育み、5年後にはブックオフだけではないブックオフグループをしっかりと認知していただきたいと考えています。
経営としては、事業ポートフォリオをしっかりと変革していくことで、しなやかに安定した成長を続けられるような企業グループを作っていきたいという考え方のもとに方針を策定しました。
ブックオフグループ価値創造MAP
それを図式化したのが、スライドの価値創造MAPです。私たちが大切にしてきた経営理念、人財育成の考え方を土台に、国内ブックオフ事業が安定した収益を稼ぎ、プレミアムサービス事業・海外事業がさらに成長していくことによって、グループの事業規模を拡大していきます。
さらに、この5年間で種まきをすることによって、新たなリユース専門店の開発、あるいは新たな領域へのチャレンジを通じて、私たちの事業がもっと成長できる世界を作っていきたいと考えています。
利益目標と獲得イメージ
目指していく業績目標としては、売上高1,300億円、経常利益45億円以上を、私たちの力で獲得できる状態を作りたいと考えています。
財務方針
純粋に売上・利益の拡大だけではなく、昨今注目されている資本効率にも目を向け、WACCから逆算して、総資産経常利益率9パーセント以上を目指すことを掲げています。経常利益を1つの指標として、その経常利益を獲得する総資産とのバランスをしっかり整えていくという目標を掲げ、財務方針としました。
国内ブックオフ事業 中期方針
それぞれの主要セグメントについて掲げている方針をご説明します。
中核となる国内ブックオフ事業は30年以上、書籍からスタートして、現在ではご家庭にあるあらゆるモノを買取・販売しています。また、店舗だけではなく、宅配買取や出張買取などのさまざまな買取手段を提供し、多くの品物をECサイトでも販売する多様なチャネルを用意することができました。
このようなチャネルを有機的につなぎ合わせながら、お客さまが「品物を売りたい」あるいは「リユースの商品を買いたい」といった時に、いかに最高のリユース体験を提供できるかを追求しています。そして、それを安定した収益と持続的な成長につなげていくことが、掲げている事業方針の根幹にあるものです。
それを実践していくために、他社よりも強みを持っている書籍という商材に磨きをかけていきます。書籍は年代・性別を問わず、あらゆるお客さまが利用する商材です。
お客さまと品物を選ぶことなく、使わなくなってしまったモノを私たちがしっかりと受け止め、受け止めたモノをしっかりと販売することを、それぞれの地域に合わせて実行・実現していきます。それを実践していく上では、「BOOKOFF」を使うことがもっと便利になる必要もありますし、来店したお客さまから「ここに来たらおもしろい」と言ってもらえるような取り組みが必要だと考えています。
ここ数年来、さまざまな商材の拡張やデジタルシフトを進めてきましたが、まだ「BOOKOFFは本だね」と言われるケースが多いです。私たちの努力がまだ足りていないところに手を入れて、「BOOKOFFに来ると、もっと楽しいよ」「もっと便利だし、いつでも使えるよ」と言われるように、顧客戦略、買取戦略、デジタル戦略、人財戦略など、最高のリユース体験を提供する上で必要なピースを組み立てています。
具体的には、書籍・ソフトメディアを中心としたメディア商材については、引き続き多くのお客さまを引きつける商材として取り組みを進めていきます。また、冒頭でもご説明しましたが、近年では日本国内において、昭和レトロなどのかつて注目を集めた商材に対しての認知が上がり、懐かしさに対する需要が増えていると考えています。
そのようなコンテンツも含めて、書籍・ソフトメディアを中心に、「ここに来るとおもしろさ、懐かしさがある」と言っていただけるような売り場を展開していきます。ただし、そのような商材については、これから先の成長はなかなか見込めず、残念ながら1次流通のトレンドも考えると、徐々に減退していくことが想定されます。
国内ブックオフ事業 中期方針
スライド左上に記載しているとおり、私たちは現在、ご家庭にあるあらゆるモノを買取・販売するノウハウや仕組みが構築できています。限られた売り場の中で、どの商材を取り扱えば地域のお客さまにとって最も笑顔を増やすことができるのかを、地域にいる私たちの社員、マネージャーがしっかりと向き合いながら売り場を変革しています。それにより安定した収益を稼ぎ続け、地域のお客さまにご利用し続けていただける環境を作っていきます。
それを実行・実践していく上で、さまざまな店舗のパッケージを用意することに加え、引き続き人財育成が必要だと考えています。人財育成を中心に、これから先も安定した収益を稼いでいき、そのような人財がデジタルを活用して、もっとお客さまに多様な接点を提供できるように、公式アプリ、ECサイト、それ以外のサービスも含めてデジタルシフトを継続的に進めていきます。
プレミアムサービス事業 中期方針
プレミアムサービス事業についてご説明します。プレミアムサービス事業は、中期方針において、向こう5年間で100店舗体制にするという方針を掲げました。
百貨店を中心に展開する「hugall」、路面店を中心に展開する「BOOKOFF総合買取窓口」、ジュエリー専門業態である「aidect」の3つのパッケージを中核に、アッパーマス層から富裕層に向けて展開していきます。これまでブックオフになじみがなかったお客さまや、リユースと聞いてもなかなか行動につなげられなかったお客さまに私たちのサービスをご利用いただき、リユースのおもしろさや楽しさを体験していただくことを広げていきたいと考えています。
プレミアムサービス事業については、店舗を展開するだけで事業が拡大していくことを狙うのではなく、さらに上の富裕層を獲得していきます。中には、訪問買取や、新たな事業者とパートナーシップを結ぶことによってリユースをご利用いただくようなシーンも出てくると思います。プレミアムサービス事業での未開拓な顧客層への開拓を、ブックオフグループとしてさらに実現していきたいと考えています。
海外事業 中期方針
海外事業についてです。海外事業の2つの柱は、スライド右上の米国を中心に展開する海外でのブックオフ事業と、スライド左上のアジアを中心に展開しているJalan Jalan Japan事業です。
米国のブックオフ事業については、日本のアニメコンテンツの消費拡大とファンの拡大に伴って、非常に需要が高まってきている大きなマーケットです。私たちブックオフグループとして、まだまだ店舗の展開が進めきれておらず、10年以内に100店舗の構築を実現したいと考えています。まずは、東海岸・西海岸のドミナント出店を進めることを皮切りに、全米の主要都市へ展開し、5年後には全米で「BOOKOFF」が当たり前にご利用いただけるような世界を作っていきます。
Jalan Jalan Japan事業については、日本国内で私たちが受け止める商品の中で、残念ながら国内で販売しきれなかったモノを、アジアの地域で新しい価値に変えてお届けする、非常に社会性が高い事業です。2016年からマレーシアでスタートし、近年では中央アジアのカザフスタンでも店舗を構える動きが取れました。
マレーシアでの成功だけでなく、カザフスタンでも多くのお客さまから、日本のリユース品は非常に品質の高い品物であるという評価をいただいています。マレーシアではなかなか販売することが叶わない冬物やウィンター商品については、カザフスタンで非常に高い需要があります。
マレーシア、カザフスタンの2つの地域を私たちが展開地域として押さえることによって、さらに日本国内で買い取った品物を海外で収益につなげ、地域のお客さまの笑顔にもつなげられると考えています。Jalan Jalan Japan事業についても、10年以内に100店舗を構築することを1つの目標として掲げて進めていきます。
日本国内では、私たちのチェーンのみならず、他のリユース企業、あるいは昨今課題を抱えている1次流通の中でのロスマネジメントにおいて、私たちの海外の機能を活用いただきたいと思います。私たちの海外のビジネスと一緒に廃棄コストを下げ、ゴミを減らし、社会におけるプラスにつなげていく動きをとっていきたいと考えています。以上が主要事業の方針です。
サステナビリティTOPICS① 基本方針の制定
上半期に発表した内容のプラスアルファとして、サステナビリティに対する私たちグループの取り組みについて、いくつかご紹介します。
まず、8月に私たちが世の中のサステナビリティにどのように貢献していくかを、サステナビリティ基本方針として掲げました。私たちの中核事業であるリユース分野においては、循環型社会を形成していくという意味で、持続可能な社会の形成、サステナビリティに貢献する事業だと考えています。とはいえ、私たちの事業活動の中でも、サステナビリティに関する課題は存在していると考えています。
私たちが持続可能な成長をしていく上でも、サステナビリティに貢献していく意味でも、あらためて人財育成、人権を守ることを出発点に、スライド右側のとおり、ESGの切り口で全7つの項目をサステナビリティテーマとして掲げました。
今後、先ほどご説明した3つの主要セグメントを中心とした新しい中期経営方針での事業成長はもちろん、5年後までに、ここに掲げているサステナビリティの実現目標に一つひとつ近づけていきたいと考えています。
サステナビリティTOPICS② 気候変動への対応
1つのポイントとしては、TCFDによって提唱されている気候変動への対応です。サステナビリティ基本方針を発表すると同時に、当社グループとしてTCFDへの賛同を表明しました。
特に、スライド右側の中段にあるCO2排出目標については、2045年度にカーボンニュートラルを達成することを目標として掲げ、発表しています。これに向けた動きについては、まだ当社グループの課題は大きいですが、CO2排出削減に向けて再生可能エネルギーの導入についても具体的な目標を掲げて進めていきます。そして、2040年度までに導入拠点比率を50パーセントにし、私たちの直営店舗の約半数が再生可能エネルギーを使用している状態を作ることを掲げています。
サステナビリティTOPICS③ 人的資本への対応
サステナビリティにおいては、人権、人財の多様性は非常に大切な要素だと考えています。人的資本への対応として、あらためて従業員の機会の提供という切り口において、まだまだ足りていない部分もありますが、女性管理職比率を20パーセント以上にしていきます。
また、仕事と家庭の両立を積極的に後押しするために、育休取得率については女性社員は100パーセント、男性社員も60パーセント以上を目標を掲げ、具体的なアクションを進めています。
これらの目標については、まだ途上だと考えています。一つひとつ課題を解決しながら、この目標水準をさらに引き上げていく動きを、中期経営方針を進めながら考えていきます。
サステナビリティTOPICS④ 各種取り組み
このように具体的な数値目標を掲げて進めていくサステナビリティテーマもあります。一方で、私たちが実現していきたい未来としては、事業活動はもちろんのこと、循環型社会を形成していく中で、私たちの事業が社会にどのように貢献しているかを結びつけていくことが非常に大事な要素だと考えています。
スライドには、地域社会、行政、パートナーとの取り組みについていくつか抜粋していますが、私たちは使わなくなってしまったモノを循環する、リユースする取り組みを世界的にも広げていきたいと考えています。
そのために、まずは日本国内において、もっとリユースについて知っていただきたいと考えています。「リユースは良いことだ」というだけではなく、「リユースは楽しいことだ」「もっと取り組んでみたい」と感じてもらえるように、スライド右上に記載のとおり、宮城県仙台市内の商店街において「杜の都リユースフェス2023」を開催しました。仙台市のみならず、宮城県ともタッグを組んで取り組みを進めています。
また、リユースという取り組みは純粋に買取・販売をするだけではなく、品物に新しい命を吹き込むという要素もあります。スライド左下に記載のとおり、「Reclothes Cup 2023」としてリメイクファッションも推進しており、私たちの店内の商品を使って、さらに価値のあるモノを提供していく取り組みを、全国の専門学校とタッグを組んで進めています。
さらに、私たちが長年扱ってきた書籍を通じて、世の中にもっと貢献ができないかと考えました。全国の2割を超える自治体に書店がない地域があり、そこでは文化資本の格差が生まれているといわれています。
残念ながら、私たちが店舗を出店することが難しい地域ではありますが、私たちにできることは何かと考え、従業員の発案のもと「ふるさとブックオフ」というかたちで、岩手県西和賀町に1号店をオープンしました。これは、私たちが取り組んでいるリユース事業によって、書籍を安価に提供できるからこそ実現できる取り組みだと考えています。
私たちが事業として取り組むことで、全国各地のお客さまを笑顔にし続けていくことを両立し、事業を成長させていきたいと考えています。そして世の中の多くの人に、楽しく豊かな生活を提供することへと形に変えて実現できるよう推進していきたいと考えています。
事業ポートフォリオの変革で、持続可能な成長へ
今期2024年5月期についてです。新しい中期経営方針の初年度として、安定した収益を土台に、未来に向けた準備の1年と位置づけています。
これから先、サステナビリティへの取り組みも含め、私たちが人財育成を通じて成長していくことで、結果的に私たち自身の事業がさらに良いものになります。それが地域のお客さまの笑顔につながり、結果として売上・利益が成長する循環を作り上げることを目指していきたいと考えています。
私たちがこれから先も成長する姿を、どうぞご期待いただければと思います。私からの第2四半期決算のご説明および中期経営方針の振り返りに関しては、以上となります。
質疑応答:北米の店舗売上の状況について
「足元では、北米の消費動向がスローダウンとの報道がありますが、御社の店舗売上状況は何か変化がありますか?」というご質問です。
大きな変化は特に見受けられませんが、伸び率に関しては少し減退傾向にあると認識しています。既存店の売上高は堅調に推移しているものの、私たちとしては新しいお店を積極的に出店していくことによって事業成長していこうと考えており、新規出店のお店に対して売上の影響が出ることはないかと考えています。
繰り返しになりますが、私たちのビジネスにおいてはそこまで減退傾向は見られません。ただし、既存店の売上成長については、安定して取っていくステージに変わってきたように感じます。
質疑応答:プレミアムサービス事業の新規出店について
「プレミアムサービス事業で新規出店が想定どおりに進まなかった背景を教えてください」というご質問です。
プレミアムサービス事業の出店に関しては、候補物件はいくつか出てきています。昨今、リユースの出店において、だいたい30坪前後の出店は、人流が回復したことも伴い、各社で競争がかなり激しくなってきています。
その中で、私たちが望む賃料相場での出店が叶いませんでした。いくつか候補が挙がったのですが条件が合わず、他社に取られてしまった物件もあります。同業に限らず、地域の小売、あるいはサービスの店舗も増えてきているところもあり、残念ながら私たちの条件が見合わなかったため、現状では実現できなかったのが背景です。
こちらに関しては、どんどん物件開発を進めていく予定ですので、競争環境は引き続きあるかとは思いますが、この期末に向けて候補物件を着実に増やしています。
質疑応答:「ポケモンカードゲーム」の相場による影響について
「これまで、トレーディングカードが好調の背景に『ポケモンカードゲーム』相場の上下があったと思われますが、御社のその後の影響はどうでしょうか?」というご質問です。
プレゼンテーションの中でも少しご説明しましたが、トレーディングカードの取り組みについては、おっしゃるとおりマーケット全体の中では「ポケモンカードゲーム」の相場が変わったことによって、一時的に売上が伸び悩む時期がありました。
6ヶ月通して見ると、私たちの店舗に関しては、高額商品への影響は確かに出ていますが、高額商品の比率は限られています。中価格、低価格のトレーディングカード商品については販売が伸びており、結果として先ほどご説明したとおり前年同期比123パーセントの売上という結果になりました。ただし、伸び率に関しては、過年度については「ポケモンカード」の相場の過熱感があり急速に伸びましたが、現在は少し落ち着いたと見ています。
今後については、よりプレイヤーの裾野を広げていくために、大会へ参加する方々を誘致していく、あるいは声をかけていくことにより、持続的に売上を伸ばしていけるのではないかと考えています。
質疑応答:トレーディングカードとホビーの売上比率について
「トレーディングカードとホビーに関して、両方とも伸びているようですが、現状、トレーディングカードとホビーの売上比率はどの程度でしょうか? ホビーについては、今後拡大する可能性はどの程度あると考えていますか?」というご質問です。
現在、トレーディングカード6対ホビー4くらいの売上比率になっています。トレーディングカードは相場の影響もあって、今後の動きが少し読みにくいところはあります。
ホビーに関しては、昭和レトロも含めて、過去のアセットを私たちが買取・販売している傾向があり、買取を伸ばす分だけ売上を上乗せできるのではないかと考えています。さらに、インバウンド需要も含めて広がりを見せている中で、現在、強化している商材としては、フィギュアを中心としたアニメグッズが、まだまだ成長できるのではないかと考えています。
それ以外の商材の中でも、アイドルグッズも含めて「推し活」による需要は、これから広がっていくのではないかと考えています。トレーディングカードの相場の変動による影響を受けにくい商材として、ホビーはこれから先も継続的に伸びていくのではないかと考えています。